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境界例者のロールシャッハ反応 一W一の顔反応の継起分析による一考察一
黒 田 浩 司
1.はじめに
「境界例」という概念は当初は分裂病と神経症の間という意味や,重い神経 症あるいは軽い分裂病の意味でもちいられていた。しかし,Kernberg(1967,
1971)のパーソナリティの成熟の程度のとしての境界性人格構造(Borderline Personality Organization)の概念が提唱されて以来,「境界例」概念につい てはさまざまなな議論・検討がなされた。そして,今日では「境界例」とは神 経症とも分裂病とも異なるひとつのある特定の病理性をもつ人格(境界性人格)
およびその病理を背景として生じる種々の精神症状を指すものとしてもちいら れるようになっている(馬場1991a)。そしてこの境界性人格の病理の特徴は 知能検査や質問紙法などの構造化された心理検査ではあまりあらわれず,構造 化されていない心理検査であるロールシャッハ・テストに境界例者特有の原始 的防衛や一次過程思考(欲動に支配された不合理な思考)がよくあらわれ,参 考になることが多い。
心理療法などの心理臨床的援助をおこなう場合にはクライエントの病理の深
さやクライエントの置かれている状況を総合的に理解し,適用可能な介入・援
助の方法を査定する心理臨床アセスメントが非常に重要であり,適切な心理臨
床アセスメントができないセラピストは適切な心理療法は行えないと考えられ
る。このことは境界例者の心理療法においては特にあてはまる。境界例者の心
理療法はそのクライエントの人格構造の特徴ゆえに,治療者がクライエントの
境界例心性についてよく理解し,クライエントよりもいくぶん先取りをしてゆ
かないと心理療法がすすまなかったり,多くの問題(治療の中断,さまざまな
形の行動化など)が生じてくることになる。
本研究では境界例者がロールシャッハ・テストに示す反応の特徴から境界例 者の心性を理解する過程を具体的に示し,その中で特に境界例者にしばしば見
られる反応であるW一の顔反応に注目し,顔反応の現われ方(反応の継起の特 徴の分析)と被検者の対人行動様式の関連を検討する。
H.境界例(境界性人格)の特徴
先に述べたように,境界例の概念は多くの研究者によって論じられている。
そしてそれぞれの主張や強調点にはさまざまな相違があるが,共通するところ も多い。ここでは馬場(1991a)が自らの臨床経験とも照らし合わせて,これ らの主張に共通に重視されていているとしてまとめた特徴を紹介する。
(1)症状は旧来の神経症症状であるが(恐怖症,不安発作,強迫症,転換症状,
乖離症状,心気症,摂食障害,妄想様観念など),それらが多様に絡み合っ ている。
(2)治療者に対する態度は,しがみつくように依存して,治療者の意に沿うよ うに,気嫌を損なわぬようにと気を配ったり,あるいは単に億劫だという理 由で無断で休んだり,治療者を次々と変えたり,よそよそしい態度で表面的 な話を続けるなど,適度な距離を保てないことが多く,ここに依存対象に対 する基本的信頼感の欠如が示される。
(3)このような態度の背景には,治療者はすべての望みを叶えてくれるという 空想的な思いこみ(理想化,万能的期待)や,治療者は自分を拒絶し,無視
し,見捨てるのではないかという恐れや怒り,治療者は無能だという思いこ み(脱価値)などがあり,それらは早期幼児期から形成された内的対象像の 投影および投影性同一視であると考えられる。また,対象像がこのような性 質をもつのは,分離・個体化の失敗(Mahler 19711975, Masterson 1972)
や,分裂した対象関係(Kernberg 19671971, Rinsley 1980)に由来すると 論じられている。
(4)患者の自己像の側から言えば,これもまた他者を支配して自分の欲求を満
たそうとする誇大な自己像と,無力感,挫折感,劣等感に満ちた卑少な自己
像に分裂している(自己像の分裂)。いいかえれば,自己を統一された存在
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として感じることができない(同一性の拡散)。
(5)ある種の社会的判断力や行動力は備えているが,一般の対人関係は極めて 表面的であり,その場の状況に合わせて型どおりに振舞っている。そして相 手との関わりが深まると,一転して,上記(2)(3)のような著しい退行を意味 する現象が生じる(Winnicott(1965)のいう偽の自己と真の自己の分裂,
馬場ら(1983)のいう自我領域の分裂)。この意味でも同一性の拡散が指摘
される。
(6)欲求不満や不安や葛藤への耐久力が乏しく,直ちに行動することによって こうした苦痛な状況を解消しようとする。浪費,過食,家庭内暴力,性的逸 脱,離職自殺企図などの行動はこのために生じることが多い。また,他者 に怒りを向け,攻撃することによって,寂しさや不安を防衛する(攻撃化)。
(7)以上のような性質,つまり,原始的防衛に頼る傾向,一次思考(欲動や願 望に支配されて合理性を失った考え)に基づいて行動しがちなこと,苦痛へ の耐性が乏しいこと,発散的な行動を生じやすいことはいずれも自我が弱く 未成熟であることの現われということができる。そしてその未成熟さの質は 早期幼児期の母子関係(Mahler(1971,1975)の再接近期, Winnicott
(1965)の移行対象関係の段階)での障害に対応すると理論づけられている。
皿.ロールシャッハ・テストへのあらわれ
境界例者のロールシャッハ反応の特徴については数多くの論文・著書がある
(例えば,祇園ら1978,Kwawerら1980, Lerner&Lerner 1980,1985,馬 場ら1983,Cooperら1988,など)。これらについても馬場(1991a)が共通 する特徴をまとめており,それを紹介する。
(1)反応の豊富さ。一般に境界例者のロールシャッハ反応は何らかの意味で豊 富である。その豊富さは,反応数の多さ,運動反応や色彩反応(両方または 一方)の豊富さ,反応内容を空想的に加工することなどによって示される。
しかしその豊富さにはさまざまな意味での偏りや歪みが伴っていることが多
い。偏った豊富さを示すこと自体が,妥当で自然な自己表現を著しく抑える
一方で,何らかの突破口を見出して発散や主張をしようとする,境界例の特
徴を示していると思われる。
(2)人間およびその運動を示す反応には,空想による色づけ(作話)を伴うこ とが多い。その内容は多くの場合被加虐的である。「悪魔が睨んでいる。つ かみかかろうとしている」「縛られて,うなだれている人」「大きな足が人の 心の中に土足で踏み込んでくる」など。しかし,一方では,華やかさや高貴
さを示す反応も見られる。「荘厳な音楽を奏でている指揮者」「可愛らしい天 使が二人,踊っている」「ロングドレスを着た貴婦人」など。このような場 合,人物像の属性は よい か わるい かを単純明瞭に示して,分裂した 対象像および自己像の投影を示唆している。こうした反応の色づけは,質問 段階では修正されず,むしろますます誇張されていく傾向がある。
また一方では,「何かの生きもの」「人みたいな形の置物」というように,
属性を不明瞭なままにした人物像や動物像もみられる。これは,対象を客観 的にみようとする場合には,極端に距離をおいて感情移入せず,いったん近 つくと感情がこもりすぎて,事実と投影が混同されるという現象(自我領域 の分裂)を意味している。
(3)色彩反応についても,被検者によって極端多すぎたり,少なすぎたり,あ るいは図版によって色彩反応を全く示さなかったり,過剰に示したりする被 検者があるなどの形で,両極端の現象が現われる。多量の色彩反応がある場 合には,ほぼ常にFC<CF+Cで,統制力の弱さが示される。またこれに 伴う反応内容は「血,火,爆発」など中和されない攻撃性を示唆するものが 多いが,一方に「花園,舞踏会,シャンデリア」など華やかなものも見られ,
運動反応の場合と同様,対象像の分裂が推測される。
(4)特に一次思考過程の現われを意味する逸脱言語表現も多く出現する。特に 多いのは,作話傾向,作話結合,作話反応で,空想性と投影の活発さを示唆
している。しかし最も顕著な思考障害を意味する混清反応,支離滅裂,自閉 的論理,関係づけ反応などは生じない。この意味で,分裂症的な思考障害や 現実検討能力の障害とは質的に異なることが推測される。特徴的なのは,ブ ロット全体を「顔」と見る不合理反応を示す一群があることで(悪魔や怪物 など恐ろしい顔であることが多い),この人々は他にも少数の形態質の低い 反応を生じるが,他は一般に客観性がありかつ個性の乏しい反応となる。こ の点が全面的に作話的反応の多い一群と対照的である。馬場らは前者を併存 型,後者を結合型と名づけ,両者の思考過程の障害に質的な相違があると考
えている。
黒田:境界例者のロールシャッハ反応 37
(5)形態質はきわめて高いものから低いものまで広く分布する。プロットの形 態に合致しない反応(不良形態反応)を生じた場合に,これを質問段階で修 正できず,むしろ肯定的に説明を加えたり,熱心に合理づけるが故にかえっ て歪みを拡大したりする傾向がある。ここに現実検討が低下しやすく,主観 にまきこまれやすい特徴が示されている。一方で妥当なプロット認知を示す ものでも,多くの場合,一方にこのような著しく歪曲した認知を生じるのが 特徴である。
なお境界例者といってもさまざまな人格のタイプがあり,その人格の病理 の深さも比較的軽症のものから,重いものまである。馬場は個々の現象より も総合的な所見から人格の病理のありようをとらえる観点の必要性を提唱し
ている。
筆者は境界例者のロールシャッハ反応の中で,馬場ら(1983)の提唱した W一の顔反応に注目している。この反応は馬場が併存型の境界例者に特徴的 な反応として取り上げたものであり,この反応では「プロットから強い情動 を刺激されて早期の内的対象関係が活性化し,不安が汎化することや,自我 の核が脅かされることを防衛するために原始的防衛機制の分裂(splitting)
がもちいられ,心的状況が高次のもの(二次過程が優勢な領域)から低次の もの(一次過程が優勢な領域)へ転落するという急激で唐突な退行が生じ,
それによって被検者の知覚も退行し,自閉的な世界に引きこもる(馬場ら 1983)」ことで生じている。そして健常者や神経症者とは異なって二次思考 過程の現われと一次思考過程の現われの間に連続性がなく,W一の顔反応が 生成される時には良質の反応語を形成している防衛とはまったく異質の防衛 が発動されている。筆者の臨床経験上,反応内容である巨大な(プロット全 体の)顔は拡大された内的表象を意味していると考えられ,この顔反応の反 応継起の特徴が事例の対人関係様式と関連していることに注目している(黒 田1995)。そこで,以下にロールシャッハ・テストにおいて境界性人格が明 らかになった事例であり,1カード以外の図版にW一の顔反応を示した事例 を示し療,この事例においてそのW一の顔反応の継起分析と事例の対人関係 様式の関連を検討する。なお,ロールシャッハ・テストの施行方法,記号化・
整i理の方法は片口(1987)によっており,継起分析および総合的解釈につい
ては,Schafer(1954)の精神分析的解釈理論を土台とする小此木・馬場(1
989),馬場(1995)の方法によっている。
IV.事例検討料
ここに紹介する事例は症例概要からは必ずしも境界性人格の特徴は明白では ないが,受診後1ケ月で実施したロールシャッハ・テストにより境界性人格を 有していると判断された事例である。
(1)事例の概要と検査時の態度
症例は30歳の男性。テスト施行時は身体がだるくて寝てばかりいる。大学4 年生の時に就職活動を全くしておらず,卒業後も定職につくことなくアルバイ トで生活していた。その後,家族のすすめで何度か就職するが遅刻や欠勤のた めの離職を繰り返していた。受診の半年前に仕事をやめてから自宅で不規則な 生活をするようになり,雑誌や少女漫画を読んでばかりいる生活となった。家 族のすすめで総合病院の神経科を受診するも,自分自身の現状であるとか,将 来に対する不安や葛藤が外面上感じられないのが特徴である。中学・高校時代 から友人は少ない方で,無口で内向的であった。大学時代には遅刻と欠席がや はり多く,大学2年生の時に1年留年している。
検査態度は問われたことには答えるが,それ以上は自分から積極的に話すご とはない。言葉づかいは丁寧であるが,声に抑揚がなく言葉に感情があまりと もなっていない様子。検査の感想であるとか,今現在の自分の気持ちを問われ ると言葉につまってうまく語ることができない。
(2)量的分析
事例のSummary Scoring TableはTable 1.に示す通りである。反応数は
24と普通程度であるが,初発反応時間がやや長く,全体反応が多く,形態水準
が低い。反応内容の多様性はある程度あり,平凡反応は4.5で,ある程度の内
的な豊かさと客観的判断力はそなわっていると言える。物事に対して受け身的
であり,外界とのかかわり方が大雑把で緩1曼であって,現実性・具体性が乏し
いことが推測される。色彩図版の初発反応時間が無色彩図版のそれよりも長い
が,体験型は両貧型で,潜在的な体験型は内向性・外拡性ともにほどほどにあ
る。内面における情緒活動はあるが,それが潜伏していて外側には出てこない
ようである。内的観念活動もFMが優位であり,未分化で子供っぽいことが予
想される。F%=50.0%,ΣF%=100%と一見よく統制されているようである
が,形態水準は全般的に低く,不良形態(一)反応が2つあることから現実検
討力の低さがうかがわれる。この被検者の病態水準を判断するには,どのよう
黒田:境界例者のロールシャッハ反応 39
な状況で現実検討がどの程度低下するかを継起分析でみてゆく必要がある。
Table 1.事例のSummary Scoring Table R=24 Rej=0 RlT( Av.)ニ28.0
RlT(N.C.Av.)=19.0 RlT(C.C.Av.)=37.0
Most Delayed Card&Time X,50 Most Disliked Card I
W:D=19:1 (79,2%:4.3%)
Dd%=12.5%
S=1(4.3%)
M:ΣCニ1:1.5
FM十m:Fc十c十C =3.5:3.0 皿十IX十X/R=25.0%
FC:CF+C=1:1 Fc:cF+c;1:0 M:FM=1:3
F %=50.0% ΣF %=100%
F十%=41.7% ΣF十%=41.7%
R+%=41.7%
H%;12.5% A%=41.7%
At=2
P=4.5(18.8%)
C.R.=7(4) D.R.=7(2)
(3)継起分析
【カード1】
第①反応はプロット全体をイヌの顔に見えており,新奇なテスト場面に感じ ている不安が投影されている。質問段階では説明しているうちに3種類の顔に 見えており,その説明の仕方が受け身的であり,検査者によくわかるように説 明をしない。第②反応では運動と立体感をもちいて「鳥がどこかに降りる途中」
という反応を示している。この反応も形態水準は良好水準であり,現実検討は ある程度保たれている。検査者から質問されてプロットとあまりかかわること ができず,リアリティのあまりないかのような説明の仕方にはなっているが,
その説明されている表象は生々しい感覚を有している。
【カード瑚
ここでは赤の刺激が強かったためか,初発反応時間が42秒と長く,反応は
「ラン科の花」のひとつであり,平凡反応である動物を出せずに終わっている。
この反応は赤の情緒的刺激のうち上の赤の部分を避けて美化しようとしている が,そのやり方がただ漠然と見て観念の中だけできれいなものに見立てるとい う強引なやり方であり,形態をしっかりととらえた防衛とはなっていない。そ の一方で被検者はこのカードをMost Liked Cardとして選んでおり,その理 由が「卑狼な感じ,女性器にも見える」と,中ではかなり生々しいものを感じ ていることが予想される。
【カード皿】
第①反応はP反応であり,現実検討は回復している。しかし,質問段階で検 査者が質問してゆくと,やや混乱してきて手になにかついているというような 不合理な説明になってきている。それだけ混乱するような生々しい感覚が内面 では生じていることが推測される。そして,第②反応で赤を取り入れると全体 が漠然とした不合理な形態認知である顔反応となっている。説明段階では「目 がつり上がっているとか」,「ノドチンコまで見えそう」というように作話傾向 がいっそう強まっており,一次思考過程に強く色づけられた説明がなされてい る。また,第①反応と第②反応の間に連続性があまりなく,急激な自我の退行 が生じている。これらの反応ではいろいろなことを思いつくのであるが,それ をうまく整理することができなくて,感覚的に印象をずらずらと並べている。
そういった意味での被検者のコミュニケーションのうまくいかなさも推測され
る。
【カードIV】
ここでは図版の威圧的な特徴や,暗さ,濃淡などからいろいろ刺激されたの か,10枚の図版の中で一番多い5つの反応を示している。第①反応ではプロッ ト全体を大きな昆虫の顔に見ており,やや現実検討が低下した反応となってい る。第②反応では左右にとがった部分を除いて「つぼみの断面図」にしている。
この2つの反応では図版の濃淡から質感の強いものを感じているようである。
そうすると不安が高まって,第③,第④,第⑤反応で「土偶」「燭台」「円盤」
と固い物体を3つ重ねて,分離・知性化して防衛している。ここでは一生懸命 に輪郭の似ているものを探しており,第⑤反応の「アダムスキー型の円盤」は 自分の好みにあったものを見つけることができて,少し楽しんで語っている。
ややぎこちないところあるもののここでは分離・知性化の神経症的防衛が使え
ており,ある程度の現実検討が保たれている。
黒田:境界例者のロールシャッハ反応 41
【カードV】
この図版は刺激が少なくかかわりやすかったのかか,42秒で二つのPで反応 を終えている。しかし,蝶のバネの重なり具合であるとか,コウモリの関節を 生々しく感じているようであり,その見え方が混乱したまま定まらないようで ある。細かいところでいろいろ感じており,それをうまく全体を整理して統合 して説明することができず,それをどちらでもいいかのような説明をしており,
相手とかかわらないことで防衛しているようである。プロットとかかわらない ようにしているために,説明が省略されて検査者に伝わりにく,言いまわしが 独断的な印象を受ける。
【カードVI】
このカードではカードIVと同じように図版の濃淡に引き込まれて多弁になっ ている。第①反応では図版の上の部分を「花」とし,下の部分を「鉢」として いるが,目についた出っぱりの部分である鉢と受け皿の説明があまり合理的で ない。第②反応では「上半分をかじったもの(果物)を二つに切ったような…・
…かじった形は人間の歯でないような……リスとかウサギとか,例えば地 面にここから下が埋まっていて,上だけ出しておいたような…・・」と,輪郭 のぎざぎざからいろいろな感覚が生じており,目についたものの感覚を次から 次へと説明していいる。本人は図版をよく見て,整合的に説明しているつもり であるが,全体の統合であるとか,自分の認知の妥当性まで充分に検討できて いない。また,検査者に自分のことをよく分かってもらおうとか,よく見せよ うという意識もあまり感じられないのも特徴である。
【カード剛
ここでは図版の柔らかい濃淡から第①反応では「ウサギが2匹」でかなり細 かいところまでよく説明しているが,説明しているうちに不安になってきたの かだんだん「つくりもののうさぎ」になってしまい,実態のあまりないものと なっている。「ウサギのオルゴール」としてなんとかまとめているが,その説 明は「つくりもののウサギ」が動いているような姿勢として明細化しており,
物体化していても生の感覚が伴ってしまっている。第②反応では図版全体を
「つぼの断面図」と固いものに押し込めて防衛している。ここでもIVカードと 同様に分離・知性化の神経症的な防衛がもちいられている。
【カード剛
ここでははじめての多色彩図版に素直に反応して「きれいな感じ」という印
象を述べている。第①反応は「花の断面図」であり,反応決定因に色彩は取り 入れられてはいるものの平面的・解剖的に見ており,情動が揺り動かされたの を無理に強引に堅く押え込んだような防衛の仕方である。そうすると第②反応 では空白領域だけを無理に抜き出して「人の骨盤」を見ている。この反応は第
①反応よりも漠然としており,エネルギーがなく空虚な反応となっている。第
①反応で色彩に刺激されて感情が動いたことで不安になってしまい,急激に距 離をとって漠然とプロットを見たようである。すると距離を取ったことでやや 落ちけたようで第③反応ではPの動物を見ることができ,中央の部分を「入り 組んだ地形」として全体反応としてまとめ上げ,運動を反応決定因に取り入れ て明細化している。しかし同時に足の動きに生々しい感覚が入ってきてしまっ ている。
【カードIX】
ここでは49秒,図版を見ていたのであるが,図版全体を「人間か猿の頭部の 骸骨。目から火が出て,口から煙が……」とかなり衝動的で,一次過程思考 に脚色された説明となっている。質問段階になると認知の歪みは修正されず,
むしろ作話傾向は高まっており,現実検討は回復されないままである。
【カードX】
ここでも反応生成までに50秒を有しており,多くの色彩からいろいろな感覚 がわいているようであるが,それをうまくまとめることができずに,不合理な 組み合わせ方になっている。第①反応はしばしば見られる反応であり,「陣羽 織」と「カブト」で知覚はほぼ正しいのであるが,「肩が張り出している」な
どと生々しい感覚が伴っている。第②反応でも尖搭に色がちりばめられていて,
形があまりはっきりしないままに立体感が生々しく伴っている。様々な刺激に 対する感受性はあるのだが,感情表現が非常に未分化なままにとどまっている。
(4)まとめ
反応継起においてはIVカード, Wカードのように分離・知性化の高次の神経 症的防衛を使えている時と,皿カード,IXカードのように一次思考過程が前面
に出て原始的防衛が発動しているときの両面があり,この二つの自我状態の間 ■
ノ連続性がないことから馬場(1983)のいう併存型の境界性人格を有している ものと思われる。防衛として抑圧があまりできておらず,色彩や濃淡から刺激 されて出てきた感覚を形や理屈で説明して整理し,美化しているところがある。
感情の発達が未分化であり,感じているものを内在化して観念化したり,感情
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として表現することができない。内面ではいろいろと葛藤を感じているのにそ れを感じないように表面的に強引に遠ざけて防衛しているので,自分自身の方 向性が定まらないであるとか,無気力になって外界に出ていく気持ちがなくなっ てしまうものと推測される。
一次過程と二次過程の分裂(splitting)があり,一次過程と二次過程を組み 合わせて使うことができない。一つの反応中にも皿カードの第①反応で人の手 になにかついてしまっていたり,Vカードで蝶やコウモリが生々しい感覚を伴っ て見え方が安定しないなど,一つの反応表象の中に一次思考過程と二次思考過 程が両方出てきており,両者が統合されずに揺れ動いている。
SCTやHTPにおいては今現在の自分の状況に対して一見自覚がないよう な表現が多く,自己愛的な表現が多く見られる。ロールシャッハ・テストとの 組み合わせで考えると自分の内面ではなにかいろいろなことがうまくいってい ないとどこかで気がついているのであるが,それを自己愛的な背景をつくるこ とで殻をつくっているようである。自己愛的なファンタジーをテスト場面で自 己宣伝的に誇示してゆくことがないので人格のタイプとしては自己愛人格とい うよりは分裂的人格であり,自分の殻の中に引きこもることで防衛している。
(5)W一の顔反応の継起と事例の対人関係様式の関連
本事例に置いては全体を顔と見立てる反応は,1,m, IV, IXカードで生じ ており,このうち皿カードとIXカードがW一の顔反応といえる。 IVカードもW一 の顔反応に近い特性を有してはいるが,これは神経症者にもしばしば生じる反 応であり,プロットの特徴もある程度顔に似ている。そして,これらの顔反応 の継起の特徴は事例の対人関係様式によく合致している。本人の状態としては 自分の状態についての不安であるとか,葛藤・苦悩があまり感じられないが,
それは分裂人格的に引きこもっているためであり,ひとたび外界から揺り動か され欲動が動くと皿カードやIXカードのW一の顔に見られるような未分化な迫 害感・恐怖感が生じやすい。そうなりかかると本人は外界とかかわることをさ
らに一層強引な形でやめてしまうことで防衛している。本人の対人関係はなる べく人とかかわらないようにしており,ひとたびかかわりが深まりそうになる と(就職して少し慣れてきたりすると)欲動が動かされて,未分化で感覚的な 不安・恐怖感が生じてくることが予測される。そのような状況が生じた場合に 本事例は相手から引きこもって漠然として,かかわらないことで防衛している。
つまり,本事例の無気力な感じであるとか,自分の方向性の定まらなさという
のは,迫害像から引きこもる分裂的人格の防衛の所産であり,その背景には人 と相対した場合に生じる未分化で強烈な迫害的感覚が存在している。
本事例に心理療法を施行した場合にも同様なことが展開することが推測され,
治療関係が少しでも深まりかかり,欲動が刺激されると不安や迫害感そしてセ ラピストに対する不信感や怒りが本人にはよくわからない感覚的な形で生じて きて,治療を中断してしまうことが推測される。また,本人は自分の内面につ いて触れることが怖くて,それを無意識のうちにかかわらないようにしている ために,心理療法には乗りにくいことが予測される。そして治療過程では馬場
(1991b)の言うような,初期の治療関係において積極的にかかわり,依存さ せすぎず,転移解釈を制限してセラピスト・クライエント関係で起きてくる現 象を心理療法の中心テーマとしてあつかっていくアプローチがベストであると 考えられる。
本症例は残念ながら,筆者が心理療法への導入を提案したのであるが,本人 には迷いがある様子で,決めかねていた。そうしているうちに受診しても本人 に変化がすぐにみられないことに業を煮やした家族が本人の就職先を強引に決 めてきてしまい,受け身的ながらも本人もそれに従う形で心理療法は施行され ていない。治療者としては本人が再受診することを想定して,その場合には家 族の調節を含めて治療構造を再構成することを考えている。
V.まとめと今後の展望 ,
{研究は一事例の事例研究という形ではあるが,境界例者の示すW一の顔反 応の反応継起の特徴と事例の対人関係様式には顕著な関連があることが示され
た。筆者の臨床経験からしてもW一の顔反応にもさまざまな様相があり,その 反応の様相を注意深く検討してゆくことで事例の理解がより一層深まるものと 考えられる。むろん顔反応だけで事例の特徴すべてを語ることはできないし,
顔反応のみに固執すれば他の重要な解釈情報を見落とすことにもなろう。しか し,特に心理療法を適用した場合にセラピストへの転移がどのように起こって くるのか,セラピストとしてどのようなことを留意しなけμばならないかを推 測するのに,W一の顔反応への注目は役立つであろう。
今後の研究の方向性としては,ひとつは境界例者でもW一の顔反応を示すタ
F
黒田:境界例者のロールシャッハ反応 45
イブの被検者と示さないタイプの被検者がおり,その両者の特徴を比較検討す ることがあげられる。馬場ら(1983)が示しているように,W一の顔反応は併 存型の境界例者に特徴的な反応ではあるが,結合型の境界例者にこの反応はも
しばしば生じている。馬場ら(1983)はこのことについて,結合型の境界例者 の示す顔反応の方が併存型に比べて顔と見えやすい図版(W,皿カードなど)
で生じており,併存型はまったく顔に似ていない図版(IH,珊カードなど)で も顔反応を生じるとしている。これは筆者の経験ともある程度一致するが,必 ずしも明確に断定できない気もしている。もうひとつのの方向性としては,境 界例の人格のタイプによってW一の顔反応の現われ方が異なることが推測さ札 人格のタイプ(例えば妄想型か,自己愛型か,分裂的か)によって顔反応が どのように現れてくるのかを分析することで,それぞれの人格のタイプの精神 力動の特徴がより一層明らかになってくるものと考えられる。今後は症例数を 増やして,統計的にも検討してみたいと考えている。
串 1カードにおいてはWの顔反応はしばしば出現し,プロットも顔に似た特徴を有 しているので,ここでは1カードについては除外した。
紳 この事例は慶慮義塾大学大学院社会学研究科の卒業生で構成される慶磨ロールシャッ ハ研究会に筆者が事例報告したものである。日頃から貴重な助言をいただいている 研究会のスーパーバイザーである馬場禮子先生ならびに研究会諸兄姉に感謝を申し 上げたい。
【文 献】
(1)馬場禮子編著(1983)境界例 岩崎学術出版社
(2)馬場禮子(1991a)ロールシャッハ法・テストによる境界例の理解『性格心理学新 講座 第4巻 性格の理解』,金子書房,219−236.
(3)馬場禮子(1991b)積極的にかかわり,依存させすぎない工夫 こころの科学 36 特別企画=境界例,日本評論社,96−97.
(4)馬場禮子(1995)ロールシャッハ法と精神分析 岩崎学術出版社
(5)C・・per・S・H・・Perry, J・,&A・n・w, D.(1988)A・Emp。i,al。pP。。a,h t・the st・dy・f d・f・nse rn・・hani・m・R・li・bility and prelimina,y
・alidity・f th・R・rsch・・h d・f・nse sca1・. J・u・nal・f Pers・nality
Assessment,52,187−203.
(6)祇園裕子・佐藤千穂子・細野正美ほか(1977)境界例人格構造の一側面 ロールシャッハ研究,19,12.32.
(7)片口安史(1987)改訂 新・心理診断法 金子書房
(8)Kernberg,0.(1967)Borderline Personality Organization. Journal of American Psychoanalitic Association,15,641.685.
(9)Kernberg,0.(1971)Prognostic considerations regarding Borderline Personality Organization. Journal of American Psychoanalitic Association,15,595−615.
(1① 黒田浩司(1995)ロールシャッハ・テストにあらわれる対人関係について 日本心理臨床学会第14回大会発表論文集,344−345.
⑪ Kwawer, J. S,, Lerner, H.D., Lerner, P.M. et al. eds.,(1980)Boderline phenomena and the Rorchach Test. International University Press,
Conneticut.
⑫Lerner, P.M. and Lerner, H.D.(1980)Rorschach assessment of primitive defenses in boderline personality structure.
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(1の 小此木啓吾・馬場禮子(1989)新版 精神力動論 金子書房
黒田:境界例者のロールシャッハ反応 47
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事例のロールシャッハプロトコル
〔〕の記号は片口(1987)のLocation Numberを示している。
晦 direc, RT 自由反応段階 質 問 段 階 スコアリング
1
〈
21イヌとかキッネとかそ ①(イヌとかキッネというの ①
ういった感じ。 は?)全体の輪郭がそんな感 〈 W FM Ad ±
49
あと、鳥がバネをひろ じ。(もう少し詳しく説明で S (イヌ)
げてどこかに降りてい きますか?)ここが目で〔上 add+③
る途中のような… 部のS〕,耳で〔D3〕,口〔 〈 W F Ad ±
1 20 はい【カードをテスター 下部のS〕で,イヌだとここ S (キツネ)
にわたす】 で〔D4〕舌を出しているキ add+④
ッネだとここが〔D4〕ハナ 〈 D F Ad ± になる。イヌだとここが〔D
(イヌ)2の真ん中〕ハナの感じ。(イ ヌとキッネは別?)別ですね。
(他にイヌらしい,キツネら しいのは?)ここの部分〔D 3〕もこう耳に見えて〔d1〕,
口なんかこうだと〔d4〕,
口というよりはくちばしに見 えますけれども,なんかイヌ の顔のような,・… (他 にイヌ,キツネらしいのは?)
別に,それくらいですね。
②(鳥がバネをひろげてどこ 〈 W FM A ±
かに降りる途中?)こういう FK
感じで〔D1と両側のD3をあ わせたdr〕,この輪郭が鳥ら しい。バネをひろげている感 じ。ここは〔鳥以外の部分〕,
鳥のシルエットをとおして,
むこうに見えているところ。
(はい?)鳥のシルエットを とおして,むこうに見えてい るところ。(えっ?,鳥のシ ルエットのむこうに見える?)
そうです。(他には?)その くらいです。(降りていると いうのは?)何となく,首が 下をむいているような感じ
〔d5〕。(他には?)他には ありません。
H 〈
37何かなあ ①(ラン科の花?)何かここ 〈WcF P1−f 干
42
何かラン科の花のよう 〔D1〕が花びらをひろげた な・…・ 感じ。なにか正面から見たよ 1 45 他にはちょっと うな・・…(他には?)あり ません。【LCを囲ってもら う。D3をカット】この赤い 部分がなければ,何か他の部 分に見えるかもしれないです けれども・・…
m 〈
14何か,人が2人で何か ①(人が2人で作業している 〈 W M H ±
作業をしているような・・ ような?)このシルエット Obj p
● ● o
〔D2〕が一人で,何か…・・
う一ん 何か,ウスとかキネとか,何
50
カエルの顔みたいな感 か肉厚のサラとか,ハチみた
じにも見えます いな〔D5〕,・…・(人らし
1 08 はい さ?)あんまり人間らしくも
ないんですけれども・… ぱっ
黒田:境界例者のロールシャッハ反応 49
と見た感じなんですけれども,
頭で,手で,足で,・・…
(ハチ,サラ?)う一ん,で なければ,こういう形のもの
〔D7〕が手についていて,
それを持ち上げようとしてい るとか,…・・この中になに かあって,・…・この場合,
赤いのは〔D1とD3〕,まるっ きり背景みたいな感じになり ますけど。(他には?)あり ません。
②(カエルの顔?)この,赤 〈 W F Ad 一
いの〔D1〕が輪郭に見えて,
で,目〔d1〕,鼻〔D3〕,
口〔D4とD5の間のS〕,(目 というのは?)もう少し丸い と,よりそれらしい。少しつ りあがっている感じ。口はこ れですが。(カエルらしいの は?)カエルが口をあけたら,
こういう感じかなあと思って,
ノドチンコ〔D5〕まで見え るような気がしました。(他 には?)他はちょっと見当た
りません。
IV
〈 10 昆虫の頭のような気が ①(昆虫の頭?)全体の感じ 〈W F Ad 平
します。 が,昆虫の頭を正面から見た S
24
あと,このへんがツボ ような感じ。(もう少しくわ ミに見えます。 しく?)目〔d2の中のS〕,
口で〔D1〕,ちょっと触角 がないですけれども・…・
(他には?)それだけです。
41
ぶかっこうなドブ(は ②(ツボミ?)ここがツボミ 〈 dr Fc P1−f 手
い?)ドグウに見えま で〔D2を除いたdr〕・…・こ Art す(はい?)土偶です の,色の濃くなっているあた
(ああ,はい) りが,こう,なんて言うんで 1 07 ショクダイとか,あの, すカ㍉ ガクのような感じ お香をたいたりする, 〔D1〕。(ツボミらしいのは?)
何て言うんですか…… 上の,こういう部分が花びら あとは,アダムスキー がひらきかかっているように 型のUFOに見えない も見えるんです。あと,この ことはないです。 あたりが断面図のような感じ もうけましたし,ツボミの断 面図。(ほかにツボミらしい のは?)ッボミはこのあたり で〔d1のすぐ下の部分〕,
オシベとメシベがあるような 感じです。(他には?)うん,
なところです。
1 55 【カードをテスターに ③(土偶?)これが頭で〔d 〈 dr FK (H)干 わたす】 1〕,これが手で〔d2〕,こ Art
れが足。 【Locationを指で 囲ってもらう】 (どんなとこ うが土偶らしい?)ぱっと,
見た感じですけれども,何と なく,それを連想したところ が,・一・・(ぶかっこうと 言うのは?)写真で見た形と,
もともとひしゃげていて,横 に広いですから,少しそれが 極端な感じがしました。(他 には?)何か,角度によって は,こう見た感じ,上から見 ている感じもするんですが,
・…… i他には?)そうし たところがそれらしい感
じ。
黒田:境界例者のロールシャッハ反応 51
④(ショクダイ,お香をたく 〈 W FK Obj午 ところ?)ここが〔d1〕,
ショクダイとするとロウソク をたてるところで,コウロだ とすると,ブタのような感じ。
で,ここが〔d2〕取っ手と いうか,持つところです。で,
ここがその胴体で,これは足 で〔D3〕,こう真ん中の足 が〔D1〕,こちら側にこう 出ている感じます。(ショク ダイ,コウロらしいのは?)
まっすぐだと,ここは両足と 同じ長さになるはずですが,
この分だけ長くなっているの で,その分,手前に出ている 感じがします。(ショクダイ,
コウロ?)どっちにもみえま す。どちらかと言うとコウロ のイメージが強い。(他にコ ウロらしいのは?)だいたい,
そんなところです。
⑤(アダムスキー型の円盤?) 〈 W F Arch 平 これが上の〔左右のd2とそ
の間をつないだ部分〕,こう 丸い部分で,ここがこうなっ
ぞていて,ここの部分〔D1と D3の間のS〕は省略という か,こうつながっていると考 えて,…・・【アダムスキー 型の説明をしてもらう。】
(アダムスキー型の円盤らし いのは?)この上の部分と,
両脇の部分と,このライン。
(?)こう,丸い感じです。
(他には?)特にありません。
V 〈
5蝶か蛾のような…・ ①(蝶か蛾?)頭があって 〈 W FK A ±
25
あと,コウモリの感じ 〔d1〕,触角があって,全 P
もします。 体的にバネのような感じがし
42
【カードをテスターに ました。…・・(他には?)
わたす】 ここが〔d2〕,下のバネのでっ ばり,そうすると,こう,ハ ネをたたんだ感じが,少し重 なっちゃいますが,(他には?)
いや,ちょっと他にはないです。
②(コウモリ?)やはり,同 〈 W F A ±
じですが,これが〔d1の先 P
端〕もう少し太いと,耳じゃ ないかなあと思って,まあ,
これでも耳に見えますけれど,
で,これが腕の関節〔d4〕。
これがそのような感じ。バネ をねかせたときの間隔が,こ んなふうじゃないかなあと思っ て,で,足です〔d3〕。(他 には?)それくらいです。
w 〈 7 これは…・・ ①(鉢植えにうわった花?) 〈W F P1−f午
14
鉢植えにうわっている これが花で〔D5〕,ここが
花。
茎〔D2〕,それでここが,
41
あと,上のほうをかじっ 土のもりあがったところ。そ た果物 れでこう,はち〔左右のD3
1 10 【カードをテスターに あわせた部分〕。ここは何か わたす】 受け皿があって〔d1〕,でっ ばっているような感じがした。
(花らしさ?)何となくここ
の部分で,何か花がひらいた
ような。(茎?)このへんく
黒田:境界例者のロールシャッハ反応 53
らいまで,あとは花びらとオ シベとメシベ。(もりあがり?)
少し,極端ですけど,(他に は?)一見して,やっぱりそ ういう印象を受けました・…・
(他には?)なんか,このま ん中の線が,断面にしたとき の,一つの線にも見えますが,
(他には?)ありません。
②(上のほうをかじった果物?) 〈Wc FC Food平
上半分をかじったものを2つ に切ったような,こういう形 をしていて,これは少し省略 して〔d1〕,これが芯です。
この,かじった形は〔D5の 輪郭の部分〕,人間の歯形で はないような,(?)何か,
ものを細かく歯でガヂガヂき ざんだような,リスとかウサ ギとか,例えば地面にここか ら下が埋まっていて,上だけ 出しておいたような,(他に は?)リンゴとかナシにして は,少しかどばっているんで すが,ピーマンの断面にして は,果肉みたいなもんがある 感じ。ちょっとあてはまるも のがない。(芯?)何となく 芯。芯の断面図。この白いの がたねのような・・…(他に は?)ありません。
珊
〈
45ウサギが2匹,何か台 ①(ウサギが2匹,台の上に 〈W F (A)±
のうえにのっているよ のっている?)これが〔D2〕 Obj(P)
うな,
ウサギで,これが〔D3〕台
1 06 ッボの断面図のような, です。(ウサギを,もう少し 1 20 【カードをテスターに 詳しく?)これが耳で〔d
わたす】 2〕,鼻づら,で,ここが前 足で〔D1の下の部分〕,しっ ぽで〔D4の出っぱり〕,う しろ足。(他には?)ここに ヒゲが見えます。(他には?)
うさぎといってもつくりもの のウサギ。(つくりもののと いうのは?)何か,オルゴー ル,丸い円筒型の台の上に
〔D3〕,不自然に,前足を あげた感じで,のっている感 じ。(他には?)それだけで
す。
②(ツボの断面?)ッボとい 〈 W F Obj午 うか,縄文式土器の感じ。 Art
(縄文式土器?)見てのとう り,トックリの断面図のよう な,・…・(トックリの断面 図?)この,輪郭どうりにツ ボをくつると,そのとうりに なるなあと思って,そのまま,
ナワ跡をつければ,少し内側 の輪郭に難はあるけれども,
(内側の輪郭に難があるとい うのは?)入れ物にしては,
ちょっと不自然な形ですから,
これは少しかくばっているか ら,もう少し丸ければ,弥生 式土器のような・…(他には?)
それくらいです。
皿 〈
10なんか,今までのとく ①(花の断面?)これが,オ 〈 W FC P1,f 干
らべると,きれいな感 シベ,メシベの部分で〔中心 Art
黒田:境界例者のロールシャッハ反応 55
じですけれども。 線の部分〕,ここがガクの部
30
なんか,花の断面図の 分で〔D5〕,ここが花びら ような感じはしますけ 〔D1, D7, D2の上半分〕。
れども。 こう,花びらがいくつかにわ 1 04 あと,白くぬいた部分 かれている。なんか,どうし が,人の骨盤らしい感 ても断面にみえちゃう。中央 じがします。 の線を中心に,対称にみちゃ う。(花の断面らしいのは?)
このへんは,花の色。このあ たり〔D3とD7〕は違うけれ
1 40 あと・・… ども。(他には?)ありません。
1 58 なんか,こう複雑な地 ②(人の骨盤?)ここの白い 〈 S F Atb r:
形のところをのぼって 部分です〔D7のまわりのS〕。
いる,動物のようなも (骨盤らしいのは?)やっぱ のが,のぼっている途 り,一見した感じ。全体から 中のような,… 受ける感じで,何となくしか いえないですけれども,あい ている部分も角ばっています し,(角ばっている?)この あたりです。(他に骨盤らし いのは?)そんなところです。
2 35 【カードをテスターに ③(複雑なところをのぼって 〈 W FM A ±
わたす】 いる動物?)こういう,少し Na P
いりくんだ地形になっていて
〔D3, D2, D7〕,ここ〔D1〕
動物。これが頭,ここが胴体 で,これが前アシ,後ろアシ,
しっぽ。(他には?)動物が鳴 いているのか,のぼろうとし ているのか,ぎっちり地形に すいついているというか,で,
後ろ足一本あげて,どこか,
足掛かりにしようという感じ。
(他には?)そんなところです。
1X
〈
49これは,人間か猿の, ①(人間か猿の,頭部の骸骨・・ 〈 W FC Atb 一 頭部の骸骨。目から炎 …?)ここが目で〔D3の下 S CF Fire が出て,口から煙が・… 部〕,こう頭蓋骨がある〔中 mF Cg
● ・ o o ・ ・
央のS〕。ここが鼻で〔D4〕,
1 34 【カードをテスターに このあたりが口,目からこう わたす】 炎がでていて〔D3の上部〕,
口からこう緑の煙が〔D1〕
でている。で,ここが首で,
肩と胸〔D2〕。なんか,首 から下は骨には見えない。何 となく,おぼろげな肩と胸。
(炎らしさ?)やっぱり,色 がそんな感じ。目から炎が出 て,口から煙が出ている。
(頭蓋骨?)のっぺりしてい て,白い。(他には?)人間 ではないような感じ,人間の 感じはしないが,・・…(他 には?)なんか,この色〔D 2〕が服を着ているようにも 見える。(他には?)それく
らいです。
X 〈
50陣羽織とカブトをつけ ①(陣羽織とカブトをつけた 〈 dr F H :F たヨロイ武者のような ヨロイ武者?)これがカブト Cg
1 43 塔の尖端のような気が で〔D4〕,これが陣羽織
します。 〔左右のD4をD7でつないだ 2 14 あとは,ちょっと… 部分〕。これがカブトのひも で〔D5〕,これがヨロイの コテの部分〔D7〕。で,こ れが,たれで,ここは足の内 側〔D3〕。こう足がある。
(カブトらしさ?)カブトの 両脇の部分と,たれているの と,こう,はりだしているよ
■