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古川万寿夫 柄澤孝一 蔵之内真一

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(1)

電気工学科「大実験1」のための実験教材について―鉄道模型のマイコン制御システム―

古川万寿夫 柄澤孝一 蔵之内真一

( 平成

7

10

31日 受理)

The System of  Railroad Model Controlled by Z80 Micro‑computer  f

o r   t h e   P r a c t i c a l   E x e r c i s e   i n   t h e   D e p a r t m e n t   o f   E l e c t r i c a l   E n g i n c e r i n g

By Masuo Furukawa Koichi Karasawa and Shin‑ichi Kuranouchi

Thispaperreportsontheteachingmatedalwhichiscalledl‑thesystem ofrailroadmodel controlledbyZ80mic

r

o<omputer",forpracticalexerciseof4thgradeinthedepartmentof electriCal englneering.ThestudentsassembleelectriCal circuitsandprogram thesoftwarefor controlthemilroadmodelsystem.

Thestudentsarcableto

l e a

n independency,thesenseofengineeringandtheabilibrfor systematizationbythepracticalexercise.

1. は じ め に

電気工学科では,古いテーマの刷新および学生の実験に対す る意欲や姿勢の向上をね らって,

平成

5年度に電気工学実験のカ リキュラムの全面的な見直 しをし,実験テーマや実験実施方法 を改善 した l).

その改善の骨子は次の通 りである.まず1学年では講義 と実験を交互に行い基礎力を高める よう改善するとともに電気電子工学に興味を抱かせ るよう電気電子工作を導入 した.2学年お よび3学年では計測機器の取扱や実験手法を身に付けるようテーマを改善 した.4学年及び5 学年では,総合的実験研究能力を身に付けるよう改善 した.特に4学年後期の実験を1週間単 位のグループ実験か ら 「大実験1,r大実験2」と称す るそれぞれ1テーマ約6週間にわた る個人実験を導入 した.大実験1では鉄道模型のマイコン制御システムのハー ドとソフ トの試 作を個人ごとに行った.大実験2では研究的要素の強い実験テーマを与え全教官が指導にあた った.

本報告では4享年後期の大実験1の実験テーマである「鉄道模型のマイ コン制御システムの 試作」のために開発 した教材について述べる.

* 電気工学科 講師

** 電気工学科 助手

(2)

86

古川万寿夫 ・柄浮草一 ・蔵之内真一

2.

大実

鼓1

の概要

改善前の実験は,実験原理,方法,結果のま とめ方まで詳細に書かれたテキス トに沿って実 験 を行ってきた.しか し,実験に対 して学生は本来受動的であってほな らないが,時間的なあ るいは知識的な制約 によって どうしても受動的にならざるをえない面がある.一方,5学年の 卒業研究や就職後の実務ではは能動的な行動が必要 となって くる.そこで,受動的な態度か ら 能動的な態度,すなわち実験や研究は自らの頭で考え自らの手を動か して進 めるものであると い う意識改革が必要であるとも言 える.その過程において自主性や物づ くりのセンスを身 に付 けることも必要である.大実験は,この意識改革 にも有効であると期待 して導入をした.

このね らいのもと、大実験1ではマイ クロコンピュー タによる鉄道模型の制御 システムの‑

‑ ドウェアとソフ トウェアの試作をす る.この実験は個人ごとに行なわれ,学生約8人に1 の教官が指導にあた る. 実施期間は各年度の授業数によって多少異なるが6週ない し8週間 である.この大実験1は内容的に次の3つに分け られ る.

1)アセ ンブラ演習お よび/0ポー トの入出力実験回路の製作 と実験 2)鉄道模型 の制御回路の製作

3)鉄道模型 の制御 ソフ トウェアの試作

上記ゐ 1)において,学生はZ80アセ ンブラプログラミングの演習を行った後,入出力実験 回路を各学生が1セ ッ トずつ製作 し,この回路を使 って入出力制御プログラミングの基礎演習 をす る.2)において,鉄道模型制御回路を半田付けで各学生が1セ ッ トずつ製作する.3)にお いて,マイコンと鉄道模型制御回路 と鉄道模型を接続 し,模型電車の速度,位置お よびポイン ト切替の制御を行 うアセ ンブラプ ログラムを試作 し,実際に鉄道模型の制御 を試みる.同一基 板上に学生が作った入出力実験回路および鉄道模型の制御回路を写真1に示す.

鉄道模型のマイコン制御系を教材 として選んだ理由は,学生にとって興味がわく魅力あるテ ーマであること,興味がわけば 自主的に実験を行 うと予想 され ること,作ることと考えること は一体であることを体得できること,マイ コンのハー ドとソフ トそ して制御対象を組み合わせ たシステムを構築す ることでシステム的発想が養 えることな どである.

3.

実験教材の概要

3‑1 教材の構成

実験教材のシステムブ ロックを図1に示す.また全教材を写真3(C)に示す。本実験で与え る教材は∴ テキス ト,Nゲー ジ鉄道模型電車, レール とポイン トそ して位置検出用の リー ド スイ ッチをつけた鉄道模型用線路,市販のZ80CPUワンボー ドマイ コンである.また,各学生 が製作す る入出力実験回路お よび鉄道模型制御回路の電子部晶は学生の費用負担で購入す る.

3‑2 マイコンの仕様

実験で用いるマイ コンはZ80CPUを搭載 した学習用 ワンボー ドマイコンの (樵)デンジニア製 DENCOM80ZMk2である.写真2に写真を、また、表1にこのワンボー ドマイ コンの仕様を示す.

このマイ コンは機械語モニタプログラムROMを搭載 していて,16進キーボー ドか ら機械語プ ログラムの入力および実行ができる.また,このマイコンにはPPI8255を使 った8bitI/0ポー

トが3ポー トあ り, この/0ポー トに学生が製作す る回路を接続す る.

(3)

CPU Z80

(相 当品) クロック

2.5 MHz

RO W 8k

バイ ト

R AM 2k

バイ ト

Ⅰ ′0 825 5 ( Ⅰ ′

0ア ドレス :

PA=04 H PB=05 H PC=06H CWR=07 H)

キーボー ド データキー

( 0‑ド)1 6

キーコン トロールキー

8

キー

4.

実験内容 と教材

本実験のために

26

ページにわたるテキス トを作成 した.内容によって次の

3

編にわけて発 行 している.

1編 :アセンブラ演習およびⅠ/0ポー トの入出力実験回路の製作 と実験 2編 :鉄道模型の制御回路の製作

3編 :鉄道模型の制御 ソフ トウェアの試作

次の

4‑1 ‑4‑3

に,テキス トの編成に添って実験の内容および教材について説明す る.

4‑1

1

編 :アセ ンブラ演習および

I /

0ポ‑ トの入出力実験回路の製作 と実験

4‑1‑1

実験内容

1編は,本実験の基礎 となるアセンブラの演習と/0ポー トの入出力に関す る実験である.

ロー ド,加減算,論理演算,ジャンプおよびサブルーチンコールを使ったアセンブラプログラ ムを作 り,実際にマイコンで実行をし,基礎を習得す る.そ してテキス トに示 されている回路 図にしたがって,LED出力 とスイ ッチ入力の実験を行える入出力実験回路の製作をしたあと, この回路を用いて/0入出力命令のアセンブラプログラミングおよび実行を行い習得す る.そ の次に発展的な演習 としてスイ ッチか ら入力した値を,マイコンで処理 してLEDに出力す る各

(4)

88

古川万寿夫 ・柄浮草一 ・蔵之内真一

種アセンブラプ ログラミング演習を行 う.

テキス トにおいてアセンブラの演習は,例題 と演習を組み合わせた構成 になっていて,例題 を理解 してか ら演習を各 自でプログラ ミング,ハ ン ドアセンブル,実行をす るスタイルになっ ている.このため,初心者 でも抵抗な くアセンブラ演習をこなす ことができる.

41 1‑2 入出力実検回路

回路は図

1

の枠

( A)

の内部である.この回路をユニバーサル基板 に半田付けで組み立てる.

出力実験用 として8個のLEDをマイ コンのAポー トに接続する.LEDは,マイ コンのAポー トに「H信号が出力 され ると点灯する.また,入力実験用 として8個のスイ ッチをマイコンの Cポー トに接続す る.各信号線が10kQの抵抗で+5Vにプルア ップ してあるので,SWONでrL」

信号,SWoFFでrH」信号がポー トに入力できる.

4‑ 2 2編 :鉄道模型の制御回路の製作 4‑21 1 実検内容

2編 は,鉄道模型の制御回路の製作に関する実験である.テキス トに示 された鉄道模型の 制御回路を製作 し,動作チェックをお こな う.動作チェックでは,まず配線 ミスを目視検査で チェ ックし,ICを抜いた状態で回路の電振 ライ ンの トラブルをテスターでチェ ックす る.そ の後,回路にICを装着 してマイ コンに接続 し,モーター制御回路の動作,ポイン ト制御回路 の動作,位置検出回路の動作をテキス トにあるヒン トを参考にチェック用プログラムを作成お よび実行 して調べる.もし,動作 しない場合は,各 自で原因を追求修正 して完全に動作させる.

テキス トには制御回路の動作説明,回路図および動作チェックの ヒン トを与えている.

4‑2‑ 2 鉄道模型制御回路

回路は図

2

の枠

( A)

の外部である.この回路は,モー ター制御回路,ポイン ト制御回路,位 置検出回路か ら構成 され る.

マイコンの/0ポー トは本回路.のコネクタCN2に接続 され る・鉄道模型には・本回路のコネ クタCN3から電車のモーター供給電圧 と2つのポイン トの切替信号が出力 され る.また,鉄道 模型の リー ドスイ ッチか ら本回路のコネクタCN4にそのON/OFF情報が入力 され る.

(1)モーター制御回路

本実験で用いる電車のモー ターは,印可電圧範囲が十10‑‑10V,最大電流が500mAで使用で きる. したがって,モーター制御回路は電圧 を+10‑‑10Vの範囲で可変でき,かつ最大500 程度の電流容量を持つ ことが必要 となる.このモーター制御回路は,マイ コンの/0のポー ト Aか ら出力 され る8bitデジタル値 を+10V〜‑10Vのアナ ログ電圧に変換 して レールに給電 して

いる.また電流は最大1A出力できる.モー ター制御回路はD/A変換回路 と電流増幅回路か ら 構成 され る.回路図において,D/A変換回路はa‑a'よ り左側,電流増幅回路は右側である.

D/A変換回路にはD/Aコンバー タICのMC1408とOpAMPLF356を用いている.MC1408 Al(MSB)〜A8(LSB)端子のデジタル値をアナ ログ電流 (2mA〜‑2mA)に変換 し IouT端子か ら出力 す る電流出力型のD/A変換器である.そのため電流を電圧に変換す る必要があ り,次段のLF356 で電流一電圧変換を している.LF356の出力は,ポー トAか ら出力 されたデジタル値0‑255 対 して‑5V〜+5Vを出力す る.LF356の出力端子か ら取 り出せ る電流は数10mAで,この電圧お よび電流では使用す る電車を動かすことができない.そこで,次段の電流増幅回路が必要 とな る.

電流増幅回路はOpAMPのTA75458と トランジス タ2SD880と2SB834で構成 している.TA75458

(5)

は LF356からの電圧を‑2倍 し,かつモーター供給電圧が‑2倍の電圧に等 しくなるように制御 している.したがって,b点の電圧は入力デジタル値 0‑255に対 し+10V〜‑10Vに変化す る.b 点の電圧が正のときは 2SD880が作動,2SB834が OFFとな りモーター‑正電圧 を与え正転 させ る.一方,b点の電圧が負のときは 2SD880が OFF,2SB834が作動 しモーター‑負電圧を与え 逆転 させ る.

リレTRLYlはマイ コンが動作 していない場合,電車モーター‑電圧が加わ らないようにす るものである.電車を制御するときには,PB7を1として,この リレーを ONにして使 う必要 がある.

(2)ポイン ト制御回路

ポイン トはパルス電流によって切替えの制御がされ,正または負の1個のパルスでポイン ト を左または右にそれぞれ動かす ことができる.このポイン ト制御回路は正または負のパルスを 発生 し,制御するポイン トを選択 して信号を与えることができる.

RLY2,RLY3および RLY4の 3個の リレーが,それぞれポー トBの PBO,PBlおよび PB2に接 続 されていて,マイコンか らH信号を PBO,PBlおよび PB2に出力するとRLY2,RLY3および RLY4リレーがそれぞれ ONになる.

RLY2はパルスを発生す る役割を持つ.RLY2が OFFのときに容量 1000JJFのコンデンサに充 電された電荷が,この リレーを ONにした瞬間に放電されパルス電流を作 り出す.RLY3はポイ ン トに与えるパルスの極性を決定 し(すなわちポイン ト切替方向を決定す る),RLY3が ONの場 合は負パルスを,また OFFの場合は正パルスを出力できる.RLY4では作動 させるポイン トの 選択制御をする.RLY4が OFFの場合はポイン ト1を,ONの場合はポイン ト2を選択できる.

ポイン トを切替えるための リー レ‑操作手順をまとめると次の 1)〜4)となる.

1)RLY4で作動 させ るポイン トを決定する 2)RLY3で切替方向を決め句

3)RLY2を ONにす る 4)RLY2を OFFにす る (3)位置検出回路

電車が リー ドスイ ッチの横を通過すると,通過 した瞬間に リー ドスイ ッチが ONになる.こ れによって,通過 した リー ドスイ ッチの信号線は,電圧が一瞬rL」となる.マイコンはポー ト Cの PCO〜PC6に接続 された 7本の リー ドスイッチ信号線を監視す ることで,電車が該当する

リー ドスイ ッチを通過 したことを知ることができる.

4‑3 3編 :鉄道模型の制御 ソフ トウェアの試作

4‑3‑1 実験内容

3編はマイコンと完成 した制御回路お よび鉄道模型を接続 して,鉄道模型 を制御するアセ ンブラプログラムをつ くる実験である.テキス トは第1編 と同様に例題 と演習を組み合わせた 構成になっていて,例題を理解 してか ら演習を各 自でプログラミング,ハン ドアセンブルおよ び実行をするスタイルになっている.

4‑3‑2 鉄道模型 (1)電車

電車は

N

ゲージ規格で,直流モーターで駆動 されている.モーター‑の給電は線路か ら左右 の車輪を通 じて受 ける.このモーターの入力電圧範囲は‑10Vん十10Vである.電車の速度は与

(6)

90 古川万寿夫 ・柄浮草一 ・蔵之内裏‑

mm

t 汚コネクタCNl (4F)in)

図 2

入 出力実験回路お よび鉄道模型制御回路

(7)

‑ 」 写真 1 学生が製作 した回路 写真

2

ワンボー ドマイ コン

( a) 模型電車

(b)

リー ドスイ ッチ

( C) 教材 の全景

写真

3

鉄道模型 のセ ッ ト

(8)

92 古川万寿夫 ・柄浮草一 ・蔵之内真一

える電圧 に比例す る.また,進行方向は左側 と右側 の車輪に与える電圧 の極性 によって決定す る.

電車の側面には小型の磁石を取 り付 けた.この磁石が,線路脇 に設けた リー ドスイ ッチの横 を通過す るとリー ドスイ ッチが

ON

になる.これ により,電車の位置をマイ コンで検出す るこ とができる.写真3(a)に電車 を示す.

(2)線路

写真3(C)に教材 の全景か らわかるよ うに、線路は縦 180cm90cmのベニヤ板 の上にN ージ規格の線路 を木工用ボン ドで固定 した.写真か らわかるよ うに,ポイン トは2箇所 に設 け た.また, リー ドスイ ッチを線 路脇 に7箇所設けた.この リー ドスイ ッチは,磁石 とリー ドス イ ッチの距離を約

5

… に接近 させない と

ON

にな らない.そのため, リー ドスイ ッチの横 を電 車が走っている ところを真上か らみた時に,電車の側面 に取 り付 けた磁石の表面 とこの リー ド スイ ッチ との間隔が

5 m

mになるよ うに,リー ドスイ ッチ を取 り付 けてある.写真

3(b)

に リー

ドスイ ッチを示す。

ポイン トは,ソレノイ ドとその中にある永久磁石でで きた可動 コアによ り切替 えが行われれ る.この ソレノイ ドにパルス電流を流す と,可動 コアが動いてポイン トが切 り替わるしくみで ある.ポイ.ン トの切替 え方向はパルス電流の極性 によって決定す る・

1

5. ま と め

本報告では電気工学科で平成5年度か ら導入 した大実験1のテーマ 「鉄道模型のマイ コン制 御 システムの試作」の教材 について述べた.

この実験 に対す る学生の様子 は様々である.電子部品やマイコンを 目の前に して戸惑 う者 , 目を輝かせて作業を積極的に進 める者,進 んでいる学生の作業を手本に して作業を進める者, な ど様 々な学生がい る.全体的 に学生は,実験開始時,不安でいっぱいであるよ うだが,実験 が進むにつれ興味がわき始 め、徐 々に熱中 して行 くようである.

大実験1のために開発 した教材 は,学生 を受動的な態度か ら能動的な態度 に移行 させ,実験 や研 究は 自らの頭で考 え自らの手を動か して進 めるものであるとい う意識 を身 に付け させ,ま た,その過程において 自主性や物づ くりのセンスを学生 に身 に付 けるこ とが十分できると考 え

る.

参 考 文 献

1) 古川万寿夫,柄揮孝一,蔵之内真一,也 :長野高専電気工学科にお ける工学実験実習の改善, 論文集 「高専教育」第18, 1995.3

図 2 入 出力実験回路お よび鉄道模型制御回路

参照

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