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雑誌名 鹿児島純心女子大学大学院人間科学研究科紀要

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(1)

青年期における社交不安障害傾向に関する臨床心理 学的研究 : 両親の養育態度・きょうだいとの関係 に焦点を当てて : [修士論文要旨]

著者 小田 朋恵

雑誌名 鹿児島純心女子大学大学院人間科学研究科紀要

号 9

ページ 30‑31

発行年 2014‑03‑31

URL http://id.nii.ac.jp/1116/00000340/

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止

http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

(2)

〔 修士論文要旨〕

問題・ 目的

社交不安 障害 (社 会恐怖 )と は DSM IV― TR

(2002)に よる と ,1つ また はそれ 以上 の社 交場 面 に顕著で持続 的な恐怖 を抱 き ,  しば しば恐怖 を 抱 く状況 を回避す るこ とと定義 され てい る。 そ し て ,社 交不安障害 は ,思 春期 か ら青年期 に発症 し やすい とされ てい る。

親 子 関係 につ い て ,依 (1990)は 子 どもは 親子 とい う「タテ Jの 関係 か ら始 ま り ,き ょ うだ

い 関係 とい う 「ナナ メ Jの 関係 を経 て ,友 人 と

「ヨコ Jの 関係 を作 る としてい る。

両親 の養 育態度 と対人 関係 を結 びつ けた研 究 は 多 く ,朝 (2004)に よ り社 会恐怖 患者 の両親 の養育態度 は ,健 常者群 に比べ る と ,情 緒的な温

か さが乏 しく ,感 情的な拒絶 が強い とい うよ うな 養護 の低 さが明 らかに され てい る。

き ょ うだい との関係 と対人 関係 を結びつ けた研 究 も多 くみ られ ,き ょ うだい との関係 が信頼 し受 容す る関係 であれ ば ,対 人 関係 を円滑に進 めるた めのスキル である社会的スキル をよ り多 く獲得す る こ とがで きる (岡 崎 。杉 井 ,2004)力 ,反 対 にき ょ うだい との関係 が分離 ,対 立の関係 であれ

ば ,友 人 関係 にお ける不信感 が高 くなること (森

下 。吉川 ,2011)や ,き ょ うだい 関係 が希 薄 で ある と一般的な人間関係 も希薄 になるとい うこと が示唆 され てい る (早 川 。依 田,1983)。 また

,

き ょ うだい との関係 は ,友 人関係 とい う限 られた

「ヨコ Jの 関係 のみ な らず ,一 般 的 な人 間 関係 も 含 めた対人関係 に影響 を与 えてい ることが考 え ら れ る。 また ,同 性 同士のき ょ うだい関係 は ,分 離

してお らず ,何 らか の交流 が行 われ て い る こ と

(岡 崎 。杉井 ,2004)や ,女 性 は同性 の き ょ うだ い に対 して対立的な関係 を持 ちなが らも親密 な関 係 (養 護 的・親和的 。信頼的関係 )を 築いてい る

(森 下・ 山 口 ,1992)と され てい る。

このように ,対 人関係 と両親 の養育態度及びきょ うだい との関係 に関連 があるこ とは明 らかに され てい るが ,対 人 関係 をあわせ もつ社交不安障害 と の関連 を示 した研究は多 くない。本研究では ,両

青 年 期 にお け る社 交 不 安 障 害 傾 向 に関す る臨 床 心 理 学 的研 究

― 両親の養育態度 。きょうだいとの関係に焦点を当てて 一

小 田 朋 恵

親 の養 育態度 にき ょ うだい関係 が加 わつた時 ,社

交不安障害傾 向に どの よ うな影響 を及 ぼす のかに ついての検討 を行 うことを 目的 とす る。

仮説

仮説 1  男性 よ りも女性 の方 が き ょ うだい との 関係 を良好 で あると捉 えてい る。

仮説 2  男女 に よつて両親 の養 育態度 を どの よ うに認 知 してい るかに よ り ,き ょ うだい との関係 のあ り方 に も違いがある。

仮説 3  両親 の養 育態度 を肯 定的 に捉 えていて も ,き ょ うだい との関係 を良 くない ものであった と捉 えることが社交不安障害の傾 向を高 くす る。

方法 研究協 力者  3大 学の大学生 調査 日時  2013年 10月

手続 き   講義 の前後 に ,調 査 の 目的や個 人情報 に関す る説明 ,お よび回答 は任意であることな ど を 目頭お よび紙面で行 い ,質 問紙 を配布 した。

1

大学 には郵送で質問紙 を配布 し ,紙 面での説 明を

行 つた。 回収 数 は427名 分 で あ り ,回 収率 は 99.3

%で あった。分析対象 は回収率の低 かったひ とり 親 ,親 以外 の養 育者 ,一 人 つ子等 を除いた274名

(男 性 111名 ,女 163名 )で あった。

質問紙の構成   ① フェイス項 目 :性別 ,年 齢

,

研 究協力者 を除 くき ょ うだいの人数 についての回 答 を求 めた。 ② Parental Bonding lnstrument

(PBI)日 本 語版 :両 親 の養 育態度 を捉 え るた め に ,ノ

lヽ

り ││(1991)が 作成 した23項 目で あ り ,父

親 。母親 それ ぞれ に対 しての回答 を求た。③ き ょ うだい関係 特徴調査 :研 究協力者 とその き ょ うだ い との関係 について捉 えるた めに ,森 下・ 山 口 (1992)が 作成 した30項 目か らな る尺度 である。

④ Liebowitz Social Anxiety Scale(LSAS)日 本語版 :社 交不安障害の傾 向を提 えるために ,朝

倉 ら (2002)が 作成 した LSAS日 本語版 を用いた。

LSAS日 本語版 は社 交不安 障害患者 が症状 を呈す るこ との多い行為状況 (13項 目 ),社 交状況 (H

項 目 )の 24項 目か らな り ,そ れ ぞれ の項 目に対 して恐怖感 /不 安感 と回避 の程度 の回答 を求 め る

‑30‑

(3)

尺度 である。

結果 と考察

基礎分析   各尺度 の因 子分析 を行 い内的整合性 の確認 され た因子 を分析 に用いた。PBI日 本語版 で は 「父親 CA(養 護 )(α =.91)」 「父親 OP(過

保護 )(α =.73)」 「母親 CA(α =.91)J「 母親 OP

=.86)Jの 4因 ,き ょ うだい 関係 特徴調査 で は 「信頼  (α =,92)」 「親密  (α =.91)」 「対立  (α

=.

86)」

「親和

=.83)」 「養護

=.74)Jの 5因 子 ,LSAS日 本語版 では 「注 目され る状況へ の恐 怖感 /不 安感

=.88)」 「コ ミュニケー シ ョン状 況へ の恐怖感 /不 安感

=.85)」 「注 目を され る 状況 の回避

=.89)」 「親 しくない他者 との社交 状 況 の回避

=.84)Jの 4因 子 ,合 計 で 13因 子

となった。

両親 の養育態度の分類  PBI日 本語版 の各 因子 得点 に基づ き2軸 による分類 を両親 について行 い

,

父親 と母親 の組 み合 わせ か ら16群 に分類 を行 つ た。 16群 の うち ,両 親 の養 育態 度 が は っ き りと していた 「両親 ともに情愛 と過保護」 (男 性 16名

,

女性 10名 )「 両親 ともに情 愛 と 自律 承認 J(男 性 19名 ,女 18名 )「 両親 ともに冷淡 と干 渉 」 (男31名 ,女 性 43名 )を 分析対象 とした。

仮説 1の 検証   性別 に よる差 を見 るた めに全 因 子 につ いて ι検 定 を行 つた。 その結果 ,女 性 よ り も男性 の方が親 の養 育態度 を養護 的で あった と捉 えてお り ,本 研 究の協 力者 は男性 の方が親 との関 係 を良好であつた と捉 えてい る と考 え られ る。 ま た, きょ うだい関係 について ,女 性 の方が き ょ う だい との関係 は対立 しているものの良好であると 捉 えてお り ,男 性 は き ょ うだい との関係 は分離的 であ る と捉 えていると考 え られ る。 この ことか ら 仮説 1は 支持 され た。

仮説 2の 検証   両親 の養 育態度別 の特徴 をみ る ため男女それぞれ に一元配置分散分析お よび多重 比較 を行 った。 その結果 ,男 女 ともに 「両親 とも に冷淡 と干渉」群 が他 の2つ の群 よ りもき ょ うだ い との関係が良好であつた と捉 えてお り, さらに

,

「両親 ともに冷淡 と干渉」群の女性 は社交不安障 害傾 向が高い ことが示唆 され た cこ の ことか ら

,

両親 が養護 的である とき ょ うだい関係 は良好 では なか つた と捉 え られ てお り ,反 対 に冷淡 で過保護

な養育態度 が き ょ うだい間の結びつ きを強 く して お り ,仮 説2は 支持 された。

青年期 にお ける社交不安障害傾 向に関す る臨床心理学的研 究

 

小 田朋恵

仮 説 3の 検証   両親 の養 育態度及び き ょ うだい との関係 が社交不安障害傾 向に及 ぼす影響 につい て検討す る為 に ,PBI日 本語版 の 4因 子 ,き ょ う だ い 関係 特 徴 調 査 の5因 子 を説 明変 数 ,LSAS

日本 語 版 の4因 子 を基 準 変数 とす る重 回帰 分析

(ス

テ ップ ワイズ法 )を 行 つた。「両親 ともに情愛 と過保護」群 について ,女 性 にのみ有意 なパ スが 示 され 「信頼」か ら 「注 目され る状況へ の恐怖感

/不 安感 」(Ra径 .43,β = .70),「 対立」 か ら 「注 目され る状況 の回避」 働 生.48,  β =.73)で あつ た。「両親 ともに情愛 と自律承認 J群 も女性 にの み有意 なパ スが示 され ,「 父親 CAJか ら 「コ ミュ ニ ケー シ ョン状況への恐怖感 /不 安感 J(Ra七 .50,

β=.73)「 注 目 され る状 況 の 回 避 J(Ra2=.36, β=.63)「 親 しくない他者 との社 交状況 の回避 」 (Ra2=.40,  β =.66)と なつた。「両親 ともに冷淡 と干渉 J群 は男女 ともに有意なパスが示 された。

男性 は 「父親 OP」 「母親 OP」 「親密 J「 親 和」 か らコ ミュニ ケー シ ョン状 況へ の恐怖感 /不 安感 」

(Ra=■ 51,  β=.28, β=.32,  β =― .45,  β =― .35),

「親密」か ら 「親 しくない他者 との社交状況の回 避 」 (Ra2=.24,  β =― .51),「 親和J  か ら   「注 目

され る状 況 へ の恐怖 感 /不 安感 」 (Ra2=.23,  β =

.51)「 注 目され る状況 の同避 J(Pa七 .11,  β =

― .38)で あ つた。 女性 はわず かではあるが 「親 密」 か ら 「注 目され る状況 へ の恐怖感 /不 安感 」 (Ra2=.08,  β =― .32)「 コ ミュニケー シ ョン状況 への恐怖感 /不 安感 」 (Ra七 .07,  β = .31)「 親 し くない他 者 との社 交状況 の回避 」 (Ra七 .11,  β =

―.36)と なつた。 これ らの結果か ら ,両 親 の養 育態度 が社交不安障害傾 向に与 える影響 よ りも

,

き ょ うだい との関係 か良好 であるか否 かが社交不 安障害の傾 向に影響 を与 えてい ることが示唆 され

,

仮説3は 一部支持 され た。

臨床心理学 的意義

本研 究か ら ,社 交不安障害傾 向に影響 を与 える もの として ,母 親 だ けでな く ,父 親 の養育態度や

き ょ うだい との関係 の重要性 が明 らかになった。

特 に少子化 といわれ る現代 において ,き ょ うだい の存在 は重要であると考 え られ ,き ょ うだい との 関係 の質 がその後 の社交不安障害傾 向に影響 を与 える可能性 がある とい うとい う点が見いだせ た こ とは意義のある事だつたのではないか と考 え られ る。

‑31‑

参照

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