2001
年9
月からの1
年間,米国のニューヨーク 州立大学バッファロー校(以下UB
と略)に客員 研究員として留学しました。バッファローは,ニ ューヨーク州第二の都市で,NYCから西北西に車 で約8
時間,近くにはエリー湖やナイアガラの滝 があり,米国内では雪の多い地域として有名です。また,バッファローは金沢市と姉妹都市で,ダウ ンタウンにある歴史博物館の一角には,ことじ灯 篭をあしらった日本庭園があります。現地の人に
「日本のどこから来たのか」と聞かれ,「金沢から 着た」と言って通じる数少ない町の一つです。
UB
も金沢大学と姉妹校の関係にあり,大学内の 湖の中の小さな浮島に「Kanazawa Island」という 名前を見出すことができます(でも,大学内では 名前も由来もあまり知られていませんでした)。UB
は,ダウンタウンにある古い南キャンパス と郊外のAmherst地区にある新しい北キャンパス の2
つに分かれています。所属していた言語学部 がある北キャンパスは1,192エーカー(約146万坪)
の広大な敷地をもち,周囲は住宅街と森といくつ かのゴルフ場がある緑豊かな場所で,周辺道路で はリスやスカンクに加えて,鹿が飛び出すことさ えあります。
図書館は,UB全体で
9つあります。320
万冊の 蔵書,525万のマイクロフィルム,2万6
千種のシ リーズ・定期刊行物をとっているそうです。私は 言語学部のあるBaldy Hall
の隣にあるロックウッ ド記念図書館を利用していました。アメリカの図 書館はどこでも開館時間が長く,ロックウッド図 書館も平日は朝8
時から夜中の12
時まで,土曜は5
時まで,日曜も正午から夜中の12
時まで開館し ています。そこでは,多くの学生が予習やレポー ト書きの調べものを行っています。相談員が常駐 する一般閲覧室には,調べものをする閲覧机の他,コンピュータの端末が約
30
台と数台のプリンタが あり,その部屋とは別にCybraries
と称するコン ピュータの端末だけの分室があります。これらを 使ってオンラインから各種の資料を得ることがで きます。学生やスタッフが利用するサービスで便利だと 思ったものは,端末から出力したいプリント類が 枚数の制限なく,しかも無料で提供されることで す。端末はいつも混んでいて多いときで10名位の 順番待ちですが,しばらく待って前に座り,自分 の
ID
とパスワードを入れ,必要な資料をプリントすると
0.5
〜4時間後にプリントされます。出力
された印刷物一つ一つには,利用者の
ID
ネーム が記されたタイトルページが付き,係りの人(た ぶんアルバイト)が排出される資料を回収して,室内に設けられたアルファベットごとの棚に並べ てくれます。利用者は,プリントのボタンを押し たらその場を離れて,後から棚の資料を取りに行 けばよいわけです。
授業の資料に関するサービスも図書館が請け負 っています。各専攻の教員は,授業に必読の論文 を前もってシラバスで予告します。それらの論文 は,授業の進行に合わせて順次PDFファイルにさ れ,図書館の
HP
のCourse Reserve
のページ上に リンクされます。受講者は授業コードか担当教員 の名前を入力し,それを開くことで,閲覧やプリ ントアウトできます(単行本の場合,著作権の関係で
1章のみの公開となります)
。知人の話ではこのサービスはロックウッド図書館では
2001
年から− 2 − 金沢大学附属図書館報
<各国図書館めぐり>
ニューヨーク州立大学バッファロー校の図書館
文学部助教授 新田 哲夫
図書館内の光景
始まったそうで,それ以前は,各専攻の共同研究 室に置かれたマスターコピーから受講者各自が複 製を作っていたそうです。これらの論文がオンラ インで見られることで,確実かつ簡便に受講者に 資料が渡ること以外に,その授業を受講していな い者も論文を読むことで,大体の授業の流れがわ かるという利点があります。
何か質問がある場合は,分野ごとに専門の相談 員が懇切丁寧に教えてくれるのですが,待ち時間 が長いのが難点です。アメリカでは,スーパーの レジでも銀行でも長い間待たされることが多いの ですが,誰一人文句を言う人はいません。そして,
いざ自分の番になると丁寧にとことん応対してく れます(だから時間がかかるのでしょう)。図書 館も例外ではありません。長い待ち時間を避ける ために,相談員とコンタクトを取る他の方法とし て , メ ー ル で の や り と り だ け で な く ,I n s t a n t
Librarian
と呼ばれるチャットによる方法も導入されています。人対人の場合は,日本人から見ると 実にのんびりと対応している気がするのですが,
その一方で,コンピュータを使った迅速かつ合理 的な方法も発達していて,その二面性が実に面白 く感じられました。
− 3 −
こ だ ま 第