• 検索結果がありません。

若者の情報収集行動と情報メディアの関係

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "若者の情報収集行動と情報メディアの関係 "

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

若者の情報収集行動と情報メディアの関係

Information-gathering activities of young people

渡部雅男(熊本大学文学部) 小畑喜一(青山学院大学社会情報学研究科)

Masao Watabe (Kumamoto University) Kiichi Obata (Aoyama Gakuin University)

要旨:

筆者らは、若者(大学生)を対象にアンケート調査を実施し、世の中で起こっていることを総覧的に 捉えているかどうかについて、彼らの情報メディア利用との関係を調べた。今回の調査の結果、次のよ うなことが分かった: 新聞の総覧性は高いが、その利用度は低く、若者全体への情報周知能力はあま り大きくないと思われる。一方、インターネットによるニュース閲覧については、タコツボ的検索に陥 る危険を指摘されているが、頻度高くみる若者はニュースの総覧性を得ており、世間を知っている。

Abstract:

The authors examined the relationship between use of information media and overview of news by questionnaire survey to young people (college students). As a result, we found the followings:

To obtain news by newspapers is highly comprehensive. However, there are very few young people who are reading the newspaper firmly. It can be said that influence of newspapers is not so strong anymore. On the other hand, it is said that obtaining news on the internet is not comprehensive.

It is because reading news on the internet tends to be on-demand-scan. However, young people reading news on the internet firmly know what is happening in the world comprehensively.

1. はじめに

若者の新聞離れが指摘されてから久しい。

[1] [5]

それだけでなく、最近は若者のテレビ離れも指摘さ れている。

[1] [6]

新聞は、さっと見るだけでその日の重要ニュースがわかる総覧性があると言われてい

る。

[2] [5]

テレビもニュースを見ることにより、この総覧性の利便を享受できると言われている。

[2]

近の若者の情報収集について、オンデマンド指向が強いとも言われている。

[6]

オンデマンドについて は、インターネットによる情報収集が挙げられる。オンデマンドにより情報を収集することは、タコツ ボ的検索により、収集された情報について総覧性が小さくなり、収集する情報に偏りがあると考えられ

ている。

[2] [3]

一方で、新聞記事になるニュースのほとんどがインターネットから得られると言う様な

考え方もある。

[4]

これらをアンケートにより裏付けるべく調査を行った。今回の研究からはラジオを 除外した。理由は 10 代の学生はほとんどラジオを聴取していないと言われているからである。

[1]

2. 研究の進め方

筆者らの所属する大学で学生を対象に、2012 年 6 月~8 月にかけてアンケート調査を行った。アンケ ートに解答があった学生の所属は、熊本大学文学部(熊本)131 人、青山学院大学社会情報学部(神奈 川)25 人、工学院大学工学部第二部(東京)14 人の計 170 人である。

アンケート中で、知っているニュースにチェックマークをつけてもらい、どれくらいそのアンケート 回答者が総覧性を持ってニュースを収集しているかを確認した。アンケートに掲載したニュースは、読 売新聞ヨミダス歴史館ニュース月録より 2011 年 12 月から 2012 年 5 月の政治・国際・経済・社会に関

– 287 –

B3-1

2012 年秋季全国研究発表大会 2012 年 11 月 17 日(土)〜 18 日(日)

金沢星稜大学 御所町キャンパス

(2)

する記事を 15 件選んだ。

アンケート中で、各メディアを利用する度合いの強さを表現するために、その度合いを「利用強度」

として次のように数値化した。テレビを例に取ると、「どのようなタイミングでテレビのニュースを見 ますか?」⇒ 毎日:3、時々:2、話題になったことを知りたい時:1、ほとんど見ない:0 とした。新 聞・インターネット・口コミも同様。新聞については、「新聞に目を通す場合、どのページに目を通し ますか? :□全面に目を通す、□特定のページに目を通す、□テレビ番組欄のみに目を通す、□新聞 はほとんど読まない」の質問項目も設けた。

3. 若者の新聞の読み方

図 1 からは、見かけの新聞利用強度と知っているニュース数に相関が無いように見える。

3 2

1 0

11

10

9

8

7

6

実 質 の 新 聞 利 用 強 度

知っているニュース数の平均値

2

実質の新聞利用強度の効果

3 2

1 0

11

10

9

8

7

6

見 か け の 新 聞 利 用 強 度

知っているニュース数の平均値

1

見かけの新聞利用強度の効果

3 2

1 0

90 80 70 60 50 40 30 20 10 0

実 質 の 新 聞 利 用 強 度

人数

実質の新聞利用強 度のヒストグラム

図 3 若者はどの程度新聞を利用しているか アンケートを見ると、特定紙面しか見ていない

若者が 170 人中 54 人いることが分かった。この 54 人を新聞利用強度「1」に低く変更したグラフ が図 2 となる。グラフは利用強度「2」で下がる が、全体的に右肩上がりになっている。しっかり 新聞を読むことは、総覧的な情報収集に効果があ ると言える。しかし、図 3 からは、新聞をしっか り読んでいる若者は非常に少ないことが分かる。

4. 若者における情報メディアの効果

図 4 は各メディアの利用強度と知っているニュース数の平均値の関係を示している。実質の新聞利用 強度のグラフは、他のメディアよりも右肩上がりの傾きが大きいことから、その効果がテレビやネット より大きいと言える。これは、新聞をしっかり読めば総覧性が効果的に得られることを示す。テレビは、

その利用強度と知っているニュース数に正の相関があるので、総覧性があると言える。また、総覧性の 無いと言われているインターネットも、利用強度の高い若者は知っているニュース数が大きくなってい る。一方、口コミに頼っている若者はニュースを収集できていないことが分かる。

– 288 –

2012 年秋季全国研究発表大会 2012 年 11 月 17 日(土)〜 18 日(日)

金沢星稜大学 御所町キャンパス

(3)

3 2

1 0

10 8 6

4

3 2

1 0

3 2

1 0

10 8 6

4

3 2

1 0

実質の新聞利用強度

知っているニュース数の平均

テレビの利用強度

インターネットの利用強度 口コミの利用強度

図 4 知っているニュース数に対する主効果プロット

図 5 は、各メディア間の知っているニュース数に対する交互作用を見たものである。左上の新聞とテ レビの関係を示す図から、新聞をあまり読まない若者は、テレビで情報収集を補っていることが分かる。

上段の真ん中の新聞とインターネットの関係を示す図も、新聞を読んでいない若者は、ネットで情報収 集を補っていることが分かる。中段左のテレビとインターネットの関係を示す図では、テレビニュース を見ない若者については、インターネットはあまり情報収集を補っていない。一番右列の 3 段のグラフ は、いずれも右肩上がりになっていないので、口コミは情報収集に役立っていないと言える。

3 2 1

0 0 1 2 3 0 1 2 3

12

8

4

12

8

4

12

8

4 実 質 の 新 聞 利 用 強 度

テ レ ビ の 利 用 強 度

イ ン タ ー ネ ッ ト の 利 用 強 度

口 コ ミ の 利 用 強 度

0 1 2 3 強度 聞利用 質の新

0 1 2 3 強度 聞利用 質の新

強度 聞利用 質の新 0 1 2 3 用強度 ビの利 テレ

0 1 2 用強度 ビの利 テレ

0 1 2 3 強度 トの利用 ネッ インター

知っているニュース数のデータ平均

図 5 知っているニュース数に対する交互プロット

– 289 –

2012 年秋季全国研究発表大会 2012 年 11 月 17 日(土)〜 18 日(日)

金沢星稜大学 御所町キャンパス

(4)

5. 若者の各情報メディアへの依存の傾向

図 6、図 7、図 8 は、新聞・インターネット・テレビについて、それらの利用強度の関係と若者の 人数分布をグラフ化したものである。これらのグラフから次のことが分かる。新聞をよく読む若者は テレビもインターネットもあまり見ない。テレビをよく見る若者はインターネットもよく見る。

0 1 2 3

0 1

2 3 0

5 10 15 20 25 30 35

人数

実質の新聞利用強度

テレビの利 用強度

0 1 2 3

0 1

2 3 0

5 10 15 20 25 30 35

人数

実質の新聞利用強度

インター ネットの利

用強度

7

新聞とネットの利用

0 1 2 3

0 1

2 3 0

5 10 15 20 25 30 35

人数

テレビの利用強度

インター ネットの利

用強度

8

テレビとネットの利用 図

6

新聞とテレビの利用

6. 結論

上記の分析から、下記のことが分かった。

(ア)新聞は総覧性が高い。しかし、新聞をしっかり読んでいる若者は非常に少ない。

(イ)新聞をよく読む若者は、テレビでもインターネットでもあまりニュースを見ない。

(ウ)テレビニュースには視聴頻度に応じた総覧性がある。全く見ない若者は世間を知らない。

(エ)総覧性がないと言われているインターネットも、頻度高く使う場合のみ総覧性が出る。

(オ)新聞をあまり読まない若者は、テレビとインターネットでニュースの総覧性を補っている。

(カ)テレビニュースをよく見る若者は、インターネットでもニュースをよく見る。

(キ)テレビニュースを見ない若者は、インターネットもニュースをあまり見ない。

(ク)口コミは世間に起こっていることについて総覧性がない。

新聞の総覧性は高いが、その利用度は低く、若者全体への情報周知能力は小さい。インターネットの ニュースはタコツボ的検索に陥る危険を指摘されているが、頻度高くみる若者は世間を知っている。

大学生対象のアンケート結果をもって若者の傾向のように扱っているが、今後、大学に帰属しない就 労する若者についての調査も必要と考える。

参考文献

[1] 橋元良明「日本人の情報行動 2010」 東京大学出版会 2011 年 [2] 橋元良明「メディアと日本人-変わりゆく日常」 岩波新書 2011 年

[3] 土橋臣吾・南田勝也・辻泉「デジタルメディアの社会学-問題を発見し、可能性を探る」 北樹出版 2011 年

[4] 佐々木俊尚「2011 年 新聞・テレビ消滅」 文芸春秋 2009 年

[5] 栗原信征「若者の”新聞離れ”と新聞広告の低迷」 上武大学経営情報学部紀要第 31 号 2008 年 3 月 pp.61-71

[6] 西正「若者のテレビ離れは本当なのか、視聴スタイルの変化への対応が必須」 日経ニューメディア 2009 年 4 月 27 日 p.17

– 290 –

2012 年秋季全国研究発表大会 2012 年 11 月 17 日(土)〜 18 日(日)

金沢星稜大学 御所町キャンパス

参照

関連したドキュメント

The method employed to prove indecomposability of the elements of the Martin boundary of the Young lattice can not be applied to Young-Fibonacci lattice, since the K 0 -functor ring

We prove that the spread of shape operator is a conformal invariant for any submanifold in a Riemannian manifold.. Then, we prove that, for a compact submanifold of a

She reviews the status of a number of interrelated problems on diameters of graphs, including: (i) degree/diameter problem, (ii) order/degree problem, (iii) given n, D, D 0 ,

We show that a discrete fixed point theorem of Eilenberg is equivalent to the restriction of the contraction principle to the class of non-Archimedean bounded metric spaces.. We

[3] Chen Guowang and L¨ u Shengguan, Initial boundary value problem for three dimensional Ginzburg-Landau model equation in population problems, (Chi- nese) Acta Mathematicae

Keywords: continuous time random walk, Brownian motion, collision time, skew Young tableaux, tandem queue.. AMS 2000 Subject Classification: Primary:

[25] Nahas, J.; Ponce, G.; On the persistence properties of solutions of nonlinear dispersive equa- tions in weighted Sobolev spaces, Harmonic analysis and nonlinear

Applications of msets in Logic Programming languages is found to over- come “computational inefficiency” inherent in otherwise situation, especially in solving a sweep of