圧電振動を利用した空気流量制御弁の研究
その他のタイトル Development of pneumatic control valve using piezoelectric vibration
著者 廣岡 大祐
雑誌名 理工学と技術 : 関西大学理工学会誌 =
Engineering & technology
巻 24
ページ 13‑17
発行年 2017‑12‑20
URL http://hdl.handle.net/10112/12456
関l柑大学理工学会誌 Jl l[T 学 と 技 術 V o I . 24 (2 0 1 7)
解 説
圧電振動を利用した空気流量制御弁の研究
でr '
`
即lil;J 大 祐*
Development of pneumatic c o n t r o l v a l v e u s i n g p i e z o e l e c t r i c v i b r a t i o n D a i s uk e HIROOKA
1. は じ め に
H :
新i空気を駆動源とする空気/玉機器、空気}[技術は オートメーションを代表する技術としてあらゆる1崖菜 で使)廿されている。自動化システムの制御には、空気l上の他、 irl1£/、{彫気及び機械制御等の方式があるが、
空気1.filill御は操作性、 耐屎様性、経済性及び安令性に 飯れると位1悦づけられている[I]。窄気圧アクチュエー タは、空気圧の圧縮性による柔軟性を有しており、 引 火、燃発等の危険性が無いため安全性も高く、 1災療ロ ポットやリハビリテーション機器などへの応川が行わ れている(2‑3]。 一方で、窄気
J . T .
システムは空気の圧縮 性、空気圧配管での伝逹迎れなどの影押により、直磁、柑J/J.:などのほかのデバイスと比べて制御性が裕ちると いう欠点がある。そのため、制御性の高い制御機器が 求められている。ここでは、新たな空気柾制御機悩と して、節者らが開発した新しいJJ;環 の 空気流斌制 御弁 を紹介する。
図1に一般的に使川される空気/王アクチュエータで ある空気圧シリンダの断而図とその制御システムの例 を示す。圧縮空気がシリンダ内部に供給されると、内 部のピストンが移動し、変位と力が発生する。シリン ダではその構造により、111(線巡動を餅間に収り出すこ とができる。On‑Off弁により1毛縮空気の流れを切り 替えることで、容易にシリンダの連動方
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りを変化させ ることが 可 能である。 一)jで、On‑Off弁で は 辿 続的 な流址制御は出来ないため、j1,':j辿でシリンダを駆動し た際、動作端点での衝限がIll]題になり、手動の絞り弁原秘受付 平 成28年 9月2311
*シ ス テ ム 理 工 学 部 機 械――l―.学 科 助教
などで、J上縮空気の流拙を制御 し、シリンダの述股を コン トロールしている。手動の絞り弁は
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単に流批の 調整ができ、安巫した出力を得ることが出来る。また、 軽l,l:であるため、制御対絞に搭載することも容易で、布気の圧縮性や伝逹迎れの影押も軽
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咸できる。しかし、 手動の制御弁ではシステムの状況に応じて、駆動中に 出力を変更することはできない。ピストン
図1
圧縮空気
一般 的な空気}土シリンダ制御システム
この問題のff)/(決方法として連続的に空気)土や流:,: を:[ 制御できる比例制御弁も
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販されている。比例制御弁 は、入力逍)J ' :
や、軍流に比例した空気流批を出力する ことが可 能であり、窄気圧機器の辿続的な制御が11f能 である。一)jで、d T l
阪の比例制御弁は大型で翡価なも のが多く一般的にはあまり)JIいられていない。 一般的 な空気圧制 御機器の質批と制御流批の関係を図2に示 す。図2より、辿 紐的な流批制御が可能な比例 制御 弁 は、絞り弁、On‑Off弁と比較して、非常に大型になっ ていることがわかる。 現 在、空圧機器の小郡 化、邸 機 能化の研究が進められている[1‑6)。ここでは、空I T :
機 器の小型化にイn n
と考えられる、微粒子励振型流WlliJ13
御弁の原理を説明し、述綺的な流址制御が可能な絞り 弁、小朋の比例制御弁への応用について述べる^
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図2 制御機器の現状
2. 微粒子励振型流砿制御弁
小Jr,~の空
I T :
機器の研究において圧池索子が注目を浴 びている(56]。I玉軍索‑ f
は池圧をCiJJJIIすると収縮する索材で、質拡に対して大きな発生力と、 ,•,':jい/,ぶ答性を 示す。また、高周波の振動を発生させる振動チとして、
超('j波 洗i争機などにも用いられている。しかし、発生 する変位は小さく、空気圧機器で空気流批を調節する ためには、変位を拡大する機構などが必要となる。こ れらの
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題を解決するために, m
発された、1
いじ索子の 共振を利Illした、微粒子励振型流拙制御弁の駆ifl)J/J;(Jll¥ を説明する[7]。制御弁の駆動}原理を図3にぷす。この 流砿制御弁はオリフィス板、 微粒子、J玉軍索子 から構 成されている。オリフィス板には複数の微小孔が設"ii'1'.されており、 空気を調節するオリフィスと して慟く。 微粒(はオリフィス板内に配骰されている。竹路内部 に空気が供給されると、 l翌I3 (a)のように、微粒了・が オリフィスIJf.lI I部に押し付けられ空気の流れを防ぐ。
ここで、庄心索子の振動によりオリフィス板を共振駆 動させ、オリフィス上の微粒子に外)Jを加えると、j;:(j
3 (b)のように、微 粒 子 が オ リ フ ィ スIJflUf'illより離 れ空気が流れる。l王屯素子に印)JI! する逍1,:̲を湖腋する ことで、オリフィスの開口数を制御することができ、
流凪を湖整することが出米る。この原理では、弁を1月 じるための機構が不要となり、小型軽 批化が容易であ る。また、圧屯素チを駆動にJl1いるため、弁の応答性 も似
; 1 , , 0
微粒 {-がオリフィスを離れる条件は、オリ フィス」••
の微粒チにかかる空気の庄力と、微粒—{-の振動 /JII 述炭 によって決まる。微粒子の質批をIll[kg]、空気I
I :
を P [MPa]、オリフィスの半径をr[m m]、としたとき微粒—f- がオリフィス Uf.J 口部より離れる際に 1敗粒—f- が オリフィスIJf‑l「1部に押し付けられる力凡 [NJは、以
Fのよ うになる。
凡 =n r2P (1)
ここで、オリフィ ス 板 で 発 生 す る 振 動 を 片 振 輻A [m]、周波数を八Hz]とすると振動と時
! I l l '
の関係は、 A sin (211ft)で 表 せる。この振動で発牛する振動力II 述/虻は以下のようになる。a
=
‑LI rr 2rl/1 (2 rrft) (2) この振動により質似.ー//1の微粒[‑にかかる札' t
性)Jは凡 =11/(/ (3)
である。
ここでF2>凡 と な る と 微 粒 チ は オ リ フ ィ ス を離れ 空気がオリフィスを通り流址が変化する。 )1孔じ素—[-に i.:'11 }JIJする姐圧を制御することで、振1111,Iが変化するので、
オリフィスの開口数を調整することが可能となる。こ のように、氾圧によ りオリフィスのIJM「l数を変化させ ることで連続的な流机調整が可能となる。
空 気 圧
隧
(a) (b) 図3 微粒子励振朋制御弁の駆動原理
3. 速度制御弁への応用
手動の速度制御弁の特性と して、小I¥猜蚤枇であり、 シリンダ等の制御対象に搭載することが求められる。 そこで、空気圧シリンダに収り付けられるような小塑 の試作機を作製し特性を評価した粘呆を紹介する[8]0
試作機の構造を図4に示す。Jt召じ索子は制御弁外部の オリフィス板に設ii'i:されており、オリフィス板令体に 振動を発生させることができる。共振時にオリフィス 板で発生する振動振幅分布を図5に示す。特 定の周波 数の屯圧を印力IIすることで、 j,(j5のようにオリフィス 板中心で最も大きな振動が発生させることができる。
オ リ フ ィ ス 板 の 振 動 形 状 は 軍
L L :
の 周 披 数 に よ り 決 定 し、振幅は軍圧によって決まる。この条件では、周波 数一定で屯圧を増加させると中心付近のオリフィスよりJIり口する。よって屯)土を調整することで連続的な流 址制御が可能となる。
圧縮空気
図4 速度制御弁への応用を目指した試作機の梢造
図5 振動モード形状
゜ ゜
図6 制御弁および圧遣素子(8]
作製した試作機と1王危索子の与真を図6に示す。試 作機は直径10m m、高さ9mm、質姑は2.5gである。オ リフィス板には9個のオリフィスが中心から等間隔に 並んでいる。オリフィス径は0.5mmとした。}こじ軍素 子は匝径10mm、内径8.2mmのリング状である。微粒 子として0.8mmのステンレス球(密度7.93x10:ikg/rnり
を
m
いた。この制御弁に共振周波数である198kl‑Izの 池圧をJ:IJ)Jllし、屯}王を0 250V,,.11で変化させた際の 実験結呆を図7に示す。実験は印)Jll空気圧0.5MPaで 行い、空気圧は制御弁を通って大気に排出される。1翌17より、印加軍圧の上昇に伴い、辿続的に排出流屈が 堺)Unしていることが確認できる。これは、印加地圧に より、オリフィス板の振幅が堺加し、オリフィスのIJf.J 口 数 が 増)Uilしたためである。制 御 流 派の被)<値は 751/minであり、制御弁の質姑と制御流址の関係は、
圏2の手動の絞り弁と同等の割合となっている。
次に、この制御弁の応答性の評価を行った。制御弁 に入力する屯圧を0.5sごとに切り替えた際の制御弁上 流の圧力を測定し入力波形との比較を行った。制御弁
上流部での空気圧は弁が
W I
じた状態では、印加圧力で ある0.5MPaを、弁IJfl口時には圧力が減少し、 0.lMPa を示す。ここでの制御弁駆動時の紺}王は最大流拡が発 生した250Vp‑,1とした。実験の結果 を 図8に示す。実 験の結果より 1::1椋値と測定された空気圧の変化時はよく一致していることが確認できる。目椋値に完全に一 致するまでに時間がかかっているが、これは圧力計と 制御弁の間の配管で発生する伝逹遅れの影押である。 この結果より、この制御弁の応答性が高いことが示さ れた。
以上の結果より、 圧軍索子を
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いた微粒子励振を利川した駆動原理を用いた制御弁の試作機において手動 の流批制御弁に代替可能な特性が示された。
80
60 4 0 2 0
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1n ] l
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゜
0 50 印加電圧(100 1V5p0‑ .,]200 250図 7 印加俎圧と制御流屈の関係
0.6 0.5
‑‑‑・ 目標他 —空気圧
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図 8゜
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4. 比例制御弁への応用
次に、圧池素子による微粒子励振を用いた比例制御 弁への応川について述べる。比例制御弁は任滋の流批 を安定的に制御することが必要となる。流批特性を安 定させるためには、各オリフィスの間口条件に大きな 差をつけ、想定しないオリフィスのIJfJLI、IU1LIを防ぐ 必災がある。そこで、微粒子の質姑を変化させる方法 によりこの¥tr]題の解決を目指した研究の結果を紹介す る叫 微粒子の材質を固定し、微粒子径により質屈を 変化させた際に振動により発生する
' i ' l ' t
性力を計鈴によ り求めた。図9に微粒子径を変化させた際の忙t性力の 変化率 を 示 す。変化率は0.5mmの微粒子を基準と し15
ている。図9よりわかるように、微粒子径を変化させ ることで、微粒子に発生する伯性力を大きく変化させ ることができる。微粒子として、0.5、0.6、0.7、0.8、1.0、 1.2mmの6種類のステンレス球(密度7.93xl03kg/n)廿 を用いることで、6段階の流址を安定して出力するこ とを目指す。
15
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丑 ,
‑R
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6~ 3
゜
0.5 0.6 0.微7 0粒子径[.8 0.9 rrun]I I. I 1.2図9 微粒子直径と発生力の比率
また、流拙の安定化のために、振動特性を安定させ る必要がある。そこで、強力な振動を発生させる装骰 に広く使用されるボル ト締めランジュバン型振動子を 用い、振動条件の安定化を目指した。この振動子は圧 屯索子をボルトで締結することで、引っ張りに弱い圧 逍素子を用いて大きな変位を発生することができる。
この振動子を)IJいて、制御弁の開発を行った。作製し た試作機の構造を図JOに示す。オリフィス板は振動子 の先端に取り付けられている。圧阻素子に姐圧を1°IJ1JII すると、 振動子全体が仲縮し、オリフィス板に大きな 振動が発生する。振動子内部は空洞になっており、空 気圧印加時にはオリフィス板上に微粒子が設骰するこ ととなる。図11にこの試作機の振動モードを示す。図 11よりオリフィス板中心で大きな振幅が発生している ことが確認された。また、図11よりわかるように、オ リフィス板の変形拙はオリフィス板中心からの距離に より変化する。そこで、中心から1.5mmの同心円状 に6個のオリフィスを配樅した。各オリフィスの変位 は等しいので、開口条件はオリフィス上の微粒子によ
り決まる。オリフィス直径は0.4m mである。
作製した振動子は外径20mm、長さ80m、質姑150g である。
囮
図11 試作機の振動モード
この試作機を用いて、流批特性を評価した。試作機 に0.5MPaの空気圧を印加し、振動子内部に0.5、0.6、 0.7、0.8、1.0、1.2mmのステンレス球を配附した。周 波数を固定し、地圧を調整し、オリフィスが開口した 際の流拙を測定した。実験の結果をまとめたものを図 12に示す。図12より、それぞれの流献が安定して出力 されていることが確認された。よって、
! I
廿口条件を調 整するこ とで、 流品•特性が安定することが示された。 一方でこの駆動条件では、入力値である軍圧と流砿と の間に比例関係はみられない。比例制御弁を実現する ためには、 開口条件の調節が必要となる。40
0 0 0 3 2
1
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r]E] 3
‑e﹂>ス0
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オリフィス板
―
゜
0 I 2 3 Time[4 s] 5 6 7 8 図12 流拡特性巨
ー 0.5m m
ー 0.6mm
‑ 0.7mm
‑0.8mm
‑ 1.0mm
‑ l.2mm
5. お わ りに
制御性の高い空気圧機器の実現を目指し、著者が研 究している圧逍素子を):i:1いた微粒子励振を利用した流 批制御弁の躯動原理、速度制御弁への応用、比例制御 弁への応用に 1見して紹介した。この制御弁の駆動原理 は小型化、軽批化に対して大きな可能性を持っている。 また、弁自体の応答性も高い。今後は実際の空気圧制 御システムに応用すべく、流拡特性の調整を行ってい
く予定である。
図10 比例制御弁への応用を目指した試作機の構造
謝 辞
本研究の一部は、 I¼国大学大学院且ll~「:·}:、liJI究科•i'::渡 化推進研究費のJJ}JI成を受けたものである。
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