ベクトルと行列 参考資料 3 ( 演習問題解答 ) 2020年度第
2ターム 学芸学部数学科
1年
(木曜
3,4限
/オンライン講義
)
担当
:原 隆
(学芸学部数学科・准教授
)■演習問題解答 演習問題
3-1.(1)(
ⅰ
) ℓ1のベクトル方程式は
p=
2
−1 3
+t
−2 1 6
(t
は実数
)で与えられる。
(
ⅱ
) p=
x y z
と表して、各成分を比較すると
ℓ1のパラメータ表示
x= 2−2t y=−1 +t z= 3 + 6t
(t
は実数
)を得る。パラメータ
tを消去して、
ℓ1の方程式は
ℓ1: −x+ 22 =y+ 1 = z−3 6
である。
(2)(
ⅰ
) Π1のベクトル方程式は
p=
0 2 1
+s
4
−1 2
+t
0 5
−2
(s, t
は実数
)で与えられる。
(
ⅱ
) p=
x y z
と表して、各成分を比較すると
Π1のパラメータ表示
x= 4s
y= 2−s+ 5t z= 1 + 2s−2t
(s, t
は実数
)を得る。パラメータ
s, tを消去して、
Π1の方程式は
Π1: 2x−2y−5z+ 9 = 0である
*1。
*1もちろんΠ1の法線ベクトルを
4
−1 2
×
0 5
−2
によって計算してΠ1の方程式を導出しても良い。
(3) ℓ2
の方向ベクトル
(つまり
ℓ3と平行なベクトル
)として
Π1の法線ベクトルが取れることに 注意。
Π1の法線ベクトルは、外積を用いて
4
−1 2
×
0 5
−2
=
−8 8 20
//
2
−2
−5
と計算出来 る
*2。
(
ⅰ
) ℓ2のベクトル方程式は
p=
0 2 1
+t
2
−2
−5
(t
は実数
)で与えられる。
(
ⅱ
) p=
x y z
と表して、各成分を比較すると
ℓ2のパラメータ表示
x= 2t y = 2−2t z= 1−5t
(t
は実数
)を得る。パラメータ
tを消去して、
ℓ2の方程式は
ℓ2: x
2 = −y+ 2
2 = −z+ 1 5
である。
(4)(
ⅰ
) Π2上の点
(x, y, z)は、ベクトル方程式
2
−1 1
·
x y z
−
−2 1 0
= 0
を満たす。
(
ⅱ
) (ⅰ
)を整理すると、
Π2の方程式
Π2: 2x−y+z=−5を得る。
(5) a=
−1 2
−3
−
3 4 5
=
−4
−2
−8
,b=
7
−1 3
−
3 4 5
=
4
−5
−2
とおくと、
Π3は
a×b=
−4
−2
−8
×
4
−5
−2
=
−36
−40 28
//
9 10
−7
と直交して、点
(3,4,5)を通る平面である。
(
ⅰ
) Π3上の点
(x, y, z)はベクトル方程式
9 10
−7
·
x y z
−
3 4 5
= 0
を満たす。
*2(2)の答えの2x−2y−5z+ 9 = 0に於けるx,y,zの係数から、法線ベクトルを読み取っても良い(系3.3を参照)。
(
ⅱ
)これを整理して
Π3: 9x+ 10y−7z= 32を得る
*3。
(6) ℓ3
の方向ベクトル
(つまり
ℓ3と平行なベクトル
)として
1 6 13
−
3 5 7
=
−2 1 6
が取れるこ とに注意。
(
ⅰ
) ℓ3のベクトル方程式は
p=
3 5 7
+t
−2 1 6
(t
は実数
)で与えられる。
(
ⅱ
) p=
x y z
と表して、各成分を比較すると
ℓ3のパラメータ表示
x= 3−2t y= 5 +t z= 7 + 6t
(t
は実数
)を得る。。パラメータ
tを消去して、
ℓ3の方程式は
ℓ3: −x+ 32 =y−5 = z−7 6
である。
(7) ℓ:x−1 = −y+ 1
2 = z−1
3 =t
とおいて整理すると、
ℓのパラメータ表示
x y z
=
1 1 1
+t
1
−2 3
を得る。したがって
ℓの方向ベクトルは
1
−2 3
である。
(
ⅰ
)平面
Π4は
ℓの方向ベクトル
1
−2 3
と直交し、点
(1,1,1)を通る平面に他ならないた め、
Π4上の点
(x, y, z)はベクトル方程式
1
−2 3
·
x y z
−
1 1 1
= 0
を満たす。
(
ⅱ
) (ⅰ
)より、
Π4の方程式は、
Π4:x−2y+ 3z= 2となる。
*3もちろんa,bを用いたΠ3のパラメータ表示からΠ3 の方程式を導き出しても良い。
演習問題
3-2.(1)(
ⅰ
) S1のベクトル方程式は
p−
3 2 1
= 3 · · ·(∗)
で与えられる。
(
ⅱ
) p=
x y z
と表すと、
(∗)⇔ p−
3 2 1
2
= 32
⇔
x−3 y−2 z−1
2
= 9
⇔ S1: (x−3)2+ (y−2)2+ (z−1)2= 9 .
(2) S2
の半径が
3 5 3
−
2 3 4
=√
6
であることに注意。
(
ⅰ
) S2のベクトル方程式は
p−
2 3 4
=√
6 · · ·(∗∗)
で与えられる。
(
ⅱ
) p=
x y z
と表すと、
(∗∗)⇔ p−
2 3 4v
2
=√ 62
⇔
x−2 y−3 z−4
2
= 6
⇔ S2: (x−2)2+ (y−3)2+ (z−4)2= 6 .
(3) S3
は
xy平面と接するので、半径は点
(−1,3,2)と
xy平面との距離である
2であることに 注意。
(
ⅰ
) S3のベクトル方程式は
p−
−1 3 2
= 2 · · ·(∗ ∗ ∗)
で与えられる。
(
ⅱ
) p=
x y z
と表すと、
(∗ ∗ ∗)⇔ p−
−1 3 2v
2
= 22
⇔
x+ 1 y−3 z−2
2
= 4
⇔ S3: (x+ 1)2+ (y−3)2+ (z−2)2= 4 .
【講評】 直線、球面、平面のベクトル方程式に関する問題。
(3), (7)が他のものよりも少し難易度が 高めの問題で、これらの問題にどう立ち向うかが腕の見せ所だったのですが、残念ながらそれ以外の 問題も含めて正答率は高くはありませんでした
(そもそもレポート提出総数自体が非常に低かったで す
)。特に
(1), (2), (4)は講義で扱った例題の数値を変えた だけ の問題だったので、これらの問題 を間違えた人は ベクトル方程式の理解が追いついていない危険性が高い と言えます。これらの問題 を間違えた人は、講義ノートやテキストの
§ 1.6. (特に
p. 27, 28, 30, 31, 33)を中心に 必ず よく 復習しておいてください。既にアナウンスしたように、学期末考査では 直線 および 平面 の方程式 を求めさせる問題 は ほぼ
100%出題されます。
講義でも強調した様に、直線や平面の
(ベクトル
)方程式を求める際には どの 情報 が必要とな るか を整理しておく必要があります。より具体的には
babababababababababababababababababab
直線
:通る点 の情報と 方向ベクトル
(その直線と平行なベクトル
)の情報 平面
:通る点 の情報と
(平行でない
)平面上の
2ベクトル の情報
または
通る点 の情報と 法線ベクトル の情報
(その平面と直交ベクトル
)の情報
が必須です。このうち、問題文を見れば分かるように 通る点の情報は殆どの場合 問題文中で 与え られている ので、あとは 方向ベクトル
(直線の場合
)や 法線ベクトル
(平面の場合
)を問題文で与え られた条件から求めることが要求されるわけです。このように、常に 何を求めれば、問われている 直線・平面の方程式が立てられるのか という問題意識を常に明確に持ちながら問題演習を行ってゆ けば、この程度のベクトル方程式の問題は 必ず 解けるようになります。レポート問題で間違えた 問題やテキストの 演習問題
1-A [5]を中心に様々な問題を解いてみて、ベクトル方程式の問題に早く 慣れるようにしましょう。
以下個別の設問の講評です。
演習問題
3-1.(1)
良く出来ていましたが、
ℓ1の方程式を
ax+by+cz=dのように一つの式に纏めてしまってい る答案も見られました。ひとつの等式
(ひとつの
=)で纏められるものは 平面のみ である ことに注意しよう。
(2)
こちらも良く出来ていましたが、 パラメータ
s, tの消去 での計算ミスが続出しました。結構 しょぼい計算ミスをしやすいところではありますので、パラメータ消去の計算は慎重に。
また、なぜか平面上のベクトルとして
4
−1 2
−
0 2 1
=
4
−3 1
,
0 5
−2
−
0 2 1
=
0 3
−3
を用いている答案も目立ちました。きちんと問題文を読むように心掛けよう。
(3)
やや難。
ℓ2の方向ベクトル を求められるかが鍵。ただ
Π1の法線ベクトルが
ℓ2の方向ベクト ルである ことにさえ気付けばそれほど難しくはないはず。
Π1
の法線ベクトルは 外積
4
−1 2
×
0 5
−2
で計算出来るのでした。そこまではきちんと理 解しているのに、外積の
y成分の 符号が違っている答案 が目立ちました。講義でも散々注意 したように 外積の計算で最も間違えやすいのが
y成分の符号 です。間違えた人は、外積の計 算方法を誤解している危険性が高いので、もう一度よく復習しておいて下さい。
(4)
講義で扱った「平面のベクトル方程式 Ⅱ」の例題とほぼ同じ問題だったのですが、思ったよりも 出来が良くありませんでした。間違えた人は特に テキストの
p. 30, 31の周辺を復習してお くこと
!(5)
こちらも法線ベクトルを求める際の外積の計算ミスが目立ちました。「計算は丁寧に」を心掛け ましょうね。パラメータ表示を用いて計算していた人もいましたが、そちらの方はやはりパラ メータ消去の際に計算ミスをしているケースが多かったです。
3
点を通る平面の方程式は、非常に良い練習問題ですので、パラメータ表示を用いた方法 と 法線ベクトルを用いた方法 の 両方で 解けるようにしておきましょう。
(6)
方向ベクトルとして
1 6 13
−
3 5 7
=
−2 1 6
が取れることに気付けば簡単。出来は比較的良かったです。上記のように方向ベクトルを求め る計算をせずに
p=
1 6 13
+t
−2 1 6
などと答えた人は、 なぜ上記の引き算が必要なのかもう一度自分でとことん考え直して、そ
の上でテキストの 例題
1.88を復習すること
!!(7)
これが
(定番だけど
)一番の難問 。
Π4の法線ベクトルが
ℓの方向ベクトルとなっていること に気づけるか、そして
ℓの方向ベクトルが求められるか がポイントとなります。
前者については図を描いたりして情報を整理すれば、割合簡単に気づけるのではないかと思い ます。後者に関しては、本問のように 直線の方程式をベクトル方程式の形に書き直して方向 ベクトルを求める ことはしばしば問われることがありますので、分からなかった人は良く復 習しておきましょう
(テキストの 例
1.89も参照
)。
演習問題
3-2.(3)