はじめに
韓国では,三星・現代・LG などに代表される 財閥系等大企業および零細企業の層に比べて,中 間の中小企業の層が薄いと指摘される。そのこと は金融システムのありようとも対応しているはず である。また,1997年通貨危機後の構造改革に よって韓国経済は大きな再編を経たが,上記の産 業および金融組織においてはどのような内容で あったであろうか。本稿は,こうした問題を念頭 に置いて,韓国の地域金融を分析するものであ る。
韓国の金融は通貨危機以後,資本市場の発展お よび金融機関の大型化により地域金融市場での全 国規模の銀行(都市銀行)の影響力は大きくなっ たが,地方銀行と民間(庶民)金融機関に大別さ れる地域金融機関の役割は大きく縮小された。こ れは大型化された全国銀行が地域に本店を置く地 方銀行を吸収し,多数の民間金融機関は退出する などの整理されていたことに起因する。しかし,
地域金融機関の比重が大幅縮小されたにもかかわ らず信用に大きく依存する地域中小企業および零 細企業への金融支援は地域金融機関の役割を非常 に必要とし重要とするようになった。したがっ て,首都圏と地方間の金融面での地域格差解消,
地域金融不振の原因究明および改善,そして韓国 地域社会の均衡発展などのための地域金融活性化 における追加的な政策方案に関する研究が求めら れる。
かつて筆者は,韓国の地域金融と地域経済発展 との関連を分析し,その結果,両者の間には短期
的・長期的な正の相関関係が存在し,因果関係が 成立することが分かった(1)。もし因果関係が存在 すれば,地域金融を活性化することで遅れた地域 での経済発展が期待できるはずである。しかし,
韓国金融は産業構造改革および金融危機を克服す る過程で地域間の成長格差が拡大され相対的に成 長が遅れている地域に所在する中小企業や自営業 者,中低所得層など金融への接近が制限されてい る階層に対する支援が微弱な実状である。した がって,本研究では,地域金融が特定地域の金融 の遅れによる地域全般の低成長を解決し地域内の 不足している資金供給が解決できる唯一の方案で あることを前提に,まず,韓国地域金融の現況と その不振の原因究明と問題点について分析するこ とに目的を置く。
本稿の構成として,第Ⅰ節では経済発展におけ る実物部門と金融部門の関係と地域金融の役割に ついて考察する。第Ⅱ節では韓国の地域金融の現 況と金融の地域集中度などについて分析し,第Ⅲ 節でその地域金融の現況からみて不振の原因は何 なのか,問題点について考える。
Ⅰ. 地域金融の意義と役割
国民経済や地域経済において経済発展は,経済 を構成する実物部門と金融部門が相互補完的に相 乗作用をするとき円滑および持続的に成り立つ。
この節では,経済発展における金融部門と実物部 門の関係と金融部門の役割を理論的に考察するこ とで地域経済発展のための地域金融の役割を整理 することにする。
韓国地域金融の現況と問題点
李 美善
《研究ノート》
1. 金融部門と実物部門
経済発展における金融部門と実物部門の関係 に対する見解には一般的に需要追従(demand following)の場合と供給先導(supply leading)の 場合がある (2) 。需要追従の場合は,実物部門の発 展に従って金融部門が発展するという見解,すな わち,金融部門が発展するためには金融機能に対 する需要が先行されなければならないという見解 である。具体的に,実物経済が発展することによ り金融機能に新しい需要が追加され,またその需 要に応じて新しい金融機能が供給されるとみる。
したがって,このような見解は低開発経済におい ての金融の不足と遅れは金融機能に対する需要の 欠如,つまり実物経済の遅れを反映するにすぎな い。一方,供給先導の場合は金融部門の発展が実 物経済の発展を先導するという見解である。すな わち,実物経済が発展するためには金融部門の発 展が先行されなければならないという見解であ る。金融の供給先導機能には二つの見解がある。
まず,金融部門の発達が資源を伝統的な部門から 近代的な部門に移動させる機能である。金融機能 に対する現実的な需要が存在しないにも関わらず 金融部門は信用創出を通して資源を伝統的な部門 から近代的な部門に移動させることで実物経済発 展を先導する。次に,このような金融の資源移動 機能が企業の近代化への努力を促進させる機能で ある。金融部門発達により低コストで資金が十分 に供給されればそれが企業の投資意欲を刺激する ことになり多くの新しい事業創出に繋がるので,
結局,実物部門の発展を促進させることになる。
上記で触れたように,需要追従と供給先導の二 つの見解に関しては未だに理論的側面で明確に示 されていない。特に,経済開発の促進において二 つの見解の中で一つの見解をもう一つの見解より 優越であると受け入れることはさらに難しい。そ れは,経済発展段階によって実物部門と金融部門 の関係が相互異なる形で定立する可能性があるか らである。しかし,この二つの見解からみると遅 れている経済を発展させるためにはまず供給先導 機能を受け入れて実物経済発展を触発させた後需 要追従機能を受け入れるのが正しいということが 直ぐ類推できる。つまり,遅れている経済を開発 する際,まず開発初期には供給先導機能を受け入 れて積極的な金融支援を行い実物部門を発展させ る。その後,実物部門の発展がある程度成し遂げ られた開発中期からは需要追従的機能を受け入れ て,実物部門の発展が金融機能に対する需要を増 幅させ,金融部門の自発的な発展を促進させる。
このような金融部門の発展が再び実物部門の発展 に寄与する関係,すなわち次の図1に表したよう に実物部門と金融部門の相互補完的な好循環関係 を定立すべきであると考えられる。
このような論理を地域経済と関連して考える と,遅れている地域経済の実物部門は一般的に非 常に衰弱しているため地域金融の積極的な支援な しではその発展が触発および持続することはとて も難しいといえる。ところで韓国の現実は,金融 危機以後金融構造調整過程で多くの地方銀行と地 域に基盤を置いている民間金融機関が M&A(合 併・買収)あるいは退出されるなどの状況であっ
供給先導的金融
発展初期段階 自発的発展段階
実物経済の発展 需要追従的金融の発展 図1 金融部門と経済発展(3)
た。また地域金融機関が収益性中心の経営を追求 していく中,地域社会の均衡発展と社会統合とい う金融機関の公共的役割が果たされてないと同時 に首都圏と地方間の金融面での地域格差が解消さ れていないのが実状である。したがって,金融の 先導的役割は実物部門の発展を触発させひいては 遅れている地域経済を活性化させる。そのために もまず地域金融を活性化させるのが急務であろう。
2. 地域金融の役割
地域経済発展のための地域金融の役割は,金融 一般がもつ普遍的な役割と地域金融のみがもつ特 殊な役割に分けられる。地域金融の経済発展に対 する普遍的役割は,金融機関の信用に基づいて資 金供給を円滑に行い,貯蓄と投資資金を仲介する ところにある。また,このような過程で,地域金 融は金融関連サービスを創出し,資金供給を促進 させ,審査機能を通して資金の配分効率を高め,
経済の発展環境を組成する。
地域金融の普遍的役割について具体的に記述す ると,第一,金融は経済発展,あるいは経済開発 過程で,生産活動の主体である企業が生産能力を 促進させ,これを持続的に増大させて行けるよう に投資資金を創出し供給しなければならない。第 二,金融は,顧客の欲求に応じる多様な貯蓄商品 を開発し提供することで,個々人に分散されてい る小口余裕資金を貯蓄へ吸収させ,これを投資資 金化すること,すなわち貯蓄と投資を継続的に仲 介する。第三,金融は,企業の投資内容を審査し,
監督を行い,投資資金の効率性を高める。また金 融機関は,企業への融資を決定するとき,投資の 経済性と収益性を審査する。これは,金融機関自 体の損失を防ぐためだけではなく,国民経済の全 体的な立場で不実投資を事前に防止し,投資資金 の浪費を予防することにもなる。第四,金融は,
上記に述べた役割以外にも,手形割引,送金,外 貨サービスなどのような手数料業務あるいは周辺 業務と呼ばれる様々な金融関連サービスを提供し なければならない。なぜなら,実物経済の発展が 円滑に持続するためには,実物経済取引に必要な いろいろな金融サービスを必要とするからであ
る。このように,経済発展過程において多様な金 融サービスを開発し,実物経済の能率を高めるこ とが,金融機関の付随的な役割である。
次に地域金融の特殊な役割について述べると,
第一,地域金融は,地域産業を先導し手助けする 役割を担当するため,資金供給以外に,特定産業 や産業動向に関する国内外的な情報の収集と分析 および普及を行なう重要な役割をもつ。なぜなら ば,地域産業や企業は大部分規模が零細で経営水 準が低いため,国内・外的経済環境が急変してい る情報化・国際化時代に弾力的・能動的に対応す ることが難しいからである。すなわち,個別企業 ができない情報収集や分析および普及を通して地 域経済の事業性を開発し発展させる一方,国際化 を促進することが必要であるが,これが地域金融 が果たすべき役割の一つである。このような情報 関連の役割は,地域経済において地域金融以外に 担当する機関や制度をもつのが現実的に難しいこ とが特に重要である(4)。第二,地域金融は,地域 産業およびビジネス支援のための金融サービスを 開発しなければならない。すなわち,地域金融需 要の創出と地域成長主導産業の発掘のために,過 去のような受動的与信方式から脱却し,積極的に 与信創出を遂行することが必要である。たとえ ば,地域金融を担当する金融機関には,地域企業 と連携しロードショー(事業説明会),創業説明 会,新技術発表会などを定期的に開催すること で,地域内の有望中小・ベンチャー企業を発掘 し,新しい金融商品やサービスを提供する方策が 求められる。第三,地域金融を担当する金融機関 は,有望な地域プロジェクトを発掘し,これを金 融需要に具体化するための手段として,プロジェ クト・ファイナンシング(project financing)な どの金融技法活用方案を講究できなければならな い。この方式は,主に地域開発事業やインフラ拡 充に活用可能であり,地域経済の重要な軸を占め る地方の建設産業の活性化と電力,下水道,有料 道路など将来現金の流れが安定される地域開発事 業に適応可能であり,事業性が優秀であると予想 される観光,プラント(plant),資源開発プロジェ クトなどにも活用が可能であると思われる。
Ⅱ . 地域金融の現況(5)
韓国は,人口5万名以上の町を「市」,2万名以 上を「邑」と指定している。都市中央部には中心 地の役割をする「都心」が位置しており周辺地域 に影響力を与える。
韓国の人口は,1960年代以後,工業化の進展に より農村から都市へ大規模な人口移動があった。
1980年代からは中小都市から大都市への移動が 大きく増加した。その一方,1962年には海外移 民法が制定され多くの人がアメリカをはじめ海外 へ移住するようになった。1990年代以降ソウル,
釜山,大邱地域のような大都市では政府の人口分 散政策により地方や大都市周辺地域への人口移動 現象が現れた。ソウル地域の場合,大部分は周辺 の新都市をはじめとする仁川地域や特に京畿地域 に多く移住した。釜山地域は周辺地域である慶南 地域へ,大邱地域は慶北地域へと移動した。産業 構造の変化により人口分布も変わってきた。各種 産業が発達したソウル,釜山,仁川,大邱,大田 地域のような大都市と工業が発達した南東臨海地 域,ソウル地域周辺の京畿地域に密集した。産業 化は主に都市を中心に行われたが,既存の都市が 大都市に急成長し新興工業都市が現れるなど,産 業化された地域とそうでない地域の間に格差が生 じた。
韓国の地域開発は,経済的状態が地域によって 異なることから生まれる地域格差を解消するた め,国全体を発展させながら資源を合理的に開 発・配分し,国民の所得増加などを通して生活の 質を向上させる,地域間の均衡的発展を目標とし た。
地域開発は,1970年代に第1次国土総合開発計 画が樹立されることで本格的に推進された。経済 発展の基盤を拡充するため,大規模な事業が集中 的に実施された時期である。南東臨海地域に位置 する蔚山,浦項などを始めとする新工業都市の開 発や高速道路,多目的ダムが建設された。1980年 代には,第2次国土総合開発計画が実施された。
地域間の格差を減らし地方化時代に合わせた生活
圏中心の開発方法を考えた。特に,東南圏地域
(釜山,大邱,蔚山,慶北,慶南)との均衡を考 え西南圏地域(全北,全南,光州)の工業発達を 積極的に推進した。1990年代には,第3次国土総 合開発計画が実施された。開発目標としては,地 域間における均衡開発のための地方生活圏中心の 開発,国民福祉の向上,環境保全,南北統一に向 けての国土基盤の調整などが設定された。特に,
人口と産業の首都圏(ソウル,仁川,京畿)への 集中を抑制し,地域経済圏を形成し首都圏機能を 分散させ,遅れた地域を集中的に開発することに 重点を置いた。
以上の政府による地域開発事業は,成果ととも に副作用も生じさせた。開発の効果が周辺地域に 拡散される波及効果よりも周辺地域の人口や資 本,工場などが成長拠点へ流出される逆流現象が 起った。また,それにより環境が多く破壊され た。さらに,地域の特性を無視した開発により地 域住民の要求が十分に反映されなかった。特に,
首都圏への過剰集中は国土利用の効率性を低下さ せ社会的費用の増大をもたらした。
2000年代に入り,第4次国土総合計画が推進 された。2005年に改正されたが,主要内容は,
国土総合計画の中に開発という文字を省略してい るが,これは無分別な開発より環境を顧慮した国 土管理を重要視する戦略を反映した意味をもつ。
さらに,国土の均衡発展と南北統一を顧慮した東 北アジア圏の交流の中心地として発展することに 焦点を合わせた。
地域社会開発は,地域住民の生活の質が高めら れるように地域間の均衡発展や環境との調和,地 域特性の重視などに重点を置いて推進されるべき であると考えられる。さらに,1995年に地方自治 体制度が本格的に実施されたが,その後の自治団 体単位の地域社会開発を活発に推進しながら国家 的次元での開発との調和も図らなければならない 課題がある。また,地域文化を持続的に活性化さ せて地域住民の意欲を高め,地域住民間の密着を 強化し,ひいては地域住民の生活をも向上させら れるようにすべきである。
したがって,ここではまず現在の韓国金融の実
状について分析を行う。現況を分析することでよ り詳しい韓国における金融不振の原因究明に繋が ると思われる。
1. 地域別預金と貸出の現況
(1)預金および貸出
表1によると,2009年9月末現在ソウル地域と 首都圏地域の預金は全国預金の66.9%を占めてお りその次に慶南圏(11.1%),慶北圏(6.7%)の順 で高い比重を占めている。これに対して,江原地 域(1.7%)・済州地域(0.8%)の預金は最も低い 水準である。2002年以後,地域別預金金額は順調 に増加しており地域別比重は特に大きな変動もな
く預金構造が固定化されている状況が見られる。
表2を調べてみると,ソウル地域および首都圏 地域の貸出は全国の貸出の66.2%を占めておりそ の次に慶南圏(12.3%),忠清圏(6.6%)の順で貸 出 比 重 が 高 い こ と が 分 か る。一 方,江 原 地 域
(1.5%),済州地域(0.8%)の貸出は預金と同じ く構成比が最も低い地域である。2002年以後,首 都圏地域の貸出金額の比重は持続的に増加(2002 年9月末現在20.8%→2009年9月末現在25.7%)
しているがそれ以外の地域の貸出比重は段々縮小 されつつあり,つまりこれは首都圏地域の貸出集 中化を示していることが分かる。
表1 地域別金融機関の預金1
(単位:兆ウォン,%)
20094 2008
2007 2006
2005 2004
2003 2002
1,009.8
(50.8)
961.5
(51.0)
838.4
(49.9)
822.1
(53.6)
716.1
(52.3)
657.8
(51.8)
604.1
(50.4)
601.7
(51.6)
ソウル
320.7
(16.1)
300.7
(15.9)
270.5
(16.1)
227.2
(14.8)
196.5
(14.4)
187.1
(14.7)
182.2
(15.2)
171.3
(14.7)
首都圏2
126.3
(6.3)
117.6
(6.2)
108.3
(6.4)
94.6
(6.2)
87.9
(6.4)
80.8
(6.4)
76.6
(6.4)
72.1
(6.2)
忠清圏
127.8
(6.4)
121.9
(6.5)
111.1
(6.6)
95.3
(6.2)
90.1
(6.6)
85.4
(6.7)
82.2
(6.9)
79.3
(6.8)
全羅圏
132.3
(6.7)
126.9
(6.7)
116.8
(7.0)
99.0
(6.5)
97.0
(7.1)
86.5
(6.8)
83.8
(7.0)
80.8
(6.9)
慶北圏
221.7
(11.1)
208.7
(11.1)
190.2
(11.3)
155.5
(10.1)
143.8
(10.5)
137.6
(10.8)
135.6
(11.3)
128.6
(11.0)
慶南圏
34.0
(1.7)
32.5
(1.7)
30.2
(1.8)
27.9
(1.8)
25.5
(1.9)
24.0
(1.9)
23.9
(2.0)
23.4
(2.0)
江 原
16.6
(0.8)
16.2
(0.9)
14.8
(0.9)
12.7
(0.8)
11.7
(0.9)
10.5
(0.8)
10.0
(0.8)
9.7
(0.8)
済 州
1,989.1
(100.0)
1,885.9
(100.0)
1,680.3
(100.0)
1,534.2
(100.0)
1,368.5
(100.0)
1,269.7
(100.0)
1,198.4
(100.0)
1,166.9
(100.0)
全 国
注: 1. 預金銀行(短期市場性預金含む)+非銀行金融機関。預金銀行は,一般銀行(市中銀行,地方銀行,外国銀行(ソ ウル,釜山,大邱,仁川,京畿中心に多少存在する) + 特殊銀行 (韓国産業銀行, 韓国輸出入銀行,中小企 業行,
農協,水産協)を示す。非銀行金融機関は,非銀行預金取扱機関として,総合金融会社+相互貯蓄銀行+信用 協同機構(信用協同組合,相互金融,セマウル金庫)+郵便預金を示す。これらは本稿で,地域金融機関(地域 密着型金融機関)として分類する。+投資信託+生命保険会社。
2. 仁川地域+京畿地域。
3. ( )の中は全国対比比重(%)。 4. 9月末現在の数値である。
資料:韓国銀行経済統計シ ス テ ム 「地域別預金と貸出」(http:/ /ecos.bok.or.kr/EIndex.jsp, 2014年5月8日最終確認)。
(2)金融機関店舗数の地域別分布
表3によると,2008年末現在の銀行および非銀 行金融機関店舗数(28,063店)の49.4%(13,860 店)がソウル地域と首都圏地域に集中しているこ とで地域所在の企業や家計の金融接近性が相対的 に衰弱していることが分かる。詳しくみると,一 般 銀 行 の61.1%(3,474店),特 殊 銀 行 の51.0%
(943店)がソウル地域と首都圏地域に分布して おり非銀行金融機関である相互貯蓄銀行の57.9%
(194店)もソウル地域および首都圏地域に集中 している。一方,信用協同組合,相互金融(6),セ マウル金庫などはソウル地域および首都圏以外の 地域に75%の店舗が配置されていることが分か る。したがって,これらの金融機関を地域密着型 金融機関として定義し地域金融活性化のための主 要政策対象機関として考慮する必要がある。特
に,2008年9月に起こった米国発金融危機以後,
銀行が地域の中小企業や民間に対する貸出を回避 する一方でこれらの地域密着型金融機関の貸出審 査の力量強化および1997年の通貨危機以前に盛 んだ関係金融(relationship banking)の活性化を 通した地域への資金供給の役割が主要イシューと して取り上げられている。
表3から,地域密着型金融機関の数字を時系列 でみると,2000年末現在に比べ2008年末現在で は返って減少していることが分かる。特に,ソウ ル地域や首都圏地域に比べ,その他の地域での減 少幅が大きく現れており,その中でも信協(信用 協同組合)店舗数の減少幅が相対的に高く示され ている。
このような現象は1997年通貨危機以後の金融 構造改革の一環として金融機関の M&A および退 表2 地域別金融機関の貸出1
(単位:兆ウォン,%)
20094 2008
2007 2006
2005 2004
2003 2002
534.7
(40.5)
516.6
(40.9)
443.5
(39.8)
370.2
(38.3)
327.8
(38.5)
302.3
(38.7)
293.1
(39.8)
269.4
(41.2)
ソウル
338.5
(25.7)
315.2
(24.9)
278.5
(25.0)
239.5
(24.8)
200.7
(23.6)
180.1
(23.1)
164.2
(22.3)
136.3
(20.8)
首都圏2
86.8
(6.6)
83.7
(6.6)
75.1
(6.7)
67.8
(7.0)
60.8
(7.2)
54.8
(7.0)
49.4
(6.7)
43.0
(6.6)
忠清圏
80.4
(6.1)
78.5
(6.2)
71.9
(6.5)
66.5
(6.9)
62.4
(7.3)
58.8
(7.5)
56.9
(7.7)
52.7
(8.1)
全羅圏
86.4
(6.5)
83.6
(6.6)
77.2
(6.9)
70.7
(7.3)
63.7
(7.5)
58.1
(7.4)
55.4
(7.5)
49.6
(7.6)
慶北圏
161.7
(12.3)
155.6
(12.3)
138.8
(12.5)
123.9
(12.8)
110.6
(13.0)
103.1
(13.2)
95.5
(13.0)
83.2
(12.7)
慶南圏
19.9
(1.5)
19.6
(1.6)
18.3
(1.6)
17.3
(1.8)
15.7
(1.9)
14.7
(1.9)
14.0
(1.9)
13.0
(2.0)
江 原
11.2
(0.8)
11.0
(0.9)
10.2
(0.9)
9.5
(1.0)
8.7
(1.0)
8.4
(1.1)
7.9
(1.1)
7.1
(1.1)
済 州
1,319.6
(100.0)
1,263.9
(100.0)
1,113.6
(100.0)
965.4
(100.0)
850.3
(100.0)
780.3
(100.0)
736.3
(100.0)
654.3
(100.0)
全 国
注:1. 預金銀行+非銀行金融機関。
2. 仁川地域+京畿地域。
3. ( )の中は全国対比比重(%)。 4. 9月末現在の数値である。
資料:前掲,韓国銀行経済統計システム「地域別預金と貸出」。
表3 地域別金融機関の店舗数(2000 年・2008 年末現在)
(単位:個,%)
生命 保険 セマウル
金庫3 相互
金融3 郵便
信協3 預金 相互貯蓄
銀行
信託 会社2 特殊
銀行1 一般
銀行
1,781
(25.9)
339
(18.7)
24
(1.5)
258
(9.2)
190
(14.4)
74
(27.9)
1,928
(40.3)
353
(25.9)
1,975
(40.8)
2000 ソウル 年末
1,552
(33.2)
284
(18.7)
24
(1.7)
248
(9.1)
147
(14.8)
119
(35.5)
3,248
(36.6)
469
(25.4)
2,217
(39.0)
2008 年末
1,339
(19.4)
214
(11.8)
207
(12.7)
417
(14.8)
168
(12.8)
53
(20.0)
874
(18.3)
286
(21.0)
875
(18.1)
2000 首都圏 年末
821
(17.6)
177
(11.7)
205
(14.4)
399
(14.7)
159
(16.0)
75
(22.4)
1,985
(22.4)
474
(25.6)
1,257
(22.1)
2008 年末
636
(9.2)
200
(11.0)
310
(19.1)
428
(15.2)
234
(17.8)
28
(10.6)
314
(6.6)
137
(10.1)
314
(6.5)
2000 忠清圏 年末
406
(8.7)
163
(10.7)
270
(19.0)
422
(15.5)
189
(19.0)
29
(8.7)
625
(7.0)
188
(10.2)
343
(6.0)
2008 年末
916
(13.3)
231
(12.7)
410
(25.2)
588
(20.9)
238
(18.1)
28
(10.6)
384
(8.0)
154
(11.3)
384
(7.9)
2000 全羅圏 年末
525
(11.2)
180
(11.9)
329
(23.2)
571
(21.0)
176
(17.7)
33
(9.9)
707
(8.0)
186
(10.1)
413
(7.3)
2008 年末
701
(10.2)
329
(18.1)
270
(16.6)
411
(14.6)
203
(15.4)
24
(9.1)
418
(8.7)
137
(10.1)
418
(8.6)
2000 慶北圏 年末
436
(9.3)
285
(18.8)
225
(15.9)
400
(14.7)
121
(12.2)
21
(6.3)
757
(8.5)
172
(9.3)
481
(8.5)
2008 年末
1,154
(16.8)
384
(21.1)
247
(15.2)
474
(16.9)
187
(14.2)
45
(17.0)
733
(15.3)
205
(15.1)
736
(15.2)
2000 慶南圏 年末
740
(15.8)
323
(21.3)
225
(15.9)
469
(17.2)
127
(12.8)
46
(13.7)
1,272
(14.3)
262
(14.2)
847
(14.9)
2008 年末
264
(3.8)
72
(4.0)
122
(7.5)
194
(6.9)
64
(4.9)
7
(2.6)
83
(1.7)
65
(4.8)
83
(1.7)
2000 江 原 年末
133
(2.8)
61
(4.0)
107
(7.5)
174
(6.4)
45
(4.5)
8
(2.4)
180
(2.0)
74
(4.0)
70
(1.2)
2008 年末
98
(1.4)
48
(2.6)
34
(2.1)
42
(1.5)
33
(2.5)
6
(2.3)
53
(1.1)
24
(1.8)
53
(1.1)
2000 済 州 年末
58
(1.2)
45
(3.0)
34
(2.4)
36
(1.3)
30
(3.0)
4
(1.2)
97
(1.1)
25
(1.4)
58
(1.0)
2008 年末
6,889
(100.0)
1,817
(100.0)
1,624
(100.0)
2,812
(100.0)
1,317
(100.0)
265
(100.0)
4,787
(100.0)
1,361
(100.0)
4,838
(100.0)
200 全 国 年末
4,671
(100.0)
1,518
(100.0)
1,419
(100.0)
2,719
(100.0)
994
(100.0)
335
(100.0)
8,871
(100.0)
1,850
(100.0)
5,686
(100.0)
2008 年末
注:1. 2002年から産業銀行は開発機関から特殊銀行に分類。
2. 銀行,証券会社,保険会社の信託勘定。
3. 組合数(本所基準)あるいは金庫数基準。
資料:前掲,韓国銀行経済統計システム「金融機関店舗および人員現況」。
出が進行する中で地域に基盤を置いている金融機 関の数字が大幅減少していることが推測できる。
同期間で,生命保険会社を除いてみると店舗数が 最も多く減少している信協の場合,2000年末現在 に1,317店舗だったのが2008年末現在には994店 舗に減っていた。結局,ソウル地域および首都圏 地域では52店舗が減っている反面,それ以外の 地域で271店舗が減少していることから金融構造 改革などの対象が首都圏以外の地域に集中してい たことを示している。
2. 金融産業の地域集中度
(1)金融産業の付加価値
表4に示している2008年金融保険業の付加価 値についてみると,ソウル地域・首都圏地域の付 加価値(42兆ウォン)が金融保険業全体の付加価 値(62兆ウォン)の70%に至っており,これは ソウル地域・首都圏地域の総産業付加価値(447 兆ウォン)が産業全体の総付加価値(928兆ウォ ン)に占める比重の48.2%を上回っていることが 分かる。また地域別に総付加価値に対する金融保 表4 地域別金融産業の比重(2008 年 GRDP 基準)
(単位:兆ウォン,%)
全 国 済 州
江 原 慶南圏
慶北圏 全羅圏
忠清圏 首都圏1
ソウル
927.5
(100.0)
8.3
(0.9)
24.2
(2.6)
161.4
(17.4)
94.5
(10.2)
92.2
(9.9)
100.0
(10.8)
223.8
(24.1)
223.2
(24.1)
総付加価値
(A)
61.7
(100.0)
0.5
(0.8)
1.0
(1.6)
6.6
(10.7)
3.8
(6.1)
3.8
(6.1)
3.6
(5.9)
10.0
(16.2)
32.4
(52.6)
金融保険業
(B)
6.6 5.7
4.0 4.1
4.0 4.1
3.6 4.5
14.5 比重(B/A)
注:1. 仁川地域+京畿地域。
2. 2008年度価格基準。
3. ( )の中は全国対比比重。
資料:統計庁(KOSIS)経済活動別地域内総生産(http://www.index.go.kr/search/search.jsp, 2014年5月8日最終確認)。 前掲,韓国銀行経済統計システム「経済活動別 GDP」。
表5 産業別集中係数1の現況
(集中係数が低い産業)
(集中係数が高い産業)
集中係数 部 門
集中係数 部 門
0.095 建設
0.440 第1次金属製品
0.155 教育および保健
0.435 農林水産品
0.165 公共行政および国防
0.427 鉱産品
0.184 飲食店および宿泊
0.387 電気および電子機器
0.255 飲食料品
0.361 輸送装備
0.266 社会およびその他サービス
0.343 電力,ガスおよび水道
0.274 精密機器
0.313 金融,保険業
注:1. 特定産業の地域別分布が判断できる指標で,集中係数が 1 に近いほど特定産業が全体産業の地域分布と異 なる特定地域に集中するし, 0 に近いほど地域別分布が全体産業と類似すると解釈できる。算式は次のよう である。
1 地域数
産業別集中係数= ─ Σ |全体産業の地域別構成比− j 産業の地域内総生産性|
2
資料: 韓国銀行経済統計システム「2005年地域産業連関表および2005年地域産業連関表作成結果報道資料」
(https://ecos.bok.or.kr/iosurvey.html, 2014年5月8日最終確認)。