コンデンサ用リアクトルの設計最適化
*
三澤一敵
Optimum Design of Power Capacitor
Series Reactors for Kazutaka *Misawa
A series reactor used for power capacitor has the rated reactive capac i t,y of about 6% of the lead i ng phase capac i tv. of the capacitor. I n recent >tears d ielectric materials used i n the power capacitor has been greatly improved together with i ts design and raanufacturing process, rnaking the size, weight and power loss of the capacitor considerably smalI. On the other hand, the material used i n the series reactor and therefore, the design concept of the reactor has been much l ess improved, so the size,
weight and power loss of the series reactor has been essentiallv. unchanged. Now the balance of these values between the power capacitor and the series reactor is lost when cons idering the d ifference of their apparent capaeity.
in this paper the design concept of the series reactor is rad ically reviewed, and new design concept for the reactor with and without magnet,ic core offering the minimum size, weight and power loss is presented.
1. まえがき
電力用コンデンサには,コンデンサ投入時の突入電流の 抑制,コンデンサ運転時の電力系統における高調波電流の 抑制などのために,直列リアクトルが用いられる.この直 列リアクトルの容量は,コンデンサ容量の6%程度であり,
機器の小形化を図るため,通常ギャップを有する鉄心を用 いたものが使用されている.近年電力用コンデンサにおい ては,使用誘電体材料の進歩,設計,処理方法の改善など により大幅な機器の小形化と低損失が実現している。一方 直列リアクトルにおいては,導体の特性は改善の余地がな く,鉄心材料である珪素鋼板の特性にはかなりの改善が見 られたが,コンデンサ直列リアクトル用鉄心という制約条 件からこれを十分に活用することができないため,機器の 寸法,重量および損失の面でさしたる進歩が見られない.
このため従来は,直列リアクトルの寸法・損失は,コンデ ンサ容量に対するリアクトルの容量相当と考えられてきた が,最近ではそのバランスがくずれ,とくに需要家用等小 容量コンデンサについては,リアクトルの寸法・損失がコ
ンデンサのそれに匹敵するものも現れてきた.
本報告ではこの現状にかんがみ,従来のコンデンサ用直 列リアクトルの設計法を見直し,現用導体および鉄心材料 による制約の範囲内で,その寸法,重量および損失を最小 とするような設計の最適化につき検討したものである.
* 電気工学科
平成6年8月10日受理
2.設計最適化の考え方 2.1 従来の方法
ギャップを有する鉄心を用いた直列リアクトルは,電力 用変圧器と類似の構造であるため,従来この設計に際して も,変圧器と同様の考え方が取られてきた.図1(a)は 変圧器,(b)はりアクトルの鉄心および巻線配置の概要 を示す.変圧器の場合,通常価格の主要部分を構成する鉄 心および巻線の合計価格が最小となるような設計が行われ,
これを満足するような鉄心と巻線の重量比が選ばれる.こ の重量比は,ほぼ両者の単価比に反比例すると考えてよい.
一方,鉄心重量はその断面積にほぼ比例する.また磁束密 度を一定とすれば,巻線1ターン当たりの誘起電圧(V/
T)は鉄心の断面積に比例し,一定の端子電圧に対しては 巻線の巻数はV/Tに反比例する.巻線の重量はその長さ,
つまり巻数にほぼ反比例するから,V/Tにほぼ反比例す る.このためV/Tの値を適当に選べば,コスト最小とな る鉄心と巻線の重量比が得られることになる.
津山高専紀要 第34号 (1994)
鉄心脚
二次巻線 一次巻
h
a2da1
1
!ギヤツプ巻線
岡國側側勘
(a)変圧器 (b)リアクトル 図1 鉄心および巻線配置の比較
このV/Tの値は,理論上は変圧器容量の1/2乗に比 例するもので,多くの設計例を参照し,容量を変数,電圧,
周波数などをパラメータとして設計の教科書などに与えら れているω.変圧器の設計においてはこのV/Tをもと に鉄心断面,巻線の巻数を定め,巻線電流や絶縁寸法など を考慮しながら巻線の寸法を決めて行くわけであるが,こ の際負荷電流による二次巻線端子の電圧変動率が,規格ま たは需要家により定められた値以下になるようにしなけれ ばならない.このためには一次一二次巻線間の漏れリアク タンスを所定の値以下にする必要がある,漏れリアクタン スは,図1(a)において巻線全体の幅(正確にはd+
(a、+a,)/3)にほぼ比例し,巻線の高さに反比例す るため〔2),巻線の断面形状は漏れリアクタンスが所定の 値になるように選ばれ,通常h/a、が10〜20の値と なっている.直列リアクトルの場合も,従来はこの経験を もとに巻線の高さと幅の比が変圧器巻線に近くなるように 選ばれ,この条件で所定のインダクタンスが得られるよう に鉄心ギャップの幅と個数が求められてきた.
2.2 リアクトル設計最適化の考え方
リアクトルの場合は電圧変動率を考慮する必要がないた め,漏れインピーダンスから来る巻線形状の制約を考慮す る必要がない.リアクトルの基本的な構造は空心リアクト ルであり,その最も簡単なものは,巻線の断面が矩形状で ある円筒状空心巻線である.この巻線に対しては,そのリ アクタンス(またはインダクタンス)に対し,必要とする 導体の体積が最小となるような最適断面形状が図2に示す ように求められている(3}.
空心リアクトルは構造が簡単であるが,それにより発生 する磁束は周辺に拡散し,近くに導体や磁性体があるとそ こに渦電流を発生させて電力損失や過熱を引き起こすほか,
これにより磁束分布が変り,インダクタンスが変化すると いう問題点がある.とくに電力用リアクトルに通常用いら
∫lII Ei︸ £
t l I
h l
1←一一一D一一→
} 1
α=£/D=o.34 β=t/D=0.34
図2 空心リアクトルの最適形状
れる油入式では,巻線は鉄タンクに収納されるため,上記 漏れ磁束の処理が不可欠であり,このため通常は巻線の上 下左右を珪素鋼板からなるヨークで覆い,磁束の漏れを防 いだ磁気遮蔽形が用いられる.以下ではさきの最適断面形 状をもとに,実用性を考慮してまず磁気遮蔽形空心リアク トルの最適設計条件にっき検討し,次にこれに鉄心を挿入 した場合について考察し,従来の設計によるギャップ付き 鉄心形リアクトルと特性を比較した.
3.磁気遮蔽形リアクトルの最適設計
3.1 リアクトル諸元
本報告では,50Hz系に使用される66kV,80M
VA大容量電力千進相コンデンサを想定し,これに使用さ れる直列リアクトル1相傘を検討の対象とした.
直列リアクトル諸元は以下の通りである.
定格:単相50Hz 400A インダクタンスL=32mH 電線:幅7.5mm×厚さ2.5mm 電流密度3A/mm2
絶縁距離:巻線一上下遮蔽間(沿面)100mm 巻線一垂直飛蔽間(油中) 50mm 占積率:巻線(銅)0.37,
磁気遮蔽鉄心(3.5Z155)0.97
3.2 特性検討方法
上記諸元の磁気遮蔽型空心リアクトルに対して,まず巻 線の平均直径および高さを比較的従来設計に近い値として 設計を行い,巻線と鉄心の重量およびリアクトルの損失を 計算する.この際巻線の厚さは上記占積率から計算するも のとし,また設計値は以下の制約条件を満足するもとした.
インダクタンス: L=29〜31mH 磁気遮蔽の最大磁束密度; 約1.8T
次に巻線断面の形状が図2の最適条件に近くなるまで巻 線の平均直径と高さを変えて設計を行い,重量と損失を計 算し,これらがほぼ最小となる寸法を最適寸法とした.最 適条件を得るためかなりの回数の設計を行う必要があるた め,設計計算はBASICによるプログラムを作成して行
表 1 鉄心のない場合の特性
No. 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
平均直径Dm(㎜) 535 520 600 700 850 1000 1000 800 700 600 720 高さ hk(㎜) 926 900 700 500 400 300 200 300 300 300 250 巻 線 厚さ t、(mm) 105 160 154 180 153 156 216 204 240 300 288 巻数 N 252 400 300 230 170 130 120 170 200 250 190 α=hk/Dm 1.73 1.73 1.17 0.71 0.47 0.30 0.20 0.38 0.43 0.50 0.35 β=tk/Dm 020 0.31 0.26 0.26 0.ユ8 0.ユ3 0.12 0.26 0.34 0.50 0.40 幅 A(㎜) 一 860 934 1066 1203 1356 1436 1224 1160 1120 1214 磁 気 奥行 B(㎜) 一 680 754 866 1003 1156 1216 1004 940 900 994
遮 蔽 高さ H(㎜) } 1180 980 800 700 600 500 620 620 620 570
厚さ C(㎜) 一 40 40 50 50 50 50 60 60 60 60
巻線 Gk(㎏) 561 775 671 600 539 485 447 507 522 559 510 重 量 磁気遮蔽Ge(㎏) 1300 816 847 1169 1384 1642 2050 1589 1433 1339 1518 全体 GT(kg) 1861 1591 1518 1770 1922 2126 2497 2096 1955 1898 2028
Ge/Gk 3.32 1.05 1.26 1.95 2.57 3.39 4.58 3」3 2.75 2.39 2.98
インダクタンス (血H) 32.0 30.9 29.4 30.8 30.2 29.9 30.4 30.3 29.8 29.6 30.6
容 量 (kVA) 1600 1551 1479 1547 1519 1502 1529 1523 1500 1488 1540
最大磁 巻線内側 (T) 一 0,258 0,237 0,234 0,201 0,185 0,213 0,242 0,284 0,335 0,300 束密度 磁気遮蔽 (T) 1.278* 1,680 1,777 1,635 1,712 1,848 1,777 1,611 1,659 1,777 1,801 12R (w) 10300 16051 13891 12424 11151 10032 9260 10495 10804 11576 10557 損 失 渦流損 (w) 770 283 212 186 128 98 117 167 225 341 240 鉄損 (w) 400 715 875 1042 1432 2071 2269 1373 1226 1203 1517 全損失 ㈲ 11470 17061 14994 13675 12740 12244 11707 12071 12291 13158 12362
損失率 (%) 0.72 1.10 1.01 0.88 0.84 0.82 0.77 0.79 0.82 0.88 0.80
*ヨーク鉄心中の最大磁束密度
つた.付録1にリアクトルの設計計算式およびその導出方 法,付録3にプログラムの概要を示す.
3.3 検討結果
表1に設計計算を行った結果を示す.一中No.0は,
従来の設計によるギャップ入り鉄心形リアクトル(三相器)
1相分の巻線および鉄心重量を示す.またNo.1は,巻 線の平均直径と高さをこれに近くなるように与えた場合で ある.これにより,磁気遮蔽型空心リアクトルの設計特1生 は以下のようであることが判明した.
(i)巻線の寸法比α,βをNo.6または7のように図 2の最適値に近づけると,リアクトルの損失は従来設計に 近い形状であるNo.1に較べかなり減少する.このため,
磁気遮蔽型リアクトルの最適条件は完全空心形に近いと考 えられる.
(ii)最適条件では,巻線重量はNo.1に較べかなり小 さくなるが,磁気遮蔽の重量が増加するため,リアクトル 全体の重量はNo.1にくらべかなり大きくなっている.
(iii)No.6のように,巻線の高さが直径に較べて極 めて小さいいわゆる扁平状の巻線とすると,リアクトルの
i
き C
it
t
i I 一 ﹂ ﹇ 1 il i⁝ hkH
l l l ゥ一一Dm一→ 1
﹁入
損失はさらに減少するが,磁気遮蔽の重量が急増して不経 済な設計になる,
(iv)リアクトルの損失と重量を考慮した最適設計条件は,
鉄(磁気遮蔽)/銅(巻線)の重量比が約3の所にある.
(v)磁気遮蔽空心形では,最適条件においても従来設計 によるギャップ入り鉄心形(1相分)ほど損失が小さくな
らない.
4.ギャップを有する鉄心を用いた場合
4.1 鉄心直径およびギャップ長の影響
表1の結果から,磁気遮蔽型リアクトルに鉄心を用いる
津山高専紀要第34号 (1994)
と損失および巻線重量が軽減できるこ
表 2 とが予想される.このため,最適設計
条件に近いと考えられるNo.7を対 象にこれに鉄心を挿入し,鉄心の直径
とギャップ長を変えた場合の影響を調 べた.なお簡単のためギャップは2ケ 所とし,鉄心の上下端と,それに対向 する磁気遮蔽間にあるものとした.
表2に設計計算を行った結果を示す.
これにより以下が判明した.
(i)リアクトルの損失と巻線重量は,
鉄心直径が大きくギャップ長が小さい ほど減少する.ただしギャップ長が小 さくなりすぎると磁気遮蔽内の最大磁 束密度が高くなり,先の制限値を超え るため設計不能になる.
(ii)磁気遮蔽の重量は,鉄心直径が 大きく,ギャップ長が小さいほど増加 する.これは,ギャップ長が小さい時 は鉄心内の磁束密度が高くなり,さら に鉄心直径が大きいと,その直径に相 当する部分の磁束が集中して流れる磁 気遮蔽中央部の磁束密度が極めて高く なるが,設計ではこれによる磁束の飽 和を防ぐため,磁気遮蔽の厚さを増す ようにしているからである.
磁気遮蔽の断面形状を磁束分布に対 応する形にするか,鉄心の断面形状を,
磁気遮蔽中央部に磁束が集中しないよ うな形にすれば,磁気遮蔽もしくは鉄 心の重量がかなり減少できることが予
想される.
(iii)ギャップを有する鉄心を使用することにより,リ 皇。巡 アクトル全体の重量は増加するが,損失は従来の設計方式
による場合よりもさらに減少できることが判明した.
鉄心のある場合の特性 (1)
No. 1 2 3 4 5 6 7
平均直径Dm(㎜) 800 800 800 800 800 800 800 高さ h。(㎜) 300 300 300 300 300 300 300
巻 線 厚さ t.(㎜) 180 168 156 142 138 114 84
巻数 N 150 140 130 118 115 95 70 α=hk/Dm 0.38 0.38 0.38 0.38 0.38 0.38 0.38 β=tk/Dm 0.23 0.21 0.20 0.18 0.17 0.14 0.エ1
脚外径 D、(㎜) 300 400 500 500 550 550 550 鉄 心 脚高さ h。(㎜) 300 300 300 350 350 400 450 ギャップ長 旦。(㎜) 100x2 100x2 100x2 75x2 75x2 50x2 25x2 幅 A(㎜} 1240 1228 1216 1222 1238 1234 1284 磁 気 奥行 B(㎜) 980 968 956 942 938 914 884 遮 蔽 高さ H(㎜) 660 660 660 680 700 720 800
厚さ C(㎜) 80 80 80 90 100 110 150
巻線 Gk(kg) 447 418 388 352 343 283 209
重量 臨蔽坤㎏) 149
Q088 265 Q048
415 Q008
484 Q233
585 Q495
669 Q668
752 R620 全体 GT(kg) 2684 2731 2811 3068 3423 3620 4581
Ge/Gk 5.00 5.54 6.25 7.72 8.98 11.8 17.2
インダクタンス 価) 29.7 29.8 30.1 30.3 31.7 30.1 29.9
容量 (kVA) 1491 1499 1512 1521 1595 1514 1505
最大磁 鉄心内 (T) 0,533 0,497 0,462 0,559 0,545 0,675 0,993 鉄心外 (T) 0,213 0,199 0,185 0,168 0,163 0,135 0,100 束密度 磁気遮蔽 ① 1,666 1,741 1,790 1,832 1,702 1,840 1,904 12R (W) 9260 8643 8026 7285 7100 5865 4322 渦流損 ㈹ 116 95 77 58 54 31 13 損 失 脚鉄損 ㈹ 27 42 57 97 112 195 472 磁気遮蔽鉄損㈹ 1373 1606 1857 2123 2146 2704 3962
全損失 (W) 10785 10386 10008 9519 9352 8659 8365 損失率 (艶) 0.72 0.69 0.66 0.63 0.59 0.57 0.56
4.2 巻線の直径および高さの影響
表2の結果から,磁気遮蔽型リアクトルにギャップを有 する鉄心を用いた場合には.空心形とは異なる巻線の直径 とした方が損失および重量が小さくなることが予想される.
表3にこの場合の検討結果を示す.表3では,まず巻線の 直径と厚さを計算し,鉄心の直径は巻線との絶縁距離が一 定になるように決定した。またギャップ長は25mmとし,
鉄心の上下と磁気遮蔽間の2ケ所に設けるものとした.結 果は以下の通りである.
(i)ギャップを有する鉄心を用いた場合は,空心の場合 に比べ巻線の直径がやや小さい方が損失,重量とも小さく
} 鉄心 C
巡 ⁝ t
h。 ︐i ︸︸Dii︷ 星i hkH
き
l i
︸1
l l ! l l i
ゥDm→ A
なる.
(ii)この場合は空心時と異なり,巻線の高さが直径の1
/2〜2/3のときが最も損失が小さく,重量も軽くなる
と考えられる.
(iii)ギャップを有する鉄損を用いた磁気遮蔽型リアク トルの最適設計条件では,損失率はリアクトル容量の0.
47%となり,従来設計品の約2/3である.
この場合の重量は従来設計品1回分の約2倍 となっているが,これは両側面の磁気遮蔽の 重量が大きく影響しているためで,リアクト ルを三相構造とし,これを省略する設計とす れば,従来品と同等の重量とすることができ ると考えられる.
図3に最適設計条件における磁気遮蔽内の 磁束密度および鉄損分布,図4に,従来設計 と比較した最適設計条件における空心形およ びギャップ入り鉄心形磁気遮蔽リアクトルの 寸法を示す.
5 2.5 鉄 磁 4 2.0
損 束 3 1.5
(W/kg)密
2 1.0 度 1 O.5
(T)
o o
束密
、
鉄損 \\
\\
q loo 200 3Qo 4eo sqomm
l /i
脚中心 1 i磁気遮蔽…{ i
外側
1 60 i 1
⁝ 一 一 ﹁ ︑
1 1
(a) 鉄心なし
\睾︑
oo 1
心四面Mω隔︶・︒麟磁束密度α5 4 3−2 1 0 ど鉄損疎 御
東密
\
鉄損 \
︑
表 3 鉄心のある場合の特性 (2)
No. 1 2 3 4 5 6
平均直径Dm(㎜) 700 600 600 600 600 600 高さ h、(㎜} 300 250 300 400 600 900
巻線 厚さ t。(㎜) 94 159 120 86 54 35
巻数 N 78 110 100 95 go 88 α=hk/Dm 0.42 0.42 0.50 0.67 1.00 1.50 β=tk/Dm 0.13 0.27 0.20 0.14 0.09 0.06
脚外径 D、(㎜) 500 340 380 410 440 460 鉄 心 脚高さ h。(㎜) 450 400 450 550 750 1050
ギャップ長 £。(㎜) 25x2 25x2 25x2 25×2 25×2 25x2 幅 A(㎜) 1214 1179 1120 1106 1074 1055
磁 気 奥行 B(㎜) 794 759 720 686 654 635
遮 蔽 高さ H(㎜} 820 770 800 920 1120 1420 厚さ C(㎜) 160 160 150 160 160 160 巻線 Gk(kg) 204 246 224 212 201 197
重 量
藁葺遮蔽}細 622
R330 256 R024
359 Q678
511 Q863
803 R001
1228 R352 全体 GT(㎏) 4155 3526 3260 3586 4005 4776
Ge/Gk 19.4 13.3 13.6 15.9 18.9 23.3
インダクタンス (mH) 30.2 30.4 29.7 30.0 30.0 30.7
容 量 (kVA) 1516 1529 1493 1509 1508 1542
最大磁 鉄心内 (T) 1,107 1,561 1,419 1,348 1,276 1,246 鉄心外 (T) 0,111 0,174 0,142 0,113 0,080 0,057 束密度 磁気遮蔽 (T) ユ,799 1,800 1,902 1,794 1,794 1,816 12R (w) 4213 5093 4630 4399 4167 4075 損 失 渦流損 ㈲ 15 42 26 16 8 4 脚鉄損 (w) 483 392 456 586 825 1205 磁気遮蔽鉄損㈲ 3198 2218 2527 2564 2914 3516 全損失 ㈹ 7490 7422 7249 7026 7122 7618 損失率 個 0.49 0.49 0.49 0.47 0.47 0.49
200 3001i 400 l seomin
t i l
l磁気遮蔽 外側 1 、 l I i
1 150 ii i F
﹂li 鉄 心︸1
l l 戟@ 2
(b) 鉄心あり
図3 磁気遮蔽内の磁束密度分布と鉄損分布
ゴ量﹃欄ヰ
L =・
一 mmJ
T一
従来形直列リアクトル 50Hz 400A 32mH 1相分(1600kVA)
損失11.5kW {e.72%)
1
回
磁気遮蔽空心形最適設計
{表1 No.7)
30.3mH 1523kVA 損失12.lkW(0.79%)
磁気遮蔽鉄心形最適設計
(表3 No.4)
30.OmH 1509kVA 損失 7.OkW(O.47%)
図4 設計方式によるりアクトルの寸法,重量の比較
津山高専紀要 第34号 (1994)
5.むすび 付録1. 磁気遮蔽型リアクトルの特性計算式
コンデンサ用直列リアクトルの最適設計条件を検討する ため,まず磁気遮蔽型空心リアクトルにつき,そのインダ クタンスおよび皮相容量が一定のとき,リアクトルの重量 および損失が最小となる条件を調べた.その結果,巻線の 形状が磁気遮蔽のない完全空心リアクトルの最適形状に近 いとき,上記最適条件が得られることが分かった.また磁 気遮蔽型リアクトルにギャップを有する鉄心を用いると,
従来の設計方式によるりアクトルと比べ巻線の重量は約1
/3,鉄損を含む損失は約2/3とすることができ,この ときの巻線の高さは,平均直径の1/2〜2/3となるこ とが判明した.なお上記検討では円形断面の鉄心を用いて いるため,磁気遮蔽内の磁束密度がかなり不均一になり,
このため磁気遮蔽鉄心の重量が増している.このような磁 束の不均一を生じない鉄心の断面形状を採用すれば,磁気 遮蔽の重量をかなり軽減することができ,さらに含有的な 設計が可能である。
文 献
(1)木村久夫:「変圧器の設計工作法」, (昭42),70,
電気書院
(2)大岡登,前川定雄:「変圧器」, (昭43),174,
東京電機大学出版局
(3) F.W.Grover: ℃alculation of mutual induc七ance and self inductance , (1964), 97, Dover Publica−
tion lnc.
1.リアクトルの形状
付図1.1に,今回検討の対象とする磁気遮蔽型リアク トルの形状,寸法を示す.設計式に一般性をもたせるため,
リアクトルは鉄心を用いるものとし,鉄心上下端と,それ に対向する上下の磁気遮蔽間に各一ケ所のギャップを設け るものとしだ.鉄心のない完全空心の場合に対しては,鉄 心の比透磁率を1とするか,鉄心の直径D、もしくは高さ
h。を0とすればよい.
なお鉄心は,最近分路リアクトル等に使用されている珪 素鋼板を放射状に配列し,全体として円板状に成型したい わゆるラジアルコアを用いるものとした.
磁気遮蔽 A,
巻線
● 齢
P ⁝i ! il l i
@ }
⁝
r⁝i△・ 1E︸︸ ⁝⁝置 B
A
@ …
ユ蔽 旦ぱ 1ラジアルコア鉄心脚
︸旨︸
hkh。 h良
︸b︑D田
tk
巻線:巻数N, 電圧1(A), 電流密度σ(A/㎜2)
銅占積率ηk
付図1.1 磁気遮蔽型リアクトルの形状・寸法
2. 磁束密度とインダクタンス 2.1 磁束密度
簡単のため,鉄心および巻線の磁束の半径方向への漏れ ばないものとする.
鉄心内および鉄心一巻線聞の磁束密度(波高値)をそれ ぞれB、,B2,巻線電流によるアンペアターンをNI(実 効値)とすると,付図1.2から次式が成り立つ.
hn r hc hA−p hc
(一一一 L一+
)B1=一B2・=ぜ2NI (付1.1)
ptopts Ue pto
これよりB、,B2は V2 pt oN 1
(付1.2)
B1= hc
十h臭一h。
lt s
鉄心 巻線
59
甘99﹁ !l cヒ﹁ ︸i 2
1 1
P 「 覇 闘 闘
P 脚 , i r i 蔭 し 、 i l i
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コ ロ し チ ヒ ロ
}一一Dバー一←団 i
r , 「 l I , , 1 [ I I 5
dN
巻数N 旨1 5r→i
@ i …
B2 φ鼠
︸ B箆;
D1 X X
B, B,
!
磁気遮蔽型リアクトルの磁束分布
付図1.3 巻線断面内の磁束密度分布
付図1.2
V2 uoN I B2=
(付1.3)
h,
ただし
ha=hk十2A2
であり,△2は巻線の上下端と磁気遮蔽間の絶縁距離であ
る。
2.2 インダクタンス
(1)巻線内側の磁束によるインダクタンス
鉄心内部と鉄心一車線軍曹間部の磁束φ、,iP 2は次式か ら計算される.
π π ぜ2μoNI
φJ= sD 2B ηc=τD 2 j+(⊥.1)、.ηc μs
(付1.4)
れ
φ2=一(DI2一・Dt2)B2 4
一エイ2・・NI(D、2−D、2) (付1.5)
4 hA
ここにD、=Dm−t。は巻線内側の直径である.
ゆえにこの磁束によるインダクタンスは次式から計算さ
れる.
φ1十φ2 Li= _ N V21
富π アON2 o。搾ゴ1)。ゴD1聡
=π F㌻睾1)・・
・÷{(D・一・・)2・一D・り
(付1.6)
(2)巻線部分の磁束によるインダクタンス
付図1.3は,巻線断面内の磁束密度の分布を示す.巻 線断面内のアンペアターン分布が均一であり,半径方向に 磁束の漏れがない場合には巻線の外側の磁束は0であり,
磁束密度は,内側面のB,から外側面の0まで直線的に減
少する.
付図1.3おいて,巻線断面の幅dx部分の巻数dN=
(N/t)dxが鎖交する磁束は,
・X・
??Fy(・・+・ξ){・・÷・・ 一 B・)}・ξ
1 D1
(B2十Bx)x十一(B2十2Bx)x2}
=π{
2 3
巻線全:体の角子量は,Bx=B・(1一一)より t
ミち
Φ・=∫φ・dN
x;o
ぞが÷(・・+B・.)・
1
+一語一(・・+2B・)x2}dlx 一π薯:デ2ノごで3エ(2−liT,)x
2x
十(1一 )x2}dx 3一しk
.一πN・、(D・+t・),、
3 6
=ぜ2π蓋iN21(k÷・。
従ってインダクタンスは,
・・= コ書卜πliN2(書lk)・・
(付し7)
(2)リアクトルの全インダクタンス 以上よりリアクトルの全インダクタンスは L=Li十L,
津山高専紀要
富π 、ヂ2 k÷{、ヰ1)÷
+ (Dm一 t k) 2一 D i2
j+ (rEl−1 E一 一一一 一l12 L) t
(付1.8〕
3.重量と損失の計算 3.1 銅重量と銅損
(1)銅重量 巻線の断面積:
NI 1
Sk= ・一 (イ寸L9)
ok nk
巻線の幅;
Sk NI 1 tk oknk
t k=一 =一 一, r一一 = NI
hk oknk hk hk
(付1.ユ0)
巻線の容積:
Vk=πD.Sktk (付1.11)
銅重量:
Gk=8900Vkηk (kg) (付1.12)
(2) 12R損
75。Cにおける12R損を次式により計算する。
W, :2,3σk2Gk (W) (付1.13)
(3)渦電流損
幅a,厚さbの平角銅線の渦電流損は次式から計算され る(付図1.4(a)).
(71 fBx) 2
ab3 (W/m) (付1.14)
Wl=
6p
ここにB.は幅aに沿う磁束密度(T),ρは銅の固有抵 抗で,75。Cでは2.1×10 8(Ω・m)である.
付図1.4(b.)の巻線断面内の幅dxの部分の巻数は,
N
dN =一dx
tk
この部分の導体の長さは
dN
巻数N X →
B
甲
b
(a)電線断面
付図1.4
巻
B2 Bx
X x D1 tk
(b)巻線断面内の 磁束密度分布 渦電流損の計算寸法
第34号 (1994)
d2・ ・・(D、+2。)dN=。(D、+2。)⊥d。
tk また磁束密度は
メ
Bx=(1一〜)B2
tk 従って渦電流損は
dWa=Wld皇
(πf)2
πN
=6,ab3tk(D・+2・)B・2d・
π3f2N x
=6ρt。ab3B・2(D・+2x)(1 E7)2d・
巻線全体の渦電流損は
π3f2N
W2罵 abeB22 6ρtk
セに
・万(・・+・・)(・一÷・d・
・諜・b・B・2(÷・÷)(W)
(イ寸1.15)
3.2 鉄重量と鉄損
(1)鉄心脚の重量
Gc=9c・πDi2hcηc
=7650π:D、2hcηc (kg) (付1.16)
ここに g。:鉄心の比重=7650 (kg/m3)
η。:鉄心の占積率=0.97
(2)鉄心脚の鉄損
W。=w。・G。 (W) {付1.17)
f
Wc≒Wco(一一)mBln, Bエ≦Bsi fo
f
≒w。。(一一)mBln f。
レむ エロロ エ ロヨヨ
( )2・109−
logBs2−10gBsl
wc1 ×10
f 2
=w。o(一一)mB正n・10a(1。9Bl−fi}, B1≧B§i fo
(付1.18)
f。=60Hzとし常用対数を用いる時の各定数を付表
1に示す.
付表孝 脚鉄損計算定数
珪素鋼板 n m B。1 B。2 Wco Wc1 Wc2 α β
35H360 R5Z155 R0ZH105
1.5 P.98 Q.09
ユ.6
P.6 P.6
1.2 P.6 P.6
1.6 Q.0 Q.0
2.3 O.85 O.60
4.65 R.35 Q.55
5.8 R.8 R.1
6.14 T.82 W.9
0,079 O,204 O,204
(3)磁気遮蔽の重量 磁気遮蔽の容積:
V.=2 (A十h n) BC
=2 {D.十 t k十 2 (A i十C)十hk十 2A2}
×(D励十 しk)C (付1.19)
重量:
Gv=7650Vy・ηy (kg) (付1・20)
η.:磁気遮蔽鉄心の占積率≒1
(4)磁気遮蔽の鉄損
最大磁束密度(付図1.1P点):
Bym=?otDiBi+t(Di−Di)B2
一し,B2
+ } (付1.21)
2
鉄損:
W。=8(W。十Wb十We)十4Wd (付し22)
We, W・, W。, W,は,付図2.1(a),(b),
(c),(d)部分の鉄損を表わす(付録2参照).
付録2. 磁気遮蔽の鉄損の計算
1.計算方法
磁気遮蔽内では位置により磁束密度が異なるため,各位 置の磁束密度から鉄損を計算し,これを加えあわせて全体 の鉄損を求めなければならない.
付図2.1は,磁気遮蔽リアクトルの模式図を示すb図 では磁気遮蔽の厚さと,巻線および鉄心脚と磁気遮蔽間の ギャップは無視して描いてあるt図において(a)は鉄心,
(b)は鉄心と巻線間, (C)は巻線の断面部分,太線で 示す(d)は巻線外の部分に対向する範囲で,それぞれの 範囲に相当する鉄損をW。,Wb, W。, W,とおくと構造の 対称性から全鉄損W。は次式で計算される.
W.=8(W。十W,十W。)十4Wd (付2.1)
(d)
(c) (b) (a) 巻線鉄心
磁気遮
A ︐
i
付図2.1磁気遮蔽の鉄損計算モデル
(d)
A/2→ i ;r3=Dy
C 磁気遮蔽
@ (c
線 ぼ,瑠D
@ {ib) lrドD
@ (a)1
︶A一 @ {
1 一一羽 1
y
dxd
一 一 一
} 鉄 心 1 y___.L⊥A
@ r
l l l
黶煤E■i︷ x l 「
B2
i
a、 1
@ {
lt
付図2.2 上部磁気遮蔽1/4部分とこれへの 入射磁束密度
2.各部鉄損の計算式 2.1 鉄心対向部分W。
計算は,付図2.1(a),(b),(c),(d)各 部分の中心線A−A に対称な部分に関して行う.付図2.
2に,上部磁気遮蔽左上1/4に相当する部分の詳細と,
中心線A−A 上においてこれに入射する磁束密度の分布 を示す.磁束が鉄心脚中心線から左右に等分して流れると 考えると,dxdy部分の磁気遮蔽内の磁束密度は次のよ
うになる.
Bl
B・・= モ? @ (付2・2)
ゆえにdxdy部分の鉄損は次式で表わされる。
d2W=g。Cw。(B.y)dxdy (付2.3)
ここに
9c:鉄心の比重=765e (kg/m 3)
C:磁気遮蔽の厚さ (cm)
w。=w・o(f/fo)mB.yn (Bx。≦Bsl)
=w。o(f/fb)mB .y ・loa(logBxy一β)2 (Bxy≧Bsl)
(付2.4)
鉄損WAは.(付2。3)を積分することにより次式から計算
される.
ポコヤエ みコにユ
W・・∫・・∫・cCwc(B.。)・・ (付・.・)
y=Q x富0 ただし
皇,= r12 一一 y 2, r1:鉄心の半径
2.2 鉄心一巻線聞部分Wb
付図2.3において,この範囲の磁気遮蔽の微小面積d
巻線(c)
(b)}「2
@ 9@ r1
旦2 .
秩E一→} i d
c.j 1S心 (a)i リ
@ ヨ
y
dx x l
津山高専紀要第34号 (1994)
dxdy部分の磁気遮蔽内磁束密度は 05ySri:
1
Bxvi=T{Biai+B2(22 一 £i)
…乱泥「・轟率
1
=t [Bi,SLJ+B,(22−2,)
付図2.3 鉄心・一巻線間部分
xdyにおける磁束密度は次式で与えられる.
1
Bxyi =÷ {Bi2i十B2(X 一 £i)} ,
C B,
B翼y2= x,
C
O$y$ri
riSySr2
(付2.6)
従って鉄損W。は,W。と同様にして次の積分により計算
される.
ン アユ
アヨユ
W・・∫d・∫・。Cw。(B..1)dx
y冒O
x=21
エコまヨ アヨじ
・∫d・∫・・Cw・(B..・)・・
y=rl X=0
(付2.7}
ただし
a、=。、2−y・,2、=f下;7:ly7−
r2:巻線の内側半径 2.3 巻線断面部分宙。
付図2.4のdxdy部分の磁気遮蔽への入射磁束密度
は,
Sl Bixv=B2
ヨ
r、一ffW
=B2
r3−r2
ir3
(d)
1
£3→1 r2幽
1 2一一〉
@ }
︶ 巻線
ic) (b) θ
︸ii︻y艮
1 1 5
脚
idx 口
x→
B,
dy
付図2.4 巻線断面部分
dx}
+g/. {r3(x−22)一一一1一(x/;i7F 2
r3−r2
一、、癖+y・、。9・+露ア)}]
a、+癖
1
=T {Bigi+B2(a2一一 ai)+f(a,, x)・B,}
(付2.8)
rユ≦y≦r2:
Bxy2=一
Q一! 一{a2+fg,X−1:一g 一i}Hf i t−i!一:一 3/.一FFI」ir x2,+y2 dx}
B,
=C{a・+f(a…)} (付2・9)
r2$y$r3:
・・… P {ズ「・託辱・・}
B2
=cf(0・・) (付2・1・)
ただし
・(・…イ「・∋、辱三・・
1
一一一M {r3 (x2−xD r3−r2
一 一ii (x2 61F;gy;T 一 x i M x,+fY;izrgy;T 十 y 210g
)}
Xl+繭丁
(付2.11)
従って鉄損W。は,次の積分から計算される.
W・=箔 部二十・w・(・・.・).d・
+J;lli 2y f.1=t,n.3cw. (B.y2) dx
・t二攣flド1・w・(・xy3)・・
(付2.12)
ただし
a,= vrF−1−i:ly;i;一一, 2,= JF;;:一iy;5一
£3= r32−y2 , r 3:巻線の外側半径