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論文審査の結果の要旨 氏名:工

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Academic year: 2021

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平成30年3月7日

論文審査の結果の要旨

氏名:工

博士の専攻分野の名称:博士(歯学)

論文題名:Functional role of the silent information regulator 2 homolog 1 (SIRT1) in periapical granulomas (歯根肉芽腫におけるSIRT1の機能的役割)

審査委員:(主 査) 教授 佐

(副 査) 教授 小木曾 内 教授 浅 教授 川

Silent information regulator 2 homolog 1SIRT1)はnicotinamide adenine dinucleotide依存性ヒストン 脱アセチル化酵素である。また,SIRT1は生体組織内での酸化ストレスを抑制し,細胞の新生や創傷 治癒に有効な役割を果たしていると考えられている。SIRT1活性を調整する物質の研究もされており,

resveratrolは,SIRT1発現を上昇させることが判明しているが,sirtinolSIRT1発現を抑制すること NF-κB活性化による炎症増悪を促進させることが明らかにされている。

そこで著者は,SIRT1 が創傷治癒に深く関与していることを鑑み,幼若毛細血管形成ならびに炎症 性細胞浸潤を伴った炎症性疾患である歯根肉芽腫の治癒課程における SIRT1resveratrol ならびに

sirtinolの炎症性細胞への作用,SIRT1の創傷治癒への関与を検討した。

実験1では,ヒト単芽球細胞株であるU-937を用いた。すなわち, lipopolysaccharideLPSE.coli 0111:B4 由来),resveratrolおよびsirtinolによる単独あるいは共刺激下でU-937を一定期間培養し,

上記物質の添加濃度および刺激時間を変化させた際のSIRT1発現を観察した。実験2では,実験1と 同様の刺激条件下でU-937を培養した後,サイトスピン標本を作製し,蛍光二重染色法を用いてSIRT1 細胞増殖マーカーであるKi-67,酸化ストレスマーカーである8-hydroxy-2’-deoxyguanosine8-OHdG の発現を検索した。標本の染色は 1 次抗体に抗ヒト SIRT1 ウサギモノクローナル抗体および抗ヒト

Ki-67マウスモノクローナル抗体または抗ヒト8-OHdGマウスモノクローナル抗体を用いた。次いで2

次抗体としてfluorescent isothiocyanateFITC)標識抗ウサギ抗体またはrhodamine isothiocyanateRITC 標識抗マウス抗体を用いた。核は 4’6-diamidino-2-phenylindoleDAPI)で染色した。実験3では,歯 根肉芽腫におけるSIRT1タンパクの発現について検索した。外科的歯内療法または抜歯術により採取 された歯根肉芽腫を凍結切片化して実験に用いた。また,健常歯肉組織をコントロールとした。切片 に対する蛍光二重染色法は,実験2と同様の抗体を用い,発現細胞を検出した。

その結果,以下の結論が得られた。

1. LPSおよびresveratrolの単独刺激では,培養6時間後にSIRT1 mRNAの発現量はピークに達した が,培養24時間後には無刺激(コントロール)と同程度に低下した。しかし,LPSresveratrol による共刺激においては培養6時間後に最も高いSIRT1 mRNA発現を示し,培養12および24 間後も発現増加が認められた。同実験条件にsirtinolを添加したところ,LPSresveratrolの共刺

激によるSIRT1 mRNA発現増加は抑制され,コントロールと同程度となった。

2. SIRT1およびKi-67は,LPSresveratrolで共刺激した際に最も高いタンパク発現を示したがLPS

sirtinol で共刺激した条件下ではコントロールと同程度であった。陽性細胞率を計測した結果,

LPS刺激に比べてresveratrol刺激で有意に高いSIRT1陽性率を示した。また,LPS単独刺激に比

べてLPSsirtinolの共刺激で有意に高い8-OHdG陽性率となった。

3. 歯根肉芽腫中の円形細胞にSIRT1タンパクと8-OHdGタンパクの共発現が認められたが,健常歯 肉組織ではSIRT1および8-OHdGタンパクは確認されなかった。

以上のことから,慢性炎症性疾患である歯根肉芽腫においてSIRT1は細胞増殖の促進や酸化ストレ スの軽減・抑制を介して治癒促進に深く関与している可能性が示唆され,歯内療法学ならびに関連歯 科臨床分野に寄与するところが大きいものと考えられた。

よって本論文は,博士(歯学)の学位を授与されるに値するものと認められる。

以 上

参照

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