• 検索結果がありません。

Microsoft Word - 1表紙H28抗不整脈薬 .doc

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "Microsoft Word - 1表紙H28抗不整脈薬 .doc"

Copied!
72
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

ハイリスク薬のポイントブック<6>

不整脈用剤・ジキタリス製剤

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

目 次

◆参考 診療報酬におけるハイリスク薬の考え方 ・・・・・・・・・・・ 1 ◆薬学的管理指導において特に注意すべき事項 ・・・・・・・・・・・・・ 2 ◆ 対 応 時 の 注 意 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 ◆ 服 薬 指 導 の ポ イ ン ト ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 □ 自 覚 症 状 確 認 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 □ 服 薬 状 況 確 認 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 □ 検 査 状 況 や 主 治 医 の 説 明 内 容 の 確 認 ・ ・ 3 □ 他 剤 併 用 の 確 認 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 □ 薬 剤 の 特 徴 を 把 握 す る ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 □ 適 応 症 の 確 認 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 □ 用 法 ・ 用 量 等 の 確 認 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4 □ 注 意 を 要 す る 疾 患 の 確 認 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4 □ 薬 剤 群 別 の 注 意 事 項 ( 副 作 用 ) ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4 □OTC薬、民間療法、健康食品の使用確認 ・・ 5 □ リ ス ク 因 子 の 有 無 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 5 □ 日 常 生 活 の 指 導 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 6 □ 食 事 ・ 嗜 好 品 摂 取 の 指 導 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 6 □ 家 族 へ の 情 報 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 6 □ 治 療 薬 物 モ ニ タ リ ン グ ( T D M ) ・ ・ ・ ・ ・ 7 ◆機器を植え込んだ患者の自動車の運転 ・・・・ 7 ― ◆ 不 整 脈 の 治 療 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 7 ◆ 治 療 の 選 択 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 8 ◆ 不 整 脈 の 薬 物 治 療 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 9 1 . V a u g h a n W i l l i a m s 分 類 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 9 2 . S i c i l i a n G a m b i t 分 類 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 1 ◆ 抗 不 整 脈 薬 の 禁 忌 疾 患 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 4 ◆ 心 機 能 低 下 患 者 へ の 投 与 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 5 ◆ 腎 機 能 障 害 患 者 へ の 投 与 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 5 ◆ 肝 機 能 障 害 患 者 へ の 投 与 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 5 ◆ 妊 婦 へ の 投 与 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 5 ◆ 高 齢 者 へ の 投 与 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 6 ◆ 催 不 整 脈 ( プ ロ ア リ ズ ミ ア ) ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 6 1.徐脈性不整脈 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 2.薬剤依存性上室頻拍 ・・・・・・・・・・・・・・・ 17 3.薬剤依存性心室頻拍 ・・・・・・・・・・・・・・・ 17 ◆ T r s a d e s d e p o i n t e s ( T d P ) ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 8 ◆ 陰 性 変 力 作 用 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 9 ◆アップストリーム治療戦略 ・・・・・・・・・・・・・・・ 20 ◆最新の動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20 ― ◆ 心 臓 の 構 造 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 1 ◆ 心 臓 の 刺 激 伝 導 系 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 1 ◆ 心 筋 の 活 動 電 位 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 2 ◆ 心 電 図 ( e l e c t r o c a r d i o g r a m : E C G ) ・ ・ 2 2 ◆ 不 整 脈 と は ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 3 ◆ 不 整 脈 の 発 生 機 序 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 3 ◆ 不 整 脈 の 分 類 と 治 療 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 5 Ⅰ . 徐 脈 性 不 整 脈 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 5 Ⅱ . 頻 脈 性 不 整 脈 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 7 Ⅲ . 伝 導 障 害 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 4 Ⅳ . 不 整 脈 を き た す 心 電 図 症 候 群 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 4 ――――――― ◆ ジ キ タ リ ス 製 剤 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 6 ◆ 服 薬 指 導 の ポ イ ン ト ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 6 ◆ ジ キ タ リ ス と は ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 8 ◆ ジ ギ タ リ ス の 作 用 機 序 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 9 ◆ 治 療 薬 物 モ ニ タ リ ン グ ( T D M ) ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 9 ◆ ジ ギ タ リ ス 中 毒 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 9 ――――――― ◆ 不 整 脈 の 非 薬 物 療 法 に つ い て ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4 1 [心臓ペースメーカーと植込型除細動器] < 表 > 不 整 脈 の 分 類 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4 3 主 な 抗 不 整 脈 薬 一 覧 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4 4 主 な 抗 不 整 脈 薬 一 覧 - S i c i l i a n G a m b i t 分 類 ( 日 本 版 ) - ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4 7 抗 不 整 脈 薬 の 「 重 要 な 基 本 的 注 意 」 と 副 作 用 症 状 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 4 9 抗 不 整 脈 薬 の 「 重 大 な 副 作 用 」 と 初 期 症 状 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 5 2 添 付 文 書 に 「 Q T 延 長 」 の 記 載 の あ る 薬 剤 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 5 5 抗 不 整 脈 薬 の 治 療 薬 物 モ ニ タ リ ン グ ( T D M ) 対 象 薬 物 と 有 効 血 中 濃 度 域 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 6 2 抗 不 整 脈 薬 の 健 康 食 品 ・ サ プ リ メ ン ト 等 食 品 と の 相 互 作 用 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 6 3 ジ ギ タ リ ス 製 剤 一 覧 ・ 注 意 す べ き 副 作 用 と 初 期 症 状 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 6 6 ジ ギ タ リ ス 製 剤 の 相 互 作 用 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 6 7 ジ ゴ キ シ ン の 健 康 食 品 ・ サ プ リ メ ン ト 等 食 品 と の 相 互 作 用 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 7 0

(2)

-1-

この冊子は、現在、愛知県薬剤師会薬事情報センターと岐阜県薬剤師会ぎふ薬事情報センターが

共同し県薬剤師会ホームページの会員情報に提供している『ハイリスク薬の薬学的管理指導 薬局

向け参考資料』より作成しました。

今回はハイリスク薬の「不整脈用剤・ジキタリス製剤」について冊子にまとめました。日常業務

にお役立てください。

参考 診療報酬におけるハイリスク薬の考え方

ハイリスク薬の薬学的管理指導を実施する上で必要な、薬局・薬剤師が行うべき標準的な業務を

示したものが、

「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン(第 2 版)

[日本薬剤師会 平成 23 年 4 月 15 日]です。このガイドラインは、平成 28 年度調剤報酬点数表

「特定薬剤管理指導加算」の参考にするものです。

特にハイリスク薬については、下記の5-Components と薬物動態学的な視点(体重、身長、腎機

能検査値、肝機能検査値等)を意識した服薬指導が望まれています。

① 薬剤の効果(作用)

:どういう効果があるか、いつごろ効果が期待できるか

② 副作用(副作用の自覚症状)

:どのような副作用が起こりうるか、いつ頃から、どのように自覚されるか

③ 服薬手順

:どのように、いつ、いつまで服用するか、食事との関係、最大用量、服用を継続する

意義

④ 注意事項

:保管方法、残薬の取り扱い、自己判断による服薬や管理の危険性

⑤ 再診の予定(次回受診日)

:いつ再診するか、予定より早く受診するのはどのような時か

個々の患者さんを薬剤のハイリスクから守るため、薬局薬剤師が投薬時に患者さんと対面におい

て、情報収集し考え、フォロー・指導を行うものであり、画一的な内容では網羅しきれない綿密な

薬学的管理指導です。患者さん又はその家族等に対して確認した内容及び行った指導の要点につい

ては、薬剤服用歴の記録に記載することが基本となります。

―――――――――――――――――――――――――――――

●診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知):抜粋

平成 28 年 3 月 4 日保医発 0304 第 3 号 別添 3(調剤報酬点数表)より

ア 特定薬剤管理指導加算は、薬剤服用歴管理指導料を算定するに当たって行った薬剤の管理及び

指導等に加えて、患者又はその家族等に当該薬剤が特に安全管理が必要な医薬品である旨を伝え、

当該薬剤についてこれまでの指導内容等も踏まえ適切な指導を行った場合に算定する。

なお、

「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン」

(日本薬剤師会)

等を参照し、特に安全管理が必要な医薬品に関して薬学的管理及び指導等を行う上で必要な情報に

ついては事前に情報を収集することが望ましいが、薬局では得ることが困難な診療上の情報の収集

については必ずしも必要とはしない。

イ ・・

(省略)

・・具体的な対象薬剤については、その一覧を厚生労働省のホームページに掲載し

ている。

(3)

-2-

不整脈用剤

◆対応時の注意

抗不整脈薬は、不整脈の原因である心臓の刺激伝導系の異常な刺激の伝わりを正常に改善すること で効果を示すが、有効治療域が狭く、体内動態の個人差・個体内変動が大きな薬剤である。また、使 用により不整脈は抑制するが、新たな不整脈を誘発する催不整脈作用を起こす可能性もある。これは、 心室頻拍とtorsades de pointes(TdP)型の多形性心室頻拍がその代表疾患で、突然死の危険性が高 い。その予防と早期発見・対応が重要となる。

◆服薬指導のポイント

→資料 「抗不整脈薬の重要な基本的注意と副作用症状」・・・P49 □患者の自覚症状を確認する ・めまい、動悸、胸が痛む、胸部不快感、脈が飛ぶような感じなどの症状がないか ⇒新たな不整脈の誘発 ・安静時または運動時に息切れがないか⇒心拍出量の減少

◇薬学的管理指導において特に注意すべき事項

1) 患者に対する処方内容(薬剤名、用法・用量等)の確認 2) 服用患者のアドヒアランスの確認 3) 副作用モニタリング(ふらつき、動悸、低血糖等の症状)及び重篤な副作用(催不整脈等) 発生時の対処方法の教育。検査状況やその値(腎、肝機能等)の確認。 4) 効果の確認(最近の発作状況を聞き取り、適正な用量、可能な場合の検査値のモニター) 5) 一般用医薬品やサプリメント等を含め、QT 延長を起こしやすい薬剤等、併用薬及び食事 との相互作用の確認

催不整脈発生を防ぐ

・不適切な薬剤投与量を避ける ・徐脈、低K 血症の予防 ・血中濃度が上昇しやすい腎機能および肝機能障害への影響を考慮する ・薬物代謝酵素CYP2D6、3A4 の代謝阻害剤併用時の用量調節 ・高齢者への安易な使用を控える ・抗不整脈薬の利点と欠点を考慮し、漫然とした使用を避ける ・抗不整脈薬を服用している患者を注意深く観察する(めまい、動悸等の症状がないか) ・頻回に心電図モニター検査を行う ・使用している抗不整脈薬の適応を把握する

(4)

-3- ・激しい空腹感、ふらつき、冷や汗 ⇒低血糖 砂糖やブドウ糖などを携帯して症状がある時に速やかに摂取するように指導 ・失神、めまいの既往⇒心房細動の患者への催不整脈 ・呼吸数の変化、息切れ、むくみ、体重増加 ⇒心不全症状 □服薬状況の確認 ・医師の指示とおりに決められた時間に、決められた量を服用できているか 服用を急に中止すると重篤な変化をきたすことがあるので、勝手に変更しない。 ・定期的に心電図、血液の検査も行っているか ・最近の発作状況を聞き取る 日記やお薬手帳に記録してもらうことで、薬剤の効果を確認することができる。 ・服用に対して不安、質問がないか □検査状況や主治医の説明内容の確認 ・定期的に心電図検査、血圧測定を行い異常な変動がないか ・病状の理解、また、服薬の必要性を理解しているか(基礎疾患がなく、生命予後やQOL に影響 しない場合は治療を必要としないこともある。) 抗不整脈薬では病態そのものを治すのでなく、症状の緩和で、QOL を改善することはあっても 生命予後を改善するとは限らないことがある。 ・漫然とした治療により心機能悪化や致死的不整脈を誘発するリスクがある β遮断薬と一部の不整脈に対するアミオダロンを除くすべての抗不整脈薬にいえることである。 □他剤併用の確認 ・不整脈を引き起こす薬剤がないかの確認 ・QT 延長を増強する薬剤との併用はないか →バルデナフィル、モキシフロキサシン、アミオダロン(注射剤)、トレミフェン、スパルフロ キサシン、スニチニブ等 →資料 「添付文書に「QT 延長」の記載のある薬剤」・・・P55 ・CYP3A4 阻害作用のある薬剤との併用はないか ・CYP2D6 に関与する薬剤との併用はないか □薬剤の特徴を把握する ・半減期が短い ・遊離型薬剤の血中濃度が臨床効果と相関する⇒蛋白結合率の確認 ・陰性変力作用の有無・・・アプリンジンとピルシカイニドは陰性変力作用が少ない ・代謝経路・・・腎排泄型か肝排泄型か 腎排泄・・・ジソピラミド、シベンゾリン、ピルメノール、ナドロール、ソタロール 肝排泄・・・メキシレチン、アプリンジン、プロパフェノン、プロプラノロール、アミオダロン ・催不整脈作用の有無・・・アプリンジン、ピルシカイニド、フレカイニド、プロパフェノンにはTdP がない 正常洞調律:心拍数が60~100 回/分 頻脈性不整脈:心拍数が100 回/分以上 徐脈性不整脈:心拍数が60 回/分未満

(5)

-4- □病態が薬剤の適応であるか確認する →資料 「主な抗不整脈薬一覧」・・・P44 Na チャネル遮断薬 ・キニジン、プロカインアミド、ジソピラミド、シベンゾリン、ピルメノール ・・・プロカインアミドのみ「手術及び麻酔に伴う不整脈の予防」適応あり。 ピルメノールのみ心室性に限る。 ・リドカイン、メキシレチン、アプリンジン・・・ メキシレチンのみ心室性に限る。 ・フレカイニド、プロパフェノン、ピルシカイニド・・・フレカイニドのみ小児適応あり。 β遮断薬・・・洞性頻脈の適応あり。プロプラノロール徐放剤は不整脈の適応なし。 K チャネル遮断薬・・・アミオダロンのみ肥大型心筋症を合併した発作性心房細動適応あり。 Ca チャネル遮断薬・・・ベプリジルは心室性、ジルチアゼムは上室性。 アトロピン・・・徐脈や房室伝導障害に適応あり。 ジギタリス・・・手術、急性熱性疾患、出産、ショック、急急性中毒における心不全及び各種頻脈の 予防・治療に適応あり。 □用法・用量等の確認 →資料 「主な抗不整脈薬一覧」・・・P44 用法を誤ると危険な不整脈や重大な副作用を生じる。有効治療域が狭いため、用法・用量、上限量 の確認を行う。 腎機能低下時・・・腎排泄薬剤の投与量の確認 メキシレチン・・・食道に停留し、崩壊すると食道潰瘍を起こすことがあるので、多めの水で服用さ せ、特に就寝直前の服用等には注意すること。 □注意を要する疾患の確認 腎排泄の薬剤においては腎機能低下者では血中濃度が上昇する可能性がある。 Na チャネル遮断薬 ・キニジン、プロカインアミド、ジソピラミド、シベンゾリン、ピルメノール・・・基礎心疾患(心 筋梗塞、弁膜症、心筋症等)、高齢者、低K 血症、重篤な肝・腎障害 ・リドカイン、メキシレチン、アプリンジン・・・心刺激伝導障害、重篤な肝・腎障害、高齢者 ・フレカイニド、プロパフェノン、ピルシカイニド・・・基礎心疾患、心刺激伝導障害、重篤な肝・ 腎障害、高齢者、著明な洞性徐脈、低K 血症 β遮断薬・・・うっ血性心不全、重篤な肝・腎障害、甲状腺中毒症、高齢者、低血糖、徐脈・房室ブ ロック(Ⅰ度)、長期間絶食状態、末梢循環障害、喘息、気管支痙攣 K チャネル遮断薬・・・心刺激伝導障害 □薬剤群別の注意事項(副作用) →資料 「重要な基本的注意と副作用症状」・・・P49 →資料 「重大な副作用と初期症状」・・・P52 体調変化、ふらつき、動悸、低血糖などの副作用症状の有無の確認を行う。 Na チャネル遮断薬 ・キニジン、プロカインアミド、ジソピラミド、シベンゾリン、ピルメノール ・・・抗コリン作用(口渇、排尿障害、便秘、視力障害)、TdP 型心室性不整脈 ・リドカイン、メキシレチン、アプリンジン・・・めまい、振戦、痙攣、意識変調、口のもつれ

(6)

-5- ・フレカイニド、プロパフェノン、ピルシカイニド・・・催不整脈作用 β遮断薬・・・血圧低下、喘息 K チャネル遮断薬・・・TdP 型心室性不整脈、催不整脈作用 ・アミオダロン・・・間質性肺炎、肺線維症、甲状腺機能症 Ca チャネル遮断薬・・・血圧低下 抗不整脈薬と主な副作用 成分名 副作用 Na チ ャ ネ ル 遮 断 薬 キニジン 催不整脈作用 キニジン中毒(頭痛、めまい)、腹痛、下痢、顔面紅斑 プロカインアミド 頭痛、不眠、幻覚、SLE 様症状 ジソピラミド 低血圧、徐脈、抗コリン作用、低血糖 シベンゾリン ピルメノール 頭痛、抗コリン作用 リドカイン めまい、しびれ、痙攣、嘔吐、血圧低下 メキシレチン 消化器系(胃不快感)、めまい、ふらつき アプリンジン 精神神経系(振戦、めまい)、肝障害 フレカイニド 精神神経系(めまい、ふらつき、頭痛)、消化器系(胃痛、食 欲不振、嘔気、下痢) プロパフェノン ピルシカイニド β遮 断薬 ナドロール 徐脈、血圧低下、めまい、頭痛、不眠、うつ状態、喘息 プロプラノロール K チャネル 遮断薬 ソタロール 催不整脈作用 喘息 アミオダロン 肝障害、間質性肺炎、角膜色素沈着、甲状腺機能障害 ニフェカラント Ca 拮抗 薬 ベプリジル 徐脈、血圧低下、めまい、頭痛、ほてり、便秘 ベラパミル ジルチアゼム □OTC 薬、民間療法、健康食品の使用状況の確認 →資料 「健康食品・サプリメント等食品との相互作用」・・・P63 ・健康食品や民間薬などを摂っていないか、また摂りたいと考えていないか ・むやみに OTC 薬や民間薬を使用して、薬物療法の妨げにならないよう注意し、治療薬との併用 に問題がないか確認する ・セント・ジョーンズ・ワート含有食品→ジギタリス、キニジン、アミオダロン、プロパフェノン、 ジソピラミド □リスク因子の有無 →「□抗不整脈薬の禁忌疾患」・・・P14 ・高齢者 ・女性(月経周期によりQT 延長作用をもつ薬剤への反応が異なる)

(7)

-6- ・徐脈 ・低K 血症や低 Mg 血症などの電解質異常 ・心筋梗塞などの心疾患 ・糖尿病 ・高血圧 ・利尿薬の多用 ・過度のダイエット ・遺伝的素因 ・生活の乱れ、ストレス □日常生活の指導 心房細動は、生活習慣病との関わりが強く、生活習慣の乱れが発症に影響する。そのため、規則 正しい生活を心がけ、心臓に病気がある人は、心臓に負担をかけないことが、不整脈の予防につな がる。

・過労・睡眠不足・・・疲れていると不整脈を起こしやすくなるため、十分な休息をとる ・運動・・・過度の運動により不整脈が起こることがあるので、適度な運動習慣を身につける。運動 量は医師に従う ・喫煙・・・ニコチンが冠動脈の動脈硬化など心臓に負担をかけるため、原則禁止 ・ストレス・・過度のストレスにより不整脈が起こることがあるので、穏やかな気持ちで過ごす ・入浴・・・入浴により不整脈が発生する場合は、心臓への負担を軽減した入浴法を心がける。お湯 の温度は 41℃以下にし、深くまでつからず、水面が鎖骨より下になるようにする。つかるのは 10 分程度にする ・脈拍数やリズムの自己確認をし、記録する ・定期的に心電図、血液の検査を行う ・自動車の運転が可能かどうか担当医に指示をうけておく □食事・嗜好品摂取の指導 ・過度の飲酒により不整脈が起こることがあるため、原則禁止 ・喫煙は不整脈に悪影響を及ぼすため禁煙 ・塩分や動物性脂肪は高血圧や動脈硬化を促進するためできるだけ控える ・高塩食はキニジン、ベラパミルの血中濃度を低下する ・バランスのとれた食事を摂る・・・脂肪の摂取を控え、不足がちな野菜を意識的に摂る ・食物繊維を多く摂る ・太りすぎに注意する ・コーヒーの飲み過ぎは不整脈の誘因になるので、なるべく控える □家族への情報 意識消失、失神、痙攣等の副作用が起こる可能性があることを知らせる。また、このような症状が みられた場合には、救急車等で医療機関に受診するよう説明する。 心不全のある人・・・重症 食塩摂取量3g/日以下 軽症 食塩摂取量 7g/日以下 高血圧のある人・・・食塩摂取量6g 未満/日

(8)

-7- □治療薬物モニタリング(TDM) 薬剤の効果および副作用を判断するためにもTDM は有用である。 ・有効血中濃度の幅が狭い⇒TDM の測定が必要 ・容易に中毒濃度に達する⇒TDM の測定が必要 →資料 「治療薬物モニタリング(TDM)対症薬物と有効血中濃度域」・・・P62

◆機器を植え込んだ患者の自動車の運転

自動車の運転に関しては、機器によって異なる。ペースメーカーであれば、植え込んだ後に失神し たことがなく、主治医から運転の禁止が言い渡されていなければ、原則として運転は認められる。一 方、植込型除細動器(implantable cardioverter defibrillator;ICD)および両心室ペーシング機能付 き植込型除細動器(CRT-D)を植え込んだ場合には、突然失神を起こして倒れる可能性があるため、 原則禁止される。ただし、発作の頻度が低く、主治医であり日本不整脈心電学会あるいは日本心不全 学会が主催する ICD 研修を履修した医師により「運転を控えるべきとはいえない」という診断書を 警察署へ提出し、許可された場合に限り運転が認められる。また、不整脈から起こる失神があり、機 器を植え込んでいない場合も原則禁止とされる。 医師により運転してはいけないと指導された場合には患者は指導に従うと共に必ず自己申告する 必要があり、運転が許可されない状況を隠して運転を続けて事故を起こした場合、重い責任が問われ る可能性がある。

――――――――――――――――――――――――

◆不整脈の治療

治療するに際しては、すべての不整脈が薬物治療の適応になるのではなく、生命予後やQOL を障 害する不整脈であるか判断し、病因または誘因となる基礎疾患、薬剤、生活習慣などがある場合には、 まずその治療や除去を行う。 不整脈は、その場で治療しなければ死に直結するような極めて危険な状態が予測される「致死性不 整脈」と、現時点では不整脈自体は致死的ではないが、致死性不整脈の前兆であったり、持続するこ とにより心不全を惹起しうる「警告不整脈」に分類される。 致死性不整脈は、心室細動と心 静 止 (asystole)に分けられ、心肺蘇生(CPR)を行い、速やか に電気的除細動の適切な処置が行われないと確実に死に至る。心静止とは、心室の電気的活動が停止 した状態で、直ちに心マッサージを含む心肺蘇生が必要である。 治療を要する不整脈としては、①不快な自覚症状が強いもの(期外収縮も含む)、②致死性不整脈 (心室細動、心室頻拍、高度房室ブロック)、③心機能を低下させるもの(心室期外収縮など)、④生 活に支障をきたし社会的適応となるもの、があげられる。 また、抗不整脈薬は頻脈性不整脈に対して頻拍の停止または予防を目的とする。使用にあたっては、 心静止:血液を送り出すポンプとしての心臓の働きが停止した、「心停止」の一状態を指す。 心停止:心室細動(VF)や無脈性心室頻拍(PulselessVT)、無脈性電気活動(PEA)、心静 止をすべて含み、本来の心拍出量がほぼもしくは全くなくなった状態である。電気的除細 動が有効なのはVF と PulselessVT のみで、PEA と心静止には除細動の適用はない。

(9)

-8- 不整脈を誘発(催不整脈作用)する可能性に注意が必要であり、心機能低下例に使用する場合には抗 不整脈薬の心抑制作用に注意する。 最近は実際に不整脈が起きてから抗不整脈薬やカテーテルアブレーション、植込型除細動器(ICD) やペースメーカーなどでの治療をダウンストリーム(downstream approach)とし、これに対し不整 脈の発生をもたらす病態(虚血、心不全、電気的リモデリングなど)そのものの進行を抑えるアップ ストリーム(upstream approach)治療に期待が寄せられている。 治療を要する不整脈、治療の適応とならない不整脈 治療を要する不整脈 治療の適応とならない不整脈 (警告不整脈) 1.致死的不整脈 a.頻脈性不整脈 心室細動、心室頻拍、心房粗動 (1:1 房室伝導) 発作性上室頻拍 (心拍数著しく多い) b.徐脈性不整脈 房室ブロック (MobitzⅡ型、Ⅲ型)、洞不全症候群 2.致死的不整脈を誘因 WPW 症候群、QT 延長症候群 3.頻脈性不整脈を誘因 心房、心室期外収縮 1.頻脈性不整脈 a.心室期外収縮 (基礎疾患無+症状無/軽度) b.上室期外収縮 (症状無/軽度) c.心房細動、心房粗動 (自覚症状無+血行動態安定) 2.徐脈性不整脈 a.洞徐脈、洞停止、洞房ブロック (症状無+運動時心拍数増) b.房室ブロック Ⅰ度、Ⅱ度(Wenckebach 型+症状無)、Ⅲ度 3.脚ブロック

◆治療の選択

①抗不整脈薬の分類表の選択 抗不整脈薬の分類として以前から使用されてきたVaughan Williams 分類には限界と大規模臨床 試験のCAST により、心筋梗塞後の患者であっても、不整脈治療薬(Ic 群)により不整脈を減少さ せても生命予後は改善せず、むしろ悪化することが明らかにされた問題点があり、最近ではエビデ ンスに基づいたガイドラインとは根本的に異なるが、より理論的な作用機序に基づく Sicilian Gambit の分類が使用されるようになっている。その基本的な考え方は 1)「不整脈の機序」の決定、 2)治療に最も反応しうる電気生理学的指標である「受攻性因子」の同定、3)治療の「標的」として の細胞膜レベルのチャネルや受容体の決定を行い、最終的に、4)この標的に作用する「薬剤」を抗 不整脈薬一覧表から選択するという論理過程である。 我が国でも、Sicilian Gambit に基づき、抗不整脈薬ガイドライン委員会編、日本心電学会・日 本循環器学会による「The Sicilian Gambit Guideline on CD」が刊行され、日本循環器学会を中心 とする合同研究班の「不整脈薬物治療に関するガイドライン(JCS2009)」においても、この分類に よる論理的な薬剤選択が重視されている。 ②基礎疾患や誘因を考慮する 抗不整脈薬の使用の前に、基礎疾患や誘因に対する一般的治療を考慮する。例えば、血清K など 電解質のチェックと補正、また心不全や代謝異常が存在すれば不整脈の治療だけではなく、原疾患 の改善も図り、心筋梗塞であれば不整脈の基質となる梗塞の拡大を抑え、心室拡張(リモデリング) を抑制することが慢性期の致死的不整脈の発生を予防することになる。

(10)

-9- ③薬剤の薬物動態、副作用を確認 薬剤の吸収、代謝、排泄等を知ることにより有効血中濃度が得られるよう投与し、抗不整脈薬の 不整脈を誘発(催不整脈作用)する可能性に注意する。 ④患者の状況を把握 腎機能、肝機能、心不全の状況により血中濃度も影響される。特に高齢者は代謝、排泄機能が低 下しているため少量投与から開始する。また、心機能低下例に使用する場合には抗不整脈薬の心抑 制作用に注意する。漫然と長期投与することなく、不整脈が減少ないし消失した時点で一時中止を 考慮する。 ⑤薬剤併用、抗不整脈薬以外の選択 抗不整脈薬は単剤投与が基本であるが、十分な効果が得られない場合にはNa チャネル遮断薬+ β遮断薬ないしCa チャネル遮断薬、Na チャネル遮断薬の slow+fast-intermediate など作用機序 の異なる薬剤の併用を考慮する。また、抗不整脈薬以外にもジギタリス、アトロピン、ATP 製剤等 が各種の不整脈に使用される。アトロピンは徐脈性不整脈の治療に使われる。非薬物治療としては 電気的除細動(DC ショック)、高周波カテーテルアブレーション、植込型除細動器(ICD)などが 使用されている。

◆不整脈の薬物治療

1.Vaughan Williams 分類 Vaughan Williams 分類は各種薬剤の薬理学的作用の特徴を簡潔に表現している点で優れており、 多くの臨床家により利用されてきた。Ⅰ群はNa チャネル遮断薬、Ⅱ群はβ遮断薬、Ⅲ群は K チャ ネル遮断薬、Ⅳ群はCa 拮抗薬に分類される。しかし、実際は多くの抗不整脈が複数の作用をもち、 細分類が難しく、またジゴキシンやアデノシンなどが含まれていないことからこの分類で表すには 限界が生じた。また、Na チャネル遮断薬を主作用とする薬物を心筋梗塞後の不整脈患者に使用す ると、心室性不整脈は抑制したにもかかわらず生命予後が悪化する結果が報告された。 ①Ⅰ群(Na チャネル遮断薬) 心筋細胞の Na チャネルの抑制作用により、心房筋、心室筋、プルキンエ線維に対して活動電位第 0 相(脱分極相)の最大立ち上がり速度を低下させ、伝導速度を遅らせることで、心房や心室での 頻拍、期外収縮の発生を抑制するためNa チャネルとの結合の解離速度が遅いほど抗不整脈作用は 強力である。活動電位持続時間(APD)に対する作用からⅠa(APD 延長)、Ⅰb(APD 短縮)、 Ⅰc(APD 不変)と分類される。 ・Ⅰa 群: APD および不応期(ERP)を延長させるタイプ。心筋収縮力抑制作用があり、上室性および心 室性の頻拍性不整脈に使用されるが、K チャネル遮断に伴う QT 延長、torsade de pointes(TdP) といった重篤な心室性不整脈を引き起こす可能性があるため、低K 血症、高 K 血症、心不全、伝 導障害(房室ブロック、脚ブロック、洞房ブロック)、洞不全症候群などの心機能低下症例には注 意する。 ・Ⅰb 群: Na チャネルを遮断するが、APD を短縮させ、ERP は不変かやや短縮させるタイプ。心室性不整 脈、TdP に対して有効であるが、上室性不整脈には無効(アプリジンを除く)。心筋抑制作用はⅠa 群に比べて弱いが、重篤な不整脈の誘発も少ない。

(11)

-10- ・Ⅰc 群: APD を変えず、ERP は不変かやや延長させるタイプ。上室性および心室性の不整脈に有効で、 Ⅰa 同様伝導抑制作用を有し、伝導障害、洞不全症候群、高度徐脈を有する症例には禁忌である。 陰性変力作用はⅠ群の中でⅠc 群が最も強いとされるが、第 1 選択になることはなく、他の抗不整 脈薬が無効かあるいは何らかの理由で使用できない場合に用いられる。フレカイニドにおいては、 心筋梗塞後の無症候性心室性期外収縮あるいは非持続型心室頻拍に対して、生存率を悪化するとし て投与禁忌となっている。 ※他Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ群については、Sicilian Gambit 分類・・・P11 参照。

Vaughan Williams 分類 [APD:活動電位持続時間、ERP:不応期]

分類 一般名(商品名) 特徴 Ⅰ 群 Ⅰa N a チ ャ ネ ル 遮 断 APD・ERP 延長 キニジン(キニジン) (上室性/心室性)不整脈に有効 重大な副作用:催不整脈作用 プロカインアミド(アミサリン) シベンゾリン(シベノール) (心房/上室性/心室性)他の薬剤が不可・無効の頻拍性不整 脈(迷走神経作用亢進型) Na チャネルとの解離が遅い⇒心機能抑制強 抗コリン作用⇒口渇、排尿障害、便秘 ジソピラミド(リスモダン) ピルメノール(ピルメノール) Ⅰb APD 短縮 リドカイン(キシロカイン) 頻脈性不整脈(心室性)を抑制 上室性不整脈には無効 Ⅰa 群に比べて心筋抑制作用が少ない⇒重篤な不整脈の誘発 少 副作用:めまい、ふるえ、精神症状 メキシレチン(メキシチール) アプリンジン(アスペノン) Ⅰc APD 不変 プロパフェノン(プロノン) (心房/上室性/心室性)他の薬剤が不可・無効の頻拍性不整 脈(プロパフェノン:交感神経亢進型) 重大な副作用:催不整脈作用 Na チャネルとの解離が遅い⇒心機能抑制強 フレカイニド(タンボコール) ピルシカイニド(サンリズム) Ⅱ群 β遮断 ナドロール(ナディック) プロプラノロール(インデラル) アテノロール(テノーミン) Ca 流入抑制、洞結節、房室結節の自動能抑制⇒興奮伝播を遅 らせ(カテコラミン作用に拮抗)頻脈性不整脈を抑制、抗不整脈 効果は弱い Ⅲ群 K チャネル遮断 APD・ERP 延長 アミオダロン(アンカロン) (上室性/心室性)不整脈に有効 重大な副作用:催不整脈作用 心拍が遅い⇒薬理作用強 心筋収縮の抑制なし ソタロール(ソタコール) ニフェカラント(シンビット) Ⅳ群 Ca チャネル遮断 ベプリジル(ベプリコール) 頻脈性不整脈(上室性)など Ca 流入抑制、洞結節、房室結節の自動能抑制⇒興奮伝播を遅 らせる ベラパミル(ワソラン) ジルチアゼム(ヘルベッサー)

(12)

-11- 2.Sicilian Gambit 分類 →資料 「主な抗不整脈薬一覧-Sicilian Gambit 分類(日本版)-」・・・P47 Sicilian Gambit では、スプレッドシート方式ですべての薬剤のチャネルや受容体への作用を詳細に 記載している。この表では、一番左の列に薬剤名が記載され、次いでチャネル、受容体、ポンプに対す る作用を示し、右半分には左室機能、洞調律への影響、心外性の副作用の有無、さらにはPQ、QRS、 QT 等の心電図上の指標に対する効果を示す欄が設けてある。Na チャネルに対する作用では Na チャ ネルへの結合解離動態の差からfast、intermediate、slow に分けている。この分類は薬効ならびに副作 用(陰性変力作用,催不整脈作用)の判断材料となる。次いでCa チャネル、K チャネルへの作用と続 き、さらにペースメーカー電流(If)への作用を挙げているのが特徴である。受容体に対する作用では、 Vaughan Williams 分類で挙げられていなかったα受容体、ムスカリン受容体、プリン受容体への作用 も含まれている。最後にNa/K ポンプへの作用を載せることにより、ジゴキシンをこの表に含めること ができており、各作用の強弱は3 段階に表示されている。 ①Na チャネル遮断作用 Na チャネル遮断薬を Na チャネル解離速度で分類している。薬物の解離が十分でない時に次の 活動電位が発生すると蓄積的に Na チャネルのブロックが起こる。これを頻度依存性ブロック (usedependent block)という。 Na チャネルとの解離速度が遅いものほどチャネル抑制作用が強く、伝導抑制作用も顕著である。 また理論的には薬物解離が遅いと連結期の長い期外収縮にも有用とされている。

・fast kinetic drug・・・薬剤が結合して解離するまでに 1 秒以下と短いため、遅い心拍数では薬剤の 蓄積が起こらずに効果を発揮しにくい反面、頻脈時(高頻度時)では、頻度依存性ブロックが起 こり、解離の速い薬物では効果を発揮する。正常洞調律時(低頻度時)には伝導を抑制しない。

(13)

-12-

この分類に該当するリドカイン、メキシレチンは心室性不整脈に効果を示す。

・slow kinetic drug・・・薬剤が常に結合しているため、ブロック作用が強い。心電図上では洞調律 でも興奮伝導は抑えられているので QRS 幅は拡大する。抗不整脈作用は強く、催不整脈の副作 用が発現しやすい。シベンゾリン、ジソピラミド、ピルメノール、フレカイニド、ピルシカイニ ドが該当する。

・intermediate kinetic drug・・・中間にあたり、結合して解離するまでに 1 秒以上かかるため心拍 数に関係なく作用があらわれる。キニジン、プロカインアミド、プロパフェノンが該当する。 ②β遮断作用 cAMP の濃度を減少させ Ca2+の流入を抑制し、交感神経による過剰興奮を抑える。洞性頻脈や上 室性・心室性期外収縮、交感神経緊張時(労作、日中など)に多発する不整脈、房室結節における エントリーによる頻脈などに有効である。β遮断作用により心機能を抑制するため、徐脈や心不全、 気管支喘息、末梢循環障害などの副作用が見られる。 ③K チャネル遮断作用 K チャネルを抑制することで外向き K+の流出を抑制し、再分極を遅らせて心筋のAPD と不応期 を延長する。Na チャネル遮断に比べて伝導速度や心筋収縮力の抑制作用は弱く、上室性不整脈、 心室性不整脈いずれにも有効であるが、TdP や間質肺炎、甲状腺機能異常などの重篤な副作用があ るため、他の抗不整脈薬が無効かあるいは何らかの理由で使用できない場合に用いる。例として、 Na チャネル遮断薬が無効と考えられる持続性心房細動例を対象とした J-BAF 試験で、K チャネル 遮断作用の強いベプリジルの高い除細動効果が証明されている。 ④Ca チャネル遮断作用 Ca 拮抗作用で、Ca チャネル依存性の洞結節、房室結節の自動能、伝達能の抑制、不応期の延長 により効果を示すため、洞房結節や房室結節での異常自動能の亢進やリエントリー性不整脈また、 発作性上室不整脈には有効である。反対に洞不全症候群や房室ブロックには不適である。 ⑤ムスカリンM2受容体遮断薬:アトロピン 副交感神経を抑制することで、低用量では通常徐脈があらわれるが、高用量では洞結節や房室結 節の興奮伝導を促進し、心房細動時の心拍数の増加作用を示す。抗コリン作用による口渇、排尿障 害に注意する。 ⑥ムスカリンM2受容体作動薬:ジゴキシン 心筋細胞膜でのNa+/K+ATPase 阻害作用に基づく心筋収縮力増強作用(陽性変力作用)、迷走神 経刺激作用により心拍数を低下(陰性変時作用)、房室結節の不応期を延長させ房室伝導を抑制す る作用(陰性変導作用)を有することから、心房細動や発作性上室頻拍の治療に用いられる。過量 投与や相互作用によるジギタリス中毒に注意する。 ⑦アデノシンA1受容体作動薬:ATP(アデノシン) 心筋のATP 感受性 K チャネル活性化とアデニル酸シクラーゼの抑制により、虚血時の APD の 短縮を抑制する。また、副交感神経刺激作用による洞結節や房室結節の伝導能を抑制するため、特 に発作性上室頻拍の停止効果がある(静注・保険適応外)。また、一過性の房室ブロックを誘発す ることから頻拍の診断に使用されることもある。 陰性変力作用=心臓の収縮力を低下 陰性変時作用=心拍数を低下

(14)

-13- 不整脈とその受攻性因子* 不整脈 発生機序 受攻性因子 代表的薬剤 自動能 洞性頻脈 正常自動能亢進 第 4 相脱分極(抑制) β遮断薬、Na チャネル遮断薬 異所性心房頻拍 異常自動能亢進 最大拡張期電位(過分極) ムスカリン作動薬 第 4 相脱分極(抑制) Ca チャネル遮断薬、Na チャネル 遮断薬、ムスカリン作動薬 心室固有調律亢進 異常自動能亢進 第 4 相脱分極(抑制) Ca チャネル遮断薬、Na チャネル 遮断薬 撃発活動 torsade de poibtes 早期後脱分極 APD(短縮) β作動薬、迷走神経抑制薬 早期脱分極(抑制) Ca チャネル遮断薬、β遮断薬 ジギタリス誘発性不整脈 遅延後脱分極 Ca overload(減少) Ca チャネル遮断薬 遅延後脱分極(抑制) Na チャネル遮断薬 自動能亢進による心室頻拍 Ca overload(減少) Ca チャネル遮断薬 遅延後脱分極(抑制) β遮断薬、アデノシン リエントリー(Na チャネル依存性) 心房粗動(タイプⅠ) 長い興奮間隙 伝導と興奮(抑制) Na チャネル遮断薬 (リドカイン、メキシレチンを除く) 房室リエントリー性頻拍 (WPW) 伝導と興奮(抑制) Na チャネル遮断薬 (リドカイン、メキシレチンを除く) 持続性単形性心室頻拍 伝導と興奮(抑制) Na チャネル遮断薬 心房粗動(タイプⅡ) 短い興奮間隙 不応期(延長) K チャネル遮断薬 心房細動 不応期(延長) K チャネル遮断薬 房室リエントリー性頻拍(WPW) 不応期(延長) アミオダロン、ソタロール 多形性心室頻拍と持続性単形 性心室頻拍 不応期(延長) キニジン、プロカインアミド、ジソ ピラミド 脚枝間リエントリー 不応期(延長) キニジン、プロカインアミド、ジソ ピラミド 心室細動 不応期(延長) K チャネル遮断薬 リエントリー(Ca チャネル依存性) 房室結節リエントリー性頻拍 伝導と興奮(抑制) Ca チャネル遮断薬 房室リエントリー性頻拍(WPW) 伝導と興奮(抑制) Ca チャネル遮断薬 ペラパミル感受性心室頻拍 伝導と興奮(抑制) Ca チャネル遮断薬 *受攻性因子:修飾を受けることによって最も不整脈停止につながり易い電気生理学的特性。リエントリー回路の弱点

(15)

-14-

◆抗不整脈薬の禁忌疾患

抗不整脈薬には多くの禁忌疾患が示されているので確認を行う。 患者の病態に特異的な抗不整脈薬の禁忌 病態 禁忌または要注意 刺激伝導障害 (房室ブロック、洞房ブロック、脚ブ ロック等) キニジン、プロカインアミド、ジソピラミド、シベンゾリン、ピルメノール、メキシレ チン、アプリンジン、フレカイニド、プロパフェノン、ピルシカイニド、プロプラノロ ール、ナドロール、ソタロール、ベラパミル、ベプリジル 重篤なうっ血性心不全 キニジン、プロカインアミド、ジソピラミド、シベンゾリン、ピルメノール、アプリン ジン、フレカイニド、プロパフェノン、ピルシカイニド、プロプラノロール、ナドロー ル、ソタロール、ベプリジル(警告)、ベラパミル、ジルチアゼム 肺高血圧による右心不全 プロプラノロール、ナドロール 徐脈、房室ブロック(II、III 度) プロプラノロール、ナドロール、ソタロール、アミオダロン、ベラパミル、ジルチア ゼム 洞不全症候群 プロプラノロール、ナドロール、アミオダロン 高度の洞性徐脈 ソタロール、ベプリジル 心原性ショック プロプラノロール、ナドロール、ソタロール 心筋梗塞後の無症候性心室期外 収縮あるいは非持続型心室頻拍 フレカイニド QT 延長症候群 ソタロール、ベプリジル、キニジン、プロカインアミド、ジソピラミド、アミオダロン 異型狭心症 プロプラノロール、ナドロール 高 K 血症 キニジン 重症筋無力症 プロカインアミド 緑内障、尿貯留傾向 ジソピラミド、シベンゾリン、ピルメノール 重篤な腎障害 ソタロール 透析中 シベンゾリン 妊婦 アプリンジン、フレカイニド、ナドロール、ベプリジル、ベラパミル、ジルチアゼム 気管支喘息、気管支痙攣 プロプラノロール、ナドロール、ソタロール 糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性 アシドーシス プロプラノロール、ナドロール 低血圧症 プロプラノロール、アミオダロン 長期間絶食状態 プロプラノロール 重度の末梢循環障害(壊疽等) プロプラノロール 未治療の褐色細胞腫 プロプラノロール 下痢 キニジン 重篤な呼吸不全 アミオダロン 振戦 メキシレチン (’17.01.30)

(16)

-15-

◆心機能低下患者への投与

心不全の患者の約半数が突然死し、その多くは心室性不整脈によると報告されている。 抗不整脈薬の種類により心機能への影響が異なり、一般にslow kinetic の Na チャネル遮断作用を 持つものは心機能抑制作用が強いため、fast kinetic の Na チャネル遮断薬か、K チャネル遮断薬を 選択する。ただし、不整脈が継続する場合はslow kinetic の Na チャネル遮断薬を使用せざる得ない。 K チャネル遮断薬は不応期延長作用により、抗不整脈作用を示す。心筋梗塞後で心機能が低下してい る患者には、Na チャネル遮断薬では予後を悪化させ、Ca チャネル遮断薬では有用性が認められなか った。しかし、β遮断薬とK チャネル遮断薬は予後を改善する可能性が示唆されている。このことか ら心機能抑制の少ない、リドカイン、メキシレチン、アプリンジン、アミオダロン、ベプリジル、ニ フェカラント、β遮断作用をもつソタロールが選択できる。ただし、ベプリジルは催不整脈作用から、 ソタロールは陰性変力作用から、うっ血性心不全への投与は禁忌とされる。急性心不全には、利尿薬、 ACE 阻害薬、カテコラミン等を投与し、上室頻拍があれば心拍数調節のためにジギタリスを投与す る。慢性心不全に対しては、継続的にACE 阻害薬、β遮断薬、利尿薬を用いるが、ループ利尿薬は 低K 血症を生じやすいので、腎障害がなければ抗アルドステロン薬がよい。

◆腎機能障害患者への投与

治療濃度と中毒濃度が近いため、腎あるいは肝障害時には副作用の発現が生じやすい。 腎機能障害の程度はクレアチニン-クリアランス(Ccr)がおおよそ 50mL/min 以上あるいは血清クレ アチン値(Scr)1.3mg/dL 以下であれば常用量を投与しても良く、Ccr が 50~30mL/min あるいは Scr 1.3~2.0mg/dL であれば、中等度腎障害として通常量の 2/3~1/2 量を投与するか、投与間隔を少 し空けて投与する。Ccr が 30mL/min 以下あるいは Scr 2.0mg/dL 以上であれば高度腎障害として常 用量の1/3 量以下を注意しながら投与するか隔日に投与する。

◆肝機能障害患者への投与

肝機能障害のある場合は、できるだけ腎排泄型の薬剤を選択することが望ましい。特にアプリンジ ン、アミオダロンなどは肝機能障害が生じやすい。しかし、肝代謝型の薬剤を使用せざるを得ない場 合は、肝疾患の種類と門脈圧亢進の程度により薬剤選択を判断する。門脈圧が亢進しているときの肝 機能障害の程度を表すChild-Pugh 分類の A(軽度肝機能障害)ではビリルビン値が 1~2mg/dL であ り、常用量の2/3 量から投与するのが無難で、B(中等度肝機能障害)ではビリルビン値が 2~3mg/dL であり、常用量の1/2~1/3、C(高等度肝機能障害)ではビリルビン値が 3mg/dL 以上であり、ソタ ロールとニフェカラント以外の抗不整脈薬は禁忌である。生命の危険があるか、血行動態を著しく障 害する頻脈性不整脈があるときは、カテーテルアブレーションなどの非薬物療法を選択する。

◆妊婦への投与

妊娠による血漿蛋白濃度の低下により蛋白結合は減少し、遊離型の薬物濃度は上昇するが、血管内 容量は増加し、腎血流量の増加により薬剤の腎排泄は促進される。また、プロゲステロンにより肝代 謝が亢進されて薬剤のクリアランスは促進されるため、結果的に薬物血中濃度は低下する傾向にある。 しかし、可能ならば、薬物治療を避けるべきで、不整脈を助長させる生活習慣の改善を優先させる。 症状が強く、不整脈が妊娠継続に支障になる場合には、半減期が短く、妊婦に対する使用経験が蓄積 されている、リドカイン、一部のβ遮断薬、ソタロール、ジゴキシンが安全とされる。一方、妊娠初

(17)

-16- 期の 10 週まではフレカイニド、ベプリジル、ベラパミル、ジルチアゼム、ニフェカラントは禁忌と 考えられる。妊娠後期には抗不整脈薬の使用も可能とされる。

◆高齢者への投与

高齢者では無症候性心房細動も多く、抗不整脈薬を使用するよりは合併症に対して ARB や ACE 阻害薬、HMG-CoA 還元酵素阻害薬などを積極的に取り入れることが勧められる。心機能維持のため 心拍数調節治療を必要に応じて行う。薬物治療に際しては、高齢者では肝・腎機能が低下しているこ とが多く、体重が少ない傾向があるなど、副作用が発現しやすいため、入院させて投与を開始するこ とが望ましい。また、心房細動治療においては高齢自体が塞栓症のリスクであり、原則として抗凝固 療法が必要となる。 ジソピラミド、キニジンは抗不整脈薬の中で最も強力な陰性変力作用を有するため、高齢者におい て心不全を誘発するおそれがある。また、強力な抗コリン薬でもあるため認知機能の低下、ふらつき、 便秘等の副作用にも注意する。ジギタリスにおいては中毒症状としてせん妄や認知症症状を呈する場 合がある。

◆催不整脈(プロアリズミア)

抗不整脈薬による催不整脈作用とは、抗不整脈効果を期待して使用したのに副作用として、症状を 悪化または、新たな不整脈を発生させてしまうことである。使用する薬剤により催不整脈機序も異な り、心室性、心房性、徐脈性不整脈(刺激伝導系の異常)に分けられる。特に心室性不整脈のなかで もQT 延長を伴う多形性心室頻拍は失神をきたし、心室細動に移行しうることから注意を必要とする。 抗不整脈薬の投与に関しては、催不整脈作用に十分注意し、投与開始時には心電図モニターを行い、 投与中も頻回に心電図検査を行い、めまい、動悸、胸が痛む、胸部不快感、脈が飛ぶような感じなど の症状がないか確認する必要がある。特にNa チャネル遮断薬(シベンゾリン、ジソピラミド、ピル シカイニド、フレカイニド、プロパフェノン)、K チャネル遮断薬に属する薬剤には、重篤な QT 延 長を引き起こす可能性が高いとされる。 1.徐脈性不整脈 抗不整脈薬投与で洞機能不全(洞性徐脈、洞停止、洞房ブロック)や房室ブロックを生じることが ある。特に心房細動の徐細動直後に、洞結節の疾患がある場合には極度の洞性徐脈や洞停止が生じる 場合がある。 ◇洞機能不全: あらゆる抗不整脈薬で生じる可能性があり、ソタロール、アミオダロン、β遮断薬、ベラパミル、 ジルチアゼム、Na チャネル遮断薬、ジギタリスなどで生じる。高齢者でよくみられ、心房細動で の投与には、失神やめまいの既往がないかどうか確認する。 ◇薬剤依存性房室ブロック: 房室結節あるいはヒス-プルキンエ系を抑制することにより薬剤依存性房室ブロックを生じる 可能性がある。β遮断薬、Ca 拮抗薬、K チャネル遮断薬、ジギタリスで生じる。ヒス-プルキン エ系の障害はNa チャネル遮断薬で生じやすく、ピルシカイニド、フレカイニド、プロパフェノン などが最も強く、メキシレチン、アプリンジンは生じにくい。ブロックが生じた場合は、投与薬剤 を中止し、血行動態が不安定な場合は、アトロピンを投与するか一時的なペーシングを行う。

(18)

-17- 2.薬剤依存性上室頻拍 ジギタリス、ジルチアゼム、ベラパミルなどは心房粗動および心房頻拍に使用されるが、逆に発作 頻度や期間を悪化させる。房室ブロックを伴う心房頻拍は、ジギタリス中毒の典型的な徴候である。 ジソピラミドとキニジンは、抗コリン作用により心室応答が増加する。シベンゾリン、ジソピラミド では房室結節伝導を増強し、心室応答が増加し、ピルシカイニド、フレカイニド、プロパフェノンは 心房細動停止時に細動リズムが一定になることがある。この一定な心房興奮によって心室応答が速く なる傾向があり、心房粗動の誘発となる。特にアミオダロンは、粗洞周期を延長する結果、しばしば 房室結節を1:1で伝導できるようになり、逆に心室応答が増加して心室細動に至る可能性がある。 このような薬剤による心房粗動に対しては、三尖弁と下大静脈間の峡部カテーテルアブレーション (ハイブリッド療法)が行われる。また、心房細動に対しては、薬物治療が行われるが、最近では、 カテーテルアブレーションが良好な結果を得ている。ピルシカイニド、フレカイニド、プロパフェノ ンを投与する際は、予防としてβ遮断薬を同時に投与すべきである。 3.薬剤依存性心室頻拍 心室での催不整脈は、無症状のものから心室期外収縮の増加、心室細動から突然死に至るまで様々 である。治療としては通常、原因薬剤の中止、虚血の解除や電解質異常の補正などの原因治療を要す る。 ◇心室期外収縮 あまり重篤でない催不整脈として、心室期外収縮や非持続性心室頻拍などの増加などがある。こ の症状はどの抗不整脈薬にも起こりえるが、特にピルシカイニド、フレカイニド、プロパフェノン を投与するときは注意する。 ◇インセサント型心室頻拍 抗不整脈薬治療中に危険で致死的になりうる合併症にインセサント型心室頻拍がある。 この不整脈は直流除細動やオーバードライブページング*によっても頻拍が停止せず、1 回停止 した頻拍がまたすぐに始まるという現象を示す。幅広いQRS を示し、しばしばサイン波(正弦波) のような波形をし、比較的遅い拍数(100~160 回/分)を有する。 インセサント型心室頻拍は、抗不整脈薬導入時期や増量期、左室機能低下例、持続性心室頻拍の 既往、ピルシカイニド、フレカイニド、プロパフェノン投与中の状況下で起こりやすく、しばしば 血行動態が悪化し、ショック状態になる。ピルシカイニド、フレカイニド、プロパフェノン投与に よる場合にはアミオダロンの静注を行い、ショック状態であれば大動脈バルーン・パンピングを必 要とする。 *一定の心拍数より少し早いレートでペーシングすることにより期外収縮を抑える ◇後天性(二次性)QT 延長症候群 心室興奮の再分極過程が緩やかになり活動電位時間(APD)が延長すると QT 間隔が延長する。 QT 間隔は年齢、性別、心拍数、自律神経系基礎疾患などにより影響を受け、QT 延長症候群には先 天性と後天性があり、先天性は家族内発生が多く、Na チャネル、K チャネルをコードする遺伝子 の異常が原因とされている。一方、後天性の原因となる病態は様々で、K チャネル遮断作用を併せ 持つ抗不整脈薬以外の薬物が、心電図 QT 間隔を過度に延長し、TdP を誘発することを「薬剤性 QT 延長症候群」という。K チャネル遮断作用は、心筋細胞の外向き K 電流を抑制することから APD を延長し、心筋の電気的な不応期延長をもたらす。

(19)

-18- <QT 延長を避けるためには> ・いつも心電図でのQT 時間を薬剤投与前に確認する ・うっ血性心不全や左室肥大などの患者に投与しない ・腎機能や血中の電解質を頻回にチェックする ・低K 血症を避ける ・キニジンを使用せず、ソタロールをある特定の適応のためだけに使用する ・入院のうえ心電図モニターをしながら抗不整脈薬を開始する →資料 「添付文書に「QT 延長」の記載のある薬剤」・・・P55 後天性(二次性)QT 延長症候群の主な原因 1)薬物 抗不整脈薬 Na チャネル遮断薬(ジソピラミド、プロカインアミド、キニジン、ジベンゾリ ン、プロパフェノン、フレカイニド等) K チャネル遮断薬(アミオダロン、ソタロール、ニフェカラント) 抗生物質(エリスロマイシン、クラリスロマイシン、ST 合剤等) 抗真菌薬(イトコナゾール、ケトコナゾール) 抗精神病薬(ハロペリドール、クロルプロマジン、リチウム等) 三環系抗うつ薬(イミプラミン、アミトリプチリン等) 抗がん薬(ドキソルビシン等) 抗高脂血症薬(プロブコール等) 2)徐脈 房室ブロック、洞不全症候群 3)低 K 血症、低 Mg 血症 4)急性心筋梗塞 5)くも膜下出血、頭蓋骨内出血、他の中枢神経疾患

◆Trsades de pointes(TdP)

過度に活動電位持続時間(APD)を延長するとかえって心室内の心筋不応期にばらつきが増すこと になり、その間隙を縫うように電気興奮が旋回し多形性心室頻拍を惹起する。心電図上、ねじれるよ うに変化する波形からTrsades de pointes(TdP)とも呼ばれる。QT 延長に付随して生じ、通常短 時間で自然停止するが、発作は何度も生じ、ふらつきや失神をきたし、心室細動に陥り突然死を生じ る可能性もある。 シベンゾリン、ジソピラミドやソタロールなどの治療中(5 日以内)に最も発症し、通常薬剤の過 剰投与や悪化因子の存在下で TdP は生じることが多い。リドカインやメキシレチンでも生じるが、 ピルシカイニド、フレカイニド、プロパフェノンでは生じない。 <悪化因子> 後天性QT 延長とそれに伴う TdP は多くの心疾患患者で認められるが、基礎疾患がない例でも生じ うる。

(20)

-19- TdP を惹起する危険因子 ・女性 ・高齢者 ・低 K 血症 ・低 Mg 血症 ・徐脈、脚ブロック ・利尿薬 ・心血管障害(慢性心不全、心筋梗塞) ・心房細動から正常洞調律への転換 ・高血中薬物濃度 ・左室肥大 ・急速静注 ・腎機能低下・腎不全 ・先天性 QT 延長症候群 女性では、性ホルモンが心筋のイオンチャネル、薬物代謝酵素や細胞膜の薬物トランスポーター に影響し、QT 間隔が延長しやすい。徐脈時の再分極過程では外向き K 電流に大きく寄与しており、 抗不整脈薬の心拍数抑制作用とK チャネル遮断作用により QT 延長をきたす可能性がある。また、 低K 血症においても、再分極過程では外向き K 電流を減少させることから抗不整脈薬の K チャネ ル遮断作用が加わることでさらに作用が強まる。血漿K 値を減少させるループ利尿薬や下痢なども 低K 血症をきたす。 <治療> ・原因となる薬剤の投与中止 ・電解質バランスの改善 ・高用量の硫酸マグネシウム静注内投与を頻拍消失まで行う 1~2 時間以上かけ、4~8g を投与し、その後時間当たり 1~2g の持続投与を行う ・心房・心室よりオーバードライブペーシングを行うか、静脈内イソプロテレノール投与を行う

◆陰性変力作用

心筋の収縮性をかえる作用を変力作用(inotropic action)と呼ぶが、心筋の収縮性は心筋固有のも のではなく、急性には交感、副交感神経によっても増減する。心筋の収縮は、細胞内の Ca2+ ATP で調整しており、Ca2+濃度に強く依存している。細胞膜や筋小胞体のCa チャネルに対する作用、ま たはNa/K ポンプ、Na/Ca ポンプが影響する。 Na チャネル抑制作用は、細胞内の Na を減少させることにより、Na/Ca ポンプが働き細胞内の Ca イオンが減少する。Na チャネル遮断薬、特にシベンゾリン、ジソピラミド、ピルシカイニド、フレ カイニド、プロパフェノンは心筋の収縮力を低下させる作用があり、特にintermediate~slow の Na チャネル遮断作用薬は心抑制が大きい。また、アプリンジンとシベンゾリンは弱いながらCa チャネ ル抑制作用を有し、活動電位プラトー相で流れる遅い内向き電流を抑制し、細胞内のCa イオンを減 少させることで、収縮力を低下させる可能性がある。 β遮断薬は、心筋収縮力抑制作用を主作用とする。

(21)

-20-

◆アップストリーム治療戦略

近年の心房細動大規模臨床試験において、抗不整脈薬の洞調律維持効果は低く、また、生命予後の 改善は得られないことが示された。従来から行われてきた抗不整脈薬療法をダウンストリームという のに対して、発生してしまった心房細動を治療するよりも、不整脈の発生をもたらす病態(心筋の電 気的・構造的リモデリング)の進行を抑制することで不整脈の発生を予防することをアップストリー ム治療と呼んでいる。 これまで、動物実験ではβ遮断薬は、心室性不整脈の抑制効果が示され、ACE 阻害薬や ARB の心 筋リモデリング抑制効果、スタチンの抗炎症効果、抗酸化ビタミンの抗酸化効果による心房細動に対 するアップストリーム治療の有用性が示唆されている。 上室期外収縮で心機能が中等度以上低下の場合や、虚血性心疾患に伴う心室期外収縮の心筋梗塞亜 急性期(発症48 時間~1 ヵ月)では、アップストリームアプローチとして、β遮断薬、ACE 阻害薬、 ARB の併用を積極的に考慮することとしている。

◆最新の動向

「心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013 年改訂版)」では、非ビタミン K 拮抗経口抗凝固薬(NOAC) 4 剤(ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバン)が追加され、ワルファリン よりもNOAC の方をより強く勧めるとしている。 抜歯および白内障手術は内服継続下に行ってよいとされ、消化管内視鏡では、生検のみであれば出 血低危険度の手技と同様の扱いで、出血高危険度の手技の場合は休薬または置換が推奨され、NOAC の場合はヘパリンに置換するとされている。 最近の不整脈治療の考え方としては、薬剤の催不整脈作用を考慮し、どうしても必要な場合に限っ て治療を行い、軽症の不整脈は経過観察を行うのみでよい。また、いざ治療する場合の治療目標も、 完全抑制を目指すのではなく、患者のQOL の改善が得られること、あるいは多少の不整脈が残って も長期予後の改善が得られることのほうが重要とされている。不整脈の原因に対する治療(根治)を 目指すようになり、さらには個々の患者の特性に応じた個別の治療の構築へと、変貌しつつある。 注)ダビガトラン(プラザキサ)投与により消化管出血等の出血による死亡例が認められたことによ り、使用にあたっては、出血の危険性を考慮し、投与の適否を慎重に判断する「警告」が示された (’11.08)。

(22)

-21-

◆心臓の構造

心臓は、心筋という筋肉でできており、心筋がタイミング良く収縮と拡張を繰り返すことにより、 血液を送り出す。 心臓の右側に位置する右心系と左側に位置する左心系に分かれ、さらにそれぞれ心房と心室と4 つ の部屋に分けられる。右心系は肺へ、左心系は肺以外の全身へと血液を送り出す。心房と心室は同時 に収縮せず、心房の方が少し早く収縮する。1 回の収縮と拡張(拍動)で全身に血液を送り出すよう になっている。また、心房と心室の間は、心臓骨格と呼ばれる線維性結合組織で隔てられており、電 気的には絶縁されている。これに対して通常の心筋細胞は枝分かれのある横紋筋であり、互いに密に 隣接しており、すべての心筋細胞は機能的合胞体を形成しているため、心筋のある部位に活動電位が 起こると、その刺激は隣接する部位に伝わり、心筋全体に広がる。

◆心臓の刺激伝導系

右心房の上部にある洞結節より、何も刺激を受けなくても一定時間ごとに繰り返し発生した電気刺 激が心房に伝わって房室結節に届き、心房の興奮により心房が収縮し、三尖弁と僧帽弁が十分に開い て、心房に溜まった血液は心室へと送られる。電気刺激を受け取った房室結節は、心房が収縮しきる 前に心室が収縮を始めないようにわずかに伝達時間を遅らせ、ヒス束から右脚・左脚へ伝導し、プル キンエ線維を介して左右の心室に規則正しく伝わる。こうして心室が収縮し、心室に溜まっていた血 液を心臓から全身へと送り出す。この経路を刺激伝導系という。洞結節では60~80 回/分、房室結節 では40~60 回/分、プルキンエ線維では 20~40 回/分の電気刺激を発生(自動能*-1)させることがで きる。

参照

関連したドキュメント

氏名 学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目

氏名 学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目

レジメン名: EPD療法1,2クール目 投与スケジュール: 4週間毎 抗癌剤(一般名) エロツズマブ ポマリドミド デキサメタゾン..

Ranunculaceae Ranunculaceae セリバオウレン Coptis japonica (Thunb.) Makino var.. dissecta

So when these modified parts are ordered please inform the serial number of the sewing

名刺の裏面に、個人用携帯電話番号、会社ロゴなどの重要な情

注:一般品についての機種型名は、その部品が最初に使用された機種型名を示します。

性状 性状 規格に設定すべき試験項目 確認試験 IR、UV 規格に設定すべき試験項目 含量 定量法 規格に設定すべき試験項目 純度