廻
文
歌
の
限
界
と
効
用
(下
)
-高
野
山
釈
教
長
歌
を
頂
点
と
し
て-山
内
潤
ご
五、
﹁
廻
文
歌
百
首
﹂
と
﹁
廻
文
百
余
く
る
ま
﹂
の
語
彙
と
文
芸
性
︽
承
前
︾
右
(
前
号
掲
載
論
文
)
に
述
べ
て
き
た
よ
う
に、
言
語
に
内
在
す
る
時
間
性
・
線
条
性
・
有
意
味
性
の
本
質
に
真
向
か
ら
反
逆
を
試
み、
自
縄
自
縛
的
制
限
を
加
え
る、
こ
の
﹁
廻
文
文
芸
﹂
は、
そ
れ
自
身、
言
語
遊
戯
と
し
て
の
文
芸
性
の
問
題
お
よ
び
国
語
学
的
問
題
を
深
く
内
包
し
て
い
る
わ
け
で
あ
る。
そ
の
解
明
の
た
め
に
は、
の
使
用
語
彙
の
分
類
・
数
量
・
傾
向
の
研
究
と、
口
個
人
創
作
の
自
由
性
に
よ
る
変
化
・
効
果
・
価
値
の
研
究
と
の
両
方
が
行
な
わ
れ
ね
ば
な
ら
な
い。
前
号
五、
に
お
い
て
の
の
使
用
語
彙
面
研
究
の
立
場
か
ら、
囚
﹁
廻
文
歌
百
首
﹂
・(B)
﹁
廻
文
百
余
く
る
ま
﹂
の
合
計
三
〇
三
首
の、
初
句
と
第
五
句
五
十
音
順
語
彙
に
つ
い
て、
一
応
の
考
察
を
な
し
た
の
も、
そ
の
目
的
か
ら
で
あ
っ
た。
し
か
し、
廻
文
歌
の
題
材
に
よ
る
品
詞
毎
の
語
彙
調
査
が
残
っ
て
い
る
の
で、
次
に
そ
の
結
果
を
明
ら
か
に
し
て
お
き
た
い。
今、
両
書
の
題
詞
を
検
討
し
て
み
る
と、
四
季
折
々
の
題
詠
を、
両
書
と
も
試
み
て
い
る
の
で、
ま
ず、
そ
の
四
季
毎
の
廻
文
歌
題
を
比
較
し、
そ
の
上
で、
﹁
春
﹂
の
部
に
限
っ
て、
用
語
の
類
似
・
相
違
の
比
較
研
究
を
し
て
み
よ
う。
︹
次
ペ
ー
ジ
題
名
四
季
別
比
較
表
参
照
︺
註、
各
題
名
の
上
の
数
宇
は、
両
書
に
付
し
た
廻
文
歌
通
し
番
号
つ
A=
﹁
廻
文
歌
百
首
﹂
・
B
﹁
廻
文
百
余
く
る
ま
﹂
こ
の
題
詠
歌
の
題
名
を
比
較
一
覧
し
て
み
て
ま
ず
言
え
る
こ
と
は、
種
々
の
矛
盾
・
制
約
を
有
す
る
廻
文
歌
に
あ
っ
て
も、
指
標
と
し
て
志
向
す
る
と
こ
ろ
は
伝
統
的
和
歌
世
界
へ
の
追
随
・
模
倣
で
あ
り、
そ
こ
か
ら
一
歩
も
脱
却
し
得
な
い
と
い
う
こ
と
で
あ
る。
特
に
﹁
歌
集
﹂
の
廻 文 歌 の 限 界 と 効 用 ( 下 )密
数
文
化
廻
文
歌
題
名
四
季
別
比
較
表
形
態
を
と
っ
て、
廻
文
歌
数
を
増
加
し
量
産
多
作
し
よ
う
と
す
れ
ば、
お
の
ず
か
ら
オ
ー
ソ
ド
ッ
ク
ス
な
和
歌
の
部
立
に
よ
る
題
詠
に
頼
ら
ざ
る
を
得
な
い
こ
と
を
示
し
て
い
る。
'こ
の
こ
と
は、
狂
歌
・
雑
俳
の
類
が、
正
統
な
伝
統
文
芸
に
範
を
仰
ぎ、
形
態
・
分
類
的
に
そ
れ
ら
を
遵
守
す
る
の
と
軌
を
一
に
し
て
い
る
訳
で
あ
る。
次
に
両
書
と
も、
春
・
秋
の
部
が
多
く、
夏
・
冬
の
廻
文
歌
が
少
な
い
こ
と、
こ
れ
ま
た
和
歌
集
に
同
じ
で
あ
る。
題
と
し
て
共
通
し
て
い
る
も
の
を
列
挙
す
れ
ば、
春
で
は
霞
・
梅
・
野
遊
・
花
・
汐
干、
夏
で
は、
ほ
と
と
ぎ
す
・
田
植
(
早
乙
女
)
・
蛍、
秋
で
は、
月
が
や
ば
り
非
常
に
数
多
く
詠
ま
れ、
そ
の
他、
朝
顔
・
菊
・
初
雁
・
紅
葉
な
ど、
冬
で
は、
雪
一
例
の
み
共
通
と
い
っ
た
対
比
結
果
が
見
ら
れ
る。
(
注
)
こ
の
あ
と、
両
書
と
も
賀
・
神
祇
・
釈
教
・
寄
物
・
騎
旅
・
恋
・
雑
・
雑
体
歌
・
祝
歌
等
々、
二
応
古
今
和
歌
集
以
下
の
勅
撰
歌
集
の
部
立
に
習
つ
て、
分
類
的
に
題
詠
歌
を
類
纂
し
て
い
る。
但
し、
ど
ち
ら
か
と
い
う
と、(A)
11
廻
文
歌
百
首
の
方
が、
部
立
意
識
は、
よ
り
濃
厚
で
あ
る。
一
々
実
例
を
挙
げ
る
べ
き
で
あ
る
が、
煩
雑
を
避
け
る
た
め
省
略
す
る。
翻
刻
の
部
を
参
照
さ
れ
た
い。
さ
て、
右
の
春
の
部
に
限
定
し
て、
そ
こ
に
使
用
さ
れ
る
語
彙
の
中、
名
詞
・
動
詞
・
形
容
詞
の
三
品
詞
に
つ
き、
囚
・
個
両
書
の
異
同
を
検
討
し
て
み
る。
( 注 ) 接 続 す る 助 詞 は ( ) 内 に 入 れ た。 ま た、 で き る だ け 熟 合 名 詞、 複 合 動 詞 の 形 で 示 し、 時 に 句 の 長 さ で 採 っ て み た。 な お、 意 味 不 明 瞭 で、 い か な る 漢 字 を 与 え る べ き か 不 明 の も の は、 筆 者 の 考 え に よ り、 漢 字 を 当 て た。 そ れ で も 不 明 の も の は 採 り 上 げ な か っ た。 ( 注 ) 数 字 は 前 述 の と お り、 歌 番 号 で あ る。 ︹ 名 詞 ︺ (A) 1 し け る 葉 ( の ) ・ 孫 の 手 ・ 小 松 ・ 玉、 2 花 見 ・ 七 の 野 ( の ) ・ 七 草 ・ 菜 ( は )、 3 日 ( を ) ・ 今 朝 の 摩 耶 ・ 姿 ・ 山 ( の ) 4 霞 ・ 春 ・ 日 の 蔭 ・ 野 蒜 ・ 横、 5 梅 か 名 ( を ) ・ 盛 り ・ 舞 ひ の 園 ・ 今 ( は ) 妻、 6 花、 7 梅 か 名 ( を ) 8 若 草 ( の ) ・ 名 ( は ) ・ 友 と ち ( と ) ・ 花 ( の )、 9 三 群 草 ( や ) ・ 名 ( は ) ・ 花 ( や )、 10 春 ( の み ) ・ け し き な か し も ・ 花 ( は ) ・ 草 木 ・ 玉 ( と )、11、 雁 ・ 彼 方 ・ 中 不 し ・ 彼 方 ・ 闇 地 ・ 常 世 戻 り、 12 を ち こ ち ・ 人 ・ 戻 り 雁 ・ 友 ・ 越 後 路 ・ 連 れ 人、 13 山 の 越 ・ 春 ( は ) ・ 尾 長 鶏 ・ 木 の 間 ( や )、 も と 14 春 雪 ・ 高 根 ・ 遠 山 ( や ) ・ 根 方、 15 桜 木 ・ 下 ( に ) 皆 ・ 今 朝 も ・ 雲 ・ 酒 ・ 花 見 ・ 友 の 気 楽 さ、 16 身 の 楽 さ ・ 連 れ ・ 皆 花 ( ば ) ・ 波 ・ 滝 桜、 17 皆 風 ( の ) ・ 奉 ・ 滝 の 瀬 ・ 波 い つ ち ・ 氷、 18 草 も 餅 ・ 癖 ( の ) ・ 妻 も 子 も ・ 何 方 ・ 桃 ・ 日、 廻 文 歌 の 限 界 と 効 用 ( 下 )密 教 文 化 19 波 ( も ) ・ 沖 ・ 潟 ・ 日 ・ 渚。 皆 み き (B) 1 若 水 ・ 春 ・ 屠 蘇 ・ 音 ・ 霞、 2 幹 ・ 紅 梅 ・ 今 朝 ・ 庭 ・ 酒 ・ 君、 3 何 所 ( か ) ・ 若 殿 ・ 子 供 万 歳、 4 日 ・ 山 ( の ) 名 ( は ) ・ 摩 耶 ( の ) 霞、 5 麓 ・ 坂 ( の ) 名 ( は ) ・ 山 ・ 花 の か ざ り、 6 若 殿 ・ 酒 ・ 遠 馬 ・ お 供 ・ 今 朝 ・ の と か は ( ? )、 7 花 ・ 木 ・ は つ の 野 ・ 蕎 ︹ つ ば な ︺ か ら ・ か ど 草 ( の ) 名 ( は )、 8 気 楽 さ ・ 角 ( の ) ・ 玉 の 出 ( の ) ・ 戸 川 桜 木、 9 妻 ・ 折 笠 ・ 名 ・ 花 の 盛 り ・ 松 ( 待 つ )、 10 世 ( の ) ・ 葉 ・ 名 ( は ) ・ 草 木 雪 ・ 花 の 春 ・ 月、 11 山 の 端 ・ 波 ・ 白 雲 ・ 縄 張 り ( は )、 ・ 花 ・ 皆 庭 の 間、 12 沖 ・ 干 潟 ( や ) ・ 宵 時 ( を ) ・ 高 干 ( 互 ひ ? ) ・ 潮 時 ( を ) ︹ 動 詞 ︺ 囚 1 引 け、 2 見 ( つ ) ・ 咲 く ・ 勇 み ・ 摘 み ( て )、 3 霞 む ( ら ん )、 5 待 つ ・ 居 り ・ 眺 め ( む )、 6 残 る ・ 惜 し め、 7 香 る ・ 眺 め ( む )、 8 知 ら ( す ) ・ 咲 く、 9 知 ら ( し )、 咲 み の く ( ら む )、 10 待 た ( る る ) ・ 咲 く ・ 繁 る る ・ 実 る ( は )、 12 群 れ 集 ひ、 13 哺 け、 14 残 し 勝 ち ・ 消 ゆ る、 16 来 た る ・ 流 れ ( つ る )、 17 来 た る ・ と け る、 18 待 つ ・ 咲 く、 19 汐 干 る ・ 干 し ( た か ) 個 1 汲 む ・ 立 つ、 2 祝 う ・ 繁 る、 3 戒 む る、 4 老 ひ ・ し げ る、 5 思 ふ、 7 咲 く ・ 摘 め、 8 取 れ、 9 聞 け、 10 来 ( つ る ) ・ 咲 く ・ 11 暮 ら し、 12 干 よ ( や ) ︹ 形 寄 詞 ・ 形 容 動 詞 ︺ 囚 1 遥 け し、 4 遠 く、 9 惜 し き、 14 程 近 し、 18 な い、 19 遠 き い さ ぎ
圖
2
遥
け
し、
3
潔
き
・
の
ど
か、
4
遥
け
し、
5
良
し、
6
お
か
し、
7
良
き
・
珍
ら
か
な、
8
よ
か
れ、
9
の
と
け
き
10
若
き
・
よ
き、
12
遠
し
以
上、
春
の
題
詠
廻
文
歌
の
み
に
つ
い
て
も、
色
々
の
注
目
す
べ
き、
面
白
い
対
比
が
見
ら
れ
る。
つ
ま
り
作
者
が
違
つ
て
も、
題
詠
と
し
て
春
の
季
題
を
詠
も
う
と
す
れ
ば、
廻
文
歌
で
あ
る
以
上、
順
逆
相
当
し
得
る
有
義
語
を
選
択
す
る
た
め、
自
然、
両
者
の
語
彙
に
共
通
性
が
生
じ
て
く
る。
名
詞
で
見
る
な
ら、
今
朝
(
酒
)
・
霞
(
見
す
か
)
の
摩
耶
(
山
の
)
・
名
は
(
花
の
)
・
草
の
名
は
(
花
の
咲
く
)
・
気
楽
さ
(
桜
木
)
・
妻
(
待
つ
)
・
草
木
(
木
咲
く
)
・
沖
(
き
を
)
・
潟
(
た
か
)
・
春
の
よ
う
な、
比
較
的
短
い
用
語
で、
廻
文
用
語
と
し
て
も
常
套
的
な
こ
と
ば
が
共
通
し
て
用
い
ら
れ
て
い
る。
次
に
動
詞
に
つ
い
て
見
る
と、
咲
く
(
草
)
・
繁
る
は
(
遥
け
し
)
の
二
語
の
共
通
例
し
か
な
く、
名
詞
の
共
通
語
彙
の
多
さ
に
比
し
て
甚
だ
少
な
く、
こ
れ
が
歌
を
個
性
化
し
て
い
る
も
の
と
言
え
る。
と
同
時
に、
歌
作
を
困
難
な
ら
し
め
て
い
る
条
件
と
も
い
え
よ
う。
次
に
形
容
詞
・
形
容
動
詞
に
つ
い
て
だ
が、
動
詞
以
上
に、
全
用
例
が
少
な
い
に
も
拘
ら
ず、
そ
の
大
半
が
遥
け
し
・
遠
し
で
あ
り、
そ
の
例
の
多
い
の
が
注
目
さ
れ
る。
そ
し
て(B)
の
﹁
廻
文
百
余
く
る
ま
﹂
の
方
が、
こ
の
形
容
詞
・
形
容
動
詞
(
の
ど
か
等
)
使
用
に
積
極
的
で
あ
る。
右
は、
ほ
ん
の
﹁
春
﹂
の
題
詠
廻
文
歌
に
つ
い
て
だ
け
の
比
較
だ
が、
筆
・者
の
試
み
た、
春
以
外
の
夏
・
秋
・
冬
お
よ
び、
賀
・
羅
旅
・
雑
な
ど
の
廻
文
歌
品
詞
別
用
語
に
つ
い
て
も、
ほ
ぼ、
右
の
春
の
部
の
結
果
に
相
似
す
る。
よ
つ
て、
細
部
の
比
較
は
省
略
す
る。
ほ と と ぎ す と ほ そ ( 注 ) 例 え ば、 夏 の 部 で は、 時 鳥 ( 杉 戸 扉 ・ 過 ぎ と と ほ ⋮ )、 早 乙 女 ( 目 遠 さ ) ・ 若 葉 ( は か は ) の 名 詞 共 通 例 に 対 し、 形 容 詞 共 通 語 は、 よ き ・ 遠 き ・ 涼 し ・ よ ろ し ・ 涼 し ・ 清 き ⋮⋮な ど い っ た 類 が 前 の 形 容 詞 と 同 様、 頻 繁 に 両 書 と も 用 い ら れ て い る と い っ た 例 が そ れ で あ る。 こ の 両 書 使 用 語 彙 の 調 査 お よ び 比 較 に よ り、 廻 文 歌 が 題 詠的
で
あ
り、
少
な
く
と
も、
歌
集
編
纂
時
に
は
和
歌
的
部
立
意
識
が、
か
な
り
濃
厚
で
あ
る
こ
と
を
確
認
し
得
た。
と
同
時
に、
そ
の
用
語
自
身、
順
逆
と
も
に
有
意
味
で
あ
る
こ
と
が
必
然
的
に
要
求
さ
れ
る
と
こ
ろ
か
ら、
語
彙
自
体
の
制
約
が
強
く、
か
つ
そ
の
範
囲
・
種
類
も
極
め
て
限
定
さ
れ
て
い
る
こ
と
を
認
識
し
得
た。
こ
の
こ
と
か
ら、
こ
の
第
五
章
の
目
的
で
あ
る、
廻
文
歌
の
﹁
語
彙
と
文
芸
性
﹂
の
問
題
が、
明
ら
か
に
な
つ
て
く
る。
す
な
わ
ち、
廻
文
歌
が、
い
か
に
伝
統
文
芸
た
る
和
歌
に
範
を
仰
い
で、
そ
の
形
態
・
分
類
・
趣
向
に
追
随
せ
ん
と
し
て
も、
所
詮
模
倣
に
過
ぎ
ず、
語
彙
自
身
に
強
い
制
約
が
あ
り、
順
逆
相
同
じ
と
い
う
言
語
本
質
に
反
す
る
矛
盾
を
内
蔵
す
る
以
上、
﹁
文
芸
性
﹂
を
生
み
出
す
高
い
﹁
自
由
性
﹂
と
い
う
も
の
は、
殆
ど
生
じ
て
来
な
い。
た
と
え
あ
つ
た
に
し
て
も、
そ
れ
は、
言
語
遊
戯
の
面
に
お
け
る
技
巧
的
自
己
満
足
で
あ
り、
難
行
苦
行
し
て
作
っ
た
割
に
は、
文
芸
性
は
お
ろ
か、
意
味
も
通
じ
難
い
戯
作
・
駄
作
に
な
り
果
て
か
ね
な
い
の
で
あ
る。
正
規
正
常
の
文
法
で
は
理
解
し
得
な
い
﹁
て
に
を
は
﹂
の
用
い
方、
仮
名
遣
の
強
引
な
誤
用、
詠
者
自
身
の
こ
じ
つ
け
的
捏
造
語、
雅
俗
語
混
用
の
不
統
一
さ
等
々、
作
品
の
文
芸
価
値
を
低
下
せ
し
め
る
要
素
は、
実
に
数
多
い
の
で
あ
る。
こ
れ
は、
言
語
遊
戯
と
し
て
の
廻
文
歌
の、
持
つ
て
生
ま
れ
た
宿
命
で
あ
廻 文 歌 の 限 界 と 効 用 ( 下 )密
教
文
化
り、
そ
の
本
質
に
内
在
す
る
必
然
で
も
あ
る。
古
今
和
歌
集
巻
十
﹁
物
名
﹂
の
文
芸
性
の
低
さ、
狂
歌
・
川
柳
の
言
語
遊
戯
的
技
巧
本
位
の
作
品
の
低
劣
さ
を
想
起
す
れ
ば、
そ
れ
以
上
に
苛
酷
な
制
約
を
も
つ
廻
文
歌
の
﹁
文
芸
性
﹂
は、
推
し
て
知
る
べ
し
で
あ
る。
た
と
え、
傑
作
が
出
来
上
が
り、
意
味
明
快
・
歌
格
流
麗
と
い
つ
た
と
こ
ろ
で、
つ
ま
り
は、
﹁
偶
然
の
傑
作
﹂
で
あ
り、
技
巧
面
の
見
事
さ
に
感
心
す
る
だ
け
で
あ
っ
て、
文
芸
性
の
深
さ
に
感
動
し、
涙
す
る
わ
け
で
は
な
い。
こ
う
し
た
こ
と
を
も
含
め、
か
つ、
二
・
三
・
四
章
で
述
べ
て
き
た
廻
文
歌
の
性
格
・
限
界
と
効
用
・
使
用
語
彙
・
発
想
の
類
型
化
・
語
彙
と
文
芸
性
の
問
題
な
ど
に
つ
い
て、
次
に
掲
げ
る、(A)
・(B)
両
書
の
翻
刻
本
文
を
熟
読
す
れ
ば、
そ
の
間
の
事
情
は
お
の
ず
か
ら
明
白
に
な
る
で
あ
ろ
う。
参
考
﹁
和
歌
文
学
大
辞
典
﹂
所
収
﹃
廻
文
﹄
の
項、
廻
文
11
遊
戯
的
和
歌
の
中
で
も
最
も
愚
に
近
い
弄
字
的
文
芸
で、
作
る
に
む
ず
か
し
く、
や
や
も
す
れ
ば
口
調
難
渋、
意
味
不
通
の
も
の
が
多
い。
雑
俳
に
も
こ
の
種
の
作
法
が
あ
る。
︹
土
屋
︺
﹁ 廻 文 歌 百 首 ﹂ と ﹁ 廻 文 百 余 く る ま ﹂ ( 翻 刻 ) 凡 例 一、 ﹁ 廻 文 歌 百 首 ﹂、 国 会 図 書 館 本 半 紙 本 一 冊 縦 22cm ・ 横 14cm 大 福 窓 笑 寿 著、 文 化 十 一 年 ( 一 八 一 四 ) ︹ 笑 寿 五 四 才 ︺ 序。 文 政 三 年 ( 一 八 二 〇 ) ︹ 笑 寿 六 〇 才 ︺ 刊。 自 家 出 版。 回 文 歌 百 首 ・ 追 加 二 十 二 首、 回 文 発 句 ・ 長 歌 ﹁ 車 尽 し ﹂ を 収 め る。 ﹃ 風 車 塵 の 言 の 葉 ﹄ は、 本 書 と 全 く 同 書 で、 表 紙 の み 改 め た も の。 詳 細 は ﹁ 密 教 文 化 第 九 十 七 号 ﹂ に 報 告 し て お い た。 二、 ﹁ 廻 文 百 よ く る ま ﹂ 大 阪 大 学 蔵 C 18 分 類 ( 国 文 ) 半 紙 本 一 冊。 表 紙 題 箋 ﹁ 廻 文 百 飴 久 留 満 全 ﹂ と あ り。 内 題 ﹁ 廻 文 百 よ く る ま ﹂。 内 表 紙 裏 廻 文 歌 三 首 ( 別 筆 ) は じ め に 古 詠 と し て 廻 文 歌 十 二 首、 三 友 亭 序 に つ づ い て 廻 文 歌 一 五 七 首。 お わ り に 践 と ﹁ 文 化 五 戊 辰 年 菊 月 な か ま る 記 ﹂ と あ り。 三、 翻 刻 に あ た つ て は、 原 文 ど お り を 旨 と し、 字 体 は 現 行 の 漢 字 ・ 平 仮 名 に 改 め た。 ハ ・ ミ の 類 は 残 し た。 四、 仮 名 遣 の 誤 用 は、 廻 文 歌 の 常 で あ る の で、 そ の ま ま と し た が、 原 文 の 補 筆 ・ ミ セ ケ チ は、 そ の 傍 に 記 す こ と に し た。 五、 両 書 と も、 各 歌 の 頭 に 歌 番 号 の 数 字 を 付 し た。 但 し、 ﹁ 廻 文 百 よ く る ま ﹂ の 初 め の 古 詠 は、 三 友 亭 作 で は な い の で、 通 し 番 号 か ら は ず し て、 a b c d ⋮⋮ 1 の 符 号 を 付 け た。 六、 一 行 字 詰 め、 改 行、 題 詞 等 す べ て 原 文 ど お り と し た が、 序 践 の 中 で 字 詰 の 合 わ ぬ も の の み、 改 行 を ﹄ で 現 わ す こ と と し た。廻
文
歌
百
首
月
は
き
つ
桜
は
ら
く
さ
雪
は
き
ゆ
い
つ
れ
下
よ
り
か
へ
る
こ
と
の
葉
︹
風
車
塵
の
言
の
葉
︺
千
秋
こ
と
な
き
の
つ
ら
に
大
福
窓
笑
寿
な
る
も
の
た
は
れ
歌
に
年
久
う
あ
そ
ひ
侍
り
て
春
は
花
の
雲
の
う
へ
に
聞
え
ん
と
枝
高
き
に
も
た
に
さ
く
を
さ
ゝ
け
秋
は
穂
すゝ
き
の
ま
ね
く
に
つ
れ
て
月
の
都
人
に
も
ま
し
は
り
つ
ゝ
と
こ
し
な
へ
に
楽
し
み
く
ら
し
け
る
い
と
ま
に
い
つ
の
こ
ろ
﹄
一
オ
よ
り
か
お
も
ひ
た
ち
て
廻
文
う
た
よ
み
お
き
つ
る
を
見
る
に
そ
の
数
あ
け
て
か
そ
へ
か
た
し
こ
れ
を
友
垣
放
生
庵
風
月
楼
や
つ
か
れ
も
と
も
に
め
つ
る
あ
ま
り
そ
か
中
よ
り
よ
く
と
墨
の
ひ
け
る
を
十
く
さ
は
た
く
さ
か
い
つ
け
て
ほ
と
と
ほ
き
諸
き
ん
達
へ
も
し
ら
し
め
む
と
な
り
﹄
一
ウ
お
よ
そ
廻
文
う
た
は
い
に
し
う
た
人
に
も
ま
れ
に
し
て
今
大
江
戸
に
か
す
ま
へ
ら
れ
名
た
ゝ
る
う
し
達
す
ら
世
に
き
こ
え
た
る
よ
み
歌
は
い
と
す
く
な
か
る
へ
し
よ
し
さ
る
に
て
も
数
々
の
廻
文
た
か
ら
舟
に
つ
み
あ
ま
る
ま
て
も
て
り
け
る
は
か
の
大
福
窓
の
名
に
や
よ
り
け
む
﹄
二
オ
か
へ
す
く
も
ゆ
か
し
き
こ
と
に
こ
そ
鈍
々
亭
文
化
十
一
甲
戌
初
春
和
樽
﹄
二
ウ
廻 文 歌 の 限 界 と 効 用 ( 下 )密
教
文
化
大
福
窓
の
あ
る
じ
は
そ
の
身
熊
谷
に
す
み
て
と
し
月
久
し
く
た
は
れ
う
た
の
道
に
あ
そ
び
わ
け
て
廻
文
歌
に
た
く
み
な
る
こ
と
は
数
く
の
よ
み
歌
に
い
ち
し
る
し
詞
の
海
の
ふ
か
き
に
は
八
嶋
の
浪
な
ほ
あ
さ
く
ほ
ま
れ
の
世
に
高
き
に
は
﹄
三
オ
ひ
よ
鳥
越
も
ひ
く
か
る
へ
し
こ
の
人
そ
こ
れ
み
や
び
を
の
旗
が
し
ら
よ
み
う
た
の
剛
の
者
に
は
あ
り
け
る
至
清
堂
捨
魚
し
る
す
﹄
三
ウ
よ
し
あ
し
を
何
と
な
に
は
の
う
ら
つ
た
ひ
和
歌
な
ら
ぬ
身
は
馬
鹿
く
し
そ
の
道
の
り
は
し
ら
ぬ
ひ
や
心
つ
く
し
の
か
す
く
も
い
く
よ
ね
さ
め
の
あ
は
ち
し
ま
お
ろ
か
鳴
門
の
う み つ ら を ひ ろ ひ あ つ む る も し ほ く さ も の 数 な ら ぬ こ と の は は つ ゝ む に あ ま る や れ こ ろ も 袖 つ ま あ は ぬ か な た か ひ て に は た か ひ は 四 角 も し よ め ぬ た と へ を あ き め く ら ふ く ろ う な ら ぬ お の れ の み み ゝ す の 歌 の ふ し も な く ひ る は 人 め を は ち ら ひ て ぬ る ま の ひ ま の を り く に か き つ ら ね た る く わ い ふ ん は 百 く さ あ ま り あ り あ け の つ き ぬ ま さ こ の か す く も そ の ひ と も し の﹄
四
オ
あ
や
ま
り
は
三
陀
羅
ほ
う
し
先
せ
い
の
ゆ
る
し
給
へ
と
な
ほ
さ
ら
に
た
か
へ
る
こ
と
の
お
ほ
か
ら
ん
か
し
も
ろ
き
ん
た
ち
こ
れ
を
ゆ
る
し
給
へ
と
道
友
ね
か
ふ
の
み
笑
壽
廻
文
歌
百
首
﹄
四
ウ
小
松
引
(
1
)
し
け
る
葉
の
ま
た
ひ
け
よ
も
つ
ま
こ
の
て
の
こ
ま
つ
も
よ
け
ひ
玉
の
は
る
け
し
七 種 ( 2 ) や か て み つ は な み さ い さ く な な の 野 の な な く さ い さ み な は つ み て か や 霞 ( 3 ) い て し 日 を け さ の ま や は た か す む ら ん す か た は 山 の さ け お ひ し て い ﹄ 五 オ 同 ( 4 ) と ほ く ま を こ よ か す み は る 日 の か け か の ひ る は み す か よ こ を ま く ほ と 梅 ( 5 ) む め か な と さ か り を ま つ は ま ひ の 園 い ま は つ ま を り か さ と な か め む 同 ( 6 ) と め し を な ぬ き し か の も る こ の 花 は の こ る も の か し き ぬ な を し め と ﹄ 五 ウ 紅 梅 ( 7 ) む め か な を の ひ し よ ま さ る ほ か に た に か ほ る さ ま よ し ひ の を な か め む 野 遊 ( 8 ) 若 く さ の 名 は し ら す み る 友 と ち と も と る 身 す ら し 花 の さ く か わ 摘 草 ( 9 ) を し き を そ み つ む ら く さ や 名 は し ら し は な や さ く ら む つ み そ お き し を ﹄ 六 オ 草 木 花 ( 10 ) は る の み と ま た る る け し き さ く 花 は く さ き し け る る 玉 と み の る は 帰 鷹 ( 11 ) か り と も よ こ と ち み や は た な か し も し か な た は や み ち と こ よ も と り か 同 ( 12 ) を ち こ ち へ も し ひ と つ れ ん も と り か り 友 む れ つ と ひ し も 越 後 路 を ﹄ 六 ウ 奉 鳥 ( 13 ) 山 の こ し み よ け な り と か な を は る は を な か と り な け よ み し こ の ま や 奉 雪 ( 14 ) 高 根 は る ゆ き の こ し か ち と ほ や ま や 廻 文 歌 の 限 界 と 効 用 ( 下 )
密 教 文 化 ほ と ち か し こ の き ゆ る は ね か た 花 ( 15 ) さ く ら 木 の も と に み な は や け さ も く も さ け や は な み に 友 の き ら く さ ﹄ 七 オ 滝 花 ( 16 ) 身 の ら く さ き た る つ れ か な み な は な は な み な か れ つ る た き さ く ら の み 春 風 春 水 ( 17 ) は り ほ こ る け と み な か せ の き た る は る た き の せ か な み と け る こ ほ り は 上 巳 ( 18 ) く さ も も ち つ い く せ の な ひ つ ま も 子 も ま つ ひ な の せ く い つ ち も ゝ さ く ﹄ 七 ウ 汐 干 ( 19 ) な み も 沖 ほ と さ き な か た し ほ ひ る 日 ほ し た か な き さ と ほ き を も み な 柳 ( 20 ) よ れ つ も て 糸 は 川 岸 さ や な き な や さ し き 若 葉 と ひ て つ も れ よ 子 規 ( 21 ) も と つ た そ ほ と と き す は や き つ な け な 月 や は 杉 戸 と ほ そ た つ と も ﹄ 八 オ 同 ( 22 ) つ ゝ き な き に ね や い つ 杉 戸 と ほ に は に ほ と と き す つ い や ね に き な き つ ン 川 辺 郷 燭 ( 23 ) な か し つ ゝ な み の ま の こ る 川 の せ の わ か る こ の ま の み な つ ゝ し か な 端 午 ( 24 ) 鎗 ほ の み さ い く な り ほ こ と ゝ か ゝ か と ゝ こ ほ り な く い さ み の ほ り や ﹄ 八 ウ 田 植 ( 25 ) さ と む れ つ ひ と め と ほ さ へ う た ひ ゆ ひ 田 う へ さ ほ と め と ひ つ れ ん と さ 蛍 ( 26 ) な か れ つ き 川 も と め す む ほ た る か る た ほ む す め と も ね か き つ れ か な 納 涼
( 27 ) さ 夜 き つ る け ふ そ ま た き し す ゝ 風 か す ゝ し き 玉 そ ふ け る 月 よ さ ﹄ 九 オ 社 頭 納 涼 ( 28 ) や れ と か し さ ひ の み か き し 鈴 の 音 の す 峯 し き 袖 の ひ さ し か れ と や 歌 人 納 涼 ( 29 ) よ せ た ひ さ う た よ み か よ り す ゝ む ら む す ゝ り よ か み よ た う 座 い た せ よ 露 ( 30 ) ゆ つ ら し の さ く を な て し こ 萩 の 根 の き は こ し て な を く さ の し ら つ ゆ ﹄ 九 ウ 同 ( 31 ) や と る つ ゆ 玉 は 軒 端 の 葉 に し け し 庭 の は き の は ま た ゆ つ る と や 朝 顔 ( 32 ) は や み め と ま た く ら ひ 朝 あ さ か ほ か
さ
あ
く
ひ
ら
く
玉
と
め
み
や
は
月 ( 33 ) き つ る ま ま 地 も き よ け ら し け ふ の よ の ふ け し ら け よ き も ち ま ゝ る 月 ﹄ 十 オ 同 ( 34 ) さ よ て れ は も ち は の き は に き つ る な る 月 に は 木 の 葉 地 も は れ て よ さ 同 ( 35 ) は れ つ 見 よ き つ る も は き の 葉 に て り て 庭 の き は も る 月 夜 み つ れ は 海 辺 月 ( 36 ) き つ る 道 み な い そ さ へ て か く 沖 を く か て へ さ そ い な み ち 見 る 月 ﹄ 十 ウ 同 ( 37 ) さ 夜 を き つ す ま に は ま る く み つ る な る つ み く る ま わ に ま す 月 を よ さ 田 毎 月 ( 38 ) な か き よ の き つ る み ち も と こ た し ろ し 田 こ と も ち み る 月 の よ き か な 泊 月 ( 39 ) き つ る 身 も み な か と 衷 り よ ね ふ け さ け ふ ね よ り ま と か な み も み る 月 ﹄ 十 一 オ 廻 文 歌 の 限 界 と 効 用 ( 下 )密 教 文 化 月 明 海 上 鴻 鷹 渡 ( 40 ) て り つ う み き つ し も な か の み な か り か な み の か な も し 月 見 う つ り て 初 鷹 ( 41 ) な か き か し と ふ の は に て さ は つ か り か つ は さ て に は の ふ と し か き か な 菊 ( 42 ) さ く な 黄 を は な の く き ら し も と の 根 の 友 し ら き く の 名 は お き な く さ ﹄ 十 一 ウ 名 所 苅 ( 43 ) な か く よ ふ 四 方 は ら 玉 の か し ま 山 し か の ま た ら は も よ ふ よ く か な 紅 葉 ( 44 ) 山 の お く ほ と し ら ぬ 道 身 も し は し も み ち み ぬ ら し と ほ く 尾 の ま や 九 月 尽 ( 45 ) や ま の せ か ふ ゆ か し て 葉 の 黄 あ か き か 秋 の は て し か ゆ ふ か せ の ま や ﹄ 十 二 オ 冬 枯 ( 46 ) や と よ こ の と ひ き し 身 さ へ ふ ゆ か れ か ゆ ふ へ さ み し き ひ と の こ よ と や 川 辺 落 葉 ( 47 ) な か も み な わ か る な 岸 に お ち 葉 せ は 地 を に し き な る 川 な み も か な 千 鳥 ( 48 ) む れ つ と ひ な み の か す よ り と ち ら や ら ち と り よ す か の み な ひ と つ れ ん ﹄ 十 二 ウ 霜 ( 49 ) な か む ら し お ち 葉 も 忍 へ ふ ゆ の よ の ゆ ふ へ の 霜 は 地 を し ら む か な 雪 ( 50 ) 消 を し こ の 庭 に た え な る ゆ き し ろ し き ゆ る な 枝 に 葉 に の こ し お け 同 ( 51 ) 軒 し け き ほ と に は の ま や き よ き 雪 よ き や ま の は に と ほ き け し き の ﹄ 十 三 オ 不 二 雪 ( 52 ) し ら つ も る ゆ き の た か ね そ き よ し ふ し
よ き そ ね か た の き ゆ る も つ ら し 矢 田 野 雪 ( 53 ) き ゆ ら し な き よ し こ の ま や 矢 田 の 野 の 田 や 山 の こ し よ き な し ら ゆ き 鶴 ( 54 ) な か し 日 の い つ の ひ ま に か の ほ る つ る ほ の か に ま ひ の つ い の ひ し か な ﹄ 十 三 ウ 春 亀 ( 55 ) 山 み な の 景 は こ の め か き よ く さ く よ き か め の こ は 池 の な み ま や 松 ( 56 ) そ た つ ま の 葉 に も り と み て の ひ る は る 日 の て み と り も に は の ま つ た そ 竹 ( 57 ) や ふ に は の な ひ け た る さ ま に き は ひ は 木 に ま さ る た け ひ な の は に ふ や ﹄ 十 四 オ 士 ( 58 ) と ひ て か や 名 は ゆ み と り と か た き よ き 高 と り と 見 ゆ は な や か て ひ と 農 ( 59 ) 来 て 見 つ ら は た む ら か た や く さ お ひ を さ く や 田 か ら む た は ら つ み て き 工 ( 60 ) 二 か ひ た く 高 き か み の 間 た い く よ く い た ま の み か き か た く 大 家 に ﹄ 十 四 ウ 商 ( 61 ) か ひ た し の 利 う る さ ま に や ひ と の 身 の と ひ や に ま さ る う り の し た ひ か 段 ム ロ 金 ン ー ( 62 ) て し や 子 と つ な か え の つ ち か と ほ の 音 の ほ と か ち つ の え か な と こ や し て 賀 く 63 ) 日 こ ろ よ き 家 内 は よ つ き つ つ く と く つ つ き つ よ は ひ な か き よ ろ こ ひ ﹄ 十 五 オ 社 頭 祝 ( 64 ) 楽 て 身 の 夜 み や き よ め し 鈴 か け か す す し め よ き や 御 代 の み て く ら 和 歌 三 神 廻 文 歌 の 限 界 と 効 用 ( 下 )
密 教 文 化 ( 65 ) 和 歌 の な み 代 々 玉 津 し ま 人 と 人 と ひ ま し つ ま た 世 々 み な の 川 神 祇 ( 66 ) き と う た は ま さ し よ き 身 か 神 の 坐 の み か ゝ み き よ し さ ま は た う と き ﹄ 十 五 ウ 同 ( 67 ) つ ゝ み つ を こ そ か な へ う る す み の 江 の 見 す る う へ な か そ こ を つ み つ ゝ 釈 教 ( 68 ) 品 も な く ほ と け の を し へ み つ の 世 の つ み へ し を の け と ほ く な も な し 同 ( 69 ) つ み は う く 聞 く 身 つ ね か し 月 の 日 の き つ し か ね つ み 茎 く う は み つ ﹄ 十 六 オ 同 ( 70 ) な か る へ き 水 き よ け ら し 川 の 辺 の わ か し ら け よ き つ み き へ る か な 恋 ( 71 ) し ら ぬ 身 か つ い お も ひ 出 し く と き な き と く 下 ひ も を い つ か み ぬ ら し 寄 琴 恋 ( 72 ) か へ ら し の つ ま 琴 を も て け ふ の 夜 の ふ け て も を と こ ま つ の し ら へ か ﹄ 十 六 ウ 不 逢 知 恋 ( 73 ) と や か ふ と つ い ち と ぬ れ し や み の 夜 の み や し れ ぬ と ち い つ と ふ か や と 寄 鳥 恋 ( 74 ) や か て あ を こ と か く ひ な は 戸 を と ゝ と お と は な ひ く か と こ を あ て か や 同 ( 75 ) し ら さ き の み き は ま よ ふ て こ ひ の 身 の い こ て ふ 夜 ま は き み の き さ ら し ﹄ 十 七 オ 寄 海 恋 ( 76 ) い か て ま つ こ ひ し さ み な と き を も む も 沖 と な み さ し い こ つ ま て か い 寄 山 恋 ( 77 ) 数 か あ ひ 夜 ま に と ひ き し い こ ま や ま こ い し き 人 に ま よ ひ あ か す か
寄 川 恋 ( 78 ) き し ひ こ そ ま つ の 身 な ら し 川 の せ の わ か し ら な み の つ ま そ こ ひ し き ﹄ 十 七 ウ 待 恋 ( 79 ) 身 の ね る ま い つ の 夜 し ら す ま た も 夜 も た ま す ら し 夜 の つ い ま る 寝 の み 無 常 ( 80 ) く ゆ へ き に い つ も み ぬ ら し 人 の 世 の と ひ し ら ぬ 身 も つ い に き へ ゆ く 同 ( 81 ) き し や あ の つ み の よ る へ に 喜 怒 苦 楽 と き に へ る よ の み つ の あ や し き ﹄ 十 八 オ 音 羽 滝 ( 82 ) 身 の つ み の き た の は と を く 日 々 き よ き ひ ゝ く お と は の た き の み つ の み 海 山 嶋 川 草 木 ( 83 ) 山 み な の 川 の ま し 岸 く さ も 木 も さ く し き 嶋 の 和 歌 の な み 間 や 東 西 南 北 ( 84 ) な か し て 見 な み を た き は せ ひ か し に し か ひ せ は き た を み な み て し か な ﹄ 十 八 ウ 地 水 火 風 空 ( 85 ) み な く う の せ か い な り 地 も 水 も 火 も つ み も ち り な い か せ の う く な み 古 歌 に な ら ひ ( 86 ) し ら 川 の た う の ね ふ り の み な め さ め な み の り ふ ね の う た の わ か ら し 夢 ( 87 ) な か る ふ ね ほ 見 る ゆ く へ か な み の よ の み な か へ く ゆ る 身 ほ ね ふ る か な ﹄ 十 九 オ 百 千 鳥 ( 88 ) お ひ か せ の み な や と り と ち も ゝ の 世 の も 峯 ち と り と や な み の せ か ひ を 老 賀 ( 89 ) 八 十 や お い 家 内 よ ろ こ ひ ま す と し と す ま ひ こ ろ よ い な か い お や そ や 旅 行 の 人 々 え ( 90 ) と も か く も ま は る な か た ひ き よ く ゆ く 廻 文 歌 の 限 界 と 効 用 ( 下 )
密 教 文 化 よ き 日 た か な る は ま も く か も と ﹄ 十 九 ウ 同 ( 91 ) く か ち と や い つ し か た ひ も ま は る は る は ま も 日 た か し つ い や と ち か く 同 ( 92 ) 日 た か な 惹 は ま い そ く か ち と ほ や ま や ほ と ち か く そ い ま は る な か た ひ 同 ( 93 ) や と ち か く ま は る な り 今 み か き よ き 神 ま い り な る は ま く か ち と や ﹄ 二 十 オ 同 ( 94 ) な か た ひ も つ い お そ き は る 友 と ち と も と る は 木 曽 を い つ も 日 た か な 伊 勢 参 宮 ( 95 ) 日 こ ろ よ い な か く よ き は る 今 い せ い ま い る は き よ く 家 内 よ ろ こ ひ 大 和 廻 ( 96 ) か の か た を き つ る か わ ち と ま や し は し や ま と ち わ か る つ き を た か 野 か ﹄ 二 十 ウ
海
(
97
)
か
る
海
は
玉
か
る
ふ
ね
か
な
み
の
り
の
み
な
か
ね
ふ
る
か
ま
た
は
み
う
る
か
雑
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追 加 ( 101 ) も と す ら し 我 が な ま な か の こ と の は の と こ の か な ま な か わ し ら す と も 烏 ( 201 ) な か ひ よ を あ か す ら か あ か あ か と き と
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水 辺 梅 ( 301 ) 池 の も よ な み な か め む に か ほ り け り ほ か に む め か な み な 四 方 の け い ﹄ 二 十 ニ オ 老 梅 ( 401 ) な か め む に お い も 身 の ら く ま た し は し た ま く ら の 身 も 庵 に む め か な 花 古 歌 に な ら ひ (105 ) さ と き よ く こ し を の し よ し 見 よ は な は よ み し よ し 野 を し こ く よ き と さ 老 花 (106 ) 春 へ 野 の ひ を ら く さ ま や ほ と し は し と ほ や ま さ く ら 老 の の へ る は 田 (107 ) 手 に つ み し は た く さ た へ て ひ の め く め の ひ て 枝 さ く 田 は し み つ に て ﹄ 二 十 二 ウ 納 涼 (108 ) そ よ し て 身 す ゝ め と き 日 も と ひ つ き つ ひ と も ひ き と め す す み て し 夜 そ 嫁 娘 見 月 (109 ) な か よ さ の 来 つ る み そ ら は む す め よ め す む は ら そ 見 る つ き の さ 夜 か な 狸 狢 も の ゝ 名 (110 ) 外 さ む し な お と の て そ か し き ぬ た う た ぬ き し か そ て の と を な し む さ と 出 来 秋 ( 111 ) み な ほ ま し と こ も み の る か を 田 の ほ の 田 を か る の み も こ と し ま ほ な み ﹄ 二 十 三 オ 達 磨 忌 (112 ) 木 ま る た の こ ゝ う な ら て の む せ か い か せ ん の て ら な ろ こ ゝ の た る ま 忌 閑 子 鳥 (113 ) 来 し 身 さ へ ふ ゆ や と り と こ む か し 聞 し 廻 文 歌 の 限 界 と 効 用 ( 下 )密
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( 114 ) し む く よ の こ る へ き は ら み つ た う た つ み ら は き へ る こ の よ む し く 東 都 学 長 錦 字 楼 の 号 を 給 ふ か へ し ( 115 ) も と る を な い つ も ろ こ し と つ ま し ら し ま つ と し こ ろ も つ い な お る と も ﹄ 二 十 三 ウ 笹 ( 116 ) 庭 も せ か さ ゝ の は る け し き よ き あ き よ き し け る は の さ ゝ か せ も は に 手 習 子 に な ら ひ ( 117 ) は や も と る さ か て く る ま か ヱ イ や ら や 家 か ま る く て か さ る と も や は 老 摘 草 ( 118 ) や か て 見 つ 日 を の へ る 葉 も さ く 花 は く さ も は る へ の お ひ つ み て か や 寄 山 恋 ( 119 ) と ひ つ き み つ ま と し つ 見 る た か や ま や か た る み つ し と ま つ 身 き つ ひ と ﹄ 二 十 四 オ賀
( 120 ) と き よ 見 る さ ま の よ し く と こ も か も こ と し よ し よ の ま さ る み よ き と 不 二 雪 ( 121 ) き ゆ る な よ こ と し ふ る も つ む つ の 名 の つ む つ も る ふ し と こ よ な る ゆ きむ
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( 122 ) 日 こ ろ よ の 玉 み の へ し を も ゝ と せ と も ゝ を し へ の み ま た の よ ろ こ ひ 右 追 加 弐 拾 弐 首 ﹄ 二 十 四 ウ 花 返 し 月 ( 123 ) さ く ら か り と ひ つ け ら し て 木 の も と \ き つ れ は 山 も 野 も は な 見 よ さ 夕 立 返 し 冬 枯 ( 124 ) は し れ か も い ま ゆ ふ た ち を な み は 軒 い つ ち た か せ か た き に は の ま や 船 中 納 涼 返 し 虫 ( 125 ) は な ひ た し 玉 と は し る も や ね に た りふ ね こ き を し む す ゝ み し を よ さ ﹄ 二 十 五 オ 月 返 し 梅 (126 ) な か め む は く さ も る ほ か も 池 の ま や な み し ら け る は い よ ふ け る つ き 雪 返 し 花 ( 127 ) け さ 見 な は き よ し ふ ゆ の 日 い つ も く る こ の へ ん は ら そ た え な し ら ゆ き 神 祇 返 し 釈 教 ( 128 ) さ と む れ し 人 は き ら く に 宮 も と を た み の よ か く ら い を ま さ る と さ ﹄ 二 十 五 ウ 恋 返 し 無 常 (129 ) し た ひ も を と ひ て は ら す は と く は と そ つ た ひ し な か に い つ や 見 る へ き 表 婚 礼 う ら 睾 入 ( 130 ) 老 な か ふ す む よ は と こ と い よ は れ な ご ん れ い し こ く よ き は 夜 の ふ け 下 よ り か へ し 御 覧 あ れ 右 八 首 一 首 を 弐 首 に よ め る さ れ う た ﹄ 二 十 六 オ 発 句 ( 131 ) 梅 し を り 戸 も む め か な か め ん も と り を し ( 132 ) 残 雪 き ゆ る こ の や ま の こ の ま や の こ る ゆ き ( 133 ) 桜 身 を ら く さ の と か に か と の さ く ら を 見 ( 134 ) 時 鳥 ほ と ゝ き す き か ま し ま か き 杉 戸 と ほ ( 135 ) 月 け ふ の よ き 月 に は に き つ さ 夜 の ふ け ( 136 ) 雪 し ろ く と も き ゆ る な る 雪 も と く ろ し 総 計 回 文 百 三 十 六 種 笑 寿 独 詠 ﹄ 二 十 六 ウ 久 か た の 雪 ゐ に み つ の か け ま る く ひ か り を う つ す み つ か ゝ み く も ら ぬ か ゝ み ま ん ま る に う き 世 は め く る く る ま の わ を し へ に お も ひ 月 も 日 も め く り く る ま の と ふ と さ は に し き の く る ま 龍 く る ま 大 み や ひ と の 御 所 く る ま を ん な く る ま に そ へ く る ま な ゝ く る ま て ふ こ と の は ゝ み そ ひ と も し の お て く る ま か さ り く る ま の い と く る ま み も す そ 川 の す ゑ き よ く な か れ つ き せ ぬ み つ く る ま し つ く は か り も ま な は む と し ま の 車 や く ま く る ま け ん し く る ま も わ き ま へ す お し か ゝ り て も 廻 文 歌 の 限 界 と 効 用 ( 下 )
-19-密 教 文 化 地 く る ま の い し に つ か へ て な か く に も と よ り お も き く ち く る ま ち か ら く る ま の こ う も な く み な こ し を れ の や れ く る ま か た わ く る ま と 人 や 見 む す き の み ち に は 藤 つ る を は な よ り と ほ す う し く る ま ぬ ら り く ら り と ﹄ 二 十 七 オ な か と ら ぬ あ し よ り く る ま 老 の 身 の こ こ ろ は か り は あ ら か ね の ふ み か た ま ら ぬ つ ち く る ま ほ ね も み も な き な り ぬ き の 手 あ そ ひ さ い く ひ き く る ま 童 す か し の 風 く る ま ま は る は か り か わ ら ひ く さ く さ く な ら は つ い ひ と つ 花 く る ま と も な ら ん か と ふ ん へ ち も な く ふ ん く と 糸 と り く る ま さ い し よ 歌 そ の を く る ま に と り つ い て て に は わ か ら ぬ く わ い ふ ん を ひ き ま と く る ま か ら く と お く そ こ も な き 戸 く る ま や ま し は り ふ か き