• 検索結果がありません。

休日における都市内滞留者の時空間分布推定

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "休日における都市内滞留者の時空間分布推定"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

休日における都市内滞留者の時空間分布推定

Keywords : 防災計画(disaster prevention planning),時空間分布(spatio-temporal distribution),

     パーソントリップ調査(person trip survey), 休日 (holidays)

1.はじめに

 都市地震防災計画に供する基礎的データの整備 を目的として,都市滞留者および移動者の時空間 分布を推定するモデルを開発してきた ( 星野・大佛 ,2005; 大 佛・ 大 谷 ,2005; 島 田・ 大 佛 ,2007). そ こでは平日を対象とした PT データ ( 平成 10 年東 京都市圏パーソントリップ調査のデータ ) を原デー タとしていた.都市内滞留者は時刻や場所だけでな く,曜日に応じて大きく変動することから,休日に おける滞留者の時空間分布についても把握しておく 必要がある ( 大佛 ,2007).そこで,本稿では,生 活時間調査のデータ (NHK 放送研究所 ,2000) を用 いて,平日の PT データを休日の PT データへ変換 する手法について検討する.また,推定された休日 における滞留者の時空間分布を検証し,滞留者の個 人属性を考慮しながら,平日との比較を行う.

2.休日 PT データの構成方法

 休日 PT データの構成方法の手順を以下に示す.

ここでは,「ある人のトリップは,他の人のトリッ プで代替 ( 記述 ) できる」と仮定している.すなわ ち,個人属性 ( 性別・年齢・職業など ) は保持した まま,トリップのみを他の人のトリップで置換する ことで,休日 PT データを構成する.具体的には,

まず,トリップ情報を精査し,各人の1日の行動パ ターン ( 表1) を求める.次に,生活時間調査に基 づく休日 ( 日曜日 ) の時刻別行為者比率との差が小 さくなるように,次に示す行動パターン変換率   ( 平日に行動パターン j をとる人のうち,休日に行 動パターン l をとる人の割合 ) を推定する.すなわ

島田:〒 152-8552 東京都目黒区大岡山 2-12-1

東京工業大学大学院 情報理工学研究科 情報環境学専攻 大佛研究室

E-mail: [email protected]

Abstract : In the field of urban disaster prevention planning, it is very important to grasp the characteristics of spatio-temporal distribution of population, which varies according to weekdays or weekends / holidays. However, there exists no data that describe the spatio-temporal distribution of population counted on weekends. Given this background, we propose a method to convert the existing person trip data from the weekday-base to the holiday-base. We attempt to examine the differences between them, by estimating the spatio-temporal distribution of population using the proposed method. Some new findings are demonstrated by numerical examples using the data about Tokyo Metropolitan area.

島田 廉 ・ 大佛 俊泰

Spatio-Temporal Distribution of Population on Holidays Ren SHIMADA, Toshihiro OSARAGI

行 動パタ ーン名 称

「 通勤」 や「業 務」を 行う行 動パタ ーン( 買物等   を行う 場合も この行 動パタ ーンに 含める )

「 通学」 を行う 行動パ ターン (買物 等をす る場合   もこの 行動パ ターン に含め る)

終 日在宅 してい る行動 パター ン 上 記以外 のすべ ての行 動パタ ーン 通 学

通 勤

買 物/私事 在 宅 そ の他 ID 定 義

2 1

3 4 5

「 買物」 や「そ の他の 私事」 を行う 行動パ ターン

表1 行動パターンの分類方法

a

jl

(2)

ち,次式の統計量 を最小にする行動パターン変換 率  を推定する.

 最後に,行動パターン変換率  の推定値を用い て,平日に行動パターン j をとる人のトリップを,

同一ゾーンにおける行動パターン l の人の中からラ ンダムに選択された人のトリップと置換すること で,休日 PT データを構成する.

3.PT データからの時刻別行為者比率の推定  PT データにおけるトリップの「目的」と「施設 種類」の情報から時刻別行為者比率 (7 種類 ) を推 定し,生活時間調査で得られているデータとの適合 性を確認した.ただし,両調査において共通して得 られる情報 ( 在宅行為 ) が近似するように基準化し た.その結果を図1左に示してある.両者は良好な 対応を示しており,PT データから時刻別行為者比 率を良好に推定できていることがわかる.

4.行動パターン交換率の推定結果とその推定精度  行動パターン交換率  の推定結果を表2に示し てある.この推定方法の精度を確認するため,新た に構成された休日 PT データから休日の時刻別行為 者比率を推定し,生活時間調査の結果と比較した(図 1右 ).すべての行為において良好な適合性を示し

ただし,

l

k

( , ) 1

l i k

p i t =

i t

Q = ∑∑ [ ( , ) Q i t Q i t

*

( , )]

2

0

( , )

. . ( , ) , ( , ) ( , )

( , )

k j l k l jl k j

q i t

s t Q i t q i t p i t a n

q k t

= ∑ = ∑∑∑

jl

1

a = for all j

*

( , ) Q i t

a jl

0j

k

n

( , )

l k

p i t

Q

:休日の行為者比率の推定値 ( 時刻 t に行為 i  をする人の割合 )

:行動パターン変換率 ( 平日にパターン j の人  が休日にパターン l となる割合 )

: 生活時間調査から得られる休日の行為者比率

:ゾーン k において行動パターン j をとる人    の数

:平日のゾーン k における行動パターン l の  人の行為者比率

( , ) Q i t

for all k,l,t

休 日の行 動パタ ーンl�

a

jl

通 勤 通 学 買 物/私事 在 宅 そ の他

1 通 勤 2.87 0.00 94.78 2.35 0.00

2 通 学 17.36 1.08 49.67 17.24 14.64 3 買 物/私事 14.15 0.00 62.73 13.62 9.49 4 在 宅 17.43 0.92 49.95 17.26 14.43 5 そ の他 19.60 17.20 24.54 19.52 19.15

平日の行動パターンj

表2 行動パターン交換比率の推定結果

在宅 ( 平日 )

図1 PT データおよび生活時間調査から求めた時刻別行 為者比率 ( 左団:平日,右団:休日 )

仕事 ( 平日 )

レジャー活動等 ( 平日 )

在宅 ( 休日 )

仕事 ( 休日 )

レジャー活動等 ( 休日 )

0.0 0.4 0.2 0.6 0.8 1.0

3 6 9 12 15 18 21 0 ( 時 )

0.00 0.10 0.05 0.15 0.20 0.25

3 6 9 12 15 18 21 0( 時 ) 0.00

0.10 0.05 0.15 0.20 0.25

3 6 9 12 15 18 21 0 ( 時 ) 0.0 0.2 0.1 0.3 0.4 0.5

3 6 9 12 15 18 21 0( 時 ) 0.0

0.2 0.1 0.3 0.4 0.5

3 6 9 12 15 18 21 0( 時 )

0.0 0.4 0.2 0.6 0.8 1.0

3 6 9 12 15 18 21 0 ( 時 )

授業・学内の活動 ( 平日 )

買物 ( 平日 )

通勤 ( 平日 )

授業・学内の活動 ( 休日 )

買物 ( 休日 )

通勤 ( 休日 )

通学 ( 平日 ) 通学 ( 休日 )

0.04 0.00 0.08 0.12 0.16

3 6 9 12 15 18 21 0 ( 時 )

3 6 9 12 15 18 21 0 ( 時 )

3 6 9 12 15 18 21 0 ( 時 )

3 6 9 12 15 18 21 0 ( 時 ) 3 6 9 12 15 18 21 0 ( 時 )

3 6 9 12 15 18 21 0 ( 時 )

3 6 9 12 15 18 21 0 ( 時 )

3 6 9 12 15 18 21 0 ( 時 ) 0.04 0.00 0.08 0.12 0.16

0.04 0.00 0.08 0.12 0.16

0.04 0.00 0.08 0.12 0.16

0.04

0.00 0.06 0.08 0.10

0.02 0.04

0.00 0.06 0.08 0.10

0.02

0.04

0.00 0.06 0.08 0.10

0.02 0.04

0.00 0.06 0.08 0.10

0.02

a

jl

a

jl

a

jl

ただし,

実測値(NHK)

推測値(PT)

(3)

ていることから,新たに構成された休日 PT データ における行為者比率の推定精度は良好であると考え られる.

5.休日パーソントリップの空間分布

 推定された休日 PT の時刻別行為者比率について は図1に示したように適合性が確認されたが,休日 PT における滞留者の空間分布についても検証する 必要がある.しかし,休日における滞留者の分布を 把握することのできる実測データは公開されていな い.そこで,ここでは最も利用者数の多い都市内交 通手段である鉄道に着目し,鉄道移動者の空間分布 について,各駅における休日・平日比 ( 平日の乗降 客数に対する休日の乗降客数の割合 ) の空間分布の 確認を行った.

 図2には,東京都心部と東京西部のある地域につ いて,休日・平日比の空間分布を示してある.都心 部では,渋谷や新宿といった,周辺に商業施設が多 く立地する駅において休日・平日比が高く,大手町 や溜池山王といった,周辺に会社が多く立地する駅 では休日・平日比が低い様子がわかる.また,郊外 においても,立川や八王子のように周辺に商業施設 が数多く分布している駅,また,高尾山口や西立川 のように,余暇を過ごす場 ( 公園等 ) がある駅にお いては休日・平日比が高い.一方,面的に住宅地が 広がっている地域の駅では,休日・平日比が低い様 子がわかる.しかし,平日のトリップを置換するこ とによって休日のトリップを推定しているため,競 馬場や遊園地,スタジアムなど,平日に利用客の少 ない娯楽施設の最寄り駅については,休日・平日比 の推定精度は必ずしも高いとは言えない.

6.平日・休日の滞留者の時空間分布

 図3には就業者年齢層 (18 〜 64 歳 ) の滞留者(徒 歩・自転車以外による移動者は除く ) の時空間分布,

図4には高齢者 (65 歳〜 ) の滞留者の時空間分布を 平日,休日それぞれについて示してある.就業者年 齢層についてみると,休日には,平日のように滞留 者が都心に集中せず,また,移動を開始し始める時 刻も遅いことが確認できる.高齢者については,区

部周縁部に多くの滞留者が存在し,休日・平日とも に就業者年齢層よりも都心へ集中する傾向が低い.

 図5には住宅における滞留者,図6には商業施設 における滞留者の時空間分布を平日・休日それぞれ について示してある.休日の方が平日よりも都心周 縁部や郊外に住宅内滞留者が多く分布している様子 がわかる.震災時における倒壊や火災被害について 考えると,休日における震災の方が平日よりも人的 被害が大きいことが予想される.また,商業施設に ついては,昼間から夜間にかけて休日の方が滞留者 は幾分多く,広域に分布していることがわかる.ま た,都心部においても商業施設が数多く存在するゾ ーンとそうではないゾーンにおいて滞留者数に大き な差異がみられる.

 図7には典型的なオフィス街および住宅街である 丸の内地区と世田谷区烏山地区における施設別滞留

高尾山口

八王子

多摩センター 南大沢

西立川 立川

図2 休日と平日の駅乗降客数の空間分布 東京都心部

東京西部

0 5(km)

0 5(km)

~ 0.10.2 0.4 0.60.8 ~

乗降客数 休日 / 平日

新宿 大手町

池袋

渋谷

九段下

溜池山王

高田馬場 上野

銀座 四ツ谷

巣鴨 日暮里

東中野

代々木上原

東京

(4)

者数の時刻推移を示してある.丸の内地区において は,休日における滞留者は平日の約半分の値をとっ ていることがわかる.また,世田谷区烏山地区では,

休日の住宅内滞留者が多いことがわかる.比較的小 さなゾーン単位でみると,ゾーンの主たる土地利用 よって平日の休日の滞留者の分布状況は異なること がわかる.詳細な都市防災計画を立案する際にはこ うした地域特性について考慮されるべきである.

7.まとめ

 平日の PT データを休日の PT データへ変換する 方法を提案した.また,生活時間調査のデータと比 較することで,推定された行為者比率の検証を試み た.さらに,鉄道駅の乗降客数によって平日と休日 の滞留者の空間分布の様子を比較し,両者の違いを 確認した.本手法によって構成した休日 PT データ を用いれば,平日とは大きく異なる休日における都 市内滞留者の時空間分布を,滞留者の個人属性とと もに把握することが可能であり,休日における震災 時の防災計画のための基礎データとしての活用する ことが可能である.

大佛俊泰・大谷郁子 (2005) 首都直下型地震を想定した防災計 画のための鉄道利用者の時空間分布推定,「地理情報システム 学会講演論文集」,vol.14,453-458

大佛俊泰 (2007) 休日パーソントリップの推定方法ついて,「日 本建築学会大会学術講演梗概集 (F-1)」,771-772

NHK 放送文化研究所 (2000)『データブック 国民生活時間調 査』,NHK 出版

島田廉・大佛俊泰 (2007) 都市防災計画のための道路混雑を考 慮した自動車利用者の時空間分布推定 ,「日本建築学会関東支 部研究報告集Ⅱ」,217-220

星野雄・大佛俊泰 (2005) 施設内滞留者と歩行者の時空間分布 推定,「地理情報システム学会講演論文集」,vol.14,449-452 参考文献

本研究は文部科学省科学研究費補助金・基盤研究 (B)(課題 番号 17310093)の助成を受けて行った研究の一部である.

謝辞

図5 住宅に存在する滞留者の時空間分布

平日 9:00

平日 12:00

平日 17:00

休日 12:00

休日 17:00 休日

9:00

平日 9:00

平日 12:00

平日 17:00

休日 12:00

休日 17:00 休日

9:00

平日 9:00

平日 12:00

平日 17:00

休日 12:00

休日 17:00 休日

9:00

平日 9:00

平日 12:00

平日 17:00

休日 12:00

休日 17:00 休日

9:00

図6 商業施設に存在する滞留者の    時空間分布

7 時 9 時 12 時 17 時20 時 7 時 9 時 12 時 17 時20 時 10

8 6 4 2 0 10

8 6 4 2 0

滞留者(万人)

7 時 9 時 12 時 17 時20 時

その他 業務地 商業地 会社 学校 住宅

7 時 9 時 12 時 17 時20 時 10

8 6 4 2 0

滞留者(万人)

10 8 6 4 2 0

丸の内地区のゾーン

世田谷区烏山地区のゾーン 図7 特定のゾーンにおける施設別滞留者数

0 6 万人

0 5000 人

図4 高齢者 (65 歳以上 ) の時空間分布

0 1.5 万人

図 3  就 業 者 年 齢 層 (18 ~ 64 歳 )

   の時空間分布

0  5 万人

0 10 20(km)

※図4~7についても同様の縮尺・方位である

参照

関連したドキュメント

所 属 八王子市 都市計画部長 立川市 まちづくり部長 武蔵野市 都市整備部長 三鷹市 都市再生部長 青梅市 都市整備部長 府中市 都市整備部長 昭島市 都市計画部長

市民的その他のあらゆる分野において、他の 者との平等を基礎として全ての人権及び基本

・本計画は都市計画に関する基本的な方 針を定めるもので、各事業の具体的な

都における国際推進体制を強化し、C40 ※1 や ICLEI ※2

東京都北区地域防災計画においては、首都直下地震のうち北区で最大の被害が想定され

このいわゆる浅野埋立は、東京港を整備して横浜港との一体化を推進し、両港の中間に

 大都市の責務として、ゼロエミッション東京を実現するためには、使用するエネルギーを可能な限り最小化するととも

スポンジの穴のように都市に散在し、なお増加を続ける空き地、空き家等の