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日本の都市開発研究における土地利用動向調査データの利用: 1980~2005 年度

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日本の都市開発研究における土地利用動向調査データの利用:

1980~2005 年度

塩崎大輔,氷見山幸夫

Application of Land-use Survey Date for Urban development studies in Japan

Daisuke SHIOZAKI, Yukio HIMIYAMA

Abstract

The Survey of Land Use Trend, which has been conducted by each prefecture of Japan annually since 1980, issues a report containing the date of the reports of various items such as land transactions related with land-use trend. This paper analyzed the data sets on urban developments for 1980-2005 at national, district, prefecture and municipal leaves produced by the Institute based on the statistics included in the Survey report. The unique dataset revealed both macroscopic and microscopic views of the history of urban developments since 1980.

Keyword:土地利用動向調査(Survey of Land Use Trend)

,新住宅市街地開発事業

(New Housing and Urban Development),一般住宅団地造成事業(housing estate

development),土地区画整理事業(land readjustment)

1.はじめに

我が国は

1960

年代初頭にはじまる高度経済成長期 以降,急速な工業化と都市化,更には脱工業化を経験 してきた。これらの変化を把握することは, 「地理空間 情報活用推進基本計画」にもみられるように国土利用 のデータ整備を急務とする我が国にとって極めて重要 である。

国土利用の変化を解明する上で,都市の宅地開発は 重要な要素であるが,これまで行われてきた宅地開発 に関わる研究では,資料上の制約から,空間スケール や対象時期が限られることが多くみられた。しかし,

日本の都市開発は,長期間の時系列的な分析により,

さまざまな空間スケールで分析することが望まれる。

そこで本研究では各都道府県が行っている「土地利

塩崎:〒060-0810 札幌市北区北

10

条西

7

丁目 北海道大学大学院文学研究科修士課程

e-mail:[email protected]

用動向調査」を利用することによって,日本全国をさ まざまな空間スケールで長期間にわたってみることが できるデータベースを作成し,その利用法を検討する。

さらに,そのデータベースを基に日本の宅地造成事業 の実態を明らかにし, 「土地区画整理事業」のデータと 併せて都市開発の動向を解明する。

2

.研究方法及びデータ整備

2.1

研究方法

本研究では各都道府県が毎年行っている「土地利用 動向調査(1981~2006 年度) 」によって作成された紙 媒体資料である「主要施設整備開発等調書」 (以後「開 発調書」と略す)から, 「新住宅市街地開発事業」 (以 後「新開発事業」と略す)及び「その他の住宅団地造 成事業」 (以後「団地造成事業」と略す)を電子化し,

16,065

件の事業に関してデータベース化を行う。

次に,そのデータベースを用いて,全国における新

(2)

開発事業の造成面積の分布から大規模開発の動向を把 握する。

さらに,団地造成事業の動向を全国,地方,都道府 県,市町村別に分析する。そして事業件数及び造成面 積の推移と分布から中小規模開発の動向をスケール別 に把握することによって,宅地開発の空間特性を議論 する。

最後に,新開発事業および団地造成事業と,土地区 画整理事業とを併せて分析することで,3ha 以上の開 発すべて(工業団地開発などは除く)を網羅し,

1980

年度以降における都市開発の動向を考察する。

2.2

土地利用動向調査のデータベース化

土地利用動向調査は,国土庁の指導により,各都道 府県が

1981

年度以降毎年行っているもので,その結 果は主に

2

冊の調書(統計)と

2

枚の統括図よりなる 報告書にまとめられている。この報告書には人口,産 業,土地取引,土地利用転換,主要施設の整備開発な ど多岐にわたる情報が個別に記載されている。

そこで,本研究では新開発事業及び団地造成事業を

5

年ごと(1986,1991,1996,2001,2006 年)に電 子化し,データベースを作成する。このように

5

年ご とにする理由は,開発調書に記載された事業は全て事 業完了から

5

年は開発調書に記載しなければならない ため,5 年ごとに取り込めば完了した事業すべてを把 握できるからである。

データベース化するにあたり,本研究では開発調書 と同様に,事業名,所在地,計画面積,計画人口,事 業主体,着工年,完了年,整備状況区分,補足を入力 する。こうして作成されたデータベースにより,全国 の事業件数及び面積の集計,市町村単位の分類,事業 の継続年数などが容易に計算できる。このデータのメ リットは,

25

年間という長期間の経年変化をみること ができることにある。また全国の開発調書は同じフォ ーマットで作成されているため,個々のデータを詳細 に見ることができるだけでなく,任意の集計により分 析を行うことが可能であり,さまざまなスケールで分 析できることもメリットにあげられる。

3.新住宅市街地開発事業の動向

まず,日本における大規模開発をみるため,

1980

年 以降に着工された新開発事業の面積を図

1

に示した。

これをみると,人口の集中している関東圏の東京都や 茨城県,阪神圏などの事業面積が非常に大きいことが わかる。しかし三大都市圏の一つである愛知県周辺に おいてはほとんど着工されておらず,関東圏や阪神圏 などとは大きく異なっていることがわかる。

1 新開発事業の着工面積(全国)

4.その他の住宅団地造成事業の動向 4.1

全国・地方別の動向

次に,中小規模の開発をみるために, 「その他の住宅 団地造成事業」の動向に注目する。 「その他」とは, 「土 地区画整理事業」及び「新開発事業」以外の

3 ha

以上 の事業を指す。

全国で

1980~2005

年度に行われた団地造成事業の総

件数と総面積の推移をみると(図

2)

,団地造成事業の 総件数は

1980~1988

年度に減尐,

1989~1995

年度に 増加,そして

1996~2005

年度には再び減尐に転じて おり,これら

3

期の違いが明瞭であった。これを地方 別にみると(図

3)

,近畿地方と関東地方の件数の多さ が目立つ。またバブル経済期中頃の

1988

年度に注目 すると,中部地方が急激に事業件数を伸ばしている。

同じ時期に近畿,関東地方も件数を増やしている。そ

の後

1991

年度から中国地方,1993 年度から九州地方

と東北地方において事業件数が上昇に転じている。こ

のように各地方においてバブル経済期の影響が出るの

に異なるタイムラグが発生している。

(3)

2 団地造成事業の総件数及び総面積(全国)

4 団地造成事業の完了件数(都道府県別)

6 団地造成事業の完了件数(北海道)

4.2

都道府県・市町村別の動向

ここで,さらに細かい地域区分により動向を把握す るため,都道府県別団地造成事業(

1980

2005

年度)

をみる(図

4)

。これによると,北海道が

295

件と最も 多く,ついて神奈川県

164

件,大阪府

162

件となって いる。人口の集中している東京都は

18

件と極めて尐な い。次に図

5

の事業面積に注目すると,最も大きいの が件数同様北海道で

4,131 ha

である。2 位は兵庫県で

3,200 ha,3

位は千葉県で

2,663 ha

である。

3 団地造成事業の総件数(地方別)

5 団地造成事業の完了面積(都道府県別)

7 団地造成事業の完了面積(北海道)

さらに,都道府県内での団地造成事業の拡大をみる ために,事業件数および事業面積が

1

位であった北海 道を事例とする。図

6

は,北海道で

1980

年度以降に 完了した団地造成事業の件数である。件数が最も多い のは札幌市で

78

件となっている。2 位が旭川市で

19

件と尐なく,開発が札幌市に集中していることがうか がえる。 図7 は事業面積を示したもので, 札幌市が

1037 ha

と最も大きく,次いで千歳市が

471 ha,恵庭市で

304 ha

である。面積においては札幌のみならず,道央

(4)

全体に開発が広がっていることがわかる。

5.日本の都市開発の動向

最後に,これまで分析してきた新開発事業および団 地造成事業と,土地区画整理事業とを併せて分析する。

これにより,本研究は

3 ha

以上の開発すべて(工業団 地開発などは除く)を網羅し, 1980 年度以降におけ る都市開発の動向を明らかにすることができる。

団地造成事業だけではその規模も限られており,都 市開発の実態を把握したとは言い難い。そこで都市部 の再開発において中心的な役割を果たした「土地区画 整理事業」と併せて分析することで,日本の都市開発 の動向を明らかにする。図

8

1980~2003

年度に行 われた土地区画整理事業と団地造成事業の経年相関を 示した。

まず

1980~1988

年度までは団地造成事業が減尐傾

向であり,逆に土地区画整理事業が増加傾向にある。

これは都市部への人口流入が鎮静化したため宅地需要 が落ち込み,都市部では都市の再開発が活発になった 結果であると考えられる。

1989

年度からは,バブル経 済の影響を受け住宅価格が急激に上昇しており,資産 としての宅地需要が増えたことで,団地造成事業も活 発化している。また,土地の価値を高める目的で土地 区画整理事業も積極的に行われていき,その結果どち らの事業も増加傾向に転じている。

8

団地造成事業と区画整理事業の経年相関

1991

年にバブル経済が崩壊し,住宅価格,地価とも に下落したが,どちらの事業もすぐに減尐には転じて いない。これは,規模の大きい事業ほど計画から着工 までにタイムラグができ,バブル崩壊後

5

年が経過し た

1996

年度になって,やっと両事業とも減尐に転じ

る結果となっている。さらに,その後は,平成不況に より団地造成事業も,土地区画整理事業も新たな着工 が減り,その減尐幅を大きくしている。

6.おわりに

本研究は, 「土地利用動向調査」を利用して日本にお ける都市開発の動向を長期的に解明することを目的と した。本研究の結果は以下の通りである。

以上の分析から以下のことが明らかになった。まず,

日本全体の都市開発は

1980

年度以降その経年変化は

80

年代に減尐,90 年代前半に増加,そして

90

年代後 半から再び減尐に転じるという

3

期に分けられた。こ の動向は,バブル経済など景気とタイムラグをもって 開発が進んだ結果と考えられる。これを地方別に見る と,バブル経済の影響を最も早く受けて増加に転じた のが

3

大都市圏のある地方であり,その他の地方は遅 れて増加に転じるといったタイムラグがみられた。な お,その中で開発規模が最も大きい北海道は,ほとん ど増加していないことがわかった。この北海道を市町 村単位でみると,開発は札幌から苫小牧にかけての道 央都市軸に集中していた。このようにマクロスケール では,景気とタイムラグをもって大都市圏から非大都 市圏へ開発が進み,ミクロスケールでは都市部に開発 が集中するという実態が明らかとなった。

最後に行った団地造成事業と,土地区画整理事業と を併せて分析からは,上述した景気と開発のタイムラ グをより明確にできた。また,団地造成事業による新 規の都市開発と,土地区画整理事業による都市の再開 発との関係を時系列的に検討することで,日本の都市 開発の動向を明らかにできた。

本研究では,上記の分析を通じて土地利用動向調査 の有用性を確認できた。特に,長期間にわたり同一基 準でデータ整備がされていることや,任意の集計によ り様々なスケールでの空間特性を把握できることなど,

土地利用研究における重要な有用性が認められた。こ のようなデータを継続して整備することは国土の実態 把握や保全管理などの面から必要であるが,新規資料 の作成を行わない都道府県が増えている。そのため,

同種類のデータを確保することが,今後の課題となっ ている。

1998 1981

19801983

1982 1984

1985 1986

1987

198819891990 1991

1992 1994 1995

1996 1993 1997 20001999 2001 2003 2002

300 400 500 600 700 800 900

1200 1300 1400 1500 1600 1700 1800 1900

土地区画整理事業

一般住宅団地造成事業

図 2  団地造成事業の総件数及び総面積(全国)  図 4  団地造成事業の完了件数(都道府県別)  図 6  団地造成事業の完了件数(北海道)  4.2    都道府県・市町村別の動向   ここで,さらに細かい地域区分により動向を把握す るため,都道府県別団地造成事業( 1980 ~ 2005 年度) をみる(図 4) 。これによると,北海道が 295 件と最も 多く,ついて神奈川県 164 件,大阪府 162 件となって いる。人口の集中している東京都は 18 件と極めて尐な い。次に図 5 の事業面積

参照

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