レポート 問題1解答(1999年度数学基礎 III )
工学部8・9 (木曜4限)
1999年10月28日 問題1
関数f が有界閉区間[a, b]上で連続で,すべてのx∈[a, b]に対して,f(x)≥0 をみたし,あるx0∈[a, b]
に対してf(x0)>0 を満たしているとき, b
a
f(x)dx >0 が成り立つことを示せ.
略解
f は [a, b] で連続なので,任意の ε >0 に対して,あるδ >0 が存在して, |x−x0| < δ かつx∈[a, b] な らば, |f(x)−f(x0)|< ε が成り立つ. そこで, 仮定よりf(x0)> 0 であるので, ε =f(x0)/2 ととると,
|x−x0|< δ かつx∈[a, b]ならば,
f(x)> f(x0)/2>0
がx∈[x0−δ, x0+δ]∩[a, b]が成り立つ. ここで, x∈[x0−δ, x0+δ]∩[a, b]はx0を含む区間[c, d]と書 けるので,よって, b
a
f(x)dx≥ f(x0)(d−c) 2 >0 が成り立つ.
問題2
有界閉区間[a, b]上で定義された連続関数f が, [a, b]上の任意の連続関数g に対して, b
a
f(x)g(x)dx= 0
を満たすならば,任意のx∈[a, b]に対してf(x) = 0が成り立つことを示せ.
略解
ある x0 ∈ [a, b] が存在して, f(x0)> 0 と仮定する. この時, g として, x0 の近傍でのみ正となり, その
他では 0 となる連続関数を選ぶ. (このような g を作ることは易しい )この時, f(x0)g(x0) > 0 かつ,
f(x)g(x)≥0が成り立つので,問題1の結果より,
b a
f(x)g(x)dx >0
が成り立つ. これは仮定に矛盾する. f(x0)<0 の場合も同様に示せるので, 任意の x∈ [a, b] に対して, f(x) = 0が成り立つ.
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問題3
次の関数を微分せよ.
1.f(x) = x2
0
1 1 +t3 dt.
2.f(x) = x2
x3
1 1 +t2 dt.
略解
一般に,H(x)を h(x)の原始関数とすると,微積分学の基本定理より, H(g(x)) =
g(x) 0
h(t)dt
が成り立つ. これを合成関数の微分法を用いて微分すれば良い.
問題4
有界閉区間[a, b]上でf(x)>0と logf(x)がともに可積分と仮定する. この時, log
1
b−a b
a
f(x)dx
≤ 1 b−a
b a
logf(x)dx が成り立つことを示せ.
略解
aj=a+(b−na)j,j= 0,· · ·, n,cj∈[aj, aj+1],j= 0,· · ·, n−1 とおく. この時,対数関数の凸性によって, log(1
n
n−1
j=0
f(cj))≥ 1 n
n−1
j=0
logf(cj)
が成り立つ. また, 上の不等式の両辺は,f とlogf のRiemann 和(の(b−a)−1倍 )となっているので, f とlogf の可積分性,対数関数の連続性により,n→ ∞ の極限をとれば,求める不等式を得る.
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