東京学芸大学附属小金井中学校 『研究紀要』第47号
2 01 1
鶴拠を問 う態度を育成する数学科の授業
松尾 富陽 樺沢 公一 榎 理志 数学科の授業 において根拠 を明 らかにすることは学び合いの質を高める契機 となる。本研究では、
課題意識 を高める教材 を工夫 し、根拠 を明 らかにする学習活動 を通 して学び合いの質 を高める場を 生みだす ことに主眼を置 く. 2つの授業実践 を行い、一つ 目の実践では、課題 を工夫 し、解 の吟味 に焦点をあてた授業 を展開 した。また、二つ 目の実践では、図形学習の途 中に計算内容を取 り扱 う とい う指導計画の工夫をした。 ・・→
二つの実践 か ら、根拠 を問 う態度 を育成す るためには、生徒が解決 したい とい う意識 をもつ課題 の重要性 と多様な解決方法の発表 による学び合いの場が重要であるとい う知見を得 た。
〔キー ワー ド〕課題意識 学び合い 根拠 を問 う 解の吟味 速算法 指導計画
1
.数学科の研究( 1 )
研究主題根拠 を問 う態度 を育成する授業づ くり
( 2)
主題設定の経緯 と研究の 目的学校での学びは、学級等の集団を単位 として行われる。つま り、学校での学びをより深 く豊かなものと するためには、学び合いを うなが し、その質 を高めることが必要不可欠である。前回の研究協議会では、
「中学校数学科 における学び合いを うながす教材の開発 に関する研究」 とい う主題 を設定 し、数学的 コ ミュニケーシ ョンを活発 にす るための教材 のあ り方 について提案 したoまた、昨年度 は 「課題意識 を高め 必要感 をもって証明する図形 の論証指導」とい う教科主題 を設定 し,研究授業 を行 った。
本研究では、これまでの研究 に引き続 き、課題意識 を高めるような教材の工夫 をす る とともに、学び合 いの質 を高めるための知見を蓄積 してい くことを基本的な立場 とする0
根拠 を明 らかにすることによって、互いの考 えを共有 した り、議論 を深め発展 させた りす ることが可能 と なる。あるいは、根拠 を探 ってい くことによって、本質が明 らかになって くることもある。また、根拠 を 示 して正 しい とい うことはわかったが、実感が ともなわない とい う場合 にも他者の根拠 の示 し方 によっ てより実感のともなった理解 が得 られることも期待できる。数学科の授業 において根拠 を明らかにする 活動 の重要性は改めて述べる必要 はないほど十分 に認識 されているが、そのことに焦点 を当てた実践 の 蓄積 はもっとなされてい くべきであると考 える。
上述 の基本的な立場 に照 らし合わせて、生徒が根拠 を明 らかにしようとす る課題 の工夫 と、学び合 う場 を日常的な授業 において継続的 につ くってい く工夫を研究の重点 としたい。亘 こで、本研究では、学び合 いの質 を高めるための一つの切 り口として、 「根拠 を問 う態度 を育成する授業づ くり」とい う研究主題 を 設定す ることとした。
(3)
研究の方法 と実践の概要
本研究では、課題意識 を高める教材 の工夫をし、根拠 を明 らかにする学習活動 を通 して学び合いの質 を高 める場を生みだす ことに主眼を置いて
2つの授業実践 を行った。
一つ 目の実践では、まず、方程式 を立てて、それを解 くことで解決 される課題 を扱 う。次 に、条件 を変 え、同様 の方法で解決 されるはずだが解 を吟味する と不適な解がでる課題 を与 え、その根拠 を明 らかにす る場を設定 した。
二つ 目の実践では、図形学習の計算場面 において速算法 を見出す とい う指導計画の工夫をし、その根拠 を明 らかにする学習を行 う。このよ うに分野や内容 に制約 されず、適宜生徒 にとって学習する内容があれ ば取 り上げることで、生徒の根拠 を問 う態度 を養 うことを目指す。
2.
数学科の▽モデルについて( 1 ) ▽モデルについて
生徒の根拠 を問 う態度 を育成するには、 日常的な授業 において根拠 を問 う必要性 を感 じる課題 ( 教材 管) と授業展開 ( 集団智)を工夫 し、長期的な展望 ( 指導計画)をもって指導することが重要である。
▽モデルは、本校数学科の授業の基本的な考 え方 として示 した。目標智、教材智、集団智、そ して個人 智 を観点 として授業構成 を考 え、特 に、本研究では教材智 の観点 に重点 を置いた。豊かな学びあいを生み、
数学科の教育 目標 を達成するためには、 日々の教材研究が肝心であると考 えるか らである。教材研究 を しっか りと行ってこそ課題や指導法の工夫が生徒の実態 に即 したもの となるな り、生徒 の考 えや意見を 結び付 けた り、適切 に位置づけた りすることができる ( 個人智、集団智) と考 えた。
目標智、教材智、集団智それぞれの具体的観点を以下のように定 め、▽モデルを構成 した。
○目標智 ・数量や図形な どに関する概念や原理 ・法則 を理解できる0
・事象 を数理的にとらえ、表現する能力を高める。
・数学 を活用 して考 えた り、判断 した りす る態度 を育てる
0○教材智 ・生徒 の疑問や葛藤 を引き出す教材
・既習事項 をもとに解決の見通 しのもてる教材
・多様 な解決方法のある教材
・一般化の図れる教材
○集団智 ・表現力 ・伝達力〜解決方法 を分 けるように発表する場 において ( 根拠 を明確 にして)
・練 り上 げの場で〜 よりよい解決方法 を高めあ う場 において
( 2) 数学科の▽モデル
目標智
「ものごとの本質 を見抜 き、何事 にも 意欲的 に実践できるカ
」
(学びの指針、授業 のね らい)
【創意、工夫、知性、情操】
【多様 な考 え、考察理解】
【表現、 コ ミュニケーシ ョン】
・数量や図形などに関する概念や 原理 ・法則 を理解できる。
・事象 を数理的に とらえ、表現す る能力を高 める。
・数学を活用 して考 えた り、判断 した りする態度 を育てる。
生徒の疑問や葛藤 を引き出す課題 生徒が既習事項 をもとに考 えられる課題 多様な解決方法のある課題
解決す る満足感 をもたせる課題 L
個人智
根拠 を明 らかにする活動 学びあいの活動
発展的 に考 える活動
教材智
「学びを促進 し、学びの価値 を見出せ る教材」
(教材観、授業観)
【ものごとのな りたちやつなが り】
【生活 に根 ざし、 自分理解 を深 める】
【自分の成長や変容】
【新 たなる学び】
・生徒の疑問や葛藤 を引き出す教材
・既習事項をもとに解決の見通 しのもてる教材
・多様 な解決方法のある教材
・一般化の図れる教材
集 団智
「より良い学び合いにつながる集団」
(学び合いにより深 める)
【集団の音 さか らくる相互作用】
【学習機能を持つ集 団形成】
・表現 力 ・伝達力
解決方法 を分かるように発表す る場 において。 (根拠を明確にし て)
・練 り上 げの場で
よりよい解決方法を高めあ う場 において
3.
授業の実際 と考察根拠 を問 う態度 を育成す ることは一朝一夕で実現できるものではない.実現 のためには、 教 師 自身がそ のような態度で教材研究 を行い、生徒 に考 え させ る授業 を 日常か ら繰 り返 し行 ってい くことが必要であ る。
( 1 ) 解の妥 当な根拠 を問 う
① 課題 について
本実践では以下の課題 を扱 う。
2
つの水槽
A,
Bがあ り、水槽
Aには 4 9、水槽
Bには 1 6 9の水が入ってい る.
水槽
Aに
99/ 分、水槽
Bに
39 / 分で水を加えるO水槽
Aの水量が水槽
Bの水量の
2倍になるのはいつかO 水槽 A に 5 9 / 分、水槽 B に 3 9 / 分で水を加 える。水槽 A の水量が水槽 B の水量の 2 倍になるのはいつか。
2 つの課題 において 、1 つ 目の課題 は方程式 を用 いることで解決 され るもの とし 、2 つ 目の課題 は 1 つ 目の課題か ら条件 を変更 し、同様 の方法で解決 され るべ きもの とす る。そ して
、2つ 目の課題 は同様 の方 法で解決 を図る と現実場面 に適 さない解が求まるもの とす る。これは、方程式 の解 の吟味を行 う場面 を設 定するためである。この解 の吟味は、検算 とは本質的 に異なるものである。そのため、方程式‑解 を代入 す るのではな く、 もとの問題 に立 ち返 ってその解 が問題 に適 しているか調べ る ことになる。
根拠 をもって説明を行 うにあたって、 課題解決 を行 ってい く中で、 不思議 に思 い疑問を抱かせ ることを スタ‑ トとする.そ こか ら原因や根拠 を論理的 に探 ろ うとす る考 えを生 じさせ ることを考 えた。そ して、
そのよ うな意識 をもたせ ることで、生徒たちがその矛盾 を解決す るために自分 な りに方法 を意欲的 に見 出そ うとす る場面 をつ くることをね らい とする。また、根拠 を問 う場面 として設定するため
、2つ 目の課 題 については、方程式の解 が正の数 として求ま り現実場面 には適す るが、その値 が問題場面 に適 さないの ではな く、方程式の解 自体が負の数 として求ま り現実場面 に適 さない課題 とす る。
② 学習の 目標 と指導計画
・方程式 の解 が問題 に適 さない根拠 を示そ うとす るO ( 関心 。意欲 .態度)
・根拠 を示すために どの ような方法 を用 いれば よいか考 えることができる
。( 数学的な考 え方)
・方程式 を利用 して問題 を解決す ることができる。
・方程式 を立てる際 に、加味 されない条件があることを理解す る。
○単元の指導計画 ( 全 1 0 時間) 1 次 方程式 とその解 き方
・方程式 とその解
・等式の性質
・方程式の解 き方
・いろいろな方程式 2 次 方程式の利用
・方程式の利用
※解 の吟味 ( 本時 4/4)
・方程式 と比
5 時間
1時間
1時間
1時間 2 時間 5 時間 4 時間
( 表現 ・処理) ( 知識 ・理解)
③ 課題の構造 について
この課題 は算術的 に追 いかけ算 を用 いて解 く方法 も可能ではある。それ は、水槽
Bの
2倍 の水量 を
1つ
の数量 として捉 えた場合 に、それ と水槽 A の水量が等 しくなることを考 えれば、追 いかけ算 も有効 に利用
す ることができるためである。そ して 、1 つ 目の課題 については追 いかけ算で解 くこともでき 、2 つ 目の
課題 についても同様 に水槽
Bの
2倍 の水量 を
1つの数量 として捉 えることで、水槽
Aの水量 と等 しくは
な らない ( 水槽 A の水量 は水槽 B の水量の 2 倍 にはな らない) ことに気付 くことがで きる。
しか し、表 を用いて水槽 B の水量 に着 目できるがその 2 倍 には着 目しづ らい ことがある。さらに、等 し い数量の関係 を考 えて方程式 を用 いれば機械的に処理できる とい う利点がある。そのため
、2つ 目の課題 においても一旦は方程式で考 えることを要求 し、その後水槽 A の水量は水槽 B の水量の 2 倍 にはならな いことを式や表や グラフまたは条件設定の構造な どか ら示す ことを要求す る。
④
授業の概要
1
つ 目の課題 においでは、表 を用いた解法 と方程式 を用いた解法を示 した。その後、水槽
Bに加 える水 量の割合を減 らしても、水槽
Aの水量が水槽
Bの水量の
2倍 になるだろ うとい うことを確認 した。そ して、
2 つ 目の課題 においては、方程式の解が負の数 になる。解法を振 り返 って水量 を考 えても負の数 になるこ とか ら、なぜ 2 倍 にな らないのかを扱 った。その ときには、生徒たちの意見か ら具体的な水量や グラフや 課題 の構造 に着 目したものを示 した。
⑤
生徒の考え
(2つ目の課題において、なぜ水槽
Aの水量が水槽
Bの水量の
2倍にならないかについて) ( 生徒 A) 加 える水の畳が水槽 A が
59/ 分で水槽 B が
39/ 分 と 2 倍 にな らないため、例 えば 1 0 0 0 分入
れ続 けられる としても水槽 A は 1 0 0 0×5 + 4 ‑5 0 0 4 で水槽 B は 1 0 0 0×3 + 1 6‑3 0 1 6 と 2 倍 に ならないか ら。
( 生徒 B) 2 倍 とい うことは増 える水の量 も 2 倍 される。水槽 B の水量 を 2 倍 にしたグラフをかいた時 水槽 A の増 える量が水槽 B の増 える数の 2 倍 を超 えていない と、 グラフは平行 になるか離れ ていって しま うか ら。
( 生徒
C)もとの水量は水槽
Aが水槽
Bの
2倍以下で、増 え方 も水槽
Aが水槽
Bの
2倍以下だか ら。
⑥
実践の考察 ア.課題 について
2 つ 目の課題 において、なぜ水槽 A の水量 が水槽 B の水量 の 2 倍 にな らないかを考 えることが重点で あ り時間をかけたい。しか し、それ に至るまでに課題の内容を把握 させるためには、
1つ 目の課題 に時間 をか ける必要がある 。1 つ 目の課題 については、方程式のよさを考 えるとその解が分数で求まるようにす るとよい と考える。 しか し、解が整数で求まるようにして よりスムーズに展開す ることも可能である。
1 次方程式の単元ではあるものの、課題の内容 としては 1 次関数 とも捉 えられる 。1 次関数か ら 2 次関 敬‑のステ ップの大きさとは違い、生徒たちは比例 とそのグラフについては学習 してい るので扱 うこと ができる。また、示 されたグラフについて、横軸が Ⅹ軸ではな く時間、縦軸 が y 軸ではな く水量 を表 して いる と生徒たちは認識 していたもの と考えることができる。
題材 を教材‑ としてい く中で、その過程 に工夫 を施す必要がある。さらに、課題の設定 を工夫すること で、生徒 たちの考 えをさらに深めることにつなげられる教材である。例 えば
、1つ 目の課題の条件 におい て、 「 水槽
Aの水量が水槽
Bの水量 に追いつ くのはいつか 。 」、次 に、 「 水槽
Bの水量 の
2倍 になるのはい つか。 」、そ して、 「 水槽 B の水量の 3 倍 になるのはいつか。 」 といった課題 の展開を考 えることができる。
この ような課題 の展開によって問題 の構造 を考 えることにな り、その構造 を一般化 して考え ることにつ なが げてい くことができる。
ィ.集団智 について
成 り立たないことを示す にあたって、グラフを用いた意見や課題 の構造 に着 目した意 見や水量 を表す 式に結び付 く意見な どが出された。それ らの意見か ら、 より本質的 に考 える七 とを目指 す ことができた。
この実践 については、成 り立つ ことではな く成 り立たない ことを示 させた。そのため、生徒たちは不思 議 に思い、なぜだろ うか と原因や根拠 を探 ろ うとしたが、この段階ではその手立てが生徒 たちにあま りな かった。授業者 として も様々な方法が示 され るよ うに心掛 けたが、集団智 につなげてい くための方策が必 要である。
( 榎 理志)
( 2) 事象か ら兄 いだ した法則の根拠 を問 う
① 十の位が同 じ数で、‑の位がた して 1 0 になる 2 桁の乗法
図形 の指導内容の
1つ に、多角形 の内角の和、多角形 の外角の和 を求め る学習がある。 この学習では、
三角形の内角の和である 1 8
0 0や、多角形の外角の和である 3 6
0 0をもとにす る計算場面がある。
例 えば、三十四個 の多角形の外角の和 は、 3 6 0×3 4 の計算で求め られ るが、
3 6 0×3 4‑3 6×1 0×3 4
‑3 6×3 4×1 0
と式変形 をすれば、実質的 に 3 6×3 4 の計算ができれば答 えを求めることができる。日本では 、3 6×3 4 の計 算 は筆算で学習するが、速算法で答 えを求めることができる特殊な例 の
1つで ある。
本実践 は、図形学習の中でも計算 の内容があれば、その内容 を発展 して取 り扱 ってい くとい うものであ る。計算 の不思議 さを生徒が実感す ることのできる速算法 を題材 として扱 うことにし、速算法で計算 でき る根拠 を明 らか にしてい くとい う学習展開 としてい く。
② 学習の 目標 と指導計画
「 平行線 と角」の単元の中で、速算法 を題材 としたため、以下の目標 を設定 す る
。・速算法でできる計算 を考 えてい こ うとい う意識 をもつ。 ( 関心 ・意欲 ・態度)
・図や文字式 を利用 して論理的 に考 え、速算法の根拠 を考 える。 ( 数学的 な見方や考 え方)
・根拠 をもとに、具体的な計算ができる。 ( 表現 ・処理)
・速算法の計算原理 を理解する。 ( 知識 ・理解)
また扱い方 としては、次の ような指導計画 とする。本実践 では、基本的な 2 種 類の 2 桁 の乗法の速算法 を扱 うことにす る。
○単元の指導計画 ( 全 9 時間)
・直線 と角
・三角形の角
・多角形の角
特別 な条件 のある 2 桁同士の乗法 ( 本時 3/4)
※十の位が同 じ数で、‑の位がた して 1 0 になる
2桁 の乗法
※‑の位が同 じ数で、十の位がた して 1 0 になる
2桁 の乗法
・星形の角の和の求め方
③ 速算法の根拠
1
時間
面積図 と式変形 を速算法 の根拠 とす る。具体数で考 えた後、文字でも根拠 を明 らかにす る活動 を目指す。
式変形 の例 をあげる。
・具体数での根拠 の示 し方 3 6×3 4‑( 3 0+6) ( 3 0+4)
‑30
2+3 0( 6+4) +6×4
‑3 0 "+3
り0×1 0+6×4
‑3 0×( 3 0+1 0) +6×4
‑3 0×4 0+6×4
‑1 2×1 0 0+2 4
・文字式での根拠 の示 し方 ( 1 0a+b)( 1 0a+ C)
‑1 0 0
2+1 0ab+1 0ac+bxc
‑1 0 0a
2+1 0a(b+ C) +bxc b+C‑1 0 を代入 して
‑1 0 0a 2 +1 0 0a+bxc
‑1 0 0a(a+1) +bxc
‑1 2 2 4
④ 授兼 の概要
・生徒 5 人が前障の内角の和、外角の和 ( 1 8 0×1 2
,3 6 0×3 4) の解法 を板書す る。
・1 8×1 2 ,3 6×3 4 のよ うな十の位 の数 が等 しく、‑ の位 の数の和が 1 0 である乗法 を考 えてい くとい う学
習課題 を把握す る。
・なぜ速 く計算できるか、 自力解決で根拠 を考 える。‑生徒 の考 えた根拠 の欄参照
・多様 な解決方法 を発表す る。
・発表 された解決方法 をもとにして学び合 う。
⑤ 生徒の考 えた根拠
【面積図を根拠 として】
(生徒
F) 3 0 4
3 0
23
×0 4
3 PX6 6 ×4
(生徒
H) 1 0 2
1 0
21 ×2 0
1 0×8 ×8 2
1 8×1 2
‑1 0×1 0+1 0×2
+1 0×8+2×8
‑1 0×1 0+1 0(2+8) +2×8
‑1 0×( 1 0+1 0)+1 6
‑2 00+1 6
‑2 1 6
【式 を根拠 として】
(生徒
0): ( 3 0+6)( 3 0+4) ‑9 0 0+2 4+3 0 0‑1 2 2 4
(生徒
Y):3 6×3 4‑( 3 0+6)×3 4‑3 0×3 4+6×3 4‑3 0×3 0+3 0×4+6×3 0+6×4
(生徒K):3 6×3 4‑3 6×3 0+3 0×4+6×4‑3 0×( 3 6+4)+6×4
‑3 0×4 0+6×4‑1 2 0 0+6×4
(生徒
Sa):3 6×3 4‑6×4+3 0×4+6×3 0+3 0
‑筆算の部分積の形で‑2 4+1 2 0+1 8 0+9 0 0
文字 を用いて(生徒
S u)
:十の位n
‑の位
m
と1 0‑m ( 1 0n+m)x( i on+1 0‑m)
‑1 0 0n
2+l o on‑1 0nm+1 0nm+1 0 m‑m
2‑1 0 0n 2 +l o on+1 0 m一m
2‑l o onX(n +1 ) 十m( 1 0‑m)
⑥ 実践の考察
本時では多様な解決方法 を発表 したことで学び合いの場 を設定す ることができた。学 び合いについて は、次のような生徒の学習感想か ら読み とることができる。
【学習感想
1
】 「十の位の数が等 しく、‑の位の和が1 0 」
とい う特徴 のある数 の計算 は、簡単 に計算でき る特別な方法があるとい うことが分か りました。また、証明の方法は1つだけでなく、複数あることも分 か りま した。0君 の乗法公式はF君 の面積 を使 った考 え方 と似ていると思いま した。S君 の文字を使 った 式は一番分か りやすい と思いました。文字 に置 きかえれば、今 日の授業でや った数以外 の問題でも使 える ので万能だ と思いました。更 に十進位取 り記数法の本質に関す る記述 もみ られる。
【学習感想
2
】今 日の授業では計算方法 に着 目して、数学の特性 を利用 して解 く方法 を学 んだ.S
君のよ うに文字 においてみると、実際の方法 の通 りになっていて分か りやすかった。特 に、1 0 0×n(n+1 )
とい う式で、位を2
つず らす ことが分かるので、この計算方法 をあ りのままに表現 して、文字 は本当に便利だ と実感 した。この
2
つの学習感想は、本時の学習の意図を端的 に表 している。多 くの学習感想 に、学 び合い、多様な 解決方法、面積図の分か りやす さが記述 されていることか ら実践 の意図を感得す ることができる。(松尾 吉陽)
租。
研究の成果 と課題本研究では、根拠 を明 らかにする活動 を学び合いの質 を高める契機 として位置づ げ、二つの授業実践 を 行 った。一つ 目の実践では、課題 を● 工夫 し、解 の吟味 に焦点をあてた授業 を展開 した。また、二つ 目の実 践では、図形学習の途 中に計算内容 を取 り扱 うとい う指導計画の工夫をした。授業および研究協議会 にお いて沢山の有益な御意見 ・御指導 を賜 った。
二つの実践 の課題で特 に意識 したことは、▽モデルにもあるように、生徒 の疑問や葛藤 を引き出 し、多 様な解決方法のあるような課題を生徒 がもつ ようにすることであった。
いずれの実践 も、生徒が何故そ うなるのだろ うか と根拠 を問い、多様 な解決方法 を引き出す ことができ た。一つ 目の実践では、表や式だけでな くグラフで考 えた り、問題 の構造 に着 目して考 えた りする意見 も 出 され、本質 に迫る場面 をつ くることができた。二つ 目の実践では、式での様々な説明や、面積図での説 明が出 された。特 に、式での説明においては、数 を疑変数的 にみているものや、文字で説明 しているもの もみ られ、それぞれのよさを生徒が感得することができた。二つの実践 か ら、根拠 を問 う態度 を育成する ためには、生徒 が解決 したいとい う意識 をもつ課題 の重要性 と多様な解決方法 の発表 による学び合いの 場が重要である とい う知見を得た。
また、協議会では、講師の杉山先生、石井先生をは じめ とする多 くの先生方か らご指導、ご助言 をいただ いた。 ここにそれ らの一部 をあげる。
よい課題設定でた くさんの反応が引き出せたのはよい こと。
・多様 な考 えの扱い方 について‑その多様 さを味わ ううちに、議論が発散 してい くとい うこともあるが、
質のよい比較があれば本質に収束 してい くのではないだろ うか。それには教 師が教材の本質をつかん でいることが大切である。
・表は演樺的な根拠 にな らないにしても、事象の理解 には大変都合 のよいものである。もっと表 を生かそ うとい う立場で、その考 えの欠点を生か し、補ってい く立場での指導が大事 である。
・数 を文字のようにみる説明か ら文字式‑ と置 き換 えてい く過程が大切である。
・教師の指示が、なぜそ うせねばな らないのかを子 どもがわかるよ うに、必然性 のある問いをす ることが 大切である。
・必然性のある課題で、流れのある授業展開を工夫す ることが大切である。
・根拠 を明 らかにするとき、ただできない根拠 をい うのではな く、法則 を見つ け出 して、それをもとに他 の問題 も解決することができるとい うようなものにしたい。根拠 を明 らかにす ることで、その時間にや
らない ことでもあ とは自分たちで考 えてい くことができるようにしたい。
・まず見せて、使わせてい くうちにだんだんとわかって くるような指導の原則 をもっ ことも大切である。
参考文献
京極 ・松尾 ・石井
( 2 0 0 8 )
「学び合いを うながす教材の開発 に関する研究一評価 を視点 として‑」東京学芸大学附属小金井 中学校研究紀要4