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ハワイにおける長期滞在型観光が注目さ れてきている。特に日本の団塊世代の定年 退職に伴う市場の広がりに期待感が高まっ ている。ロングステイ財団はハワイの民間
企業と提携を結び、日本のシニア層の長
期滞在を受け入れる仕組みを構築している
し、ハワイ在住の日系企業や個人が
NPO法人として、シニアの長期滞在をサポート
する組織を創立した。ハワイ州観光局は、
日本市場に向けて誘客の働きかけとより長 く滞在してもらうための戦略を構築してい る。また、JALパックや
JTBは、日本人観光客向けの長期滞在パックを販売しており、
単なる観光から暮らすように滞在するとい うコンセプトでシニア層をコアターゲット としたプロモーションを展開している。
日本人観光客はハワイにおいても、他の 国や地域からの観光客に比べ滞在日数が短 い。それでも平均5.38日の滞在がある。
ハワイ州を訪れる全観光客の平均である
9.1日に比べると日本人はかなり短い方である。そして沖縄を訪れる観光客はハワイ のそれと比較しても短くなっており、平均 して3.85泊でしかない。
沖縄の地理的要因と文化的要因は、日本 本土と異なる特徴を持っており、今後はそ れを活かした長期滞在型観光の定着を図る べく、観光プランを作る必要がある。
さて、その沖縄であるが、日本列島の南 西端に位置しており、他の都道府県とは歴 史的・文化的・気候的に異なる要素を持っ ている。亜熱帯海洋性気候により、年間を 通して温暖な気候に恵まれており、これが 冬の沖縄観光を支えている。また、かつて 沖縄は 「琉球王国」 として独立国家を形成し ており、東南アジアを中心に広範囲にわた る交易ルートを持って、産業・文化交流を 進めてきた。その為に日本の中でもユニー クな歴史・文化環境を持っている。これら の特異な魅力ある観光資源が、沖縄県を訪 れる観光客に支持されてきた。
沖縄県の経済状況は、平成20年現在で 観光が引き続き好調を維持し、景気回復 をリードしている。また個人消費の底堅さ もあって、全体として堅調に回復しつつあ る。また、民間主導の自立型経済の構築に 向けて、行政は産業界の主体的取り組みを
後押しており、観光・リゾート産業の振興 と雇用の創出・確保への取り組みも相まっ て、いくつかの重要な解決すべき課題はあ るが、現在の沖縄県の観光産業は全体的に 順調に発展している。
そして、それらの沖縄県が持っている観 光・リゾート資源に加えて、新たな社会的 潮流の中で沖縄の魅力を高める新しい戦略 が模索されてきている。それが 「長期滞在 型観光」 である。
今、短期周遊型の旅行よりも、海外等の 一地域に比較的長期に滞在し、現地の生活 を通して異文化に触れたり、人々との交流 や現地社会への貢献をしたりするような滞 在型旅行に興味を示す人が増えている。特 に高齢化や国際化の進展、ゆとり重視のラ イフスタイル、そして金銭的裕福さ等も相 まってシニア層の長期滞在型観光への興味 が高まってきている。
一般的に長期滞在型観光は移住とかではな く 「海外滞在型余暇」
として位置づけられており、基本的には次の五つの特徴がある。
第一に、 「旅」 よりも 「生活」 をめざす滞 在である。第二に、生活資金の 「源泉」 は 日本にある。第三に 「自由時間・余暇」 の 活用を目的とする。第四に、現地に 「居住
施設」
を保有、または賃借する。五番目に、その名の通り 「長期滞在」 を目的とするも のである。現在は長期滞在型観光の希望滞 在先には海外が多い。その為に、日本の団 塊世代をターゲットに多くの国が、長期滞 在しやすい環境作りを行っている。例え ば、台湾は、五十五才以上の日本人退職者 を対象に、これまでの三十日から百八十日 間有効となるビザ制度を新たに導入した。
タイ政府観光庁も、日本の団塊世代などを
ターゲットに、長期滞在型観光促進のため
約十万室分の宿泊施設を新設する計画であ
る。オーストラリア、ハワイは過去十数年 人気の滞在先となっている。
しかし、長期滞在型観光は海外だけでは ない。長期滞在により非日常的なものに触 れられ、当地での生活体験ができれば、国 内でもよいのではないかと思われる。国内 長期滞在型観光はリピートし易く、医療面 における心配も全くない。また、地方の自 治体からみれば地域活性化、過疎化対策に も寄与する可能性が高い。
本論文では、この長期滞在型観光に焦点 を絞り、今後の沖縄観光発展の新たなモデ ルを提言するものである。最初に沖縄の観 光の現状を振り返り、観光産業の経済効果 を明確にする。また、リゾート観光地とし て沖縄以上に観光客を集客しているハワイ における日本の団塊世代をターゲットにし た長期滞在型観光の現状とその進展状況を 分析して紹介する。そして、沖縄観光のさ らなる発展を目指したときの潜在的可能性 と発展を阻害する要因を明確にしていく。
最後に、観光の発展に関する発展阻害要因 の除去と潜在的可能性を長期滞在型観光と いう新たな観光の形態によって成し遂げら れるかどうかを述べて、沖縄型長期滞在型 観光の提言をおこなう。
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現在、沖縄観光は順調に発展している。
これは、 沖縄に対する全国的な関心の高さ、
自然風土、独特の音楽、芸能文化などの人 気が継続していることが背景にある。そし て、 入域観光客数も順調の伸びてきており、
2006年
(平成18年) の観光客入域数は目 標13万6,800人上回る563万6900人とな り、対前年比
+2.5%となり、2005年に引き続き過去最高を記録している。 これは、
新空港の開港に伴う新規路線開設による輸 送能力の増加、宿泊施設の増加、官民一体 となった誘客キャンペーン、修学旅行の増 加などが影響しており、今後もこの傾向は 継続するものと思われる。
出所:観光要覧平成17年度版、沖縄県
観光客一人当たりの県内消費額は平成
18年 で72,797円 と 対 前 年 比 で100.5%となっている。また、観光収入は同年で
4,104億円(対前年比103.0%)となって いる。観光収入は、入域観光客数の伸びに 支えられてある程度向上したが、一人当た り観光客の県内消費は、さほど伸びていな いのが現状である。
出所:観光要覧平成17年度版、沖縄県
沖縄観光の特徴としては、国内観光の 比率が極端に高いことである。海外からの 訪問者は全体の2%程しか無く、98%は日 本本土からとなっている。沖縄観光のグロ ーバル化は進んでおらず、海外からの観光 客は東京や京都、福岡などの本土の観光地 に集中している。平成18年の外国客では、
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韓国から初めて1万人を越える入域観光客 数となり、中国からもまだ十分な数字では ないが、徐々に実績を上げてきている。
しかし、外国客の入域客数は前年実績を下 回っており、海外からの定期クルーズの運 休などもあり、なかなか国際化が進まない 現状が続いている。沖縄における観光のグ ローバル化が定着しない原因としては、ま ず第1に海外からのアクセスが不便なこ と、外国語の案内板や、言葉をしゃべれる 人材の少なさなどがあり、総合的には海外 観光客の受け入れ態勢が十分に整っていな いことが大きな原因だと言われている。
出所:観光要覧平成17年度版、沖縄県
もう一つの特徴として、リピーター率の 高さがある。平成17年では、リピーター率 は69.8%と入域観光客の半数を超え、7 割に近づいている。特に5回以上のリピー ターが増える傾向にあり、平成9年にビギ ナーとリピーターが逆転してから継続した リピーター人気が続いていると言える。し かし、平均滞在日数は、3.80日で3泊4 日か4泊5日が主流の旅行形態が定着して いる。
出所:観光要覧平成17年度版、沖縄県
出所:観光要覧平成17年度版、沖縄県
沖縄観光中の利用交通機関はレンタカー が41.5%で最も多く、次いでバス・タク シー、 共に39%前後となっている。これは、
沖縄を訪れる旅行形態の変化に伴うものだ と思われる。例えば平成12年に37.7%あ った団体旅行が平成17には15.0%に減少 しており、逆に20.6%だった個人旅行は
27.0%に増加している。出所:観光要覧平成17年度版、沖縄県
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沖縄県の観光を入域客推移でみると、増 減を繰り返しながら右肩あがりの成長を遂
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げている。沖縄観光には、歴史的に見てい くつかのターニングポイントがあり、それ らのポイントを通過しながら現在の観光の 発展に至っている。
沖縄観光の歴史として大きく3つの時代 に分けられる。それらは、沖縄の日本復帰 前の慰霊訪問団が中心となった墓参訪問、
復帰後にパスポートが必要なくなり、美し い海を主な観光資源とした一般周遊観光、
そして、リゾートホテルの建設やマリンス ポーツの導入で注目されはじめたリゾート 観光である。
沖縄県は、日本復帰までは、日本本土か ら沖縄を訪れるためには外国と同様にパス ポートが必要であった。その為に、ビジネ スや戦争の慰霊というもの以外には訪れる 者は少なかった。この時期の宿泊は主とし ては那覇市内のホテルや各地の民宿であっ た。沖縄を訪れる者が少ないということで、
沖縄のお土産品は本土では珍重され、ビジ ネスとして成り立つようになってきた。そ して、それが現在の国際通りを中心とする お土産品店繁栄の土台となったのである。
2番目の節目が日本復帰である。昭和
47年に沖縄は日本に復帰し沖縄訪問でパスポートは必要なくなった。沖縄訪問が 手続き上簡素化すると徐々に観光客は増え てきた。昭和50年には沖縄海洋博覧会が 開催され、観光客数は155万人とこれまで の観光客数の2倍に増加した。この観光景 気に当て込んで、民間レベルで観光関連ビ ジネスに参入した者も多かったが、当てが 外れ破産に追い込まれる者も少なくなかっ た。この時期には沖縄自動車道の建設や、
ホテル建設、 周辺インフラの整備が行われ、
定期観光バスのコースも作られ、一般周遊 型観光の基礎ができた。また、沖縄の海を 目的として来る若者が増え、離島の民宿が
ブームとなり始めた。そして、学生達の沖 縄訪問や新婚旅行で訪れるカップルも急増 してきた。 旅客の増加を目的として全日空、
日本航空による、沖縄キャンペーンがマス コミを通して強力に展開された。このキャ ンペーンはマスコミへの露出の多さも手伝 い、 新たな沖縄イメージを醸成していった。
3番目の節目が昭和55年頃から始まっ た、リゾート観光ブームである。昭和55年 から61年までは、観光客数の伸びはさほど 大きくはないが、観光収入が伸びてきてい る。これは、ムーンビーチや、万座ビーチ 等のウォーターフロント立地の高級リゾー トホテル滞在に人気が集まりだしたことも 影響している。これは、これらのリゾート タイプのホテルでは、那覇市内のホテルの
1.5〜2倍の宿泊料金設定が可能で、収益性が高い。そして、この高収益性は観光施 設開発側からも注目され、その後のホテル 建設に大きな影響を与えたのである。同時 に、観光客も低料金の民宿やシティーホテ ルより、これまでに日本には無いような高 級なウォーターフロントのリゾートに滞在 するということが魅力となり、その人気が 定着し始める。
平成7年に沖縄県は、 「観光立県」
を宣言して、沖縄県の経済の主軸に 「観光」
を据えた。そうした中で航空運賃の低下、沖縄へ の関心の高まりを背景に観光客は増え続け た。一時、沖縄九州サミットの余波や米国 テロ事件の影響で減少となった年もあった が、行政と民間をあげての各種キャンペー ンにより持ち直して、平成18年現在まで入 域観光客数の過去最高を更新している。
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沖縄県の観光を発展させるために、行政
も種々な政策を用いて産業全体の成長を模
索している。まず内閣府沖縄総合事務局を 主幹として、沖縄振興特別措置法に基づい て作成された総合計画がある。沖縄振興計 画 (平成14年7月1日)
の第3章の振興施策の展開の中で、自立型経済の構築に向け た産業の振興が謳われている。
その中でも 「1.質の高い観光・リゾー ト地の形成」で5つの政策が示された。そ れらは、①国際的海洋リゾート地の形成、
②国民の総合的な健康保養の場の形成と体 験・滞在型観光の推進、③コンベンション・
アイランドの形成、④国内外の観光客受け 入れ体制の整備と誘客活動の強化、そして
⑤産業間の連携の強化となっている。
また、同第4章では、沖縄県内を5つの 地域 (北部・中部・南部・宮古・八重山)
に分けて、その圏域別での観光・リゾート 産業の振興の方向性を示している。
また、地域を指定して、観光振興の為の
特別な優遇措置が与えられる 「観光振興地 域制度」 も創設されている。これは、国税・
県税・市町村税の優遇措置や沖縄振興開発 金融公庫からの融資制度、そして特定民間 観光関連施設の法人税と地方税 (事業税・
不動産取得税・固定資産税・特別土地保有 税・事業所税)
に対する優遇措置がある。沖縄県は、沖縄振興特別措置法第6条に 基づく観光の振興に関する3カ年計画を策 定している。現在は第2次沖縄県観光振興 計画 (平成17年〜19年)
が進行中である。そしてそれに基づき、観光関係者や市町村な どとの連携を図りつつ、 「多様なニーズに対応 した通年・滞在型の質の高い観光・リゾート 地の形成」
の実現に取り組んでいる。具体的には、充実した観光情報の発信、
観光産業に従事する人材の育成、観光施設 のバリアフリー化等受け入れ態勢の整備、
美しい自然や独特の文化・芸能など地域特
性を活かした体験・滞在型観光の推進、シ ョッピング拠点や新たなエンターテイメン トの創出等を推進していく計画である。ま た、土産品のブランド化を目指す産業間の 連携の推進などある。
それ以外にも、沖縄県観光振興条例 (昭 和54年)
がある。そしてそれで策定を定めている10カ年計画である 「第4次沖縄県観 光振興基本計画」 (平成4年度〜23年度)も あり、様々な行政の観光に対する支援体制 が整っている。
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観光産業とは、旅行業を中心として運輸 業、宿泊業、飲食業等幅広い産業に関連す る非常に裾野の広い産業である。そして、
他産業への需要の創出効果や雇用創出効果 などの経済効果は非常に大きく、今後の沖 縄県の有力な成長産業だといえる。その経 済効果は、直接的には沖縄を訪れる観光客 数と一人当たりの観光消費額で測れる。そ して間接的な効果は観光産業とビジネス取 引のある産業において波及効果を測ること ができる。
沖縄県を訪れる観光客数の推移は平成
15年に500万人の大台を突破し、16年には515万人、17年には550万人となった。
そして平成18年には563万人を達成して おり、観光客数は堅調に増加している。し かし、一人当たりの観光消費額は平成18 年実績で72,797円と17年の72,421円よ り0.5%と若干の向上をみたが、まだ低い レベルで推移している。
一人当たりの観光消費額の低迷の中で
も、観光客数が伸びていることで、観光
収入は年々増加しており、平成16年度で
3,631億円、平成17年度で3,984億円となっている。平成19年度では4,227億円
となった。
出所:観光要覧平成17年度版、沖縄県
県外受取額に占める観光収入を平成16 年度の統計より見てみると、県外からの財 政移転の8,553億円
(42.1%) に次ぐ、2番目に大きな収入となっている。観光収入 の県外受取額は3,715億円 (17.7%) で、
石油製品の967億円 (4.6%) や軍関係受 取額465億円 (2.2%) を大きく上回って おり、県外からの財政移転 (県外からの財 政への経常移転+国庫からの資本取引)
を除いた場合には、県経済のリーディング産 業として沖縄県を支えている。
平成16年度の観光の経済波及効果は、
直接効果は4,105億円となっている。こ れは、旅行・観光消費額が4,549億円で あったが、サービスや商品のうち県外から 調達したものは、その波及効果が県外に流 出することから、この流出分である445億 円を差し引いたものを直接効果として計上 してある。
この直接効果に加え、サービスや商品 の原材料の購入を通じて他産業の生産を誘 発する効果などを加味した生産波及効果は
6,903億円で県内生産の11.7%に相当する規模となっている。全国の生産波及効果 が国内総生産額の5.6%だということをみ ても、沖縄県における観光の経済に及ぼす 影響の大きさがわかる。
観光産業によって生み出された付加価値
効果は3,794億円となり、県内総生産の
10.8%を占める。また、観光産業が作りだした付加価値を表す観光
GDPは1,959億円となり、 県内総生産の5.6%を占める。
これは、農林水産業の約3倍となり、製 造業や金融・保険業よりも規模が大きい。
沖縄県の観光
GDPに占める観光産業のシェアは日本全体の平均である1.9%を大きく上 回っており、海外の観光優良国であるオー ストラリア
(4.5%)やニュージーランド (4.5%)よりも大きくなっている。出所:観光要覧平成17年度版、沖縄県
この観光産業は沖縄の経済において、基
幹産業として位置づけられている。産業 構造をみても第3次産業、特に観光関連 のサービス業の比率が全国と比較しても全 体の27%と高くなっており、就業者数も 他の産業より比率が高い。観光の雇用への 波及効果は78,850人となり、県全体の就 業者の14.2%に相当する。全国平均では
6.8%をみると、観光産業の沖縄における雇用効果がいかに大きいか理解できる。
これらからみて沖縄県における観光産業 の影響度は、全国平均の2〜3倍は高いと 言え、 波及効果の面からはより裾野が広く、
多様でさらなる発展の可能性が大きい産業 と捉えることができる。
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沖縄観光のさらなる発展を推進するために は、沖縄県が抱える悲観的要因を少しでも減 らし、楽観的要因をより強固にしていくこと が必要である。観光の発展を阻害する悲観的 要因を列挙すると下記のようになる。
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・観光収入の回復が遅れている ・国外観光客数が少ない
・滞在日数が短い ・観光情報が少ない
・自然保護に対する印象が弱い ・食事に不満がある
・運転手のマナーが不評 ・路線バスや船などの交通情報が無い ・体験・学習ツアーの情報が無い ・沖縄までの交通費が高い
・ヤング層の沖縄観光に占める割合の減少 ・シニア層の割合が他の層に比べ低い ・海外からの定期クルーズ船の運休 ・質的側面での改善が必要
・台風が来る
・入域観光客の増加で自然環境とのインバ
ランスやインフラのタイト化これらは、重大要因から些細なものまで 列挙してある。これらすべてを解決するこ とは不可能であるし、する必要もないと思 われる。しかし、いくつかの解決すべき重 要な要因があり、それらは沖縄県の持って いる資源と人材を投入して改善していかな ければならない。
次に、楽観的要因を列挙してみる。
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・冬が暖かい ・芸能が盛んで独特である
・文化が日本本土と大きく異なっている ・人が温かい
・海がきれい ・冬に花々が咲いている
・お土産品・ショッピングで税制優遇 がある
・冬でもゴルフができる
・自然が多い ・健康に良い
・ゆったりできる ・異国情緒がある
・日常生活から脱皮できる ・花粉が無いためアレルギーがでない ・日本語が通じる ・医療レベルが日本本土と同じである ・安全である
これらは、日本全体から見たものと、海 外との比較から出てきたプラス要因であ る。これもすべてが重要と言うことではな く、より沖縄観光の潜在顧客層が価値を感 じられる要因に関して集中して高度化して いくことが望まれる。
これらの悲観的要因と楽観的要因を前提 に、その中でも特に沖縄県の観光発展に影 響が大きいものを中心に、さらなる発展の 可能性を探っていく。
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近年の沖縄観光の実態は、リピーターが
増加すると共に、旅行形態も多様化する傾
向にあり、それに伴い観光客のニーズも多
様化・高度化してきている。沖縄観光がさ
らに発展していくためには、質の高い沖縄
൦5āȯɣɄɥཡ๐Ɉྼᅟ౯観光の実現、国際観光の推進、オフシーズ ン対策の強化等を図ること等も沖縄県の公 式発表で報告されている。
そのような中、沖縄経済が観光を通し てさらに発展していくためには、大きく見 て3つの要素があると考えている。それら は 「観光収入を上げること」 「沖縄県民が観 光産業の発展を通して生活が豊かになるこ と」 そして 「この2つの要因が継続してい くこと」
である。住民不在の経済の発展は、その地域にとっ てプラスなことではない。地域発展は地域住 民と共生して初めてその価値が生まれるので ある。そのことから観光産業の発展が、その地 域の生活の安定や快適な居住環境の保全に直 結していなければならない。そして、その上で 観光収入が上がることによって沖縄経済全体 が豊かになっていくのである。そして、こ の二つが持続可能な仕組みになっていなけ ればならない。本節では、沖縄観光のさら なる発展を模索して、観光収入の構造的仕 組みを分析していく。そして、沖縄県が抱 える数多い観光発展の課題を収斂させ効率 が高く効果的な解決策を模索していく。
まず沖縄県が観光の新しいコンセプトを 発展させていくためには、観光にかかわる 構造を分析しなければならない。
沖縄観光の発展は、県外からの観光客が 沖縄県を訪れることと、県内で消費してく れることから始まる。もちろん、その前提 には観光客が沖縄に来ることで県民の豊か で安定した生活に寄与するということがあ る。ここでは、観光の発展が沖縄の環境・
文化・生活に良い影響を及ぼすということ で考察していく。
まず、沖縄県を訪れる観光客数は重要で ある。県ではこれまで来県客数を目標にさ まざまな施策を実行してきた。目標はほぼ
達成されており、沖縄観光ブームに乗っ て良い状況が続いている。しかし、それだ けでは沖縄に入ってくる観光収入は増えな い。その為には一人当たり消費額が増加し なければならない。これらの人数と消費額 の掛け算が、沖縄県に入ってくる観光収入 だと言える。それでは、この二つの重要な 要素をどう向上させていけばいいのか。そ の為には観光収入の構造を理解することか ら始まる。
まず二つの要素、 「延べ来県観光客数」
と 「一人当たりの消費額」 を細分化して分 析してみる。
延べ来県観光客数 × 一人当たりの消費額 = 観光収入
(1)延べ来県観光客数
来県する延べ観光客数は3つ要素から成 り立っている。それは、沖縄を訪れる観光 客数、一人当たりのリピート数、そして一 人当たりの滞在日数である。これらの3つ の要素のそれぞれを向上させることで、延 べ観光客数は増加するのである。そして、
この3つの要素を向上させるためには、そ れぞれ要素毎の目標を立て、その目標を達 成するための各々の独自の政策・戦略が必 要となる。例えば、沖縄に来る観光客数を 増やす政策と、沖縄に滞在させる日数を増 やす政策ではまったくことなるコンセプト が必要となる。
沖縄に来る観光客の人数 × リピート数
× 滞在日数 = 延べ来県観光客数
① 沖縄に来る観光客の人数
初めて沖縄に来る観光客数は、ここ20
数年微増でしかない。例えば、昭和58年
には約149万人いた初めての訪問者数は平 成15年に194万にしか増加していない。
これは昭和58年に36万人ほどしかいなか ったリピーター客が15年には315万にと大 きく増加していることと比べればかなり少 ないと言える。しかし、継続して新しい観 光客を開発していかなければ、沖縄観光の 発展は望めない。その為には、これまで顧 客ターゲットとしていた層に加えて、新た な沖縄観光の潜在顧客を開拓する必要があ る。沖縄観光の最初の顧客ターゲットは墓 参団やビジネス目的客であったが、それか ら農協や企業等の団体客と変化して、若者 層に移っていった。今は、修学旅行客もメ インターゲットといえる。今後有望なのは、
団塊の世代や外国人観光客、あるいは健康 志向人とか、癒しを求めている人などの特 殊なニーズを持った層も可能性がある。
② 一人当たりのリピート数
常に新しい観光客を増やし続けることは 非常に困難である。また、その為の費用も 甚大なものとなる。少ない費用や労力で延 べ観光客を増やすには、これまでに沖縄を 訪れたことがある者を沖縄に再来させるこ とだと言える。 これはリピーターと言われ、
沖縄観光のコアターゲットになってきてい る。ここ数年リピーターは増え続け、沖縄 病とか沖縄ファンなどという言葉も生まれ てきている。新たな観光客を開発するには 費用が必要だが、リピーターにまた来ても らうには、それほど費用を要しない。逆に 沖縄で満足できる滞在ができれば、特にこ ちらから働きかけないでも、自ら再度沖縄 を訪れてくれる。
③ 一人当たりの滞在日数
これまであまり注目されてこなかったも
のが、一人当たりの滞在日数である。沖縄 観光の平均滞在日数は平成17年で3.8日、
2泊3日と3泊4日が主流となっている。
幾ら新規観光客やリピーターを増やして も、滞在が短かったら、消費する金額も短 いなりのものとなる。本章では、特にこの
「一人当たりの滞在日数」
を増やすことで、バランスの取れた観光客数の増加を主とし て考えていく。その為には、沖縄の持つ多 くの観光資源 (癒し、健康、マリンスポー ツ、歴史、文化、芸能、世界遺産、食、工芸、
暖かさ等) を長期滞在型観光という側面か ら統一して、それに集中した政策を計画・
実施していくことを重点的に考察する。
(2)一人当たりの観光消費額
沖縄に多くの観光客が訪れても、県内で 消費しなければ観光収入は増加しない。そ の為には二つの方法がある。最初に、一回 の訪問で購入する観光商品 (モノやサービ ス) の額を上昇させることである。もう一 つが、沖縄に来て購入する観光商品の数そ のものを増やすことである。
購 入 観 光 商 品 額 × 購 入 す る 観 光 商品の数 = 一人当たりの観光消費額
① 一回の訪問で購入する観光商品の額 これは単にツアーやホテルの価格を上 げることではなく、観光商品に付加価値 を付けて、高価格でも欲しくなる、購入 したくなるものにしていくことである。
例えば、レンタカーを利用するなら、コ ンパクトカーではなく、せっかくの沖縄 旅行だからとちょっと豪華にスポーツカー
トか
RVCなどにしてもらうような工夫をする。また、お土産も大量生産の安いもの
でなく、沖縄の本物の工芸品を購入しても
らう、ホテルはいつものシティーホテルで はなく、せっかくの沖縄だからリッチな気 分に浸るために高級リゾートホテルに泊ま る等がある。
② 一回の訪問で購入する観光商品の数 一回の訪問で購入する観光商品の数を増 やすことにより、観光客の沖縄での消費を 促すことができる。これまで沖縄に来たら、
ビーチでマリンスポーツをして帰っていた 若者達に、沖縄の芸能の楽しさを感じて貰い、
CDやDVDを購入してもらったり、民謡の
芸能公演や地元アーティストのライブを楽し んでもらったりすることで、総額収入を増加 させるのである。また、冬の暖かさを楽しみ 来たシルバー層に紅型や陶芸の楽しさを体験 してもらうなど、これまでは単純に来て単純 に帰っていたものに、複合的な楽しみを紹介 していく等が考えられる。
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前節では、異なる5つのコンセプトを持 つ政策を挙げた。それぞれを向上させるこ とで沖縄県の観光経済を発展させることが できる。そして、それぞれの政策は個々の 実施もできるし、いくつかを組み合わせて 相乗効果を出すこともできる。しかし、こ れらすべてを同時に効果的に遂行すること は、資源の制限や時間的問題、人的育成な ども絡みそう簡単にはいかない。そこで、
今回は上記に挙げた5つの異なった政策の 内、特に4つの要因に注目する。それは、
一人当たりのリピート数の増加、一回の旅 行での滞在期間の延長、一回の訪問で購入 する観光商品の額の向上、そして一回の滞 在でより多くの観光商品の購入である。こ れらの4つの政策の中でも、柱は 「一回の 旅行での滞在期間の延長」
となる。滞在期間の長期化が実現すれば、リピート率も向 上し、観光商品の高額化も観光商品の購入 数も増加する。
それらの政策は長期滞在型観光という考 え方で実現できるのである。長期滞在型観 光政策では、新規観光客の増加にはそれ程 の有効性は無いかもしれない。しかし、そ れはまた他の販売促進政策によりカバーで きる。むしろ長期滞在型観光では、リピー ター増加と滞在日数増加という面で沖縄観 光に貢献できるものである。
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沖縄を訪れる観光客の滞在日数を増やす ことと、滞在中により多くの沖縄観光商品 の購入を促すことに集中することが、沖縄 観光の新たな発展につながることは確認し た。それでは、それらの実現に有効と思わ れる長期滞在型観光について紹介する。
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(1)長期滞在型観光の定義と目的
長期滞在型観光は、財団法人ロングス テイ財団により定義されている。財団によ る長期滞在型観光の呼び方は 「ロングステ イ」 としており、それらには大きく分けて 5つの特徴を有している。
(ѣ)比較的長期にわたる滞在 (Ѥ)海外に
「居住施設」
を保有・賃貸 (ѥ)余暇が目的(Ѧ)旅よりも生活
(ѧ)生活資金の源泉は日本
となっている。
沖縄を長期滞在型観光の対象とした場合
には、(Ѥ)の 「海外」
という部分を「沖縄
県」に置き換えることができる。海外でな
く沖縄における長期滞在型観光のメリット
はいくつかあるが、その中でも 「海外」 の
場合、そこに滞在するための査証が必要で あるが、国内ではそれを取得する煩わしさ が無く、海外よりも気軽に長期滞在型観光 を実施できる。
長期滞在型観光の目的は、国際親善・異 文化交流が全体の29.0%を占め第1位と なっている。そして避寒避暑 (23.3%) 、好 きな国に住みたい (18.0%) と続いている。
沖縄県は国内であるので国際親善という目 的では来沖してもらえないが、異文化交流 という面では、沖縄独特の文化に触れると いう意味で、沖縄での長期滞在型観光の動 機付けになりうると思われる。また、沖縄 は日本本土に比較して冬でも暖かいという ことから避寒地としても有望である。
出所:ロングステイ調査統計2006、 (財) ロング ステイ財団
長期滞在型観光の滞在先での目的行動で は、のんびりすることが全体の61.0%と 圧倒的に高く、続いてかなり数値は下がる が、趣味・スポーツ (20.8%) 、語学習得
(8.8%)
と続いている。沖縄県の特徴である 「てーげー」
とか「なんくるないさ」
等の精神は、忙しい都会での生活を癒す、のん びりできる環境を作りあげている。また、
陶芸、染め織物、マリンスポーツ、ゴルフ、
三線、舞踊などの趣味・スポーツも沖縄独 特であり、安く気軽にできる環境ができあ がっているので、沖縄での長期滞在型観光
では、したいことをする過ごし方で優位性 を持っていると思われる。
出所:ロングステイ調査統計2006、 (財)ロング ステイ財団
(2) 海外長期滞在型観光の最近の傾向 海外の長期滞在型観光の傾向としては、
ハワイやオーストラリア・ニュージーラン ド、カナダなどの英語圏で治安の良い地域 に人気がある。1992年の統計では、一位は ハワイ、で二位にカナダ、そしてオースト ラリア、アメリカ西海岸、ニュージーラン ドと続いていた。しかし、最近は東南アジ ア諸国の人気も高まってきている。2005 年の統計では、一位はオーストラリアで2位 がマレーシア、続いてハワイ、ニュージーラ ンド、タイとなっている。2000年前後ま では、アジア地区は海外長期滞在型観光先 のベスト10にも入らなかったのだが、最 近ではマレーシア、タイ、フィリピンなど の人気が高まってきている。その理由とし ては、日本からの移動時間が短い、為替差 益による滞在コストが安い、温かいなどが 挙げられている。また、東南アジア各国の 長期滞在査証の取得の容易さなども影響し ていると思われる。
これまでの海外長期滞在型観光は限られ た層で行われていた。特に芸術家、学者や 海外駐在経験者などの特定の者が多く、目 的もシンプルで限定的であった。しかし最
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近では、子供連れの主婦や就職前の若年者 層、仕事を休職した
OL、定年退職したシニア夫婦など長期滞在型観光をする層が多 様化してきている。またそれに付随して長 期滞在型観光の目的も 「のんびりすること」
や 「趣味」 「スポーツ」 そして 「語学習得」 など と細分化してきているのが特徴である。
特に最近の傾向としては、二つの地域に 居住地を持つという方法も盛んになってき た。長期滞在型観光の地をそれぞれの目的 に寄って使い分け、 生活を楽しむのである。
例えば、 「趣味を楽しむ地域」 「健康を回復 する地域」 「言語習得をする地域」 「のんび り過ごす地」
あるいは「夏の滞在地」
や「冬 の滞在地」
等である。タレントの大橋巨泉が夏はカナダ、冬はオーストラリア、春と 秋は日本と滞在先を変えている事などは、
その良い事例である。
(3)長期滞在型観光を通して目指すもの
団塊世代の定年に伴い長期滞在型観光の 人気が高まってきている。それは、彼らの 生き方に関連していると思われる。 つまり、
団塊世代が残りの人生をどう行きたいかと いう事を考えた場合、それを実現する一つ の方法が長期滞在型観光にあると気づいた のである。また、若者や中年の働き盛りで もやはり自分の人生を考えたときに、今の 状態からどうにか前に進みたいと思って長 期滞在型観光に飛び込む人も少なくない。
このような人はこの長期滞在型観光にどの ようなことを期待しているのであろうか。
団塊世代がこの長期滞在型観光を通して目 指すものとして大きく5つに分けている。
① 第二の人生の充実を考える
団塊の世代が仕事を引退して、これから の残りの人生を充実させたいと思う時に、
長期滞在型観光を通して、これからの生き 甲斐を見いだそうとするものである。長期 滞在型観光の計画から実行、帰国後の活動 などにおいて自らが主体となり作り上げて いくこと自体が、自分の人生のコントロー ル感につながる。暖かい地域での長期滞在 型観光は健康維持にも役立つ場合も多い。
② 非日常にてリフレッシュをする 忙しい日々から離れ、仕事や雑務、親戚 や知人との付き合いなどが無い非日常空間 に身を置くことで、気持ちをリフレッシュ することができる。また、これまで自分を 振り返る時間がなかったものを、長期滞在 型観光地でのゆったりとした時間の中で、
見つめ直すこともできる。
③ 自己成長を目指す
幅広い年代層で個人レベルでの長期滞在型 観光である。日常の生活では体験しないよう な経験をすることにより、新たな発見があり、
それが自身の知識やキャリアにつながって行 く効用がある。一般的なのは語学習得がある が、趣味を本場で習得するために長期滞在型 観光をする者も多い。趣味としては、ダンス、
料理、楽器、ゴルフ、キルト、ガーデニング、
サーフィン等がある。
④ 社会に貢献する
これまでにやってきた自分の仕事やいろ
いろな経験を生かして、長期滞在先でボラ
ンティアをして、異文化交流を図る。ある
分野の専門化が退職後に自分の持っている
技術を活用して地元の為に奉仕活動をした
り、無収入で現地の人に日本語を教えたり
する活動なども自分の生き甲斐を創り出す
長期滞在型観光だといえる。
⑤ 家族と共に過ごす
家族全体、親子間、祖父母と孫などいろ いろな組み合わせがある。最近は若い母親 が小さい子供を連れての長期滞在型観光も 盛んである。共に非日常空間で生活するこ とで積極的に家族と関わることになり、こ れまでにない家族間コミュニケーションが 生まれる。介護の家族の肉体的、精神的、
経済的負担を特定の国 (特にアジア)
に長期滞在型観光することにより総合的に負担 が軽減されるという効能がある。最近では フィリピンに年老いた親子で滞在し、年金 で介護者を雇うことができる為に、大変助 かっているという事例がある。
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(1)滞在希望国、期間と生活
長期滞在型観光の希望滞在国で最も人気 があるのが 「オーストラリア」
である。続いて 「マレーシア」 「ハワイ」 「ニュージー ランド」
そして「タイ」
と続いている。これからみると全般的に比較的暖かい地域に 人気があるように思われる。寒さの厳しい ところはカナダ、アメリカ本土くらいであ る。これから見ると沖縄の長期滞在型観光 地としての優位性はあると言える。
出所:ロングステイ調査統計2006、 (財)ロング ステイ財団
希望する滞在期間を見てみると1〜3ヶ 月が45.9%と最も多い。続いて6ヶ月以上 が23.3%で2位、3〜6ヶ月 (17.5%)が 3位となっている。長期滞在型観光といっ ても移住ではないので、5年とか10年な どいう希望者は少なく、1年の中でも現在 住んでいる地域が気候的に厳しいときの1
〜3 ヶ月間を他地域で過ごすということが 考えられる。
出所:ロングステイ調査統計2006、(財
)ロングステイ財団
同伴者は、配偶者というものが全体の
74.4%となり最も多い。つまり子供達が自立し、時間ができた夫婦で人生を歩ん でいこうという考え方が主流となってい る。また、趣味や経験をという者の中で は、その割合はかなり下がるが、本人のみ
(14.4%)での長期滞在型観光を考えてい る者もいる。
出所:ロングステイ調査統計2006、 (財)ロング ステイ財団
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長期滞在型観光現地での生活は、10万
〜15万円くらいかかるだろうという想定金 額が43.1%と最も多い。続いて15万〜20 万円そして5万〜10万円と続いている。し かし、現実に長期滞在型観光を経験した者 に聞くと、10万〜15万円かかったという 者が一番多いが、その割合は29.8%と大 きく下げている。そして15万〜20万円も 若干その割合を下げており、逆に20万円 以上かかったという者が6.2%から12.8%
にその割合を上げている。沖縄県は県民所 得で47都道府県中最下位であり、島嶼と いうことで物流コストが嵩み物価も全般的 に高い傾向にある。ただ、気候的なことか ら衣服にはコストがかからないので、それ 程高い生活費を支出しないでも生活はでき ると思われる。
出所:ロングステイ調査統計2006、 (財)ロング ステイ財団
(2)不安事項と情報源
長期滞在型観光地での滞在での不安事項 は、「言葉」 である。これは外国への長期滞 在型観光を前提にしているためであるが、日 本語以外の言葉をマスターしている人は少な く、若者ならある程度滞在すれば外国語も習 熟していくと思われるが、シニア層ではそれ もかなり難しい。二番目には「治安」
が、そして三番目 が 「医療体制」
となっている。沖縄はその点はすべてクリアしている。
出所:ロングステイ調査統計2006、 (財)ロング ステイ財団
長 期 滞 在 型 観 光 の 情 報 は、 市 販 の 書 籍 (31.9% )や イ ン タ ー ネ ッ ト (24.4%)
か ら 多 く 得 ら れ て い る こ と が 分 か る。 ま た、セミナーやロングステイ財団の季刊誌
(21.0%)
も大きな情報源の一つである。つまり長期滞在型観光地のプロモーションと しては、市販の書籍の出版とインターネッ トでの情報提供が大きな影響力を持つと言 える。
出所:ロングステイ調査統計2006、 (財)ロング ステイ財団
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(1)若者と団塊の世代
長期滞在型観光は現状では、海外を前提 として盛んになってきている。そして、そ の中核として若者と定年退職した中高年 層が挙げられる。特に最近は戦後のべビー
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ブームに生まれた団塊の世代の大量退職 が予測されており、団塊世代の価値観がこ れまでの中高年の価値観と変わってきてお り、旅行に対する興味がより強いことも分 かってきている。
沖縄をデスティネーションとした長期滞在 型観光もこれらの海外長期滞在型観光の延長 から盛んになってくるものと思われる。
①若者層の沖縄における現状
現在、沖縄ではドミトリー・ゲストハウ スあるいは安宿が繁盛している。本土から 若者が仕事や学校を辞めて沖縄に来るので ある。そして、彼らは沖縄各地に点在して いるドミトリー等に長期間宿泊しながら、
アルバイトや就職をして生活している。現 在、これらの長期滞在型のドミトリー・ゲ ストハウスとか安宿が沖縄にいくらあるの かは把握されていない。名称も 「ロッジ」
「ドミトリー」 「〜の宿」 など多様である。
システムは素泊まりのドミトリー (相部 屋)で一泊1000円〜2000円台とかなり 安い。食事は近くの食堂で済ませたり、宿 泊客同士がお金を出し合って共同の台所で 食事を作ったりしている。これらの顧客層 としては20代後半から30代前半が中心と なっており、しかも女性の一人旅が多い。
長期で数カ月、仕事をしながらあちこち見 て回る人が多いと言われている。ダイビン グや離島を回る人は、行った先で泊まり、
そして、また那覇まで戻ってくる。長期 滞在の事例のひとつとして面白いところで は、沖縄県の自動車教習所に運転免許を取 りに来て、長期滞在している若者がいる。
また、ダイビングのライセンス取得為に長 期滞在型観光する若者もいる。
受け入れ側も若者の長期滞在をバックアッ プする為の環境を整備しつつある。特に離
島で、マリン関連に興味のある若者が、長 期滞在しやすい仕組みを作ったり、県民が 田舎・離島だということで仕事を避けるこ とから、本土からの長期滞在希望の若者を 募集したりする。例えば、伊平屋島では、
若者が
UターンやJ・Iターンできる島づくりのため、長期滞在型観光客誘致と村民 との交流を促進する空き民家コンドミニア ムの運営の企画や島産素材を使った商品開 発による産品ショップの事業拡大を図って いる。また、粟国島では村保健師とともに 地域保健に携わってもらう 「保険師又は 看護師」 を募集しており、資格を持った長 期滞在者を歓迎している。
②沖縄における団塊の世代の現状
若者層以外では、これから大量の定年退 職が予定されている団塊の世代層がいる。
団塊の世代とは戦後のベビーブーム期に生 まれた世代で通常昭和22年から24年に生 まれのことを言う。この3カ年の出生数は
806万人であるが、総務省推計では平成16年時点では676万人となっていて、総人口 に占める割合では5.4%と他の世代と比較 してその比率はかなり大きい。平成19年に は、この世代の最初の者が60歳になり、定 年退職が始まる。
現在、沖縄県を訪れる観光客では、平成
18年度で30代が21.7%と最も多く、続いて40代、50代となっている。60代以上
は12.0%と他の年代層に比較してまだ少
ないと言える。60代以上の観光客は主に
冬に多く訪れる傾向がある。平成12年度
と比較すると、若者層と60代以上がその
比率を下げ、30代、40代が全体の4割強
を占めるまでに増加してきている。50代
は横ばいである。これから見ると、今後定
年により自由時間が増える60代以上の沖
縄観光は、現状ではそれ程増える様子は特 に見られない。しかし、団塊の世代の定年 で、お金を持ち健康で旅行をしたいという 意向を持った層が大幅に増えることを考え ると、この団塊世代に沖縄での長期滞在型 観光を定着させることは重要である。これ は、沖縄県が観光政策上の中核として位置 づけるべきであり、現在、総花的になって いる沖縄県の観光政策を今後はある程度収 斂させながら、資金・資源・人材をフォー カスさせていくことが必要だと言える。そ してその中核となるものが長期滞在型観光 なのである。
これから市場が大きくなってくるシニ ア層で、沖縄県での長期滞在型観光が定着 してくると、シニア層の特徴である観光 支出の高額化や学びや癒しに対する多様な ニーズの強さによる収入面でのプラス要 因が付いてくる。そして今後もリピーター が増加している傾向を踏まえると、これら のリピーターから長期滞在型観光に移行し ていく可能性も高いものと思われる。結果 として一旅行当たりの滞在日数の増加につ ながるのである。長期滞在するということ は、沖縄県内で生活をするということで ある。その為には、毎日の衣食住が必要と され日常的な消費行動につながっていく。
また、長期滞在型観光では、特にシニアの 場合には、沖縄県で収入を得るわけでは なく、県外で収入を得て沖縄で消費する という収支バランスが沖縄側にプラスと なる。
(2)沖縄県における団塊の世代層の長期滞
在型観光の可能性
僅か3年の間に多くの退職者が生ずるこ とは、消費市場に多大なインパクトを与え るものと思われる。 「数はパワー」
であり、この世代は過去様々な分野に大きな影響を 与えてきた。退職後のかれらの消費行動 は多くの商品マーケットに対して、これま で以上に大きな影響を及ぼすものと容易に 推察される。消費拡大に走った世代が、退 職後は時間という大きな余裕を持って消 費市場にあらためて参入していくことにな る。今後は、 「時間消費型観光」 がキーワー ドとなる。
(株)インフォプラントの調査 (N=1000:
調 査 日 平 成18年 7 月)
で は 団 塊 の 世 代 は 50.9%が"国内旅行"を楽しみたいとしており、一番人気である。"海外旅行
"についても26.4%で2位に入っている。
長期滞在型観光には、心の豊かさを実感 させるさまざまな要素が含まれている。こ れには 「遊ぶ」 ・ 「学ぶ」 ・ 「楽しむ」 ・ 「ふれ あう」 ・ 「発見する」 ・ 「知識や技術を教え る」 ・ 「生きがいを探求する」
等の個人のライフスタイルに合わせた時間の活用方法が ある。また、旅行という非日常的空間の中 に、 日常生活のリズムを取り入れることで、
年齢や性別、食事の好み、天候、体調など に左右されることなく、無理のない長期滞 在を可能にする。
一般的に、高齢化している社会はその高 齢化率 (65歳以上の人口が総人口に占める
割合)
によって以下のように区分・呼称される。
高齢化社会 高齢化率7%〜14%
高齢社会 同14%〜21%
超高齢社会 同21%〜
日本は昭和45年に高齢化社会に、平成 6年の時点で高齢社会となった。平成22年 には超高齢社会となる見込みである。昭和
10年の高齢化率が4.7%と最低であった。昭和25〜昭和50年は出生率低下によって、
それ以降は、死亡率の改善により高齢化率
が上昇。平成18年9月には20.7%となり、
世界に類を見ない水準に到達している。今 後も高齢化率は上昇し続け、平成37年に は30%程度になると予想されている。
日本における海外渡航者数は年々増加 しており、今や国民にとって海外旅行は身 近なものとなってきている 。また、ライ フスタイルの多様化、雇用形態の変化や高 齢社会の到来などによる新たな価値観の出 現、そしてマルチメディアの普及やロジス ティックの発達は世界の距離を縮め、広 い視野に立って物事を考える素地が作られ てきた。そして今、 「個人のニーズ」が重要 視されるようになっている。特に高齢化や 国際化の進展、ゆとり重視のライフスタイ ル、そして金銭的裕福さにより、シニアの 長期滞在型観光に関する興味の深さがいま 注目されている。団塊の世代の退職金は50
〜70兆円と言われている。 「モノの豊かさ」
から 「心の豊かさ」
へと人々の関心は傾き、「余暇時間」
の重要性が叫ばれている。自由に使える時間に行うアクティビティ として海外旅行を挙げる人が増加してい る。観光やショッピングを目的とした短期 周遊型の旅行スタイルよりも、海外や日本 の一地域に比較的長期に滞在し、現地の生 活を通して異文化に触れ、人々との交流や さまざまな活動を行うことや、現地社会へ の何らかの貢献をするような滞在型の旅行 に興味を示す人が増えている。長期滞在型 観光とは非日常空間である海外での日常的 生活の体験 (生活体験・異文化交流)
を目指している。特に、短期周遊型旅行との違 いは、生活体験を通した幅広い交流が可能 な点である。幅広い交流とは、生活体験の 延長での近所の人、趣味を通じての友人な どを含め、対象が限られない不特定多数の 人々と毎日顔をあわせ、コミュニケーショ
ンを図ることを意味する。また、長期滞在 型観光はひとつのライフスタイルであり、
海外で生活を体験するということから、現 地の方々との交流や習慣・風習などに触れ るには2週間くらいからの滞在がひとつの 目安だと考えられる。生活の為の主たる源 泉は、日本で発生する年金・預金利子・配 当・賃貸収入などであり、現地での労働や 収入を必要としない滞在である。最近の退 職者査証の中には週の労働時間を限定しつ つ、 就労許可を与えている国もある。また、
ITツールの発達に伴い、長期滞在型観光
滞在地で株の売買をしたり、滞在国での定 期預金金利が日本より高率の場合、現地で 直接預金をしたり投資をして利益を得るこ とも可能である。
60 歳 で 定 年 退 職 す る 団 塊 の 世 代 の 中 心 は 男 性 で あ る。 定 年 後 に 旅 行 を 始 め る の は 男 性 が 中 心 に な る と 思 わ れ る。 傾 向 と し て は、 ① 夫 婦 旅 行
(約4割を占める)
、②成人した子供や孫
を連れての親子旅行や三世代旅行、そして
③男性による友人旅行。
日本人の海外旅行が自由化されたのは、
団塊世代が10代後半だった頃である。つ まり、団塊の世代は海外旅行が普及してい る真っ直中に生きた世代であり、現在の若 者ほどは海外に出ていないが、現在の60 代後半や70代の先輩よりは海外慣れして いる人が多い。現在の60歳以上の本土か らの沖縄旅行の特徴であるこの現状を踏 まえて、沖縄にシニアの長期滞在型観光 が定着するか、沖縄県として政策的に顧客 ターゲットとしていくかどうか明確にした い。
長期滞在型観光の定着を目指す上で幾つ かの課題がある。
それらは、
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
このようにして団塊世代が定年して自由 に時間とお金を使えるようになると、沖縄 県としては潜在顧客として有望な市場とな る。ここでは、団塊世代を含めたシニア層 が、沖縄で長期滞在型観光をする可能性を 探ってみる。
多くのサラリーマンが60歳で定年となる が、その9割は健康状態も良く、その中で もかなりの人が旅行に活発に出かけるよう になる。60歳前半のシニア層の延べ旅行人 口は平成22年には平成17年の1.2倍になる と予想されている。そして、このような人 口統計学的視点からみて、シニア層の沖縄 での長期滞在型観光誘致は沖縄観光活性化 の大きな要因になり得る。
現在のシニア層の沖縄旅行の実態を確認 し、今後の可能性を予測していく。シニア 層の沖縄観光は平成2年頃から急増してい る。具体的に見ると、平成4年から平成10
年までの間に2倍以上に増加しており、平成
10年から平成16年までは緩やかながら5%程度の伸びが続いている。季節別には、こ の層は夏の暑い時期を避けており、秋や冬 の避寒の時期にその割合が増加している。
この層の観光の目的は 「周遊観光中心の団 体旅行」 (44%) 「周遊観光中心の個人旅行」
(24%) 「特定の目的を楽しむ旅行」 (16%)
となっている。
本論文テーマである 「長期滞在」
はまだ全体の1%程度でしかなく、今後この分野の 旅行目的を増加させることが重要である。
ハワイにおいても長期滞在型観光が注 目されてきている。特に日本の団塊世代の 定年退職に伴う市場の広がりに期待感が高 まっている。ロングステイ財団はハワイの 民間企業と提携を結び、日本のシニア層の 長期滞在を受け入れる仕組みを構築してい るし、ハワイ在住の日系企業や個人が
NPO法人として、シニアの長期滞在をサポート する組織を創立した。ハワイ州観光局は、
日本市場に向けて誘客の働きかけとより長 く滞在してもらうための戦略を構築してい る。また、JALパックや
JTBは、日本人観光客向けの長期滞在パックを販売しており、
単なる観光から 「暮らすように滞在する」と いうコンセプトでシニア層をコアターゲッ トとしたプロモーションを展開している。
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(1)ハワイの現状
日本人観光客はハワイにおいても、他の 国や地域からの観光客に比べ滞在日数が短 い。それでも平均5.38日の滞在がある。
ハワイ州を訪れる全観光客の平均である 長期滞在型観光は、海外志向が強いが
日本国内でも長期滞在型の定着は図れ るのか。
海外長期滞在型観光のメリットを上回る 何らかのメリットが沖縄にあるのか。
国内長期滞在型観光で沖縄と競合する ようなところはあるのか。
目的志向の長期滞在型観光に対応した 沖縄特有の長期滞在型商品の開発は可 能か。
沖縄と海外を一つのセットにした新たな 長期滞在型観光の仕組み構築は可能か。
沖縄が長期滞在型観光定着を目指す時、
何か障害となるものはあるのか。そし て、それを取り除くにはどうすればい いのか。
長期滞在型観光から沖縄移住という変 化は、沖縄にとってもう一つの目指す ものになり得るか。
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