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平成22年度

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(1)

平成22年度 情報セキュリティ技術の 研究開発戦略の策定に向けた技術評価等の調査

報告書

2011

年

3

月

(2)

目次

1. 背景と目的 ... 1

2. 調査方法 ... 1

3. 米国及び EU の情報セキュリティ研究開発戦略 ... 3

3.1. 米国の研究開発戦略及び研究開発状況 ... 3

3.1.1. 情報セキュリティの研究開発戦略の背景... 3

3.1.2. 情報セキュリティの研究開発の実施体制... 7

3.1.3. NITRD の概要 ... 7

3.1.4. NITRD による情報セキュリティ戦略 ... 10

3.1.5. NITRD の研究開発状況 ... 14

3.2. EU の研究開発戦略及び研究開発状況 ... 17

3.2.1. 情報セキュリティの研究開発戦略の背景... 17

3.2.2. FP7 の概要 ... 19

3.2.3. FP7 の戦略的研究助成 ... 23

3.2.4. FP7 の情報セキュリティ関連のテーマ ... 24

3.2.5. EU の研究開発の状況 ... 25

3.3. 米国及び EU の情報セキュリティ研究開発戦略の分析 ... 29

3.3.1. 米国及び EU の研究開発戦略の特色 ... 29

3.3.2. 研究開発分野の全体俯瞰 ... 30

4. 重点分野に関する検討と抽出 ... 32

4.1. 重点分野の考え方と抽出方法 ... 32

4.2. 重点分野の比較評価観点 ... 34

4.2.1. 国として優先すべき観点 ... 34

4.2.2. 期待効果等の観点... 38

4.3. 有識者ヒアリングに基づく重点分野抽出 ... 39

4.3.1. ヒアリング調査の目的 ... 39

4.3.2. 研究カテゴリと重点分野の関係 ... 39

4.3.3. 研究カテゴリと有識者の選定 ... 40

4.3.4. ヒアリング項目 ... 41

4.3.5. 有識者ヒアリング結果の要点及び示唆 ... 41

4.4. 欧米の研究開発動向に基づく重点分野候補... 42

4.5. 重点分野の絞り込みとその理由 ... 43

4.6. 重点分野の方向性を示す主要コンセプト ... 51

5. 技術ロードマップと展望 ... 54

(3)

5.1. 技術ロードマップ ... 54

5.2. 求められる研究開発予算規模 ... 60

6. まとめ ... 62

付録Ⅰ 米国連邦政府の情報セキュリティの研究開発分野 ... 64

付録Ⅱ 欧州の情報セキュリティの研究開発分野 ... 77

付録Ⅲ ISO/IEC 国際標準における技術分野 ... 84

付録Ⅳ 有識者ヒアリングに基づく重点分野候補 ... 93

付録Ⅴ 欧米動向調査、国際標準に基づく重点分野候補 ... 96

付録Ⅵ 検討会の開催状況 ... 97

(4)

1.

背景と目的

本調査は、「国民を守る情報セキュリティ戦略」(平成22年5月11日情報セキュリテ ィ政策会議決定)に基づき、内閣官房情報セキュリティセンター(以下、「NISC」という。)

が情報セキュリティ技術の研究開発戦略を検討するために実施するものである。

具体的には、クラウドサービスやスマートフォンの普及等に代表される情報通信技術の 環境変化に対応して求められる情報セキュリティ技術を抽出し、今後重要性が高まると考 えられる情報セキュリティ技術の研究開発状況を調査するとともに、技術の進展を妨げて いる要因があればそれを明らかにし、その課題の解決に向けた政府の支援施策について検 討する。

もって、情報セキュリティの研究開発戦略を策定する際の基礎資料を得ることを目的と する。

2.

調査方法

本調査研究は、情報セキュリティ研究開発戦略に関する検討会における検討を通して、

今後我が国として取り組むべき研究開発の方向性について整理を行うものである。調査の 流れ及び全体像は図 2-1に示すとおりである。

(1) 情報セキュリティ技術の研究開発状況の調査

米国NITRD, 欧州FP7, ENISA等における研究開発の 現状、重点分野の動向について調査する。

(2)米国及びEUの情報セキュリティ研究開発戦略の調査

米国NITRD, 欧州FP7, ENISAの研究開発戦略に関する 調査を実施する。

(5)重点化分野の技術ロードマップの作成

・重点化分野の抽出

・重点分野のコンセプトの整理

・重点化分野のロードマップ作成

(4)検討会の開催

委員長:早稲田大学 後藤教授 副委員長:東京工科大学 手塚教授

欧米の動向調査、国内の有識者ヒ アリング等を裏づけとして、研究開 発の方向性を検討する。

(3)国内の有識者ヒアリング調査

情報セキュリティ分野の各専門分野につい て有識者にヒアリングを行い、現状課題、重 点分野、達成目標を抽出する。

図 2-1:調査研究の流れ

(5)

研究開発戦略の検討における技術的な裏付けを得るために、欧米の情報セキュリティ研 究開発の状況や戦略に関する動向調査及び、国内の情報セキュリティ分野の有識者に対す るヒアリング調査を実施する。これらの調査に基づき、我が国における研究開発の重点分 野について検討し、その技術ロードマップを作成する。

本検討会と技術戦略専門委員会の関係は図 2-2のようになる。

根拠情報からボトムアップに検討 研究開発戦略

重点分野 技術的観点からの裏付け

技術戦略専門委員会

本検討会 総合科学技術会議

解決すべき研究課題等 戦略のインプット

広い視点から、将来の見通し等も考慮して研究開発戦略を検討 科学技術基本計画

科学技術振興に関する国の基本的な計画

図 2-2:本検討会の位置づけ

本検討会は、情報セキュリティの各技術分野における解決すべき研究課題を抽出するこ とによりボトムアップに重点分野を提言する。技術戦略専門委員会では、検討会における 重点分野を技術的な裏付けとして、広い視点から、将来の見通し等も考慮して研究開発戦 略を策定する。策定した研究開発戦略は、各省庁の研究開発事業において推進されるべく、

総合科学技術会議の科学技術基本計画への展開を図ることを想定している。

(6)

3.

米国及び

EU

の情報セキュリティ研究開発戦略

本章では米国及び

EU

の研究開発戦略の考え方、発展経緯、方向性について整理する。

3.1.

米国の研究開発戦略及び研究開発状況

本項では、米国の情報セキュリティの研究開発戦略について、ネットワーキング情報技 術研究開発プログラム(NITRD:Networking and Information Technology Research and

Development)の取り組みを中心に紹介する。

3.1.1. 情報セキュリティの研究開発戦略の背景

ここでは、米国における情報セキュリティの研究開発戦略の背景を簡単に紹介する。

米国における情報セキュリティの研究開発は

2001

年の同時多発テロ以降、サイバーテ ロ・サイバー攻撃の脅威が認識され、国家安全保障という観点で活発化している。また、

2006

年には米国の産業競争力強化のため、連邦政府の研究開発費を

10

年間で倍増するこ とや人材の育成を掲げた『米国競争力イニシアチブ(ACI:American Competitiveness

Initiative)』 1

が策定された。同イニシアチブでは、研究開発における

12

のゴールの

1

つを

「サイバーセキュリティと情報保証」

2

としており、ITに依存した経済や米国の知的財産を 守ることの重要性が強調されている。ACI の流れを受けて、2007 年には研究開発の推進、

教育の強化などを目的とした『競争力強化法(America Competes Act)』が制定され、米国 の情報セキュリティの研究開発において中心的役割を担う全米科学財団(NSF:National

Science Foundation)や国立標準技術研究所(NIST

:

National Institute of Standards and

Technology)の予算が大幅に増額された。こうした流れを受けて、2008

年ブッシュ大統領

は 連 邦 政 府 の 情 報 セ キ ュ リ テ ィ の イ ニ シ ア チ ブ と し て 『

Comprehensive National Cybersecurity Initiative(CNCI)』 3

を策定した。12項目のイニシアチブ

4

(表 3-1参照)

には、研究開発に係る項目が

2

つ挙げられている。

1

つは、研究開発の調整・支援体制の整 備、もう

1

つは画期的(leap-ahead)な技術への研究開発及びそのための戦略策定である。

なお、2009年に発足したオバマ政権は、ブッシュ政権の情報セキュリティ政策の見直しと して『Cyberspace Policy Review』

5

を行ったが、基本的には『CNCI』で定めた方針を維 持することとした。さらに、同レビューで示された

10

の短期のアクションプラン(表 3-2

1

http://www.nsf.gov/attachments/108276/public/ACI.pdf

2 「サイバーセキュリティ」とはサイバー空間(ネットワークで接続された空間)における悪意のある行 為からの保護をいう。また、「情報保証」とは、情報に対して情報セキュリティ機能が有効に実施されてい ることを確認するための上位の機能(セキュリティ・コントロールの保証(Security Control Assurance)) 等があることで、情報セキュリティが高まるという考え方であり、一般的な情報セキュリティよりも上位 の概念とされている。

3

http://www.whitehouse.gov/cybersecurity/comprehensive-national-cybersecurity-initiative

4 当初は非公開であったが、オバマ政権の『

Cyberspace Policy Review

』の方針により公開された。

5

http://www.whitehouse.gov/assets/documents/Cyberspace_Policy_Review_final.pdf

(7)

参照)にも、環境変化に対応する(game-changing)技術の研究開発に焦点を当てること が掲げられている。

表 3-1:『CNCI』で示された 12 のイニシアチブ(太字は研究開発に係わる項目)

1.

連邦政府のネットワークの統合とインターネット接続の安全性確保

2.

連邦政府全体への侵入検知システムのセンサ配備

3.

連邦政府全体の侵入防御システム配備の促進

4.

研究開発の調整及び技術移行の支援(連邦政府の各組織によるサイバーセキュリティの 研究開発を調整するための戦略と体制を構築し、研究開発の成果の移行を支援する。特 に、連邦政府が行う研究の重複排除、研究ギャップの解消、優先分野の特定、納税者の 利益追求を重視している)

5.

サイバーオペレーションセンターの連携強化と、状況認識機能の向上

6.

サイバー上の諜報対策計画の策定と実装

7.

機密ネットワークのセキュリティ強化

8.

サイバーセキュリティ教育の拡大

9.

画期的な(leap-ahead)技術に対する研究開発戦略や研究プログラムの策定(サイバー セキュリティの困難な課題へのハイリスクハイリターンなソリューションを実現する 研究開発戦略やプログラムの策定、グランドチャレンジの設定、民間セクタとの連携等)

10.

継続的な防衛戦略及びプログラムの明確化及び開発

11.

グローバルサプライチェーンリスクマネジメントへの多方向からのアプローチの構築

12.

サイバーセキュリティを重要インフラ領域に拡張する上での連邦政府の役割の明確化

表 3-2:『Cyberspace Policy Review』のアクションプラン(太字は研究開発に係わる項目)

1.

国家のサイバーセキュリティ政策・活動の調整に責任を有する担当者(サイバーセキュ リティ調整官)を指名する。当該担当者の下で組織間のサイバーセキュリティ関連の戦 略・政策を調整するために、国家安全保障会議(NSC:National Security Council)担 当部局を設置し、当該担当者は、NSC と国家経済会議(NSE:National Economic

Council)を兼務する。

2.

情報・通信インフラの安全を確保するための国家戦略を見直す(『CNCI』の取り組みに 対する継続的な評価を行い、取り組みが適切であれば『CNCI』の方針を維持する)。

3.

サイバーセキュリティを大統領が行うマネジメントの優先事項の

1

つとして位置づける とともに、パフォーマンスの評価手法を確立する。

4. NSC

内のサイバーセキュリティ部局に、プライバシー・人権の担当者を指名する。

5.

サイバーセキュリティ関連の優先課題に対して省庁横断的な法的分析を実施するため、

適切な省庁横断的メカニズムを構築する。

6.

サイバーセキュリティを促進する国家的な啓発・教育キャンペーンを開始する。

7.

国際的なサイバーセキュリティの枠組みにおける米国政府の役割を確立し、サイバーセ キュリティに係わる活動に取り組むイニシアチブ構築に向けた国際的連携を強化する。

8.

サイバーセキュリティインシデントに対する対応計画の準備、合理的、効果的な官民パ ートナーシップを強化するための対話を開始する。

9.

サイバーセキュリティの研究開発戦略の枠組みを策定する(デジタルインフラのセキュ リティ、信頼性、障害からの回復性を向上させる環境変化に対応した(game-changing)

技術の研究開発への投資、ツール開発・テスト・ソリューションの特定に有用な各種イ ベントデータへのアクセスを可能とする研究コミュニティの構築等)。

10.

プライバシーや人権に配慮したサイバーセキュリティに基づく

ID

マネジメントに係る ビジョンと戦略を構築する。

(8)

情報セキュリティの研究開発については、これまでにも多くの戦略が作成されており、

『CNCI』のように全体戦略や方向性を示すトップダウンの戦略と、個別分野ごとの戦略や 計画をまとめたボトムアップの取り組みがある。どれも過去の戦略を踏まえた上で、その 時点における新たな脅威や技術の状況が反映された内容となっている。2003年以降の情報 セキュリティの研究開発に関する主な戦略文書を図 3-1 に示す。また、各文書の概要を表

3-3

に示す。2006 年には

NITRD

の組織横断の作業部会により、連邦政府全体のサイバー セキュリティ及び情報保証に関する戦略として、『Federal Plan For Cyber Security and

Information Assurance Research and Development』がまとめられ、連邦政府として優先

的に取り組むべき研究分野が示された。

同戦略は、本調査研究の趣旨とも共通するものであり、アウトプットとして示された重 点分野だけでなく、重点分野を決定するプロセスも参照した。なお、同戦略の詳細につい ては、3.1.4. 項及び付録

I

に示す。

2009 2008

2003 2004 2005 2006 2007

Whitehouse:

Cyberspace Policy Review Whitehouse:

Cyberspace Policy Review

DHS:Roadmap For Cybersecurity Research DHS : Roadmap For Cybersecurity Research NITRD : Fed Plan For Cyber

Security & Info. Assurance R&D

NITRD : Fed Plan For Cyber Security & Info. Assurance R&D

IRC

3

: Hard Problem List IRC

3

: Hard Problem List CRA

1

: Grand Challenges In

Trustworthy Computing CRA

1

: Grand Challenges In Trustworthy Computing

PITAC

2

:Cybersecurity:

A Crisis Of Prioritization PITAC

2

:Cybersecurity:

A Crisis Of Prioritization DHS:National Strategy To

Secure Cyberspace DHS:National Strategy To Secure Cyberspace

2010 NITRD:

Cybersecurity Game- Change Research &

Development Recommendations NITRD:

Cybersecurity Game- Change Research &

Development Recommendations

Whitehouse:

Comprehensive National Cybersecurity Initiative Whitehouse:

Comprehensive National Cybersecurity Initiative

全体戦略や方向性を示す文書(トップダウン)

全体戦略や方向性を示す文書(トップダウン)

個別分野ごとの戦略・計画(ボトムアップ)

個別分野ごとの戦略・計画(ボトムアップ)

1 CRA:Computing Research Association

2 PITAC:President’s Information Technology Advisory Committee 3 IRC:INFOSEC Research Council

Whitehouse:

American Competitiveness Initiative

Whitehouse:

American Competitiveness Initiative

NITRD: National Cyber Leap Year NITRD: National Cyber Leap Year

出典:各種資料をもとに三菱総合研究所作成

図 3-1:情報セキュリティに関する主な戦略文書

(9)

表 3-3:情報セキュリティに関する主な戦略文書の概要

戦略文書等 概要

DHS:

National Strategy

To Secure Cyberspace(2003)

サイバー空間の情報セキュリティに関する最初の 戦略文書。“サイバー攻撃”への対策を中心とした 内容となっており、サイバー空間の安全確保におけ る

5

つの課題を示した。

CRA(Computing Research Association):

Grand Challenges In

Trustworthy Computing(2003)

2003

年に

CRA

と

NSF

によって主催された

Grand Challenges Conference

において作成された文書。

Trustworthy

なコンピューティングを実現するた

めの

4

つのグランドチャレンジを示した。

PITAC

(

President's Information Technology Advisory Committee):

Cyber Security:

A Crisis of Prioritization(2005)

連邦政府のサイバーセキュリティに係わる研究開 発への取り組み(予算、人材、民間への技術移転、

省庁間連携など)を調査し、今後の課題を示した。

IRC(INFOSEC Research Council):

Hard Problem List(2005)

IRC

メンバ(国防総省、司法省、エネルギー省、商 務省、情報機関など)の研究プログラム実施上の参 考資料として、サイバーセキュリティにおける

8

つ の難題(hard problem)を挙げ、それぞれに対し脅 威、課題、研究開発の方向や評価指標等を示した。

Whitehouse:

American Competitiveness Initiative(2006)

米国の競争力強化のため、

10

年間で連邦政府の研究 開発費を倍増することや人材育成を掲げた。

IT

に依 存した経済と米国の知的財産を守るという名目の もと、「サイバーセキュリティと情報保証」が

12

の 研究開発ゴールの

1

つとして挙げられている。

NITRD:

Federal Plan For Cybersecurity and Information Assurance

Research and Development(2006)

CSIA IWG

によって策定された国家のサイバーセキ

ュリティ及び情報保証の研究開発計画。(3.1.4. (1)

参照)

Whitehouse:

Comprehensive National

Cybersecurity Initiative(2008)

ブッシュ政権が掲げたサイバーセキュリティに関 するイニシアチブ。研究開発に関しては、連邦政府 内の研究の調整・支援の強化や

5

年~10年のスパン で実現する画期的な(leap-ahead)技術への投資へ の方針を示した。

Whitehouse:

Cyberspace Policy Review(2009)

オバマ政権が『CNCI』を含めた前政権の連邦政府 のサイバーセキュリティ政策のレビューを行った。

基本的には『CNCI』の方針を維持するとした。

DHS:

Roadmap For

Cybersecurity Research(2009)

IRC

の『Hard Problem List』の改訂版。将来のサ イバーセキュリティにおける

11

の難題について詳 細な研究開発目標を示したもの。

82

名の専門家によ って執筆された。

NITRD:

Cybersecurity Game-Change Research & Development Recommendations(2009)

連邦政府における将来のサイバーセキュリティの 研究開発の方向性を示す

3

つの研究テーマを設定し た。(3.1.4. (2)参照)。

(10)

3.1.2. 情報セキュリティの研究開発の実施体制

米国における情報セキュリティ研究開発は、主に

3.1.3.

項で説明する

NITRD

のサイバ ーセキュリティ及び情報保証分野(CSIA:Cyber Security and Information Assurance)

に参加する組織によって行われる。

2011

年の予算資料(大統領予算教書補足資料)

6

上では、

DHS

が

NITRD

に参加していなかったため、米国の研究開発予算は

NITRD

に参加する組

織の予算と

DHS

等の予算に分かれていた。しかし、最新の

2012

年予算資料

7

では、2010

年から

DHS

が

NITRD

の参加組織として予算に組込まれる形で訂正されているため、

2010

年以降の米国の研究開発予算は、ほぼ

NITRD CSIA

の予算に近似するものと考えられる

(NITRDの予算の詳細については、3.2項を参照)。

3.1.3. NITRD の概要

NITRD

は

1980

年に発足した連邦政府の情報通信分野の研究開発を組織横断的に取りま

とめるプログラムである。

NITRD

には

7

つの研究分野(PCA:

Program Component Areas)

が設置されている。2006 年には情報セキュリティ分野の

PCA

として

CSIA

が設置され、

以後表 3-4 に示す連邦政府の組織が参加している。前項で説明したとおり、現在米国にお ける情報セキュリティ関連の研究開発予算はほぼ

NITRD CSIA

の予算に近似する。

CSIA

に は 参 加 組 織 の 有 識 者 か ら 構 成 さ れ る 組 織 横 断 型 作 業 部 会 (

CSIA IWG

:

Interagency Working Group on Cyber Security and Information Assurance)及び参加組

織の代表者から構成される上席管理グループ(CSIA SSG:Cyber Security Information

Assurance Research and Development Senior Steering Group)が設置されており、 CSIA

内のプログラムの調整や戦略の策定などの作業はこれらのグループを中心に行われる。

参考として、米国の研究開発実施体制における

NITRD

の位置づけを図 3-2に示す。

なお、NITRD に参加する組織の研究開発のスキームは、NSF や国防高等研究計画局

(DARPA:Defense Advanced Research Projects Agency)は、公募型のプロジェクトで 外部の研究開発を助成するのに対し、

NIST

や他の組織は内部の研究プロジェクトに予算を 充当するなど、各組織で異なる方式を用いている。参考として、主要な組織の研究開発の 方式を表 3-5に示す。

6

http://www.nitrd.gov/Pubs/2011supplement/FY11NITRDSupp-FINAL-Web.pdf

7

http://www.nitrd.gov/PUBS/2012supplement/FY12NITRDSupplement.pdf

(11)

表 3-4:NITRD CSIA への参加組織 NITRD

正規参加 組織

全米科学財団(NSF:National Science Foundation)

米国国立衛生研究所(NIH:National Institutes of Health)

国防長官府(OSD:Office of the Secretary of Defense)

国防総省(DoD:Department of Defense)関連の研究所

-AFRL:Air Force Research Laboratory

-ARL:Army Research Laboratory

-ARO:Army Research Office

-CERDEC:U.S. Army’s Communications-Electronics Research,

Development, and Engineering Center)

-ONR:Office of Naval Research

-国防高等研究計画局(DARPA:Defense Advanced Research Projects Agency)

エネルギー省(DoE:Department of Energy)

国立標準技術研究所(NIST:National Institute of Standards and Technology)

国家安全保障局(NSA:National Security Agency)

国土安全保障省(DHS:Department of Homeland Security)

国家航空宇宙局(NASA:National Aeronautics and Space Administration)※

※現在は参加していない。

その他の 参加組織

米国防衛通信局(DISA:Defense Information Systems Agency)

運輸省(

DoT

:

Department of Transportation

) 連邦航空局(FAA:Federal Aviation Administration)

連邦捜査局(

FBI

:

Federal Bureau of Investigation

)

諜報先端研究プロジェクト活動(IARPA:

Intelligence Advanced Research Projects Activity)

国務省(

State

:

Department of State

)

財務省(Treasury:Department of the Treasury)

0 管理・技術

サポート 代表

代表派遣 政策意思決定補佐 大統領

科学技術政策局 Office of Science and Technology

Policy (OSTP) ‘76設立 科学技術担当大統領補佐官

科学技術政策局 Office of Science and Technology

Policy (OSTP) ‘76設立 科学技術担当大統領補佐官 大統領科学技術諮問委員会

President’s Committee of Advisors on Science and Technology (PCAST) ’01設立

大統領IT諮問委員会 President’s Information

Technology Advisory Committee (PITAC) ’97設立

行政管理予算局 Office of Management

and Budget (OMB)

NITRD国家調整室 National Coordination Office

For NITRD (NCO/NITRD)

’92設立

DARPA NSF DOE NASA NIH OSD/DoD系研究所 NSA NIST

連邦議会 U.S. Congress

議会予算局 Congressional Budget

Office (CBO) 政府説明責任局 Government Accountabiliy

Office (GAO)

全米アカデミー連合 National Academy Complex

(NAC) 全米研究評議会 National Research Council

(NRC) 全米アカデミー連合 National Academy Complex

(NAC) 全米研究評議会 National Research Council

(NRC)

管理・技術 サポート

大統領行政府

省庁調整 予算教書作成 産業界

意見

IT業界 意見

国家目標の確立 科学技術提言 予算提案

補助金

連邦政府の情報技術研究 開発のコーディネーション

NITRDプログラムコンポーネント(PCA)及び 省庁間WG・調整グループ NITRD参加省庁

報告

技術委員会 Committee on Technology

国土&国家安全保障委員会 Committee on Homeland

And National Security

CSIA組織間WG (CSIA IWG) NITRD小委員会※2

NITRD subcommittee

基盤小委員会 Subcommittee on Infrastructure 国家科学技術会議

National Science and Technology Council (NSTC) ‘93設立

代表派遣

高性能エンド コンピューティング

HECI&A HECR&D

サイバー セキュリティ

&情報保証 CSIA

ヒューマン コンピュータ インタラクション

情報管理 HCI&IM

大規模 ネットワーキング

LSN

高信頼性 ソフトウェア

システム HCSS

ソフトウェア設計 生産性

SDP

社会・経済・

労働関連の 諸問題

SEW ハイエンド計算

省庁間WG (HEC IWG)

CSIA上席管理グループ (CSIA SSG)

DHS

出典:各種資料をもとに三菱総合研究所作成

(12)

図 3-2:米国の研究開発実施体制における NITRD の位置づけ表 3-5:主な組織の研究開発の 方式

組織 概要 研究開発のスキーム

DARPA 8

国防総省傘下の軍用目的の研究機

関。国防総省の研究機関は他にも

あるが、

DARPA

では特に将来のニ

ー ズ へ 対 応 す る た め 、 ハ イ リ ス ク・ハイリターンな基礎的、革新 的技術に対して研究を行う。その ため、過去には

GPS

やインターネ ットの開発も行ってきた。

内部に研究施設を持たず、研究費の助成に より研究を行う。研究テーマの調整はプロ ジェクトマネージャ(任期

4~6

年で大学・

企業に所属しながら活動する)によって行 われる。研究費助成の形態としては、大学 等へ対する一般公募、民間企業との調達契 約、また賞金(Prize)という形で優れた研 究を助成する仕組み等がある

9

。

NSF 10

科学工学分野での基礎研究・教育 の促進を目的とした機関。NIH が 担当する医療分野以外の幅広い分 野において研究助成を行う。

DARPA

同様に研究所を持たず、公募型プロ

ジェクトで大学等の外部研究費を助成す る。公募の形態としては、テーマやスケジ ュールを指定されずに公募する非特定型の 提案(Unsolicited Proposals)と

NSF

から 研究テーマとスケジュールが提示され公募 する特定型の提案(Solicited Proposals)が ある。すべての公募において、①知的メリ ットと②(科学技術や社会に対する)幅広 いインパクトが採択の基本的な基準とされ ている

11

。

NIST 12

米国の技術革新及び産業の競争力 強化を目的とした研究、計測・分 析、規格標準化活動を行う。標準 や製品保証などの応用を前提とし た取り組みが多い。

OMB

と連邦政 府の

IT

システムを管轄しており、

FISMA 13

の整備やその他セキュリ

ティ対策への投資を行う。

直下の研究所を複数所有し(中心的な拠点 はメリーランド州ゲティスバーグの本部と コロラド州ボルダーの研究所)、基本的には それらの研究所に所属する研究者によって 研究を行う。研究所の中には大学等によっ て共同運用されているものもある。また、

企業や海外からも研究者を幅広く受け入れ ている。

DHS 14 DHS

の 研 究 開 発 は 主 に 科 学 技

(S&T:Science and Technology

Directorate)で行われる。また、

情報セキュリティの研究開発に関 しては

Cyber Security Research and Development Center

(CSRDC)が設置されている。

プログラムディレクタ主導のもと、内部の 研究プロジェクトとして実施する。CSRDC の管理は

DHS

によってなされているが、運 営においては民間の

SRI International

の支 援を受けている。また重要インフラ事業者 とも密接に連携している。

8

http://www.darpa.mil/

9

http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/1018/1018-02.pdf

10

http://www.nsf.gov/

11

http://www.zam.go.jp/pdf/00000321.pdf

12

http://www.nist.gov/index.html

13 連邦情報セキュリティマネジメント法:

Federal Information Security Management Act

連邦政府機関に情報セキュリティを強化することを義務付けた法律。NISTにはそのための規格やガイ ドラインの作成を義務付けている。

14

http://www.cyber.st.dhs.gov/

(13)

3.1.4. NITRD による情報セキュリティ戦略

NITRD CSIA

は連邦政府が行う情報セキュリティ関連の研究開発の戦略策定も行う。以

下に

NITRD

が作成した主な戦略を紹介する。

(1) Federal Plan For Cybersecurity and Information Assurance Research and Development

2006

年に連邦政府のサイバーセキュリティ及び情報保証の研究開発計画として、

『

Federal Plan For Cybersecurity and Information Assurance Research and

Development』 15

が策定された。戦略策定作業は

CSIA IWG

のメンバを中心に行われ、

NITRD CSIA

に参加する組織の研究開発の状況を取りまとめた上で、連邦政府全体の研究

開発における技術的な優先分野と予算的に優遇されている分野を明示した。同戦略の策定 手順を以下に示す。

a)

サイバーセキュリティと情報保証の研究開発のカテゴリと技術分野の整理

CSIA IWG

内の検討により、サイバーセキュリティと情報保証の研究開発のカテゴリ及

び各カテゴリにおける技術分野を整理した。ただし、ここで整理された技術分野は技術の 内容から厳密に定義されたものではなく、参加組織の研究開発状況を分析しやすいように 分類されたものである。

b)

技術的に優先すべき分野を特定

参加組織の担当者が、技術的に優先すべき分野を選定し、CSIA IWGが取りまとめを行 った。参加組織の担当者が技術的に優先すべき分野を選定する基準は、CSIA IWG により 以下のように定められた。

・ 各技術分野における現状と求められるレベルのギャップ

・ 技術分野の重要性

・ 組織のミッションと技術の関連性

・ 連邦政府内の広範囲に亘るニーズ、要件及びリスク(現在又は今後予想される脅威 とリスクのレベル)

・ ポリシや法規制など上位レベルの要件との整合性

・ 民間の研究開発の状況(既に民間が取り組んでいる分野には優先度を下げる)

c)

予算的に優遇されている分野を特定

15

http://www.nitrd.gov/pubs/csia/csia_federal_plan.pdf

(14)

参加組織の予算資料等をもとに、予算的に優遇されている技術分野を特定し、b)の技術 的に優先すべき分野とともに、表 3-6に示すように取りまとめた。

なお、それぞれの重点分野の概要、重要性、現状と課題、問題とその解決策及び具体的 な研究テーマについては付録Ⅰにその詳細を示す。

ここで注意すべきは、これらの作業は技術的に優先すべき分野と予算的に優遇されてい る分野が一致していることが望ましく、ギャップがある分野を強化するという意図ではな いという点である。そもそも予算の計画は実際に執行年の

2

年前から開始され、新しい脅 威や技術には対応しきれていない可能性も考えられる。また、これらはあくまでも各参加 組織が重要と考える分野を集約したものであり、組織間で重視する分野に差があることは 十分に予想される。重要なのは、各参加組織がこの文書を通じて連邦政府全体の研究開発 の現状を理解し、それぞれの優先分野の選定や戦略的判断をするための指標とすることで ある。同戦略は参加組織の研究開発に対して強制力を持つものではないが、同戦略策定後 に取りまとめられた

2008

年の

NITRD CSIA

の予算資料

16

には、重点分野等に同戦略の内 容が反映されており、連邦政府全体の戦略として実行性を持っているといえる。

表 3-6:技術分野の整理

1.

機能的サイバーセキュリティと情報保証 技術優先 予算優遇

1.1

認証、承認、信頼管理 ✔ ✔

1.2

アクセス制御、特権管理 ✔ ✔

1.3

攻撃からの保護、攻撃の予防・先制的対策 ✔ ✔

1.4

大規模サイバー状況認識 ✔

1.5

自動攻撃検出・警告・応答 ✔

1.6

内部の脅威検知・緩和

1.7

秘匿情報及び情報の流れの検知

1.8

復旧及び再構成

1.9

フォレンジック、トレースバック及びアトリビューション

2.

インフラのセキュリティ確保 技術優先 予算優遇

2.1

セキュア

DNS

2.2

セキュアルーティングプロトコル

2.3 IPv6、IPsec

及びその他インターネットプロトコル

2.4

セキュアなプロセス制御システム ✔

3.領域特化型セキュリティ

技術優先 予算優遇

3.1

ワイヤレス・セキュリティ ✔ ✔

3.2

セキュア

RFID

3.3

集中型ネットワークと異種トラフィックのセキュリティ ✔

3.4

次世代優先サービス

16

http://www.nitrd.gov/pubs/2008supplement/index.aspx

(15)

4.

サイバーセキュリティと情報保証の特性解析と評価 技術優先 予算優遇

4.1

ソフトウェア品質評価と欠陥特性解析 ✔

4.2

脆弱性と悪質コードの探知 ✔

4.3

標準

4.4

メトリクス

4.5

ソフトウェア試験と評価ツール ✔ ✔

4.6

リスクベースの意思決定

4.7

重要インフラの相互依存及び独立性

5.

サイバーセキュリティと情報保証基盤 技術優先 予算優遇

5.1

ハードウェア及びファームウェアのセキュリティ

5.2

セキュア

OS

5.3

セキュリティセントリックなプログラム言語

5.4

セキュリティ技術及びポリシマネジメントとポリシ記述言語

5.5

情報源の特定

5.6

情報の完全性

5.7

暗号技術 ✔

5.8

マルチレベルセキュリティ

5.9

セキュアソフトウェアエンジニアリング ✔

5.10

耐障害性、対故障性システム

5.11

企業全体の統合セキュリティモニタリング及びマネジメント

5.12 IT

システムエンジニアリングのライフサイクルの分析テクニ

ック

✔

6.サイバーセキュリティと情報保証 R&D

実現技術 技術優先 予算優遇

6.1

サイバーセキュリティと情報保証

R&D

テストベッド ✔

6.2 IT

システムのモデリング、シミュレーション及び可視化 ✔

6.3

インターネットモデリング、シミュレーション及び可視化

6.4

ネットワークマッピング

6.5

敵対行動予測

7.高度及び次世代システムとアーキテクチャ

技術優先 予算優遇

7.1

トラステッドコンピューティング基盤のアーキテクチャ ✔

7.2

本質的にセキュア、高保証、証明可能なセキュアシステムとア

ーキテクチャ

✔

7.3

構成可能、スケーラブルなセキュアシステム ✔

7.4

自律システム ✔

7.5

次世代インターネットインフラのアーキテクチャ ✔

7.6

量子暗号

8.サイバーセキュリティと情報保証の社会的側面

技術優先 予算優遇

8.1

インターネットの信頼性

8.2

プライバシー ✔

(16)

(2) Cybersecurity Game-Change Research & Development Recommendations

ブッシュ政権における『CNCI』及びオバマ大統領による『Cyberspace Policy Review』

で は 、 連 邦 政 府 に 対 し サ イ バ ー 空 間 に お け る 信 頼 性 を 向 上 さ せ る た め 、 画 期 的 な

(leap-ahead)な技術や環境変化に対応する(game-changing)技術の研究開発のフレー ムワークを示すことを求めた。これらの方針を受ける形で、 2009年

8

月

15

日~17 日の 間 、NITRD 及 び ホ ワ イ ト ハ ウ スの 科 学 技 術計 画 局 (

OSTP: Office of Science and Technology Policy)の主導で National Cyber Leap Year Summit 17

という会議が開催され た。同会議では、企業及び研究機関の研究者がサイバーセキュリティの戦略に関して議論 を行い、環境変化に対応する(game-changing)5つのコンセプト

18

が示された。

2010

年

5

月には

NITRD CSIA IWG

が上記の会議の結果を基に検討を行い、連邦政府の

情報セキュリティに関する

3

つの研究テーマを示し、『Cybersecurity Game-Change

Research & Development Recommendations』 19

として公表した。以下に同文書の概要を 示す。

a)

仮説

テーマを設定するにあたり、現状のサイバースペースにおける攻撃側と防御側の現状に ついて以下の仮説が置かれた。

・

Attack

(攻撃)のコストは攻撃者にとって圧倒的に有利である

・ すべてのセキュリティ要件を同時に満たすような理想的なシステムの構築は、コス トがかかり過ぎるため事実上不可能である。

・ セキュリティに関する有効な指標や経済的に妥当な意思決定の欠如のため、適切な 資源配分が妨げられている。

b)

テーマ

上記の仮説をもとに研究開発のテーマとして以下の

3

項目が設定された。

・

Moving Target:動的に「変化」することで攻撃の困難さやコストを増加させ、攻

撃に晒されても悪影響を受けにくいシステムの実現

・

Tailored Trustworthy Spaces

:ユーザの状況に応じた適切なセキュリティ要件が 実現される信頼性の高い環境の実現

17

http://www.nitrd.gov/NCLYSummit.aspx

18

5

つのテーマは

Digital Provenance, Moving-target Defense, Hardware-enabled Trust, Health-inspired Network Defense, Cyber Economics

である。

19

http://www.nitrd.gov/pubs/CSIA_IWG_%20Cybersecurity_%20GameChange_RD_%20Recommendatio

ns_20100513.pdf

(17)

・

Cyber Economic Incentives:サイバーセキュリティへの適切な投資判断を可能に

する、科学的な指標等の提供

ただし、これらのテーマはあくまでも初案として位置づけられており、今後も検討を継 続していくため、変更・追加される可能性もあるとされている。NITRD CSIAの担当者が 行ったプレゼンテーションでは、将来の潜在的テーマとして、「セキュリティの作り込み(セ キュリティエンジニアリング等)」、「セキュリティ状況のモニタリング(状況認識等)」、「自 動コンフィグレーション(セルフヒーリング等)」、「モビリティ」、「ボーダレスセキュリテ ィ」も候補として挙げられている

20

。

また、現在

NITRD

ではこれらのテーマをもとに新たな連邦政府のサイバーセキュリテ ィの研究開発戦略が策定されており、2011年春以降に公開される予定になっている((3)

参照)。

c)

補足情報

上記のテーマの具体的な方向性を示すため、各テーマに対してビジョン、そのテーマが 環境変化に対応している(game-changing)理由、目標(Goal)、課題(Challenge)、マイ ルストン、主要技術、非技術面での障壁等の補足情報が示されている。

(3) Federal Cybersecurity Research Program Strategic Plan

2012

年の

NITRD

の大統領予算教書補足資料

21

によると、現在(2)で提案された

3

つのテ

ーマをもとに、CSIA IWG及び

CSIA SSG

において、連邦政府のサイバーセキュリティの 研究開発に関する新たな戦略の検討が進められており、2011 年春以降に公表される予定と なっている。

2008

年の『CNCI』及び

2009

年の『Cyberspace Policy Review』の内容を反 映した具体的な戦略として、その動向が注目される。なお、新たな戦略は、以下の

4

つの 軸で構成される予定である。

・ 研究テーマ

・ 科学的基盤

・ 研究分野の融合

・ 実用への移行

3.1.5. NITRD の研究開発状況

NITRD CSIA

の研究開発予算の推移を図 3-3に示す。参加組織ごとに増減はあるものの、

20

Federal Cyber Security Research Program

http://www.nitrd.gov/fileupload/files/NITRDACSAC2010.pdf

21

7

と同じ

(18)

全体予算としては年々着実に増加している。2010年予算は

4.07

億ドル、2011年予算(推 定)は

4.06

億ドルと

2007

年の

2.13

億ドルの

2

倍近い規模となっている。なお、2012年 の

NITRD

の予算資料

22

において、2010年予算から

DHS

及び

DoE

の予算も

NITRD

の予 算として組み入れられたため、この時点で予算が大きく増加している。

2010

年には、『CNCI』の方針に従って開始されたサイバー空間の大規模実験環境である

National Cyber Range(NCR) 23

構築への初期投資の影響で、DARPA他、DoD傘下の研 究所の予算が増加している。また、

2012

年の予算資料では、

2010

年の確定予算に比べ要求 段階ではあるが、NSFで

0.22

億ドル、DARPAで

0.77

億ドル、NISTで

0.25

億ドル程度 予算が増額されており、その影響で

NITRD

全体の予算も大きく増加されている。各組織の 増額分に関しては、NSF では、CSIA の新しいセキュリティテーマに関する研究、サイバ ーセキュリティプロトタイプの実装やテスト等、

DARPA

では、情報保証関連、セキュアシ ステムの新たなデザイン、内部脅威の研究等、NISTでは、新たなサイバーセキュリティイ ニシアチブに関する活動に割り当てられるとされている。

93.4 124.4 125.4 144.7 119.1

222.4 67.6

68.1 63.3 72.7

71.4

94.7

38.6 71.1

89.5

85.6

72.3

36.9

29

30

29.2 29.6

29.6

54.7

23.9

15.5 15.8

20.8 10.5

23.4

3.5(DoE) 33.5

0.3(NASA)

0.3(NASA)

33.5

38 37

41 0.1(NIH)

1.1(NIH)

0.1(NIH) 0.1(NIH)

1.2(NIH)

0 100 200 300 400 500 600

2007年 2008年 2009年 2010年 2011年(推定) 2012年(要求額)

DARPA NSF

OSD/DoD研究所 NSA

NIST DoE

DHS NASA

NIH

(百万ドル)

出典:

NITRD

大統領予算教書補足資料をもとに三菱総合研究所作成

図 3-3:NITRD CSIA の予算推移

図

3-4

に

NITRD CSIA

の予算における重点分野を示す。

2008

年の重点分野は

3.1.4.

項 で紹介した『

Federal Plan For Cybersecurity and Information Assurance Research and

Development

』を反映したものとなっている。なお、重点分野及び技術は新しい脅威や技

術動向に応じて年々変化しており、

2011

年の予算ではクラウドやスマートグリッドなどの 新たな技術に対応する研究テーマも追加されている。

22

7

と同じ

23『

CNCI

』の方針に基づいて計画されたサイバー空間の技術に対する研究開発のための大規模実験環境。

様々なテストベッドから構成されており、ホストセキュリティから、ネットワーク、Global Information

Grid (GIG)

、各種通信技術まであらゆるサイバー空間の実験環境を提供する。

http://www.whitehouse.gov/files/documents/cyber/DARPA%20-%20NationalCyberRange_FactSheet.pd

f

図

表  3-2:『Cyberspace Policy Review』のアクションプラン(太字は研究開発に係わる項目)
表  3-3:情報セキュリティに関する主な戦略文書の概要  戦略文書等  概要  DHS:  National Strategy    To Secure Cyberspace(2003)  サイバー空間の情報セキュリティに関する最初の戦略文書。“サイバー攻撃”への対策を中心とした 内容となっており、サイバー空間の安全確保におけ る 5 つの課題を示した。  CRA(Computing Research  Association):  Grand Challenges In  Trustworthy Com
表  3-4:NITRD CSIA への参加組織  NITRD
表  3-8:FP7  の研究領域  協力  (Cooperation):  10 の研究分野(保健、食料・農業・漁業・バイオテクノロジー、情報通信技術、ナノ科学及びナノテクノロジー・材 料及び新生産技術、エネルギー(原子力を除く)、環境(気 候変動を含む)、運輸(航空を含む)、社会経済科学及び人 文科学、宇宙、安全)における研究への助成を行う(分野 間・学際研究なども含む)。  基 盤 整 備 ・ 競 争 力 強 化 (Capacity):  知識経済の実現を目指し、欧州の研究能力及び知識基盤の整備を支援
+4

参照

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