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実数の全体の完備性

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Academic year: 2021

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(1)

「 ほとんどすべて」は   

《 ほとんどすべて》か?

渕野 昌

神戸大学大学院 システム情報学研究科

数理の翼 大川セミナー

於 大川

!

(2)

実数の全体の完備性

「ほとんどすべて」?

Ê

で実数

数直線の上の点に 対応するような数

の全体の集まり

集合

をあらわす.

Ê

は,区間

としてあらわされることもある.

Ê

は物理的な

直線

の理想化のようなものだが,物理的な直線 そのものではない !

Ê

の基本性質の一つとして,通常,次の性質を仮定する.

Æ

で 自然数

の全体の集合をあらわす.

Æ ! "

である.

Ê

の完備性

単調有界列の収束

# Æ

を実数の上昇列として,ある実数

Ê

に対し,

がすべての

Æ

に対し成り立つ

つまり,数列

#

Æ

は上に有界

なら,この数列は極限

を持つ

まり,

となるような実数

Ê

が存在する

(3)

実数の全体の完備性

「ほとんどすべて」?

Êの完備性

単調有界列の収束

# Æ を実数の上昇列として,ある実数 Ê に対し,

がすべての Æ に対し成り立つつまり,数列 #

Æ は上に有界なら,この数列は極限 を持つつ まり, となるような実数Êが存在する

É

で 有理数

#

分数

$

としてあらわせ る数

の全体からなる集合をあらわす.

Æ É Ê

である.

É

Ê

の中に

ぎっしりと

つまっている

%É

Ê

で 稠密

ちゅ うみつ,

である.つまり,すべての 区間

に対し,

É

の共通部分

É

は空

くう

でない.しかし

&&&

演習

É

は上の意味での

完備

ではない.

(4)

実数の全体の完備性

「ほとんどすべて」?

Êの完備性

単調有界列の収束

# Æ を実数の上昇列として,ある実数 Ê に対し,

がすべての Æ に対し成り立つつまり,数列 #

Æ は上に有界なら,この数列は極限 を持つつ まり, となるような実数Êが存在する

定理

#Æ

を閉区間の包含関係に関する下降列

¼ ½

¾

とする.このとき,

である

つまり

は少なくとも一つは要素を持つ

証明. 各

Æ

に対し,

' (

とする.このとき,

#

Æ

は実数の上昇列で,

¼

がすべての

Æ

に対し成り 立つ.したがって,

Ê

の完備性から,

が存在する が,

である.

演習

定理

!

の主張は,開区間の列に対しては必ずしも成り立

たない.

(5)

カントルの定理

「ほとんどすべて」?

定理 #Æ を閉区間の包含関係に関する下降列¼

½

¾

とする.このとき,

であるつまり

は少なくとも一つは要素を持つ

集合

が 可算 であるとは,

は空集合であるか,ま たは,

の要素を

#Æ

とならべあげることができる

つま り,

% Æ

とあらわせる

こととする.

定理

Ê

が可算なとき,任意の区間

に対 し,

の要素で

に属さないようなものが存在する.

証明.

が空集合なら主張は明らかである.

% Æ

とする.閉区間の下降列

# Æ

を次が成り立つように作る

%

¼

#

·½

&

定理

!

から,

¼

がとれるが,

はどの

#

Æ

とも異なる.

上級者のための

演習

上の定理

)

の証明は選択公理を用い

ず行なうことができる.

(6)

カントルの定理

「ほとんどすべて」?

定理

Ê

が可算なとき,任意の区間

に対 し,

の要素で

に属さないようなものが存在する.

すべての区間は可算でない.

可算でない集合は 非可算

または不可算, であると いう.

この用語を用いて系

*

を言い換えると

%

すべての区間は非可算で ある.特に

Ê

は非可算である.

補題

É

は可算である.

証明のスケッチ

演習

加藤先生の講義で出てきた

É

は可算である.

(7)

実数の可算集合

「ほとんどすべて」?

'Ê(

¼

Ê %

は可算

は以下の性質を満たす

%

Ê 'Ê(

定理

)+ É É 'Ê(

補題

,#

演習

,&

すべての

Ê

に対し,

'Ê(+

'Ê(

なら

'Ê(+

# 'Ê(

なら

'Ê(+

'Ê(

# Æ

なら,

'Ê(

+

上の

が言えるためには選択公理

の弱いヴァージョン

%

可算選択公理

が必要.

Ê

の可算な部分集合は,

無視していいくらい小さい

Ê

の部分 集合であると考えることができる.

Ê

無視していいくらい小さい

部分集合」を,可算な部分 集合のことだと解釈したときには,補集合が可算集合であるよう な

Ê

の部分集合

Ê

の 補可算集合

-

ほと んどすべての実数を含む集合

だと考えてよい.

可算性を拡張する

Ê

の無視していいくらい小さい部分集合

概念が幾つか知られている.以下でこれについて話す.

(8)

痩集合

「ほとんどすべて」?

注意. ここでは,区間と言ったときには,

!

つの異なる端点を持 つ区間のこと.

#' (

は区間とは考えていない.

Ê

全疎

.

であるとは,任意の区間

に 対し,

と共通部分を持たないようなものが存在するこ とである.

%

一点集合,カントル集合

Ê

痩,昔は第一類

/ 0

と言った

で あるとは,

1

Ê# Æ

で,

と なるものがとれること.

0

Ê

1

とは限らないし,

Ê

の中で稠 密であることすらあり得る.

%É Ê

定理

!"#

カテゴリー定理

Ê

0

なとき,

任意の区間

に対し,

の要素で

に属さないようなものが存 在する.

証明. カントルの定理

定理

)

と同様に示せる 演習

$

(9)

痩集合

「ほとんどすべて」?

Ê %

0

は以下の性質を満たす

%

Ê

定理

2+

すべての

Ê

に対し,

+

なら

+

#

なら

+

なら,

+

で非可算なものが存在する

%

カントル集合

# #

から,

'Ê(

が成り立つ.

Ê

0

な部分集合は,

無視していいくらい小さい

Ê

の部 分集合であると考えることができる.

Ê

無視していいくらい小さい

部分集合」を,

0

/ 0

部分集合のことだと解釈したときには,補集合

0

であるような

Ê

の部分集合

Ê

%

な部分集

は,カテゴリーの意味で

ほとんどすべての実数

を含む集

合 だと考えてよい.

(10)

零集合

「ほとんどすべて」?

区間

Ê

に対し,

の端点を

#Ê

とするとき,

の 長さ を

で定める.

Ê

が 零集合

あるいは,測度

の集合

であるとは,すべての

に対し,区間の列

#

Æ

で,

かつ,

となるものが存在す

ることをいう.

(11)

零集合

「ほとんどすべて」?

Ê

が 零集合

あるいは,測度

の集合

であるとは,すべての

に対し,区間の列

#

Æ

で,

かつ,

となるものが存在す ることをいう.

補題

Ê

として,

も零集合である.

!

# Æ

が零集合のとき,

は零集合である.

"

すべての可算集合

Ê

は零集合である.

証明.

%

として,

Æ

に対し,

! ¿

3! ¿

とすれば,

で,

! ¾

½

¾

である.

!%

として,

Æ

に対し,区間

#Æ

を,

かつ

! ¾

となるようにとれば,

で,

! ¾

½

¾ &

"%

!

から明らか.

(12)

零集合

「ほとんどすべて」?

定理

&!

任意の区間

Ê

に対し,区間

# Æ

を覆う

つまり,

4

が成り立つ

なら,

である.

すべての区間は零集合ではない.

定理

の証明.

が閉区間

たとえば

' (

で,各

#

Æ

は開区間の場合に定理を示す.一般の場合は,この場合の 結果を用いて証明できる 演習

Æ

#

を以下のように構成する

%

¼

¼

を,

となるような最初の

つまり添字

が最小の

ものとする.

4

によりこのようなものは存在する.

¼

なら,

として構成を終える.

¼

なら,

½ ½

¼

とな るようなもののうちの最初のものとする.

½

なら

!

と して構成を終える.

½

なら,

&&&

(13)

零集合

「ほとんどすべて」?

証明の続き.

この構成は有限回

の後停止する

%

もしそうでなければ,

# Æ

は増加列で

で押えられているから,

Ê

の完備性から,

極限

を持つ.

Æ

となるよう なものとすると,ある

Æ

をとると,すべての

に対し,

となるから,

·½

·½

より小さい添字

を持つ

とならなくてはならないが,そのようなものは有限個しかない ので矛盾である.

ここで,

だから,

となり,得たい不等式が示せた.

(14)

零集合

「ほとんどすべて」?

以上から,

Ê %

は零集合

は以下の性質を満たすこ とがわかる

%

Ê

!+

すべての

Ê

に対し,

補題

# +

なら

+

#

なら

+

なら,

補題

# !+

で非可算なものが存在する

%

カントル集合

# #

から,

'Ê(

が成り立つ.

Ê

の零集合は,

無視していいくらい小さい

Ê

の部分集合であ ると考えることができる.

Ê

無視していいくらい小さい

部分集合」を,零集合のこ

とだと解釈したときには,補集合が零集合であるような

Ê

の部分

集合

Ê

%'

な部分集合

は,測度の意味で

ほとんどすべ

ての実数

を含む集合 だと考えてよい.

(15)

Ê

小さな

部分集合の概念たち

「ほとんどすべて」?

Ê

(16)

Ê

小さな

部分集合の概念たち

「ほとんどすべて」?

°

Ê

   例

カントル集合

(17)

「ほとんどすべて」と《ほとんどすべて》

「ほとんどすべて」?

定理

Ê

の分割

Ê

で,

は零集合で,

0

となっているようなものが存在する.特に,

はカテゴリーの 意味でほとんどすべての実数を含んでいるが,

は測度の意味 でほとんどすべての実数を含んでいる.

証明.

É % Æ

とする.

#Æ

に対し,

!

´· µ

3!

´· µ

とする.

!

´· µ·½

だから,

!

´·¾µ

である.

したがって,

Æ

として

とすると,

は零集合である.

一方,各

Æ

に対し,

Ê

1

だから,

ÊÊ

0

である.

よって,これらの

#

は求めるようなものとなっている.

(18)

Ê

小さな

部分集合の概念たち

「ほとんどすべて」?

±

°

°

Ê

   定理

(19)

参考文献

「ほとんどすべて」?

(20)
(21)
(22)
(23)
(24)

É

は可算である.

有理数の全体

É

は可算である

%

(無限)平面に座標を入れて

5

軸より上にある,各格子点

上に分数

を置く.

格子点を蛇行しながら辿って,格 子点に乗った分数を

番目

#

番目

#!

番目

#

… と数え上げてゆく.

ただし,前にすでに出てきた数はとばす.

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参照

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