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条約の締結に対する民主的統制

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条約の締結に対する民主的統制

著者 松田 竹男

雑誌名 靜岡大学法経研究

巻 38

号 1‑2

ページ 169‑191

発行年 1989‑10‑20

出版者 静岡大学法経学会

URL http://doi.org/10.14945/00008635

(2)

条 約 の 締 結 に 対 す る 民 主 的 統 制

松 田 竹 男

一  はじ め に 一一  政府 解見 と そ 論の 理 一  国会 の承 認 を 必要 と なし い条 約 1  す でに 国会 承の 認を 経 条た 約 の範 囲 内 で実 施 し うる 国際 約束 2  国 内法 あ る いは 国会

の議 会 を経 た 算予 範の 囲内 で実 施 うし る国 際 約 束 四  外 交 に関 す 情る 報 の公 開 む︱ すび に代 え て 一 

は じ め に                                                              

´ 現代

国家 にお いて

は︑

複雑

多・ 様化 した 行政 国が 民生 活 のす みず まみ で介

入し

し︑ たが

てっ 行︑ 政が 公正 か

つ民

主的 に 行わ れる

か否

かが 国︑ 民 の福 利と 人権

の保 障 にと

てっ 決定 的な 重要 を性 も てっ いる そ︒ でこ 政︑ 治学 行や 政法 学

では

行︑ 政 の民 主的 統制 が重 要な 課題 さと

れ︑

情報 公開 や市 民参

加︑

オ ブン ズ

マン

制度

導の 入な

ど︑

その ため の制 度や 方法 さが ま

(3)

ざまに議論さ

︲ れき条約のく行政府の職務とされ同ように複雑・多様たところが外交関係の処理や締結は等しじて︑︑︑︒ 化し︑国民生活に密接な関係を持つようになっているにもかかわらず︑国会や国民による民主的統制がほとんど働いてい ないように思われる︒たとえば︑ここ数年︑科学技術の分野での日米協力が急速にすすめられているが︑それらはすべて 行政府かぎりの手続で実施されており︑国会にはまったく諮られてぃないのであなに まず︑ 一九八三年一月一四日︑武器輸出三原則の例外として︑アメリカに対して武器技術を供与することが閣議決定さ れ︑訃年一一月八日に日米間で交換公文が交されゎ∝ 一九八五年一二月二七日にはその実施のための細目取極が合意され︑ 以後今日までに︑﹁携行SAM関連技術﹂など三件の技術が供与されているが︑この間一度も国会に諮られてはいない︒ ァメリカに対する武器技術の供与は︑日米相互防衛援助協定

︵M DA協定︶の枠組みの下で実施され︑武器輸出三原則は﹁外国為替及び外国貿易管理法﹂に基づく輸出貿易管理令の運用基準であるから︑国会の承認は必要ないというのがその 理由であった︒しかし︑武器輸出三原則の遵守は国会でも決議︵一九八一年二月 ︲二日衆議院︑同年二月二一日参議院︶さ れており︑政府の一存で﹁武器輸出三原則によらないこととする﹂と決定できるのかどう加︶問題であると言えよう︒ 同じことは︑SDI︵戦略防衛構想︶研究参加協定についても当てはまる︒政府は︑アメリカからの招請に応じてヽ 一 九八六年九月九日︑日本もSDI研究に参加することを決定し︑翌一九八七年七月二一日に﹁戦略防衛構想における研究 に対する日本国の参加に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協起﹂を締結した︒しかし︑この協定も︑日本 のSDI研究参加は﹁現行の国内法及び日米間の取極の枠組みの中で処理﹂されるとの理由で︑国会の承認は求められず︑ その実施のための取極は公表さえされなかったのである︒しかし︑衆議院ではすでに一九六九年五月九日︑宇宙の開発・ 利用は平和の目的に限って行うとの決議が採択されており︑日本のSDI研究参加がこの決議に反しないか否かは︑国会にとっても重大な関心事項であったはずである︒

(4)

一九 八八 年 四月 一二 日に

は︑

これ ら の 日米

︵軍事

︶技 術協 力 とに も な てっ 必 要と な る秘 密 保護 のた め

に︑

秘 密特 許 制度 が実 施 移に され

た︒

M DA 協 定 に基 づ い て メア カリ か 提ら 供 され る技 術 上 の知 識が

︑ メア カリ で秘 密 に保 持 され て いる 特 許出 願 の対 象 た 発る 明 あを わら す も の あで とる き には

︑ そ の特 許出 願 に相 当 す る 日本 でさ れた 特 許出 願 も 類 似 の取 扱を 受 ける べき こと

は︑

す で に 一九 五六 年 に締 結 され た 衛﹁防 目的 のた め にす る特 許権 及び 技術 上 知の 識 の交 流 容を 易 すに たる め 日の 本 国 政府 と メア カリ 合衆 国政 府 と 間の 協の 定 第﹂ 条二 合で 意 され てい たが

︑ こ の規 定

は︑

そ の実 施 手 続 が未 成 立 で あ たっ ため これ ま で実 施 され な いで き

た︒

それ が 一︑  九 八八 年 月二 二 一日

に︑

M DA 協定 に基 づ い て設 立 され た技 術 財産 委 員会 で実 施 のた め の手 細続 目が 合 意 され

︑ 月四

一二

日︑

日米 両 国政 府が それ を受 諾 する と いう 形

で︑

即 日実 施 移に され た ので あ

る︒

こ の手 続 細目

は︑

す で 国に 会 の承 認を 得 条た 約 の実 施 手続 であ とる いう 理由 で国 会 には 諮 ら れ な か たっ し

︑ 特許 法 第 二六 条 には

﹁特 許 に関 し て条 約 に別 段 の定 めが あ ると き

は︑

そ の規 定 によ る﹂ と条 約 の優 先 が 明 記 され て いる と 理の 由

で︑

特 許法 の改 正手 続 も と られ な か たっ

︒ この 間 国︑ 会 若で 干 の質 問 行は われ たが 政︑ 府

は︑

交 渉中 と 理の 由 でほ と んど 具 体的 答に 弁 は なし らか た の あで る一

この

いう

由理

で︑ 一

九八八年六月二〇日に締結された新しい日米科学技術協力傷超も︑新たな立法措置や予算措置を伴わないと 国会の承認は求められなかったし︑自衛隊の次期支援戦闘機︵FSX︶の日米共同開発を定めた一九八八年 一一月二九日の交換公対も︑国会には諮られなかった︒FSXの共同開発に関しては︑この交換公文のほかに︑了解覚書︑ 付属 書 簡 合︑ 意 議事 録

︑ イラ セ ン ス技 術 援助 協定 一︑  九 八九 年 月一

に︑

菱三 重 工業 と ゼネ ラ ル

・ダ イ ナ ミ クッ ス社 間 合の 意達 成 後 交 され た付 属 書簡 一︑  九 八九 年 月四 二八 日 交に され た交 換 書簡 二 つと

︲口

頭確 認文 書な

ど︑

合 計九 つの 文書 が存 在 す ると 言 われ て いる が

︑ この うち 公表 され て いる のは 交換 公文 そ のも のと 一︑  九 八九 年 月四 二八 日に 交 さ れ た交 換 書簡 と 頭口 確 認文 書 の四 つだ け であ

る︒

(5)

法経 究研 三八 巻 一・ 二号

︵一 九八 九年  ︶                                            一七 二 以上

のよ う な 日米 間 の科 学技 術 協 力 は

︑ それ 参に 加す る企 業 や 労働 者 研︑ 究 者 の権 利 利や 益 大に き な影 響を 与 え るだ け でな く

︑ 日本 の科 学技 術開 発 に つ一 の枠 組 みを 与 える も の でも あ

る︒

にも か かわ らず そ︑ れ ら すは べて 行 政府 の 一存 です す め ら れ 国︑ 会 には ま たっ く諮 れら て こな か たっ ので あ るが

︑ こ のよ うな 事態

が︑

果 し て日 本 国憲 法 の定 め る議 会制 民主 主義と治致するものと言えるであろうか︒たしかに︑ 一つ一つの協定や交換公文については︑国会の承認を必要としない理由がそれなりに付されてはいる︒しかし︑その累積効果として︑日本の科学技術政策や日米科学技術協力の枠組形成に国会がまったく関与できないという現実にてらしてみれば︑そのような理由付けの妥当性を再検討してみる必要がありそうである︒本稿は︑このような問題意識から︑国会の承認が必要な条約の範囲を中心として︑条約の締結に対する民主的統制の理論と実行を検討しようとするものである︒

二 政府見解とその論理

すこと﹂を掲げただしよ﹁条約を締結る係処理すること﹂おび務とて﹁外交関を七三条内閣の事し︑︑一日本国憲法第は︑ 条約の締結にさいしては﹁事前に︑時宜によっては事後に︑国会の承認を経ることを必要とする﹂と定めている︒ここに言う条約が︑条約︑協定︑議定書などの名称にかかわりなく︑国家間の合意という実質的な意味での条約であること︑しかし︑国家間の合意という実質的な意味での条約すべてについて国会の承認が必要であるわけではないこと︑の二点についてはほとんど異論はない︒問題は︑どのような条約について国会の承認が必要であり︑あるいは必要でないか︑というにとでぁって︑この点に関して政府は︑ 一九七四年二月二〇日に︑次のような見鮨を出してい範

(6)

の ︲

(7)

一九

・れ

一見して明らかなように︑この政府見解は︑国会の承認を必要とする条約の範囲を極めて限定的に解しているのが特徴 である︒すなわち︑そこでは︑条約は基本的に内閣のみで締結できるものと想定され︑ただ︑法律事項や財政事項など︑ 国会の権限に抵触する可能性がある場合に限って︑国会の承認が必要であると考えられているのである︒たしかに︑第二 のカテゴリーでは︑﹁わが国と相手国との間あるいは国家間一般の基本的な関係を法的に規定するという意味において政 治的に重要な国際約束﹂があげられているが︑そこでは︑続けて﹁それゆえに︑発効のために批准が要件とされているも のLとつけ加えられており︑それが政治的重要性という内容的基準なのか︑批准条項の有無という手続的基準なのか明ら かではない︒もし後者だとすれば︑条約に批准条項を置くかどうかはそれ自身交渉によって決まることであるから︑とり

(8)

わけ二国間条約の場合など︑この第二のカテゴリーに当てはまって国会の承認が必要かどうかは︑政府の胸先三寸で決まっ てしまうわけである︒ ところで︑国会承認条約の範囲を極めて限定的に解するこの政府見解は︑次のような二つの論理に依拠しているように 思われる︒第一は︑憲法第七三条によって条約の締結権は内閣に与えられており︑国会の承認を必要とする特別の理由が ないかぎりは︑内閣だけで条約を締結できると考えられていることである︒その結果︑国会の承認を必要としない場合が 特定されるのではなく︑逆に︑国会の承認を必要とする特別の理由の方が特定されることになるわけである︒ちなみに国 会の条約修正権についても︑政府は︑国会が条約を修正したり条件付承認とするのは内閣の条約締結権を侵害することに なるので︑国会には付託された条約を承認するか不承認とするかの選択しか許されていないと主張している︒ 第二の前提は︑国会が内閣と同列の単なる立法機関と考えられ︑したがって国会の権限が立法および国費の支出の承認 に限定されていることである︒そのために︑条約の締結に対する国会の承認も︑これらの国会の権限を確保するためのい わば副次的な権限とみなされ︑内閣に対する国会の監督・統制という観点からは位置づけられない︒言いかえれば︑政府 見解は︑日本の国家機構をもっぱら権力分立の観点から解釈し︑条約の締結に対する国会の承認を︑条約締結権を有する 内閣と立法および歳出承認権を有する国会の間の︑権限調整の原理として把握しているのである︒ しかし︑日本の国家機構をこのようにもっぱら権力分立の観点から解釈することが適当かどうか︑疑間である︒周知の ように︑日本国憲法は︑権力分立の原理と同時に議会主義︵議院内閣制︶の原理をも並行して採用しており︑内閣の存在 および活動が国会の信任に依存しているという意味では︑むしろ議会主義の原理こそ日本国憲法の特徴であるといっても 過言ではないからである︒つまり日本国憲法は︑国家諸機能をひとまず国会︑内閣︑裁判所に配分しつつ︑国会の優位の 下に国家権力の統一性を維持しようとしていると解されるのである︒

(9)

法経 研究 三八 巻 一・ 二号 2 九八 九年  ︶                                         一七  六 それ では

︑ こう し た議 会 主義 の観 点か ら みた 場合

に︑

約条 の締 結 に対 す る国 会 の承 認 はど のよ う に理 解 され る ので あ ろ うか 第︒ 一に 条︑ 約 案 作の 成 や署 名 批︑ 准な

ど︑

条 約 締結 に関 す る 一連 の事 務 が 内閣 の職 務 であ る こと

は︑

憲法 第 七 三条 の文 言 から し ても 否 定 でき な い であ ろう

︒ かし

し︑

そ の同 第じ 七 三条 が 原則 とし て

﹁事 前 に﹂ す︑ なわ ち 最終 的 な 効力 発 生前 に 会﹁国 の承 認を 経 る こと

﹂を 要求 し て いる 以 上 効︑ 力 発の 生・ま で含 め た全 面 的 な条 約 締 結権 が基 本的 に内 閣 にあ る と は解 され な

い︒

効力 の発 生 ま で含 めた す てべ のプ ロセ スに つい て言 えば

︑ 日本 国憲 法

は︑

内 閣 によ る 一連 の条 約 締 事結 務 国と 会 の承 認を 組 み合 わ せ る こと に よ てっ 条︑ 約 締の 結 を国 会 と内 閣 の共 同 作 用 にし て いる 言と う べき であ ろう

︒ 第 二に 条︑ 約 の締 結 に対 す る国 会 の承 認

は︑

内 閣 によ てっ 行 われ る 一連 の条 約 締結 事務 に対 し

て︑

国﹁ 権 最の 高 機 関

﹂ たる 国会 が 行 監う 督

・統 制 と解 釈 され

る︒

た しか

に︑

﹁国権 の最 高機 関

﹂と うい 憲法 第 四 一条 にお け る国 会 の性 情聾 疋が

︑ 単な 政る 治 的美 称 に過 ぎ な い のか

︑ それ とも 立法 機 関 と 別は 独の 立 たし 地位 およ び 機能 を 意味 し てい る のか に つい て は

︑ 憲法 制定 当 初 か 争ら いが あ

︒ しか

しヽ

政治 的 美 称説 が こ の性 格 規定 を 政治 原的 理 と解 す る のは 内︑ 閣 の衆 議院 解 散 権 や 裁判 所 の違 憲 立法 審 査権 によ てっ 国会 の最 高 性が 制約 され て いる 点 に着 目し ての こと であ てっ

︑ そ のよ うな 明文 の規 定 が 存 し な 場い 合

に︑

それ が解 釈 の指 針 とし て国 会 に優 位 性 を与 え 効る 果を も つこ と

は︑

政 治的 美 称説 にお いて も 否定 され て いな

い︒

たと えば 清宮 四郎

は︑

他 のい かな る機 関 の命 令 にも 服 なし い機 関 と いう 意 味 でも

︑ また 国 政 の最 高決 定権 者 統︑ 治権 の総 者覧 と うい 意 味 でも 国会 は

﹁最高 機 関

﹂ では な いと なし が もら

︑ こ の規 定 のゆ え に

﹁憲法 に特 に規 定 さ れ てい る も の のほ か

︑ いず れ の権 限 属に す る か不 明 のも のは 国︑ 会 の権 限 に属 す るも のと の推 定 を受 け る﹂ と考 えて いる ので ある

︒ こ のよ う

に︑

条約 の締 結 対に す 国る 会 承の 認が 内︑ 閣 に対 す る国 会 の監 督

・統 制 であ ると す れば お︑ よそ 条約 の締 結 に 国は 会 承の 認が 必要 であ ると いう のが 原則 であ

り︑

出 発 点 あで る きべ であ うろ

︒ 言 いか えれ ば 国︑ 会 承 認 条 約 の範 囲 は

︑ 政府 見解 のよ う

に︑

承認 を要 す る条 約を 特 定す る こと によ てっ では な

く︑

承認 を 要 し な 条い 約 をこ そ特 定

し︑

除外 す る こ

(10)

とによって画定されるべきである︒さらに︑ここでは国会の監督・統制を受けない内閣固有の行政権というものは存在し ないから︑アメリカで行われているような意味での行政協定は存在する余地がない︒ 一 国会の承認を必要としない条約

一定の範囲の条約については︑国会の承認を得ることなく︑内閣かぎりで締結できることは︑学説︑実行ともに一致し て認めている︒条約の締結には国会の承認が必要であるというのが原則だとしても︑国会の監督・統制が確保されていれ ば︑必ずしもすべての条約について国会の承認を義務づける必要はないからである︒ このような国会の承認を必要としない条約として一般に挙げられるのは︑条約の規定を実際に施行するために必要な細 目的規定を内容とするもの︵執行的条約︶や︑条約の明示的な委任にもとづくもの︵委任に基づく条約︶である︒ちょう ど︑内閣かぎりで執行命令や委任命令を制定しても︑国会が﹁唯一の立法機関﹂であることと矛盾しないように︑これら の条約の場合には︑親となる条約が国会の承認を受けていることによって︑国会の監督・統制は確保されていると考えら れるからである︒しかし︑行政府かぎりで締結できる条約として政府見解が指摘する﹁すでに国会の承認を経た条約や国 内法あるいは国会の議決を経た予算の範囲内で実施しうる国際約束﹂というのは︑こうした執行的条約や委任に基づく条 約よりも更に広いように思われる︒以下︑この点に関する政府の見解を︑過去の実行に照らして検討してみよう︒ 1 すでに国会の承認を経た条約の範囲内で実施しうる国際約束

すでに国会の承認を経た条約の範囲内で実施しうる国際約束という表現は︑執行的条約や委任に基づく条約を含んでい一七七

(11)

・法

たと えば 日︑ 本 は 一︑  九 五 四年 月四 二日 国︑ 会 の承 認を 経 て国 際司 法 判裁 所規 程 の当 事 国と な たっ

が︑

国際 司法 判裁 所 の義 務的 裁判 制度 を受 諾す る 日本 国 一三の 百は 一︑  九 五 八年 九 月 一五

日︑

国会 承の 認を 経 る こと な く内 閣か りぎ で決 定さ

れ︑

寄託 され てい

る︒

この 義務 的 裁判 制 度

は︑

国際 司 法裁 判 所 規程 第 一二ハ 条 2 に規 定 され て いる も ので 国︑ 際 司法 裁 判 所 規 程 の当 事 国

が︑

ヽ一

定 の紛 争 に つい 国て 際 司法 判裁 所 の管 轄 を 義務 的 あで ると 宣言 すれ ば 同︑ 一の 義務 を受 諾す る他 の国 と の 関係

で︑

裁 判 義務 が当 然 にか つ特 別 の合 意 なし 発に 生 す ると いう 制 度 であ

る︒

この よう な宣 言を す るか うど か 各は 当事 国 の自 由 な選 択 にま さか れ てお

り︑

国際 司法 裁 判 所 規程 の当 事 国 にな つた か とら い てっ 裁︑ 判義 務 が自 動 的 に発 生 す るわ け では な

い︒

つま

り︑

こ の義 務的 裁判 制度

は︑

国際 司法 裁 判所 規 程を 前 提 とす るも ので あは るが

︑ それ と は別 個 の独 立 たし 利権 義務 係関 を 設定 す るも のな の であ

る︒

も ち ろ

ん︑

それ は国 際 司 法 裁 判 所 規 程 の単 な る実 施 細 日 では な いし

︑ ま た

︑ 一九 五四 年 月二 一七 日の 国 際 司法 判裁 所規 程 の国 会 承 認 にあ た てっ 義︑ 務 的裁 判制 度 受の 諾が 内 閣 に委 任 され たわ け でも

ヽ ない

︒ こ のよ う

に︑

義 務的 裁判 制 度 受の 諾

は︑

日本 国 を拘 束 す る新 たな 的法 義務 の引 き受 けを 意 味す る も の あで る か ら

︑ 当然 国 会 の承 認 が必 要 であ ると 思 われ る ので ある が 政︑ 府

は︑

それ が 国際 司法 裁 判 所規 程 の

﹁範囲 内

﹂ の問 題 だ と し て

︑ 府政 かぎ り で処 理 し てし ま たっ ので あ

る︒

他 方 執︑ 行 的条 約 委や 任 基に づ く条 約 に つい ても

︑ 個 々 の条 約 が実 際 に実 施 細目 にか ぎ られ て いる

か︑

あ る いは 委︑ 任 範の 囲 内 にお さ ま てっ いる か うど か に つい ては 問︑ 題 があ

る︒

この 点が 争 わ れ た のは 言︑ うま でも な

く︑

旧安 保 条 約 にと もな う行 政協 定 の締 結 の場 合 であ

る︒

周知 のよ う

に︑

安旧 保 条約 は米 軍 日の 本駐 留を 規定 し ただ け で

︵第 一条

︑ そ の駐 留 に関 す る諸 条 件 は

﹁両 政府 間 の行 政協 定 で決 定 す る﹂

︵第 二条

︶と 定 め てい

た︒

そ こで 政府

は︑

国会 の承 認 を得 る こと なく 政︑ 府 かぎ り で行 政 協定 調に 印し 発︑ 効 さ せ た の であ るが

︑ そ の理 由 と し て政 府 が挙 げ た のは

︑ それ が安 保条 約 実の

(12)

施細日であり︑安保条約第二条によつてその締結が政府に委任されていること︑もし行政協定の実施のために立法措置や 予算措置が必要となれば︑それらは当然国会に諮られるから国会の審議権を侵害することはない︑ということであった︒ しかt︑当時すでに指摘されていたように︑委任に基づく条約であるから国会の承認は不要であると言うためには︑親 条約による委任が個別的具体的なものでなければならないはずである︒法律による自紙委任が許されないのと同様に︑ 一 般的包括的な委任は国会の条約承認権そのものを否定することになるからである︒さらに︑交通︑運輸︑通信︑租税︑出 入国︑裁判権など︑日本の統治権や国民の権利義務に重大な影響を与える諸規定が︑安保条約の単なる実施細目であると はとうてい思われない︒実施細目を定めた執行的条約が国会の承認を要しないのは︑それが国の統治権や国民の権利義務 関係に影響を与えない技術的手続的な規定に止まっているからである︒行政協定は︑たしかに安保条約の存在を前提とし︑ それに付属するものではあるが︑このような意味での実施細目では毛頭なかったのである︒ ところで︑行政協定は︑ 一九六〇年の安保改定にともなって地位協定に取って代わられ︑その地位協定は正規に国会の 承認を経て締結された︒したがって︑行政協定が国会の承認を要するか否かという問題は︑それ自身としてはすでに過去 のものである︒しかし︑このような過去の実例に照らしてみれば︑政府見解に言う﹁すでに国会の承認を経た条約の範囲 内で実施しうる国際約束﹂という表現が︑きわめて漠然としていることは明白であろう︒ちなみに︑大筋において政府見 解に賛意を表している佐藤功も︑この点をさらに明確に︑①条約の明示的な委任︵授権︶に基づく場合︑②条約の規定の 実施︵実施細目︶に関する事項を定める場合︑③純然たる行政事項に関する場合︑の二つに限定するよう主張してい範︒ 2 国内法あるいは国会の議決を経た予算の範囲内で実施しうる国際約束

国会の承認を要しない条約として政府見解が掲げる第二の例は︑国内法あるいは国会の議決を経た予算の範囲内で実施

(13)

法経研究三八巻一・二号2九八九年︶      一八〇 しうる国際約束︑すなわち︑その実施のために新たな立法措置や予算措置を要しない条約であるが︑今日︑この理由で政 府かぎりで締結される条約はヽきわめて多数にのぼっている︒たとえば︑条約︑協定︑交換公文などの名称にかかわらず︑ 一九八八年一年間にわが国が締結した国際約束はおよそ三六七にのぼっているが︑その内︑国会の承認を得て結ばれた正 規の条約はわずかに九で︑残りはすべて国会の承認を経ない政府締結条約である︒ ところで︑このような条約についてまず指摘されなければならないのは︑それが国内法あるいは予算の範囲内で実施で きるか否かはもっぱら内閣によって判断され︑国会がこの点を問題にする途がまったく封じられていることであろう︒政 府見解に関して行われた国会審議でも︑﹁︵政府が︶その権限内だと思ってやったことが︑権限を逸脱していると国会が 見る︑そうしてそのことが問題になった場合に︑国会の中ではいろいろ論議があっても︑国際的にはその権限外のものを 権限内と誤認して行なった取りきめが有効に働く﹂というケースが問題とされたのに対して︑政府委員は︑その点に関す る政府部内の検討は非常に厳密におこなわれているので︑そのようなケースを想定すること自身が非常に困難であると答 えているのである︒ しかし︑そもそもこの政府見解をまとめるきっかけとなったのは︑日米原子力協定︵旧︶第九条Aに基づいて締結され た政府間協定︵交換公文︶が︑国会に提出も報告もされていなかったという問題ではなかったのか︒また︑ 一九七八年の 国際砂糖協定の国会審議に際しては︑ 一九七三年の国際砂糖協定が︑国会に諮られるこどなく︑行政府かぎりで受諾され たことの可否が問題とされている︒ 一九七三年の国際砂糖協定は︑ 一九六八年の国際砂糖協定が失効する一九七三年末ま でに後継条約が締結されなか

収集や提供な新協定の研究・め交渉の場とて国際砂糖機関を存続させ資料のどたたしっ .︑︑︑ 準備作業を行なわせようという内容のものであり︑その第二三条は︑本協定が﹁署名国政府により︑その憲法上の手続き に従って批准され︑受諾され又は承認されるものとする﹂と規定してい翅︒そこで政府は︑﹁その協定の内容につきまし

(14)

て検討いたしました結果︑行政府かぎりで処理できる内容のものであると判断いたしまして︑行政取り決めとして処理い たした﹂のであ︒ちなみに︑ほぼ同一の内容を有する一九八七年の国際砂糖協定についても︑政府は︑国会に諮ること なく︑行政府かぎりで受諾書を寄託してい範︒ たしかに︑ 一九七三年の国際砂糖協定で具体的に規定されている活動は︑新協定の研究や資料の収集・提供などの実務 的なものに限られている︵一九八七年協定についても同じ︶︒しかし︑同時にそれは国際砂糖機関という国際組織の設立 準拠法規であり︑その受諾は国際砂糖機関への日本の加入を意味するものでもある︒その意味では︑本協定は日本の国際 法的地位にかかわる条約であって︑条約上の義務が実務的であるという理由だけで︑国会の承認を要しないと言えるかど うか問題であろう︒さらに︑一同協定第二三条は︑運営予算に係る分担金の支払いを加盟国に義務づけており︑財政的義務 の引き受けという点でも︑国会の承認が必要であるように思われる︒もっとも︑本協定じしんには分担金の額は明記され ていないから︑´従来からの政府の主張を推測して言えば︑分担金の額が確定した段階で予算に計上し︑国会の承認を得る から問題はないということになるであろう︒しかし︑具体的な国費の支出が国会の承認を要することは当然のことであっ て︑ここでの問題は︑本協定の存在によって︑国会にはその支出を否決する自由がなくなってしまうこと■一一一口いかえれば︑ 本協定が国会の歳出承認権を拘束することになるが故に︑その締結一の段階で国会の承認が必要ではないのか︑ということ なのである︒ 第二に指摘されることは︑このように国会の承認を要するか否かの判断権が政府によって独占されている結果︑国会承 認条約と政府締結条約の振り分けが恣意的に行なわれていることである︒最近一〇年間

の .日本の条約慣行を分析た松井し 芳郎﹁現代日本法と国際経済関係﹂によれば︑基本的に同一の内容をもつ文化協定でも︑先進国や発展途上国とのものは 国会承認条約であるのに対して︑社会主義国相手のものは政府締結条約であるとい知︒またヽ大規模なプロジェクトを対

条約の締結に対する民主的統制      一八一

(15)

経法 研究 三八 巻 一◆ 二号 2 九八 九年  ︶                                            一八 二 象 と

し︑

し たが

てっ 多 く の場 合 完成 ま でに 長 期間 を 要し 多︑ 年 度 わに た てっ 供与 され る 日本 円の 欺借

も︑

全額 を二 度 約に 束 す る こと によ

てっ 国会 承認 条 約 と な る のを さけ るた め

に︑

交 換 公文 と うい 形 で年 度 ご と 分に け て供 与き れ てい ると

﹂デ

︒ 以 上 の事 実 が示 t て いる とこ

は︑

何 よ りも まず 条︑ 約 の締 結 を 国会 に諮 る とこ に対 す る政 府 の消 極 的な 姿勢 あで

る︒

先 に揚 げ た政 府 見解 も 法︑ 律 事 項 や財 務 事項 含を ん でい な く ても 政︑ 治 的 に重 要 な条 約 は国 会 諮に る こと が あ ると し てい た から 国︑ 内法 あ る いは 国会 の議 決 を経 た予 算 範の 囲 内 で実 施 し う る国 約際 束 あで てっ

も︑

政 府 判の 断 で国 会 に付 託す る こ と 何は ら妨 げ れら ては ない

い︒ 

一九 七 三年 国の 際 砂糖 協定 に つい もて 条︑ 文 上 は批 条准 約 と し て扱 う こと も可 能 であ たっ にも か わか らず 政︑ 府

は︑

あ え て それ を行 政取 り決 めと し て処 理し た の であ

る︒

ちも ろ

ん︑

国 会 で 条の 約審 議 に 相は 当 の 数日 を 要 し 条︑ 約 の迅 速 発な 効

・適 用と いう 他面 の要 請 に そぐ わ な とい うい 問題 があ る こと 確は か あで るが

︑ ここ 示に さ れ て るい のは

︑ そう し た技 術 的 理由 を えこ た政 府 的 理由 であ

り︑

国会 の立 法 権 歳や 承出 認権 と 抵触 し な い限

り︑

条約 の締 結 本は 来的 内に 閣 の権 限 であ ると いう 法 的 解釈 であ

る︒

それ では

︑ 日本 国 憲法 のも と

︑ 国内 法 あ る いは 国会 の議 決を 経 予た 算 の範 囲内 で実 施 し う 国る 際 約束 あで れば 国︑ 会 の 立 法権 や歳 出 承認 権 侵を 害 す る こと はな いと 本︑ 当 に言 いき れ る であ うろ

か︒

この よう な政 府 の解 釈

は︑

言 う ま でも くな メァ カリ にお け る行 政協 定 の慣 行 を ベ ー スに し たも ので あ るが 厳︑ 格 な 三権 分 立制 とを る ア メリ カ憲 法 では 大︑ 統領 に軍 隊指 揮権 など の固 有 の権 限が 認 め れら

︑ こ よの うな 大統 領 の固 有 の権 限が 行 政協 定締 権結 根の 拠 の 一つ と され てい 翅︒ し か

し︑

議会 主義

院︵議 内閣 制

︶ を採 用

し︑

国会 が 一般 的 内に 閣 を監 督

・統 制 す る日 本 国憲 法 の下 では 条︑ 約締 結時 に国 内 法 範の 囲内 で実 施し え た事 項 も

︑ そ の後 立の 法 や法 改 正 によ てっ い つで 法も 律 事項 にな りう る の であ

る︒

かし も 国︑ 内 上法 条約 が連 邦法 と 位同 と され 完︑ 全 な後 法 優先 の原 則が 適 用 され る メア カリ では

︑ たと え行 政協 定が 正 規 の条 約 ど 同 の一 効 力 をも つと し ても

︑ それ によ てっ 議 会 の立 法 権 拘が 束 され る こと はな

い︒

と ころ が 本日 では 憲︑ 法 第

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