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「アジアにおける介護需要と供給 - 現状分析と将来推計」

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厚生労働科学研究費補助金

(地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究事業)

分担研究報告書

東アジア、ASEAN諸国の人口高齢化と人口移動に関する総合的研究

「アジアにおける介護需要と供給 - 現状分析と将来推計」

研究分担者 林玲子 国立社会保障・人口問題研究所 国際関係部長

研究要旨

東アジア、ASEAN諸国における介護人材の移動の状況を把握し(平成27年度)、各国 で共通する介護需要の決定要因を介護保険制度を実施している日韓で比較し(平成28年 度)、それらの知見に基づいて、日中韓で共通する年齢別要介護率があることを見出した。

この年齢別要介護率を、国連による将来人口推計(2015~2100 年)の性別・年齢別に掛 け合わせ、アジア地域および東アジア・ASEAN諸国の今後の要介護人口を推計した。ア ジア全体の介護需要(要介護人員数)は、2015年に1410万人、2050年に5308万人、2100 年に1億1123万人に増大し、2080年以降東アジアでは増加が止まるが、それ以外のすべ ての地域で右肩上がりに増加する。

介護供給として介護人材に注目し、既存の保健人材データの中には介護人材が含まれ にくいことを鑑みて、各国のセンサスにおける「保健・福祉」分野の従事者数を比較した。

保健・福祉従事者数の総人口や労働力人口に対する割合は高所得国ではそれぞれ5%、10%

水準であるが、韓国はその半分程度、台湾は1/3程度であり、その他中所得・低所得では さらに低く、おおむね経済水準が低ければ保健・福祉従事者数の割合も低い傾向がある。

しかしながら、介護需要に対する保健・福祉従事者数の割合は、所得が低ければ高齢化が 遅いこともあり、一定の傾向がない。

中国においては、介護需要として2010年のセンサス(第6次人口普査)で訊かれてい る高齢者の自立状況を分析し、年齢別要介護率は最高年齢層以外では日韓の水準と同様 で、女性は男性よりも高く、農村は大都会よりも高い。介護人材は不足しており、保健人 材と比べても非常に限られている。一方介護供給として介護施設数を見ると、近年著しく 介護施設数および定員数は増加しており、介護需要に対する介護施設定員数の割合は、日 本をはるかに上回るほどである。介護施設はあるが人材が足りないことは、すでに中国で も認識されているが、介護サービスの質向上と合わせ、中国における介護人材育成は喫緊 の課題であると思われる。

A.研究目的

アジアの中でも現在の高齢化の水準には 差があり、アジア地域の異なった介護需要 に合わせて、介護人材が移動することで、

人材不足解消と、人材の還流による人材育 成を見込むことが可能であるが、アジア各 国において、実際にどのような介護需要と 供給体制があるのか、国際比較可能なデー

(2)

タは未だ多くなく、本研究では介護需要と して介護が必要な高齢者は何人いるのか、

介護供給として介護人材は何人いるのかを、

アジア地域および東アジア、ASEAN諸国各 国について明らかにすることを目的とした。

B.研究方法

本研究プロジェクト第1年目、2年目の研 究成果に基づき、日中韓の年齢別要介護率 を国連将来人口推計に掛け合わせることに

より、2015年から2100年までの介護需要(要

介護人員数)を、アジア地域別、東アジア、

ASEAN諸国の各国別に推計した。また介護 供給として、介護人材数の代理変数として、

各国センサスにおける保健・福祉従事者数 データを整理し、介護需要と合わせて国際 比較した。

中国については、上記介護需要、介護人 材に付け加え、介護施設定員について、デ ータを整理し、日本と比較分析した。

(倫理面への配慮)

本分析は、公表済みの統計・資料・論文を 用いるため、倫理審査に該当する事項はな い。

C.研究結果

アジア全体の要介護人口は、2015 年に 1410万人、2050年に5308万人、2100年に 1 億1123 万人に増大し、2080年以降東ア ジアでは増加が止まるが、それ以外のすべ ての地域で右肩上がりに増加する。

保健・福祉従事者数の総人口や労働力人 口に対する割合は高所得国ではそれぞれ

5%、10%水準であるが、韓国はその半分程

度、台湾は1/3程度であり、その他中所得・

低所得ではさらに低く、おおむね経済水準 が低ければ保健・福祉従事者数の割合も低

い傾向がある。しかしながら、介護需要に 対する保健・福祉従事者数の割合は、所得 が低ければ高齢化が遅いこともあり、一定 の傾向がない。

中国においては、年齢別要介護率は最高 年齢層以外では日韓の水準と同様で、女性 は男性よりも高く、農村は大都会よりも高 い。介護人材は不足しており、保健人材と 比べても非常に限られている。一方介護供 給として介護施設数を見ると、近年著しく 介護施設数および定員数は増加しており、

介護需要に対する介護施設定員の割合は、

日本をはるかに上回っている。中国におい て介護施設定員は充足しているが人材が足 りない状況が明らかとなった。

D.考察

介護需要・供給の国際比較するにあたり、

さらに検討が求められる点は多い。年齢別 の要介護率が国や地域を変えても一致する のかどうか、また要介護の定義をどうとら えるのかなど、さらなる分析が必要である。

介護人材については、保健・福祉分野の 従事者数を職業別にさらに細分類化して国 際比較することで、各国の介護人材がどの ようなカテゴリで存在しているのかを今後 明らかにするべきである。

中国以外のアジア各国についても、同様 に既存のデータを整理し、比較可能な形に することが望まれる。

E.結論

今後、アジアにおける要介護者数は増加 する中、保健・福祉人材数は所得が低い国 ほど少なく、例えば中国においては介護施 設は十分あるにも関わらず、介護人材が足 りない状況が顕在化している。今後、介護 人材開発は、高齢化対策の中で重要項目と

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して立案・実施されるべきである。

F.健康危険情報 特になし。

G.研究発表 1. 学会等発表

- 林玲子「アジアにおける介護人材の需給 推計-概算と今後の課題」第32回日本国際保 健医療学会(グローバルヘルス合同大会20 17)シンポジウム「日本とアジア諸国の高 齢化対策連携の模索」、2017年11月26日、

東京大学

- 林玲子「アジアにおける介護需要と人材 開発について~日中の状況」国立社会保障・

人口問題研究所(IPSS)- 中国民政部政策研 究中心(CPR)合同ワークショップ 第4セッ ション : 高齢者介護システム、2017年12月 16日、中国民政部政策研究中心、北京

H.知的財産権の出願・登録状況 (予定を含む。)

なし

参照

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