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(1)

ホ.薬理作用

頁 総括 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・259

1.効力を裏付ける試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・263 総括 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・263 (1)作用機序・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・264 1)ブリンゾラミドの酵素活性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・265 2)ウサギ房水動態に及ぼすブリンゾラミドの作用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・267 3)ヒトの房水動態に及ぼすブリンゾラミドの作用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・270 4)ウサギとヒトにおける房水動態に及ぼす作用の違いについて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・271 (2)効力を裏付ける試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・272 1)サルにおける眼圧下降作用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・272 2)ウサギにおける用量反応試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・274 3)ウサギにおける2製剤の生物学的同等性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・276 4)ウサギ眼内血流に及ぼすブリンゾラミドの活性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・278 5)ドルゾラミドによる眼圧下降効果との比較・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・279 6)本剤とドルゾラミドの臨床効果について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・283 2.一般薬理試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・286 総括 ・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・286 (1)一般薬理作用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・288 1)神経薬理学的特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・288 2)回転棒を用いた神経毒性試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・288 3)バルビツール誘発性睡眠の持続時間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・288 4)鎮痛作用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・288 5)痙攣促進作用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・289 6)自発運動に対する作用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・289 7)心血管系血行力学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・289 8)薬力学的(自律神経)試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・289 9)肺機能;血液ガス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・290 10)肺機能;力学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・290 11)尿中電解質及び体積利尿 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・290 12)消化管輸送能・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・291 13)解熱作用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・291 14)摘出回腸の収縮・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・291 15)心再分極・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・291

(2)

略号一覧表

略号

(略称) 化学名 化学構造 由来 

AL-4862 ブリンゾラミド

(R)-4-(ethylamino)-3,4-dihydro-2- (3-methoxypropyl)-2H-

thieno[3,2,e]-1,2-thiazine- 6-sulfonamide 1,1-dioxide

原薬 

AL-7118A

(S)-4-(ethylamino)-3,4-dihydro-2- (3-methoxypropyl)-2H-thieno[3,2,e]- 1,2-thiazine-6-sulfonamide 

1,1-dioxide

原薬の  光学異性体 

AL-8520A

(シュウ酸塩)

AL-8520B N-デ ス エ チ ル ブリンゾラミド

分解生成物 

AL-4217A ドルゾラミド

(-)-(4S,6S)-4-ethylamino-5,6- dihydro-6-methyl-4H-thieno[2,3- b]thiopyran-2-sulfonamide 7,7-dioxide  monohydrochloride

O2

S S

H NHCH2CH3 H

CH3 SO2NH2

·HCl

類薬

AL-12353 デスエチルドル ゾラミド

(-)-(4S,6S)-4-amino-5,6-dihydro-6- methyl-4H-thieno[2,3-b]thiopyran- 2-sulfonamide 7,7-dioxide

monohydrochloride

O2

S S

H3C H

H NH2

SO2NH2

類薬の 分解生成物

AL-4408 アセタゾラミド

N-(5-sulfamoyl-1,3,4-thiadiazol-2-

yl)acetamide 類薬

略号

(略称) 内  容

CA 炭酸脱水酵素 CAI 炭酸脱水酵素阻害剤

N N

S S

O

O

NH2 HN

C O H3C

N S S S O

O NH2 NHCH2CH3

CH3OCH2CH2CH2

O O H

N S S S O

O NH2 NH H

CH3OCH2CH2CH2

O O CH3CH2

(3)

ホ.薬理作用・・・・・添付資料ホ− 1 〜 31 、ホ−参 1 〜参 9

総 括

緑内障は哺乳類眼の疾病で、乳頭の凹陥や網膜神経節細胞軸索欠損により、視野欠損が進展し、

失明する恐れがある疾患である。緑内障患者における網膜神経節細胞の変性欠損の原因について、

虚血から起因するアポトーシス、ミトコンドリア機能の喪失など、いくつかの可能性が報告され ている。主な症状は眼圧上昇であり、約 3分の2の緑内障患者に見られる。ヒトの場合、通常、

眼圧は約 15〜17mmHgに維持されるよう前房内における房水の流入、流出が均衡に調整されて

おり、眼圧が 21mmHg を超えている場合に高眼圧症と診断される。ヒト毛様体上皮に局在する 炭酸脱水酵素(CA)-Ⅱは、炭酸ガスの加水反応を触媒する酵素で、房水の産生に重要な役割を 果たしていると報告されている1),2)

通常、眼圧上昇の発生機序の大部分は房水流出障害によるものであり、房水産生の増大による ことは極めて希である。房水流出障害の原因を大別すると開放隅角と閉塞隅角がある。閉塞隅角 の大部分は瞳孔ブロックによるものであることが明らかにされているが、開放隅角における房水 流出抵抗の増大については、現時点では確定されていないが、概ね次のような推論がなされてい る。

① 線維柱帯、Schlemm管内皮における流水抵抗の増大

異物による線維柱帯の目詰まり、線維柱帯細胞の減少・機能低下、Schlemm管内皮異常等

② 副腎皮質ステロイド代謝の異常

本剤は CA-Ⅱの特異的阻害薬である。CA-Ⅱは眼内では主に毛様体上皮に局在し、炭酸ガスの

加水反応を触媒する酵素で、房水の産生に重要な役割を果たしている。すなわち、CA による炭 酸ガスの加水反応で重炭酸イオンが生成され、生成された電解質(例えばNaHCO3)が後房へ能 動輸送され、その浸透圧差により水が細胞内から後房へ移動することが房水の産生機序であると 考えられている。本剤はこの酵素の活性を阻害することにより、房水の産生能を低下させ、その 結果眼圧下降をもたらすものと考えられている。実際、本剤の類薬である他のCA阻害剤の眼圧 下降作用が房水産生の抑制によるものであるとの多くの報告2)5) があり、また本剤について

1)Kobayashi, M. and Naito, K.: Pharmacological profiles of the potent carbonic anhydrase inhibitor dor- zolamide hydrochloride, a topical antiglaucoma agent. Nippon Yakurigaku Zasshi 115: 322-328, 2000.

2)DeSantis, L.: Preclinical overview of brinzolamide. Survey Ophthalmol. 44: 119-129, 2000.

3)Becker, B: Decrease in intraocular pressure in man by a carbonic anhydrase inhibitor, Diamox. Am. J.

Ophthalmol., 37: 13-14, 1954.

4)Wang, R.F., Serle, J.B., Podos, S.M. and Sugrue, M.F.: MK-507 (L-671,152), a topically active carbonic an-

(4)

は、本剤が房水産生を抑制し、レーザー誘発緑内障サルの眼圧を下降させることが報告されてい る6)

本剤申請にあたっての試験結果からも、R(+)-Isomerであるブリンゾラミドは、CAⅡに対する 高い親和性と効果的な阻害作用を示し(Ki値: 0.145 nM; IC50値: 3.2 nM)、CA-Iと比較し、CA-

Ⅱに高い選択性を有することが明らかになった[Ki値: 0.145 nM(CA-Ⅱ)、13.8 nM(CA-Ⅰ)、

IC50値: 3.2nM(CA-Ⅱ)、1.37μM(CA-Ⅰ)]。

レーザーによって処置された高眼圧カニクイザル及び正常眼圧ダッチベルト(Db)ウサギを用

いた in vivo試験において、ブリンゾラミド懸濁点眼液の投与により用量依存的な眼圧下降作用

が確認された。サルにおける1日2回投与(以下、BID)の場合、0.3 mgの投与で 眼圧下降作 用は最大を示した。ブリンゾラミド懸濁点眼液の眼圧下降作用は、ピーク時に 27%から 32%、

トラフ時でも13%から22%の眼圧下降率が認められた。

緑内障性視神経障害の発症及び進行は、眼圧上昇以外の因子にも起因するとの報告がある 7)。 緑内障性視神経障害は、正常眼圧においても発生し、また眼圧が良好にコントロールされている 緑内障患者においても進行する場合があるが、高眼圧症患者であっても発生しないこともある。

従って、緑内障性視神経障害の成因は複雑であり、眼圧の他に血管的素因や血液流動学的要素を 含む幾つかの原因によるものであると考えられている7)10)

疫学的調査の結果と最近の眼血流に関する研究からは、網膜や視神経乳頭、または両者におい て血流の低下が認められ、緑内障の進行に何らかの影響を及ぼしていることが示唆されている11)

17)。緑内障患者において血管異常や血管攣縮は、視神経乳頭にさらに障害をあたえる可能性が

6)Zhan, G., Toris, C.B., Camras, C.B., and McLaughlin, M.A.; The mechanism by which brinzolamide reduces intraocular pressure in monkeys and rabbits. Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 2002 (in printing) ; ARVO Poster #3277.

7)Crick. RP, Vogel R, Newson RB, et al.: The visual field in simple glaucoma and ocular hypertension; its character, progress relationship to the level of intraocular pressure and response to treatment. Eye 3:538-546, 1989.

8)Hayreh SS, Revie IHS, Edwards J: Vasogenic origin of visual field defects and optic nerve changes in glaucoma. Br. J. Ophthalmol., 54:461-472, 1970.

9)Hayreh SS, Zimmerman MB, Podhajsky P, Alward WLM: Nocturnal arterial hypotension and its role in optic nerve head and ocular ischemic disorders. Am. J. Ophthalmol., 117:603-624, 1994.

10)Popovic V, Sjostrand J: Long-term outcome following trabeculectomy: II. Visual field survival. Acta.

Ophthalmol. (Copenh) 69:305-309, 1991.

11)Hamard P, Hamard H, Dufaux J, Questnot S: Optic nerve head blood flow using laser-Doppler velocimetry and haemorheology in primary open angle glaucoma and normal pressure glaucoma. Br. J. Ophthalmol., 78:449-453, 1994.

12)Harris A, Sergott RC, Spaeth GL, et al: Color Doppler analysis of ocular blood vessel velocity in nor- mal-tension glaucoma. Am. J. Ophthalmol., 118:642-649, 1994.

13)Michelson G, Langhans MJ, Groh MJM: Perfusion of the juxtapapillary retina and neuroretinal rim area in primary open angle glaucoma. J. Glaucoma., 5:91-98, 1996.

14)Rankin SJA, Walman BE, Buckley AR, Drance SM: Color Doppler imaging and spectral analysis of the optic nerve vasculature in glaucoma. Am. J. Ophthalmol., 119:685-693, 1995.

(5)

考えられるため、新しい点眼用眼圧下降剤では眼圧下降作用に対する評価のみならず、眼内の血 行力学に対する影響を評価することも重要となってきた12)13)。ウサギを用いた点眼試験において、

レーザー・ドップラーフローメトリーによりブリンゾラミドの視神経乳頭における血流増加作用 が認められている。これは、組織中のCA活性を阻害したことにより、局所のCO2濃度が上昇し、

CO2の血管に対する作用によって血管拡張をもたらしたものと考えられる。しかし、CA 関連炭 酸水素イオンチャネルが存在することより、血管への直接作用も否定できない。作用機序は現時 点では不明であるが、本剤の有する薬理作用の一つである視神経乳頭(ONH)血流の増加作用は、

緑内障の治療において有用なものであると考えられる。この様にブリンゾラミドは、眼圧低下作 用とは別に乳頭血液循環促進作用によって、正常眼圧緑内障患者の網膜神経節細胞の損傷を防止 できる可能性もある18)

ブリンゾラミド及びその N-デスエチル代謝物は、34 種の受容体及び酵素に有意な結合性を示 さず、炭酸脱水酵素阻害剤(CAI)に関連のない全身性副作用をもたらす可能性が極めて低い選 択的CAIであることが示唆された。この選択性は、全身性副作用の可能性を検討するために行わ れた一連のin vivo一般薬理試験において、ブリンゾラミド及び主要代謝物(N-デスエチルブリ ンゾラミド)について評価された成績からも裏付けられた。このようにCAIに関連のない全身性 副作用をブリンゾラミドがもたらす可能性は低く、このことはヒトにおける長期臨床試験や霊長 類を用いた毒性試験においても確認された。

アセタゾラミド(Diamox)などの非選択性経口CA阻害剤の全身投与は、頭痛、感覚異常、疲 労、胃腸障害(悪心、嘔吐など)、酸・塩基と電解質失調などを含む諸種の全身副作用に関与して いるので、長期治療への適用が難しい19)。これは、膜を通過する流体の輸送を制御する役割を担 うCAが、眼組織の他、腎、胃、膵、脳、赤血球などの臓器に局在しているためであり、これら の臓器や組織におけるCA阻害が全身副作用を引き起こしている。しかし、CAアイソザイムは、

それぞれの臓器に異なった濃度で存在している。どのCAアイソザイムが阻害されるかによって、

つまり、阻害剤の対象臓器あるいはアイソザイム選択性によって、副作用が異なってくる。例え ば、腎臓の近位曲尿細管における重炭酸イオンと流体の移行は、CA-Ⅱ及び CA-Ⅳが触媒酵素と 思われている。これらの腎臓内のCAアイソザイムが阻害された場合、酸・塩基代謝(尿アシドー シスの結果)及び流体均衡(利尿の結果生じる血漿の体積の縮小に起因する)の失調につながる。

ブリンゾラミドは、点眼により効果的な眼圧下降作用を発揮する薬剤であることからごく僅か の薬物しか全身循環系に回らず、かつCA-Ⅱへの結合が高選択性であることから、局所又は全身 性に不都合な作用を生じる可能性は低いものと考える。

血漿中ブリンゾラミド濃度は赤血球に存在するCA-ⅠまたはCA-Ⅱ(CA-Ⅰ対CA-Ⅱ比が約6:1)

への薬物の結合によって左右される。ブリンゾラミドのCA-Ⅱ選択性がCA-Ⅰより約95〜400倍

17)Wolf SM, Arend 0, Sponsel WE, et al.: Retinal hemodynamics using scanning laser ophthalmoscopy and hemorheology in chronic open-angle glaucoma. Ophthalmology 100:1561-1566,1993.

18)Herkel U and Pfeiffer N.: Update on topical carbonic anhydrase inhibitors. Curr. Opin. Ophthalmol., 12:

(6)

高いため、赤血球内の全CAを完全に阻害してしまう可能性は殆どない。さらに、赤血球中CA-

Ⅱとの特異的結合により、腎臓や他の臓器内のCAを阻害する遊離ブリンゾラミドの濃度が低減 され、酸・塩基や流体均衡への影響が削減される。このことは、ブリンゾラミドの局所点眼臨床 試験において CA阻害に基づく副作用が認められていないことに反映されている。また、赤血球 内のCA活性は、全身副作用を引き起こすと言われている>99%20)24)までは阻害されない。従っ て、ブリンゾラミドが近位曲尿細管に存在する CA-Ⅱに対し高い親和性を示すにもかかわらず、

本剤のヒトでの点眼投与において腎臓に関連する副作用は発現しなかった。

一方、ヒト角膜の上皮及び内皮細胞には、CA-Ⅰと CA-Ⅱの両分子種が存在し、角膜中の水分 量の恒常性に重要な役割を果たしている。CA-Ⅰと CA-Ⅱを同じように阻害する化合物は、水分 輸送を大幅に阻害し、水の平衡状態を崩すことによって浮腫や角膜混濁を生じる場合がある 25)

26)が、ブリンゾラミドはCA-Ⅱに対する選択性が高いため、点眼によって角膜中のCA活性を完 全に阻害する可能性が低く、このため本薬物は、角膜中水分量の恒常性には影響を及ぼしにくい と考えられている。そしてこのことは、本剤の長期投与試験(C-95-47)において、角膜内皮細 胞数及び角膜厚に対し、臨床的または統計的にも有意な影響が認められなかったことからも裏付 けられる。

20) Maren T.H.: The Relation between enzyme inhibition and physiological response in the carbonic anhydrase system, J. Pharmacol. Exp. Ther., vol 139, pp 140-153, 1963.

21) Maren T.H.: Carbonic Anhydrase: Chemistry, Physiology and Inhibition, Physiological Reviews, vol 47, No 4, pp 595-781, 1967.

22) Wilkerson M.: Four-Weeks Safety and Efficacy Study of Dorzolamide, a Novel, Active Topical Carbonic Anhydrase Inhibitor, Arch Ophthalmol, vol 111, pp 1343-1350, 1993.

23) ScottB.Y.T. : Topical Carbonic Anhydrase Inhibitors:Potential Adjuvants to Glaucoma Therapy in the

(7)

1.効力を裏付ける試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ホ−1〜8、ホ−参6

総 括

表ホ−1 ブリンゾラミドの効力を裏付ける試験一覧表 試験 動物種 投 与 量 及 び

経路 結果 添付資料

番号 炭酸脱水酵素へ

の結合

ヒト In Vitro Ki(ヒトCA-Ⅱ)= 0.145 ± 0.007 nM

Selectivity ratio = 95 (HCA-II vs HCA-I) ホ−1 炭酸脱水酵素へ

の阻害作用

ヒト In Vitro IC50(ヒトCA-Ⅱ)= 3.19 ± 0.30 nM

Selectivity ratio = 429 (HCA-II vs HCA-I) ホ−2 ホ−3 房水動態に

及ぼす作用 ウサギ 0.5 mg 点眼 房水流量が 18.5%低下。2.7 ± 0.6μL/min か

ら 2.2 ± 0.5μL/min (p=0.02) ホ−4

作用機序

房水動態に及ぼ

す作用 ヒト 0.5 mg 点眼 房水流量が19% ± 10% (p<0.001)低下 ホ−参1 眼圧下降作用 サル 0.3 mg 点眼 眼圧が3時間後(ピーク時)に 35.8% ± 3.67%

(p<0.001)下降 ホ−5

眼圧下降作用 (用量依存性の検 討)

ウサギ 0.25 mg 0.5 mg 1.0 mg 点眼

投与3時間後に眼圧が0.25 mg投与群で 17.7% ± 4.7%、0.5 mg投与群で 20.3% ± 7.1% %、1.0 mg投与群で19.9% ± 5.5%下降。

0.25mg投与群は、0.5 mg及び 1.0 mg投与群 と比較して有意に作用が弱かった(p<0.02)。

0.5mg投与群は1.0mg投与群と比較して有意 差なし。

ホ−6

2種類の処方の

生物学的同等性 ウサギ 0.5 mg

点眼 X処方(      X含有)では眼圧が14.5% ± 9.5% (標準偏差)下降; Y処方(      Y含 有)では14.4% ± 9.5%(標準偏差)下降;両処方 の眼圧下降作用は生物学的に同等であった (95% 信頼区間< ±2 mmHg)

ホ−7

視神経乳頭血流

量に及ぼす作用 ウサギ 1.0mg

点眼 ブリンゾラミド点眼群では視神経乳頭血流量 が11.2% ± 1.8% (標準誤差)増加し、溶媒対照 群の6.6% ± 3.2% と比較し有意な血流増加作 用が認められた (p<0.05)。

ホ−8

ウサギ 1%ブリンゾ ラミド1滴 (300μg) 2%ドルゾラ ミド1滴(600 μg)点眼

1%ブリンゾラミド群では、点眼0.5、1.0、

2.0および3.0時間後で眼圧低下(p<0.05)、最 大眼圧低下は投与1.0時間後の25.4%であっ た。2%ドルゾラミド群では、点眼0.5、1.0 および2.0時間後で眼圧低下(p<0.05)、最大 眼圧低下は投与1.0時間後の22.5%であった。

ホ−参5

サル 1%、2%ブリ ンゾラミド1 滴(300及び 600μg)点眼

眼圧は投与1、3、6時間後すべてで有意に低下 した。また、1%と2%ブリンゾラミド懸濁液 は同等な眼圧作用を示した。

ホ−参6 ドルゾラミドの

眼圧下降作用と の比較

サル 2%ドルゾラ ミド(1mg)点 眼

眼圧は投与1、3、6時間後すべてで有意に低下

した。 ホ−参7

サル 1%ブリンゾ ラミド点眼 (300μg)

投与12時間後においても投与6時間後と同

程度の眼圧下降効果が認められた。 ホ−参6

効力を裏付ける薬理試験

BID処方とドル ゾラミドTID処 方との比較(眼圧 下降効果持続時

間に関する検討) ウサギ 2%ドルゾラ ミド点眼 (1mg)

眼組織中濃度に関する検討を行なった。 ホ−参8

(8)

(1)作用機序27)29)

炭酸脱水酵素(carbonic anhydrase、以下 CA)は炭酸ガスの加水反応とその逆反応の炭酸 の脱水反応を触媒する酵素で、反応で生じた炭酸は生理的pHで直ちに重炭酸イオンと水素イ オンに解離する。

CAは主に赤血球、腎、胃、膵、脳、眼などに存在し、眼では毛様体、角膜に多く存在し、

毛様体上皮に存在するCAは、房水の産生上重要な役割を果たしている。即ち、毛様体上皮で CAの触媒により重炭酸イオンが作られ、能動的に後房に輸送される。そして、重炭酸イオン の第1の逆イオンであるナトリウム(Na)イオンもそれに伴って後房へ能動輸送され、また Naイオンに伴って水も後房へ輸送されるため、CAは房水産生に関与しているといわれてい る。

この房水産生に関与しているCAを阻害すると房水産生が抑制され、眼圧下降が生じると考 えられている。

 

図ホ−1 毛様体無色素上皮細胞における電解質及び水輸送の模式図30) 後房に面した細胞膜には、これまでに報告されてきたNa+-K+ポンプの他 に、①K+チャンネル、②Cl-チャンネル、③Na+-H+交換輸送、④HCO3--Cl- 交換輸送が存在する。水の輸送はstanding gradient仮説に基づく。

27) 中島 正之、あたらしい眼科10(6)、959-964、1993  

 CO+HO      HCO      HCO + H  CA

(9)

1)ブリンゾラミドの酵素活性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ホ−1〜3 ブリンゾラミド、S(-)-ブリンゾラミド(AL-7118A)、ブリンゾラミドのN-デスエチル代謝 物(AL-8520A)、ドルゾラミド、ドルゾラミドの N-デスエチル代謝物(AL-12353)及びア セタゾラミドについて、ヒト炭酸脱水酵素(HCA)に対する結合性及びin vitroでのCA活 性阻害作用を検討した。

①方法

既知のCA阻害剤ダンシラミドがCAと可逆的に結合する際に観察される蛍光を検出する ことにより、CAに対する結合性を検討した。ダンシラミドがCAから解離したときに観察 される蛍光は濃度依存的に減少することから、化合物のCA結合親和性を調べるため、被験 物質をダンシラミド-CA 複合体に添加し、その濃度に対して観察される蛍光を測定し、被 験物質の結合定数(Ki)を求めた。

CAと結合したダンシラミドの蛍光を37℃に保たれた恒温槽ホルダー付き日立F-4500蛍 光計を用いて測定した。反応緩衝液として、10 nMヒトCA及び165 nM(HCA-Ⅰの場合)

又は12 μM(HCA-Ⅱの場合)のダンシラミドを添加したpH 7.4の100 mMリン酸ナト リウムを使用した。HCAに対するダンシラミド結合能Kdを表すKd(DNSA)はHCA-Ⅰ については7.0 nM、HCA-Ⅱについては196 nMであった。Ki値はデータのDixonプロッ トから求めた(薬剤濃度に対する相対的蛍光平均値の逆数)。また、線形回帰分析により次 の式を用いてKi値を計算した。

Ki=Kd(DNSA)/(Vmax×[S]×slope)

Ki :競合実験より得られた薬剤の阻害定数

Kd:ダンシラミド(DNSA)の飽和実験より導かれた解離定数 Vmax:最大反応速度

[S]:基質濃度

slope:Dixonプロットの傾き(薬剤濃度に対する相対蛍光平均値の逆数)

被験物質の機能的阻害作用は、pH‐スタット分析により水和CO2についてのHCA活 性に対して判定した。実験変数は常にCO2含有ヘリウムで泡立たせた緩衝液の pHを一 定に保つために加えられた 0.15 N NaOH の添加速度であった。インキュベーションは pH 7.2 HEPES緩衝液を用いて、4℃下で行われた。

②結果

ブリンゾラミド及び関連物質の結合定数(Ki)及び酵素阻害濃度(HCA-I、Ⅱ及びIVの IC50値)を表ホ−2に示す。

(10)

表ホ−2 ブリンゾラミド及び関連化合物のCA結合能及び酵素阻害能

測定項目 結合能(Ki、nM)

(±SD)

酵素阻害能(IC50、nM)

(範囲)

酵素 CA-I CA-II CA-I CA-II CA-IV

ブリンゾラミド

R(+) 13.8 ± 0.6 0.145 ± 0.007

1.37μM

(0.082μM) 3.19

(0.30) 45.3 (0.3) AL-7118A

S(-) 50 ± 3.6 1.18 ± 0.08 2.18μM

(0.133μM) 19.3

(0.5) 908 (13) N-デスエチルブリンゾラミド

(AL-8520A) 0.347 ±

0.016 0.154 ±

0.004 274

(15) 1.28

(0.11) 128 (1) ドルゾラミド

(AL-4217A) 296 ± 15 0.225 ± 0.008

28.0μM

(0.613μM) 3.74

(0.02) 32.0 (0.7) デスエチルドルゾラミド

(AL-12353) 1.865 ±

0.080 0.269 ±

0.011 234

(0) 2.91

(0.05) 101 (6) アセタゾラミド

(AL-4408) 158 ± 6 4.39 ± 0.55 657

(82) 9.04 (0.16)

33.1 (3.7)

③結論

・ブリンゾラミドはCA-Ⅱに対する強力な選択的阻害剤であり、CA-Ⅱに対するKi値は0.145 nMであった。また、ブリンゾラミドは、CA-Iと比較し、CA-Ⅱに対して約95倍の選択 性を示した。

・ブリンゾラミドはCA-Ⅱに対し、そのエナンチオマー体AL−7118Aより約8倍高い結合 性を示した。

・ブリンゾラミドはCA-Ⅱに対し、ドルゾラミドよりも高い結合性を示した。

・ブリンゾラミドのN-デスエチル代謝物であるAL-8520Aは、CA-Ⅱに対してブリンゾラ ミドと同程度の結合性を有し、機能分析の結果は、CA-Iに比較しCA-Ⅱへのより高い選 択性を維持していた。

・各化合物のCA分子種に対する相対結合性(Ki値)は、IC50値で表される酵素分子種に 対する阻害能と相関性がみられた。

(11)

2)ウサギ房水動態に及ぼすブリンゾラミドの作用・・・・・・・・・・・・・・添付資料ホ−4 ウサギ房水動態に及ぼすブリンゾラミドの作用を眼内走査フルオロフォトメトリーにより 検討した。

①方法

a)フルオロフォトメトリー

ベースライン及び処置後におけるフルオロフォトメトリーは、それぞれ 1 週間の間隔 を空けて実施した。各観察日の15時間前に、角膜にイオントフォレーゼ(iontophoresis)

によりフルオレセインを投与した。翌日の朝、眼圧及び角膜厚、角膜径、前房深度を常法 により測定し、角膜及び前房容積を算出した。フルオロフォトメトリー(Fluorotron)を 2回ずつ4セット45分間隔で実施し、測定した角膜及び前房のフルオレセイン濃度より 房水流量を算出した。次に各実験動物に0.5%チモロール点眼液を点眼、又は耳辺縁静脈 にアセタゾラミド(滅菌Diamox solution)を静注し(20 mg/kg)、さらに45分間隔で2 回ずつフルオロフォトメトリーを行った後、眼圧を測定し、これを3セット繰り返した。

1週間後、1%ブリンゾラミド懸濁点眼液を 観察日前日の夜、当日の朝8時及び昼12時 の計3回、各実験動物の片眼へ2 × 25μLずつ投与し、フルオロフォトメトリーを行なっ た(シリーズ1)。観察1週間後、ブリンゾラミドを同様の方法で同一眼に投与し(シリー ズ2)、単一の房水流量を算出した。

b)房水流出能

全てのフルオロフォトメトリー終了 1週間後、12匹中6匹のウサギに1%ブリンゾラ ミド懸濁点眼液を同一眼に各1滴投与した。1時間後に眼圧を測定し、麻酔をした後、両 眼の前房にカニューレを挿入した。各眼を、水柱及び圧トランスデューサーにチューブを 通して直列式に接続した。チューブ内の圧力を経時的に測定することにより、瞬時の眼圧 及び一定時間ごとの眼圧推移を求めることが可能になった。コンピューター自動制御シス テム及びデータ収集下で、圧力とカラム中の水の高さの圧力/体積キャリブレーショング ラフを用いて、時間当たりの圧力表示の実測値を時間当たりの体積(流量)に換算した。

房水流量値は、眼圧が麻酔前より5及び12 mmHg上昇した際のデータを収集し、房水 流出能(Ctot)は、流量変化と眼圧変化の比率として算出した。

c)ブドウ膜強膜流出量

フルオロフォトメトリー検討終了1週間後、残りの6匹のウサギに1%ブリンゾラミド を同じ眼に1滴投与した。1時間後に眼圧を測定し、ウサギに麻酔をした後、両眼の前房 にカニューレを挿入した。前房にfluorescein isothiocyanate(FITC) dextran(10-4 M)

を25 mmHgの圧力で30分間注入した。その後ウサギを屠殺し、眼球を摘出した後ブド ウ膜強膜流出量(Fu)を測定した。

(12)

②結果 a)房水流量

表ホ−3に示すとおり、2回目のシリーズのブリンゾラミド投与によって房水流量は対 照眼に比べ有意(p= 0.02)に減少した。また、ブリンゾラミド投与1、2.5 及び4時間 後で眼圧が下降したが、5.5時間後では下降が認められなかった。

表ホ−3  ウサギ房水流量に及ぼすブリンゾラミドの作用 処置眼 (Mean ±

SD)

n=12

対照眼 (Mean ± SD)

n=12

p値

(paired t-test ) 1時間後 23.1 ± 2.4 24.7 ± 2.3 0.03 2.5時間後 21.6 ± 2.5 22.5 ± 1.9 0.05 4時間後 21.3 ± 2.1 23.8 ± 1.9 0.001 眼圧*

(mmHg)

5.5時間後 22.2 ± 2.6 23.5 ± 1.5 0.08 房水流量(μL/min) 2.2 ± 0.5 2.7 ± 0.6 0.02

*眼圧は、1セットスキャン終了毎に測定した。

b)房水流出能

2段階定圧注入法により測定された房水流出能は、ブリンゾラミド投与で変化は認めら れなかった(表ホ−4)。ブリンゾラミド投与及び対側対照眼の房水流出能はそれぞれ0.34

±0.09及び0.29±0.13μL/min/mmHgであった。ブリンゾラミド投与眼の眼圧(20.3±

3.2 mmHg)は対側対照眼(24.0±4.5 mmHg)に比べ有意に下降した(p=0.03)。

表ホ−4 ウサギ眼圧及び房水流出能に及ぼすブリンゾラミドの作用 処置眼(Mean ± SD)

n=6

対照眼(Mean ± SD)

n=6

p値 (paired t-test) 眼圧

( mmHg) 20.33 ± 3.20 24.00 ± 4.47 0.03

房水流出能

(μL/min/mmHg) 0.34 ± 0.09 0.29 ± 0.13 0.42

処置眼 対照眼

ウサギの番号

IOP Ctot* IOP Ctot* 処置眼

59 15 0.36 17 0.28 OS

60 24 0.37 25 0.14 OS

61 21 0.35 30 0.19 OD

62 20 0.16 25 0.27 OS

63 23 0.38 26 0.46 OD

64 19 0.43 21 0.42 OD

*:2段階定圧注入法により測定された房水流出能

(13)

c)ブドウ膜強膜流出量

FITCデキストラン眼内注入法により測定されたブドウ膜強膜流出量は、ブリンゾラミ ド処置眼(0.38±0.07μL/min)及び対側対照眼(0.33±0.06μL/min)の間に有意差は みられず、ブリンゾラミド投与による変化は認められなかった(表ホ−5)。ブリンゾラ ミドの点眼1時間後、対側対照眼(23.8±1.7 mmHg)に比し処置眼(20.8±2.2 mmHg)

の眼圧が有意に下降した(p=0.02)。

表ホ−5 ウサギ眼圧及びブドウ膜強膜流出量に及ぼすブリンゾラミドの作用

摘要 処置眼(Mean ± SD)

(n=6)

対照眼(Mean ± SD)

(n=6)

p値 (paired t-test) 眼圧

( mmHg) 20.80 ± 2.20 23.80 ± 1.72 0.02

ブドウ膜強膜流出量

(μL/min) 0.38 ± 0.07 0.33 ± 0.06 0.17

処置眼 対照眼

ウサギの番号

IOP Fu* IOP Fu*

処置眼

65 21 0.41 25 0.25 OS

66 19 0.40 21 0.34 OD

67 19 0.29 23 0.31 OS

68 20 0.33 24 0.37 OD

69 25 0.35 24 0.30 OS

70 21 0.50 26 0.43 OS

*: 蛍光トレーサー法により測定されたブドウ膜強膜流出量

③結論

ブリンゾラミドの点眼は、ウサギにおいて房水流量を低下させ、その結果眼圧下降をもたら すことが示唆された。

(14)

3)ヒトの房水動態に及ぼすブリンゾラミドの作用・・・・・・・・・・・・・・・・・ホ−参1 ブリンゾラミド又はドルゾラミドの点眼による房水流量への影響について、健常人を対象に 比較検討を行なった。

①方法

二重盲検法により、プラセボを対照としてブリンゾラミド又はドルゾラミド投与による房 水流量への影響を比較した。25 人の健常被験者が本試験に参加した。各被験者は、3 期間 でプラセボ、1%ブリンゾラミド、2%ドルゾラミドをランダムに片眼に投与し、プラセボを 対照眼に投与して試験した。眼圧はGoldmann眼圧計にて測定し、房水流量はフルオロフォ トメトリーによって測定した。

②結果

ブリンゾラミド投与眼の房水流量は1.94±0.38μL/minと、対照眼の2.41±0.38μL/min と比べ有意に低下(19%±10%)し、眼圧も対照眼に比べ有意に下降(10%±7%)した

(p<0.001)。また、ドルゾラミド投与眼でも同様に房水流量は 2.02±0.39μL/minと、対 照群の 2.32±0.42μL/min に比べ有意に低下(12%±12%)し、眼圧も対照眼に比べ有意 に下降(7% ± 8%)した(p<0.001)。

ブリンゾラミド投与群の房水流量の低下率は、ドルゾラミド投与群に比べ有意に高かった

(p=0.019)。

③結論

・ヒト正常眼圧被験者における試験でブリンゾラミドが房水産成を減少させることにより眼 圧を低下させることが示唆された。

・ブリンゾラミドがCA阻害によりその効果を発揮しているということは、既承認のCA阻 害剤であるドルゾラミドが本薬と同様に房水流量を減少させ、かつ眼圧を低下させている ことからも示唆された。

(15)

4)ウサギ及びヒトにおける房水動態に及ぼす作用の違いについて

ウサギ及びヒトにおけるブリンゾラミドの眼圧と房水流量におよぼす影響を表ホ−6 にま とめた。表に示した様に、1%ブリンゾラミド点眼剤のウサギの眼(ホ−4)及びヒトの眼 (ホ

−参1)における眼圧下降効果に明らかな差は認められなかった。1週間後に1%ブリンゾラ ミドをウサギへ再投与した時の眼圧は、対照眼に比べ投与 1 時間後(p=0.03)、2.5 時間後

(p=0.05)と4時間後(p=0.001)において有意に低下したが、5.5時間後では低下は認めら れなかった。ウサギにおける1%ブリンゾラミド投与後の房水流量は、2.2±0.5 μL/minであ り、対照眼(2.7±0.6μL/min)と比べ有意に減少(p=0.02)し、その減少率は18.5%であっ た。また、表ホー4および表ホー5に示したように、ブリンゾラミドはウサギにおける総流出 量またはブドウ膜強膜流出量に有意な効果を示さなかった。

1%ブリンゾラミド点眼剤の健常被験者(25人)への点眼投与試験において、午前8時から

午後4時における房水流量は1.94±0.38 μL/min(平均値±標準偏差)であり、対照眼(2.41

±0.38 μL/min)と比べ19±10%低下したことから、ブリンゾラミドは正常眼圧のヒトにお いて房水産成を減少させることにより眼圧を低下させていると考えられる。午後(4時前後)

の1%ブリンゾラミド投与群の眼圧は13.6±1.8 mmHg であり、対照眼(15.1±1.7 mmHg ) と比べ10.7%減少した。

従って、ブリンゾラミドのウサギとヒトにおよぼす効果に違いは認められず、両種で房水産 生を減少させることにより眼圧を低下させると考えられる。

表ホ−6 1%ブリンゾラミドの眼圧と房水流量におよぼす影響

種 眼圧変化(%) 房水流量変化(%)

ウサギ -10.5 %1 (p<0.01) -18.5 % 2(p=0.02) ヒト -10 %3 (p< 0.001) -19 %4 (p<0.001)

1 21.3 + 2.1 mm Hg(ブリンゾラミド投与)、23.8 + 1.9 mm Hg(対照眼)  (平均 + 標準偏差)

2 2.2 + 0.5 µL/min(ブリンゾラミド投与)、2.7 + 0.6 µL/min(対照眼)  (平均 + 標準偏差)

3 13.6 + 1.8 mm Hg(ブリンゾラミド投与)、15.1 + 1.7 mm Hg(対照眼)  (平均 + 標準偏差)

4 1.94 + 0.38 µL/min(ブリンゾラミド投与)、2.41 + 0.38 µL/min(対照眼) (平均 + 標準偏差)

(16)

(2)効力を裏付ける薬理試験

1)サルにおける眼圧下降作用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ホ−5 カニクイザル(Macaca fascicularis)の右眼繊維柱帯部にレーザー光凝固術を施して慢性 高眼圧モデルを作成し、試験薬を投与した。左眼は無処置とした。これらの動物は覚醒状態で 眼圧を測定するため、睡眠薬や鎮静剤などを使わずに拘束椅子にて眼圧測定ができるように訓 練された。これら12匹のサルにおいて1%ブリンゾラミド懸濁点眼液を1日2回点眼し、ク ロスオーバー試験によって眼圧下降作用を検討した。

①方法

高眼圧カニクイザルにおけるベースライン眼圧測定後、1%ブリンゾラミド懸濁点眼液を 各動物の右眼に1日2回(12時間間隔にて)1回30μL(0.3 mg)点眼した。眼圧は、第 1日目の初回投与の1、3、6、及び12時間後及び第1日目の2回目の投与12時間後に測定 した。4週間後、全ての動物がブリンゾラミドを投与されるように投与群を交叉して同様の 操作を行った。

②結果

ブリンゾラミド点眼後の眼圧の変化を図ホ−1に示す。眼圧下降作用は第1日目の初回投 与3時間後にピークに達した。初回投与の1、3、6、及び12時間後の時点において、眼圧 は有意な下降(p<0.001)を認め、それぞれベースライン値に対し24.7%、35.8%、26.5%

及び23.5%、2回目の投与12時間後では17.6%の下降率を示した。朝の投与12時間後に おける眼圧下降率は23.5%であり、夜の投与12時間後における眼圧下降率は17.6%であっ た。しかしながら、朝の投与12時間後の眼圧は27.3±5.6 mmHg (平均値±標準偏差)、

夜の投与12時間後の眼圧は29.4±6.5 mmHg(平均値±標準偏差)であり、この2.1 mmHg の差は統計学的に有意なものではなく、眼圧計の精度が±2mmHgであること及び高圧眼サ ルにおける眼圧は 2〜3 mmHgのバラツキがあることを考え合わせると、サルの昼と夜で の眼圧下降効果に差はないと考える。

③結論

ブリンゾラミドは高眼圧カニクイザルで著明な眼圧下降をもたらすことが明らかになっ た。

ヒトでの眼圧は夜中に上昇することが知られている31)32) ことから、薬剤は特に夜、眼圧 下降効果を示す必要がある。サルにおける眼圧の日内変動に関する報告は現時点でみあたら ないが、アルコンにおいてレーザー処置高眼圧サルの眼圧の日内変動を観察したところ、午 後から夜にかけ眼圧が下降する傾向がみられた。健康なヒト及び緑内障患者においても同じ

31)Liu, J.H.K, Kripke, D.F., Hoffman, R.E., Twa, M.D., Loving, R.T., Rex, K.M., Gupta, N. and Weinreb, R.N.:

(17)

傾向がみられている33)。このことから、夜に測定を行った1回目の点眼投与後の眼圧は、

朝に測定した2回目の点眼投与後の結果よりも低くなった可能性があると考えられる。

ブリンゾラミドは、高眼圧サルにおいて再現性のある有意な眼圧下降を示した。

図ホ−1 サルの眼圧に対する0.3mgブリンゾラミドの作用

(18)

2)ウサギにおける用量反応試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ホ−6 ブリンゾラミド0.25mg、0.5mg及び1 mg投与による眼圧下降作用を正常眼圧のダッチベ ルト(Db)ウサギ28匹を用いた2つの試験で検討した。

①方法

ベースライン眼圧を2回測定した後、各動物の左眼に各製剤2×25μLを 右眼に溶媒を 点眼し、投与0.5、1、2、3、4、5、及び6時間後に眼圧を測定した。一方の試験では0.25mg 投与群と1mg投与群(各群 7匹)を比較し、他方の試験では0.5mg投与群と1mg投与群 を比較した。

②結果

図ホ−2 及び図ホ−3 に示すように、全てのブリンゾラミド投与群において投与後1〜2 時間をピークとする眼圧下降が認められた。

用量依存性についての統計学的解析は、これら 2 つの試験データを統合して行った。ブ リンゾラミドの全用量群において、ベースラインから有意な眼圧下降が認められた。また、

全投与群(0.25mg、0.5mg及び1 mg)において、7回の眼圧測定全てにわたって溶媒群に 比し有意な眼圧下降(p<0.0001)が認められた。7回の眼圧の平均値を比較すると、0.25mg ブリンゾラミドの眼圧下降作用は、0.5mg(p<0.005)及び 1 mg(p<0.02)のブリンゾラ ミドより有意に弱く、用量依存性が示された。0.5mgと1 mgのブリンゾラミド投与群間に は平均眼圧下降作用に有意な差は認めれらなかった。

③結論

ブリンゾラミドは、正常眼圧ダッチベルトウサギにおいて再現性のある有意な眼圧下降を 示した。

(19)

図ホ−2 ウサギの眼圧に対するブリンゾラミドの用量反応性 本文中の統計解析に関する解説を参照。0.25mg投与群の反応は、

有意に1.0mg投与群の反応よりも小さかった。

図ホ−3 ウサギの眼圧に対するブリンゾラミドの用量反応性

(20)

3)ウサギにおける2製剤の生物学的同等性・・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ホ−7 正常眼圧のダッチベルト(Db)ウサギを用い、クロスオーバー試験にて2種類のブリンゾ ラミド懸濁点眼液の眼圧下降作用を比較検討した。X処方は     としてX(  %)を

含む1%ブリンゾラミド懸濁点眼液であり、Y処方は     Y(   %)を含む1%ブ

リンゾラミド懸濁点眼液である。

海外で実施した用量反応試験(C-92-25)では前者が用いられ、国内で実施したブリッジン グ試験(C-97-11)においては後者が使用されたことから、本試験は外国臨床試験成績外挿に 際し、両製剤の眼圧下降効果における同等性を確認するために実施された。

なお、薬理試験で用いた製剤における界面活性剤の種類を表ホ−7に示す。

表ホ−7 薬理試験で用いた製剤における     の種類

試験 添付資料       の種類

サル点眼眼圧下降作用 ホ−5 X

ウサギ点眼眼圧下降作用(用量依存性の検討) ホ−6 X ウサギ点眼2種類の処方の生物学的同等性 ホ−7 X Y ウサギ点眼視神経乳頭血流量に及ぼす作用 ホ−8 Y

①方法

ダッチベルトウサギ46匹を眼圧計による眼圧測定に馴化させた後、23匹ずつ、2つのグ ループに分け、試験に用いた。第1日目には、ベースライン眼圧測定を 2回から4回実施 後、2回の最終測定ベースライン眼圧の安定性及び相似性にもとづいて最初のグループの 23匹のうち19匹を採用した。これら19匹はさらに2つの投与群に分けられ、それぞれ左 眼にX処方又はY処方、右眼にそれぞれの点眼液の溶媒(     又は     )を 投与した。投与0.5、1、2、3、4、及び5時間後に眼圧を測定した。第2日目には2番目の グループ23匹に同じ操作を施し、ベースライン眼圧測定後、21匹を採用した。これら21 匹をさらに2つの投与群に分け、それぞれ製剤もしくは溶媒を投与した。3週間の間隔をお いた後、製剤を入れ替えて同様な処置を行った。

②結果

全ての実験動物についてデータを集計し、各測定時点における平均眼圧(±SEM)を図 ホ−4に示した。いずれの製剤も、ベースラインもしくは対側の対照眼と比べ、眼圧の下降 がみられた。また、平均眼圧は投与後の全測定時点において両製剤間で同等であった。従っ て、最近製造されたY含有製剤(Y処方)は、X含有製剤(X処方)と生物学的に同等の効 果を有すると結論付けられた。

(21)

率が 90%以上になるように標本のサイズを決定した。これはダッチベルトウサギ眼圧の標 準偏差が約2.24 mmHgであると仮定して設定された。ベースライン眼圧は各動物における 2つの最終測定値の平均値とした。信頼区間は全て±2 mmHg相当範囲であり、製剤間の違 いは±2 mmHg未満であることに95%の確信をもてるということを示唆した。順序効果は 統計学的に有意ではなかったため、持ち越し効果はないものと判断された。薬剤―時期間の 相互作用効果は統計学的に有意であったが、いずれのグループにおいてもその違いの大きさ は予め設定された許容範囲内であり、±2 mmHg以内であったため、無視することができ ると考えられる。

④結論

ダッチベルトウサギにおいて、Yを用いて調製されたブリンゾラミド懸濁液は、Xを用い て調製された製剤と生物学的に同等であった。

図ホ−4 ウサギの眼圧に対するブリンゾラミドの作用

(22)

4)ウサギ眼内血流に及ぼすブリンゾラミドの活性・・・・・・・・・・・・・・添付資料ホ−8 ブリンゾラミドの眼内視神経乳頭(ONH)微小血管血流へ及ぼす作用を、ウサギを用い、

レーザー・ドップラーフローメトリー(LDF)で検討した。溶媒を対照として、ONH血流に

対する2%ブリンゾラミドの点眼による作用をドルゾラミド(2%)と比較した。

①方法

鎮静剤(acepromazine)を投与した9匹のダッチベルトウサギを用いて三元配置クロス オーバー法により行った。各処置期間に亘って、処置眼(OD)だけにブリンゾラミド、ド ルゾラミド、又は溶媒を1回1滴、1日2回、7日間点眼した。ONH血流、血圧、心拍数、

眼圧、及び動脈の pH、O2分圧、CO2分圧などの測定は、点眼処置前及び 8日目の点眼後 90分の時点で実施した。7日から14日間の休薬期間の後、クロスオーバー・デザインの次 の処置が開始された。

②結果

全てのパラメーターのベースライン値は、投与前に測定された。これらのベースライン値 を比較した結果、有意差はなかった。引き続いての 3 回のベースライン期間に観察された 眼圧は17.8 ± 0.2、17.5 ± 0.4及び17.0 ± 0.3 mmHgであった。

それぞれのパラメーターのベースラインからの変化率(%)は表ホ−8に示したとおりで ある。これらの結果から、溶媒処置群に比べ、2%ブリンゾラミド懸濁液(AL-4862)の1回1 滴、1日2回、1週間の点眼は眼圧を有意に低下させ(p<0.05)、ONH血流量を有意に増加 させた(p<0.05 )。ドルゾラミド投与群に観察されたONH血流量の増加は、溶媒群に対し 有意に高かった(p<0.05)。ONH 血流量反応について、2%ブリンゾラミド、2%ドルゾラ ミド両群間に有意差はなかった。

また、O2分圧の統計学的に有意な増加 (8.5±2.4%、p<0.05) と血漿pHの減少(0.45±

0.22% 、p<0.05)が認められたが、生物学的に有意と考えるには変化が少なすぎると考え られた。

③結論

ウサギへのブリンゾラミド点眼は、ONHへの血流量を有意に増加させた。

表ホ−8  2%ブリンゾラミド又は2%ドルゾラミド点眼後のONH血流量、眼圧及び全身 パラメーターの変化(%) (平均±標準誤差)

処置群 ONH血流量 眼圧 血圧 心拍数 pACO2 pHA pAO2

ブリンゾラミド 11.23 ± 1.84

b0.05 -16.8 ± 2.2

b0.05 3.8 ± 5.6

bNS 11.5 ± 6.4

bNS -6.7 ± 3.8

bNS -0.45 ± 0.22

b0.05 8.5 ± 2.4

b0.05 ドルゾラミド 8.42 ± 4.31

b0.05

-20.7 ± 3.9

b0.05

-7.8 ± 3.2

bNS

0.1 ± 4.8

bNS

-10.2 ± 2.7

b0.05

-0.65 ± 0.20

b0.05

6.9 ± 1.82

b0.05 溶媒 -6.6 ± 3.2 3.6 ± 3.6 2.3 ± 5.3 15.3 ± 9.6 2.4 ± 2.9 0.05 ± 0.15 -2.9 ± 1.9

(23)

5)ドルゾラミドによる眼圧下降効果との比較・・・・・・・・・・・・・添付資料ホ−参5〜7 米国アルコン社では緑内障モデル動物を用いた本薬とドルゾラミドとの同一試験における 比較検討は実施しておらず、また、文献検索(2001 年 10月現在まで)においても該当する 報告はなかった。しかし、米国アルコン社では、本薬の各種製剤処方を比較検討していた当時、

緑内障モデル動物ではないが、正常眼圧ウサギを用いてドルゾラミドを対照としてブリンゾラ ミドの眼圧下降作用を同一試験で比較検討していたので、以下にその成績を示す。また、本薬

1%及び 2%を高眼圧サルに点眼した際の眼圧下降効果を検討した試験成績と、これとは個別

に実施したドルゾラミド 2%を同じく高眼圧サルに点眼した際の眼圧下降効果を検討した試 験成績を示す。

①正常眼圧ウサギを用いた試験(添付資料 ホ−参5)

a)方法

1%ブリンゾラミド臨床処方懸濁液又は 2%ドルゾラミド臨床処方懸濁液(販売名:

TRUSOPT)を、7匹のダッチベルトウサギの右眼に1回1滴(ブリンゾラミド300μg、

ドルゾラミド600μg相当量)点眼した。左眼は無処置対照とした。眼圧は投与0.5、

1.0、2.0、3.0及び4.0時間後に測定した。

b)結果

結果を表ホ−9に示す。1%ブリンゾラミド群においては、点眼後0.5、1.0、2.0及 び 3.0 時間で、ベースラインと比べて統計学的に有意な眼圧低下(p<0.05)が認められ、

最大眼圧低下は投与1.0時間後の25.4%であった。一方、2%ドルゾラミド群において は、点眼後0.5、1.0及び2.0時間で統計学的に有意な眼圧低下(p<0.05)が認められ、最 大眼圧低下は投与1.0時間後の22.5%であった。

c)考察

1%ブリンゾラミド臨床処方懸濁液と 2%ドルゾラミド臨床処方懸濁液は正常眼圧ウ

サギにおいて点眼投与により眼圧を低下させ、その効果発現時間や持続時間は類似して いた。この試験結果は正常眼圧ヒトでの 1%ブリンゾラミドと 2%ドルゾラミドの眼圧 低下作用が同等だったという報告(添付資料ホ−参1)と一致している。

(24)

表ホ−9 ダッチベルトウサギにおける1%ブリンゾラミドと2%ドルゾラミドの 眼圧におよぼす影響

投与化合物 時間 (hr) 眼圧(mmHg) 平均 ± 標準誤差

変化  (%) 平均±標準誤差

0.0 23.7 ± 0.29 0.0

0.5 19.3 ± 0.87 -18.6a ± 3.59 1.0 17.7 ± 0.64 -25.4a ± 2.17 2.0 21.4 ± 0.69 -9.6a ± 3.07 1%ブリンゾラミド処置眼

(300μg)(右眼)

3.0 22.6 ± 0.53 -4.9a ± 1.48

0.0 23.6 ± 0.64 0.0

0.5 23.9 ± 0.74 1.0 ± 2.33 1.0 22.9 ± 0.83 -3.2 ± 3.07 2.0 24.6 ± 0.48 4.2 ± 2.40 無処置対照眼(左眼)

3.0 24.9 ± 0.77 5.3 ± 2.74

0.0 24.7 ± 0.47 0.0

0.5 19.6 ± 1.45 -21.2a ± 4.82 1.0 19.3 ± 1.61 -22.4a ± 5.13 2.0 21.6 ± 1.11 -12.9a ± 3.41 2%ドルゾラミド処置

眼(600μg)(右眼)

3.0 23.4 ± 0.61 -5.1 ± 2.23

0.0 24.9 ± 0.48 0.0

0.5 23.4 ± 1.04 -6.2 ± 2.97 1.0 23.7 ± 0.92 -5.1 ± 1.94 2.0 26.3 ± 0.61 5.5 ± 1.61 無処置対照眼(左眼)

3.0 26.4 ± 0.72 6.2 ± 3.12

ap<0.05;ベースライン(0.0時間値)と比較して統計学的に有意な差がある。

②高眼圧サルを用いた試験(添付資料ホ−参6、7) a)方法

右眼繊維柱帯部にレーザー光凝固術を施して慢性高眼圧モデルを作成した雌雄のカ ニクイザルに試験薬を投与した。左眼は無処置とした。

i)ブリンゾラミド(添付資料ホ−参6)

1%及び 2%ブリンゾラミド懸濁液を 7 匹のカニクイザルの高眼圧右眼に点眼した

(それぞれ300μgと600μg相当量)。左眼は無処置対照とした。眼圧は、投与後1、

3、6時間に覚醒状態で測定した。

ii)ドルゾラミド(添付資料ホ−参7)

2%ドルゾラミド懸濁液(無水遊離塩基として1.8%含有)を14匹のカニクイザルの 高眼圧右眼に 2滴(25μl×2)点眼し(1mg、 無水遊離塩基として0.9mg相当量)、

薬剤投与1、3、6時間後に覚醒している状態で眼圧を測定した。

(25)

ンゾラミド投与群においては、ベースライン(33.0±2.6 mmHg)から投与1時間後 で12.8±3.1% (p<0.01)、3時間後には26.9±6.2%(p<0.01)、6時間後には30.8±

4.4%(p<0.001)低下しており、2%ブリンゾラミド投与群においては、ベースライン

(31.7±2.5 mmHg)から投与1時間後に15.4±3.5%(p<0.01)、3時間後には26.9

±2.7%(p<0.001)、6時間後には26.0±3.2%(p<0.001)低下させたが、両群間に統 計学的有意差は認められなかった。さらに、1%と 2%ブリンゾラミド懸濁液は、同 等な眼圧低下作用を有することが示された。

ii)ドルゾラミド(添付資料ホ−参7)

表ホ−11に示すとおり、平均眼圧は投与1、3、6時間後にそれぞれ8.6、11.1、9.2 mmHg を示し、ベースライン(35.0±2.0 mmHg)から1時間後には 23.7±2.5%

(p<0.001)、3時間後には29.7±3.5%(p<0.001)、6時間後には24.1±3.9%(p<0.001)

低下した。

c)考察

上記のようにブリンゾラミドとドルゾラミドの眼圧下降効果を同じ試験で比較はし ていないものの、これらの試験は同じ緑内障モデル動物を用いており、そのモデルの ベースライン眼圧は近似していた (ブリンゾラミド試験では33.0±2.6 mmHg、ドルゾ ラミド試験では35.0±2.0 mmHg)ことから、両試験成績を比較することは可能で、何 らかの示唆は得られると考える。2つの構造の異なる炭酸脱水酵素阻害剤が共に緑内障 モデル動物の眼圧を低下させたことから、炭酸脱水酵素が眼圧調節に寄与していること が示唆された。また、両化合物とも高眼圧モデルで眼圧を低下させたことから、ヒト(緑 内障患者)においても同様な作用が期待できる。さらに、1%ブリンゾラミド懸濁点眼 液は、2%ドルゾラミド懸濁点眼液と同等の眼圧低下作用を有することが示唆された。

(26)

表ホ−10 カニクイザルにおけるブリンゾラミドの眼圧におよぼす影響 投与化合物 投与後時間 (hr) 眼圧1(mmHg) 下降率  (%)

0 33.0 ± 2.66 0.0

1 28.7 ± 2.62 -12.8a ± 3.19 3 23.7 ± 2.23 -26.9a ± 6.23 1%ブリンゾラミド処

置眼

(300 μg)

n=7 6 22.4 ± 1.65 -30.8b ± 4.43

0 21.0 ± 1.15 0.0

1 21.4 ± 1.29 2.5 ± 4.63 3 20.3 ± 1.13 -3.2 ± 2.52 無処置対照眼

6 20.3 ± 1.25 -3.3 ± 3.24

0 31.7 ± 2.51 0.0

1 26.4 ± 1.25 -15.4c ± 3.53 3 22.9 ± 1.06 -26.9b ± 2.73 2%ブリンゾラミド処

置眼(600 μg)

n=7

6 23.3 ± 1.61 -26.0b ± 3.29

0 22.0 ± 1.89 0.0

1 23.0 ± 1.63 5.6 ± 3.13 3 21.7 ± 1.41 -0.1 ± 2.72 無処置対照眼

6 22.4 ± 1.48 3.6 ± 4.64

1平均 ± 標準誤差

ap<0.01; bp<0.001; cp<0.05;ベースラインと比較して統計学的に有意な差がある。

表ホ−11 サルにおけるドルゾラミドの眼圧におよぼす影響

処置薬剤 時間 (hr) 眼圧 (mmHg) 下降率 (%)

0 35.0 ± 2.04 0.0

1 26.4 ± 1.33 -23.7a ± 2.59 3 23.9 ± 0.71 -29.7a ± 3.50 2%ドルゾラミド処置

眼 n=14

6 25.8 ± 1.01 -24.1a ± 3.92

0 21.9 ± 0.91 0.0

1 21.6 ± 0.70 0.0 ± 3.57 3 23.3 ± 0.72 7.6 ± 2.82 対照眼

n= 4

6 23.3 ± 0.50 8.1 ± 3.32

ap<0.05;ベースラインと比較して統計学的に有意な差がある。

(27)

6)本剤とドルゾラミドの臨床効果について・・・・・・・・・・・・・・・・添付資料ホ−参6 表ホ−2に示したとおり、in vitroでのヒトⅡ型炭酸脱水酵素に対するブリンゾラミドの結 合親和性は、ドルゾラミドのそれに比べモル濃度ベースで約2倍程度高いことから(ブリンゾ ラミド:Ki=0.145 nM、ドルゾラミド:Ki=0.225 nM)、in vivoにおいても、ブリンゾラミド は、眼組織中の炭酸脱水酵素に対して強く結合し、ドルゾラミドよりも持続的な眼圧下降効果 を示す可能性が考えられる。すなわち、ブリンゾラミドはその点眼回数を減らしてもドルゾラ ミドと遜色のない眼圧下降効果を発揮し得ることが示唆される。

in vivo におけるブリンゾラミドの眼圧下降効果について、ヒトに対する点眼剤の眼圧下降

作用を予測するための最適な薬理実験モデルである高眼圧カニクイザルモデルを用いて評価 を行った。その結果、少なくとも投与12時間後においても有意な眼圧下降効果が持続してい ることが確認された。このことは、本剤の臨床用法を1日2回点眼(BID)とすることの妥当 性を示唆するものであると考えられる。

一方、ドルゾラミドにおける眼圧下降効果に関する検討では、同一のモデルを用いた結果、

その持続効果は12時間に満たないことがドルゾラミドの開発メーカーであるメルク社より報 告されている。以下にそれぞれの成績を示す。

①ブリンゾラミドの眼圧下降効果の持続性に関する検討(添付資料ホ−参6)

高眼圧カニクイザルモデルを用いたブリンゾラミドの眼圧下降効果の持続時間に関する 検討結果を下記の表に示す。臨床で最大の効果を示す1%ブリンゾラミドの1回点眼(30μ L)により、高眼圧カニクイザル(n=7)で投与12時間後においても投与6時間後と同程度 の眼圧下降効果が確認された。

表ホ−12 高眼圧カニクイザルモデルにおけるブリンゾラミドの眼圧下降効果

投与後時間 IOP (平均+標準誤差) % 変化率 (平均+標準誤差) 0 hr 33.0 + 2.66 mm Hg 0.0 + 0.0

1 hr 28.7 + 2.62 mm Hg -12.8a + 3.19%

3 hr 23.7 + 2.23 mm Hg -26.9a + 6.23%

6 hr 22.4 + 1.65 mm Hg -30.8b + 4.43%

12 hr 22.4 + 1.72 mm Hg -30.3b + 5.79%

ap<0.01; bp<0.001

参照

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