平成24年度修士論文
Web 閲覧履歴と周辺情報の要約と視覚化
学籍番号 1131023 氏 名 大井 彩香
情報・通信工学専攻 コンピュータサイエンス コース
指導教員 寺田 実 准教授 副指導教員 角田 博保 准教授 提出日 2013年 1月25日
専攻主任印 主指導教員印 指導教員印
1
概要
研究目的
Webブラウザの閲覧履歴から得られた情報は多様であり,様々な用途に利用することが出来る. 例えば, 履歴を提示・把握することで行動想起や過去に見たページへの再訪問,組織における管理者のWeb閲覧管 理を支援することが可能である. 本研究では履歴を含めた閲覧時の状況に関する情報に着目した. 閲覧時 刻,タイトル等の基本的な履歴情報の他に, 使用アプリケーション情報などの新たな情報を利用してWeb 利用者が自分の閲覧状況を把握するための情報提示方法について検討する.
方法
ウィンドウを監視して, タイトル等の閲覧履歴情報以外にウィンドウをアクティブにしている時間, ア プリケーションの利用状況, 検索に使用したクエリの情報を収集する. 得られた情報を閲覧順, 閲覧時間, ページの内容等から要約・解析を行い,データベースに記録しておく. このデータベースを利用し,ローカ ルサーバ上でCGIを使用して表示を行う.
結論
ユーザの行動情報や検索に使用した単語等を利用した結果,アプリケーションの使用状況から,関連した Webページなどを提示することで, Web閲覧状況把握を支援することは可能である. また,検索単語を表 示によって過去の閲覧状況をある程度理解することも可能であり,閲覧状況把握のために履歴以外の情報 を利用することは有用であるといえる.
PC全体の使用状況を閲覧状況と同時に把握することでブラウジング支援や行動の振り返りを支援する ことは可能だが,再訪問支援をするためには閲覧状況全体を把握するだけでなく,再訪問されると予想され るページを特定する処理やユーザ側の操作をより自由にさせることが必要であると考えられる.
2
目 次
第1章 序論 6
1.1 背景 . . . . 6
1.2 着眼点 . . . . 6
1.3 目的 . . . . 7
1.4 論文構成. . . . 7
第2章 関連研究 8 2.1 閲覧順の可視化 . . . . 8
2.2 ページ群の分類による可視化. . . . 8
2.3 キーワード抽出による可視化. . . . 11
第3章 提案手法 13 3.1 概要 . . . . 13
3.2 履歴提示. . . . 13
3.2.1 1日ごとのWeb閲覧時間(図3.4) . . . . 15
3.2.2 Web閲覧時間とアプリケーション使用時間の比率(図3.4) . . . . 15
3.2.3 Web閲覧状況とアプリケーション使用状況(図3.5) . . . . 16
3.2.4 分類されたWebページ群(図3.6) . . . . 16
3.2.5 ページ間の切り替え情報(図3.7) . . . . 18
3.2.6 検索に使用した単語(図3.8) . . . . 19
3.2.7 ホスト名リスト(図3.9) . . . . 19
第4章 予備実験 22 4.1 df値の取得 . . . . 22
4.2 tf-idf値の閾値. . . . 22
第5章 実装 24 5.1 構成 . . . . 24
5.2 データ取得部 . . . . 25
5.2.1 閲覧履歴と使用アプリケーションの取得 . . . . 25
5.2.2 検索クエリの取得. . . . 26
5.3 データ解析部 . . . . 27
5.3.1 単語の重要度の計算 . . . . 27
5.3.2 ページ分類 . . . . 27
5.4 解析データ表示部 . . . . 29
5.4.1 JavaScript InfoVis Toolkit . . . . 29
5.4.2 Canvas . . . . 29
5.5 データの取り扱い範囲 . . . . 30
3
第6章 評価実験 31
6.1 評価方法. . . . 31
6.2 アンケート結果 . . . . 31
6.2.1 各表示方法についての考察. . . . 33
6.2.2 全体についての考察 . . . . 34
第7章 結論 35 7.1 結論 . . . . 35
7.2 今後の課題 . . . . 35
7.2.1 ユーザ側の操作について . . . . 35
7.2.2 解析時間. . . . 35
7.2.3 閲覧履歴の共有 . . . . 36
7.2.4 履歴の取り扱い範囲 . . . . 36
謝辞 37
4
図 目 次
1.1 History21 . . . . 6
2.1 Rirekipad : 閲覧したページのリスト[1] . . . . 9
2.2 サムネイル付き履歴機能[2] . . . . 9
2.3 デスクトップメタファー[3] . . . . 10
2.4 アクティブ期間を利用したクラスタリング[4] . . . . 10
2.5 VANBETA :閲覧動向の特徴マップ[5] . . . . 11
2.6 自己組織化マップを利用したキーワードマッピング[6] . . . . 12
3.1 概要図 . . . . 13
3.2 各表示方法のリンク構造 . . . . 14
3.3 1日ごとのWeb閲覧時間. . . . 15
3.4 Web利用時間とアプリケーション使用時間の比率 . . . . 16
3.5 時系列表示の例 . . . . 17
3.6 分類されたWebページのタイトルリスト表示 . . . . 17
3.7 グラフ構造表示の例 . . . . 18
3.8 検索に使用した単語 . . . . 19
3.9 ホスト名リスト . . . . 20
3.10 ホストごとにまとめられたページリスト . . . . 20
3.11 利用シナリオ例 . . . . 21
4.1 tf-idf値分布の近似曲線. . . . 23
5.1 構成図 . . . . 24
5.2 Googleで検索した時の検索要求のURL. . . . 26
5.3 Yahoo!JAPANで検索した時の検索要求のURL . . . . 26
5.4 階層的クラスタリングの仕組み . . . . 28
5.5 JavaScript InfoVis Toolkitの使用例. . . . 29
5.6 ソース5.1の表示 . . . . 30
5
表 目 次
4.1 df値をあらかじめ用いた時の計算速度 . . . . 22
4.2 tf-idf値の計算結果 . . . . 23
5.1 検索エンジンリスト . . . . 26
5.2 接尾語, 接頭語の結合例 . . . . 27
6
第 1 章 序論
1.1 背景
近年インターネットの普及によりWebを用いての情報収集はごく一般的になっており, Webブラウザ の閲覧履歴から得られた多様な情報は,様々な用途に利用されている. 例えば, googleには過去の閲覧ペー ジから情報を検索できるWeb History 1や,適切な広告表示のために人物イメージ推定機能などユーザの 履歴を利用したサービスが提供されている. 閲覧履歴を視覚化し情報把握を容易にすることで,行動想起 や過去に見たページへの再訪問,組織における管理者のWeb閲覧管理などを支援することが可能である.
各ブラウザごとにも閲覧履歴を表示する機能はあるが,閲覧件数が多くなるほどテキスト情報のみで履 歴情報を把握することは困難になると考えられる. 閲覧履歴の要約と可視化には様々な方法があるが, 本 研究では閲覧履歴を含めた閲覧時の状況に関する情報に着目した. 閲覧時刻,タイトル等の基本的な履歴 情報の他に閲覧回数, 使用アプリケーション情報などの新たな情報を利用して, Web利用者が自分の閲覧 状況を把握するための情報提示方法について検討する.
図1.1: History21
1.2 着眼点
本研究ではPC操作情報などの履歴以外の周辺情報に着目した. Web閲覧時のページ移動は必ずしも連 続しているとは限らず,合間に他の作業を挟むことがある. 例えば, 後述する関連研究[4]では近い時刻に 閲覧したページ群は同一の目的において閲覧したものであると仮定し, 履歴要約において一定の効果があ るとした. しかしWeb閲覧時別の作業を挟んでいた場合,近い時刻で閲覧していなくとも作業に関連する 項目を閲覧している可能性があると考えられる. 本研究ではアプリケーションの使用を1つの作業とみな す. 同じアプリケーションを利用している場合, 同じ作業をしていると考える. 例えば論文作成において
LaTeXを利用している場合, LaTeXを使用している時間が同じ作業中であるとみなす.
1Google Web History, http://www.google.com/history.
2Chromeウェブストア- History2, https://chrome.google.com/webstore/detail/cahejgbbfgmlmjgdjlibphdjeldhagkp.
第1章 序論 7
1.3 目的
本研究では閲覧時刻,タイトル等の履歴情報以外に使用アプリケーション情報などのPCを利用して,閲 覧状況把握を支援することを目的とする. 多様な観点から閲覧履歴の視覚化を行い, Web利用者が自分の 閲覧状況を把握するための情報提示方法について検討する. 閲覧状況を把握することで行動の振り返りや ページ再訪問を支援する.
1.4 論文構成
本論文の構成概略を以下に示す. 本章では「序論」として本研究をはじめた背景と着目点,そして目的 について述べた.
第2章では,本研究との関連研究について述べる.
第3章では,本研究で作成した提案システムについて述べる.
第4章では,予備実験について述べる.
第5章では,本研究で作成したシステムの実装について述べる.
第6章では,評価実験と考察について述べる.
第7章では,結論と今後のことについて述べる.
8
第 2 章 関連研究
閲覧履歴に可視化に関する研究は,アクセス管理や情報再取得,履歴情報共有などのユーザの閲覧支援を 目的に行われ,閲覧順,閲覧ページ群の分類,各ページのキーワードや関連性などをもとに閲覧状況を可視 化する.
2.1 閲覧順の可視化
閲覧順を重視した可視化手法としてタイトルやクラスタごとのガントチャート風の表示方法,ページ取 得時刻を元にしたサムネイル時系列表示方法などがある.
山本は次回の訪問時にページを探す負荷を軽減するするために,ブラウザの履歴機能を拡張し,閲覧時間 やページ発見経路を記録し提示するシステムRirekipadを提案した(図2.1)[1]. 任意のページに対して前 後に見ていたページのサムネイルを利用してグラフ構造で表示される機能が提供されている. 新美らはブ ラウザが持つ履歴情報を可視化するシステムとしてサムネイル付きの履歴機能を実装した(図2.2)[2]. 閲 覧した各ページのサムネイル画像をタイトルと共に時系列順に表示し,タイトルかURLでの検索機能を付 けることでWebページ探索支援を行った.
これらの研究は,閲覧順や閲覧時刻を表示することでWeb閲覧体験を想起させ,閲覧状況や情報の再訪 問を支援することが可能である. しかし, 短時間で大量にWebページを閲覧した場合, 時系列で表示する 際の閲覧件数の多さから,閲覧内容を概観することが困難になることがある. またサムネイルを多用する とWebページを瞬時に把握できる半面,似たようなデザインのページに関する履歴が多いと混乱を招く場 合がある.
2.2 ページ群の分類による可視化
分類した履歴情報を重視した可視化手法としてグラフやサムネイルなどのマッピングを用いた表示方法 などがある.
鈴木らは表示方法と履歴の操作性を向上させるために,デスクトップという仮想空間を用いて,キーワー ドあるいは時間帯別に履歴を分類して表示するシステムを提案した(図2.3)[3]. 手動分類フェーズが用意 されており,デスクトップのフォルダ操作と同じように,フォルダを作成して自ら履歴を分類することが可 能である. 金澤らは近い時刻に閲覧したページ群は同一の目的において閲覧したものであると仮定し, こ れをアクティブ期間と定めた. Web閲覧中に行った行動を記録し,アクティブ期間単位で分類を行い,検索 表示するシステムを提案した(図2.4)[4]. このシステムは閲覧経験の想起や評価に対して一定の効果があ ることが実証されている.
これらの研究は,閲覧履歴を要約し表示することで閲覧情報を整理し,興味傾向・推移を把握することで ページ推薦,再訪問を支援することが可能である. 主に分類された情報を如何に見やすくするかに注視さ れており, この他にもガントチャートや3次元空間を利用する方法も提案されている. どのように分類す るかは個別で研究されている場合がある.
第2章 関連研究 9
図2.1: Rirekipad : 閲覧したページのリスト[1]
図 2.2: サムネイル付き履歴機能[2]
第2章 関連研究 10
図 2.3: デスクトップメタファー[3]
図2.4: アクティブ期間を利用したクラスタリング[4]
第2章 関連研究 11
2.3 キーワード抽出による可視化
キーワード抽出による可視化手法として, Webページの内容,あるいは分類した情報からキーワードを 抽出し,自己組織化マップなどを用いて表示する研究がある. 自己組織化マップとはニューラルネットワー クの一種で,教師なし競合学習モデルである. もともとは連想記憶という人工ニューラルネットワークの 研究の中で提案されたアイデアだが, データ可視化やデータマイニングでも活用されている. 高次元デー タを2次元平面上へ非線形写像するデータ解析方法で,与えられた入力情報の類似度をマップ上での距離 で表現するため,類似性の高いデータは近傍領域に配置される.
戸川らは, 組織における管理者が行うWeb閲覧動向監視作業を支援するために, 閲覧したWebページ をカテゴライズし,カテゴリ名を自己組織化マップを利用して可視化する支援モデルVANBETAを提案し
た(図2.5)[5]. 管理者が特徴マップを参照することで,利用者のWeb閲覧動向把握が容易になることを示
した.
吉田は閲覧したページに出現するキーワードを抽出し, Webページ及びページ内で使われたキーワード 同士の関連性を自己組織化マップを用いて視覚化し,閲覧傾向確認や再訪問するためのシステムを提案し
た(図2.6)[6]. 閲覧ページのキーワード抽出による可視化は,キーワード同士の関連性を示すことで過去の
閲覧傾向の確認を行うことが可能である.
図2.5: VANBETA :閲覧動向の特徴マップ[5]
第2章 関連研究 12
図2.6: 自己組織化マップを利用したキーワードマッピング[6]
本研究との関連性
閲覧履歴の提示には様々な手法があり,状況に応じて多様な観点から情報を要約する必要がある. また, 履歴情報を把握するためにはブラウザで保存されるタイトル等の単純な履歴情報以外の情報も利用するこ とも有用である.
本研究では履歴情報以外の情報として, PC上での行動情報などの周辺情報に着目した. この周辺情報と 通常の履歴情報を用い,主に閲覧順,閲覧時間を重視した閲覧履歴の把握のための可視化手法を検討する.
13
第 3 章 提案手法
3.1 概要
閲覧履歴とPC上での行動情報等の周辺情報を利用することで閲覧状況把握を支援する. 履歴情報に Webページの内容およびアクティブ時間・アプリケーション利用状況の情報を付加し, 状況に応じた様々 な情報提示方法を吟味する. 閲覧履歴を可視化する際の利用する要素としては以下の情報が挙げられる.
• 既存のWebブラウザに保存・提示される情報 – 閲覧時刻,タイトル, URL.
• ブラウザ上での行動情報
– 閲覧時間,テキスト類似度,使用したクエリ.
• PC上での行動情報
– ページ移動情報, 使用アプリケーション情報.
これらの情報を利用し,多様な観点から閲覧履歴の視覚化を行い,情報把握および取得の効率化を図る.
図3.1: 概要図
3.2 履歴提示
閲覧状況把握のための情報要約・提示方法をいくつか検討する. 1日,あるいは数日分の履歴データを利 用して概観を大まかに把握し,さらに細かく見る場合はリスト表示などで補足する. 表示する情報は主に 以下の7つを検討した.
• 1日ごとのWeb閲覧時間
• Web閲覧時間とアプリケーション使用時間の比率
• アプリケーション使用状況と閲覧状況
• 分類されたWebページ群
• ページ間の切り替え情報
• 検索に使用した単語
• ホスト名リスト
これらはそれぞれ別の表示方法もしくはリスト表示にリンクする.
第3章 提案手法 14
図3.2: 各表示方法のリンク構造
第3章 提案手法 15
図3.3: 1日ごとのWeb閲覧時間
土曜日にPCの起動がないことや,金曜日のWeb閲覧時間が他の曜日より多い ことなどが読み取れる.
3.2.1 1 日ごとの Web 閲覧時間 (図 3.4)
カレンダーを利用して, 1日のWeb閲覧時間を1ヶ月分表示する. 1日のWeb閲覧時間が増えるにつれ て該当日の背景色が濃くなり, 0〜1時間, 1〜2時間, 2〜3時間, 3〜5時間, 5時間以上の計5色に色分けす る. また, PCの起動がない場合は白色のままとなる. このページは後述する節3.2.3の1日のWeb閲覧状 況とアプリケーション使用状況の表示へリンクさせるため,トップページの役割を果たす. 日々の閲覧時 間を視覚的に把握することで, 長時間のWeb利用の防止等のブラウジング改善に役立てる.
3.2.2 Web 閲覧時間とアプリケーション使用時間の比率 (図 3.4)
日々のWebページの閲覧時間とアプリケーションの使用時間を積み立てグラフにより表示する. 今ま での閲覧状況把握を把握するとともに,具体的な閲覧時間の推移を表示することからカレンダー表示の補 助的な役割を果たす. また,アプリケーションの使用時間を合わせて表示することで,アプリケーションを 利用した作業時間と閲覧時間の比率を把握し,行動想起やブラウジング改善の一助にする. 例えば,最近の Web閲覧時間が増えてきている, あるいは作業していたはずなのに思っていたよりもWebの閲覧時間の 方が多いといった場合, Webの利用を控えるべきであるといったことが分かる.
第3章 提案手法 16
図3.4: Web利用時間とアプリケーション使用時間の比率
3.2.3 Web 閲覧状況とアプリケーション使用状況 ( 図 3.5)
1日のWeb閲覧状況とアプリケーションの使用状況を時系列で把握する. Webページの分類およびキー ワードの選出を行い,閲覧時間でシンプルに時系列表示することで閲覧内容の概観を把握しやすくする. 全 体的なPCの使用状況を履歴と一緒に把握した方が行動を想起しやすく, Webページの再訪問に役立つと 考え, アプリケーション使用時間も同時に時系列化する. これにより閲覧情報に閲覧時の行動情報が追加 され,ページ再訪問の一助となることを期待する.
ある時間帯にどのような傾向のページを見ているのか大まかに把握することで,閲覧時刻,タイトル等が 分からない場合にも情報再取得を感覚的に行うことができる.
3.2.4 分類された Web ページ群 (図 3.6)
節3.2.3で表示される分類されたWebページのリストは図3.6のようにサムネイルと共に表示すること
ができる. このリストはクラスターキーワードからリンクされており,閲覧した順番で表示され,それぞれ のタイトルから実際のWebページへリンクしている. これにより再訪問をより短いステップで行うことが 可能である. なお,サムネイルの作成にはSimpleAPI1を利用した.
1SimpleAPI, http://img.simpleapi.net/
第3章 提案手法 17
図3.5: 時系列表示の例
左:クラスタキーワード,右上:時系列表示,左下:閲覧時刻リスト 昼過ぎと夕方に閲覧が集中している, アプリケーション使用を挟んだ閲覧があることが読 み取れる.
図3.6: 分類されたWebページのタイトルリスト表示
第3章 提案手法 18
図 3.7: グラフ構造表示の例
ノード:Webページとアプリケーション,エッジの太さ:ページ間の切り替え回数, 右側:任意のノードと繋がっているノードのリスト.
3.2.5 ページ間の切り替え情報 ( 図 3.7)
ページ間の切り替えが多い時,そのページ同士の関連度は高いと仮定し, JavaScript InfoVis Toolkit2を 利用して無向グラフにより表現する. 各Webページおよびアプリケーションをノードとし,ページの移動 をグラフ構造にて表現し, 1日の行動を振り返り,切り替え回数をエッジの太さで表すことでページ同士の 関連性を視覚的に把握する. ただし情報が多すぎるとかえって混乱を招くため, 表示の際はホストごとに まとめ,実際のURLはグラフ横に別途表示する.
グラフ構造にすることでページの移動経路を辿ることを容易にし,任意のノードにつながっているノード 群をグラフ横に表示するすることで, ページ同士あるいはページと使用アプリケーションとの関連性を知 ることができる. 任意のアプリケーション使用時に参照しているページを把握することで,アプリケーショ ン情報を再訪問の手がかりとして利用出来ると考えられる. 例えば図3.7 の場合,中央のノード(Eclipse) を使用している際に参照していると思われるページがいくつかあるのが読み取れる. また,それらのペー ジは相互に移動していないので直接的な関係は薄いといった情報の整理が行える.
2JavaScript InfoVis Toolkit, http://philogb.github.com/jit/
第3章 提案手法 19
図 3.8: 検索に使用した単語
3.2.6 検索に使用した単語 ( 図 3.8)
検索に使用した単語ごとに閲覧ページをまとめることで再訪問を支援する. さらに単語の使用頻度や検 索に有効な単語を判別する. なおここでは,単語の使用頻度は検索単語を利用して実際に開いたページの 数を指す. 有効的なクエリによって効率的な情報取得を支援する.
使用頻度が高い単語は良く調べる単語,あるいは検索において有効的でない単語の可能性がある. 例え ば, 使用頻度が低くても適切な情報が手に入ればそれは検索において有効的な単語であったと言える. 使 用者によって検索の意図,検索に利用する単語の有効性は様々であると考え,検索単語を使用して閲覧した ページ数,閲覧した時間,の2つの観点から要約と表示を試みる. そこで単語の使用頻度を円の大きさで表 現し, 単語によって得たページを利用した時間の平均が高い順に円の色を濃くすることで表現する. すな わち,検索に使用しても実際に検索結果からページを開かなかった場合は数に含まない.
図3.8の場合,円が大きい方が色が薄くなる傾向があるのが読み取れる. つまり,検索単語の利用頻度と 検索結果から得たページの閲覧時間は必ずしも比例しないことが分かる. ただし他のデータを利用した場 合,円の大きさに差ほど違いが出ないこともある. また,これらの検索単語から過去にどのページを見たの か把握することで再度検索しなくても,再訪問ページを限定することも可能である.
3.2.7 ホスト名リスト (図 3.9)
今までの閲覧履歴をホストを最終訪問日時とともにリスト表示する. また,ホストごとにWebページを まとめ,まとめられたリストはホストごとの総閲覧時間と共に図3.10のようにサムネイル付きリストで表 示する. どれくらいのホストを見ているのか大まかに把握し,ホストごとの閲覧時間に違いがあるのかを 基本情報として提示する.
第3章 提案手法 20
図3.9: ホスト名リスト
図3.10: ホストごとにまとめられたページリスト
第3章 提案手法 21
図3.11: 利用シナリオ例
利用シナリオ例
例えば,ブックマークなどをしていないページに再訪問したい場合,閲覧時の行動を思い出すか再訪問し たいページの特徴が必要である. そこで,どんなアプリケーションをいつ頃使っていたか,あるいは閲覧行 動が多い時間帯など節3.2.3の図3.5から時系列で把握し,その時間帯を集中的に探すことで再訪問を支援 する. クラスタキーワードに覚えがあればクラスタ内のリストをチェックすることで再訪問することが出 来る. また,閲覧に日にちが分からない場合, 節3.2.1の図3.3, 節3.2.2の図3.4といった表示方法を利用 することで閲覧時間や作業時間から大まかな日にちを特定することも可能である.
22
第 4 章 予備実験
4.1 df 値の取得
節5.3で後述するtf-idf値の計算には文書群が必要になるが, dfを求める際,計算の度に文書数を数える と計算量が多くなることがある. また, idfは単語の逆出現頻度であるので,ある程度の文書数がないと期
待されたtf-idf値が計算できない場合がある. これを解決するために,あらかじめ大量の文書群を使ってdf
値を求めておく手法がある. 例えば[8]において近藤らはユーザのWeb閲覧履歴からのキーワード抽出に, 検索エンジンにおけるヒット数をdfとしたWebIDFを1つの指標として使用した. また, perlモジュー
ルにはLingua::JA::TFIDF1 という予め検索エンジンによって求められたなどがある. これらを使うこと
で,計算の度に文書数を数えることもなく, さらに少ない文書群でも計算できる.
そこで, Wikipediaから単語を抽出して試験的にdf値を求め,新しいdfファイルを作って利用してみた.
まずwikipediaのタイトル約1340000件を使い形態素解析を行い,名詞410241個を得た. さらに, 得られ
た各単語をYahoo!デベロッパーネットワーク2を利用して検索した時の検索結果数をdf値として保存し た. 無作為に選んだ100件のWebページをデータセットとしてtf-idf値を求めたところ図4.1のような結 果を得た.
表4.1: df値をあらかじめ用いた時の計算速度
計算時間[s]
あらかじめ求めたdfを使った場合 29.23 100件の文書群のdfを使った場合 3000.67
あらかじめ求めたdf値を使った場合,使わなかった場合よりも著しく遅くなった. これはdf値のセット が膨大だったため検索に時間がかかったと考えられる. 本研究では1日の閲覧件数を文書群としてtf-idf 値を求めるので,処理の手軽さを考え,それぞれの文書群のdfを使うこととした.
4.2 tf-idf 値の閾値
次に,計算量削減のためtf-idf値の閾値を定める. tf-idf値が低い単語はその文章を特徴づける語と言え ず,またキーワード選出やクラスタリング等にも影響が出にくいと考える.
まず,文章中の助詞や助動詞などは,ほぼ全ての文章に出現するため一般的に文章の特徴づける単語には なり得ない. そこで文章中の名詞のみを用いる. 次にSMARTのstop list3 を利用して. 英語の不用語を 削除する. これらの処理を前提として, さらにtf-idf値が低い単語を削減する.
無作為に選んだ10000件のWebページをデータセットとしてtf-idf値を求めその分布を調べたところ, 表4.2, 図4.1のような結果を得た.
1Lingua::JA::TFIDF, http://search.cpan.org/ miki/Lingua-JA-TFIDF/.
2Yahoo!デベロッパーネットワーク,http://developer.yahoo.co.jp/webapi/dir/.
3SMART stop list, http://jmlr.csail.mit.edu/papers/volume5/lewis04a/a11-smart-stop-list/english.stop
第4章 予備実験 23
表4.2: tf-idf値の計算結果 tf-idf
最高値 10.21
最低値 14.11∗10−6 平均値 14.83∗10−3
図4.1: tf-idf値分布の近似曲線
図4.1より,分布が高くなるtf-idf値は0.001〜0.003であった. よって,これよりも小さい値は文章を特 徴づけるには低い値であると考えられる. そこで,それぞれのページの抽出単語数のうち,tf-idf値が0.001 以上となる単語の割合を調べたところ, 各ページにおいて約93.1%の単語のtf-idf値が0.001以上であっ た. これは文書ベクトルやキーワードを求める際にも十分なデータ量であると考えられる. よって, 0.001 をtf-idf値の閾値とし, 0.001以上値をtf-idf値として使用することとした.
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第 5 章 実装
5.1 構成
本システムは以下の3要素で構成される.
• データ取得部
ウィンドウを監視することで使用アプリ,閲覧履歴等を取得する.
• データ解析部
蓄積した履歴データのクラスタリングおよびキーワードの選出のためにデータの解析を行う.
• 解析データ表示部
解析後のデータから,ローカルサーバを介してCGI等を用いて履歴情報を提示する.
データ保管,解析,提示を含めすべてユーザのPC内で行うものとする. なお,本システムは,プログラミ ング言語Rubyを用いて実装した.
図5.1: 構成図
第5章 実装 25
5.2 データ取得部
5.2.1 閲覧履歴と使用アプリケーションの取得
履歴情報および使用アプリケーション情報取得のためにウィンドウを常時監視し,以下の情報を取得する.
• 閲覧ページのタイトル
• 閲覧ページのURL
• 使用したアプリケーションウィンドウのタイトル
• 使用したアプリケーションのパス
• 各ページの閲覧時刻,使用時刻
• 各ページの閲覧時間,使用時間
本研究ではアクティブになっているウィンドウを閲覧および使用しているものとみなし, Windowsが提
供するWindowsAPIを用いてウィンドウを監視し, 閲覧時間および使用時間として計測する. なお,同じ
ウィンドウでタブを切り替えた場合にはアクティブになっているページが変わったとみなし,各ページご との閲覧時間を計測する. ウィンドウは1秒おきに観測し, GetForegroundWindowでアクティブウィンド ウを把握し, GetWindowTextでタイトルを得る.
さらに,各ウィンドウを起動しているアプリケーションを把握するために,ウィンドウ監視と同時に以下 の手順で実行ファイルのフルパスを把握する.
1. GetClassNameでアクティブウィンドウのウィンドウクラスを取得.
2. GetWindowThreadProcessIdでプロセスIDを取得.
3. OpenProcessでプロセスハンドルを取得.
4. GetProcessImageFileNameでプロセスの実行ファイルのフルパスを取得.
また,ブラウザはInternet Explorer(以下IE)もしくはFirefoxを想定し,ウィンドウ監視中に履歴情報 をもとにURLを取得し, URLからコンテンツ,検索クエリを取得した.
IEのURL取得にはCOMコンポーネントを利用する. アクティブになっているウィンドウハンドルか らIEで開いているURLとタイトルの一覧を取得する. Firefoxを使用した場合はplaces.sqliteにアクセス してURL等の履歴情報を取得する. places.sqliteはFirefoxの閲覧履歴情報が格納されているデータベー スである. 本研究では閲覧履歴のベースとなるmoz placesテーブルとページの訪問履歴が記録されている moz historyvisitsテーブルを使用した.
第5章 実装 26
5.2.2 検索クエリの取得
主要なポータルサイト等で検索エンジンを使用した場合に, その検索クエリを取得する. 検索クエリは 図5.4のように検索要求のURLに含まれているので, URLよりクエリ部分のみを抽出する.
検索エンジンを提供している主要なサイトとして表5.1の10個を選出した. これらのURLを取得した 場合に検索エンジンを使用したものとみなして検索クエリの抽出を行う. さらに検索に複数の語を使って いる場合はスペースで分け,検索結果から得たページと共に記録しておく.
図5.2: Googleで検索した時の検索要求のURL
図5.3: Yahoo!JAPANで検索した時の検索要求のURL
表 5.1: 検索エンジンリスト 検索エンジン URL
Yahoo!JAPAN http://search.yahoo.co.jp/
Google http://www.google.co.jp/
BIGLOBE http://cgi.search.biglobe.ne.jp/
Bing http://www.bing.com/
OCN http://ocnsearch.goo.ne.jp/
goo http://search.goo.ne.jp/
nifty http://search.nifty.com/
infoseek http://websearch.rakuten.co.jp/
Excite http://websearch.excite.co.jp/
livedoor http://livedoor-search.naver.jp/
NAVER http://search.naver.jp/
第5章 実装 27
5.3 データ解析部
5.3.1 単語の重要度の計算
Webページからそこに記述されている内容を抽出するために, Webページのプレーンテキストに対して 形態素解析を行った. なお,形態素解析ツールとしてはMecab1を用いた. 形態素解析の結果抽出された名 詞を用いて文書ベクトルやキーワードの生成を行った. また,接尾語,接頭語が名詞と連続して出現した場 合は結合し, 1つの単語として扱った.
表5.2: 接尾語,接頭語の結合例 組み合わせ 例
名詞+接尾語 可能+性 接頭語+名詞 御+先祖
必要な単語群を抽出後, tf-idf値と単語を利用して,文章中に出現した単語の重要度を数値化した. tf-idf とは単語の出現頻度tfと逆出現頻度idfの2つの指標を用いて文章中の単語の重要度を計算するアルゴリ ズムで,以下のように計算される.
tf idf =tf·idf (5.1)
tfi= ni
Σknk
(5.2) idfi= log |D|
{d:d3ti} (5.3)
ここで,niは文書中の単語iの出現数,|D|は全文書数,{d:d3ti}は単語iが出現する文書の数である.
tf-idf値が高いほど,文書中の単語の重要度が高いといえる.
また,文章の主題はその文章の序盤に出現する可能性が高い. 飯田らは重要語抽出に利用する要素とし て,文章の出現位置を正規化した値を用いた[9]. さらに, Webページの場合はタイトルがページと関連の あるキーワードを含ませている可能性が高い. そこで,形態素解析の際,対象となる単語が全単語中一番最 初に出現する位置を取得し,式5.4のように,出現が速い単語ほど高く重み付けを行った. さらにタイトル に含まれる単語に関してはtf-idf値を2倍にすることによって重みづけをすることとした.
score=tf idf∗ (
1−単語の出現位置 単語の総数
)
(5.4)
5.3.2 ページ分類
図3.5で使用するために, 1日に見たWebページを文書群としてクラスタリングを行った.
クラスタリング手法には階層的クラスタリングと非階層的クラスタリングの2種類がある. 階層的クラ スタリングとは,個体間の類似度あるいは距離に基づいて最も似ている個体から順次集めてクラスタを作っ ていく分類手法である. クラスタを作るたびに全ての個体に対して距離を計算し直すのでデータ数が多い と時間がかかるが, 分類性能は高くなる. 非階層的クラスタリングはクラスタの数をあらかじめ決めてお き, ある評価基準の意味で良い分割結果が得られるようにデータを分類していく方法である. 膨大なデー タを処理する際に利用されるが,初期値の選び方によっては適切なクラスタが生成されない場合がある. 今 回は1日ごとのデータセットでクラスタリングを行うので,データ量は著しく膨大になることはないと予 想されるため,精度を重視してクラスタリングには階層的クラスタリングを用いる.
1形態素解析エンジンMeCab, http://mecab.sourceforge.net/.
第5章 実装 28
図 5.4: 階層的クラスタリングの仕組み
階層的クラスタリングは最も似ている個体から順次集めてクラスタを作っていくため,最終的にすべて の個体が1つのクラスタ結合されるまで結合処理を繰り返す. 本研究では文書群を細かく分類しすぎると 分類結果を提示する際に見にくくなってしまうと考え, 10個のクラスタに分類した. なお,クラスタ間の 距離には直観にそったクラスタが得られることが多い群平均法を用いる. 群平均法では各クラスタ内の全 ての個体間の距離の平均をクラスタ間の距離と定義する. 節5.3.1で得られた単語の重要度を用いて文書 ベクトルを作成し,コサイン類似度を用いたページ同士の類似度を距離とみなして階層的クラスタリング 行った.
コサイン類似度とは, ベクトル空間モデルにおいて文書同士の類似度を計算する手法の1つである. 例 えば,文書Aに含まれるm個の単語について,単語の重要度をwa1, wa2,· · ·, wamとすると文書Aの文書 ベクトルは
A~= (wa1, wa2,· · ·, wam) (5.5)
と表すことができる.同様に文書Bに対してB~ = (wb1, wb2,· · ·, wbn)とすると,コサイン類似度は以下の 式で求めることができる.
cosθ= A~·B~
|A~||B~| (5.6)
さらに,各クラスタを代表するクラスタキーワードを求めた. まず,分類されたページに含まれるすべて の単語について,単語ごとにtf-idf値の合計を算出する. 分類されたページ全体に対するキーワードを求め たいので, 各文書に出現する回数が全体の半分以上の単語の中でtf-idf値の合計が最も高い単語をクラス タキーワードとした. また,各文書に出現する回数が全体の半分以上の単語が存在しない場合は,単語群全
ての中でtf-idfの合計値が最も高い単語をクラスタキーワードとした. 解析後のデータの保存にはデータ
ベース管理システムsqliteを利用し,このデータを元に表示を行った.
第5章 実装 29
5.4 解析データ表示部
解析後のデータから,ローカルサーバを介してCGIを用いてブラウザ上に履歴情報を提示した. サーバ の構築にはWebrick2 を使用した. WebrickはHTTPサーバの機能を提供するRubyのライブラリである.
グラフなどの描画にはHTML要素やJavascriptのライブラリを利用した.
5.4.1 JavaScript InfoVis Toolkit
図3.7を作成するためにJavaScript InfoVis Toolkit3 を利用した. JavaScript InfoVis Toolkit とは
JavaScriptを使ってデータをビジュアル化するライブラリである. JSONデータとの連携が可能であり,本
研究では関連グラフを利用したが,グラフ以外にも様々なデータの描画方法やアニメーション効果を提供 している.
図 5.5: JavaScript InfoVis Toolkitの使用例 (脚注3のサイトより引用)
5.4.2 Canvas
図3.8を作成するためにHTML5のCanvas要素を利用した. Canvasとは, ブラウザ上に2次元の図形 を描くために策定された仕様で,プラグインを使わずにJavaScriptベースで様々な図形を描くことができ る. 予め画像を用意する必要はなく,条件に応じて表示する図を変化させることが可能である.
2webrick - Rubyリファレンスマニュアル, http://www.ruby-lang.org/ja/man/html/webrick.html.
3JavaScript InfoVis Toolkit, http://philogb.github.com/jit/
第5章 実装 30
ソースコード 5.1: Canvasの記述例 f u n c t i o n sample ( ) {
v a r c a n v a s = document . getElementById ( ’ sample ’ ) ; i f ( c a n v a s . g e t C o n t e x t ) {
v a r c o n t e x t = c a n v a s . g e t C o n t e x t ( ’ 2 d ’ ) ; c o n t e x t . f i l l S t y l e = ’ rgb ( 0 , 0 , 2 5 5 ) ’ ; c o n t e x t . f i l l R e c t ( 2 0 , 2 0 , 4 0 , 4 0 ) ; c o n t e x t . f i l l S t y l e = ’ rgb ( 2 5 5 , 0 , 0 ) ’ ; c o n t e x t . a r c ( 1 0 0 , 4 0 , 2 0 , 0 , Math . PI∗2 , t r u e ) ; c o n t e x t . f i l l ( ) ;
c o n t e x t . b e g i n P a t h ( ) ; c o n t e x t . moveTo ( 1 4 0 , 2 0 ) ; c o n t e x t . l i n e T o ( 1 8 0 , 6 0 ) ; c o n t e x t . l i n e T o ( 1 4 0 , 6 0 ) ; c o n t e x t . s t r o k e ( ) ;
} }
図5.6: ソース5.1の表示
5.5 データの取り扱い範囲
Web閲覧履歴は個人情報としての要素が強いため他人の履歴を自由に取得できることは好ましくなく, 複数人のデータを取り扱う場合は個人を特定できなくする等の配慮が必要になる. 本研究ではこのような プライバシーの観点から,情報の外部への流出を避けるためにクライアント側のみで実行・処理を行う. そ のため, 得られた情報はすべてローカルに保存し, 蓄積された履歴情報を解析し, この解析結果をもとに ローカルサーバを介してCGIを利用して可視化を行った.
31
第 6 章 評価実験
6.1 評価方法
本学の学生4名を被験者とし,被験者に対しデータ取得プログラム動かしながら日常通りPCを利用し てもらい, 約1ヶ月ほどをデータ収集を行った. さらに実際に履歴の解析, 提示を行ってもらい,次の点に 留意して自由記述形式のアンケートを行った.
• 各表示方法について
– 期待される効果が得られそうか,または改善点.
– 普段思っている情報とフィードバック情報との相違点.
• 全体を通して
– 何か今までにない気付きがあるかどうか.
– 各表示方法の中でどれが見やすかった,もしくは役に立ったか.
– 情報の見やすさ, その他感想.
6.2 アンケート結果
アンケート結果から以下のような意見が得られた.
各表示方法について
予期通りの効果があった場合には〇,予期通りの効果がなかった場合には×,予期しなかった効果や今ま でにない気付き等には☆をつける.
• 1日のWeb閲覧時間のカレンダー表示
〇 Web閲覧時間が大まかに分かるので長時間のWeb利用の防止等には役に立つ.
〇 色の濃さからWeb閲覧時間が一目でわかる.
× 色だけでは分かりづらいので数値も表示して欲しい.
☆ Web閲覧時間とアプリケーション使用時間で色分けしても面白そう.
• Web閲覧時間とアプリケーション使用時間の比率表示
〇 アプリを使用しているか否かを見るだけでもどのような行動をしていたかはわかる.
〇 Webを見ているときは大抵仕事をしていないので,わかりやすい.
〇 ブラウザとアプリが重なっているグラフは見易い.
〇 ブラウジングし過ぎであることがよく分かった.
× 日によってはあまり割合に変化は無いように見えた.
× カレンダーと役割が少しかぶっている.
第6章 評価実験 32
• Web閲覧状況とアプリケーション使用状況の時系列表示
〇 Webページのクラスタから,大体どういうことを探していた,見ていたかを理解しやすい.
〇 1日のPCの使用状況が大まかにわかるのが良い.
〇 ブラウザを主として使っていた時間は他のアプリケーションを使っていないように見えた.
× ぱっと見ではわかりにくいと感じた.
☆ 1日の後半に行くにつれて,集中力が切れていく必要の無いページを多く検索するようになって いく過程が見れておもしろい.
• ページ間の切り替え情報の表示
〇 使用していたアプリケーションとつながりのあるwebページを見つけやすかった.
〇 どのようなページを基点に行動しているかは分かりやすかった.
〇 特定のノードをクリックすると色がつくのは視認性が向上していい.
× ページ同士の関連度はよく分からなかった.
× ノードがすぐに多くなり見にくくなってしまう.
× 切り替え回数が一定数以下のノードは表示しないようにする機能が欲しかった.
☆ どういったときに遊び始めるかという情報も得られやすかった.
• 検索に使用した単語の表示
〇 大体どういうページを見ていやすいか理解が深まった.
〇 検索した単語と見たページがわかるので再訪問の支援に良い.
× 円の大きさの違いはあまりなかった.
☆ 色の濃さは意外なページが長くページを見ていることに気づけて面白い情報に感じた.
☆ 1つのクエリに対して深く検索することは少ない様に感じた.
• ホスト名リストの表示
〇 どのようなページを見ているか理解が深まった.
× だいたい予想通りの情報で新鮮味は感じられなかった.
☆ ホストごとに実際に何分見たのか見れればおもしろそうに感じた.
全体的な感想や意見
• 表示方法について
– データの表示を複雑にするほど情報が多く手に入るがその分理解が難しくなるので,提供する 情報の粒度を考慮して表示した方がよい.
– 計算機側で見やすさを考慮するのには限界があるので,情報量が多い場合には期間をユーザ側 で指定できるとよい.
– 1日のPCの使用時間が違っているので割合での表示もあるとよい.
• その他
– 使った期間が短かったので得られた情報は少なかった気がした.
– 年号の選択の際に初期数値が2012だったのが少し面倒.
第6章 評価実験 33
6.2.1 各表示方法についての考察
1日のWeb閲覧時間のカレンダー表示
色の濃さからWeb閲覧時間が一目でわかるという意見がある一方で,具体的な数値の表示を求める意見 も得た. また, Web閲覧時間とアプリケーション使用時間の比率情報と組み合わせて表示しても面白そう だという意見も得た. 大まかな日ごとのWeb閲覧時間は理解しやすいので長時間のWeb利用の防止等の ブラウジング支援に有効であるが,同時に具体的な数字を示す方がより効果的であると考えられる.
Web閲覧時間とアプリケーション使用時間の比率表示
アプリを使用しているか否かを見るだけでもどのような行動をしていたかわかるといった意見が得られ た. しかし, Webを見ているときは大抵仕事をしていないのでわかりやすいという意見がある一方で,日に よってはあまり割合に変化は無いように見えるといった意見を得た. Web閲覧時間とアプリケーション使 用時間の比率のみで行動を把握できる場合もあるが, 比率変化が乏しい場合もあるといえる. このことを 考慮して,比率とともに1日の閲覧ページ群の中で最も見ていたページ名やキーワードなど, 1日の閲覧行 動を最も特徴づける情報を同時に提示するとより行動把握に役立てると考えられる.
Web閲覧状況とアプリケーション使用状況の時系列表示
PCの使用状況が大まかにわかり, Webページのクラスタごとに分けることで何を探していたか,見てい たかを理解しやすいといった意見を得た. また, 1日の後半に行くにつれて必要のないページを検索してい くことから,集中力が切れていく過程が見れておもしろいとった意見も得た. このことから,時間帯とWeb クラスタでPC全体の使用状況を把握することで過去に得た情報理解を支援することは可能である. ただ し,実際に再訪問する際に利用できるかはさらなる実験と検討が必要になる. また, ユーザごとにWeb閲 覧行動に規則性や習慣的な行動が見られることもあり,行動想起にも役立つと考えられる.
ページ間の切り替え情報の表示
使用していたアプリケーションとつながりのあるwebページを見つける場合や, 行動の基点を探す場合 に有効であったという意見が得られた. また,どのアプリケーションを利用した後に遊びやすいかといった 情報が得られたという意見もあった. 一方,ページ間の関連度は分かりにくいという意見も得られたこと から,ページの切り替え情報は特定のページの関連度を把握するよりも,全体の行動が集中する起点や使用 したアプリケーションと繋がりのあるWebページ見つけることに適していると考えられる.
また,表示されるノード数が多くなり見にくくなるといった意見が多く,ノードの配置にばねモデル[13]
を利用するとよいといった意見を得た. 表示する情報量が多くなるためホストごとにまとめていたのだが, それだけでは情報をまとめるのに不十分であり, まとめ方や表示の仕方についてさらに工夫が必要である と考えられる.
検索に使用した単語の表示
検索した単語と見たページがわかるので再訪問の支援に有効であるという意見が得られた. 普段どのよ うなページを見ているかを理解するのに利用するのに役立つといった意見も得られ,閲覧ページの要約と いう点でも利用できると考えられる.
また,円の大きさは差ほど変わらないといった意見が多かったが,色の濃さから意外なページを長く見て いると分かったいう意見を得た. 円の大きさは検索単語を利用して実際に開いたページの数を表している ため,検索結果から必要なページのピックアップが適切に行われており,検索単語の利用頻度と検索結果か
第6章 評価実験 34
ら得たページの閲覧時間は必ずしも比例しないと推察できる. また,結果選択にかかわらず,検索に利用し た回数の利用も検討の余地があると考えられる.
ホスト名リストの表示
大体の情報を理解することはできるが, 特に新鮮味はなかったという意見が多かった. 基本情報として の把握する分には問題ないが,閲覧時間や閲覧数などをページタイトル欄ではなく,ホスト名とともに明示 するとより理解が高まると考えられる.
6.2.2 全体についての考察
検索単語やホスト名に関して,情報を一度に表示すると見づらくなる可能性があるため,期間を指定でき るようにすべきといった多く意見を得た. また,データの表示を複雑にするほど情報が多く手に入る反面 理解が難しくなるため, 提供する情報の粒度をさらに考慮したほうがよいという意見が得られた. 大量の データを取り扱う場合データを要約することで分かりやすく表示することが,計算機側の処理で見やすさ を考慮するだけでなく,ユーザ自身が選択する必要がある.
35
第 7 章 結論
7.1 結論
本研究では,閲覧履歴情報について履歴以外の付加情報としてWeb閲覧時間やアプリケーションの使用 状況等を利用し,ユーザが自分のWeb閲覧状況を把握するための情報提示方法について検討した.
ユーザの行動情報や検索に使用した単語等を利用した結果,アプリケーションを利用しながらWebペー ジを閲覧することはしばしばあり,アプリケーションの使用状況から,関連したWebページの提示するこ とで, Web閲覧状況把握を支援することは可能である. また,検索単語を表示するだけでも過去の閲覧状況 をある程度理解することは可能である. このことから,履歴以外の情報を利用した情報提示方法はWeb閲 覧状況把握に有効であったと言える. PC全体の使用状況を閲覧状況を同時に把握することでブラウジン グ支援や行動の振り返りを支援することは可能だが,再訪問支援をするためには閲覧状況全体を把握する だけでなく,再訪問されると予想されるページを特定する処理やユーザ側の操作をより自由にさせること が必要であると考えられる.
また,評価実験の結果から,グラフ構造からどのような時に遊び始めるかが分かる,検索単語から意外な ページを長く見ている,といった新たな気付きも得られた. さらに,アプリケーション使用状況を利用する ことで行動の基点となるページやアプリケーションがある, ユーザによって閲覧行動にある程度の規則性 があるといった知見や,検索に使用した単語を提示することで,検索結果から必要なページのピックアップ は比較的適切に行われているといった知見を得た. 共起条件等も考慮した表示方法についても検討の予知 があると考えられる.
7.2 今後の課題
7.2.1 ユーザ側の操作について
本研究では蓄積されたデータから必要な情報を抽出・要約し,分かりやすく表示することで情報の理解 を支援した. しかし,データ量によっては要約しきれない場合や表示が複雑になってしまうこともある. 今 回の被験者の場合, 1日の閲覧数が数10件〜数100件と非常に幅があり,同じような提示方法では情報の 複雑さに差が出た. 大量かつ複雑な情報を把握するためには,要約等の計算機側の処理で見やすさを重視 するだけでなく, ユーザ側の操作性をより自由にすることで適切な情報把握につなげる必要があると考え られる.
7.2.2 解析時間
本研究での情報要約はでは分類方法,キーワードの抽出や提示方法を主眼に置いたため,解析にかかる時 間はほぼ考慮されていない. 評価実験の際,解析時間は正確に測っていないが,最も多い人で解析に数時間 以上かかる人がいた. これは履歴データが人によって1日の閲覧数が数10件〜数100件と幅があり, sqlite への登録や,特に階層的クラスタリングに時間がかかったことが原因であると考えられる. 階層的クラス タリングを利用するとデータ量が多いとき, 解析に時間がかかることは自明である. ただし非階層的クラ スタリングを用いると分類精度に影響が出るので,データ取得と並行して解析するか,非階層的クラスタリ ングの利用もしくはデータ量によって併用するといった対処が必要がある.
第7章 結論 36
7.2.3 閲覧履歴の共有
本研究ではプライバシーを考慮してデータの保存・処理などを全てユーザのPC内で行っていた. 履歴 を全てを公開することは危険であり, 人によっては情報共有することへの抵抗感から閲覧行動そのものに 支障をきたす可能性がある. しかし, 情報の取捨選択を行い共有することできれば全く未知の新情報の取 得や, ソーシャルブックマークのように他ユーザを介して自分の興味のある情報が得られるといった利点 が考えられる.
7.2.4 履歴の取り扱い範囲
近年PCの利用のみならず,スマートフォンの普及などによりWebへのアクセス方法も多様になってい る. 閲覧履歴の処理や表示をユーザのPC内で行うことはプライバシー保護を考慮しての実装だが, Web アクセスを複数のデバイスで行うこともある. デバイスが変わってもユーザが行っているのは「Webサイ トを閲覧する」という行為なので, 1つのデバイスの閲覧状況を把握するのではなく, 1人のユーザの閲覧 状況を把握することは重要であると考えられる.
例えば, Chrome, Firefoxは特定のアプリケーションを利用することで, ブラウザの閲覧履歴やブック マークをスマートフォン側と同期することが出来, PCの閲覧履歴だけでなく,ブラウザごとの閲覧履歴を 把握することは有効的であると言える. このとき,各デバイスごとの行動情報,もしくはWebアクセスに使 用したデバイスなどを把握することで,閲覧履歴の把握方法の可能性を広げることが出来ると考える. よっ て今後は履歴データの取り扱い範囲やアクセスしたデバイス等を考慮した履歴管理が必要である.
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謝辞
本研究は電気通信大学情報・通信工学専攻寺田研究室において, 寺田 実准教授の御指導の下で行われま した. 寺田 実准教授には,本研究を進めるにあたり,様々な御助言や御指導を頂きました. 心より御礼申し 上げます. 明星大学情報学部の丸山 一貴准教授にも,研究内容や論文についての御意見や御指導など様々 な面で御助力をいただきました. 深く感謝致します.
修士課程二年の伊藤 亜樹さん,猪俣 順平君,太田 侑介君,修士課程一年の石川 斉君,佐々木 佳祐君,平 山 拓朗君,学部四年の齊藤 令君,鈴木 駿介君,鈴木 徹君,塚田 京介君,贄田 将史君には, 研究についての 様々な助言や評価実験,研究室での生活に関することなど,様々な点でお世話になりました. 本当にありが とうございました.
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関連図書
[1] 山本伶, ”Rirekipad : 閲覧時の状況を付加したウェブ履歴による再訪問支援” ,慶應義塾大学平成22年 度卒業論文.
[2] 新美礼彦,片山悠樹,小西修, ”サムネイル表示によるブラウザ履歴情報の可視化” ,第22回ファジィシ ステムシンポジウム論文集, 2006.
[3] 鈴木貴文, 堀幸雄,今井慈郎, ”インターネット閲覧履歴の視覚化” ,第7回情報科学技術フォーラム講 演論文集, pp.433-434. 2008.
[4] 金澤功尚,森田哲之,田中明通,加藤泰久,高橋時市郎, ”PC操作情報を利用したウェブ行動履歴表示UI の提案” ,第6回情報科学技術フォーラム講演論文集, pp.411-412. 2007.
[5] 戸川聡,金西計英,矢野米雄, ”Web閲覧特性に基づいた利用動向可視化による管理者支援システム” , インタ-ネットコンファレンス論文集, pp.77-86, 2003.
[6] 吉田健二, ”自己組織化マップを用いたWebの閲覧履歴の視覚化とその応用” ,北海道大学平成19年 度卒業論文.
[7] 戸田 智子,福田 直樹,石川 博, ”Blog記事のクラスタリングに基づいたカテゴリ別話題変遷パタンの 抽出” ,電子情報通信学会第18回データ工学ワークショップ論文集, A8-Blog, 2007.
[8] 近藤光正,森田哲之,田中明通,内山匡, ”HITSに基づくWikipediaランキングアルゴリズムとユーザ履 歴を用いた個人適応型クエリ推薦” ,電子情報通信学会第19回データ工学ワークショップ論文集, B2-4, 2008.
[9] 飯田龍,徳永健伸, ”談話の顕現性を考慮した重要語抽出とその応用” ,情報処理学会自然言語処理研究 会予稿集, Vol.2009-NL-193 No.9, 2009.
[10] Toby Segaran著,當山 仁健,鴨澤 眞夫訳, ”集合知プログラミング” ,オライリー・ジャパン, 2008.
[11] G. Salon, M. J. Mcgill, ”Introduction to Modern Information Retrieval” , McGraw-Hill, 1983.
[12] A. Cockburn, B. McKenzie, ”What Do Web Users Do? An Empirical Analysis of Web Use” , International Journal of Human-Computer Studies Vol.54, pp.903-922, 2001.
[13] T. Kamada, S. Kawai, ”An algorithm for drawing general undirected graphs” , Information Pro- cessing Letters, Vol.31, pp.7-15, 1989.