論文内容要旨 特異的読字障害児の音読における視線の特徴
昭和学士会雑誌・第76巻・第5号・2016年掲載予定
昭和大学大学院医学科 内科系 小児科学専攻 北條彰
特異的読字障害は学習障害の一つであり,知的障害がないにもかかわら ず,読字を苦手とする。近年の研究では,文字の音声化や単語や語句をひ とまとまりとして認識することの障害と考えられている.今回,特異的読 字障害の児童が読字をする際の視線を分析し,読み方の特徴を評価した.
【研究方法】
対象は,読字障害群(17人),ADHD(注意欠陥多動障害)群(10人), コントロール群(12人)の児童である.対象の児童に音読検査課題を実 施し,読み飛ばしと読み誤りの回数を測定した.同時に音読検査課題中の 視線の動きをTobii社製の眼球運動計測・視線追跡装置(アイトラッカー)
を用いて,注視点の数(視線を動かした数)や注視点の大きさ(視線が停 滞した時間)を比較し検討した.
【結果】
1) 読み飛ばし,読み誤りともに読字障害,ADHD,コントロールの順に 回数が多い傾向があった.
2) 4種類の音読検査課題において,読字障害群の注視点数がコントロー ル群の注視点数よりも有意に多かった(p<0.01).
読字障害の児童の視線の動きをアイトラッカーで可視化することは,読 字障害の児童がどのように読字に困難を伴っているかを理解するために 有用である.