別紙1
論 文 審 査 の 要 旨
報告番号 甲 ・乙 第 2849 号 氏 名 北野 敦子
論文審査担当者
主査 小風 暁 副査 後閑 武彦 副査 岩波 明
(論文審査の要旨)
対策型検診の有効性評価には net-benefit の観点からの評価が重要である。マンモグラフィ 検診は乳がんの早期発見および死亡数減少に寄与する一方で、偽陽性による追加精査や、放射 線被曝の問題、治療の必要のない乳がんの発見、時間的拘束、心理的影響など受診者に対し一 定の不利益を与えることがわかっている。
本研究では、乳がん検診で要精査となっ た者の不安・抑うつの程度を評価し、それに関連す る要因の検討を行った。
検診で要精査と評価された 320 人の女性を対象に、HADS(Hospital Anxiety and Depression Scale):不安・抑うつ尺度、Brief COPE: ストレスコーピングスタイル 、及び患者の受診歴や 社会的背景に関する質問紙調査を行った。
有効回答数は 312 人(有効回答率 97.5%)。年齢の中央値は 45 歳(23-78 歳)で、全体の 70%が不安・抑うつ状態であっ た。乳がんの家族歴、居住地域、これまでの検診回数、これま での要精査回数、精査受診までの日数が不安・抑うつの程度と有意に関連していた。また自己 非難、行動諦め、否認、気晴らし、情緒的サポート利用、感情表出などのストレスコーピング スタイルと不安・抑うつとの有意な関連を認めた。
本論文は乳がん検診が与える心理的影響について検討した本邦初の報告であ り、乳がん検診 の不利益の1つとして心理的影響があることが示唆され、学術上価値があり、学位論文に値す ると判定した。
論文題名:Psychological impact of breast cancer screening in Japan
(乳がんで検診が与える精神的影響)
掲載雑誌名:International Journal of Clinical Oncology vol. 20 p1110-1116, 2015 年
(主査が記載、500字以内)