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論 文 審 査 の 要 旨

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Academic year: 2021

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論 文 審 査 の 要 旨

報告番号

甲 第 3137 号 氏 名 上原 めぐみ

論文審査担当者

主査 教授 中村 雅典 副査 教授 馬場 一美

副査 教授 荒木 和之

(論文審査の要旨)

学位申請論文「Research on the relationship between skeletal facial types and occlusal

curvature」について、上記の主査1名と副査2名が個別に審査を行った。

正常咬合ではSpeeの湾曲等の咬合湾曲が形成されているが、歯科矯正治療では、便宜的に咬合面 を平坦化している。また、顎顔面における歯の適正な位置の明確でなく、治療目標が曖昧である。そ こで、本研究では顎顔面骨格の特徴とSpeeの湾曲等の咬合湾曲の関連性を解析した。対象は

Skeletal class II deep bite11名とSkeletal class III open bite10名で行った。その結 果、咬合接触の強い3点を通るSpee湾曲と下顎歯全歯頬側咬頭を近似的に通る咬合湾曲はSkeletal

class III open bite群のほうが有意に大きかった。また、下顎歯全歯頬側咬頭を近似的に通る咬合

湾曲の中心点は、Skeletal class II deep bite群がNasion周辺に位置するのに対し、Skeletal class III open bite群では8症例で咬合湾曲の下方遠心に、2症例でNasion周辺に位置した。以上 の結果から、学顔面骨格と咬合湾曲には関連性がみとめられ、咀嚼筋の走行・強さ、咬合力や顎運動 等の種々の因子に影響されることが示唆された。

本論文の審査において、副査の馬場委員および荒木委員から多くの質問があり、その一部とそれら に対する回答を以下に示す。

馬場委員の質問とそれらに対する回答:

1.咬合接触部位の分布はどのようであったか。

(骨格性Ⅱ級Deepbite群ではおおむね後方臼歯部に集中していたが、小臼歯や前歯にも強い咬合接 触が見られた。骨格性Ⅲ級Openbite群では全ての症例が開咬を呈しており、後方臼歯に集中してい た。)

2.対象を骨格性Ⅱ級Deepbite群と骨格性Ⅲ級Openbite群にした理由。

(骨格性Ⅱ級Deepbite群は、Deepbiteの改善のために下顎を時計回りに回転をさせると、Ⅱ級が悪 化する。骨格性Ⅲ級Openbite群は、Openbiteの改善のために反時計方向に回転させると下顎の突出 度が増してしまい、さらに下顎突出の改善のために時計回りに回転させるとOpenbiteが悪化するた め、外科処置の検討が必要である。このことから、矯正治療における難症例として、9つの分類の中 から骨格性Ⅱ級Deepbiteと、骨格性Ⅲ級Openbiteが挙げられる。以上より、本研究では両極端であ るこの2つのタイプを対象とした。)

3.咬合接触の強い3点を通るSpee湾曲と下顎頭上縁を通り、咬合接触の強い2点を通るSpee湾曲 の大きさの結果の違いをどう考えるか。

(咬合接触の強い3点を通るSpee湾曲は骨格性Ⅲ級Opebite群の方が有意に大きい値となったの は、各群における咬合接触部位の分布が影響していると考えられる。骨格性Ⅲ級Openbite群は強い

(主査が記載)

(2)

咬合接触部位が後方臼歯部に集まっているため、咬合湾曲が大きくなったと思われる。下顎頭上縁を 通り、咬合接触の強い2点を通るSpee湾曲では、有意差は認められなかった。これは、顎顔面骨格 形態に関係なく、力学的な咬合湾曲は同じような大きさになる可能性があることが考えられる。しか し、本研究では、9つの骨格タイプの内、2タイプのみ、かつ初診時のみでの分析であったため、今 後、他の顎顔面骨格タイプや、治療前後での比較が必要であると考えられる。)

4.本研究の臨床へどのように活用するか。

(歯科矯正治療の初診検査時におけるシミュレーションで、咬合湾曲の大きさや中心点の位置を参考 に、顎顔面における適正な歯の位置の治療目標を立てることに活用する。)

荒木委員の質問とそれらに対する回答:

1.測定した3つの咬合湾曲の意味の違いは何か。

咬合接触の強い部位3点を連ねたSpee湾曲咬合の重心となる咬合湾曲であり、下顎頭上縁を通り 咬合接触の強い部位2点を通るSpee湾曲は、下顎頭には咀嚼筋の牽引や咬合荷重によって反力が生 じることから、力学的咬合湾曲であるまた、下顎全歯頬側咬頭頂を近似的に通る咬合湾曲解剖学 的な咬合湾曲を示す。)

2.対象を骨格性Ⅱ級Deepbite群と骨格性Ⅲ級Openbite群にした理由は何か。

矯正治療における難症例として、9つの分類の中から骨格性Ⅱ級Deepbiteと、骨格性Ⅲ級

Openbiteが挙げられる。以上より、本研究では両極端であるこの2つのタイプを対象とした。

3.矯正治療でSpee湾曲を回復するべきか。

咬合湾曲は、顎顔面骨格、咀嚼筋の力、顎運動など様々な因子に影響を受け作られ、咀嚼の効率 化、機能的咬合平衡に寄与していることから、矯正治療において各個人にあった適切な Spee 湾曲を 付与すべきであると考える。

4.本研究の最終的な目標を述べよ。

歯科矯正治療の初診検査時におけるシミュレーションで、咬合湾曲の大きさや中心点の位置を参考 に、顎顔面における適正な歯の位置の治療目標を立てることに活用する。

主査 中村委員の質問とそれらに対する回答:

1.他の湾曲(モンソン球、ウィルソン湾曲)の考慮は必要ないのか。

本研究は頭部X線規格写真(側貌)を用いた2次元(矢状面)での咬合湾曲であった。

歯列は3次元に配列しているため、今後、頭部X線規格写真(正貌)やCBCTデータを用いて、冠状 面での分析、さらに3次元での分析を行いたいと考えている。

2.歯列の頭蓋に対する大きさ、あるいは歯列の形態による違いはあるのか。

骨格性Ⅱ級Deepbite群は、短頭型であり、顔面幅径及び歯列弓幅径は大きく、長径は小さい。以上 より、下顎角部の幅径も大きいことが考えられ、咬筋は正貌面観において八の字のように走行するこ とが予想される。さらにこの強い咬筋の咬合力に耐えるように臼歯の歯軸が舌側に傾斜し、咬合湾曲 の大きさが小さくなることが考えられた。一方、骨格性Ⅲ級 Openbite 群は、長頭型であり、顔面幅 径及び歯列弓幅径は狭く、歯列弓長径は大きいという特徴がある。骨格性Ⅱ級 Deepbite 群とは反対 に、咬筋の走行が垂直的であることが予想される。よって臼歯の歯軸も垂直的であり、咬合湾曲の大 きさが大きくなると考えられた。

主査の中村委員は、両副査の質問に対する回答の妥当性を確認するとともに、本論文の主張をさら に確認するために上記の質問をしたところ、明確かつ適切な回答が得られた。

以上の審査結果から、本論文を博士(歯学)の学位授与に値するものと判断した。

(主査が記載)

参照

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