教員養成教育推進室年報 第6号
特別支援教育教職課程における学内実習の役割(1)
-放課後等デイサービス「つくし」の実習を通して-
The on-campus practical training in special support teacher training course by the cooperation of the after-school care service
野澤 純子
*・阿部 崇
*・末廣 杏里
*・村野 志朗
**・宮島 祐
*(
*子ども支援学科、
**かせい森の放課後等デイサービス「つくし」)
1.はじめに
特別支援教諭免許状の取得には、基礎となる免許状(幼稚園、小学校、中学校、高等学校)を取得し、
特別支援教育に関する必要単位を修得して卒業し、各都道府県教育委員会に授与申請を行うことが必要で ある。子ども学部子ども支援学科は、選択科目として特別支援学校教諭一種免許状を取得する教職課程を 設けている。この免許状取得には、4年次の特別支援学校での教育実習(3単位)以外に23単位を3年 次までに取得するカリキュラムとなっている。学生は2年次後半に特別支援学校教諭1種免許状取得をす るか決定し、3年次のはじめに実習校への申し込みを開始する。
基礎となる免許状のうち、義務教育課程(小学校および中学校)の教員免許状申請時には、「小学校及 び中学校の教諭の普通免許状授与に係る教育職員免許法の特例等に関する法律(平成10年4月施行)」 に より、7日間以上の介護等体験の証明書が必要である。介護等体験とは、18 歳に達した後に行う、特別 支援学校(2日間)と社会福祉施設(5日間)の計7日間にわたる介護などの体験のことを指す(文部科 学省,1997)。本学科では基礎となる免許状が、幼稚園教諭免許状のためこの介護等体験は課せられてい ない。幼稚園教諭免許状に加え、保育士資格も取得するコースであることから社会福祉施設での実習はあ るが、特別支援学校での介護等体験はない。
本学科の特別支援学校の教職科目においては、基礎的な知識の習得にとどまらない、実践で役立つ体験 的な学習や事例検討等を積極的に取り入れた授業を展開している。一方、教育実習生を受け入れる特別支 援学校では、教育実習の内容や体験をより深めることを目的に、実習前にボランティア活動を通して、特 別支援学校での教育に触れ、在籍する児童生徒とのかかわりとして、障害のある子どもを理解し、実際の 授業や生活指導を目にする機会を提供するなどの取り組みが行われている。この特別支援学校ボランティ アに参加するには、土日や夏休みなどに数日間のボランティア事前講習を課している学校が多い。特別支 援学校での介護等体験がない本学科の教職課程においては、早い時期からの特別支援学校におけるボラン ティア体験は貴重な機会となり得る。しかしながら、現状では十分な活用には至っていない。本学科で は、1年次と2年次に幼稚園教諭免許状および保育士資格の取得に必要な科目を履修し、特別支援教育教 職科目の多くを3年次に履修する。また3年次には、保育所実習2週間および幼稚園の教育実習3週間が 組まれている。これらの授業や保育関連の実習日程が、特別支援学校のボランティア事前講習日に重るこ とが多いため講習に参加できず、結果として特別支援学校のボランティアに早い時期から参加することが 困難となっている。学生の中には、実習前に1、2回程度の学校見学をしたり、運動会や発表会の行事の 際にボランティアをしたりするにとどまる場合もあり、特別支援学校の教育実習開始時に、障害のある児 童生徒に関わる経験が足りないことが懸念されてきた。そのため、特別支援教育の教職科目履修者を対象 に、狭山校舎に設置の放課後等デイサービスを活用した学内実習を授業の一貫として取り入れる試みを 行っている。
そこで本研究では、幼稚園教諭免許状を基礎免許とする特別支援教育教職課程における教育のあり方を
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提示することを最終的な目的とする。本稿では学内に設置する放課後等デイサービスとの連携の取り組み である学内実習の初期に児童・生徒への指導に関する学生の認識を調査し学習ニーズを明らかにすること を目的とする。
2.方法
(1)対象学生:子ども学部子ども支援学科2年次と3年次を対象にした平成30年度前期に開講する特別 支援教育専門科目の履修者のうち、学内実習第1回を平成30年6月~8月までに実施した103名。
(2)学内実習機関:かせい森の放課後等デイサービス「つくし」(以下、つくしと記載)
つくしは、本学狭山校舎に設置された放課後等デイサービスである。放課後等デイサービスは平成 24 年4月に児童福祉法(昭和22年法律第164号)に位置づけられた新たな支援であり、同法第6条の2の2 第4項の規定に基づき、学校(幼稚園及び大学を除く。以下同じ。)に就学している障害児に、授業の終 了後又は休業日に、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進その他の便宜を供与するこ ととされている。放課後等デイサービスは、支援を必要とする障害のある子どもに対して、学校や家庭と は異なる時間、空間、人、体験等を通じて、個々の子どもの状況に応じた発達支援を行うことにより、子 どもの最善の利益の保障と健全な育成を図るものである(厚生労働省社会・援護局,2015)。
つくしでは、通常の小・中学校の特別支援学級や通級による指導を利用する特別な教育的支援を要する 児童生徒の自立とその保護者の子育て支援を活動の方針としている。子どもたちの自立支援のためには、
自己肯定感を高めることが大切であると考え、運動・音楽・絵画造形の活動を通じて、児童生徒ひとり一 人が好きなことや得意なことに取り組める環境を提供し、心の中にある思いを発散させ心の安定を図ると ともに、自己肯定感を高める支援を行っている。構成員は、施設長は元教育長、副施設長は子ども支援学 科教員(兼務)、スタッフは全員小中学校教員経験者であり、狭山市・入間市教育委員会とも連携して運 営されている。また大学内設置の利点を生かし、大学教員との連携やかせい森のクリニックを活用した相 談支援も行っている。さらに将来子どもに関わる職業に就くことを希望している学生の学びの場となるよ う、子ども支援学科の特別支援教育教職課程の履修学生の学内実習の機会を提供している(図1、図2)。
指導のスケジュールは、表1の通りである。
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(3)調査期間:平成30年6月から8月に実施したつくしでの学内実習の初回直後にアンケート調査を実 施し、回収した(回収率100%)。
(4)学内実習の方法
平成30年度前期の学内実習は次の手順で実施された。
①5月につくし職員および子ども支援学科教員による説明会への参加、②シフト表への記入、③実習 日:つくし職員指導による開始前の打ち合わせ、各活動への参加、つくし職員指導による振り返り、実習 後に記録表への記入、④アンケート用紙への記入(全員)と体験記(3年生のみ)の提出。
学生が参加するクラスと活動は、クラスには低学年クラス(第1部)と高学年・中学生クラス(第2部)、
活動には音楽、体育、絵画造形があり、実習に際しては学生自身が参加クラスと活動を選ぶことになって いた。
(5)調査の方法と項目
質問紙調査を実習初日終了時に受け取って記入し、3日以内に提出することになっていた。
質問項目は、実習日、担当したクラス2項目(小学校低学年クラス、小学校高学年・中学生クラス)、
活動種別3項目(運動、音楽、絵画造形)、指導に関する自己効力感19項目に関する項目から構成された。
指導に関しては、宮崎・秦・宮崎・ 井上・川崎(2013)の障害児の指導に対する自己効力感を評定する ための質問紙を利用した。項目は19項目から成り、5 件法(1.自信がない、2.やや自信がない、3.
どちらでもない、4.やや自信がある、5.自信がある)の該当する番号に〇をつけて回答するようになっ ていた。
図2 つくしと子ども支援学科特別支援教育教職課程の連携図
表1 つくしのクラス別スケジュール
第1部(小学校1年生から3年生:低学年クラス) 第2部(小学校4年生から中学校3年生:高学年・中学生クラス)
15:30-15:45 入所・あいさつ・おやつ 16:45-16:55 入所・あいさつ・おやつ 15:45-16:35 活動(運動・音楽・絵画造形) 16:55-18:10 反省
16:40 あいさつ・終了・帰宅 18:10 あいさつ・終了・帰宅
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(6)分析
記述統計に加え、属性の別で処理した。自己効力感19項目については、学年(2年、3年)による回 答の違いおよび活動クラス(低学年、高学年・中学生)の違いを明らかにするために、Mann-Whitney U 検定を行った。活動は音楽、絵画造形、体育の種別で Kruskal-Wallis の順位和検定を行った。統計には IBM社のSPSS統計ソフト 17.0を使用した。
(7)倫理的配慮
調査の目的、個人情報保護および発表について口頭で説明した上で、同意をした人のみ回答した。
3.結果
(1)参加した活動種別と対象クラス
参加学生は、2年生38人、3年65人、合計103人であった。実習クラスは、低学年48人(46.6%)、高 学年・中学生55人(53.4%)だった。活動種別では、参加が多い順から絵画造形46人(45.1%)、音楽(31 人(30.4%)、体育25人(24.5%)であった。結果を表2に示した。
(2)通常学校に在籍する障害のある児童生徒の指導に対する自己効力感
学内実習初回終了時に障害のある児童生徒への指導に対する自己効力感を調査した。結果、「自信がな い」、「やや自信がない」の回答割合が高い項目は、「14. パニックを起こしている子どもに対していくつ かの手立てを実践することができる」(85.4%)が最も高かった。次いで、「19. 障害児に新しい行動を形 成することができる」(66.0%)、「9. 不適切な行動に対処することができる」(60.8%)、「13. 遊びから 学習へ子どもを誘導することができる」 (59.2%)と続いた。一方、「自信がある」、「やや自信がある」の 回答の割合では、「10. 子どもと一緒に遊ぶことができる」(78.2%)が最も高く、次いで「6. 子どもが わかるようにほめることができる」(57.8%)であった(図3)。
学年(2年、3年)、参加クラス(低学年、高学年・中学生)および、活動(音楽、絵画造形、体育)
の間の差を検定した。結果、学年別では、「2. 子どもにわかりやすい教示ができる」(p=.012)、5. 一貫 した方法で指導することができる(p=.036)、「14. パニックを起こしている子どもに対していくつかの手 立てを実践することができる」(p=.035)、「15. 課題の狙いに合わせて教材を用意することができる」
(p=.001)、「16. 1つの課題について指導手順を作成できる」(p=.009)、「18. 子どもが課題に取り組みや すいように環境設定ができる」(p=.028)、「19. 障害児に新しい行動を形成することができる」(p=.008)
において p<.5(両側)で有意差な偏りがあった(表3)。いずれの項目も3年生よりも2年生のほうが、
自信がない傾向が強かった。参加クラス別では「18. 子どもが課題に取り組みやすいように環境設定がで きる」(U=972、Z=-2.349、p=0.019(両側))にのみ有意な偏りがあり、低学年クラスのほうが、障害児 の指導において自信がない傾向があった。一方、活動種別での差は認められなかった。
表2 実習参加学生の概要
人数 %
学年 2年生 38 36.9%
(n=103) 3年生 65 63.1%
活動種別 絵画造形 46 45.1%
(n=102) 音楽 31 30.4%
体育 25 24.5%
参加クラス 低学年 48 46.6%
(n=103) 高学年・中学 55 53.4%
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4.考察
子ども支援学科の特別支援教職課程における学内実習の役割を明らかにするために、特別な支援を要す る児童生徒への指導に関する自己効力感を調査した。
参加クラスと活動種別は学生が自分で選択するようになっていた。活動種別では体育がやや少なかった が、学生の好みもあるが、放課後等デイサービスの開設曜日が固定されているため、授業の日程や時間の 都合との兼ね合いによる影響もあると推察された。本来であれば、多様な活動の場に参加し、児童生徒へ の指導やかかわりを学ぶことが重要であるため、今後は夏休みやイベント時の支援なども含め、学内実習 の充実を図る必要があるだろう。
障害のある児童生徒の指導に関する自己効力感の結果から、学生が「自信がない、やや自信がない」と 感じる項目は、主に行動問題対応や適切な行動の促進に関する内容であった。これは、障害児への指導実 図3 児童生徒の指導に関する自己効力感の回答の割合(n=101 ~ 103)
0.0 0.0 1.6
3.2 1.6
3.1 7.9 0.0
3.2 1.6
6.3 4.8
9.5 9.4 12.5 9.4
20.6 18.8
35.9
2.0 11.0
16.1 15.9
20.6 20.3
22.2 31.7
30.2 34.4
38.1 39.7
34.9 40.6
37.5 42.2
34.9 40.6
45.3
20.0
32.0
43.5 38.1
57.1 46.9
50.8 54.0 44.4
46.9 47.6
49.2 36.5
35.9 42.2 34.4
34.9 40.6
15.6
56.0
53.0 35.5 41.3
20.6 29.7
17.5 14.3 22.2
17.2 7.9
6.3 19.0
14.1 7.8 14.1
9.5 0.0 3.1
23.0 6.0
3.2 1.6
0.0 0.0 1.6
0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
10.子ども と 一緒に遊ぶこ と ができ る
6.子ども がわかるよう にほめるこ と ができ る
12.遊びを 通し て子ども と 楽し ませる こ と ができ る
4.子ども にと っ て嫌悪的でない援助ができ る
17.課題を 行っ た結果を 記録する こ と ができ る 7.適切なタ イ ミ ングでほめるこ と ができ る 5.一貫し た方法で指導する こ と ができ る 18.子ども が課題に取り 組みやすいよ う に環境設定ができ る 11.子ども がわかり やすいよ う に遊びを 提示する こ と ができ る 子ども に適切な援助を 行う こ と ができ る 15.課題の狙いに合わせて教材を 用意するこ と ができ る 16.1 つの課題について指導手順を 作成でき る 2子ども にわかり やすい教示ができ る 1 . 子ども に応じ て注意の引き 方を 工夫でき る 13.遊びから 学習へ子ども を 誘導する こ と ができ る
8.いく つかの方法を 用いてほめるこ と ができ る
9.不適切な行動に対処する こ と ができ る
19.障害児に新し い行動を 形成する こ と ができ る 14.パニッ ク を 起こ し ている子ども に対し ていく つかの手立てを 実践するこ と ができ る
自信がない やや自信がない どちら でも ない やや自信がある 自信がある
項 目 Q PHGLDQ PRGH 0 6' 2年M 2年SD 3年M 3年SD 8 = P値
1.子どもに応じて注意の引き方を工夫できる
2.子どもにわかりやすい教示ができる
3.子どもに適切な援助を行うことができる
4.子どもにとって嫌悪的でない援助ができる
5.一貫した方法で指導することができる
6.子どもがわかるようにほめることができる
7.適切なタイミングでほめることができる
8.いくつかの方法を用いてほめることができる
9.不適切な行動に対処することができる
10.子どもと一緒に遊ぶことができる
11.子どもがわかりやすいように遊びを提示することができる
12.遊びを通して子どもと楽しませることができる
13.遊びから学習へ子どもを誘導することができる
14.パニックの子どもに対していくつかの手立てを実践することができる
15.課題の狙いに合わせて教材を用意することができる
16.1つの課題について指導手順を作成できる
17.課題を行った結果を記録することができる
18.子どもが課題に取り組みやすいように環境設定ができる
19.障害児に新しい行動を形成することができる
得点レンジ 1-自信がない、2-やや自信がない、3-どちらでもない、4-やや自信がある、5-自信がある。 Mann-Whitney U検定 S (両側)
表3 学年別の障害児の指導に関する自己効力感
0.0 0.0 1.6
3.2 1.6
3.1 7.9 0.0
3.2 1.6
6.3 4.8
9.5 9.4 12.5 9.4
20.6 18.8
35.9
2.0 11.0
16.1 15.9
20.6 20.3
22.2 31.7
30.2 34.4
38.1 39.7
34.9 40.6
37.5 42.2
34.9 40.6
45.3
20.0
32.0
43.5 38.1
57.1 46.9
50.8 54.0 44.4
46.9 47.6
49.2 36.5
35.9 42.2 34.4
34.9 40.6
15.6
56.0
53.0 35.5 41.3
20.6 29.7
17.5 14.3 22.2
17.2 7.9
6.3 19.0
14.1 7.8 14.1
9.5 0.0 3.1
23.0 6.0
3.2 1.6
0.0 0.0 1.6
0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
10.子ども と 一緒に遊ぶこ と ができ る
6.子ども がわかるよう にほめるこ と ができ る
12.遊びを 通し て子ども と 楽し ませる こ と ができ る
4.子ども にと っ て嫌悪的でない援助ができ る
17.課題を 行っ た結果を 記録する こ と ができ る 7.適切なタ イ ミ ングでほめるこ と ができ る 5.一貫し た方法で指導する こ と ができ る 18.子ども が課題に取り 組みやすいよ う に環境設定ができ る 11.子ども がわかり やすいよ う に遊びを 提示する こ と ができ る 子ども に適切な援助を 行う こ と ができ る 15.課題の狙いに合わせて教材を 用意するこ と ができ る 16.1 つの課題について指導手順を 作成でき る 2子ども にわかり やすい教示ができ る 1 . 子ども に応じ て注意の引き 方を 工夫でき る 13.遊びから 学習へ子ども を 誘導する こ と ができ る
8.いく つかの方法を 用いてほめるこ と ができ る
9.不適切な行動に対処する こ と ができ る
19.障害児に新し い行動を 形成する こ と ができ る 14.パニッ ク を 起こ し ている子ども に対し ていく つかの手立てを 実践するこ と ができ る
自信がない やや自信がない どちら でも ない やや自信がある 自信がある
項 目 Q PHGLDQ PRGH 0 6' 2年M 2年SD 3年M 3年SD 8 = P値
1.子どもに応じて注意の引き方を工夫できる
2.子どもにわかりやすい教示ができる
3.子どもに適切な援助を行うことができる
4.子どもにとって嫌悪的でない援助ができる
5.一貫した方法で指導することができる
6.子どもがわかるようにほめることができる
7.適切なタイミングでほめることができる
8.いくつかの方法を用いてほめることができる
9.不適切な行動に対処することができる
10.子どもと一緒に遊ぶことができる
11.子どもがわかりやすいように遊びを提示することができる
12.遊びを通して子どもと楽しませることができる
13.遊びから学習へ子どもを誘導することができる
14.パニックの子どもに対していくつかの手立てを実践することができる
15.課題の狙いに合わせて教材を用意することができる
16.1つの課題について指導手順を作成できる
17.課題を行った結果を記録することができる
18.子どもが課題に取り組みやすいように環境設定ができる
19.障害児に新しい行動を形成することができる
得点レンジ 1-自信がない、2-やや自信がない、3-どちらでもない、4-やや自信がある、5-自信がある。 Mann-Whitney U検定 S (両側)
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践の初心者にとって、行動上の問題への対応は困難さを感じることが多いことが明らかとなった。
学年による差のあった項目については、子ども支援学科のカリキュラムにおける、2年生と3年生の学 習の違いが背景にあると推察された。具体的には、①保育に関連する科目の履修数の違い、②基礎的な保 育に関する実習(保育所と福祉施設の基礎実習、および幼稚園見学実習)の有無、③の特別支援教育の専 門科目履修数の違い、にある。2年次から3年次になる過程で学生が保育よび特別支援教育を学び、子ど もへの指導に関する知識・技術の習得したことが、この違いの背景にある推察された。クラス別では、子 どもが課題に取り組みやすいような環境設定に差があったが、音楽、絵画造形、体育のいずれの活動も、
学校生活が長い高学年・中学生クラスよりも低学年クラスの児童のほうが、教材教具の使用方法や教示の 理解などの点で、様々な事前準備や環境設定が必要なためではないかと推察された。
先行研究では、Teacher Training の枠組みで、教員や教職課程の学生が、行動問題の意味を理解し、
適切な指導や援助のタイミングなどの技術を習得することを目的に、講義とロールプレーイングを組み合 わせる手法を行っている研究が多い(宮崎ら,2013;Demchak & Bossert, 2004)。これらの研究は、対 象者の人数が少なく、一対一の対応や多くの時間を訓練に割いて研修をすることが多かった。本学の学内 実習参加者の規模からこれらの先行研究と同様の方法を実施することは難しい。一方、これまでの研究 で、講義のみの指導では十分な行動問題対応の力を身に付けることは難しいことが明らかになっている。
例えば松田・濱田(2017)は、保育学生を対象に講義の中で、行動問題等について訓練し、その前後や過 程における知識や技術、自己効力感を測定した。結果、知識の習得はなされたが、自分自身に対する認知 が変容するほどの効果は認められなかった。またフォローアップでは行動問題対応の知識は元のレベルに 戻っており、結果から自らの経験の中で自分のスキルとして実践する機会がないと、もともと自分の行っ ていた対応や理解をする可能性が高いと指摘した。したがって今後は、Teacher Training に関し、多数 の特別支援教職課程履修学生を対象に、先行研究同様の成果を得るための新たな方法を明らかにする必要 があるだろう。今後も継続して学内実習に関連する学生のニーズや力量の変化を研究し、エビデンスに基 づく指導プログラムにより学内実習を充実させることができれば、それは授業と特別支援学校教育実習の 間を繋ぐ価値あるものになり得えるだろう。
参考文献
・Demchak, M. A. & Bossert, K. W. 三田地真実訳(2004)問題行動のアセスメント.学苑社.
・厚生労働省社会・援護局(2015)放課後等デイサービスガイドライン.厚生労働省.
・松田侑子・濱田祥子(2017)保育学生に対する TeacherTraining の実践(1) ―スキル、知識及び効 力感における変化の検討―.日本教育心理学会第59回総会発表論文集、334.
・宮崎 光明・秦 基子・宮崎 美江・ 井上 雅彦・川崎 聡大(2013)応用行動分析学に基づく自閉症児への 課題学習の指導に対する校内研修モデルプログラムの開発.とやま発達福祉学年報、4.
・ 文 部 科 学 省(1997) 平 成 9 年 介 護 等 体 験 特 例 法 の 概 要 www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/
chukyo3/044/attach/1314079.htm(2018.9.1.閲覧)。
謝辞: 学内実習にご協力いただいた、かせい森の放課後等デイサービス「つくし」職員の皆様ならびに利 用者の皆様に心よりお礼申し上げます。
附記: 本研究は、東京家政大学研究ブランディング事業「インクルーシブな教育推進のための障害理解推 進モデルの構築―教員養成・現職教員研修教材の開発―」による研究活動の一環として行われた。