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外科に関連した諸指針の改定に向けて   

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Academic year: 2021

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厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業  難治性炎症性腸管障害に関する調査研究 

分担研究報告書(平成 28 年度) 

 

外科に関連した諸指針の改定に向けて   

研究分担者    福島浩平    東北大学大学院分子病態外科学分野・消化管再建医工学分野  役職  教授 

 

  研究要旨:潰瘍性大腸炎術後管理指針、回腸嚢炎治療指針、クローン病術後管理指針の問題点と今後 の改訂作業の必要性について検討を行った。その結果、喫緊の改訂作業を要する指針として、回腸嚢炎 治療指針を取り上げ、この指針の抗菌剤の投与に関して記述の変更を要すると考えられた。次期研究班 においても、指針の改訂作業を継続的に行う必要があると考えられた。 

 

共同研究者 

杉田  昭(横浜市民病院外科) 

池内浩基(兵庫医科大学 IBD センター外科) 

渡邉聡明(東京大学腫瘍外科) 

二見喜太郎(福岡大学筑紫病院外科) 

板橋道朗(東京女子医科大学第二外科) 

藤井久男(吉田病院消化器内視鏡・IBD センター)

楠  正人(三重大学消化管・小児外科学) 

水島恒和(大阪大学消化器外科) 

渡辺和宏、長尾宗紀(東北大学大学院生体調節外科 学分野) 

高橋賢一、羽根田祥(東北労災病院大腸肛門病セン ター) 

神山篤史 (石巻赤十字病院外科) 

舟山裕士(仙台赤十字病院外科)   

 

A. 研究目的 

  潰瘍性大腸炎およびクローン病に際し、外 科治療に関連する治療指針、術後管理指針に ついて今後の検討課題を明らかにし、次回の 改訂作業に資すること。 

 

B. 研究方法 

  潰瘍性大腸炎術後の小腸病変に関する調査 研究の結果に立脚し、術後管理指針改訂の必 要性について、また、回腸嚢炎日常診療の課

題から改訂の必要性を検討した。また、クロ ーン病診断モダリティーの変化に合わせて、

術後管理指針で今後予想される改訂の必要性 について検討した。 

(倫理面への配慮) 

  特に認めない。 

 

C. 研究結果 

1) 潰瘍性大腸炎術後管理指針に関して 

  研究班において 3 年間をかけて実施した、

「出血を中心とする潰瘍性大腸炎術後小腸病 変の調査研究」を踏まえ、術後管理指針の注 釈として以下の記述を加えることを提案した。 

「稀ではあるが(0.8%)、術後に小腸病変を生 じる場合がある。稀ならず胃十二指腸に病変 を合併する。症状は、大量出血が最も多く

(74%)、発熱、多量の水様便排出 、激しい腹 痛などがある。小腸穿孔や腸閉塞を伴う場合 もある。初回手術、重症、全大腸炎型の症例 に多いが、必ずしもこれらに限らない。診断 には上部消化管を含めて内視鏡検査が有用で あるが、穿孔に十分注意する。出血部位の同 定に、血管造影や出血シンチグラムが有用な 場合がある。死亡に至る症例もあることから、

早期の適切な対応が重要である。原因は不明 であり、サイトメガロウィルス活性化の関与

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186 も証明されない場合が多い。治療法は確立し ていないが、ステロイド、抗菌剤、抗 TNF‑

製剤などが試みられる。止血治療として、内 視鏡的止血や、動脈塞栓術、手術が選択され る場合がある。治療困難例もあることから、

早期から内科外科との連携や専門医へのコン サルトが重要である。」今後、外科部会を中心 に検討していく予定である。 

2) 回腸嚢炎治療指針に関して 

  回腸嚢炎の第一選択薬としてメトロニダゾー ル、シプロフロキサシンが挙げられているが、投 与期間が 2 週間と記載されている。しかし、難治 例に対し長期投与が行われている実態と大きく 乖離しており、保険診療上問題になる可能性があ る。 

  また、新規薬剤が次々に導入される予定であり 抗菌剤治療とのすみ分けも検討課題である。 

  回腸嚢炎治療の範疇ではないが、今まで欠けて いた視点として、回腸肛門(管)吻合術後の排便 習慣や生活指導もQOL向上に寄与する可能性 を指摘した。 

3) クローン病術後管理指針に関して 

  班研究で進行中の様々な研究(クローン病術後 再発危険因子に関する前向き研究など)の結果に 加え診断モダリティーの変化(便中カルプロテク チン測定やカプセル内視鏡)、新規薬剤の登場に より、今後も継続的に時代に即した改訂を行う必 要があると考えられた。 

 

D. 考察 

潰瘍性大腸炎術後の出血を中心とする小腸病 変発生頻度は稀であるが、死亡例に至る症例もあ る。術後管理指針に記載する是非について、外科 系関係者間で議論を進めていくことが必要であ る。 

回腸嚢炎治療維新の改訂は、保険適応上の問題 でもあり、次年度の治療指針改定まで一定の結論 を得る必要があると考えられる。 

また、クローン病術後管理指針に関し、術後の 腸管機能不全に対する指針作成の必要性につい

ても議論する必要があると考えられた。 

  E. 結論 

  外科に関連した各種の指針は、継続的に改 訂作業を行うことが極めて重要である。 

 

F. 健康危険情報    なし   

G. 研究発表  1.論文発表 

  なし  2.学会発表 

  なし   

H. 知的財産権の出願・登録状況 

(予定を含む) 

1.特許取得  なし 

2.実用新案登録  なし 

3.その他  なし 

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