• 検索結果がありません。

自動車用材料特集号の発刊にあたって田中 毅

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "自動車用材料特集号の発刊にあたって田中 毅"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

 19 世紀の終わりに発明され,急速に発展を遂げてきた 自動車は,人類に多大な利便性をもたらし,今や自動車 なしの生活など考えられなくなっている。しかし,20 世 紀初頭の数が約 8 000 台であったのに対し,地球上に 7 億台を超えた今,自動車には,利便性とともに地球環境 に対する責任,事故に対する安全確保の責任が求められ るようになっている。

 地球環境問題に対し,燃費改善による二酸化炭素排出 量の削減の取組みがなされ,ハイブリッド方式,燃料電 池方式など新しい駆動方式の開発とともに車体の軽量化 が進められている。一方,衝突安全性の観点からは,車 体の高剛性化が進められている。これらの取組みは,自 動車会社のみならず,関連する部品産業,素材産業を巻 込み展開されている。

 当社は,総合素材メーカとして鉄鋼部門,アルミ・銅 部門を有し,これら自動車のニーズに応えるべく鉄鋼材 料では,1980 年代から高延性 980MPa 級複合組織冷延鋼 板などの高強度薄鋼板(ハイテン)の開発・実用化を進 めてきた。また,アルミ材料では,いち早く車体用アル ミ材料の開発に取組み,実用化実績を上げてきた。さら に,近年は材料の利用技術の開発,評価技術の開発など をユーザと一体となって取組んでいる。

 本特集号では,自動車の求める技術的課題に対し,鉄 鋼・アルミなどの材料,加工技術,接合技術,評価技術 などの分野で,当社がどう取組んでいるかを紹介する。

鉄鋼材料

 自動車車体,足回り部品の軽量化と高剛性化を両立さ せることを目的として,高強度薄鋼板(ハイテン)の適 用部位は年々拡大されてきており,その対象部材の増加 とともにより高強度な材料の適用が増加している。当社 では,主に自動車ボディ部材に用いられる高強度冷延鋼 板,溶融亜鉛めっき鋼板,主に足回り部材で用いられる 高強度熱延鋼板を各種強度クラスで製品化しており,今 後はさらに高強度と高加工性を高い次元で両立させる鋼 板の開発に取組んでいる。またこれらハイテンの実用化 のためのプレス成形技術の開発についても取組んでお り,割れ対策,寸法精度不良対策技術を開発している。

 原動機,動力伝達系部品については高強度高靭性の要 望が高まり,さらには高疲労寿命を兼備えた鋼材が要求 されている。当社では,これらの要求に応える各種棒鋼 や弁ばねなどの高級ばね用線材を開発しており,生産体

制についても神戸,加古川両製鉄所の線材工場のリフレ ッシュを完了し,オリジナル製品の提供,表面及び内部 品質の改善による品質競争力の向上,デリバリの改善に よる高いサービスを提供できる。

 また,焼結部品における高強度化のニーズに対しても,

従来方法と比較して低コスト,高強度化が達成できる温 間成形用粉末を開発しており,自動車の電子制御化進展 に対しては小電力で大きな電磁力を生む効果のある純鉄 系軟磁性材料を開発している。

アルミニウム材料

 アルミニウム材はその高い軽量化効果から採用検討が 拡大しており,従来のパネル類から車体構成部材への適 用が進んでいる。当社では板材に加え,任意の板厚配分 を構成できることからドアビーム,サブフレームなどで 実用化が進みつつある押出材を開発している。またこれ ら板材,形材の適切な加工条件を見出す成形シミュレー ション技術も開発している。足回り部材としては燃費向 上,操縦安定性向上を目的とし,アルミニウム合金鍛造 品の設計,開発を行っている。本製品についてはビレッ トから鍛造品までの一貫生産体制を有しており,低コス ト化,短納期化を達成している。

 さらにアルミ部品を生産ラインで使用する場合のアル ミイオン溶出防止,フッ素を含むスラッジ対策などの現 場での問題点とその対応技術についても検討を行ってい る。

接合技術

 自動車部材の軽量化,高剛性化のため多様な材料(ハ イテン,アルミニウム材)が適用される中,これらを接 合する技術にもさまざまな技術課題が生じている。自動 車用マグ溶接ワイヤの課題としては,高強度鋼板やアル ミ合金用溶接ワイヤの実用化があり,これに対応する当 社の技術について述べる。また,アルミ合金の新しい接 合方法として YAG,FSW,SPR などがあるが,これらの 特性を従来方法と比較,説明する。

 絶え間なく進化し続ける自動車に対し,少しでも寄与 できる技術の提供が当社のなすべき責務と考えており,

今後も需要家に喜ばれる製品,魅力ある新製品の開発を 目指し研究開発に取組む所存である。需要家の皆様の忌 憚のないご意見,ご指導,ご鞭撻をお願い申し上げる次 第である。

神戸製鋼技報/Vol. 52 No. 3(Dec. 2002) 1

■自動車用材料特集  FEATURE : Materials for Automotive Industry

(巻頭言)

自動車用材料特集号の発刊にあたって

田中 毅

執行役員・鉄鋼部門加古川製鉄所長

Recent Trends in New Materials for Automotive Industry

Tsuyoshi Tanaka

参照

関連したドキュメント

磁束密度はおおよそ±0.5Tで変化し,この時,正負  

私たちの行動には 5W1H

※ 硬化時 間につ いては 使用材 料によ って異 なるの で使用 材料の 特性を 十分熟 知する こと

平均車齢(軽自動車を除く)とは、令和3年3月末現在において、わが国でナン バープレートを付けている自動車が初度登録 (注1)

「自然・くらし部門」 「研究技術開発部門」 「教育・教養部門」の 3 部門に、37 機関から 54 作品

87.06 原動機付きシャシ(第 87.01 項から第 87.05 項までの自動車用のものに限る。).. この項には、87.01 項から

町の中心にある「田中 さん家」は、自分の家 のように、料理をした り、畑を作ったり、時 にはのんびり寝てみた

から揚げ粉を付け油で揚げる 通則 1.. ③: 自動車用アルミホイール 第17部