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地域の災害史認識の重要性 一教師の防災意識形成の観点から-

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Academic year: 2021

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地域の災害史認識の重要性

一教師の防災意識形成の観点から‑

専 攻 人間教育専攻

コース 現代教育課題総合コース 氏 名 瀧 川 奈 津 希

はじめに一問題の所在と研究の目的一 徳島県鳴門市を含む日本各地の太平洋沿 岸地域では,南海トラフ地震に向けた積極 的な防災活動が行われている.特に,地域の 防災拠点として防災活動を主導することを 期待されているのは,災害時には避難所と もなり得る「学校Jである.そして,学校で 実施される有意義な防災活動を継続するた めには,教師の高い防災意識に基づく,積極 的な防災活動への姿勢が不可欠である.

しかし,金井・片田 (2015) によれば,

東日本大震災の後,防災教育への取り組み は活発化しているが,非被災地域住民に与 える防災意識の影響は発災後

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年程度であ る可能性が示唆されている.確かに,鳴門市 の学校に勤務するすべての教師が,現在,高 い防災意識を有していると断言することは できるのだろうか.

したがって,本論文では,教師の防災意識 形成における「地域災害史の認識」の重要性 を提言し,鳴門市の学校に勤務する教師の ための地域災害史資料を作成する.

指導教員 谷 村 千 絵

学校の東日本大震災当時の事例からは,想 定を超えた偶然によって生死が左右される ことを考慮、した上でも,大津波の来襲に備 え,平時より防災教育を積極的に行うこと により,発災時における迅速かっ適切な判 断,避難行動が可能となることが分かる.

一方で,釜石東中学校における防災活動 への取り組みの初期課題は,

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教師の防災意 識の欠如」により,学校側が防災活動に消極 的であることで、あった.これに関し,当該中 学校では,子どもの命を守るという視点か ら,教師の防災意識形成に成功し,有意義な 防災活動を実施することができた.また,教 師の防災意識形成という点においては,愛 媛県新居浜市の小学校における防災活動の 実践例から,教師の防災意識を形成し,継続 させるために,学校が立地する「地域の災害 史認識」が,教師にとって重要であることが 示唆されている.

以上から,学校における防災活動をより 有意義なものにするためには,実践を主導 する立場にある教師の防災意識を形成する こと,そのために,教師が率先して「地域災 第

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章教師の防災意識と地域災害史認識 害史の認識」に取り組み,自らの防災意識を

岩手県釜石市鵜住居地区に存在する釜石 高めていくことが必要であるといえる.

東中学校,宮城県石巻市に存在する大川小

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章地域災害災史に関する調査の実態 学校に配布するような仕組みづくりが重要 文部科学省の指針によると,教師が担う である.

べき学校防災の役割には,子どもの命を守 ることだけでなく,地域に根ざした防災活 動の展開に努めることが含まれる.しかし,

数年のサイクルで異動を伴う教師が,通常 業務に加え,校区地域の実情に精通するこ とは容易いことではない.加えて,現状で は,地域の実情や過去の災害史について詳 細な情報が保管されている学校は少ない.

そこで,本研究では,教師個人による地域 災害史調査を仮定し,その実態を明らかに するために,徳島県鳴門市地域を

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つの事 例として,南海地震に関する地域災害史の 調査を行った.調査は,歴史史料に記載され た古文書における詳細な記載を積極的に捜 索した.調査時間は,延べ約 50時間である.

調査から明らかとなった教師の地域災害史 認識に向けた課題は,以下の 4点である.

①地域災害史に関する情報が様々な書物に 散在していること.

②漢文,古文の原文の記載が多く,容易に読 解できないこと.

③被害が小さければ,災害当時の様相に関 する情報が残っていないこと.

④勤務時間内に,地域災害史の調査,資料作 成を行う時間が確保できないこと.

以上より,教師が独自に地域災害史を把 握することは,現状では困難であるといえ

る.

ところで,文部科学省は,国や自治体,防 災関係機関などが作成した防災に関する資 料,指導に関する資料を,学校において活用 できるとしている.すなわち,今後,行政が 率先して「教師のための地域災害史jをまと め,防災活動の必要資料の

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っとして,各

第3章鳴門市周辺における南海地震に関 する地域災害史

本章では,鳴門市周辺における南海地震 に関する地域災害史に関して,地域の歴史 史料および津波堆積物の研究から情報を収 集,集約した.そして,教師のための地域災 害史資料を作成することにより,鳴門市の 学校に勤務する教師の防災意識形成を可能 にする,地域災害史認識のための一手段を 提示した.

おわりに

過去に発生した地域災害の歴史を把握し,

図面的な防災ハザードマップからは読み取 ることができない,人々の言葉で綴られた 災害当時の様相,思いや行動について知る ことは,近いうちに起こり得る災害に向け た有効的な備えの

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つになると考えられる.

そして,このような地域災害史が,現存する すべての学校に配置され,すべての教師が 高い防災意識のもと,子どもや地域に向け た防災活動に積極的に取り組むことのでき る環境が整うことは,喫緊の課題である.

また,今後の課題としては,地域災害史認 識が教師の防災意識形成に有用であること

を裏付けるために,第

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章において作成し た[教師のための地域災害史j資料を鳴門市 の各学校に配布し,その効果について,アン ケート調査などを用いて,証明する必要が あること,文部科学省が全国の地域災害史 をまとめた資料を作成,配布するために必 要な取り組みに関する提言を行う必要があ

ること,などが挙げられる.

参照

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