目標:大学院は看護学研究科を設置しており、博士前期課程(修士課程)につては、看護学専攻とウ ィメンズヘルス・助産学専攻の2専攻があり、さらに各専攻には研究者志望コースと上級実践 者志望コースが設置されている。また長期在学制度もとっているので、志願者が内容および学 習の形態を良く理解し、適切なコースを選択できるように、事前の広報・相談を充実させるこ とが目標の一つである。その上で、本研究科での学修にふさわしい学生を受け入れられるよう、
適切かつ公正な入学試験の実施を目標としている。
博士後期課程については、研究者育成が目的であり、その目的に向かって学修できる人材を受 け入れるために、事前相談の充実と公正かつ適切に選抜できる入学試験の実施とを目標として いる。
1)学生募集方法、入学者選抜方法
【現状の説明】
大学ホームページ上に募集案内を掲載し、大学院担当教員の研究テーマ等詳細な情報やメールアド レスが公開されている。大学院修士課程・博士後期課程・研究生の募集要項、願書一式がホームペー ジ上からダウンロードできるようになっている。また大学院受験相談用のアドレスを設け、ホームペ ージ上から直接アクセスでき、これには教務部の職員が対応している。博士後期課程、修士課程とも に社会人入学制度を導入したこともあり、受験希望者の背景は多岐にわたっている。そのため、相談 内容も多様化し、個人の人生設計に関わる内容に及ぶこともあるため、教務部職員内での検討や、教 務部主任、研究科長にも相談の上、適切な回答ができるよう努めている。
その他学生募集の案内として、看護系雑誌への広告の掲載、全国の看護系大学、短期大学への資料 送付、「社会人に開かれた大学展」への資料参加を行っている。
募集人員については、博士後期課程は入学希望者数、入学者数の増加が続き、教員および諸条件が 整っていたので、2006年度に4名から10名に増員した。修士課程は、2005年度にウィメンズヘルス・
助産学専攻が増設されたため、15名から30名となった。
入学者選抜方法については、研究科委員会において討議・決定されている。修士課程では、1日目 に「専攻する専門科目」「英語」「小論文」が課せられており、2日目に面接を実施している。博士後 期課程では、1日目に「英語」「専門分野(看護学全般)」「論文」が課せられており、2日目に面接 を実施している。両課程とも健康診断については、2002年度入学試験より廃止した。
試験は、博士後期課程は年1回で10月に実施し、定員に満たなかった場合は年度末に実施する場合 があるとしているが、最近は実施の要件に該当していない。修士課程は、2005年実施の2006年度入学 試験から年2回行われている。前期募集(9月)は定員12名、後期募集(3月)は定員3名である。
募集要項は前期と後期がいっしょになっており、受験生にとっては2回の受験機会が用意されている。
社会人入学制度については、博士後期課程は2002年度から、修士課程は2004年度から実施している。
また、本学修士課程から博士後期課程に直接進学する学生に対する選抜方法については、2005年度よ り専門分野の試験を免除した。さらに、本学学部から直接修士課程へ進学する場合の学内推薦制度に
3 学生の受け入れ
ついて2007年度実施に向けて検討している。
【点検・評価】
博士後期課程、修士課程ともに社会人入試を開始したことは、志願者の動向に鑑み社会のニーズに 沿ったものであると評価される。しかしながら、多様な背景をもった学生を受け入れた場合の人的、
物理的、経済的な方策を検討していく必要がある。
修士課程の看護専門分野を細分化したカリキュラムの立ち上げと専攻の増設により、1専攻7分野 13コースから2専攻9分野25コースとなり、より専門的な学びを選択することが可能となったことは 評価される。また、募集人員の増加、修士課程の入学試験日程を2回としたことにより、志願者によ り多くのチャンスを提供できるようになったといえる。博士後期課程へ本学からの直接進学者に対す る看護専門分野の試験の免除と入学金の免除については、学生への経済的負担の軽減となり本学修了 生の進学者確保につながっていると評価できる。
大学院の学生募集に関しては、一貫して研究科委員会で討議されており、毎年の傾向を分析し、継 続した検討を重ね、上記の通り数々の制度等を導入してきたことは長所と考えられる。しかしながら、
現況では学内に大学院の募集・広報活動を組織的に担う部署はなく、説明会も一部でしか実施されて いない。大学院志願者への対応は事務的なものは教務部で行っており、内容については各担当領域教 員が個々に対応している。ホームページ上で研究テーマやアドレスを公開し、志願者には事前に相談 するよう募集案内に記し、実施していることは評価できる。
今後、ますます多様化する志願者のニーズをどのように把握し、実施していくか、さらなる積極的 な募集・広報活動を行う必要があるが、各担当領域を超えた全体的な広報活動を実施できる専門の部 署と適切な人員の配置には至っていないことが問題点といえる。
【将来の改善・改革に向けた方策】
数々の制度を導入してきたが、まだ短期間しか経過していないため、今後は動向を点検、評価して、
より学生のニーズに沿った内容になるよう検討していく必要がある。本学出身者の志願者を増加させ る方策として、修士課程学内推薦の制度を引き続き検討していく。
積極的な募集・広報活動を行う部署を一元化し、大学院対象の「説明会」の実施も検討していく。
2)門戸開放
【現状の説明】
入学志願者数については、修士課程では2006年度看護学専攻29名、ウィメンズヘルス・助産学専攻 27名の合計56名であり、そのうち本学出身者は15名であり、他大学出身者が3分の2以上を占めてい る。ここ数年間は同様の比率であり、修士課程では、本学出身者よりも他大学出身者が多く、放送大 学、学位授与機構での学士取得者も年々増加している。
社会人入学制度を導入したことにより、いろいろな背景をもつ志願者が今後も増えていくことも考 えられる。
博士後期課程では、他大学院の修士課程修了生がこの5年間では50~70%とあり、志願者数も年々 増加しているが、これは全国的に修士課程が増加し、修了者が増加したことにより、博士後期課程へ の受験希望者の全体数が多くなったことや、臨床の場においても、教育の場においても、博士の学位 授与者の社会的需要が高まっていることが考えられる。
【点検・評価】
志願者のほとんどが教育、臨床についている社会人であるので、修士課程では9月および3月、博 士後期課程では10月に入学試験を行っている点は、就職活動、職場に配慮しているといえる。特に修 士課程では、3月の入学試験を実施することによりさらに受験の機会を広げている。また、ホームペ ージ上から必要書類をダウンロードできるように整備し、健康診断を廃止したことにより、受験生の 利便性を図ることができたことも評価される。
また、修士課程のウィメンズヘルス・助産学専攻助産学上級実践コースは、日本で初めて大学院修 士課程で助産師国家試験受験資格が取得できるコースである。4年制大学を卒業していても、助産師 国家試験受験資格を取得するためには助産師学校に入り直さなければならないが、このコースでは大 学院修士課程に進学し助産師国家試験受験資格を取得することができるので、修了時には助産師国家 試験受験資格を得るためだけでなく、修士の学位も取得できる。これにより、大学学部から助産師学 校へ進むか、大学院へ進むかの進路を迷っていた学生にとっては大きく門戸を広げ、すでに看護師と して就労している者にとっても大学院への進学と助産師国家試験受験資格の取得の機会を大きく広 げたと評価される。
本学の出身者が、他大学の教員として、臨床の場の指導者として、そして行政の場において等、看 護界のあらゆる分野において活躍していることが、他大学からの受験生の増加につながっている。
【将来の改善・改革に向けた方策】
他大学および他大学院修士課程から、進学をめざす受験生に対する広報をさらに検討する。
制度的に短期大学、専門学校卒業生にも大学院の門戸開放が可能であるが、本学ではこれは実施し ていない。また看護学研究科として、看護職以外の者の入学も受け入れていない。これらの点につい ては、慎重に討議を重ねていく必要がある。
3)社会人の受け入れ
【現状の説明】
博士後期課程では2002年度より社会人入学を開始した。社会人入学を開始するにあたり、2001年度 中に学則の変更を行い、2002年度より14条特例を適用するに至った。2002年度から2006年度までの入 学生60名のうち、26名が社会人入学者である。研究指導については従来通り、指導教員との相談によ るが、基盤分野については金曜日と土曜日の開講とし、必修科目である「看護学方法論」については 金曜日と土曜日の選択が可能となっているなど、社会人学生が履修しやすいよう配慮している。
修士課程では2004年度から社会人入学を開始した。2004年度から2006年度までの入学生98名のうち 18名が社会人入学者である。この制度は、修業年限2年間のカリキュラムを3年間で学ぶ長期在学コ ースであり、学費については2年間分を3年間に分割して支払うようになっている。また、土曜日と 夜間(18:00~20:15)の開講を実施し、社会人は土曜日と平日1日のみの通学で必要単位を履修で きるよう時間割が計画されている。
【点検・評価】
博士後期課程では、従来から学生が現職をもちながらの在籍を認め、指導についても各々相談の上 行っているので、実質的には社会人入学制度開始以前から14条特例を適用していたといえる。しかし ながら、2002年度からの社会人入学開始に鑑み学則を改訂し明確にしたことは評価できる。
社会人入学の場合は、受験の際と入学の際に「勤務先承諾書」の提出を義務づけている。このこと によって、職場の了承を得た上での入学であることが明確になることは、学生、職場、大学間の関係 を円滑にするので長所といえる。
問題点としては、社会人入学者は仕事と勉学のバランスをとりながらになるため、3年間の在籍期 間では博士論文提出まで到達しない者が多いことである。3年以上の在籍をはじめから計画している 者もあり、また単位取得後退学となる者も多い。2002年度と2003年度の社会人入学者11名のうち3年 間での博士の学位取得者はなく、単位取得後退学者は4名である。このため、指導教員が長期にわた り学生の指導に当たる必要が生じていることが問題点となっている。
修士課程での社会人入学制度には、社会的な要望に応えるという点からも評価される。また、学費 についての配慮、時間割の計画も社会人が無理なく履修できるよう計画されていることも評価される。
問題点としては、社会人入学者の利便を重視することが、一般入学者にとっては逆に履修の幅を狭 めることもあるので、双方に最良の計画を限られた人員で計画することは困難なことである。
【将来の改善・改革に向けた方策】
博士後期課程については、社会人入学者の論文作成の過程がより促進できるような検討を具体的に 進めていく。有職者の遠距離通学者に対して、 e-learningを利用した教育システムの構築を検討する。
修士課程については、社会人入学を導入してから短期間しか経過していないので、入学から修了ま での履修管理、社会人学生の実習、演習の状況等検討していく必要がある。
4)科目等履修生、研究生等
【現状の説明】
大学院科目等履修生については、1999年度よりCNSの資格取得に際し、必要科目の単位数が不足し ている者に対する措置として開講している。1999年度より2006年前期で延べ15名、20科目の履修が行 われた。また、「実習」については当初は履修を認めていなかったが、CNSの資格取得に際し必要に 迫られている修了生の要望に応えるかたちで、2005年度より原則的に本学の修了生に限り受け入れを 開始した。
研究生については、1995年度から募集を開始している。1998年度から現在まで毎年10名以上の在籍 者がある。募集については例年、1月から2月に行い、選抜方法は書類審査であるが、本学研究科委 員会教員の推薦書が必要となる。募集に必要な書類は、ホームページ上からダウンロードして利用す ることができる。
当初研究生については、論文博士制度での論文提出における指導を目的とする者がほとんどであっ たが、ここ数年は次年度入試の準備を目的として在籍する場合も多くなった。研究生から本学博士後 期課程入学者となった者は現在まで16名である。
また、2005年度までに研究生の中から、論文博士制度による学位授与者4名、資格審査合格者3名 が出ている。
【点検・評価】
大学院科目等履修生については、本学での科目等履修によって必要科目を取得し、CNS取得に至っ ていることは評価できる。また、本学の修了生以外にも門戸を開放しているので、広く社会に貢献し ているといえる。そして、目的を絞った募集であるので、該当者は多いとはいえないが、目的を十分
達しているといえる。
2005年度より開始した「実習」の受け入れについては、現在までに2名を受け入れ、2名ともCNS の申請に至っている。本学の修了者以外にも「実習」の履修を希望する者は存在しているが、実習場 の確保が難しく現状では受け入れは難しい。
研究生については、論文博士制度による学位取得者が出たことは評価することができる。また、つ ねに15名前後の在籍者を維持していることは本学の研究指導の高さが認められ、志願者が継続してい ることがうかがわれる。
研究生の在籍者は他大学の教員がほとんどである。担当者の了解が得られれば、修士課程の講義に 参加することができ、また本学が主体となっている学会や研究会への参加も多く、本学大学院生との 交流により双方とも刺激となっていることは長所といえる。
しかしながら、研究生の指導については、大学院の指導を担当している教員が同時に行っているの で、教員の負担について検討する必要がある。
【将来の改善・改革に向けた方策】
大学院科目等履修生については、今後別のかたちの科目等履修生の受け入れを行うかを検討する必 要がある。
研究生については、研究生となる目的が多様になってきているので、今後は募集方法、選抜方法、
受け入れ条件等を検討し、また学内の物理的な整備も検討する。
5)定員管理
【現状の説明】
修士課程では、2005 年度からの専攻増設により、それまでの収容定員 30 名から 60 名となった。2005 年度の在籍者数は 64 名、2006 年度の在籍者数は 82 名(1.37 倍)である。博士後期課程では、2006 年 度よりそれまでの収容定員 12 名から 30 名となった。2005 年度の在籍者数は 45 名、2006 年度の在籍 者数は 48 名(1.60 倍)である。
【点検・評価】
看護学では、現場でリーダーシップをとる上級実践者の不足、大学の増加による教育研究者の不足 が著しく、こうした社会的要請により、つねに学生数は定員を上回っていた。修士課程、博士後期課 程とも相次いで定員数を増加した現状でも定員を上回っている。ただし、この在籍者の中には社会人 入学による長期在学生や、博士後期課程において 3 年以上を要する学生が含まれており、入学時での 定員超過は 2006 年度で修士課程 1.17 倍、博士後期課程 1.00 倍である。なお定員増加に伴う物理的 問題については、2004 年度から本館より徒歩 3 分の至近距離に2号館を取得し、大学院の講義室、ラ ウンジ等を移転することによって対応している。
【将来の改善・改革に向けた方策】
定員管理に関して最も大きな課題は、博士後期課程を 3 年間で修了しない者が多いことである。入 学定員に対しては、定員割れを生ずることなく経過しているので、定員超過への対策は修業年限を超 えて在籍する者に対する指導である。フルタイムの学生については 3 年で修了するが、大学等に勤務 しながら学んでいる学生については研究計画書作成までに 3 年を要しているのが平均的である。今日 の看護学の現状から、大学等に勤務しながら学ぶ学生の存在は認めざるを得ず、学生が入学の目的を
達成できるよう、計画書作成のプロセスをもう少し具体的に示すなどのカリキュラム上の工夫が必要 かもしれない。このことは研究科委員会で現在検討中である。