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(1)

対人サービスにおけるインフォームド・コンセント の概念および歴史と現状

著者 沖野 良枝

雑誌名 評論・社会科学

号 72

ページ 31‑62

発行年 2003‑12‑25

権利 同志社大学人文学会

URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000004596

(2)

対 人 サ ー ビ ス に お け る

イ ン フ ォ ー ム ド ・ コ ン セ ン ト の

概 念 お よ び 歴 史 と 現 状

沖 野 良 枝

︵文学研究科社会福祉学専攻博士課程後期︶

目次

はじめに

インフォームド・コンセント︵以下IC︶の歴史的展開

一倫理・道徳的発展

二法律学における展開

三医療および社会福祉改革の潮流

四わが国におけるICの展開

ICの概念

一ICの定義

二医師の説明義務とIC

三医師以外の医療職︑福祉職におけるIC

四医師・患者関係

五社会福祉領域における自己決定原理

― 31 ―

(3)

ICの効果と現状

一ICの効果

二ICの現状と問題状況

まとめ

はじめに

昨年︑新聞紙上に次のような記事が掲載された︒

﹁脳の血管にぷっくり膨れている部分がある︒脳動脈瘤だ︒運が悪いと︑明日にでも破裂するかもしれない▼こう言われれば︑だ

れしも大きな衝撃を受ける︒そのとき︑破裂を未然に防ぐ手術もできると説明される︒手術を受けますか︒そう問われて冷静に判

断できる人が︑いったいどれくらいいるだろう▼兵庫県の六五歳の女性は﹁破裂の危険性に比べれば手術の危険性の方がずっと低

い﹂と説明された︒破裂を心配しながら暮らすか︑手術を受けて安心して暮らすか︑選ぶのはご本人と家族だと医師に言われ︑手

術を決断した︒ところが︑その手術の後︑右半身がまひし︑言葉が出なくなった︒手術から二年たつが自分で起きあがることもで

きない状態が続いている▼家族がやりきれないのは︑術後に執刀医から﹁手術をしなければよかった︒破裂の可能性は一・二%だ

った﹂と聞いたことだ︒手術に危険がつきものであることはわかっている︒しかし︑破裂の危険性がそんなに低いとは聞いていな

かった▼日本脳ドック学会が作ったガイドラインでは︑動脈瘤が五ミリ前後より大きく︑七〇歳以下の場合は手術を勧めるとして

いる︒様子を見る場合は︑一年ぐらいで再検査し︑瘤が大きくなっていたら手術を勧める︒大多数の瘤は︑どんどん大きくなるよ

うなことはないとある▼それなら一年様子を見るのを基本としたらどうか︒一年あれば最初の衝撃も和らぎ︑情報を集めたり︑他

の医師の意見を聞いたりできるだろう︒医療機関は︑患者と家族が冷静に決断する手助けをしてほしい︒﹂

︵二〇〇二年九月朝日新聞﹁天声人語﹂全文︶ 対人サービスにおけるインフォームド・コンセントの概念および歴史と現状

― 32 ―

(4)

前記記事に示されている状況は︑現在の日本の医療の実態を象徴するものである︒近年︑医療においては︑病名告知

やカルテの開示など︑患者に対する事実の通告や診療情報の提供︑患者自身による治療の選択・決定などが進んでい

る︒その動きの中心は︑﹁医師の説明と患者の同意﹂と訳されるインフォームド・コンセント︵以下︑ICと述べる︒︶で

ある︒ICは︑患者の諸権利の中でも中核的権利とされ︑この尊重と行使無くして現在の医学・医療は成り立たないも

のである︒今日︑日本の医療は︑ICに基づいた患者の納得や医師︑患者の信頼関係の樹立という新しい環境に変化し

ているはずである︒しかし︑前記のような事例は︑後を絶たない︒医療事故や過誤の報道も相次ぎ︑国民の医療への不

安や不信は益々深まっているように思える︒

ICは︑主として人を対象とする生物・医学研究における被験者保護を目的に登場し︑その後︑臨床医学にも広く適

応されてきたものである︒現在は︑介護︑福祉の実践領域︑社会学や心理学など人を対象とする研究分野にも適応範囲

は拡大してきた︒しかし︑前記のような現実を前にして︑対人援助サービスにおけるICは︑一体どのように実施さ

れ︑果たして適正に行われているのか︑患者や利用者は︑本当に納得した上での同意を行っているのか︑疑義を深める

点である︒掲げる理念や方法が望ましいものであっても︑実質が伴わなければ真に患者︑利用者の利益や満足に結びつ

くサービスにはなり得ないだろう︒有益で適切なサービスを対象者に保証する役割と責任は︑サービス提供者にあるの

は言うまでもない︒著者は︑現在のICの現状︑その中での問題や課題を明らかにし︑その改善のための方策を検討す

る必要があると考えている︒本研究は︑医療や福祉サービスにおけるICの﹁意思決定﹂に着目し︑望ましい意思決定

の在り方︑効果的な支援の方策を探ることを目的とする︒現在まで︑ICは主として医学・医療の範疇で展開されてき

た経緯から︑研究の主軸は医療におけるICに置くことになる︒しかし︑中心命題である意思決定の概念はソーシャル

ワークの基本原理でもある点から︑可能な限り二つの領域から検討︑考察を進め︑両領域の共通性および固有性を考察

の課題としたい︒本稿では︑ICに関する概念的アプローチとして︑対人援助サービスにおけるICの歴史的系譜︑定

― 33 ―

対人サービスにおけるインフォームド・コンセントの概念および歴史と現状

(5)

義︑現在の状況および課題について概観していく︒

ICの歴史的展開

ICの理念は︑医学・医療における被験者や患者の諸権利獲得の歴史の中で形成されてきたものである︒患者の諸権

利については︑後述する世界医師会総会でなされた﹁リスボン宣言﹂に明示されているが︑その中核は︑患者の﹁自己

決定権﹂およびそれを保証するものとしての﹁知る権利﹂とされている︒これらの権利を実際に行使する行為がICで

ある︒かって一七︑一八世紀︑人権思想が政治に登場して以降︑人権は自明のものとして国家法に明記される時代にな

ってさえ︑医療の世界は︑人権や自由が直接問題にされるような場ではないと思われてきた︒中川米造は︑その理由を

次のように説明している︒﹁本来医療とは危機に瀕した人間の生命を救う行為︑苦痛を軽減させる行為として求められ

たものであり︑それ自体が︑人の一時的要求に応えて成立している以上︑ことさら権利を主張するまでもないと考えら

れていたからであり︑⁝⁝病者も一般人も︑医療内容や個々の医師の個々の状況における医療的判断や実践の適正さに

ついては︑外からの判断が困難である﹂︒こうした医療行為の特殊性︑専門性︑個別性のゆえに許されてきた長年の医

師︑医療界の特権性と密室性︑被験者や患者の無権利状態に対するアンチテーゼとして︑今日︑患者の人権擁護の意識

は高まり︑ICの理念は︑医学研究や医療行為に際し不可欠の前提となるまでに進展を見せてきた︒

ICの発展については︑患者や被験者の自律的選択権に焦点を当てた道徳哲学と︑医師の説明と同意を得る義務を重

視する法律学からの二つのアプローチにより︑中心問題は展開されてきたとされる︒さらに今日︑これらの流れを組み

込んだ実践的な対人援助サービスの動きとして︑第三次医療革命および社会福祉構造改革の流れを捉えることは特に重

要であろう︒それぞれの系譜について概観していきたい︒ 対人サービスにおけるインフォームド・コンセントの概念および歴史と現状

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一倫理・道徳的発展

倫理・道徳的なICの歴史は︑ニュルンベルグ裁

判が端緒とされる︒その後の主たる流れについて

は︑表1に示した︒第二次世界大戦中のナチスドイ

ツの非人間的な戦争犯罪を裁いたこの裁判は︑生物

・医学研究における被験者の自発的意思による参加

を提示した﹁ニュルンベルグ綱領﹂︵一九四七年︶

を打ち出した︒その精神を受け継いだ世界医師会

は︑第一八回総会︵一九六四年︶において﹁ヘルシ

ンキ宣言﹂を採択し︑医学研究における被験者

への説明と自由意志による同意︑その撤回の自由の

必要性を明示した︒これが今日のICの源流になっ

たといわれる︒しかし︑この宣言には治療的研究で

﹁患者の心理に適合しない﹂場合︑ICは要求され

ないとする除外条項が設けられるなど重大な欠陥も

有していた︒しかし︑歴史的に見れば医療者自身に

よる医学倫理の検討を刺激した記念碑的なものであ

り︑その意義は大きいとされる︒さらに︑第三五回

総会︵一九八一年︶では﹁患者の権利に関するリス

1 インフォームド・コンセントの発展(海外)

1947年 ニュルンベルグ裁判における「ニュルンベルグ綱領」提示

*生物・医学実験には、被験者の同意が不可欠

1964年 第18回世界医師会総会「ヘルシンキ宣言」採択(’00年改正)

*医学研究では、被験者からインフォームド・コンセントを得る 1971年 「ヒト被験者保護に関する米国厚生省政策についての施設内指針」公表 1972年 べス・イスラエル病院による米国初の「患者権利書」作成

1973年 全米病院協会による「患者の権利章典」採択

1979年 EEC「患者憲章」制定

1981年 第35回世界医師会総会「患者の権利に関するリスボン宣言」採択

(’95年改訂)

1982年 スウェーデン「ヘルスケア及び医療法」制定 1983年 「米国大統領委員会生命倫理総括レポート」

*インフォームド・コンセントが国の方針となる 1990年 米国「患者の自己決定法」制定

1993年 フィンランド「患者の権利と地位を定める患者の権利法」施行

1994年 WHO欧州地域事務所「ヨーロッパにおける患者の権利に関する宣言」

採択

1995年 オランダ「新民法典、診療契約の規定」施行

1996年 WHO欧州評議会「生物学及び医療の適用における人権及び人間の尊厳 の擁護のための条約」採択

(出典:文献18)をもとに著者作成)

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対人サービスにおけるインフォームド・コンセントの概念および歴史と現状

(7)

ボン宣言﹂が採択され︑実体的患者の権利の提示と︑臨床医学へのIC原理の適応が提起された︒

この宣言も︑保護対象がヒトを対象とする生物・医学研究から臨床医学の患者へ拡大された点で︑非常に重要な意味

を持っていたと言える︒その後︑国際連合総会や専門委員会︑欧州各国でICの普及︑法制化が進展していったが︑特

にアメリカの医学・医療の領域で顕著な発展を見せていった︒一九七一年︑倫理と研究の規制に関する重要なモノグラ

フとしてまず﹁ヒト被験者保護に関する米国厚生省政策についての施設内指針﹂︵イエローブックと言われる︶が公表さ

れ︑施設内審査に関する詳細な考察とICの要件が示された︒さらに︑一九七三年には︑アメリカ病院協会が﹁患者の

権利章典﹂を発表し︑民間レベルでありながらICを公然と臨床医学に位置付けたことは︑画期的であり︑医療提供側

からの患者の権利を遵守する宣言としてその意義は大きかった︒こうして一九七〇年代には︑患者の権利概念が全米に

普及していった︒しかし︑﹁タスキギー研究﹂の発覚を機に︑一九七八年﹁生物科学研究︑行動研究における被験者

保護のための全国委員会報告﹂︵ベルモント・レポート︶が出された︒また︑一九八一年には︑人を対象とする研究計画

案およびICの適切性に対する施設内倫理委員会︵InstitutionalReviewBoards:IRBs︶の設置︑審査を義務づける連邦法が

立法化された︒以後︑この法律に基づき︑米国では︑政府資金を受けて行われる人体実験に対して︑IRBsの設置︑研

究計画案の審査およびICの実施と言う二種類の保護策が適用されていった︒さらに︑﹁アメリカ大統領委員会・生命

倫理総括レポート﹂︵一九八三年︶は︑ICを法律的側面と同時に倫理的概念として捉え︑その原理を国家の方針とし

て明確な位置付けを示した︒その後︑一九九〇年には連邦法﹁患者の自己決定法﹂が制定され︑米国では患者の権利が

憲法上の保護対象となったのである︒

米本昌平は︑こうしたアメリカにおける患者の権利確立の動きは︑一九六〇年代に高揚した公民権や女性解放︑反戦

運動などの市民運動︑中でも消費者主権主義運動に支えられたものであるとする︒その背景には︑第一に︑医行為の特

権的地位の崩壊や患者・医師関係に変化をもたらした医療の構造的変化︑第二に︑頻繁な医療訴訟への対抗上︑第三 対人サービスにおけるインフォームド・コンセントの概念および歴史と現状

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に︑医療保険の自由市場支配による医療制限など︑アメリカ的事情があると指摘する︒しかし︑例え︑アメリカ社会の

特殊状況を背景に成立したものであったとしても︑こうした医療における消費者モデルは︑伝統的医療パターナリズム

を否定し︑対等︑水平な医師・患者関係︑経済活動としての契約関係に転換させる規範となるものであり︑極めて意義

深い歴史的動きであったといえる︒

この様に︑主としてアメリカで発展してきたICの理念や権利実体が︑その後︑基本的な人権として︑各国特に欧州

諸国に拡大し法的保護や政策が進められていく流れは最早︑押し止めることはできなかった︒さらに︑こうした倫理的

流れは︑医学・医療の領域にとどまらず社会科学や行動科学の研究分野でも議論を発展させ︑様々な見解や︑専門職集

団の倫理綱領をも生み出し現在に至っている︒

二法律学における展開

先行するICのもう一つの起源は︑二〇C初頭以来の医療過誤裁判における流れとされる︒この流れは︑TomL.

Beauchampらにより三段階に区分され︑ICの法理形成のプロセスとして明解に解説されている︒最初の段階は一九

〇五年から一四年にあたり︑四つの医療過誤裁判を通して︑米国のIC法の骨格が構成されたとされる︒この時期に︑

患者の同意に基づかない医療行為は︑暴行ないしは侵害であるとした判決から︑医的侵襲行為に対する﹁同意の概 念﹂が形成された︒この概念は︑法律的原則である自己決定権にその根拠を求めたものである︒

第二段階は︑一九五〇年から六〇年代とされ︑ここでは︑コンセントの概念にインフォームドの条件が加わり︑医師

の﹁開示義務﹂が規定された︒患者が有効な同意をするためには︑自身の治療についての情報が必要である︒医師には

説明と開示の義務があるとするものである︒ICという言葉は︑一九五七年のサルゴ判決で初めて使用されたものとさ

れる︒

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対人サービスにおけるインフォームド・コンセントの概念および歴史と現状

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一九七二年代以降は第三段階とされ︑﹁開示﹂基準としての医師の説明範囲には︑

漓医師の専門的慣行基準︑

滷患者

にとって何が重要であるかとした理性的人間基準︑

澆考療治︑局結︒たいてれらえが患類分三の準基的観主の人個者方

針を選ぶのは患者であるとして︑従来の専門的慣行基準は否定され理性的人間基準が採用された︒

その後は前章で述べたように︑州立法府のIC領域への法︑政策的介入が進み︑それまで︑ICの理論的発展をもた

らしてきた法廷の役割は低下したとされる︒一九七五年から八二年にかけて︑二五から三〇の州が医療過誤の改革を目

指したIC立法を成立させ︑治療︑処置へのICを義務付けた特別立法も提案された︒立法化は地方や州︑連邦レベル

で進み︑その目的は︑患者の虐待防止や危険で効果の疑わしい治療の制限にあったとされる︒こうした法律学︑特に︑

判例の発展は︑立法や行政を動かし医学・医療のあり方を変える引き金となり︑今日のICへの関心をもたらした先駆

でもあった︒ !

三医療および社会福祉改革の潮流

今日︑わが国を含め︑先進諸国において︑保健︑医療︑福祉など人の生命や健康︑生活に関わる社会保障のあり方

に︑かつて無いパラダイム転換が起こっている︒それは︑従来の医療や社会福祉サービスの公的保障︑相互扶助から受

益者負担︑民間主体︑契約制へと制度や形態のシフトが相次いで打ち出されたことに示される︒その背景には︑未曾有

の少子高齢社会の進行と︑国家および自治体の赤字財政への危機感があると言える︒特に医療の潮流は︑今日︑第三次

革命の時代に入ったとされる︒一九五〇年から六〇年の第一次医療拡張の時代︑七〇年から八〇年代前半にかけての第

第と責任の時代が第三次革命い説われる時代である︒この明とく価医療費抑制の時代︑続八二〇年代後半からの︑評次 "

三ステージはまた︑投入した資源︑マンパワー︑医療費に見合うだけの成果や結果が求められる時代を意味している︒

すなわち︑少子高齢化や財政赤字に加えて︑近年の急速な﹁技術革新・情報化の進行﹂︑﹁電子媒体の普及﹂は︑必然的 対人サービスにおけるインフォームド・コンセントの概念および歴史と現状

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に︑医療システムの電子化による効率性︑標準的な質の高い医療内容︑対等で開かれた患者・医療者関係を要請するこ

とになる︵図1︶︒そのことはまた︑疾病構造の変化に伴う医療専門家の役割変化や患者の医療参加など︑患者と医療

者が共同で医療サービスを作り上げ︑地域や福祉との広い連携がサービスの質を高める地域ケアの時代に符合した動き

であるとも言える︒

こうした流れは︑わが国において︑医療保険財政の窮迫を追い風に医療や福祉制度改革を加速化してきた︒一九九五

年︑旧厚生省は︑医療費適正化対策を発表し︑診療報酬の合理化︑患者負担︑規制緩和など保険制度の運営面の効率化

を進める一方で︑救急・急性期医療と長期療養型および在宅医療への医療供給の二分化を図り︑帰結としての保健・医

!

の紀のある課長は︑﹁二一世の省医療は質の向上と医療費︶労て厚福祉の一元化を意図しき療た︒厚生労働省︵以下・ "

両立をいかに図るかであり︑⁝⁝なぜ改革が迫られているのか︑来年に限って言えば︑極めて財政的な理由から﹂と︑

明言している︒ただし︑これは

!来年に限っての理由

"ううろあでい無もでま言で︑はとこいな得りあ︒

一方︑社会福祉の領域では︑﹁少子高齢化や国際化の進展︑低成長経済への移行

規てたる変革を求めいにる﹂として︑大わ般︑全の構造変化が日な本の社会経済ど #

模な基礎構造改革が進められてきた︒一九九八年に︑中央社会福祉審議会社会福祉

基礎構造改革分科会﹁社会福祉基礎構造改革について︵中間まとめ︶﹂が報告され︑

︑出は向方のそ︒たれさち打が向方本基の革改 $

漓サービス利用者と提供者の対等な

関係︑

滷祉スビーサ的合総の福地・療医・健保ので域︑

澆利用者の選択︑市場原理

の活用によるサービスの質と効率性の向上︑

潺価示開︑開公の評サや容内スビーに

よる透明性の確保として示された︒改革の中心は︑従来の恩恵的措置制度に代わ

る︑個人とサービス事業者との私的契約制度の導入である︒この方向は︑まず︑二

社会の動向 医療の動向 成熟・低成長社会 効率化 技術革新・情報化 標準化 患者−医師関係の変化 透明化 電子媒体の普及 情報化 図1 社会と医療の動向の関連 出典:長谷川敏彦(11) P 9 図12

― 39 ―

対人サービスにおけるインフォームド・コンセントの概念および歴史と現状

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〇〇〇年に開始された介護保険制度により具体化された︒この制度の基本理念には︑要介護者の意思を尊重した介護サ

ービスの自由選択がうたわれている︒同じ二〇〇〇年六月︑社会福祉事業法など八法の一部改正が行われ︑障害者等の

ノーマライゼーションと自己決定の実現を図るため︑サービス利用制度への転換が挙行された︒二〇〇三年四月に開始

された身体・知的障害者のサービス契約を補助する支援費支給制度も︑改革の同一線上にある︒こうしたサービス利用

形態の措置から契約への変化は︑要援助者のサービス消費者への立場転換を意味し︑当然︑サービス提供者の説明責

任︑利用者の選択・決定︑サービスの質や結果の保証が求められることになる︒従って︑著しくパラダイムシフトした

医療・福祉システムの中で︑円滑に変革を進めるためには︑患者や要介護者︑障害者などサービス利用者の理解︑納

得︑選択・同意が欠かせないことになる︒いずれにしても︑変革の流れのなかで医療や福祉サービスを適切に進めてい

く有効かつ不可欠な方法論として︑ICはこれまで以上に重要な意味を持つに至っていると考えられる︒

四わが国におけるICの展開

︒と関する論文発表が契機なCり︑議論が盛んになったにI律の国では︑一九六七年法学わの領域で︑唄孝一教授が !

その後︑ICに対する本格的な動きが始まったのは︑一九八四年︑医療過誤問題に取り組んでいた弁護士グループによ

り公表された︑患者の知る権利や自己決定権を内容とした﹁患者の権利宣言︵案︶﹂からであろう︒一九九〇年には︑

日本医師会生命倫理懇談会による﹁説明と同意についての報告﹂が出され︑続いて一九九五年には︑旧厚生省に設置さ

れた﹁ICの在り方に関する検討会﹂報告が出されるなど︑ICへの関心は高まり実践が試行されていった︒しかし︑

導入当初より︑日本医師会をはじめとして国民の間では︑関心も高まらず︑導入には否定的︑消極的な状況があった︒

それは︑医学・医療の高度の専門性のために︑医師が説明しても患者には理解できないとする声や医療を消費・契約︑

権利・義務の範疇で捉える事の抵抗感︑日本の文化や国民意識になじまないとする見解︑訴訟社会アメリカとは異なる 対人サービスにおけるインフォームド・コンセントの概念および歴史と現状

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医当るす対にCI︑は肇野水︑時︒たっあでのもるよにえ考のどな !

師の反対論として︑

漓知はでのいなくたりを患険危の上療治は者な

いか︑

滷でるいが者患いなき解説理を報情もてし明︑

澆患者は医師

の言うがままに治療を受けるので自己決定権を与えても無意味︑

与える情報によっては︑患者がショックを受けて不利益な結果をも

たらす︑

潸りあの師医︑どなるぎすかIかが間時とるいてしをCる

意味︑無理解によるパターナリスティックな思考による要因を指摘

している︒

そう言った風潮の中ではあったが︑一九九〇年︑旧厚生省は通達

﹁医薬品の臨床試験における実施基準﹂に基づき︑わが国最初の制

度化として臨床試験に際し被験者のICを得ることが定められた︒

それは︑一九九六年の薬事法改正に繋がり︑日本で初のICの法制

化が実現した︒しかし︑治療方法の臨床試験においては公的基準が

規定されていないために︑リスクの高い臨床試験でさえICの手続

年現七九九一︑又︒るれわいと状がのいないてれさ施実に分十はき "

医療法改正により︑診療の場における医療者のIC実施が努力義務

として明記され︵医療法第一条の四

に務れそ︑医︶責の者係関療

先立ち前年には︑医薬品に関する情報提供や医療チームによる総合

的計画策定を要件とした入院診療計画︑退院計画作成加算が新設さ

2 インフォームド・コンセントの流れ(国内)

1967年 唄孝一教授論文発表

1984年 弁護士グループによる「患者の権利宣言(案)」公表 1990年 「医薬品の臨床試験における実施基準(GCP)」通達 1990年 日本医師会理事会「説明と同意についての報告」採択 1991年 患者の権利法をつくる会

「患者の諸権利を定める法律要綱案」起草

1995年 厚生省「インフォームド・コンセントの在り方検討会」報告 1996年 薬事法一部改正によるGCP法制化

診療報酬 入院診療計画 , 退院計画 策定加算

1997年 医療法改正 医療者の適切な説明の実施に関する努力義務 規定 2000年 診療報酬の変更, 患者への診療情報の提供 減算措置の新設 2001年 東京都立病院,富山市民病院「患者権利章典」制定

2001年 旧3省「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」作成 2003年 厚労省「臨床研究における倫理に関する指針」施行

(出典:文献18)をもとに著者作成)

― 41 ―

対人サービスにおけるインフォームド・コンセントの概念および歴史と現状

(13)

認者このことは︑厚生省が患へはの情報提供を診療行為と︑渕が川診療報酬上ICの評価なれされるようになった︒︑ !

めた画期的な制度であると高く評価をしている︒さらに︑二〇〇〇年にはICを入院時の基本サービスとして位置付

療的られてきた︒現在︑制度に進は医師によるこの入院診めは置応不実施の場合の減算措をけ講じるなど制度上の対︑ "

計画書および退院計画書二文書の策定とその説明︑その他リスクの伴う検査や治療に関する説明と同意書をもって︑臨

床医学におけるICの実施とみなされる段階にあると言える︒

一方︑わが国では︑生物・医学研究における被験者の保護に関しては︑医薬品の治験に対する法規定以外には具体的

な対応は取られてこなかった︒臓器移植や遺伝子医療︑生殖補助医療などの実験的医療に限り︑学内倫理委員会による

審査が行われ︑ICの確保が要請されてきたに過ぎない︒二〇〇三年七月︑厚労省は︑医学系の﹁臨床研究に関する倫

理指針﹂を策定し︑施行するに到った︒その中で︑倫理審査委員会の設置と被験者のICを受けることが研究者の

責務として義務付けられた︒米国に遅れること約三十年の指針である︒

わが国ではまだ︑欧米諸国のように患者の権利やICを明確に規定した単独法は制定されるに至ってはいない︒しか

し︑法学界においては︑ICは憲法第一三条﹁個人の尊重︑生命・自由・幸福追求権﹂いわゆる﹁人格的自律権﹂を根

拠法とするコンセンサスが得られ︑学説上広く認められるようになった︒一九九〇年代には︑裁判上﹁患者の自己決定

権﹂またはこれに準ずる表現を使った判例が登場し始めた︒最高裁においても︑﹁人格権﹂に由来する﹁⁝⁝意思決定

スるしてきたと評価されてい︒定しかし︑こうした法やシ着もるてる権利﹂として承認すにを到るなど︑判例においす #

テム上の整備と︑実際の場で個別の患者に対して適正なICが保証されているか︑患者の意思が反映され納得できる医

療が進められているかは︑区別して考える必要があるだろう︒日本の医療が基本的に医療者のパターナリズムから脱し

あ摘いることが多いとする指はっ︑現実を窺わせるものでてま実留ないため︑現在でも現にては︑手続き上の形式にい $

る︒それは冒頭の事例によっても︑証明されていることである︒ 対人サービスにおけるインフォームド・コンセントの概念および歴史と現状

― 42 ―

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ICの概念

一ICの定義

InformedConsent は︑日本医師会生命倫理委員会報告で﹁説明と同意﹂と訳された︒しかし︑これではICの内包す

る意味やその意図を十分に表現し得ないとして︑一般には原語のまま使用されてきた︒確かに︑ICには言葉の意味︑

解釈に対する見解の相違ばかりではなく︑実施にあたって︑医師の説明内容や方法︑患者の理解︑選択の内容や程度な

ど明確に規定し表現︑評価し難い部分が多い︒では︑本来のICはどのような意味を持つ概念であろうか︒

ICの代表的な定義に︑国際連合総会︵一九九一年︶によりなされた﹁精神病者の保護及び精神保健ケア改善のため

の原則﹂決議文に記されたものがある︒決議文では︑ICとは︑﹁威嚇又は不適当な誘導なしに︑患者が理解できる方

法及び言語により︑適当で理解できる以下の情報すなわち︑a診断の評価︑b提案された治療の目的︑方法︑予想され

る期間及び期待される利益︑cより押し付け的でないものを含む他の治療方法︑及び︑d提案された治療で予想される

︒る後に︑自由に行われ同し意﹂と定義されているた明び説又は不快︑危険及副苦作用を患者に適切に痛 !

国内での代表的な定義としては︑日本弁護士連合会第三五回人権大会﹁患者の権利の確立に関する宣言﹂における

﹁患者が自己の病状︑医療行為の目的︑方法︑危険性︑代替的治療法などに付き正しい説明を受け理解した上で︑自主

わ者う︒これらの定義は︑患のあ﹁説明を受ける権利﹂いろでるの選択︑同意︑拒否できと的いう原則﹂が適切なもに "

ゆる﹁知る権利﹂と﹁自己決定権﹂を含むものである︒また︑自己決定権の原則は︑自分の受ける医療行為について自

ら決定する権利であるから︑単なる﹁同意﹂にとどまらずこれを﹁選択﹂し︑あるいは﹁拒否﹂する権利でもなければ

︒さるあで点きべるれ認確︑はとこいならな #

― 43 ―

対人サービスにおけるインフォームド・コンセントの概念および歴史と現状

(15)

ところで︑こうした定義は︑概念としては︑極めて原理的で明確であるが︑実際の診療や援助サービスの場で実践す

る時︑医療者にも患者にも戸惑いと曖昧さを残し︑適正な実施であるのか否かと言った疑問や確信の持てない状況があ

ると考えられる︒

︑こ題がでてくる︒一体どまなでの範囲を説明するのが問ん的ろ良夫は︑﹁ICを具体に加実践しようとするとい藤 !

一国知光も︑﹁未だIC途上で堀ある我が国では⁝⁝一つ田︒基るい説明なのか﹂と実施準正の不確定さを述べていし "

つの検査や必要な処置について逐一同意を得なければ︑何も進められないのかといういらだちの声すらある︒何につい

て︑どこまで説明し︑どの様に同意を得るのか︑患者の自己決定権はどこまで行使しうるのかなど戸惑いは多い︒﹂と︑

実施上の混乱を述べる︒

これらの状況から窺えるICの実践上の戸惑いは︑例えば︑﹁理解﹂︑﹁自主的﹂︑﹁選択︑同意﹂などの意味・内容が︑

抽象的で人の認知力や主観に属する概念であることから生じると言えるだろう︒﹁理解﹂とは︑何をどこまで理解すれ

ばよいのか︑その基準はどこにあるのか︑﹁自主的﹂に正しく﹁選択︑同意﹂するとはどの様な状態を想定するのか︑

その前に︑一体その様な状態は可能なのだろうか︒殆どの患者にとって︑高度に専門的な医学・医療知識をいきなり告

げられ︑分かり易く説明されたとしても︑生死に関わる重大な選択や判断が速やかに納得して出来るのであろうか︒著

者は︑この様なICの理念や概念の実践化を確認し難い問題が︑現在の日本において︑適正なICの定着と普及を妨げ

ている原因であると推測している︒今後︑適正なICの定着のためには︑特に﹁理解﹂と﹁選択︑同意﹂などの曖昧な

概念に対して︑一定の実践的解釈を試み提示する必要があると考えている︒

ところで︑医学・医療の特殊性に固執せず︑理念と実践の乖離を埋める現実的な概念を︑生命倫理学研究の先駆者で

eauchampRuthR.FadenT.TomL.BL.Beauchampはる︒らの︑ICにでは二つき得もるあるとらによ定と義からるこ #

異なる意味があると述べる︒第一の意味は患者︑被験者による特殊なかたちの自律的権限付託︵autonomousauthoriza- 対人サービスにおけるインフォームド・コンセントの概念および歴史と現状

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(16)

tion︶である︒その行動は︑被験者や患者の選択︑同意︑拒否と言った自律的選択︵行動︶そのものを意味するのでは

なく︑被験者を研究に参加させるため︑あるいは患者に対して医療計画を開始するための許可を医療専門家に与える

︵権限を付託︶自律的行動であるとする︒それは︑権限付託したことに対する責任を負い︑その履行の権限を他者に移

す︵許可する︶ことである︒つまり︑権限付託する人が他人に行為の権利を渡す中で︑自分が持つすべての権利︑力︑

支配力を行使することであるとする︒第二の意味は︑患者または被験者の法的︑制度的に有効な同意としての権限付託

である︒これは︑同意を求める人の行動を調整し︑同意の手続きと規約の確立を目指すものである︒すなわち︑治療処

置や研究に着手する前に︑患者または被験者から法的に有効な同意を得なければならないということである︒この二つ

の関係は︑第一のICの条件が最大限充たされるように︑第二のICに対して制度的要請があり︑そこに︑ICという

社会的制度を設ける理由が込められていると説明されている︒この様にICを実際の行為とそれを法制度的に保証する

手段の二重構造として設定することは︑ICをより実践的︑効力的に確立するために有効な概念であると考えられる︒

T.L.Beauchamp︑界念要素すなわち︑限素要のである﹁有能性﹂概五つ的さらに︑らは︑自律権限付託モデルとして !

情報要素である﹁情報の開示﹂および﹁情報の理解﹂︑同意要素である﹁自発性﹂および﹁権限委任﹂を想定している︒

中でも︑﹁情報の開示﹂は︑有効なICの必要条件で意思決定のためにも重要なテーマであり︑専門家は中核的情報を

開示する義務を持つとする︒中核的情報には︑

漓拒こおを定決の意同はいるあ否︑示に究研はいるあ置処療医たれさな

う上で︑患者や被験者が普通︑重大とみなす事実や記述︑

滷信報情るいてし確専と要重が家門︑

澆専門家の勧告︑

潺同

意を求めることの目的︑権限委任行為としての同意の性質︑

潸置明言の者任責や的目の処追療医︱的足補はいるあ加︑

処置のリスクや否定的影響などが提示されている︒

このように︑T.L.Beauchampらの定義は︑特殊な構図と不確定要素の中で︑患者や被験者の権限と責任を主体とし

た現実的で実践的な定義であり︑﹁要素﹂の考えを取り入れることは︑意思決定の分析に必要な基本的論点を明確にし︑

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対人サービスにおけるインフォームド・コンセントの概念および歴史と現状

(17)

ICの概念枠組みを設定する上での指針となるものである︒

二医師の説明義務とIC

ところで︑日本においては従来より︑ムントテラピーと称する医師の一方的な説明が行われてきた︒その意図は︑治

療や検査に対する異議申し立てをしない旨の承諾を得るものであり︑患者の理解や選択はほとんど念頭に無いものであ

ったと言える︒また︑ICの理念や実施とは別の文脈で︑医療行為に対する医師の説明義務と患者の同意は法律上に明

︑木由来するものである︒植哲約は︑﹁患者の自己決定はに契療療れている︒それは︑医に記おける医師と患者の診さ "

憲法上の理念を別とすれば︑民法上の医師︑患者間の準委任契約︵民法第六五六条

準委任︶としての診療契

約の本質から導かれる︒﹂と述べている︒すなわち︑﹁医師は︑診断︑治療を委託された患者に対し︑そのプロセスや事

故の

頷負五四六法民︵いを末務義るす告報を条

受任者の報告義務︶

!利患︒るれさ成構が権の者患で係関のこ︑者

は︑診療契約における一方の主体であり︑診療債務の支払い︑情報提供義務と同時に医療上の権利を行使できる﹂と

し︑患者を医療の主体と捉える時︑医療の実践で近代的な医師患者関係が成立すると論じる︒

にのため︑患者の自己決定前あ提となるべき心身の現況るで為動︑上山泰は︑﹁医療行はま極めて専門性の高い活た #

対する医学的評価や有効な医学的対処について︑医師・患者間には圧倒的情報格差が存在する︒しかし︑患者の自己決

定を有効なものと承認するためには︑必要︑十分︑精確な情報が患者に確保される必要があり医師の説明義務が要請さ

れる事になる﹂と医療の専門性に由来し︑患者の自己決定権を担保するものとしての医師の説明義務を明確に指摘して

いる︒この様に︑医師の説明義務は︑元々の民法上の私的診療契約に由来する義務であることに加え︑ICの法理によ

る患者の人格権や主体的な医療参加を保証するものとなり︑実践上の重要性を一層裏付けるものと考えられる︒しか

し︑この場合でも問題は︑説明内容を患者が︑どの様にどの程度理解でき︑納得のいく選択や意思決定を実効できてい 対人サービスにおけるインフォームド・コンセントの概念および歴史と現状

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るか否かという点にある︒

三医師以外の医療職︑福祉職におけるIC

ICは基本的には医的侵襲行為の判断︑実施者である医師とその行為を受ける患者との関係であり︑実施は医師の役

割・義務と考えられるのが通常である︒その際︑関連する他の医療者は︑それぞれの部分で医師の指示による医的行為

を分担実施し︑その行為についての説明を行う事が努力義務として規定されている︒看護者には︑職業倫理上︑患者の

立場に立ち︑その適正な実施を監視し患者の自己決定を支援するアドボケートの役割が求められている︒同時に看護サ

ービスに関しては︑患者からのICを得る義務が求められる︒

また︑介護や福祉の領域においても当然︑サービス提供に際してケアマネージャーやソーシャルワーカーは︑対象者

践﹁ばならない︒岡本民夫は自け己決定の原理は具体的実れな権得択や同意など自己決定をの保証するためにICを選 !

過程でとりわけ重要と言われ⁝⁝他人の困難を援助するには︑前提としてその人の生活に多少何らかの意味で介入する

ことは避けられない﹂とし︑福祉サービスの特性に由来する意思決定の保証を述べている︒

どちらのサービスも︑内容によっては対象者への直接的身体接触や拘束︑侵襲行為となり得る︒また︑家族も含めた

精神・心理的領域から私的生活上の事柄迄を知り得︑関わりを深めていく場合もあり︑個人の秘密やプライバシーに触

れる部分も多い︒そのために︑援助的介入であっても対象の納得︑同意︑承諾が不可欠である︒既に︑介護保険制度や

支援費支給制度では︑対象者への情報提供と自己決定の尊重は専門職の努力義務として規定されている︒その様に考え

ると︑対人サービスにおけるICの意味と必要性を援助提供者はより強く自覚し︑その適正な実施に努力しなければな

らない時に来ていると言える︒

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対人サービスにおけるインフォームド・コンセントの概念および歴史と現状

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四医師・患者関係

従来より︑医療は高度の専門性を持った慈善︑恩恵の行為であり︑医師は人類愛に基づく聖職との倫理観が強く︑そ

者︑れる︒しかし︑人権思想民と主主義の成熟により︑患さたズれ果︑医師のパターナリムのやお任せ意識が醸成さ結 !

の主体性や対等の関係︑自己決定権の尊重の考えが発展してきた︒ICでは︑患者が自らの医療に関する自己決定権を

行使する場合︑強制︑威圧︑強要など外部からの圧力が一切無く自発性が確保される必要がある︒その際︑患者と医師

あるいは医療者との関係が大きく影響する︒特に︑医師・患者関係がどのような形態であるかは︑ICの適正な実施に

とって重要な要素でもあるが又︑実際上︑ICの普及を妨げる要因でもあった︒ICの適切な実施のためにはどのよう

な関係を形成するべきなのか検討しておくことも必要であろう︒

︑現る︒清水哲郎は︑在ての医師・患者関係はいれるさ・患者関係に関す類医型はいくつか提示師 "

漓パターナリズ

医師主導型︑ :

滷=医者技術者

患者主導型︑ :

澆決定の分担︱国境線引き

︒さるいてしとるれ類契分三に型結締約 :

清水自身︑医療を医療者と患者の共同行為であると捉え︑両者の関係はこれらの三類型に属さない医療者と患者相互の

情報提供︑共同の決定︵合意︶・実行の分担であるという独自の見解を提唱している︒この見解は理念的には評価でき

るが︑実行の分担など現実の状況を考えるとあてはまりは悪いと考えられる︒

依どべき医師・患者関係をのあ様なものと構想するかにる︑のはは︑患者の自己決定権内上容と限界を考えること山 #

存するとし︑﹁恩恵モデル﹂︑﹁契約モデル﹂︑﹁信託︵信認︶モデル﹂を構想している︒このモデルの考え方は︑標準的

な分類と考えられるため以下に︑その概要を示す︒

﹁恩恵モデル﹂の理念は︑

漓権つ持を限権のて全と威が医みの師医は定決の上療︑

滷医師には診断︑治療の職責があ

り︑患者には協力する責任がある︑

澆るする恩恵であとにする︒いわゆる対者職と責を果たすこは患︑医師の倫理︑パ

ターナリズムに基づいた関係である︒ICの成立︑普及を妨げる最も大きな障害で︑患者の自己決定権が打ち倒そうと 対人サービスにおけるインフォームド・コンセントの概念および歴史と現状

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したものであると評する︒

﹁契約モデル﹂は︑患者の自己決定権に即応したモデルと考えられ︑患者は︑自己責任も負うといった関係が想定さ

れる︒理念上の特色は︑

漓最つ持が者患は権定決的終り医あで等対は係関の者患と師︑

滷医師・患者関係の内容は︑当

事者の自由によって決まる︑

澆よ約から利益を得う︑とし契約上の義契た医者師の義務は︑患のま利益となり医師も務

さえ果たせば医師自らの利益追求も許される︒日本の場合︑医師・患者関係はこの契約モデルとされている︒

﹁信託︵信認︶﹂モデルは︑信託における受託者・受益者間の関係を指したものであり︑フランケル教授により︑以下

の三見解に整理されている︒

漓他係関るす存依てし頼信を方が当方一︑くなはで等対は者事︑

滷信託関係締結には選択

の自由があり︑内容も一定選択の自由が認められる︑

澆ね認信はに師医︒いならなばら受図を益利の者益受︑は者託義

務が課され︑患者の利益のみを図る忠実義務がある︒これらのモデルに対する上山の主張は︑契約モデルには限界があ

り︑信認モデルに評価と期待が持てるとする点にある︒現在︑日本の医師・患者間の契約は︑それがどの様な契約であ

るかが重要であるという︒と言うのは︑アメリカでの実証的調査の結果︑患者の多数は自らの病状について情報を得る

ことは望んでも︑医療上の決定を下すことまで望んでいないといった報告もあり︑その様な傾向は︑日本でもみられ

る︒多くの患者が望んでいることは︑治療の成功や適切な処置がとられた事実︑良い治療を受ける手段や方策であり︑

こうした現実を反映した有益なモデルとして説明可能なのは信託モデルであると主張する︒信託モデルにおける当事者

の関係には︑本質的で現代的意義が認められ︑専門性が著しいために素人のモニタリングも難しいような専門領域にお

いてだけ︑頼る人と頼られる者の重い責任という関係が法的にも特別な類型として区別されると述べる︒

この信託モデルは︑前述のTomL.Beauchampらに定義されたICの自律的権限付託モデルに極めて近いと考えられ

る︒これらのモデルは︑著しい権威と専門性を持つ医師と︑自律性と意思決定を保証されるべき患者の間の困難な関係

をお互いの情報提供︑相互の信頼と責任に裏付けられた契約・信認関係を成立する中で解消し︑具体的な治療行為を進

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対人サービスにおけるインフォームド・コンセントの概念および歴史と現状

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めていくことが出来る現実的な類型と期待できる︒

五社会福祉領域における自己決定の原理

ICの理念や発展とは異なる系譜に︑社会福祉領域における自己決定の原理がある︒その発生より︑慈善︑恩恵的色

彩の濃い社会福祉の歴史の中で︑特に二〇世紀に入り︑﹁自己決定の原理﹂は専門的方法論であるケースワークの最も

基本的な原則として登場してきた︒一九三〇年代の大不況期以降︑中産貧困層の増加︑ケースワークを求めるクライエ

BiestekP.F. ︑︒を強めたとされるの最初確提唱者であるは立の神理の登場︑心理学︑精医ン学の影響などがこの原ト !

自己決定の原則とは︑﹁ケースワーク過程において自ら選択と決定を行う自由についてのクライエントの権利と欲求を

実際に認めることである︒﹂とし︑﹁社会事業という専門職業の最も確固たる信念の一つは︑人は自己決定を行う生まれ

ながらの能力をもっており︑ケースワーカーがクライエントの自由を意識的に故意に侵害することは︑クライエントの

自然の権利を犯し︑⁝⁝専門職業に反する行為である︒﹂と述べている︒しかし︑この権利は︑﹁決定を行うことのでき

るクライエントの能力や︑市民法および道徳法の枠組みにより︑また機関の機能により制限を受ける︒﹂ことも明記し

ている︒このように︑クライエントの自己決定は︑ケースワークの哲学では非常に重要なものであり︑それは又︑人間

︒定め︑必然的に自己決のる尊重を伴うと言われるたいさて重が理性や思慮深︑の選択と密接に関連し尊 "

追自で支配する権利⁝⁝︑分自のやり方で自分の幸福を分をに活達雄は︑人の自己決定つ大いて﹁人間は自分の生塚 #

求する権利を持つ存在として尊敬されるべきである︒⁝⁝これは︑人間は人生において満足できるよう発展調和する能

力を持ち︑自分で問題を解決する自発性の要素を持っているという考え方から出ている︒﹂と述べ︑﹁これらは基本的人

か基︑生存権保障への主張の盤んとなるもの﹂と︑本質論です主すおける市民的自由権の張権とも解される︒さらにに $

ら基本的人権としての憲法論へ発展的に位置付けている︒この様に︑社会福祉の領域では︑早い時期から援助技術の原 対人サービスにおけるインフォームド・コンセントの概念および歴史と現状

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理として自己決定は重視され︑それは︑日本においては憲法上の権利にまで理念的展開を示してきた︒しかし︑この原

理が実際上どの様に保証され︑効力を示してきたのか︑これまで︑明確な検証はなされていないと思われる︒

P.Biestek 決のると批判し︑﹁個人由自でと権利に関わる自己あ論的︑小野哲郎は︑の原則は抽象的︑思弁的︑適応理 !

定の原則は︑何よりも具体的制度とその発展の問題と理解すべきであり︑同時にそれは客観的な法制度に拘束され︑か

つ保証されながら国民自身が作りかえていくもの﹂と主張する︒このことは︑理念が理念のレベルに留まり︑実際のサ

活本そういった意味では︑岡もる︑﹁人は元来︑自らの生︒れ実らスに具体化され難い現かーらの見解であると考えビ "

を自分で支配し︑律しようとする自由と権利を持っているため︑それらを︑問題解決の過程で十分にかつ正当に行使で

己山触れている︒しかし︑小隆割が︑﹁クライエントの自に役すのような場と機会を用意るき必要がある﹂と専門職る #

決定の尊重の原則ほど︑実践にあたるソーシャルワーカーを困惑させる原則もないであろう︒⁝⁝具体的に何をどうす

ればよいのだろうか︒﹂と︑その実体性の無さやこれまでの具体的な検討の乏しさを述懐していることも合わせて考え

ると︑措置から契約へとシフトした福祉サービスにおいて︑今後︑ICが自己決定原理の有効な適応を促進する具体的

方策として期待されることは可能だろう︒

ICの効果と現状

一ICの効果

ICが︑実際にどの様な有効性と価値をもたらしているかについての実証的な検証はかなり困難と推察できる︒既に

述べてきたように︑近年︑サービスとしての医療や福祉環境は多くの面でドラスティックに変化してきた︒医療者や福

祉従事者の対応︑情報提供︑プライバシーへの配慮︑療養や生活環境など病院や施設では︑かって想像さえ出来なかっ

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対人サービスにおけるインフォームド・コンセントの概念および歴史と現状

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た程の改善が進められてきた︒こうした変化に対するICの関係や影響もまだ︑明らかではない︒しかし︑その必要性

にン︒患者の権利オンブズマ代え表の池永は︑ICの効果る考にと測的効果としての見解はや一定の合意が得られる予 !

ついて次の点を指摘している︒

治療効果の向上

それは︑患者自身が︑主体的に病気に立ち向かう意欲を持ち︑学習することにより医療者と患者の意思疎通が図

られ︑信頼関係が強化することにより得られる︒

手術後の経過に良好な影響

外科的医療では︑手術の必要性と危険性︑手術に伴う苦痛︑予後など事前に十分な情報を得︑理解することで患

者は︑不安やストレスを軽減して手術に向かえ︑それは︑術後の経過に良好に影響する︒

医療の質の改善︑向上

患者に説明するためには︑医療者自身に知識の裏付けが必要になり︑医療者の質の向上をもたらす︒高水準の安

全の達成は︑医療の質改善に不可欠である︒

医療事故の防止︑安全な医療

患者の質問や訴えを良く聞き︑状態をより把握することで︑誤診や医療事故の発生を未然に防止し︑安全な医療

を確保できる︒また︑患者が治療や危険性に関する情報を得ることで認識を深め︑正しい治療や異常の早期自覚に

より副作用や被害を回避できる︒

前記に集約されているように︑ICは患者の権利擁護の視点と同時に︑実際の医療内容や質の改善・向上の効果から

も極めて重要な手法であると考えてよいだろう︒

医療革命の重要な目標である医療の質を確保するためには︑医療の安全が至上の課題である︒医療の安全を確保する 対人サービスにおけるインフォームド・コンセントの概念および歴史と現状

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ためには︑患者に必要な情報を提供し︑可能な限り患者を治療に参加させることが重要とされる︒十分知識を持った患

薬線適切にみるには患者の目に最立つことである︒例えばもを多質ど安全な患者であり︑く者の場合︑医療の安全とほ !

物療法時において︑患者が受けている治療に関する知識を持ち︑自身の記録を検討し確認する作業に参加し自分の責務

"

︑と﹂を自らの手にするこが装可能である︒山内桂子は置全と安たすように促されるこにをよって︑万一の時の﹁果 #

﹁患者・家族に十分な情報提供がなされていると認識する時︑自身の役割の重要性も認識でき医療者に過大な期待をす

ることもなく︑自立した信頼関係が作られ︑自身が最後にエラーを食い止めることも可能であり⁝⁝﹂︑ICは︑医療

事故防止に必要な情報を︑医療者と患者が共有する視点からも必要であると指摘する︒

をIに必要なこととして︑C救による情報の十分な提供済と藤防訴訟に取り組んできた田医康幸は︑医療事故の予療 $

第一に︑患者の権利確立と医療の質の改善の重要性を指摘している︒

こうした指摘から︑ICは︑基本的には患者の権利を擁護するものであるが︑その行為は患者の認識や自覚を高め同

時に︑医療者自身の自覚や資質の向上を促し結果的には︑医療の安全を確保し︑患者の生命を守るという価値を生み出

すものと言えるだろう︒

二ICの現状と問題状況

盧意何はと﹂るす同﹁﹁︑﹂るす解理か

それでは現実にICは︑どの様に︑どの程度︑効果的に展開しているのであろうか︒

厚生省の検討会報告書が︑ICを患者と医療従事者との新しい医療環境︑信頼関係構築の機軸であるとして発表され

患記意見が主流であった︒A者すは︑日本ではICは﹁︵るとのい九九六年当時は︑ICすたぐさまの実現は望めな一 %

者・家族という医療サービスの︶受けてしだい﹂の域を出ていない現状を指摘し︑ICの議論を複雑にする要因に︑

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対人サービスにおけるインフォームド・コンセントの概念および歴史と現状

(25)

﹁理解する﹂︑﹁同意する﹂とは何かという点を指摘した︒医療技術が進み診断法も治療法も多様化︑複雑化している中

で何をどう説明するかは非常に難しい︑医療者と患者・家族間には圧倒的な知識量︑情報量の差がある中で︑情報をど

こまで提供するのか︑正しい選択を誰が決めるのか困難な問題があると論じた︒﹁理解する﹂とは︑﹁同意する﹂とは何

かという二つの疑問は︑現在もなお︑ほとんど未解答のまま残っていると言える︒核心の疑問は残したまま︑診療報酬

評価と形式的な手続きのみが先行しているのが現状である︒﹁長い間︑医療関係者の医学知識が優先されがちであった

が︑患者中心の医療︑患者の権利を第一に考えるのが医療行為の原則になろうとしている︒⁝⁝しかし︑医療従事者と

患者との間にはまだ隔たりがあり︑この谷間を埋めることが急がれる︒そのためには情報の共有が欠かせない﹂と︑大

︒ののための情報開示課と題を提示しているそ化療変三は︑今日の医の野迎えた在り方の善 !

米国では︑患者が十分な理解のもとで判断する権利は︑かなり広まったが︑現実には常に正しく履行されているとは

とえ解に基づく意思決定と言るなものは九%しかなかった理分究十難いとされる︒ある研で言は︑研究者が定義するい "

される︒この状況は︑ICが医療者の法的な努力義務と規定され︑入院診療計画書が︑一〇〇%近く策定されている日

Narumi三たに自身で意思決定し人正は一九・六%に過ぎず︑確︑をはおいても同様の傾向示本している︒の調査でに #

︒医決定したが︑四六%は師人に任せたと回答していたで本著者は医師に委ねていた︒者八の調査でも三四%は患% $

ICをめぐる新たな課題

R.R.Fadenらは︑米国内におけ発るCの顕著な取り組みやI︑しえを挙げてICを推進て連きた米国においてさ邦 %

展にもかかわらず︑臨床医学に関する限り﹁すべてが変わったが何も変わらなかった﹂とし︑ICを医療の価値や実践

理論の中に持ち込もうとする大きな転換があったにもかかわらず︑医療の現場でのICのインパクトは限られていたと

指摘している︒しかし︑研究領域でのICは︑連邦の規制と条例で委任され監視されていた点︑つまり︑研究助成金と

同意手続きを連動させた事前審査の体制により今︑ほとんど自動的に事前のICを求めるようになり︑日常の活動に革 対人サービスにおけるインフォームド・コンセントの概念および歴史と現状

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(26)

ArthurCaplan切患︑は︑ICは︑者ろの尊厳を守ることに適がこたとなインパクトを与えよ命うだと論じている︒的 !

に機能してきたとその効果を一定評価する一方で︑法制定後一〇数年の間に研究実践の形態︑組織︑資金調達に数多く

の変化がみられことを指摘し︑そういった変化に対応したIRBs による審査能力と適性についての疑問を呈している︒

つまり︑研究資金の民間移行の進行による営業本意の研究動機︑情報の秘匿︑国境を越えるマルチサイト方式の研究プ

ロジェクトを︑現在のIRBs は実際上カバーできない等の事実や問題が明らかになっており︑今後︑ICとIRBs 審査

だけで十分な保護を与えられるか否かは明らかではないと現在の体制に警告を発しているのである︒医学研究の官民協

力︑研究体制の広域化︑国際化の急速な動きを示すわが国においては︑ICやIRBs でさえ不備な状態で今後のICの

展開に大きな影や課題を投げかけるものである︒

現在の医療に必要とされる医学上の技術︑知識︑技能︑医療行為︑機器︑医薬品の進歩のスピードは︑それを安全か

つ有効に︑効率的に供給する専門家の能力を遥かに超えていっている︒適正なエビデンスに基づいた医療をするのに十

さン・医療研究・技術は急テポ医で高度に専門分化が加速学にが程情報を︑一人の臨床医全分て持つことは不可能なな "

れているのが現実である︒特に︑一九九〇年代後半からの遺伝子治療や再生医療︑生殖補助医療など生命科学の進行

は︑新たな倫理上の課題を孕むものである︒そうした実験的技術の適応には︑ICの義務化が明示されているとは言

え︑患者がその先端的学術理論や未知のリスクを理解し選択︑同意の意思決定をすることは可能であろうか︒

二〇〇三年七月に施行された臨床研究に関する倫理指針では︑

!被験者の理解を確認した後

"に︑ICを受けるとガ

イドされている︒実際に︑理解の確認はどの様にされるのか︑その基準はどこに置くのであろうか︒それに対する指針

や基準は述べられていない︒

話を戻して︑冒頭に提示した事例についてICの視点から︑問題の所在を現在の課題として考えておきたい︒

実際にICは︑正しく適切になされていたのであろうか︒結果から見て︑患者︑家族のICが極めて不十分であった

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対人サービスにおけるインフォームド・コンセントの概念および歴史と現状

参照

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