鋼構造年次論文報告集 第11巻 (2003年 11月)
I f a i 5 ‑ I
長崎県における耐候性鋼無塗装橋梁の実態調査
Survey on the performance of uncoated weathering steel bridges in Nagasaki Prefecture
0
贋門公二宮 中 村 聖 三 帥 高 橋 和 雄 山 Koji HIROKADO Shozo NAKAMURA Kazuo TAKAHASHIABSTRACT In recent years, many uncoated weathering steel bridges have been constructed, but the performance of the bridges is not sufficiently grasped because comprehensive survey has not been carried out. In this study, 47 weathering steel bridges in Nagasaki Prefecture were surveyed and the results were inputted into the newly developed database. By using the database, correlation between the rust generation situation and surveyed items was examined. The authors also tried to clarify the cause of bad rust generation for some bridges.
Keywords:耐候性鋼,無塗装橋梁,錆
weathθTing steel, uncoated bridge, rust
I はじめに
而判決性鋼は,普通鋼に合金元素を添加すること によって,年月が経つにつれて表面に徹密で密着 性の高い保護性錆が形成され,腐食速度が遅くな るようにした鋼材である.橋梁においても適切に 使用すれば,無塗装で優れた防食性を発揮し,塗 装費用がかからないため ライフサイクルコスト の面からも非常に魅力的f説明オである.1960年代 の後半から数多くの耐候性鋼橋が架設され,これ まで日本道路公団 03 阪神高速道路公団 2),(財) 鉄道総合技術研究所3),(社う日本橋梁建設協会心,
(的鋼材倶楽部助, (初日本鋼構造協会。などで実 態調査が行われている.しかし,調査対象橋梁は 限られており,全国的な実態が十分に把握されて いるとは言い難い.
本調査ではその活動の一環として長崎県の耐候性 鋼無塗装橋梁を対象に実態調査を行い,錆の生成 状況と周辺環境との相関を調査するとともに,剥 離錆ゃうろこ状錆が発見された橋梁についてはそ の原因の推定を試みたものである.
2. 調査概要
長崎県内の耐候↑胡司使用橋梁47橋を対象とし,
2002年10月"'12月下旬に実橋調査を行った調
上記背景から, 2002年度には九州橋梁・構造工 品
学研究会
( K A B S E )
に「九州・山口地区における 耐候十胡司橋の調査・研究分科会J (主査:山口栄輝 九州工業大学助教授)が設置され,同地区に存在 する耐候+胡司橋の実態調査が開始された.そこで は可能な限り多くの耐候十蛸司橋について,錆の生成状況等の実態を把握することが目的とされ,現 畏崎県
在までに3οo橋を越える実橋調査が行われている. 図‑1 調査橋梁の架設地点
* 工 学 士 長 崎 大 学 大 学 院 生 産 科 学 研 究 科 学 生 (〒852・8521 長崎市文教町1番 14号) 付 博 ( 工 ) 長 崎 大 学 工 学 部 社 会 開 発 工 科 ヰ 助 教 授 ( 干852・8521 長 崎 市 文 抑T1番14号) 材交工博 長 崎 大 学 工 学 部 社 会 開 発 工 学 科 教 授 (干852‑8521 長崎市文教町1番14号)
512
写真一1セロテーフ言撤の一例 表‑1 錆評価区分
錆レベノレ 概観評価区分 処置の目安
5
錆の量は少なく,比較的明るい色調を呈する 不要 錆の大きさは
lmm
程度4
不要で細かく均一である 3 錆の大きさは
1 ' " ' ‑ ' 5 m m
程度で細かく均一である 不要 錆の大きさは
5 ' " ' ‑ ' 2 5 m m
2
のうろこ状である 経過観察要1
錆は層状の剥離である 板厚測定 査橋梁の架設地点を図‑1
に示す.今回の実橋調査においては, 日本橋梁建設協会 から耐候性橋梁の諸元および各橋梁の一般図の提 供を受け,それらの情報をもとに対象橋梁の架設 地点を推測した上で,調査に出かけた調査橋梁 47橋のうち裸仕様は23橋,化成処理を施した橋 梁が
2 2
橋,塗装仕様が2
橋で、あった安全に十 分注意したうえで,調査対象橋梁に対して,一般 調査,タト観調査,セロテーフ古式験,写真撮影を行った.主な調査内容は以下のとおりである.
一般調査:地形,橋梁の方向,架橋地点の緯度・
経度,桁下空間の利用状況など タ性見調査:橋梁の現況(華IJ離錆,水たまり,結露,
水みち,床版漏水の有無)
構造細目(水平部材の排水勾配,水抜き の有無,桁端部の遊間)
付属物(支承の仕様,伸縮装置の種類,
検査路の有無,排水装置の突出量) セロテープ試験とは,鋼材に直接セロテープを 貼り付けて主献立子を採取しその粒径から錆レベ ルを判断するものである.セロテーフ試験で、得ら れた童静立子の一例を写真一 1に示す.セロテープ 試験を実施したのは,裸仕様 23橋中橋梁の構造 上接触が困難で、あった7橋を除く 16橋で、あった.
錆レベルの評価はマクロ(全体)評価とミクロ
(局所)評価に分けて表‑1に基づき 7)行った.マ クロ評価とは飛来塩分,温度・湿度などの架設地 点そのものの環境や山の斜面,桁下空間など地形 と構造物の環境などが原因で全体的に生じる腐 食に対する評価であり,ミクロ評価とは桁立骨や各 構造細目と構造物との位置関係などの環境や伸 縮装置の劣化,排水装置の不備などの架設時には 予想できなかった要因により局所的に生じる腐 食に対する評価である.なお,化成処理と塗装仕 様橋梁については,現時点では評価基準が確立さ れていないので,錆レベルの判定は行わず,錆生 成状況の観察・写真撮影のみを行った.
3 調査結果と考察 3. 1 長崎県の気候
長崎県の代表的な地点における
2 0 0 2
年の気象 データを,気象庁のホームページで調査したそ の結果得られた平均気温C C )
, 日照時間(時間),降水量(凹),平均相対湿度(%)を表
‑2
に示す.表
‑2
には比較のため,東京と大阪のデータも併 せて示している.長崎県は東京,大阪に比べて降 水量が多く,平均相対湿度も若干高いことがわか る.県内各地を比較すると,諌早,島原,松浦で 降水量が多くなっている.しかし,その違いは 10%程度であり,長崎県内の気象条件はマクロ的 に見ると地点による違いはないと考えられる. 3.2 調査橋梁の内訳調査橋梁は7割が飯桁橋で,全体の半数以上が 橋長
50m
以下と比較的小さい橋梁が多かった. 対象橋梁の竣工から実橋調査を行った日までの年 数である経過年数では, 25年以上前に架設された 橋梁はなく,経過年数を5年ごとに区切ってみる と橋梁数はほぼ一様に分布していた.また,図‑3
に示すように耐候性橋梁の主な表面仕様が
1 5 " " '
2 0
年前頃を境に化成処理から裸仕様に移行して いった傾向が伺えた対象橋梁から最も近い海岸 まで、の地図上で、の直線距離で、ある離岸距離につい ては,0 " " ' 2 k m
未満が1 4
橋,2 " " ' 5 k m
未満が1 9
橋,5km
以上が1 4
橋で、あった.また,図‑4
に 示すように,裸仕様の橋梁はすべて,文献8)で無 塗装仕様の適用可能地域とされている離岸距離2km
以内に位置し,化成処理と塗装仕様の橋梁は 比較的離岸距離が短い場所に架設されている.鋼構造年次論文報告集 第11巻(2003年11月)
表 ‑2 2002年気象データ(長崎各地,東京,大阪)
平均気温CC) 日照時間(時間) 降水量(凹) 平均相対湿度(%) I 長 崎 17.5 1870.3
佐世保 17.3 1905.6 諌 早
大村 17.2
島原 17.7 2081.2 松 浦 16.3 1610.9 東尽 16.7 1990 大阪 17.3 2053.3 3.3 化成処理の橋梁
化成処理を用いた調査橋梁22橋のうち,2橋に ついては, 写真一2に示すような桁端部の水仕舞 いが原因と考えられる腐食や,写真一3に示すよ うなフジツボ状の錆が発生していた後者は離岸 距離が0.5kmで、あるのに加え,材刊寸近には地山が せまっており,風通しが悪くなっていることが原 因と考えられる(写真‑4).また,表面処理が化成 処理から塗装仕様に変わっていた橋梁も 1橋あっ た こ れ は,この橋梁が河口に位置し海からの飛 来塩分量の影響を受けやすく,腐食が進行してい たため塗り替えられたと推測される.それ以外の 橋梁については,架設後の経過年数によっては処 理膜がはがれ始め,表面がまだらに見えるような ものもあったが,全体的に問題のある橋梁は見ら れなかった.
3.4 裸仕様の橋梁
3.4.1 調査橋梁の錆レベルの評価
図
‑5
には錆レベルの評イ面結果をマクロ評価,ミクロ評価に分けて示す.マクロ評価では全てレ ベル3以上で、あったが,ミクロ評価ではうろこ状 の錆や剥離錆の発生したレベル2または1の橋梁 が23橋中 5橋 あ っ た し か し , う ろ こ 状 の 錆や 剥離錆など,いわゆる悪い錆が見られるのは桁端 付近のごく一部分であり,全体にわたって錆状態 が悪い橋梁は見られなかった.
3.4.2 調査項目と錆レベルとの相関
実橋調査の結果に基づき,錆レベルと各調査 項 目との聞の相関を調査した.以降に示す錆レベル とは基本的に各橋梁におけるミクロ(局所)評価,
すなわち最も厳しし、評価レベルである.比較的明
1614 68 1680 69 1778
1446 1819 1784
1294 59 954 63
0弛 20覧 40司 60首 80拡 100%
ロ0‑5年未満
・
5‑10年未満 口10‑15年未満ロ15‑20年未満 ロ20‑25年未満
図‑3 表面処理と経過年数との関係
7 一 一 …ー一 寸 十了一: . 1
化成処理
L つ 7 J ‑ 一 司 ;
裸仕様トーー土台;
写真一2
514
写真一3 フジツボ状の錆
写真一4桁にせまった地山
確な相闘が見られたのは橋梁の方向と伸縮装置 の種類で、あった.
橋梁の方向と錆レベルとの関係を図‑6に示す.
レベル2以下の5橋のうち4橋は東西方向に架 設されており,またレベル 4の橋梁もないなど,
東西方向に架設されている橋梁には腐食が進行し
16
12
図‑5 錆レベノレ~IJ橋梁数
。
6 10図‑ 6 錆レベノレと橋梁の方向との関係
やすし、傾向が見られたこれは架橋方向が東西の o
場合,南側に比べて北側は日当たりが悪く,恒常 図‑ 7 錆レベルと伸縮装置との関係 的に湿潤な環境になりやすいためと考えられる.
図
‑7
には伸縮装置と錆レベルとの関係を示す. 断できる 伸縮装置に鋼板スライドと非排水鋼製フィンガージョイントを用いた橋梁の錆レベルは,ほとんど がレベル3やレベル4で、あったが,ゴムジョイン トを用いた橋梁には錆レベルが2および1のもの もあった.形式,橋長・幅員,経過年数,離岸距離 などの橋梁諸元や水平部材の排水勾配の有無,床 版の現状などの構造細目と錆レベルとの明確な相 関は見られなかった.マクロ評価による錆レベル と離岸距離との相関を調べたところ,裸仕様の橋 梁すべてが文献 8)において無塗装仕様の適用可 能地域とされている離岸距離 2km以上の位置に あり,錆レベルも 3以上で、あった.よって,長崎 県に関しては,文献8)の規定が適切で、あったと判
3.4.3 腐食の状況と原因
ここでは, ミクロ評イ面で、レベル2または1と判 定された5橋それぞ、れについて,腐食の状況と推 定される原因について述べる.
(1) A橋
4主桁を有する裸仕様の単純飯桁橋で,平地の 田園地帯に位置している.桁下には河川が流れて おりその空間は約4mである.離岸距離は4.5km
と飛来塩分の影響はないと考えられる.また,東 西方向にかけられた橋であり3南側(Gl側)は錆の 生成状況は良好であるといえるが,Al橋台G4桁 の外側下フランジの上面とウェブ、の立ち上がり部
鋼構造年次論文報告集 第11巻 (2003年11月)
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写真一6 桁端部の水みち
内桁における横構の腐食 写真一7
"
F
、
A橋平面図 に層状剥離錆が発生していた.(写真一5)その原
因は,
G4
側の桁端と橋台との角度が鋭角になっ ており(図‑ 8 )
,さらにその周辺に植物が生えてい ることで風通しが悪くなり,湿気がたまりやすく なっているためだと考えられる.また,伸縮装置 の隙聞から流れてきた水が桁を伝って流れ(写真 一6),絶えず守星潤状態、になることも原因のーっと 考えられる.A
橋ではG3 . G4
間に管路が通って し、るが,その下に位置する横構や近くの下フラン ジの下面にも組し、錆が見られた.これは管の温度 が相対的に低いため,特に夏場において結露が発 生し,それが定常的に横構等を濡らしていること が原因と考えられる(写真一7).(2) B橋
離岸距離が2km,2主桁を有する裸仕様の単純 飯桁橋である.周辺は平地の住宅地で¥桁下には 河川│が流れており,その空間は約4mである. 日
当たりの良い外桁(G1)の外面は全体的に錆の生成 状況は良好で、あったが,内側下フランジの上面に 層状剥離錆が見られた(写真一8).また,桁端の対 傾構に水みちがありボルト付近に粗い錆も見られ た(写真一9).その原因として,側道橋であるため 主桁間隔が約1.5mと狭く遊間も 4CIDと非常に小 さいため通気性が悪いこと,桁端部が地覆からの 漏水によって湿潤状態になっていることが考えら れる.さらに, G2桁の下フランジの上面からウ ェブ立ち上がり部分に変色した錆が見られた(写 真一10).その原因は床版と G2桁の上フランジ上 面との接合部の隙聞から水漏れが生じ,ウェブを 伝って下フランジに定常的に流れたためと考えら れ る
( 3 ) C
橋3主桁を有する裸仕様の2径間連続飯桁橋で,
山間部に位置している.竣工年が 1999年と比較 的新しい橋梁である.経過年数は浅いが全体的に 徴密な保護性錆が生成され,マクロ評価ではレベ ル
3
の判定で、あったが,A1
橋台G3
桁内側の下フ ランジ上面をレベル2と判定した(写真一11).本 橋の伸縮装置は車道,歩道ともゴムジョイントを 採用しているが,地覆だけはスポンジ状のものが 使われていたその地覆が部分的に破損しており,そこからの水漏れ(写真一12)で内桁が湿潤状態に なったため,フレーク状の錆が生成されたものと 思われる.同様の水漏れはA2橋台の桁端にも発 生していたこちらには著しい腐食部分は見られ
図‑8 写真一5
ヘ4 4
︑︑ 一 三﹂
¥︑ 一 宅 一
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三十¥¥﹃
JK入
︑ ー
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‑ 1 2
町
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一 言
516
なかったが今後注意が必要で、ある.また,この状 態を放置しておくとさらに腐食が進行する可能性 があるので¥地覆に止水板を設置する等の水漏れ 対策を施すのが望ましい.
(4) D 橋
山間部に位置する4主桁を有する裸仕様の2径 関連続飯桁橋であり,谷に架設されている.離岸 距離は8.5km,周辺は山林で標高も高い.一部で 水みちと見受けられる個所もあったが全体評価で レベル3と判定した全体としては問題ない橋梁 といえる.しかし,A2橋台G1桁のウェブ、立ち上 がり部にレベル2と判定したフレーク状の錆が見 られた(写真一
1 3 ) .
またA2橋台G3
桁の下フラン ジ下面でも粗い錆が見られた.G1桁のフレーク 状の錆については,主桁と橋台との幅,遊聞が 4 cmと極めて小さく湿気がこもりやすい構造であることが,その原因として考えられる.また,図‑9 に示すように,A2橋台側には桁と地山が接近し ている箇所が多いことも原因の1つで、あると考え られる.
G3
桁の粗い錆については,付近のA2橋 台には水が流れた跡が見られ,伸縮装置の隙間な ど桁端から漏水している可能性もあるため,今後 注意する必要がある.(5) E橋
山間部に位置する橋長 140m,4主桁を有する 3 径間連続飯桁橋であり,大きな谷に架けられてい
る. A2橋台付近以外は遠目からの目視で評価し た結果,全体的にはレベノレ 4と問題なかったが,
A2橋台 G1桁の下フランジ内側上面にレベル 2 と判定されるフレーク状の錆が見られた(写真一
14).その付近の支承部分でも腐食が進行していた 写真一15. 16に示すように,本橋では地覆部分に 伸縮装置がなく,その部分から橋台まで路面排水 が流れることによって,桁端が湿潤状態になり,
このような状態が生じたものと考えられる.また A2橋台の G1恨IJ付近は地山が接近し周囲に植物 が生えていることから,通気性が悪くなっている ことも原因の一つである可能性がある.これ以上 の錆の進行を防ぐには,地覆に止水板を設置し,
橋台周辺の植物を取り除く等の処置を行う必要が あると考える.また,A2橋台G1桁側の排水装置 も橋台に垂れ流しになっているが,これも下フラ ンジ下面の腐食の原因になる可能性もあるので,
桁の外側まで排水装置を延長させるべきである.
写真一8 上フランジ上面の層状錆
写真一9桁端部の対傾構の腐食
写真一10 下フランジおよびウェブF
写真一
1 1
フレーク状の錆写真一12 桁端部の水漏れ
写真一13 下フランジ上面のフレーク錆
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4. まとめ
浅 長50000 一一丁一一
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J
主盟主24~j60
図‑9D橋一般図
本研究では,長崎県における耐候'↑胡司無塗装橋 梁の実橋調査を行い,調査結果から錆レベルと調 査項目との相関を調べるとともに,錆レベルが2 以下の橋梁については良好な錆が生成されなかっ た原因について考察した.
以下に長崎県の耐候'↑錦司無塗装橋梁の実態をま とめる.
(1)調査した耐候性鋼無塗装橋梁の大部分が健全 である.
写真一14
鋼構造年次論文報告集 第11巻 (2003年 11月)
下フランジ上面のフレーク錆
地覆のない伸縮装置
伸縮装置からの水漏れ
(2)東西方向に架けられている橋梁の北側は,湿 気がこもりやすく腐食が進行することが多い.
(3)桁下空間の利用状況が河川など水に関わるも のである場合,桁下からの蒸気によって下フ ランジの下面で腐食が進行することが多い.
518
(4)橋台と桁との間隔である遊間など内桁の空間 が広いと通気性が良く,錆の生成状況は良好 であることが多い.
(5)伸縮装置が非排水銅製フィンガージョイント の場合は,桁端〈漏水していることが少なく 腐食しにくい.
(
ω
桁端部において伸縮装置の不備など水仕舞い の悪い橋梁では,内桁の腐食が多く見られた (カ調査橋梁数が少ないため,調査項目と錆レベルとの相関を明確にすることはできなかった.
長崎県には,今回調査した橋梁以外にも, 100 橋を越える耐候性
H
形鋼橋梁が架設されているとの資料もあり,本調査で県内の耐候性無塗装橋 梁の実態が完全に明らかになったとは言い難い.
今後,そうした橋梁の位置を特定して実態調査 を行うとともに,九州、卜山口地区における耐候性鋼 橋の調査・研究分科会で収集した情報すべてを整 理し,各県における錆の生成伏況を比較・検討する 予定である.
謝辞
fl.はじめにJでも述べたとおり,本研究は 九州、│橋梁・構造工学研究会
( K A B S E )
に設置され た「九州・山口地区における耐候t
錦司橋の調査・研 究分科会」の活動の一環として行ったもので、あり,本研究を行う過程において分科会メンバーの皆様 に多大な協力を頂きましたここに記して,感謝 の意を表します
参考文献
1) 日本道路公団試験研究所他:耐候性鋼材裸 使用橋梁への提言, 1999
2) 阪神高速道路公団他:耐候性鋼材の橋梁へ の適用性に関する調査研究, 1998
3) 市川ら:海岸近くに架設された鉄道無塗装ト ラス橋の調査,室見萱総研報告, 12・9,pp.45・50, 1998
4) (社う日本橋梁建設協会:無塗装橋梁の手引き,
1998
5) (泊日本鉄鋼連盟他:耐候
t
胡司の橋梁への適 用協説書:], 2002.9ω
鋼橋の防食・LCC部会:鋼橋のLCC評価と防食設計, 2002
7) (的鰍オ倶楽部・(紛日本橋梁建設協会:耐候 '↑錦司の橋梁への適用, 2000.8
8) 建設省土木研究所他:耐候性鋼材の橋梁へ の 適 用 に 関 す る 共 同 研 究 報 告 書 (XX),
1993.3