• 検索結果がありません。

博士学位論文審査報告書

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "博士学位論文審査報告書"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)2019年6月28日. 博士学位論文審査報告書 大学名. 早稲田大学. 研究科名. スポーツ科学研究科. 申請者氏名. 西牧 未央. 学位の種類. 博士(スポーツ科学). 論文題目. 体重階級制アスリートに対する急速減量が月経異常,水・電解質制御 および酸化ストレスに及ぼす影響 Effects of rapid weight loss on menstrual disorders, body water and electrolyte control, and oxidative stress for weight class athletes. 論文審査員 主査 早稲田大学教授 副査. 早稲田大学教授. 坂本静男. 医学博士(聖マリアンナ医科大学). 岡田純一. 博士(スポーツ科学) (早稲田大学). 副査. 早稲田大学教授. 鈴木克彦. 博士(医学)(弘前大学). 副査. 桜美林大学准教授. 緑川泰史. 博士(理学)(東京都立大学). 体重階級制競技種目における減量、特に急速減量は、以前より多くのアスリートによ り行われてきた。そしてその功罪、特にアスリートに与える悪影響に関して論じられて きた。脱水による熱中症や脱力感、(重症)熱中症によると推測される突然死もこれま でにマスコミで報告されてきている。最近では、急速減量が誘因で起こってくる酸化ス トレスや、女性アスリートでは月経異常がもたらされることもあり、その面の啓発もさ れるようになってきている。このような背景を鑑み、本研究が行われることになった。 本博士論文は第 1 章から第 5 章で構成されており、各章の内容は以下の通りである。 第1章. 研究の背景と目的. レスリングや柔道をはじめとする体重階級制競技では,身体の大きさや重さといった 体格が競技力に大きく影響する。体格の条件を可能な限り統一するため、体格に応じた 体重区分で競うようルールが定められている。出場する体重区分に合わせ、多くの体重 階級制競技アスリートは計量日に向け減量をおこなう。減量には特有の方法が用いられ、 特に短期間に体重を減らす急速減量はアスリートに多くの問題を引き起こしている。エ ネルギー摂取や飲水の過剰な制限、大量の発汗を促すための暑熱環境など、選手は試合 のたびに身体に過度な負担をかけている現状がある。体重階級制競技における減量の問.

(2) 題を解決するため、長年にわたり議論がなされてきた。減量の身体への負担や悪影響に 関する研究は進められているものの、未だ科学的証拠が十分ではなく、競技の現場に減 量の危険性は伝わっていない。体重階級制競技の多くはオリンピック競技種目であり、 競技人口や注目度を考慮すると、減量に関連する実態調査や身体に及ぼす影響について 詳細に検討することは非常に重要である。本研究では、女性体重階級制アスリートの減 量の実態を把握することを第一の目的とした。また男性レスリング選手を対象とし、異 なる急速減量期間が酸化ストレスや電解質の恒常性の維持に及ぼす影響について検討 することとした。 第2章. 文献検証. アスリートが選択する急速減量の方法は様々であるが、共通する最も一般的な減量方 法は運動量の増加ならびに水分および食物摂取の制限である。試合前の減量率や減量を 行う選手の割合は、年代や競技種目間で異なる。減量率は計量のルールに影響を受ける と示唆される。しかしながら、選手や指導者には急速減量をすることが勝利につながる と考えている者がいる。急速減量が身体に及ぼす悪影響を明らかにしたうえで、科学的 証拠を積み重ね啓蒙することが重要である。 第3章. 研究課題Ⅰ. 女性体重階級制アスリートを対象に、女性体重階級制アスリートの減量の実態を調査 することを目的とした。女性体重階級制アスリートの通常期、試合前の減量期と基礎体 温の関連を観察することで、各期における適切な摂取エネルギー量の把握や、月経周期 を考慮した減量計画の実施が可能となる。月経異常を引き起こした選手の割合が、減量 あり群において高い傾向を示した。以上のことから、大会前の減量が月経異常に影響を 与える可能性が示唆された。女性アスリートのコンディションを基礎体温で評価し、利 用可能エネルギー不足の兆候を確認することが可能かもしれない。 以下の論文がこの章の内容に相当する: Mio Nishimaki, Shizuo Sakamoto. "Effect of obesity-related gene polymorphisms on weight loss of female wrestlers". ARCHIVES of BUDO, 2018, Volume 14, 97-103 第4章. 研究課題Ⅱ. 急速減量は短期間で体水分量を減らす脱水によって達成され、ときに重篤な脱水状態 を引き起こす可能性がある。 体水分量の減少に対し生体内では恒常性を維持する機能 が働くため、体水分量のみで脱水状態を判断することはできない。本研究では選手が減 量期間として選択する可能性のある 7 日間、3 日間、1 日間に着目し、大学生男子レス リング選手の異なる急速減量期間が脱水状態と酸化ストレスに及ぼす影響を明らかに することを目的とした。 本研究では、大学生男子レスリング選手を対象とし、異なる.

(3) 急速減量期間が脱水状態および酸化ストレスに及ぼす影響を検討した。体重の 5%の減 量によって血中 Na、アルドステロン濃度および血清浸透圧、酸化ストレス指標である dROMs の有意な上昇が認められたが、急速減量期間による違いはなかった。以上のこ とから、レスリング選手の電解質濃度および酸化ストレスに 1~7 日間といった急速減 量期間の違いによる影響はないが、体重の 5%減量は、酸化ストレスを増加させる可能 性が示唆された。 以下の論文がこの章の内容に相当する: Mio Nishimaki, Hiroki Tabata, Masayuki Konishi, Stefan Pettersson, Shizuo Sakamoto. “Effects of different periods of rapid weight loss on dehydration and oxidative stress”, ARCHIVES of BUDO, 2018, Volume 14, 319-327 第5章. 総括. 体重階級制競技の女性アスリートの減量が月経周期に与える影響について、大学生の 女性アスリートを対象に明らかにすることを課題Ⅰの研究目的とした。減量と月経異常 発生の間に関連があることが示唆された。女性アスリートにおいても、大会前に体重の 5%以上の減量をおこなっている実態が明らかとなった。体重階級制スポーツを対象と した減量に関する知見は、男性選手を対象とした研究が多く、それらを参考にすること が多いかもしれない。女性の月経周期や月経異常など女性アスリート特有の減量時コン ディションを考慮した減量指導は現段階ではほとんどなされていないといっても過言 ではない。今後は性差、発育発達等の様々な因子を考慮した減量方法の確立が求められ るだろう。 体重階級制競技の男性アスリートにおける急速減量が電解質濃度や酸化ストレスに 与える影響について明らかにすることを、課題Ⅱの研究目的とした。減量前と比較し減 量後に血中アルドステロン濃度の有意な増加が認められた。7 日以内の 5%の急速減量 により脱水が生じ、アルドステロン濃度が上昇したことが酸化ストレス上昇のメカニズ ムと推察される。5%以内の減量であっても脱水を伴う急速減量はレスリング選手の身 体にとって、負の影響になりうると推測される。さらに、現状では多くの選手が体重の 5%を大きく上回る減量率の急速減量を試合前に行っている実態が報告されているため、 計量時には本結果より高い酸化ストレス状態であることに加え、抗酸化能力の低下も推 測される。今後は、異なる減量率による比較を行い、レスリング選手の身体へ及ぼす影 響について検討する必要がある。. 7 日間かけた減量期間であっても、3日間あるいは1日間での減量期間と同様の酸化 ストレスや水・電解質制御結果を示したこと、また女性アスリートでは急速減量により.

(4) 月経異常を起こす割合が高くなることが確認あるいは再確認され、急速減量の危険性を 啓発した点が、本研究の意義深い点である。しかしながら、身体に悪影響を及ぼさない 安全な減量期間を厳密に呈示できなかったこと、酸化ストレスや月経異常を起こす詳細 な機序を示せなかったことは本研究の限界であり、今後の研究に期待するところである。 上記の評価を得て、本審査委員会は、西牧未央氏の学位申請論文が博士(スポーツ科 学)の学位を授与するに十分値するものと認める。. 以. 上.

(5)

参照

関連したドキュメント

看護部からの一言

187 ≪博士論文要旨および審査報告≫ 服部あさこ 日本のマイノリティ女性の 自己解放における「母親性」の影響 学位請求論文  -

[r]

1636 昭和37年10月 (3)脱プロパン塔TOP

Keywords:fountai nheadofsoci alwel farepracti ce (社会福祉実践の源泉),secul arsoci alwel fare (世俗的社会福祉),posi ti on ofrel i gi oussoci alwel

the biosynthesis of GLVs, we prepared buffer extracts from the anterior part of the silk gland (consisting of the anterior silk gland and anterior part of the middle silk gland, ASG

Report No.(Doctoral Degree) 博士(農学) 甲第402号 Issue Date 2006-03-13 Type 博士論文 Version URL

In the present study, specimens of polycrystalline vanadium with different surface states were prepared by heat treatments in vacuum at 673, 873, 973 and 1273 K, and