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学位論文題名 Phosphatidylinositol 3-Kinase Is Involvedin the Protection of Primary Cultured Human Erythroid Precursor Cells From Apoptosis

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 長 谷 山 美 仁

     学位論文題名

  Phosphatidylinositol 3‑Kinase Is Involved in the Protection of Primary Cultured Human   Erythroid Precursor Cells From Apoptosis

    ( ホ ス フ ん チ ジ ル イ ノ シ ト ー ル 3キ ナ ー ゼ は ヒ ト正 常赤 芽球 前駆 細胞 のア ポト ーシ スの 阻害に 関与 する )

学位論文内容の要旨

1.緒書

  赤 血球 の分 化・ 増殖 は種 々の サイ トカ イン や造 血徽少 環境 に制 御さ れた複雑な機 構よ りな って いる 。多 くの サイ トカ イン の中 でもerythropoietin (EPO)は、正常赤 血 球 造 血 に 必 須 の因 子で あり 、EPO受容 体を 介し たシ グナ ル伝 達は 、後 期赤 芽球 系 前駆細胞(colony forming unit−erythroid: CFUーE)の増殖、分化、生存を制御してい る 。 こ れ ま で の 研究 から 、EPOの 受容体 への 結合 は、 チロ シン キナ ーゼ 型受 容体 蛋 白Jak2を 一 過 性 に活 性化 し、 さら にJak2自 体やSTAT蛋白 、phosphatidy|inositol 3−OH kinase(Pト3K)、SHP−1、Shc、Vav、Gabl、Gab2、Syk、Ship、lRS―2お よびEPO受容 体な ど、 多くの 蛋白 のチ ロシ ンリン酸化を弓|き起こすことが明らかに さ れ て い る 。 そ のな かで 、Pト3Kは種々 の細 胞の アポ トー シス を抑 制す るが 、ヒ 卜 正 常 赤 芽 球 系 前 駆細 胞の 生存 、増 殖、 分化 にお けるPト3Kの生 理的 な役 割に つい て はほ とん ど解 明さ れて いな い。 ―方 、シ グナル伝達実験には10 個から108個レベル の均 質な 細胞 が必 要で あり 、正 常ヒ ト造 血前 駆細 胞を得 るこ とが 困難 であったこと から 、こ れま では 主に 株化 細胞 が研 究に 用い られ てきた 。し かし 、造 血細胞のシグ ナル 伝達 経路 は検討に供する株化細胞によって異なることが明らかになりつっある。

ま た 彊 特 異 性 が 存 在 す る 。本 研 究 で は 、 ヒ トCD34陽 性 細 胞 の 大I純 化 と 系 特 異 的 分化 ・増 殖誘 導を 用い て、 ヒ卜 正常 造血 前駆 細胞 におけ るシ グナ ル伝 達実験を可能 に し た 。 こ の よ うな 背景 をも とに 、EPO惹起 シグ ナル 伝達 経路 のな かで ,こ れま で の 細 胞 株 を 用 い てき た研 究で は報 告結 果が 様々 でそ の意 義が 不明で あっ たPト3K系 に 関 し 、 特 異 的Pト3K阻 害 剤LY294002を 用い て 造 血 前 駆 細 胞 に お け るPト3Kの 生 理的意義について検討した。

2.対 ふと 方法

  ヒE̲QEUニE: 健常 人に 穎粒 球コ ロニ 一刺 激因 子(G−CSF)を投与して動量した末梢 血 造 血幹 ・ 前 駆 細 胞 か ら 、 抗CD34モノ クロ ーナ ル抗 体と 免疫 磁性 ビ― ズを 用い て 造 血 幹・前 駆細 胞を 純化 した(CD34+細 胞) 。純 化CD34+細 胞をinterleukin−3(11‑

3) 、stem cell factor (SCF)、EPOと と も に 血 清 含 有 液 体 培 地で7日 問培 養し て

(2)

CFU−Eを得 た 。CEL!ニEQ分iヒ :坦 殖 惑聾 : 純化ヒトCD34+細胞をEPO,SCF及 びIL−3とともに液体培養し、赤芽球系への分化・増殖誘導を行った。8日目に細胞 を 回 収しCFU−Eに相 当 する 細 胞を 得 た。 ヨ ロ三二 髭成法:EPO (2U/mDを含 む 0.25mlの 無 血 清fibrin clot培 地 にCFU−Eを1,000個/ml濃 度で 植 え込 み 、 5%C02/10%Oz incubatorで7日間培養後、固定しへモグロピン(Hb)染色を行った。

Hb陽性 細胞2個 以上からな るものを赤芽球コロニーとして算定した。盈鹽盤薑:

1xl 05〜5x105個/mlのCFU−EをEPO (2U/ml)を含む無無血清液体培地に浮遊して 検討 した。Zロニニ笠 五b甚ヒ リニ:propidium iodineとannexinVとの二I染色を 行いFACS Caliburで測定した。免疫沈陸:22k量気泳動:雌竝£田bIottiロ呂:既報 (BLOOD,92:443,1998)のごとく 行った。Z丞ヒニ2ス:DNA断片化はCell Death Detection ELISATMを 用い、cytosolic oligonucleosomeー結合DNAを定量した。

3.結果

  ヒトCFU−Eの増 殖 に対 す るPト3K阻 害 剤LY294002の影fをコロニ 一形成法と 液体 培養法を用 いて検l寸した。LY294002は10−20ロmoI/Lでヒ卜CFU―Eの増殖 を抑 制し、最大 抑制は50ロmoI/Lで認められた。この抑制は濃度依存性であると ともに時間依存性であり、且つ、不可逆性であった。また、生細胞率に影奮を与え ない時点からCFU−Eのコロニ一形成を抑制することから、その機序にアポトーシ スの 関与を推定 した。実際 、LY294002によってannexinV陽性細胞の増加が認め られ、また、濃度及び時間依存性のDNA断片化の増加が認められたことから、少な くともその一部にアボト―シスが関与していることが明らかとなった。そこで、Pト 3Kの下 流の分子で あるAKTのSer−473のりン酸 化について検討したところ、AKT は恒常的にりン酸化しており、増殖を抑制するLY294002の濃度でりン酸化が抑制 され た。すなわ ち、LY294002のPト3Kに対する効果は特異的であると考えられ、

Pト3Kは その 下 流のAKTな ど を介 し て、 ヒ 卜CFU−Eのアボ トーシスに 対して拮 抗的 にーいてい ると考えら れた。しかし、このLY294002が抑制する経路は、EPO のすぺての抗アポトーシス効果を説明するものではなかった。すなわち、培養液か らEPOを除くこ とによってLY294002の有無に関わらずアポ卜一シスが促進される 一 方 で 、LY294002はEPOの 有 無 に 関 わ ら ず ア ポ 卜 ― シ ス を 促 進 し た 。

4.結話

  本検討においては、これまで不明であった造血前駆細胞、少なくとも赤芽球系前 駆細胞の生存におけるPト3K経路のI要性をはじめて明らかにした。また、本検討 から、ヒトCFU−Eをアポ卜一シスから防御する2つの経路が推定された。―つは、

LY294002に感受性のある経路であり、これはEPOとは直接関連していない可能性 が あ る 。 ま た 、 他 の 経 路 は 明 ら か にEPO依 存 性 で 、 少 な くと も その 一 部は LY294002に対して非感受性であった。ヒ卜正常造血前駆細胞の生化学的解析は、

単に細胞株で得られたものの追試に終わるもので1まなく、分化およびその増殖と死 におけるシグナル伝達経路の細胞の特異性が真の意味で明らかになる可能性がある。

この様な系を発展させることにより種々の造血障害の機構に対する理解がより‑‑N 深まると考えられる。

(3)

学位論文審査の要旨 主 査    教 授    西村孝司 副 査    教 授    畠山昌則 副査   教授   細川眞澄男 副 査    教 授    小池隆夫

     学位論文題名

  Phosphaticlylinositol 3‑Kinase Is Involved in the Protection of Primary Cultured Human   Erythroid Precursor Cells From Apoptosis

    ( ホ ス フ ァ チ ジ ル イ ノ シ ト ー ル 3キ ナ ー ゼ は ヒト正常赤芽球前駆細胞のアポトーシスの阻害に関与する)

  エ リス口ポイ エチン(EPO)は赤血球造血の後半で重要な役割を持ち、特に colony forming unit−erythroid(CFU―E)で感受性が最大である。EPO下流の 因子の―つにphosphatidylinositol3−kinase (PI―3K)がある。既報での赤芽 球系の細胞株におけるPl一3Kの役割は細胞株ごとに異なっていた。ヒト正常 赤芽球系前駆細胞の生存、増殖、分化におけるPl―3Kの生理的な役割は、これ まで検討に充分な量の細胞を得るのが困難であったため、ほとんど解明されて いない。このような背景をもとに、特異的P|−3K阻害剤LY294002を用いて造 血前駆細胞におけるPl−3Kの生理的意義について検討した。ヒトCFU−Eは健常 人に顆粒球コロニ―刺激因子を投与して動員した末梢血造血幹・前駆細胞から、

抗CD34モノクローナル抗体と免疫磁性ビーズを用いて造血幹・前駆細胞を純 化 し たCD34+細 胞を イ ンタ ― ロイ キ ン3、stem cell factor(SCF)、EPOと ともに血清含有液体培地で7日聞培養して得た。まず、ヒトCFU−Eの増殖に対 するLY294002の影響をコロ二―形成法と液体培養法にて検討した。LY294002 は10―20凵moI/lでヒトCFU−Eの増殖を抑制し、最大抑制は50v moI/lで認めら れた。この抑制は濃度依存性であるとともに時間依存性であり、且つ、不可逆 性であった。また、生細胞率に影響を与えない時点からCFU―Eのコロニ―形成 を 抑制するこ とから、そ の機序にア ポトーシスの関与を推定した。実際、

LY294002によ ってannexinV陽性細胞 の増加が認められ、また、濃度及び時 間依存性のDNA断片化の増加が認められたことから、少なくともその―部にア ポト―シスが関与していることが判明した。そこで、Pl−3Kの下流の分子であ るAKTのSer−473のりン酸化について検討したところ、AKTは恒常的にりン酸 化しており、増殖を抑制するLY294002の濃度でりン酸化が抑制された。すな

517 ‑

(4)

わち、Plー3Kはその下流のAKTなどを介して、ヒトCFU―Eのアポトーシスに対 して拮抗的に働いていると考えられた。しかし、このLY294002が抑制する経 路は、EPOの全ての抗アポト―シス効果を説明するものではなかった。即ち、

EPOの除去によりLY294002の有無に関わらずアポト―シスが促進される―方、

LY294002は EPOの 有 無 に 関 わ ら ず ア ポ ト ― シ ス を 促 進 し た 。   本検討はこれまで不明であった赤芽球系前駆細胞の生存におけるPl−3K経路 の重要性をはじめて明らかにした。また、本検討から、ヒトCFU−Eをアポト―

シスから防御する2つの経路が推定された。一つは、LY294002に感受性のあ る経路であり、これはEPOとは直接関連していない可能性がある。また、他の 経路は明らかにEPO依存性で、少なくともその一部はLY294002に対して非感 受性であった。

  発表終 了後、畠山 教授から、Fasによるアボト―シスがSCFにて阻害され ることとの関連についてとEPO以外からのPl・3K経路に関して質問があった。

続 いて 細 川教 授からはEPOの除去後 のEPO再添 加で赤芽球 系前駆細胞 が増 殖に関 してとEPOによるPl一3K活 性化の存在 および、実際の腫瘍細胞での Pl‑3Kの 役割に関し て質問があった。西村教授からはAKTの腫瘍への関与へ の指摘と抗腫瘍療法への応用に関して質問がなされた。最後に、小池教授から は、EPOの細胞死を抑制する機序に関して質問があった。これらの質問に対 し、申請者は概ね適切な回答をした。

  この論文はヒト正常赤芽球系前駆細胞において初めてPl―3K経路の重要性 を明らかにしたとして高く評価され、今後の同様の系によるヒト正常造血前駆 細胞の生化学的解析は、細胞株で得られた結果の追試に終わるものではなく、

分化および増殖と死における情報伝達経路の細胞の特異性が真の意味で明らか にする可能性を持っものと期待される。

  審査員一同は、これらの成果を高く評価し、大学院課程における研鑚や取得 単位なども併せ、申請者が博士(医学)の学位を受けるのに充分な資格を有する ものと判定した。

参照

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