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学位論文題名 Development of Techniquesfor Preserving Quality of Tomatoes

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) ス パ ル ラ ン

     学位論文題名

    Development of Techniques for Preserving Quality of Tomatoes

( ト マ ト の 品 質 保持 技術 の開 発)

学位論文内容の要旨

1.背嚢・目的

  青果物は収穫後も呼吸を続け,室温条件下で は比較的短期間に品質低下が生じる。トマトは 収 穫後に追熟が急速に生じ,色調・硬度等の変 化によって品質が短期間に低下する代表的な青 果 物である。従来,青果物の品質保持期間を延 長させる方法として低温条件および低温条件と 低 酸素・高ニ酸化炭素条件を組み合わせた方法 等が採用されている。しかし,トマトは低温条 件下 で内部褐変・腐敗の発生等の障害(低温障害)を受けるため,10℃以下の温度条件を採用す る ことは回避すべきとされてきた。しかし,比 較的温度の高い条件を採用すると,追熟が過度 に進 行し,商品価値が短期間に低下する可能性がある。

  本研究ではトマトの低温障害の低減を目的と して温湯処理を試みた。さらに温湯処理後の品 質保 持方法としてプラスチックフイルムを用いたMAP (Modified Atmosphere Packing:修飾空気 包 装 ) 法 を 組 み 合 わ せ て 低 温 条 件 下 に お け る 卜 マ ト の 品 質 保 技 術 の 開 発 を 試 み た 。   尚 ,本実験に用いた試料は千歳市の温室で栽培された「桃太郎ファイト」を用い,熱度は生産 地 で 収 穫 し て い る 程 度 , 即 ち , 花 頂 部 が ピ ン ク 色 に 着 色 し た 試 料 を 用 い た 。

2.温湯 処理に関する基礎実験

  35〜 50℃の温度条件下で温湯処理を行ったときの試料各部の 温度変化を求めた。試料中心部 の温 度が 温湯の温度に達するに要する時 間は試料の形状の大小によって変化し,形状が大きい 試料 の場 合は45分間以上を要し,温湯の 温度が高い場合は試料表皮に亀裂が生じる可能性があ ることを知った。

  温 湯処 理条件とその後の貯蔵中の試料 呼吸量及ぴエチレン発生量との関係を明らかにした。

温湯 温度 を40.0℃及 び42.5℃ とし ,処 理時 間を45分 聞及 び60分問としてこれらを組み合わせ た条 件で 温湯処理を行った。温湯処理後 に試料を直ちに水道水で冷却し,10℃及び15℃の温度 条件 下で 貯蔵し,呼吸量とエチレン発生 量を測定した。両者は貯蔵温度に影響を受け,15℃の 貯蔵条件下で大きな値を示した。全 ての実験区で温湯処理を行った直後(1日問以内)の試料の 呼吸 量は 温湯処理を行わなかった試料に 比較して増加したが,2〜3日後には減少した。15℃の 温度 条件 で貯蔵した試料の呼吸量は温湯 処理を行うことによって減少した。一方,10℃の温度 条件 で貯 蔵した場合は,温湯処理を行っ た試料の呼吸量が無処理の試料に比較して大きい値を

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示した。エチレン発生量は温湯処理を行うことによって僅かに増加した。

3. 温湯処 理が卜マ トの品 質および 低温障 害に及ぼ す影響

  温 湯 温 度を40〜55℃,処 理時間 を15〜60分 問とし, これらを 組み合 わせて温 湯処理 条件を設 定し た。貯蔵 温度は強 い低温 障害が生 じると されている3℃及び7℃とした。実験の結果から,温 湯処理を行うことによって低温障害を軽減することが可能であることを確認した。一方,高温条件 で処理を行うと試料の質量減少量が増加することを知った。実験結果を総合的に考察すると,温湯 処 理条 件 は 温度42.5℃で ,処理 時間が30〜40分問及 び45℃,25 ‑35分問の条 件がト マトの品 質 保持 の観点か ら適切な 条件で あると結 論づけ た。

4.温湯処理及びllAP法が卜マ卜の品質に及ぽす影響

  実 験 結 果を 参 考 にし て , 温湯 処 理 条件 として 温度42.5℃ ,処理 時間30分問 を採用 した。MAP 条件として厚さ0. 02mmの低密度ポリエチレンフイルム袋を用い,フィルム面積を適宜変化させ,

貯蔵温 度を5,10,15℃ とし,これら条件を組み合わせて貯蔵実験を行った。尚,貯蔵期間は一律 14日間とした。

  包装内 酸素濃度 は試料 の呼吸速 度とフ ィルムの 空気透過速度の動的バランスによって平衡値を 示した 。平衡値 は試料 比表面積 (試料lkgに対 するフイ ルム表 面積)に 影響を 受けた。試料比表 面積が0. 035〜0. 042m2. kg−1の範囲にある場合の酸素濃度は品質保持条件として適しているとさ れている5 ‑‑7%の範囲を示した。しかし,試料比表面積がO.023mz. kg一1以下の場合は低酸素障害 が生じる限界である3%を下回った。

  全ての 貯蔵温度 条件下 でMAP実験区は無包装実験区に比較して、色調及び質量の変化が少なく,

試料に 含まれる カビ数 と貯蔵中 の腐敗個 数が大 きく減少した。硬度に関しては有意差を認められ なかった。

  貯蔵温 度と品質 との関 係を考察 すると ,5℃ 及び10℃の 温度条 件下では15℃の条件に比較して 色調の変化が少なく,硬度の減少も少なかった。両温度条件下での品質変化を比較すると,色調・

硬度と の間に有 意差が 認められ なかった が,10℃ の条件で は糖度 と酸度の 増加が5℃に比較して 大きく ,貯蔵中 に適切 な追熟が 行われて いると 判断した 。以上 の結果か ら,MAP法を採用してト マ卜を貯蔵する場合の温度は10℃が適していることを明らかにした。

  実験の 結果,温 湯処理 と10℃の温 度条件 下でMAP法を組 み合わせ ることに よってトマ卜の品質 保持期間を延長することが可能であることを明らかにした。

5.  lIAP法 に お け る 包 装 内 酸 素 及 び 二 酸 化 炭 素 濃 度 の 予 測 モ デ ル の 構 築   10℃の温度 条件下でMAP法 を採用し たとき の包装内 の酸素 濃度と二 酸化炭素 濃度の予測モデル を 検討し ,その有 効性を 検証した 。予測モ デルは 酵素反応速度論に基づく呼吸モデルを用いた。

パラメータとして,フイルム表面積,フイルムの酸素・二酸化炭素透過速度,包装内初期空気量,

試 料質量 ,試料呼 吸速度 を用いた 。作成し た予測 モデルの有効性を検証するために,厚さの異な る 二種類 のポリエ チレン フイルム を用い, フイル ムの比表面積を変えた実験を行ない包装内の酸 素 ・ 二 酸 化 炭 素 濃 度 の 変 化 を 測 定 し た 。 そ の 結 果 , 予 測 値 と ほ ぼ 一 致 し た 結 果 を 得 た 。   本 研究の 結果,低 温障害 を受けるトマ卜に温湯処理を施し,MAP法を採用することによって10℃     ‑ 1297―

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の低温条件下で14日間に亘ってトマトの品質を保持することが可能であることを明らかにした。

この成果は卜マ卜の流通技術の向上に資するものと考えられる。

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学位論文審査の要旨 主査    教授    伊藤和彦 副査    教授    松田従三 副査    教授    大澤勝次 副査    助教授   川村周三

     学位論文題名

    Development of Techniques for PreservlngQualityofTOmatoeS      (トマトの品質保持技術の開発)

  本 論 文 は 図44, 表11を 含 み ,9章か らな る総 頁188の英 文論 文で あり ,別 に 参考 論文3編 が添 えられている。

  トマトは追熟が急速に進み,表面 の色調の劣化および硬度の低下によって商品価値が短時 間に失 われる代表的な青果物である。従来 ,青果物の品質保持期間を延長させる方法として低温条 件が採 用されている。しかし,トマトは低 温条件下で内部褐変および異臭の発生,水侵状軟化等の障害(低 温 障 害 )を 受け るた め10℃以 下の 温度 条件 を採 用 する こと は回 避す べき であ ると され てき た。

  本研究ではまず,低温障害を低減 させる目的で行った温湯処理にっいて検討し,温湯処理 後の試 料の 品質 保持 方 法と して プラ スチ ック フイ ルム を用いたMAP(Modified Atmosphere Packaging:修 飾空 気包 装) 法 を取 り上げ,低温条件下におけるトマトの品 質保持技術の開発を試みた。MAP法は 試料の呼吸作用によって包装内を低 酸素・高二酸化炭素状態とし,フイルムの気体透過速度 と呼吸 速度が動的に平衡状態に達すること によって一定の低酸素・高二酸化炭素状態を保持し,試 料の品 質 保 持 期 間 を 延 長 さ せ る 方 法 で あ る 。 本 研 究 の 結 果 は 下 記 に 要 約 さ れ る 。

1.温湯処理に関する基礎実験

  35〜 50℃の温度条件下で温湯処理 を行い試料各部の温度変化を求めた。試料中心温度が温湯の温 度 に達 する まで に 要す る時 間は 試料 の形 状に影響を受け,形状の大きい試料は45分間 程度を要し た 。温 湯温 度が50℃の 場合 は試 料表 皮に 亀裂が生じる可能性があることを確認した。 温湯処理後 は 直ち に水 道水 で 冷却 し, その 後,10℃ および15℃の温度条件下で14日間貯蔵を行い ,試料の呼 吸 量お よび エチ レ ン発 生量 を測 定し た。 温湯処理直後の試料の呼吸量は増加したが,2〜3日後に は 減少 した 。温 湯 処理 を行 って15℃ で貯 蔵した試料の呼吸量は温湯処理を行わなかっ た試料に比 較 し て 低 い 値 を 示 し た 。 エ チ レ ン 発 生 量 は 温 湯 処 理 を 行 う こ と に よ っ て 僅 か に 増 加 し た 。 2.温 湯処理がトマトの品質および低温障害に及ぼす影 響

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  温湯 温度 を40 ‑ 55℃, 処理 時間を15〜60分間とし,これらを組み合わせて温湯処理 条件を設定 し た。 貯蔵 温度 は強 い低 温障 害 が生 じる3℃ およ び7℃ とした。実験の結果から温湯処 理を行うこ とによって低温 障害を回避することが可能であることを確認した。一方,高温条件で処理を行うと,

貯 蔵中 に試 料の 質量 減少 率が 増 加す るこ とを 認め た。 総合的に考察すると,温湯処理 条件は温度 42.5℃ ,処 理時 間30‑‑ 40分聞 およ び温 度45℃, 処理 時間25‑‑‑35分間が品質保持の観 点から適切 な条件であるこ とを明らかにした。

3.温湯処理お よびMAP法がトマ卜の品質に 及ぽす影響

  温 湯処 理条 件と して ,温 度42.5℃, 処理 時間30分 問を 採用 し, 温湯 処理 後に 厚さ0.02mmの低 密 度 ポ リ エ チ レ ン フィ ルム を用 いたMAP法に よ って14日 間の 貯蔵 実験 を行 った 。貯 蔵温 度は5〜 15℃とし,フィルム比表面積(試料の単位 質量に対するフィルム面積)と包装内の平衡酸素濃度との 関係を求めた。フイルム比表面積が0. 03〜O.04m2.kg‑lの範囲にあ る場合の平衡酸素濃度はトマ トの 品質保持条件 として適しているとされている5〜7%の範囲を示した。 しかし,フィルム比表面 積が0. 02 II12. kg‑l以下の場合は低酸素障害が生じる限界である3%を下回った。温湯処理とMAPを 行っ た実 験区 と温 湯処 理を 行 わず にMAPを 行っ た実 験区 お よび温湯処理とMAPを行わなかった実験 区と を比較すると 前者は試料の色調の変化および質量の減少が少なく,貯 蔵中の腐敗発生が大きく 減少することを明らかにした。

  温 湯処 理とMAPを 行っ た実 験区 で貯蔵温度と品質との関係を考察すると ,10℃実験区の試料の品 質が14日間に亘って良好な状態で保持され ることを明らかにした。

4. MAP法に おけ るフ アル ム包 装内 空気 組成 の予 測モ デル の 作成

  10℃ の温 度条 件下 でMAP法を 用い て貯 蔵を 行っ たと きの フ イル ム包 装内 空気 組成 の予測モデル を 酵素反応速度論 に基づいて作成した。パラメータとして試料質量,試料 呼吸速度,フィルム比表 面 積,フィルムの 酸素・二酸化炭素透過速度,初期包装内空気量等を採用 した。作成した予測モデ ル の 有 効 性 を 検 証 し た 結 果 , 予 測 値 と 実 測 値 と は ほ ぽ 一 致 す る こ と を 確 認 し た 。

  以上 の研 究成 果は 温湯 処理 と修 飾 空気 包装 法を 組み 合わせたトマトの品質保持技術の開発に関 す る基礎的資料を提示したものであり,学術的 に高く評価できるとともにトマトの流通技術の向上 に 資す るも ので ある 。

  よって,審査員一同は,SUPARLANが博士(農 学)の学位を受けるに十分な資格を有するものと認 め た。

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参照

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