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学位論文題名 Petrological study of Kita-Hakkoda volcanic groupand Towada volcano,Northeast Japan arc:Evolution and mantle diaplrmodelforCalderaVOlCanoeS

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 工 藤    崇

     学位論文題名

  Petrological study of Kita‑Hakkoda volcanic group and Towada volcano ,Northeast Japan arc :Evolution     and mantle diaplrmodelforCalderaVOlCanoeS

(東北日本弧,北八甲田火山群および十和田火山の岩石学的研究    〜 カ ル デ ラ 火 山 の 発 達 と マ ン ト ルダ イ ア ピ ル モ デ ル 〜 )

学位論文内容の要旨

  火 山活 動の 熱 源と して 火山体直下の 上部マントルにはマントルダ イアピルが存在すると考え られて いる .従 来の 研 究で は, マントルダイ アピルモデルを用いて成層火 山の発達史の検証が行なわ れ,こ のモ デル を支 持 する 結果 が得られてい る.しかし,成層火山とは異 をった火山発達史を有する カルデ ラ火 山に つい て は, その 発達史をマン トルダイアピルモデルで説明 できるかどうか未解決であ った.

本研 究で は, 東 北日 本弧 北部に位置す る北八甲田火山群と十和田火 山を対象とした.北八甲田 火山群 は,八甲田カ,レデラの 後カルデラ火山であり,カル デラ火山の活動としては末 期状態にあたる小規模 成層 火山 群で あ る. 一方 ,十和田火山 は最近数万年間に活動の最盛 期を迎えた典型的なカルデ ラ火山 であ る. 本研 究 では ,こ の両火山の発 達に伴うマグマ組成の時間変 化とその多様性の要因につ いて明 ら か に し , そ れ に 基 づ ぃ て , マ ン ト ル ダ イ ア ピ ル モ デ ル が カ ル デ ラ 火 山 の 発 達 史を説明し得るかどうか 検証を行った,

  北 八甲 田火 山 群は11体 の小規模な成 層火山体から構成される.各 山体は溶岩流を主体とし, 水蒸気 噴火,プルカノ式噴火お よぴストロンボリ式噴火によ る降下火砕堆積物およぴ, 火砕流堆積物をともな う.火山活動は 40‑‑ 25万年前に開始され,現在に至 っている.総噴出量は15 km3 (DRE),全活動期間 を通じた噴出率は0.04〜0.06 h13/kyである.最近6000年間の活動では,噴出量l07〜 l05  III3オーダー の小 規模 な水 蒸 気噴 火お よび ブル カ ノ式 噴火 を約1000年 に1度 の 間隔 で起 こし て いる .そ のマ グマ 噴出率は0.0008 krr13/1000年であり,活動全期間に おける噴出率よりも2桁小さ い,北八甲田火山群の 噴出 物は 玄武 岩 から デイ サイトに及ぴ ,それらはソレアイト系列岩 とカルクアルカル系列岩に 明瞭に 区分 され る. ソ レア イト 系列マグマは ,基本的にはマントル起源の 玄武岩マグマの結晶分化作 用によ り生成され,一部では組 成の近い親子マグマ同士の混 合や地殻物質の混染作用が あったと考えられる.

これ に対 し, カ ルク アル カリ系列マグ マはマントル起源の玄武岩マ グマと下部地殻起源のデイ サイト マグ マの 混合 に より 生成 されたと考え られる.カルクアルカリ系列 の山体・地質ユニットによ るマグ マ組 成の 多様 性 は, 化学 組成が異なる 数種類の端成分マグマに由来 する.苦鉄質端成分マグマ は,共 存す るソ レア イ ト系 列玄 武岩 マグ マ に類 似し た組 成を持つ数種類 のlow‑K玄武岩マグマである .珪長 質端成分マグマの起源物質iよいずれもmediu1・n‐K系列の下部地殻物質と推定される.北八甲田火山群の 噴出 中心 の位 置 は活 動の 経過とともに 火山群中央部に収束する傾向 が認められ,それにともな いデイ

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サ イト マ グマ の組 成も 均 質化 する 傾向を示す.こ れはマントルダイアピルの 温度低下に伴うマグマ生 成域の縮小を示す可能性がある.

  十和 田 火山 の活 動は40〜25万年 前以降に開始さ れ,初期には小規模成層火 山群を形成する活動を行 い ,そ の 後, 爆発 的な 噴 火を 行い カルデラを形成 する活動へと変化し,現在 に至っている,総噴出量 は71 km3 (DRE)である.その活動 は,噴出物の岩石学的特徴 から,古い順に,先カルデラ 期,遷移期,

カ ルデ ラ 形成 期, 成層 火 山期 ,中 湖期 ,お よ ぴ最 新期 の6つのステージに区 分される.各活動期の噴 出率はぞれぞれ,0.03‑‑O.(Y7 km3/ky,0.26 km3/ky,1.1 km3/ky,2.6 krr13/ky,0.52 h13/ky,0.47 krr13/ky で あり , 時間 の経 過と と もに 徐々 に増加し,ピー クを迎えた後にやや減少す る傾向を示す.十和田火 山 噴出 物 は玄武岩から 流紋岩に及ぷ.それらは活 動期毎に異なるSr同位体比,La/Lu,KzO/Y,Kz OtZr を 示し , 時間 の経 過と と もに これ らの比は増加す る傾向が認められる.全岩 化学組成の特徴が各ステ ー ジ毎 に 異な るこ とか ら ,少 なく とも各ステージ に対応した固有のマグマ溜 りの存在が示唆される,

こ れは , カルデラ火山 において従来しばしば提示 されてきた長寿命の巨大なマ グマ溜ルモデルと1ま一 致 しな い .十和田火山 噴出物にiよ普遍的にマグマ 混合の証拠が認められ,こ れらのマグマ化学組成の 多 様性 は マン トル 起源 の 玄武 岩質 マグマの単純な 結晶分化作用では説明でき ない.したがって,十和 田 火山 の マグ マの 組成 多 様性 は, 玄武岩マグマと 地殻起源マグマの混合によ り生成されたと考えられ る .モ デ ル計算を行っ た結果;十和田火山のマグ マ組成多様性iま,マントル 起源の玄武岩マグマ,上 部 地殻 起 源マ グマ ,下 部 地殻 起源 マグマの3成分 の混合により説明可能である .Sr同位体比,La/Lu, 恥( )阿,K20/kは上部地殻成分 の寄与度を反映し,上部地殻 起源マグマの混入率が増加するとこれらの 値 は増 加 する .上 部地 殻 起源 マグ マの混入率(上 部地殻成分)は0〜20%と活 動期によって異なり,時 間 の経 過 とと もに 増加 す る傾 向を 示す.また,上 部地殻成分の増加は噴出率 の増加とほぼ一致した相 関 を示 す .地 殻起 源マ グ マの 生成 は,玄武岩マグ マまたはマントルダイアピ ルからの熱伝導により供 給 され た 熱により弓1き起こされる.よって,噴出 率の増加はマントルからの 玄武岩マグマ・熱供給率 の 増加 を 反映 する と考 え られ る. さらに,マント ルからの玄武岩マグマ・熱 供給率が高いほど,熱の 影 響が よ り上 部の 地殻 ま で及 ぴ, 上部地殻成分が 増加すると解釈される.十 和田火山の発達史とマン ト ル熱 源 との 関係 をみ る と以 下の ようになる.活 動の初期はマントルからの 玄武岩マグマの供給率が 低 く, 地 殻の 溶融 域は 下 部地 殻に 限定されていた |この時期には低噴出率で 小規模な成層火山群が形 成 され た .そ の後 ,次 第 に玄 武岩 マグマの供給率 が増加し,地殻内の部分溶 融域が拡大して上部地殻 ま で及 ん だ. この 時期 に は高 噴出 率で大規模噴火 を繰り返し,カルデラが形 成された.これは,マン ト ルダ イ アピ ルが 上昇 ・ 定置 し, 次第に熱供給量 が増加し,火山活動がピー クを迎える過程と調和的 である.

  カル デ ラ火 山の 初期 か ら最 盛期 までを十和田火 山で代表させ,その活動末 期を北八甲田火山群で代 表 させ る こと で, カル デ ラ火 山の 発達モデルを構 築した.噴出率と上部地殻 成分の変化をみると,初 期 から 最 盛期まで1ま 時間とともに増加し,ピーク を迎えた後,末期になると 減少する傾向を示す.本 研 究で 構 築し たカ ルデ ラ 火山 の発 達モデルは以下 のようになる.初期の活動 では,低マグマ供給率で 上 部地 殻 成分 も少 なく , 低噴 出率 で小規模な成層 火山群を形成する.その後 ,マグマ供給率が最大に なる と上部地殻成分は最大値を取 り,高噴出率で大規模噴火 を繰り返しカルデラを形成す る.その後,

マグ マ供給率が減少すると,上部 地殻成分は減少し,,低噴 出率でカルデラ内に小規模な 成層火山群を 形 成す る .こ れは ,マ ン トル ダイ アピルが上昇・ 定置し,活動のピークを迎 えた後,マントルダイア ピ ルが 冷 却し 火山 活動 が 終息 して いく過程と調和 的である.以上のように, カルデラ火山の発達史は マントルダイアピルモデルで説明することが可能であることが判明した.

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学位論 文審査の要旨

主査   教授   宇井忠英 副査   教授   小笹隆司 副査   教授   在田一則 副査   助教授   新井田清信

副査   教授   吉田武義(東北大学大学院理学研究科)

     学位論文題名

  Petrological study of Kita ―Hakkoda volcanic group and Towada volcano ,Northeast Japan arc :Evolution     and mantle diaplrmodelf ・ orCalderaV01CanoeS

(東北日本弧,北八甲田火山群および十和田火山の岩石学的研究    〜 カ ル デ ラ 火 山 の 発 達 とマ ン ト ル ダ イ ア ピ ル モ デ ル〜 )

  火山活動の熱源として火山体直下の上部マントルにマントルダイアピルが存在すると考えられてい る.従来の研究では,マントルダイアピルモデルを用いて成層火山の発達史の検証が行なわれ,この モデルを支持する結果が得られている.しかし,成層火山とは異なった火山発達史を有するカルデラ 火山については,マントルダイアピルモデルで説明できるかどうか未解決であった.本研究では,東 北日本弧北部に位置する北八甲田火山群と十和田火山を対象とし,この両火山の発達に伴うマグマ組 成の時間変化とその多様性の要因について明らかにした.そして,それに基づき,マントルダイアピ ル モ デ ル が カ ル デ ラ 火 山 の 発 達 史 を 説 明 し 得 る か ど う か 検 証 を 行 っ た , ・   北八甲田火山群は八甲田カルデラの後カルデラ火山群であり,11体の小規模な成層火山体から成る.

火山活動iま40〜25万年前に開始され現在に至る.噴出物は玄武岩からデイサイトに及び,それらは ソレアイト(TH)系列とカルクアルカリ(CA)系列に明瞭に区分される.TH系列マグマ|ま,基本的 にはマントル起源の玄武岩マグマの結晶分化作用により生成され,一部では内部マグマ混合や地殻の 混染作用があったと考えられる.これに対し,CA系列マグマはマントル起源の玄武岩マグマと下部地 殻起源のデイサイトマグマの混合により生成されたと考えられる.CA系列の山体・地質ユニットによ る マ グ マ 組成 の 多 様性 は , 組成 の 異 なる 数 種類の 端成分 マグマに 由来す ると考え られる .   十和田火山の活動は40〜25万年前以降に開始され,初期には小規模成層火山群を形成する活動を 行い,その後,爆発的な噴火を行いカルデラを形成する活動へと変化し現在に至る.その活動は,噴 出物の岩石学的特徴から,古い順に,先カルデラ期,遷移期,カルデラ形成期,成層火山期,中湖期,

およぴ最新期の6つのステージに区分される.各活動期の噴出率iま時間の経過とともに徐々に増加し,

ピークを迎えた後にやや減少する傾向を示す,十和田火山噴出物は玄武岩から流紋岩に及ぴ1それら は活動期毎に異なるSr同位体比,La/Lu,KzO/Y,K20/2rを示す.全岩化学組成の組成変化トレンド     一265−

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が各噴火毎に異なることから,供給されたマグマが浅所マグマ溜りに長期間停滞・均質化しなぃうち に噴出するマグマ系が考えられる.これらのマグマ化学組成の多様性はマントル起源の玄武岩質マグ マの単純な結晶分化作用では説明できない.したがって,十和田火山のマグマの組成多様性は,玄武 岩マグマと地殻起源マグマの混合により生成されたと考えられる.モデル計算を行った結果,十和田 火山のマグマ組成多様性は,マントル起源の玄武岩マグマ,上部地殻起源マグマ,下部地殻起源マグ マの3成分の混合により説明可能である. Sr同位体比,La/Lu,K20/Y,K20/2rは上部地殻成分の寄 与度を反映し,上部地殻起源マグマの混入率が増加するとこれらの値jま増加する.上部地殻成分は0

〜30%と活動期によって異なり,時間の経過とともに増加する傾向を示す.また,上部地殻成分の増 加iま噴出率の増加とほぽ正の相関を示す,噴出率の増加はマントルからの熱供給率の増加を反映する と考えられ,マントルからの熱供給率が高いほど,熱の影響がより上部の地殻まで及び,上部地殻成 分が増加すると解釈される.十和田火山の活動初期jまマントルからの熱供給率が低く,地殻の溶融域 は下部地殻に限定されていたと考えられ,低噴出率で小規模な成層火山群が形成された.その後,次 第に玄武岩マグマの供給率が増加し,地殻内の部分溶融域が拡大して上部地殻まで及んだと考えられ る.この時期には高噴出率で大規模噴火を繰り返し,カルデラが形成された.これは,マントルダイ アピルが上昇・定置し,次第に熱供給量が増加し,火山活動がピークを迎える過程と調和的である.

  カルデラ火山の初期から最盛期までを十和田火山で代表させ,活動末期を北八甲田火山群で代表さ せることで,カルデラ火山の発達モデルを構築した.噴出率と上部地殻成分の変化をみると,初期か ら最盛期までiま時間とともに増加し,ピークを迎えた後,末期になると減少する傾向を示す.初期の 活動では,熱供給率が低いため上部地殻成分が少なく,低噴出率で小規模な成層火山群が形成される.

その後,熱供給率が増加し,最大になると上部地殻成分は最大値を取り,高噴出率で大規模噴火を繰 り返し,カルデラが形成される.その後,熱供給率が減少することで上部地殻成分は減少し,低噴出 率でカルデラ内に小規模な成層火山群が形成される.これは,マントルダイアピルが上昇・定置し,

活動のピークを迎えた後,ダイアピルが冷却し火山活動が終息していく過程と調和的である.以上の ように ,カル デラ火山 の発達 史はマン トルダ イアピル モデルで 説明することが可能である,

  当 該 博 士 論 文 の 研 究 は 、 島 弧 に お け る カ ル デ ラ 火 山 の 発 達 史 を 熱 構 造 変 化 モ デ ル と し て 組 み 上 げ て い る 。 詳 細 な 噴 火 履 歴 の 調 査 や 徹 底 し た 岩 石 学 的 解 析 に よ っ て 得 ら れ た デ ー タ か ら 綿 密 な 議 論 を 編 む だ け で は な く 、 こ れ ま で 明 確 に さ れ て い な か っ た カ ル デ ラ 火 山 の 発 達 を マ ン ト ル ダ イ ア ピ ルモ デ ル によ っ て モデ ル 化 した 点 は 評価 に 値 する 。   よ っ て 、 著 者 は 、 北 海 道 大 学 博 士 ( 理 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る 。

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