はじめに 滋賀大学地域連携センターでは、地方自治体の経営改革の現場で活用してもらうことを 念頭に平成18 年度から事業仕分け・地域事業組成活動の実践に取り組んでいる。本論文は 平成22 年度に行なった活動の成果を各市の担当者とともに報告するものである。他自治体 の取組の参考となることを願っている。 1.事業仕分け・地域事業組成の考え方 今後、地方自治体では高度成長期に大量採用した団塊の世代の職員が一斉に退職となる。 財政の健全化を図り、少ない職員で現状のサービスを維持するためには、行政の事業を適 切に縮減し、コミュニティへの権限委譲と民間化を推進する必要がある。こうした取組は 行政サービスの低下を意味するものでなく、コミュニティの自律経営と、民間企業やNPO による地域ビジネスの形成を促し、新しい「公共」による地域経営を誘導するものになる。
4-3.平成 22 年度事業仕分け・地域事業組成活動の成果と課題
滋賀大学 地域連携センター 特任教授 石井 良一 長岡京市 政策推進課 坂内 陽子 大津市 都市経営室 西村 千菜美 長浜市 行政経営改革課 岸田 洋平 米原市 政策調整課 仲谷 良徳 亀山市 行政改革室 池口 昌伸 近江八幡市 政策推進課 田村 裕一図表1 新しい公共による地域経営をめざして 事業仕分け・地域事業組成は、これまで行政が当たり前のように守備範囲としてきた事 業を再度外部の目から見直し、必要なのか、どの主体がやるべきか、どのように移行させ ていくかを考える作業である。1 すなわち、「事業仕分け」により、現在の事業を不要、必要に区分した上で、必要事業に ついて国、県、市町、民間に仕分け、さらに「地域事業組成」により市町事業に仕分けた 事業でアウトソーシングが望ましい事業と民間に仕分けた事業について、地域事業化の手 法と実施主体を方向づけるものである。既に外郭団体等に委託している事業についてはそ のあり方について再検討することとなる。 滋賀大学では、平成18 年度からの 4 年間で、延べ 17 市町に対して合計 754 事業を対象 に事業仕分け・地域事業組成を行った。 図表2 事業仕分け・地域事業組成活動の考え方 1 事業仕分け活動は非営利法人構想日本が提唱し2002 年から実施。 官 民 政策 形成 実施 官 民 政策 形成 実施 政策連携 アウトソーシング 監視機能の強化 コミュニティ 自律経営 地域ビジネス 従来の 自治体 地方自治体 新しい「公共」による地域経営 ボランティア・ メセナによ る貢献 アンケート、投 票等によるニー ズ表明 現在の行政
図表3 滋賀大学で実施した事業仕分け・地域事業組成活動の概要 年度 市町村 人口(千人) 実施日 班数 事業数 委員構成 18年度 (3) 滋賀県栗東市 63 9月23、30日 2 57 市民 滋賀県安土町 12 10月14日 4 45 混成 滋賀県甲賀市 96 11月25日 4 55 混成 19年度 (5) 滋賀県栗東市 63 9月22日 4 50 市民 滋賀県長浜市 83 9月29、30日 4 101 混成 三重県亀山市 49 10月20、27日 4 83 混成 滋賀県守山市 74 11月17、18日 3 60 市民 滋賀県湖南市 55 12月15日 4 52 混成 20年度 (6) 兵庫県加西市* 48 8月9日 3 30 混成 滋賀県大津市 330 8月23日 2 20 混成 滋賀県守山市 74 8月24日・30日 3 30 市民 滋賀県湖南市 55 8月31日 4 31 混成 滋賀県長浜市 83 9月23日 3 30 混成 三重県亀山市 49 10月25日 4 36 混成 21年度 (3) 京都府長岡京市 80 8月1日 2 20 混成 兵庫県加西市* 48 8月8日 1 6 混成 滋賀県大津市* 330 8月22日 3 24 混成 22年度 (7) 京都府長岡京市 80 8月7日 2 18 混成 滋賀県大津市* 330 8月21日 3 23 混成 滋賀県長浜市 123 8月28日 2 21 混成 滋賀県米原市 40 9月4日 3 25 混成 三重県亀山市 49 10月3日 4 32 混成 埼玉県ふじみ野市** 105 10月16・17日 2 36 混成・市民判定人 滋賀県近江八幡市 81 10月23・24日 2 36 混成 *構想日本と共同、**地方自治体公民連携研究財団と共同 2.長岡京市 1)導入の背景 長岡京市では、平成 16 年度に「新長岡京市行財政改革大綱」、その行動計画である「長 岡京市行財政改革アクションプラン」を策定、平成21 年度にその延長版を策定して行財政 改革のより一層の推進を図るとし、平成15 年 10 月より試行的に「事務事業チェックシー ト」による事務事業の見直しを行ってきた。 この取組みの目的は、「次年度の予算編成を前に、各課において事務事業の点検を行い、 その結果得られた情報をもとに事務事業の見直しを進めること」にあり、新行財政改革大 綱制定に先んじて行った取組みであった。 ただ、この取組みの目的は「事務事業を評価する(目標を設定し、その到達度合いを測 る)」ことではなく、「事業目的を改めて確認し、事務事業が抱える問題、課題を明らかに する」ことであり、ロジックシートによる各担当課の気づき、振り返りを主とするセルフ マネジメントのシステムであった。よって、シート記入時には、その事業はどのような市
民ニーズに対応しようとするものか、行政が実施すべきか、という意識付けが行われる一 方、財政的な視点からは事業費のみを記入するもので、人件費は記載されず、いわゆるフ ルコスト計算方式ではなかった。シート作成時には何をもって必要概算コストとするのか の論議があったものと推察されるが、以上の点から、他市で行われている事務事業評価と は違った性格をもつものであったと思われる。 また、事務事業は6 分野に分類され、点検の対象となったのは、①から③だけ(平成 21 年度より④を追加)であった。 ① ソフト関係事務事業(市民サービス):事業等の内容が市民サービス等に直結する もの(ソフト事業) ② 整備関係事務事業:道路や公園などの面整備(ハード事業) ③ 施設等の建設事業等:市民サービス等を提供するための基盤整備をするもので施設 の建設をするもの(ハード事業) ④ 施設等の維持管理的な事務事業 ⑤ 行政の内部管理事務事業 ⑥ 経常的な事務事業 この取組みは、市民に対する説明責任を果たし情報を共有するため、点検に使用した事 務事業点検シートは市のホームページで公開してきた。 しかし、各担当課での点検には限界があり、担当以外の視点を点検に取り入れるため平 成21 年度に試行的に「事業仕分け」を導入した。事業仕分けでは、「事業費」と「人件費」 を合わせたフルコスト計算方式も取り入れ、事業対象者一人当たりにどれだけの公費(一 般財源)がかかっているかの目安が算出でき、事業の今後の方向性について、判断する一 つの基準となったところである。 2)仕分け体制及び対象事業の選定 仕分け体制は、1 班 6 名(コーディネーター(外部)1 名、市民委員 2 名、外部委員 3 名) 編成の2 班で各 10 事業、計 20 事業の仕分けを行った。 平成21年度の市民委員は、本市行財政健全化推進委員会より市民公募委員2名があたった が、多様な主体との協働の推進も視野に置き、より広く意見を聞くため、平成22年度にお いては、本市行財政健全化推進委員とは別に新たに仕分け委員として2名の市民委員を公募 することとした。 対象事業として、平成22 年度当初予算におけるすべての事業のうち、原則、次の 4 つの 条件を満たす事業の中から20 事業を選定した。 ① 事業費が70万円以上の事業 ② 事業の実施について、法令上、裁量の余地がある事業 ③ 外部の視点から意見を聞く必要のある事業 ④一定期間継続している事業
本市は細分化した事業をもとにした事業ベースの予算であるため、見直しを図る適正規 模を考え70万円以上とすることで、平成21年度(100万円以上)と比べ規模の小さい事業も 対象とした。 一定期間継続している事業としては、総合計画第2期基本計画の策定前(平成17年度以前) から5年以上継続されているものを対象と想定した。 3)事業仕分けの結果 下表のとおりであり、22 事業のうち 13 事業が市実施・内容、規模の見直しであった。 図表4 長岡京市事業仕分け結果 4)庁内、議会及び市民の反応 平成22 年度においては、仕分け委員の事前見学会を取り入れた。これは、仕分け委員に は、その事業を行うことになった本市の事情を考慮した上、また実情を踏まえた議論展開 を行ってもらいたいという平成21 年度の課題の改善策として実施したものである。全対象 事業で実施したものではないが、当日の議論にはその時仕分け委員が得た知見が活かされ た議論がなされたものである。 市民からは、行政がやっている仕事についてのよい勉強になったという意見の一方、仕 分け人も、事業説明者も、質疑、回答を簡潔に的を射たものにしないと、傍聴者参加型と なりづらいと思われるといった意見もあった。 5)予算への反映状況 事業仕分けは、平成22 年度の事務事業点検の一環として実施しており、仕分け対象事業 の平成23 年度の取組みとしては、事業の廃止、縮小だけではなく拡大、充実といったもの もあった。事業仕分けの結果を新しい視点からの意見として受け止め、これまで以上に事 業の見直しを図ったことで、効率的かつ効果的な予算とすることができた。 仕分け委員の結果 ②国・府及び広域で実施 ③市実施・現状通り ⑥民営化 ⑤市実施・民間委託化 3事業 (うち委託先の見直し 1) 0事業 事業数 ①不要 4事業 (うち仕分けにより、1事業を二つに分けて結果を出した事業 2) 1事業 1事業 (うち仕分けにより、1事業を二つに分けて結果を出した事業 1) ④市実施・ 内容、規模の見直し 13事業 (うち仕分けにより、1事業を二つに分けて結果を出した事業 1)
6)成果と課題 平成21 年度に引き続き、事務事業点検の一環で行った事業として、外部からの視点を得 たことには、一定の成果があった。しかし、対象事業の事前見学会を行っても、やはり当 日の議論展開では、事業内容やその背景の理解不足を思わせる結果となったものがあり、 今後外部の視点を取り入れた事業の際には、この点を補完できる取組みを検討する必要が あると考える。 平成23 年度からは、第 3 次総合計画第 3 期基本計画と期間を統一した第 3 次行財政改革 大綱の2 つの基本理念である、「市民とともに進める持続可能な都市経営の推進」と「市民 満足度を高める行政サービスの質の向上」に基づいた取組みを行うものである。 3.大津市 1)導入の背景 大津市では、成果重視型の事務事業の管理手法である事務事業評価を、平成13 年度から 2 年間の試行を経て、平成 15 年度から本格的に実施している。この結果をもとに、事業の 見直し・改善を行い、より効果的・効率的な行政運営を推進する上で、これまで一定の成 果を挙げてきたところである。 また、平成16 年度以降は、事務事業評価の対象事業の中から、補助金や指定管理者制度 など、年度ごとに一定のテーマを設け、二次評価として副市長等内部による評価を実施し てきた。この内部での評価を、より一層、客観性や透明性の高いものとするため、外部の 視点により事業そのものの必要性や課題等について議論・評価を行う「事業仕分け」を平 成20 年度から導入し、平成 22 年 8 月 21 日には、本市で 3 回目となる事業仕分けを実施し た。 2)仕分け体制及び対象事業の選定 仕分け体制は、1 班あたり 7 名(コーディネーター1 名、外部評価者 3 名(滋賀大学事業 仕分け研究会2 名、構想日本 1 名)、公募市民評価者 3 名)で編成し、3 班で 21 事務事業 の仕分けを行った。 対象事業の選定については、本市が実施する全事務事業の中から、政策調整部・総務部 の職員で構成する「事業仕分け対象事業選定委員会」において、下記に掲げる選定の視点 に基づき選定した。
図表5 大津市事業仕分けの対象事業選定方針 3)事業仕分けの結果 今回の事業仕分けの結果、「不要」と判定されたものが 8 件、「市実施 現行のとおり」 が3 件、「市実施が適当であるが内容等の見直しを要するもの」が 10 件、「市実施が適当で あるが民間委託化への見直し」が2 件であった。 図表6 大津市事業仕分け結果 (注)1 事業を 2 分割し評価した事業が 2 事業であったため、判定結果は 23 件となる。 4)庁内、議会及び市民の反応 事業仕分け当日は、市民をはじめ、市議会議員、他の自治体職員など、約 350 名の方に ご参加いただいた。特に、市民の参加は過去 3 ヵ年のうちで最も多く、国において事業仕 分けが実施されたこともあり、関心が高まっているものと思われる。 また、職員間では事業仕分けをきっかけに、「普段から事業仕分けの視点により、業務を 見直すことが必要である。」「仕分けの結果に基づき、今後、どのように対象事業に取り組 んでいくか考えることが重要である。」との声があがるなど、見直し意識が根付いてきたこ とがうかがえる。 5)予算への反映状況と見直し内容 本市では、仕分け結果をそのまま予算に反映するのではなく、仕分け結果や事業ごと に展開された議論の内容を踏まえ、担当部局において十分に検討・調整したうえで、事業 の改善や見直しを行っている。その結果として、予算の削減へと結びついているものであ り、平成22 年度事業仕分け対象事業における平成 23 年度当初予算での削減効果額は、約 区 分 (1)不要 (2)国・ 県実施 (3)市実施 (現行のとお り) (4)市実施 (見直し要) (5)市実施 (民間委託 化) (6)民営化 (NPO・地域団体含 む) 結 果 件 数 8 - 3 10 2 - 比 率 34.8% - 13.0% 43.5% 8.7% ― 【選定の視点】 ・必要性・有効性 :事業を取り巻く環境の変化、市民ニーズの変化に伴い、事業の必要性や 有効性が変化してきた事業 ・実 施 主 体 :民間委託、市民協働による実施について検討の可能性がある事業 ・事 業 水 準 :事業内容、事業規模、(拡大・縮小)の再検討が可能な事業 ・効 率 性 :事業効果とコスト面から、より効率的に実施できる事業 対 象 事 業 選 定 方
2,800 万円であった。主な見直し内容は次のとおりである。 ・軽自動車税等賦課事業のうち、大津市たばこ小売連盟補助金…段階的廃止 ・障害者自立訓練施設運営事業…委託内容等の見直し ・生産調整推進対策事業(市単独補助金)…補助事業の見直し ・小学校維持管理事業のうち、巡回警備業務委託…廃止→防犯システムの整備・運用 ・地域情報化推進事業のうち、明日都ITポケット運営事業…廃止 ・都市公園緑地施設等維持管理事業のうち、皇子が丘公園:交通公園…休園、今後の活 用方法検討中 6)成果と課題 今回の事業仕分けでは、これまで1 班あたり 1 名であった公募市民評価者を 3 名に拡大 したことから、より一層市民感覚が反映された議論や評価となったと思われる。また、外 部評価者においても、事前に現地視察を実施され、事業についての理解をさらに深めたう えで仕分けに臨んでいただき、より踏み込んだ意見や提案をいただいたところである。 本市の事業仕分けは、仕分け結果に捉われることなく、事業仕分けでの議論や評価者か らの意見、提案を通した「新たな気づき」により職員の意識改革等を図るなど、そのプロ セスを重視している。 これまで 3 回の実施で、事務事業の再点検や見直し検討の動機付けが図られ、事業の目 的達成に向けた効率的・効果的な改善や見直しが、各々の担当課において浸透してきたこ とは、大きな成果である。また、事業の本質を明らかにし、公開の場で情報提供すること で、透明性を高めるとともに、説明責任を確保してきた。 このように事業仕分けは、外部評価の一手法として一定の成果をあげてきたが、その一 方で、個々の事業に焦点を当てて評価をするため、政策、施策における事業の位置づけや 他の事業との関連性について、横断的な視点に立った評価結果が得られない、また、一日 限りの外部の仕分け人からの意見等であるため、その場限りとなってしまう恐れがある、 などの課題もあると考える。 このことから、平成23 年度においては、平成 22 年度から実施している施策評価と施策 配下の事務事業について、有識者等で構成する「外部評価委員会」により、評価の妥当性 や成果指標及び目標達成度等の検証を行い、内部評価の結果の客観性や公平性の確保を目 指していく。 4.長浜市 1)導入の背景 長浜市は、平成18年2月の1市2町の合併により誕生した。この市町合併により肥大化した 予算規模や職員定数を見直し、行政のスリム化を実現するため、行政改革大綱や集中改革
プランを策定し、行政改革に取り組んできたとろであり、その一環として、平成19、20年 度の2回にわたり、事業仕分けを実施してきた。 平成22年1月には、長浜市、虎姫町、湖北町、高月町、木之本町、余呉町及び西浅井町 の1市6町が合併し、人口約12万4千人(合併前の約1.5倍)、面積約680k㎡(琵琶湖含む。 合併前の約2.8倍)の県下有数の規模を誇る都市となった。 この合併によるスケールメリットを最大限に活かして、最少の経費で最大の効果を発揮 していくため、1市6町合併後も引き続き行政改革に取り組むこととしており、その手段の 一つとして、平成22年度に、外部の視点を取り入れた事業仕分けを滋賀大学の協力を得な がら実施した。 2)仕分けの体制及び対象事業の選定 対象事業の選定については、合併で規模が膨らんだ事業の中から、次の 3 つの視点で選 定した。 ① 目的や内容が類似又は重複していて、適正化が必要と考えられる事業 ② 公的関与のあり方について、一定の整理が必要と考えられる事業 ③ 目的達成や費用対効果の観点から、サービスのあり方や水準の適正化が必要と考え られる事業 選定にあたっては、職員提案の実施(36事業の提案有)や企画担当課、財政担当課、行 革担当課による協議を踏まえ、約80事業をリストアップし、それを元に、各事業担当課と のヒアリングや行政改革推進本部(市長(本部長)、副市長・教育長(副本部長)及び部局 長級職員で構成)等で事業を絞り込み、最終的には、全体で21事業を対象とした。 事業仕分けは、平成22年8月28日(土)に、長浜市役所において2班体制で実施した。各 班とも、コーディネーターを1人、仕分け委員を6人とし、うち仕分け委員については、市 民委員を3人、滋賀大学関係の外部委員を3人とした。市民委員全6人のうち4人は公募によ り選出したが、4人の募集に対して16人の応募があり、事業仕分けに対する市民の関心の高 さが伺えた。 なお、今回の事業仕分けにおいては、「長浜版事業仕分け」として、従来のように1事業 ごとに仕分けるのではなく、1つの時間帯で関連する複数の事業の仕分け(事業グループ仕 分け)を実施し、個々の事業を相対的に比較することにより、市全体における行政サービ スの最適化・施策効果の最大化を目指したことが最大の特徴である。 この事業グループ仕分けに伴い、仕分けの時間を従来の1事業30分から1グループ50~70 分と長く取り、議論を深めることとした。また、過去2回の経験を踏まえ、議論をより的確 に行うため、仕分けにかける理由や議論してほしい点を事前に説明する論点提起の時間を 設けたことも、特徴の一つである。
3)事業仕分けの結果 事業仕分けの結果は、市実施(現行通り・拡充)が1件のみで、多くは事業の見直しが必 要であるとの結果となった。 また、傍聴者にもアンケートを通じて対象事業の仕分けを行っていただいた結果、概ね仕 分け委員による仕分け結果と同様の集計結果となったことから、事業の見直しの必要性に ついて、改めて認識させられたところである。 図表7 長浜市事業仕分け結果 仕分けの区分 事業数 比率 ①不要 5 23.8% ②国・県実施 0 0.0% ③市実施(現行通り・拡充) 1 4.8% ④市実施(内容・規模見直し) 11 52.4% ⑤市実施(民間委託化・民間委託の見直し) 0 0.0% ⑥民営化(NPO、地域団体含む) 4 19.0% 合計 21 100.0% 4)庁内、議会及び市民の反応 庁内や議会においては国の事業仕分けの印象が強く、事業仕分けが単に事業の切り捨て や経費削減を目的として行うものとの認識が多かった。このため、本市では名称を「長浜 版事業仕分け」とし、単に廃止や歳出削減だけを目的とするものではなく、誰が、どの程 度のサービスを、どう提供していくのがよいのか、今一度根本から検討し、行政サービス や事業の改善につなげていく手法の一つとして実施することを明確に位置づけた。 また、国の事業仕分けとは違い、仕分け委員が判定した結果がそのまま施策となるので はなく、その意見を参考に市が事業のあり方を検討した上で、施策化を行っていくことを 強調した。しかしながら、国の事業仕分けのイメージを十分には払拭できず、12 月議会で 事業の見直しの方向性を説明したところ、議会からは事業仕分けに対する厳しい意見等が 寄せられた。 一方で、事業仕分け当日に行ったアンケートにおいては、傍聴者の約 74%が事業仕分け の実施について「意義がある」と回答しており、事業仕分けによる事業見直しの手法が有 効なものと認識されている。 また、アンケートにおいて、「行政以外の視点からの指摘や考え方を吸収する良い機会に なっていると思う」、「通例化した事業が多いことから、事業のムダや矛盾点が見出させる」 などの意見をいただいており、事業仕分けを通じた自治体の改革に対する期待も伺えると ころである。
5)予算への反映状況 事業仕分けの終了後、行政改革推進本部等において、結果速報の報告と今後の予定につい て説明を行い、 ① 事業仕分けの結果を踏まえた事業の見直しは、可能な限り次年度からの取組や予算に 反映する。 ② 次年度からの反映が難しい場合は、今後の取組方針とその工程表を示す。 ③ 仕分け結果の趣旨とは違う方針とする場合は、その理由を示す。 ことを基本的な考え方として、各事業の今後のあり方について検証し、市の方針を決定し ていくこととした。 10 月には、行革担当課と事業担当課で、市の対応方針について協議を行い、その後、行 政改革推進本部の意見等を踏まえて、11 月に行政改革推進本部において対応方針を決定し た。この対応方針に基づき、各事業担当課が事業の見直し等を行った結果、平成23 年度当 初予算への反映状況としては、32,214 千円の改善効果が見られた。見直した事業のうち主 なものは、次のとおりである。 図表8 長浜市事業仕分け結果の予算への反映状況 事業名 見直しの内容 公用バス管理運行事業 「不要」の判定を踏まえ、公用バスを4台削減する。今後、直営 から民間委託へ順次移行していく。 シルバー人材センター支援 事業 「市実施(内容・規模見直し)」の判定に基づき、シルバー人材 センターへの補助金は、国庫補助と同基準となるよう、2年間で 段階的に縮減する。 環境推進員報償金 「不要」の判定に基づき、平成22年度末で廃止する。 外国人児童生徒教育サポー ト・プレスクール事業 「市実施(内容・規模見直し)」の判定に基づき、教室方式を見 直し、巡回方式に特化して実施する。 6)成果と課題 事業仕分けの成果の一つとして、予算の削減効果が挙げられるが、前述したとおり、今 回の「長浜版事業仕分け」については、単に廃止や歳出削減だけを目的とするものではな く、事業仕分けにおける議論や意見を通じて、市が事業のあり方を改めて検討し、事務事 業の目的達成に向けた効率的・効果的な見直しを行い、その結果として、予算削減につな がったものと考えている。 また今回は、事業の選定段階から仕分け結果に基づく対応方針の決定まで、事業担当課 との協議・打ち合わせに重点を置いたことにより、仕分け結果を踏まえた事業見直しにつ いての方針が、比較的スムーズにまとまった感がある。 これは、事業仕分けの議論の前に論点整理を行い、事務局が仕分けにかける理由や議論 してほしい点を事前に説明したことにより、議論がスムーズに運ばれ、核心を得た意見が 多く出された点も影響しているものと考えられ、事業担当課との連携の重要さを再確認さ
せられた。 今後は、事業仕分けの手法を活用し、事務事業の必要性や妥当性等について検証を行い、 最少の経費で最大の効果が得られるよう、庁内で十分に議論を行い、内部改革を進めてい きたいと考えている。 5.米原市 1)導入の背景 米原市(平成23 年 4 月 1 日現在、人口 41,163 人、面積 250.46 ㎢)は、平成 17 年 2 月 14 日に旧山東町、旧伊吹町、旧米原町の 3 町が合併して誕生し、さらに平成 17 年 10 月 1 日に旧近江町が加わり、現在の米原市となった。 合併後直ちに「第1 次行財政改革大綱」の策定に着手し、平成 17 年度末に大綱および実 施計画(集中改革プラン)を策定し、行財政改革に取り組んできた。平成21 年度までの 5 年間に、指定管理者制度の積極的な導入や定員適正化計画を上回る職員数の削減など、一 定の成果を上げてきた。また、平成19 年度には事務事業評価制度を導入し、モデル実施に 取り組んできたところである。 しかしながら、この事務事業評価は行政内部での職員による自己評価の仕組みであり、 合併後 5 年を経過し、真に必要な事業へと抜本的な見直しを行うには、事業の妥当性、有 効性、効率性などについて、外部の視点から客観的に評価することが必要であることから、 事業仕分けに取り組むこととした。 2)仕分け体制及び対象事業の選定 事業仕分けの日程は、平成22 年 9 月 4 日(土)1 日とし、3 班体制で全 25 事業の仕分け を行った。実施体制は、1 班あたりコーディネーター1 名、評価者 5 名(うち市民 2 名)の 3 班体制とし、うち市民評価者(各班 2 名)については、公募による者と行財政改革市民会 議委員で構成した。 対象事業の選定については、予算上の事業項目 603 事業を対象として、最終的に行財政 改革本部員会議(内部会議)で25 事業を決定した。なお、今回は初めての実施であり、職 員の説明能力の向上、意識改革の視点から、広く各部局から選定した。 3)事業仕分けの結果 当初25 事業のうち判定を細分化した事業があり、合計 30 件について判定された。結果 は、「市実施現行どおり」が5件(16.7%)であり、多くの事業で見直しが必要であると判定さ れた。また「不要」と判定された3 件については、「事業の目的が明確でない」、「事業の効 果はあるのか」などの意見が出された。
図表9 米原市の事業仕分け結果 区分 不要 国・県実 施 市実施 現行どお り 市実施 内容・規 模見直し 市実施 民間委託 民営化 合計 件数 3 0 5 18 3 1 30 比率 10.0% - 16.7% 60.0% 10.0% 3.3% 100% 4)庁内、議会及び市民の反応 国の事業仕分け後であったため「事業仕分け=事業の廃止」と捉えておられる方が多く、 まず事業選定の段階で、「なぜこの事業を選んだのか」、「事業をやめようと思っているのか」 などの意見や、議員からは「福祉の切り捨てにつながる」、「議会で審議しているのだから 事業仕分けなど必要ない」などの意見をいただいた。 また、当日傍聴に来られた方からは、「外部の意見を聞くのは良いこと」、「事業見直しは 必要」、「もっと大きな事業を仕分けするべき」という肯定的な意見がある一方、「職員の説 明不足」、「単なるパフォーマンス」、「市の事情を知らない者に何がわかるのか」という否 定的な意見もあった。 5)予算への反映状況 事業仕分けの判定結果については、もちろん重く受け止める必要があるが、仕分け議論 の中身が重要であり、どのような切り口で、どういった議論がされたのかを十分分析した うえで、市として適切な対応方針を決定していく必要がある。そのため、事業仕分けの結 果を受け、その対応についての市としての方向性、期待される効果、取組のスケジュール などを各部局で検討の後、三役ヒアリングを経て、対応方針を決定したところである。 全30 事業のうち 24 事業について対応方針に沿った取組みをはじめ、そのうち平成 23 年 度当初予算への反映による削減効果額は、9,846 千円であった。削減効果のあった主な取組 は次のとおりである。 ◇ケーブルテレビ運営事業(4,095 千円削減) 動画放送の制作について、15 分番組2本を 25 分番組 1 本に変更した。 ◇敬老祝金(2,284 千円削減) 対象年齢区分を6 段階から 3 段階に変更した。 ◇高齢者季節性インフルエンザ予防接種(2,958 千円) 80 歳以上の高齢者への助成を廃止した。 6)成果と課題 本市では、今回初めて事業仕分けに取り組んだところであるが、「そもそもこの事業は何 のために行っているのか」と各担当が原点に立ち返って事業を洗い直す機会としては、大 変有意義なものであった。また、外部の視点を交えた議論における「想定外の質問」から
は、事業改善に向けた多くのエッセンスを得ることができたものと感じている。さらには、 公開の場での事業の説明責任を果たし、市政の透明化を図っていくことにより、職員の能 力向上と意識改革につながったものと考えている。 一方で、職員の説明力不足やデータの準備不足、3 班体制での運営にやや無理があったこ と、事業選定の経過が不明瞭であるなど、課題も明らかになったので、これらの課題を整 理したうえで、平成23 年度も引き続き実施する事業仕分けを実のあるものにしたい。 6.亀山市 1)導入の背景 本市では、平成18 年 3 月に策定した「亀山市行政改革大綱」推進のため、県内の自治体 としては初めて、平成19 年度に事業仕分けを実施した。 平成22 年度においては、平成 21 年2月に就任した市長のマニフェストに基づき、平成 19、20 年度に実施した事業仕分けをバージョンアップし、32 事業を対象に実施することと した。 2)仕分け体制及び対象事業の選定 対象事業については、平成22 年度一般会計予算の室単位での中事業(533 事業)のうち、 平成24 年度以降継続することが見込まれている事業で、一般財源が 500 万円以上の事業か ら、 (1)人件費、元利償還金、繰出金及び予備費 (2)法定受託事務等市長の裁量が限定されている事業 (3)施設設備等の維持的要素の強い事業 (4)幹線道路建設事業 (5)一般管理費及び一般事業で論点が見出しにくい事業 (6)平成19 年度及び 20 年度に実施した事業仕分けにおいて対象となった事業 を、除いた 64 事業を選定し、その中から市民生活に大きな影響を与えると考えられる 32 事業については、仕分け結果の反映に時間を要することから、先行して22 年度に実施する こととした。 また、前回からのバージョンアップとして、前回は対象としなかった主要事業(ハード 事業であれば、3,000 万円以上、ソフト事業であれば 500 万円以上の事業)を含めることと し、更には、1 事業あたりの所要時間を 30 分から 40 分へと拡大した。 なお、仕分け体制については、コーディネーター1 名、外部委員 2 名、市民委員 3 名の 6 人体制により実施した。
3)事業仕分けの結果 仕分けに結果については、次表のとおりである。 図表 10 亀山市における事業仕分け結果 判定結果 事業数 不要(自治体としても民間事業としても) 6 国及び県実施 0 市実施 現行通り 8 市実施 内容・規模見直し 19 市実施 民間委託化 2 民営化(NPO、地域団体も含む) 0 合計 35 ※仕分け対象事業数は32 事業であるが、業務内容又は対象により2分割 で判定した事業が3事業あるため、合計数は35 事業となった。 4)庁内、議会及び市民の反応 参観に来られた方へのアンケート調査では、「事業を見直すことについてどう思うか?」 という質問に対して、「非常に意義がある」と答えた方が約7 割という高い割合を占め、事 業仕分けへの関心の高さを窺い知ることができた。 一方、議会からは、5 人の仕分け人の多数決による判定の仕方や、仕分け人による利害関 係者への事前の聞き取りの有無という、当市の事業仕分けのやり方自体への問題提起があ った。 また、仕分け人 5 人全員が不要と判定した「児童手当給付事業のうち誕生日祝金」の条 例廃止を12 月議会へ提案したところ否決された。 5)予算への反映状況 直接的な金額削減は、学校開放管理指導員謝金の廃止による 200 万円程度と限られたも のとなったが、介護予防支援センター費において、介護予防支援機能は廃止とし、待機児 童対策施設としての活用を図るといった、現在当市が真に抱える課題に対応する事業へと 転換を図るなど、意義のある成果が得られた。 6)成果と課題 効果の低かった事業を廃止し、現在抱える課題に対応する事業へと今までにないスピー ドで転換を図ることができたことは大きな成果であった。今後「事業仕分け」を実施して いくにあたっての課題としては、1 事業あたりの所要時間を平成 19、20 年度の 30 分から、 平成22 年度の実施では 40 分へと拡大したところではあるが、更なる所要時間の拡大や、 国の事業仕分けのように、班としての統一的な仕分け理由を明確な形で記録として残すこ
となどが挙げられる。 7.近江八幡市 1)導入の背景 近江八幡市は、平成22 年 3 月 21 日に、旧近江八幡市と旧安土町の 1 市 1 町が合併し、新・ 近江八幡市として誕生した。面積は177.39K ㎡、人口は 81,730 人(H.22 国勢調査速報値) である。歴史的・文化的にも関係が深い両市町だが、それぞれが実施してきた事業のあり 方には違いが見られた。例えば、各種団体等への補助金や受益者負担金、各事業における行 政の関与、公共施設の管理運営等々である。こうしたことから、新市として考え方やあり方 を統一するとともに、図書館のように同じ機能を持つ施設が複数となったことから、今後の 有効活用を考える必要もあった。公共的団体についても、基本的には市町が合併した場合 は、効率面等も考慮すると出来るだけ早い時期の統合が望まれるところである。 このような背景から、第三者から見てどうあるべきかを客観的に診断してもらうため、 「公開事業診断」と銘打って実施した。従って、本市では、「仕分け」の文言を使用せず、 「診断」として統一した。 2)公開事業診断体制及び対象事業の選定 近江八幡市では、行政改革推進本部において取り組むことを決定し、全庁的な取組みとし て位置づけたうえで実施した。 診断体制は、1 班 8 名体制(コーディネーター1 名、有識者 4 名、市民委員 3 名)、2 班、 2 日間日程で実施し、26 事業を対象事業とした。ただし、事業内容の性質の違いによって 分割して診断が行われた事業があったことから、最終的には34 項目の診断を実施すること となった。 対象事業の選定については、以下の要件を満たすもののうちから、事務局で予め候補を 作成し、行政改革推進本部会議で最終決定した。 ①普通会計の事業 ②直接事業費が400 万円以上の事業 ③平成23 年度以降も継続して実施する見込みのある事業 ④過去2 年以上(平成 20、21 年度)実施している事業 ⑤市に裁量の余地のある事業 ⑥行政改革推進本部において、外部の視点から診断を求めたい事業 3)公開事業診断の結果 公開事業診断における診断結果並びに行政改革推進本部において決定した各事業の見直
しの方向性は、次表のとおりである。 図表 11 近江八幡市公開事業診断結果 診断区分 診断結果(件数) 見直し方向性 備 考 (1) 不要 2 1 (廃止) (2) 国及び県実施 1 1 (県へ要望) (3) 市実施(現行どおり) 3 2 (4) 市実施(内容・規模見直し) 20 23 (5) 市実施(民間委託化・委託の拡充) 7 7 (6) 民営化 1 0 合 計 34 34 4)庁内、議会及び市民の反応 公開事業診断の当日、傍聴者を対象にアンケートを実施した(有効回答者数56 名)。これ によると、「市の施策等の検討手段として有効なものと考えますか」の設問に対し、75%の 方が有効、あるいはある程度有効と答えているほか、「今後も公開事業診断は実施すべきで すか」の設問に対し、84%が毎年、あるいは何年かに一度、もしくは必要なときに不定期 に実施すればよいとの回答であったことから、市民目線からは一定の評価を得られたもの と考える。 また、庁内の反応としては、公開事業診断終了後に対象事業となった所属に対してアンケ ートを実施した結果から、「今後も公開事業診断は実施すべきですか」の設問に対し、95% が毎年、あるいは何年かに一度、もしくは必要なときに不定期に実施すればよいとの回答 であったことから、プラスの評価をしていることが伺える。 一方、対象事業の選定基準を見直す必要がある、診断対象事業数が多すぎるといった意 見も見られたことから、今後、改善や工夫が必要性である。 議会としては、公開事業診断の実施前から本会議内で実施方法や対象事業の選定方法、 診断後の取組み方等、様々な質問が行われ、関心の高さが伺えた。
図表 12 近江八幡市の公開事業診断に関する傍聴者、職員の評価 5)予算への反映状況 公開事業診断の目的は、経費節減に重きに置いたものではなく、それぞれの事業がどうあ るべきかという視点を重視したことから、事業自体のあり方や行政組織の見直しにも繋が ったことは、今回の大きな効果である。平成23 年度に見込まれる財政効果額は下表のとお りである。 図表 13 近江八幡市公開事業診断の予算への反映状況 項 目 財政効果額(千円) 受益者負担の適正化による効果 696 事業見直しによる効果 11,510 補助金の見直しによる効果 1,905 公有財産の有効活用と処分や指定管理者制度の導入による効果 1,200 合 計 15,311 6)成果と課題 旧安土町では、かつて事業仕分けが実施されたことがあったものの、新市においては初 の取組みだったことから、政策担当課と財政担当課が協力して取り組んだ。事前に市民委 員や職員を対象にした研修会を実施したほか、全ての診断員(仕分人)による対象事業に 関連する施設の視察、職員による模擬事業診断等を実施し、診断を行う側も受ける側も出 来るだけ充実したものとなるように努めた。公募による市民委員の方々も、更に個別に担 当課や診断対象施設にヒアリングに出向く等、熱心に取り組んでいただいたことも、診断 をより深みのあるものにしていただいた大きな要因だといえる。 当初はアレルギー反応が見られた職員も、最終的に診断が終わってからは「大変だった が、やってよかった」との声も聞くことができ、職員の意識変革の機会にもなったと感じ 10% 40% 45% 5% 職員アンケート 毎年実施すべき 何年かに一度、定期的に実施すべき 必要なときに不定期に実施すればよい 今年度限りでよい 傍聴者アンケート 32% 32% 20% 7% 9% 毎年実施すべき 何年かに一度、定期的に実施すべき 必要なときに不定期に実施すればよい 今年度限りでよい
市民目線で「こうあってほしい」「こうあるべき」という議論がなされたことにより、市民 の関わり方や負担の考え方も含めた事業の本来あるべき姿が職員からも見え易くなり、今 後の取り組むべき道筋が明確になった。新市としてスタートを切ったばかりの時期に、こ うした道筋をつけられたことは、今後の事業のあり方を考える上でも大きな成果だったと いえる。 また、診断結果を基に、行政改革推進本部において今後の見直しの方向性を決定したが、 この作業にはかなりの時間と労力を要した。中には、診断結果とは異なる見直しの方向性と なったものもあったが、熟議の上での決定であり、この決定に至るまでのプロセスも非常 に有意義なものであった。 一方、課題としては、診断員(仕分人)からも指摘をいただいたが、診断シートの構成に もうひと工夫必要なほか、診断対象事業数や 1 つの事業にかける診断時間についても検討 の余地がある。次回の取組みにおいては、こうした改善点にも対応しながら、引き続き市 民と協働で取り組んでいきたい。 おわりに 平成22 年度は本研究会でもこれまでに最も多い 7 自治体の事業仕分けに取り組んだ。上 述したように、各市それぞれ独自のやり方も加えて、事業仕分け・地域事業組成活動を展 開した。その成果としては、事業の見直しのきっかけを与えることだけでなく、職員の意 識改革、市民や議員の関心の喚起があげられている。国の事業仕分けの実施が注目を集め、 どの市でも多くの傍聴者があった。 平成22 年度の事業仕分けには次のようないくつかの変化が見られた。 ①「事業仕分け」の認知度の向上 国の事業仕分けの実施により事業仕分けに対する関心が高まった。米原、近江八幡市な どは新規に始めた自治体であった。市民の関心も高く、どの市でも市民公募枠への積極的 な応募が見られた。 ②「事業仕分け」のアレルギー 国の事業仕分けが大々的に報道され、脚光を浴びる一方で、仕分け人が一方的に職員を 断罪するような取り上げられ方をしたり、新政権の予算削減のツールとして活用されたり したために、事業仕分けに対するアレルギーも高まった。 このため、事業仕分けを予算削減だけでなく、事業の最適化を促すために、「公開事業評 価」(近江八幡市)、「公開事業診断」(ふじみ野市)というように名称を変えて実施する自 治体も見られた。
③議論できる市民の存在 高い問題意識を持ちながら市政にはこれまであまり積極的に関わってこなかった市民が 仕分け人や判定人に参加するケースが相次いだ。住民として、また納税者としての眼で適 切に議論を行い、仕分け議論が深くなった。ふじみ野市では本研究会では初めて市民判定 人方式を採用したが、活発な議論、適切な判定ができたと感ずる。 ④行財政改革促進ツールとしての事業仕分けの戦術的活用 事業仕分けを行財政改革促進ツールとして戦略的に活用する自治体が多かった。これま で長い間公開での議論ができなかった事業、例えば、社会福祉協議会、支庁、老人クラブ、 公営住宅管理運営、市民ホールなど枢要な事業を取り上げた自治体が多く見られた。事業 仕分けを行う側としてもやりがいがあり、真剣に議論した。 本活動は、筆者が主宰している滋賀大学公共経営イブニングスクールの受講生を母体に、 事業仕分けに関心のある自治体職員などで構成されている「滋賀大学事業仕分け研究会」 が行っている。研究会は、構想日本と協力し合って事業仕分けの普及を図っている。構想 日本が実施する事業仕分けにコーディネーターや仕分け人として積極的に参加した。交流 を通じて仕分け人の質を高められたと思っている。なお、これまでの活動を振り返って、 平成23 年 6 月に本研究会と構想日本の共著で「自治体の事業仕分け:進め方・活かし方」 を学陽書房から出版した。今後の事業仕分けを検討したい自治体のテキストとなることを 願っている。 なお、本活動は、ボランティアベースで休日に実施しており、多くの方々の協力なしに は実現しない。協力していただいた方々にここに感謝の意を表する次第です。