著者
小椋 康宏
著者別名
Ogura Yasuhiro
雑誌名
経営論集
巻
24
ページ
95-135
発行年
1985-03-20
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00005795/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja日 本 的 経 営 財 務 論 の 課 題 と 本 質
小 椋 康 宏 95 1 問題 の所在1980 年代 もす でに 半ば を過 ぎ, 日増し にそ の企業 経 営の変 革 が求めら れつ つあ るとい わ なけ れば なら ない。 そ れは, 経営 の 国際 化(internationalizationofmanagement )の もとに, 経 営体 自体 が乗 り越え なけ れば ならない 一つの過 程であ る ように もみえ る。 経 営 の国際化は, 財務; 労 務, 生産, マ ーケティ ン グ, テ クノロジ ー, 情 報等 の面 で数多 くの 課題を生 じ させ ることにな った。 わが国 の経営 体のそ の面 でのい くつ か の特質 がど の よ うな影響を もってい る のかを 現 在的視 点にた ち 明ら かにす る こと が必要 であ ると思わ れる。 ところ で, 筆者は, 日本的 経営財 務を 考え る うえ で, どの ような方法を と った らいい の か一つ の試 みを 検討し てきた1)。 筆 者 がそ の中 で とって きた 考 え方は 次 の よ うな ものであ った。 つ まり, 日本的 経営 財 務論 に対 す る理解 と し て,「日本 の企業 体の中にあ る経 営財 務問題を 国際 的 一 般原理 とし て 展 開 し つつあ る経 営 財務原理 と比較 ・検討し な がらそ の中 にあ る問 題点を 明ら か にし, 次い で経 営主 体 の立 場 から, 経 営者 の実 践 活動 に そ の中身を 適用し , 応用で き うる原理を 開発す るこ とであ る2}」 ことに 求 めた の で あ る。 筆者 の 真 のねらい は, 日本的経 営財 務論 が国際的 経 営財 務論 とし て 通用し うる内容 を備え るこ とに あ る。 そ れは, 経 営財 務論 の国際的 統 一 理論 へ の展 開過程を 意味し てい る。 なお, 日本的 経営 財務 の問 題に 関し , 筆者は5 つ の 問題 点, 第1 に 財務部 と経理 部の組織 上の位 置づけ の問題, 第2 に 最適 資本 構成 の問 題, 第3 に 資 本 コスト論の問 題, 第4 に 配当政 策 の問 題, 第5 に 財 務戦略 の問題をあげ, その展 開を 考え てきた。 これら の問題は, 日本におけ る企業 体 の経営 財務原 理に かかお る ものであ り, 経営 め国 際化 の過 程 の中で と ぐに 注 目す べ きものである。 本稿では, このような情況に鑑み, とくに 日本的経営財務の面に焦点をあ わせ検討を加えることにする。 そし て, 日本的経営財務論の一層の方向づけ を図 るうえで, 最初に 日本的経営論の一環とし ての日本的経営財務論に関す る若干の考察を行い, 続いて日本的経営財務論の課題と本質について財務理 論お よびアン ケート調査の結果 もふまえながら検討を加え,最後にその展望 を 考えることにする3)。 n 日本的 経 営論の一 環とし て の 日本的 経 営財 務論1 日本的経営論の生成と本質 日本的経営 論 の課 題 が論議 され て以来, くLo年程 度の歳 月が 流れ てい る。 そ の中 で, 基本的 には, 日本 の経営 全般に わた るものも見 受け ら れ るが, 多 く の ものは 日本 企業にお け る労 務お よびそ れに 付随す る諸 問題 の研究 であ った とい っ て差し 支 えない。 そ こで, ここでは 日本的経営論 を 実践学 的経 営学 の 立 場4)からそ の問 題点を 整理し てお くこ とにし たい。 日本的経 営論 の生成を 考え る うえ で, まず山 城章教 授 の『 日本的 経営 論』 を 検討し てみ よ う。 山城 教授は, そ の著 『日本的 経営 論』 の序 文において , 次 の よ うに 述べら れてい る5)。 「…… ここに 『日本的経 営論 』を 公 刊す るこ とにし た。 ……カヽ力ヽる 日 本 経 営学は, まさに 日本人全 体 が総 力を 結集し ,『わ が国で, わ れわ れ が, われ われ の ものをつ くり 出す 』 こ とに よら ねば なら ぬ。 こ の緊 要にし て困難 な民 族的課 題に 対し, 本書は, 一つ の道を きりひ ら き,そ の 進み方につ い て提 案 を こ ころ みた もの であ る。 す なわち まず こ の研究 の出発 点を あ きら かにし , 前 進の方 向, 指 針を示し, し かし これに 到達 す るた めの 研究方 法・態 度・ 考 え方,つ まり進め方 ・進み 方を 方式 化し , 一 種○型 とで もい うべき ものを 考 えた のであ る。 こうし て, わ れわ れ が, われ わ れの手でっ くり 出そ うとす る もの が『 日本経営学 』 であ るが, そ の出発点を は っき りさせ るの が 『日本 の 経営』研 究であ る。 これは, わ が国 のい わゆ る経 営の現 状・伝 統を 総点検し た もの であ る。 この 日本 の経 営研 究を ふ まえ て, この現 状 と伝 統を マ ネジ メ ン ト的に 改質し , 整理し ながら, い かに 日本経 営 学に 到達 す るか とい う, 実
日本的経営財務論の課題と本質97 践 の プ ロ セ ス研 究 が 『 日 本 的 経 営 論 』 で あ る 。」
山 城 教 授は ,『 日本 経 営 学 』 を 指 向 す る 過 程 の 中 で こ の 日 本 的 経 営 論 を 展 開 さ れ た わ け であ る。 山 城 教 授は , 第1 に ,「KAE 」 の原 則(K はknowledge
=知識=原理であり,E はexperience =経験 =実際 であ り,A はability=能力=実践
であり,R を中心とした学問研究方法をい う。) を も とに し , 第2 に ,「 日 本 の経 営」 の 体 質 改 善 の長 期 計 画を 考 え , 第3 に , 具 体 的 に は 「ABCD の 原 則」を 提 起し た 。 そ こ で 続い て, 第2, 第3 の 点 を み て み よ う。 第3 の 「 日本 の経 営 」 の 体 質 改 善 の 長 期 計 画 で あ る が , 山 城 教 授 は ,「 日 本 の 経 営 」 の 特 質 であ る衆 議 的 経 営 ( 山城教授の長年に わた る日本の経営 システ ムの研究から, こめ「票議的経営」とい う用語が生 れた といえ る) と ア メ リ カ で 生 成 ・ 展 開 し た マ ネ ジ メン ト(management ) と を 比 較 ・ 検 討し , 図2-1 の よ う に , 日 本 の 経 営 を マ ネ ジ メン トに 近 づ け る 方 策 を 考え た わ け で あ る。 つ ま り, 票 議的 経 営 を マ ネ ジ メン ト と対 比 い 前 者を 後 者 の 方 向 に 改 善 す る よ うに, 長 期 計 画 とし て, 第1 期 計 画, 第2 期 計 画, 第3 期 計 画 とい う形 で 進 め る こ とを 提 言し た の で あ る。 図2-1 は 経 営 改 善 の 長 期 計 画 を 示 し た も の であ り, マ ネジ メン トは 原 理 (principles) とし て と りあ げ ら れ て お り, 日 本 の経 営 は 実 際 [practice,experience) とし て と りあ げ ら れ て い る。 こ れ はKAE の 原 則 に 則 づて 日本 的 経 営 を 考え ら れ て い る の で あ る 。 な お 図2-1 ㈱ は マ ネジ メン ト:を 一 般 原 理 (generalprinciples ) とし て 考 え る (ビジ ネスのみならずビジネス 以外の集団に も通用する原理) と ころ か ら , 示し た も の で あ り, 図2-1 (b)は, マ ネジ メン トの 原 理 は 歴 史 的 に 発 展し , 展 開 す る とい う 意 味 で 斜 線 部 分 を 引 体 質 改 善 マ ネ ジ メ ン ト
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/ 第 一 期 日 本 の 経 営 長 期 計 画 マ ネ ジ メ ン ト言
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日 本 の 経 営 体 質 改 善 の 長 期 計 画 (a ) (b ) 図2-1 日 本 的 経 営 出 所 : 山 城 章 『 日 本 的 経 営 論 』 丸 善 , 昭 和51 年,82 頁 。き伸ばし 説明し たものであ る。 ト 次に,ABCD 原則についてであるが,\山城教授は, 前述の体質改善の考 え方を ふまえ て次のよ うに説明するり。 \ 「マネジ メン トと目本の固有土着性とを対比した場合,われわれは 世 界的 なマネジメントの理解に同調しながら, マネジメントを 導入し, これを中軸 とし て体質改善をは かることを 原則としてい る。……マ ネジ メントと日本の 経営の両者間には, これを分析し て考え,具体的に検討してみると,い ぐつ かの考え方の異なるグループにおけ ることができる。」そこ で, ま ずA ダノレ こ プとB グループの区別をする。 山城教授のづABCD 原則を要約すると, 次 のようになる7)。 丿 し 万。A グループは。 マネジメントにそのまま適応(adapt)し てわが国の伝 統を 変えていく部分(adapt のA )であ り,ニこのA ブ ルーフは,ほ とんどマネジメ ントのままが日本に導 入され る部分つまり伝統と土着が払拭される側面であ って,現実にマネジ メントがわが国に生きているとみら れるものである。B グループは, マネジ メン トの導入の努力を長年こころみながら, なお, はたし てこれがわが国に定着し うるかどうか,いまだ結論づけえない懸案中 のものであ る。 十c グループは,B グループ の不明の部分と解するよりも,経営実践では明 ら かに手のつ かない, またマネジ メント化しえない点であ り,積極的に土着 性のままで残 るコン スタントなわが国固有部分と解するものであ る。 \ \Dグループは,c グループを「掘り下げ」充実させて, 日本のものとし て 開発(development)し たものである。D グループの活動 分野において,新し い 現代経営の展開とし て,「日本的経営」が明らかにな る。 2 日本的経営財務論の意義と課題 日本的 経営 論 の生成 とそ の本 質が 明ら かに な るにっ れ て, モ の各論 と もい うべ き日本的 経営 財 務論を 提 起し, 展開 する必要 が生れ てい る。 と くに 日本 的 経 営論は, 国 際的 経営論 と表 裏一 体 の関係にあ り, 経 営 の国際 化 の進展 と と もに認 識 されつ つあ る。 こ こ数年 間におい て急 速に 高 まっ てきた 財務面 で の国際化は, 今 後 の数年 間にお い て, 財務革 命(revolution.offinance)とも い かれ る状 況を つ くりだす ことにな る と考え る。 これは。 財 務 のテ ク ノロジ
日本的経営財務論の課題と本質99 一(technologyoffinance )の開発 と実践に よって飛 躍 的に 展 開す るこ とが予 想され る。 ダさて, こ の よ うな状況 が生 れつ つあ る中で, 日本的 経 営財 務論 は どのよ う な意義を もっ こ とにな るであろ うか。 ニ 第1 に , 日本的 経営 財 務論の 独 自性 の問題 であ る。1960 年 代以 降1970 年 代 前半 までわ が国 の企業 体の成長 が, 多 くの業 態の中で 飛 躍的 に みら れ,いわ ゆる経 済 の高 度成長を み るにいた った。 こ の中 で, 企 業 体 自体 の財務行動 が 何であ った のか経営学 的立 場から の分 析は 十分 ではな い。 た とえば, ア メ ず ヵと比 べ て異常 に 高い とも思わ れ る負債比率(自己資本比率の低さ) に よっ て 企業 体が 成長し た 原理 は 何であ った のか。 あ るい は, 経 理部 中心 の財務組織 が意味 す るも のは 何であ るのか6 他方,わ が国 独自の い わゆ る安定 配当政 策 が意味 す る ものは 何であ るのか。 これらい ずれ もわ が 国 企業 体におけ る財 務 に関す る間題 とし て解 明し なけ れば なら ない ものであ る。 ト 日本 的経 営論(日本経営学成立の過程として)は, 山城 教 授に よしって卓越し た 見解 が打 ぢ出さ れて きた点は すでに み てきた ところ で あ る。 そし て,そ の 日 本的 経営 論 の一環 とし て の 日本的 経営財 務論 の意義は , そ の経営 学的研究に おい てはじ めて 意味を もつ ことにな ろ う。筆 者は, 日本的 経営 財 務論の第¬ 義的 に重 要な 点は, この実践 学的経 営学研究に あ ると 主 張し た い。…… …… 白第2 に, 資 本市 場・金 融市 場等 の国際化に 伴 う環境 変 化(環境主体の変質) の問題 であ る。 経営 の国 際化は, 財 務面と くに 資金調 達 面 で の国際 化を もた らし てきた。 と くに 国外 で の資金調達 額 の増大, とくに 転 換社 債等 の調達手 段 の普及 は,わ が国 の企業 体に 新し い 変化を もたらす と 同時 に, 経 営者の意 識構造 の変 化を 余 儀な くさせてい る。 このこ とは,し 日本 的 経営財 務論 とし て, こうい った 環境 変化 の中 で, 明確な内 容の位置づげを し なけ れば なら ない こ とを 意 味し てい る。 第3 に は, 経営 職 能論 の中で要 素 とし て考え ら れて きた 「人士「もの」「か ね」 の 資 源利 用 の問題 であ る。 財 務活動 の中心点 とし て, こ の 「人」「もの」 「かね」 の調達に つい ては, いわ ゆ る「資源配分(resourcesallocation)」 の問 題とし て経営 学的 に とりあげ なけ れば ならない。80 年 余り 財 務論 の歴史 の中 で,資 本 調達 論 の問題 が強 く提 起されて きた 初期 の3O ∼40 年 間, また,資 本 調 達論 に対 す るこ め十数年 来 の再度 の強調は, 日本的 経 営 財務論に 新し い 課
題を 提 起し てい る と思われ る ○ 第4 に は, 今 後 のわ が国企業 体 の成 長に とっ て必 要 な 財 務 戦 略(financialstrategy )り 問 題であ る。 財務戦略 は経 営 戦略(corporatestrategy)の一部を構 成 す るものであ り, 製 品戦略(productstrategy),マ ー ケテ ィン グ戦 略(marke-tingstrategy )等 となら んで もっ と も重 要 なも のの一つ と なってい る。 財 務戦 略 が と くに重 視され るのは,1970 年代 半ば から の オ イ ル ・シ ョ ッ ク(石油危 機)の影響に 帰因す る。 また, 通貨 体 制 の変 動は, 企業 体の国際 財務 の面で, た とえば, 為替 リス ク等の問 題を 生じ させ るこ とに な づた とい って よい。そ し て, 従来 の企業 体内 部の管理 面だけ では な く, ダi=・一 バルな視点 からの財 務戦略り 優劣 が, 企業 体の存 続 ・発展に 不 可欠に な って きてい ると考えられ る。 この ことぱ, 日本的経営 財 務論 の一 般 化 が早 急に求 めら れ るこ とに なっ てい ると考えたい。 第5 に は, 資本 コス ト(thecostofcapital)の概念 が, 日本的経 営財 務論の! 中で位 置づけ る必 要があ るとい う問 題であ る。 財 務の国 際化は, 好む と好 ま ざる とに か かわらず , 財 務に 関す る 国際 的基 準 の実 施を 要 求されつつあ る と い わなけ れば なら ない。 従 来におけ るわ が国 の財 務行動 基 準が, い わゆる財 務の国 際化 の中で, 一 般原 理 とし て成 立し うる ことが必 要 となろ う。 そ うい った 意味で, 日本 的経 営財 務論 の正し い 位置づけ をし て おかなけ れば ならな い。 つ まり筆者は, 当 面 の課 題 とし て この資 本 コス ト論 の日本的経 営財務論 上 の位 置づけ が, もっと も重 要 な課 題 とな ると 考える のであ る。 Ⅲ 日 本 的 経 営 財 務 論 と 国 際 的 経 営 財 務 論1 経 営 の 国 際 化 と 多 国 籍 企 業 企 業 体 制 の 発 展 は , そ の 発 展 自 体 の 過 程 の 中 に 必 然 的 に 経 営 の 国 際 化 を も た ら し て き た と い え る 。 そ し て , そ の 企 業 体 制 は 具 体 的 に は 多 国 籍 企 業(mu-Itinationalenterprise ) あ る い は 国 際 企 業 (internationalenterprise ) と し て 展 開 を み る に い た っ た 。 こ の 過 程 は , 実 践 経 営 学 的 に は い わ ゆ る 経 営 体 化 の 発 展 過 程 で あ る と い う て よ い 。 ・I ・ 他 方 , 国 際 環 境 の 変 化 は , い わ ゆ る 日 本 の 企 業 体 そ れ ぞ れ に と っ て 乱 経 営 の 国 際 化 を も た ら す こ と に な り , 「 国 際 経 営 」(internationalmanagement ) と し てJ, ∧経 営 の 実 践 活 動 の 面 で 大 き な 変 容 を も た ら す こ と に な っ た 。 と く に 。
日本的経営財務論の課題と本質101 本稿にか かお る財 務問 題で もそ の国 際化 が重 要な 問題 とな って きてい る。 国 際経 営は, い わゆ るマネジ メク ト・ アプロ ーチの 方法 論 と も関 連を もち, い わゆ る国際的 に通用し うる学問 とし ての経 営学 の 要請 を生 み出し てきたとい って も過 言 ではない。つ まり, マ ネジ メン トの一般原 理あ るい は一 般経営論 の研究 が重 要 とな ってい るのであ る。 それは, 実 践経 営 学 の必要 性を 呼び 起 こし , また, 新 経営 者(国際的経営者)とい ってい い ほ どの具体的 な経営者像 を描 く必要 性を も提起し てきた と思われ る。し 山城教 授ぱ, 現 代経 営体 とし て の経 営社会を 資本所 有を 超 え, 国籍や ナシ ョナ リズ ムを 超 えた もの とし て考え, い わ ゆる多 国籍 企業 や 国際的 企業 と区 別し て, 世 界経 営社会を 提唱せら れた8)。 その 帰 結とし て, 山城教 授は企業 体制論的(経営体制論的)発展 形態 とし て, 次 のよ うな 六つ の型を 経営体化の 発展段階 とし て とらえられ る のであ る9)。 ① 国 際企業InternationalEnterprise ② 国 際経 営InternationalManagement ③ 多 国籍 企業MultinationalEnterprise ④ 多 国籍経 営MultinationalCorporation ⑤ 超 国籍経 営Traiis (supra)-nationalCorporation ⑥ 世 界経営 体 て世界経営社会システム)CosmoCorporation ここで の発 展過程は,「世界に わた る」 とい う意味 か ら グロー バル な 形 で 考えら れ るも のであ り, そ こにお け るマ ネジ メン ト原 理 は理 念 とし て, また 日本的 経営 論 とし て 考えて みる必 要があろ う。 経 営 の 国際 化に よ って生 まれ てきた経 営学 は, 単にも またでい われ るよ うな 「国際 経 営論」(たとえばテク ノp ジーとか技術偏重め思考方法に基づく見解)では な く, グl=2− バ ル 化し たマ ネジ メソ ト論 の基本的 概 念を 明ら かにす る研究 の必 要 性を 求め てい るのであ る。し た が って, そ うい った意 味で の経 営 の国際 化論 がベ ースにな る必要が あ ると 考え ら れ る。 さて, 経 営 の国際化は, 具体的 には 財務に 関 する側 面で, 企業 体に対し 大 きな変 革を もたらし つ つあ るとい え る。 具体的 には, 一 つは 資金 調達 面に付 随 する種 々の問 題 での国際 化であ り, も う一 つは 投 資 決定 面に 付随す る種々 の問題 で の国際 化 であ る。 これらは, 経営 財 務の領 域 の 中や新し い展 開を な し てきてい る のであ り, い くつ かの問題点 が 明ら かに さ れっっ あ る。
以 上 の よう にし て, 経営 の 国際 化に おけ る財務領域 の拡 大は, 資 金 調達の 面 で, 資本市場 の国際 化を もたらし たこ とであ る。 こ れは, わ が国 企業 力;国 内中心 の資本市場 から 資金 調達し てい た 現状から海 外力 資 本市場へ の依存をコ 高めな がら 国際 化し て きた こ とを 意 味す る。 資 本市 場 の国際 化は,海 外 から 資 金調達す る会社に とっでは, 為替 リス クの問 題が重要 とな る。 二 他方, 投 資決定 の面 で も, 国 内投資 のみ なら ず海 外投 資を ど う行 うか, ぞ の投 資決定 基準を ど う考え るか大 きな 問題 であ る。 と くに, 投資 決定 の問題 に 関 係する イン フレ ーシa ン(inflation)の問題は, 資 本 コスト論レ 為 替 リス ク論 ども絡 み重 要な課 題 とな っ てきてい る。 また, カヅ ドリ一 ・ リス ク等 の 問題 もこの投資 決定の 面 で考 慮し なけ れば なら ない点 であ る。 加え て, 各国 の租税 体系 との関係, 送 金に関 す る制限条 項 な ども考慮し なけ ればな らないふ 2 国際的経営財務論の課題 ダ 尚十 〉 国 際的経営 財務論(internationalmanagerialfinance)は , ここ10 数年 間に, 急激 な発展を み るにい た った。 と くに イン ター ナ シ ョ ナ ル・ フ ァ イ ナy ス (国際財務) の発展はJ 経 済学的, 政 治学 的立場 から の研 究を中 心とし て,トか な りの部分は ア メリカにお い て√ そ の他 の部分は, フラソ ス等を 中心 とす る ヨ ―ロッパにおい て展 開を みてい る。 また, わが国にお い て も, 近年 国際財 務に 関する関 心が高 ま り, もっ と も重 要な課題 であ ると 考え ら れてい た わ り に は, 理論 的に 不十 分であ り, 研 究 が遅 れ てい た この領域に多 ぐの議 論 がだ され ることにな った。 十 ト ; ’国 際財 務の問題は, むし ろ 国 際的 経営 財務論 とし て経 営学的 に と りあげ る 必要 があ る。 経 営学的 に と りあげ るという こ とは, 前項 でみた 企業 体制(経 営体制)の発 展を 経営 体 化し てい く発 展的過 程 とし て とらえ, そ こ に 主体 者 とし て の経営体 ・経営 者 の立場 から 研 究を 行 うこノとに あ る10)。 さて, 国際的経 営財 務論 はな ぜ生 成す る ことに な った のであろ うか。 わ れj われは, 国際 的 経営 財 務論を なぜ 必 要とす る のか。 国際 的経 営財 務論 の課 題 は どこに 求めら れ るべ きであ ろう か。 これら の質問 に対し , 次 の ように 答え てみ よう。ニ \トj 国際的経 営財 務論 は, 日本的 経営 財務 論 と表 裏一体 の 関係にあ ることを 銘 記し なけ れば なち ない。し た が9 て, 国際的 経営財 務論 の台 頭に よ づて,いj
日 本 的 経 営 財 務 論 の 課 題 と 本 質103 わ ゆ る 日 本 的 経 営 財 務 論 を 主 張 す る 意 味 が は っ き り し て く る と い わ な げ れ ば な ら な い 。 筆 者 は , 基 本 的 に は , 経 営 財 務 論 の 大 枠 の 中 で 国 際 的 経 営 財 務 論 を 定 義 す る こ と が 必 要 で あ る と 考 え た い 。 国 際 的 経 営 財 務 論 の 生 成 は , 経 営 の 国 際 化 に あ り , 多 国 籍 企 業 や 国 際 企 業 の 出 現 に よ る マ ネ ジ メ ン ト 主 体 の 国 際 化 に あ る と い え る 。 し た が っ て , な お 一 層 の 多 ノ国 籍 企 業 や 国 際 企 業 の 国 際 化 に は , 当 然 , 国 際 的 経 営 財 務 論 が 必 要 と さ れ て く る と い っ て よ い 。 ニ \ 国 際 的 経 営 財 務 論 の 課 題 は , 資 金 調 達 論 , 投 資 決 定 論 , 資 本 コ ス ト 論 等 の 中 に 見 出 す こ と が で き る 。 そ の う ち , 国 際 財 務 に 関 す る 諸 問 題 を 明 ら か に す る う え で , そ の 環 境 主 体 と し て 二 つ の 大 き な 領 域 を 扱 う 必 要 が あ る 。 エ イ ト マ ン と ス ト ー ソ ヒ ル (Eiteman,D.K.& Å.1.Stonehill ) も 「 多 国 籍 企 業 財 務 論 」 の 中 で 二 つ の 国 際 環 境 論 を ま ず 扱 っ て い る11 )。 一 う は , 国 際= 金 融 制 度 (internationalmonetarysystem ) で あ り , も う 一 つ は 外 国 為 替 市 場 (foreignexchangemarket ) り 問 題 で あ る ○ .I ’・ : 。 ま た , 外 国 為 替 リ ス ク は , 現 在 , 多 国 籍 企 業 の 財 務 管 理 者, ノ 国 際 的 銀 行 家 や 国 際 的 ポ ー ト フ ォ リ オ を 心 つ 投 資 家 に と っ て 最 大 の 関 心 事 で あ る こ と は い う ま で も な い 。 し た が っ て , 経 営 の 国 際 化 が 進 展 し て い る 以 上 , わ れ わ れ が こ れ ら の 国 際 的 経 営 財 務 問 題 に 理 論 的 に 取 り 組 む 必 要 が あ る と 考 え ら れ る 。 内 容 面 で は , 国 際 財 務 が 最 近 の 研 究 成 果 で あ る 資 本 市 場 理 論 的 性 格 を 強 め る , こ と に な る で あ ろ う12 )。 し か し な が ら , 筆 者 と し て は , そ の よ う な 資 本 市 場 理 論 の 展 開 を 評 価 し な が ら も , む し ろ 経 営 の 国 際 化 に お け る い わ ゆ る 「 国 際 的 経 営 者 」 の 生 成 と そ の 国 際 的 経 営 者 の 主 体 的 役 割 に お い て は じ め て , 国 際 的 経 営 財 務 論 の 意 義 が 生 ま れ て き て い る も の で あ る と 考 え て お き た い 。 Ⅳ 日本的 経 営財務論 の課題と本 質 ∧1 日本企業における経営財務組織 わが 国企業 体におけ る経 営財務 組織 の中で, 財 務部 と経 理部は二つ め部門 組 織とし 七一 般に みら れ る ものであ る。 そ の他に 資金 部とい う組 織を みるこ とができ る。 筆者は, 財 務部と経 理部 の組 織に 関し , 前者を トレ ジ キラーに, 後者を コン トロ ーラーに対 応させて 考え てい こ うとす る見 解を もち ,そ の関 係は図3-1 に 表 わす こと ができ る。 そこ でこ こ では, 筆者 が調査し た アン ケ
図3-1 経営財務組織の単純モデル ート結果13)から, 財務 部 の担当 者, 経 理部 の担当 者お よ び 資 金 部 の 担 当 者 (アンケート調査結果ではその他のもの) がそれぞ れ の財務職 能お よび対 境 関 係 者につい て どうい う考えを もってい るのか 明ら かにし て みたい。 加え て, ア ン ケー ト調査 結果 を 得た 規模 別(小企業は資本金10億円未満,中企業は10億 円以 上30億円未満,大企業はOU億円以上)に は, その財 務職能お よび対境 関係 者に関 し , ど うな ってい るのかを 明らかにし ておきたい。 次に , モの調査 結果 を示 す こ とに す る。 (1 ) 財務部と経理部の実態 ① その組織での職務内容は何ですか。 1 財 り り う5 り う り ンabcdefgh i ) 務 信用供与 と支払方針係 資 算 係 等 関 投 金I の 予 関 弓 金 基 取 資 本 主 行 剰 金 銀 余 資 株 年 財 務 諸 表 の 作 成 事 務 の 集 中 化 原価計算お よび管理 a ) 該当254268251 60292n 乙COCJ00<N1 ■<*1 シ シ9527314111207585Q りb ナ ー2212 ? “ 回 答社数273 3333333nj7777 ︲77772222222N
2 3 り り り りjklm 経 a ) り り ﹁ ノ り う り う う り り り う う う う う う う ン ン ン り り ン りbcdefghl ・Jklm そabcdefghl ・Jklm 内 部 監 記 録 お よ び 報分 の 務 理 財 そ 査 告 析 他 信用供与と支払方 針lUr 金 基 表 取 資 本 主 諸 行 剰 金 務 銀 余 資 株 年 財 関 投I の 予 関 弓 金 金 の 作 事 務 の 集 中 係 資 算 係 等 成 化 原価計算お よび管理 内 部 監 記 録 お よ び 報 他 財 そ の 務 分 の 査 告 析 他 信用供与と支払方 針 内 部 監 記 録 お よ び 報 財 務 分 そ の 査 告 析 他 20 119 179 56 該当254281237 3370524 0T(MLOCOCOCXD l ←9 ・3. ︱I 176 216 43 当9653386236533 前 日本的 経営財 務 論の課題 と本質 253 154 94 7'N00T ︱<LOcri95270 只 ︶124975312 q ‘2 ナ22211 106 66 239 -。>! > 。Oi-HCOCO ナ ー49 80438788 90 133558 o o C O C O 7 7 7 9 a ( M C v 3 273 回答社数282282282282282282282282282282 CCI(NlO3(N!W22229 ″88888888889 心22222222 りQ 回答社数9696969696969696969696 tot £)99 105 ここ七は, 財務固 有 の仕事であ ると 考え ら れ るa) からb ) まで の仕事は, 財務お よび 経理 ともほ とん ど同じ 程 度 の高い 比 率を も ってお り, そ の仕事が 遂行され てい ること がわか る。 他方, コン トp 一 ラー固 有 の仕事(ここでは経理の仕事レ であ ると 考え られ るg ) から1 ) までの 仕事に つい ては, 財 務と経 理 では 大き な違 い がみられ
る。 財 務に 関し ては, 財務 分析(65.6% )のみ が遂行さ れ てお り,六経 理 では, 財務分 析(76.6% )に 加え て, 財務 諸表 の作成(88.7% )√ 原 価 計 算お よび管 理(57.4% ), 記 録お よび報告(62.4% ) とな ってお り, 予 想 通 り, 経 理本来 の仕事 も遂 行され てい る こと がわか る。 十 ② 上記の職務を遂行する上での対境関係者は何ですか。犬 ∧ 1 2 3 行 社 社 主 士 他 行 社 社 主 士 他 行 社 社 主 士 他 会 会 計 会 会 計 会 会 計 会 の 会 の 会 の 務 険 券 忍 理 険 券 忍 険 券 忍 言 昧 − 公 印 他 登p 銀 保 証 株 公 そ 銀 保 証 株 公 そ の 銀 保 証 株 公 そxI ノjjjjjjj うjjj う う う う う う 財abcdef ‘ 経abc ’def モabcde £ ︱ a ) 該当2571752414412748 該当267128 7156 当4201271534 匹9682422 訪 j シ ″08296 ・5 シ545176 シ24654 q ‘b ナ ー93221422 ナ ー15623423 ナ31 ︲758 回答社数 e n C O e n e n C O e n M f 7 7 7 7 7 N [ M N N < N I C < ] 回答社数282282282 ( N l ( M ( M o o o o o o C < 1 ( M C < J 回 答 社 数 66666 ″り99999n □ こ こ で は , 財 務 と 経 理 が そ れ ぞ れ 関 係 す る 対 境 関 係 者 の う ち , 銀 行 , 保 険 会 社 , 証 券 会 社 は 同 じ よ う に 主 要 な も の と な っ て い る . し か し な が ら, 万公 認 会 計 士 に つ い て は , 経 理 が83.3% を 回 答 し て お り , こ こ に 著 し い 特 徴 を も つ こ と が 理 解 で き る . = し ・・・・. ・ ・.・. ・(2 ) 規 模 別 ( 資 本 金 区 分 ) に よ/る 実 態 ・ .・ ・・.. .・ 十 ノ ① そ の 組 織 で の 職 務 内 容 は 何 で す か . / 犬1 小 企 白業 (164 社 )a)b) ニa ) 信 用 供 与 と 支 払 方 針1481611
107 53 152 シ03845341596 ナ2282189370221111 Ill し12 該 当205222197141012141 係 資 算 係 等 成 化 理 査 告 析 他 関 投 作 中 I の 予 関 . の 金 取 資 本 主 行 剰 基 表 金 諸 の 集 務 務 銀 余 資 株 年 財 事 b ) 原 価 計 算 お よ び 管 報 監 び 分 よ の 部 お 務 録 内 記 財 そ 40CD COOi ■< * 11 シ82862Q りI ナ22 119 164 34 該当244260254 rn ﹀ .0Qu7(M ︱ 針 係 資 算 係 等 成 化 理 査 告 析 他 企 業(225社) 信 用 供 与 と 支 払 丿関方 投 資 本 主 行 剰 金 金 作 中 諸 表 ・ の 集 務 務 銀 余 資 株 年 財 事 jjj う う う う り う シ シ う りI りcdefghl ・Jklm 中abcd 2 原ノ価 計 算 お よ び 管 報 監 ︲ び1 分 ︲ よ の 部 ・ お 務 録 内 記 財 そ 161 232 216 241 131 101 OCD 34 21 131 針 係 資 算 係 等 成 化 理 査 告 企\業(262社) 入 信用 供 与 と 支 払 方関 投 作 中I の 予 関 金 の・ 弓 金 基 表 集 取 資 本 主 諸 の 行 剰 金 務 務 銀 余 資 株 年 財 事 原 価 計 算 お よづび 管 報 監 び よ 部 お 録 内 記 り り シ シ り う う う う うjjjjjjjjjjefghl ‘Jklm 大abcdefghl ・Jk99
1) 財 務 分 析16399m ) モ の 他66196 ここ では, 財 務固有 の 仕事であ る と考え るa ) からd ) まで(トレジャラー つまり財務部)の 仕事につ い ては, 小企業, 中企業, 大 企業 ともほ とん ど同じ 程 度 の高い 比率を もってお り, そ の仕 事が 遂行され てい るの がわか る。 他方, コン トp ーラ 一固有 の仕事 に こでは経理の仕事) であ ると考えら れ るg ) からI ) まで の仕 事に つい ては, 小企業, 中企業 , 大 企業 ではい くぶ ん異 な ってい る。 つ まり小企業 では,g ) 財務諸表 の 作成75 %,1 ) 財務分 析67・ノ7%,k ) 記録お よび報告54.9%,i )原 価計 算お よび管 理49.4% が多 く, 相対的 に経 理 の仕 事 も多 い こ とがわ かる。 中企業 に つい ては,1 ) 財務 分 析72.9%,g ) 財務諸 表 の作成62.7%,k ) 記 録お よ び報 告52.9%,i ) 原価 計 算お よび 管理40.0% とな ってお り, ほ とん ど小企 業 と同じ よ うに 経理 の 仕事 が行わ れてい るこ とがわ か る。 大企業に つい ては ,1) 財務 分析62.2% ,k ) 記 録お よび 報 告50% とな ってお り, 小企業 や中 企業 に 比べ て少な く な ってい る。 これは, 企業規 模 が大 き くな るこ とに よっ て, 財務部 と経理 部 の仕事 が 分化し てい るこ とが推測 され る。 ② 上記の職務を遂行する上での対境関係者は何ですか。 1 d 企 業(164社) 銀 保 証 株 公 そ 企 銀 保 証 株 公 そ 企 銀 保 う り り り り う う り り り り り り りabcderl 中abcdefl 大ab 険 券 認 会 の 業 (225 社 ) 険 券 認 会 の 業 (262 社 ) 会 会 計 会 会 計 険 会 行 社 社 主 士 他 行 社 社 主 士 他 行 社 該 当152671152912125 該 当207Ill1773815630 該 当259187 b ) ナ シ c < i t s . 1 G り 49 135 43 139 ナ シ181144818769195 ナ シ375
証
株
公
そ0000
券 会 計 会 の 認 社 主 士 他 日本 的経営 財 務論 の課題 と本 質109 246 49 127 46 16 213 135 216 この項 目は 対境関 係 者を 尋 ねてい る が, まず0 銀 行に つ い ては, 大 企業, 中企業, 小企業 もほ と ん ど変 化な く もっとも強 く関 係し てい る こと がわかる。b ) 保険会社お よびc ) 証券 会社につ い ては, 小企業 から 中 企業, 大 企業 へ 移るこ とに よって, より高い 比 率を 示し てい るこ とが わか る。 つ まり, 保険 会社,証 券会社は, 目下 のと ころ大 企業 の方に重 点的 関 係を もってい るこ と がわ かる。 他方,e ) 公認 会 計士につい ては, 小企業 から 中 企業, 大企業 へ 移動す るこ とに よって よ り低い 比率に なってい る こと は注 目で き る。 財務部 と経理部 の分化し てい ない 小企業に とって, おそら く経理 部 と関 係を もつ公 認会計士は, 対境 関 係者 とし て重 要な ものの一つ とな るのであろ う。 2 日本企業における資本構成 (1 ) 財務体質の意味と自己資本比率 企業 体の評価を みる うえ で, 財務 体質 とい う言葉 が 使われ る。 また 財務体 質は, それ 自体がい い か悪い か とい う表 現に よって会 社 自体 の強弱に も使わ れる。 財務 体質は, 経 営体 の分析 ・評 価の中 で, もっ とも基 本的 な 内容を 表 わし てい るが, もっ と も概 念規 定 がむ ずかし い もので あ る。 そ こで, この財 務体質を定 義づけ る うえ で, 筆者 とし ては, 基本的に は 経 営評価 の中 で考え てみ ることにし た い。 企業 体の評 価(経営評価)は, 会 社の状態 がど うな ってい るか, いい かえれ ば会社 の体質 がど うな ってい るの かを 明ら かにす るも のであ る。 この場合, 時間的に は, 将来, 現在, 過去 の 流れ の中 で問題 分析 す るこ とに な る。 企業 体の評 価は, ファ イナン ス理論 の世界 の中では, 株価 極大 化(maximizationofstockprices )を 上 位 目標 とす る体系を 意味し7てい る14)。 これ は, 経営者 の 第一 義的 目標 は株主 の富を極 大 化す ることであ るとい う仮説 と関 連し てい る。 この定 義は, ア メリカに おけ る企業 体ではそ の まま受 け 入れ られ てい るもの であ る。 筆者 とし ては, 経 営評 価 の体 系を 考え るうえ で, この 株価 極大 化を 前提にし てお きたい。 経営評 価は, そ の一一面 とし て財務評 価 が基準 とな る。 この場 合, 財務評価表3-1 わが国企業体の自己資 本比率の推 移(m. 近6 年 間) ∼ス 昭和 年度 52(1977)53(1978)54(1979)55(1980)56(1981)57(1982) 全 産 栗 製 造 業 非 製 造 業 16.49 19.25 13.15 17.29 20.43 13.66 16.74 20.56 12.47 17.86 21.81 13.39 18.42 22.71 13.39 19.06 24.12 13.40 資 料: 日本 銀行 「 経済統 計月報 」 よ 。り作成。 ト は 具 体 的 に は 財 務 分 析 の 体 系 と い う こ と に な ろ う 。 財 務 分 析 の 体 系 は , 比 率 分 析 か ら 体 系 分 析 へ と 統 合 的 分 析 を 必 要 と す る 。 ア メ リ カ 財 務 論 で はド 株 式 評 価 モ デ ル を 中 心 と し た 分 析 が 多 く み ら れ る 。 こ こ で は 財 務 比 率 分 析 の レ ベ ル に お ろ し て 財 務 体 質 と の 関 連 で 自 己 資 本 比 率 の 問 題 に ふ れ て み よ う 。 財 務 体 質 が 経 営 評 価 全 体 に 関 連 す る も の で あ る と す れ ば , す べ て の 比 率 分 析 が 財 務 体 質 の 分 析 に も 影 響 す る も の で あ る と 考 え る こ と が で き る 。 し か し な が ら , い く つ か の 指 標 の 中 で , 財 務 体 質 を 表 わ す と 考 え ら れ る 比 率 と し て , レ バ レ ジ 比 率 (leverageratios ) を あ げ , そ の 中 で 自 己 資 本 比 率 を と り あ げ る こ と に し た い 。 自 己 資 本 比 率 は 負 債 比 率 (debtratios ) と な ら び , 企 業 体 の 資 本 構 成 の 内 容 を 示 す も の と し て も っ と も 重 要 な 比 率 で あ る と 考 え る 。 も う 一 つ は , 自 己 資 本 比 率 の 上 昇 が 財 務 体 質 の 強 化 に つ な が る と い う 通 説 ( フ ァ イ ナ ン ス理 論 の 世 界 で は ほ と ん ど 意 味 ぱ な い が , 日 本 的 経 営 財 務 論 とし て は 何 ら か の 意 味 を も つ と 考 え ら れ る) が あ る こ と に よ る 。 ダ さ て , 自 己 資 本 比 率 が , 財 務 体 質 を 測 定 す る 一 指 標 と し て の 意 味 を 有 す る と 考 え る な ら ば , モ の 自 己 資 本 比 率 が 一 体 ど う な っ て い る の か を 知 る こ と は 重 要 で あ る 。 わ が 国 企 業 体 の 最 近6 年 間 の 自 己 資 本 比 率 の 推 移 は , 表3-1 の よ う に な っ て い る 。 ま た , そ れ を グ ラ フ に 表 わ せ ば , 図3-2 の よ う に な る 。 表3-1 お よ び 図3-2 に お い て は , 全 産 業 , 製 造 業 , 非 製 造 業 別 に 表 わ さ れ て い る 。 こ こ に お け る 日 本 銀 行 調 査 で は , 対 象 時 期 に つ い て は , 当 年 度 中 に 決 算 を 行 っ た 企 業 の 当 該 会 計 年 度 を 表 わ し , 調 査 対 象 に つ い て は , 原 則 と し て 金 融 ・ 保 険 業 を 除 く 資 本 金lO 億 円 以 上 の 上 場 会 社 と な っててい る 。 ま た , 自 己 資 本 比 率 の 算 定 式 は , 次 の と お り で あ る ○ す な わ ち タ 。 自 己 資 本 比 率 =( 資 本 十 旧 特 定 引 当 金 )÷( 資 本 十 負 債 )×100
! −i ︲ 自 己 資 本 比 率 (% ) し 6420864 2222111 ふ 12 10 ./ か ー ・→ ´ 日本的 経営財 務論 の課題 と本 質Ill 製 造 業 / ゛●/ ゛ / ●゛r゛”4 全 産 業 \ 非 製 造 業 ●―‘ ’ ̄ ̄・^^ `●^″゛み ’ ― 如 ’ ”-R j \52531545556:57j. ( 年 度 )1 ユ : 図3-2 わ が 国 企 業 体 の 自 己 資 本 比 率 の 推 移( 最 近6 年 間 ) 資 料:, 日 本 銀 行 「 経 済 統 計 月 報 」 よ り 作 成 。l と た っ て い 右 。 こ の 資 料 に よ れ ば , 昨 年 度 の 時 点 に お い て は , 全 産 業 平 均 で ↓ わ が 国 企 業 体 の 自 己 資 本 比 率 は20% に も 満 た な い 現 状 が 理 解 で き る 。 アj リ 力 の 多 ぐ の 企 業 体 が 自 己 資 本 比 率50% 以 上 で あ る こ と を 考 え れ ば , わ が 国 企1 業 体 の 現 状 は , 平 均 像 と し て 負 債 の 利 用 を 多 く し て い る こ と が わ か る 。 も ち ろ ん , わ が 国 の 企 業 体 の 中 に も か な り の 数 の 企 業 体 に お い て 自 己 資 本 比 率 が 高 い 状 況 も 見 受 け ら れ るI? )。 ま た 金 融 収 支16 )が 黒 字 の 会 社 は 最 近 で は 上 場 会 社4 社 中1 社 と か な り の 比 率 を 占 め る に い た っ て い る 。 こ れ ら の こ と は , わ が 国 企 業 体 の 自 己 資 本 比 率 に 関 す る 平 均 像 は と も か く , 個 々 め 企 業 体 に と っ て は バ ラ ツ キ が 多 く , ま た 財 務 戦 略 の 面 で い ろ い ろ 重 要 な 問 題 を 提 起 し て い る と 思 わ れ る 。 ■ ■ ㎜ ・I = 。・I な お , 最 近 の 日 本 経 済 新 聞 社 の 総 合 企 業 デ ー タ バ ン ク で あ るNEEDS-CO-MPANY に よ れ ば , 昭 和57 年 度 の 東 京 ・ 大 阪 ・ 名 古 屋 上 場 企 業 に お け る 自 己 資 本 比 率 が 第 一 次 石 油 シ ョ ッ ク 以 降 , 初 め て20% 台 に 乗 せ た 結 果 を 示 し て い る 。 こ の20% 台 に 乗 せ た 結 果 は , 今 後 の 日 本 企 業 の 財 務 構 造 の 変 革 の 兆 し を 示 す も の で あ る と 考 え た い 。 十 わ が 国 企 業 体 の 財 務 管 理 者 が 最 適 資 本 構 成 (optimulfinancialstructure ) に 関 し , ど の よ う な 意 識 を も っ て い る か は 簡 単 に 結 論 を く だ す こ と は で 年 な い 。 し か し な が ら , こ こ で は 筆 者 が 行 っ た ア ン ケ ー ト 調 査 結 果 か ら , そ の 問 題 に
表3-2 回答会社の現行の自己資本比率と期待自己資本比率との関係 ( )内は% 回答会社の現行の自己 資本比率 期待 よ 言 比率 a b C d e f 合 計 50 % 以 上 50% ∼40 % 40% ∼30 % 30%∼20 % 20%∼10 % 10 % 未 満 150% 以上250% ∼40%340% ∼30%430% ∼20%520% ∼10%610% 以下7 そ の 他 合 計 79(92) 4(5) 2(2) 0(O) 0(O) 0(O) 1(1) 86(100) 50(71) 18(26) 2(3) 0(O) 0(O) 0(O) 0(O) 70(ioo) 30(31) 35(36) 26(27) 2(2) 0(O) 0 ㈲3(3)96(ioo) 6(5) 29(25) 51(44) 29(:25) 0(O) 0CO) 2(2) 117(100) 15(8) 12 ㈲50(27)93(50)14(7)1(1)2(1)187(ioo) 7(7) 2(2) 7(7) 46(46) 33(33) 4(4) 0(O) 99(]00) 187社(29)100 社(15)138 社(21)170 社(26)47 社(7)5 社(1)8 社(1)655 社(100) 対し 接 近し てみたい。 表3-2 は, アン ケー ト調査に 回答し た会社 の 現行の 自己 資本比 率 とその会 社 の財 務管理 者 が期待す る自己 資本 比率 と の関係を表 わし た も のであ る。全 体 の65 %強 の財 務管理者 が当該 会社 の 自己資 本比 率は 適 当 でない と考え, そ の うち ほ とんど の財務管 理者 が自己 資 本比率をあ げ る( 全体結果て98% 強) こ とを 期 待し てい るのであ る。 他方, 表3-3 は, 金 融収支 と期待 自己 資 本比 率 との関 係を 示し た ものであ る。 つ まり, 金 融収支 がプ ラスであれ ば, 当 然, 自己 資本比 率 が上 位 ラン クに なる のが多 い とみら れる。 アン ケート 結果 では, 金融収 支黒 字の場 合, 期待 自己 資本 比率50% 以 上 が62% となっ てお り, もっ と 七高い 期待 自己 資本比 率を もってい ること がわ かる。 また, 金 融収 支赤字 の場 合, 期 待自己 資本比 率20% ∼30% の ラン クが31% で もっと も多 く, 次い で期 待 自己 資本比 率30% ∼40% の ラン クが24% で多 くな ってい る。 もっとも, 期待 自己 資本比 率50 %以 上 が20%, 期待 自己 資本比 率40% ∼50% が14% とな ってお り, 各 ラン クに かな り バラ ツキ が多い こと がわか る。
日本的 経営 財務 論 の課題 と本質113 表3-3 金 融 収 支 と 期 待 自 己 資 本 比 率 と の 関 係 ( ) 内は%
ホ ノT
(黒 宇) b (赤 字) 合 計 150 % 以 上250 % ∼40%340% ∼30%430% ∼20%520% ∼10%610 % 未 満7 モ の 他 合 計 86(62) 28(20) 12(8) 11(8) I(1) 0 1(1) 138(100) 101(20) 72(14) 126(24) 159(31) 46(9) 5CD 7(1) 516(100) 187(29) 100(15) 138(21) 170(26) 47(7) 5(1) 8(1) 655(100) 次に, 図3-3(A) から 図3-3(F) は, 回答 会社 の現 行の 自己 資 本比率 と期待 自 己 資本比率 の%を 棒 グラフで表 わし た もの であ る。 斜 線で示し た 捧 グラフは, 回答会 社 の現 行 の自己 資 本比率 の ラン クと同じ ラン クを回 答し た こ とを示し てい る。し た がって, 図3-3(A) の場合は, 現 行比率 の ラン クと同じ ラン クを 期待し てい る もの が もっ とも多 い ことを示し てい る。 図3-3(B) の場 合は, 現行比 率 のラン クよ り1 ラン ク上を期 待し てい るもの がもっ と も多 い こ とを 示し てい る。 図3-3(C) の場 合は, 現 行比率 の ジン クより1 ラン ク上(2 ラン ク上も現行比 率よりも高い) を 期 待し てい るもの が もっ と も多い こ とを 示し てい る。 図2-2 剛の場合は, 現 行比率 の ラン クより1 ラン ク上を 期待し てい る ものが もっと も多い ことを 示し てい る。 図3-3(E) の場合は, 現行比 率 の ラン クより1 ラン ク上を 期待し てい るもの がもっと も多 い ことを 示し てい る。 図3-3(F) の場合 は, 現行比 率 のラン クより2 ラン ク上(2 ラン ク上に次いで1 ラン ク上が多い) を 期待し てい る もの がもっ とも多 い こ とを示し てい る。 これら の 結果 から循 わ かる よう に, 全 体とし て, わ が国 企業 体 の財 務管 理期待自己資本比率の%( 全体100%) 100 % 0 0 O ︶ 0 0 00 7< £> 50 % 00 4(n 20 10 0 50% 台 40 %30 %20 %10%10% ム ム ムr ヽl^a 口 ロ ロi 以 期待自己資本比率 図3-3(A) 自‘己資本比率50% 以上( 回答会社の現行の自己資本比率) 期待自己資本比率の%( 全体100%) 100 % 0 0 0 0 c ? j o o t > . t o % 000000 LfS-< *cvo<Mt-t ‥ 期待自己資本比率 図3-3(C) 自己資本比率30% ∼40%( 回答会社の現行の自己資本比率) 期 待自己 資本比 率 の% (全体100%) 100% 0 0 C T > 0 0 00 7 ≪3 % 0 0 0 m − 5 f P I 00 94r-t 0 50%40 %30 %20 %10 %10 %= 台 台 台 台 台 以 万 十 下 丿 期待自己資本比率 \ 図3-3(B ) 自己資本比率40% ∼50% (回答会社の現 行の自己資本比率) 期待 自己資本比 率 の% (全体100%) 100 % 0 0 0 5 O O 007< £> 50% 004 り り 0 0 C N J t -( 0 期待自己 資本比率 図3-3(D) 自己資本比率20∼30%( 回答会社0 現行の自己資本比率)
期待自己資本比率 の%( 全体100%) 100 %908070 % 00cu0000 ^LO ■” *'OOCMi^ 日本的 経営 財 務論の 課題 と 本質115 期 待 自 己 資 本 比 率 の % ( 全 体100% ) 100% 00 01OO 00 7<s > 50% 00 4CO 0 0 C M i -t 0 期待自己資本比率 期待自己資本比率 図3-3(E ) 自己資本比率10% ∼20% 図3-3(F ) 自己資本比率10% 未満 (回答会社の現行の自己資本比率) (回答会社り 現行の自己資本比率) 者の意識構造 は, 一 般像 とし て, 現 行の当 該会社 の自 己資本 比率り ラソ クヤ 一つだけ 上に もってい きたい とい う方向を 読 みとる こ とがで き よう。 この よ うなわ が国企業 体の財 務管 理者 の意識 構造 から, 次 の ような推 論を し てみ ること ができ る。つ ま り, 財 務体 質 の強 化方 策 の一 つ とし て の自己資 本比率 の引上げ は, 具体的 には, わ が国企業 体では, 現行 の平 均 が20% を超 えたと ころにあ ることを 前提 とし て, そ の10% ア ップ の30% 程 度に, 目標最 適資本構成( ファイナンス理論におけ る意味ではない)を 財 務管理者(経営者とい ってもよい)がおい てい るとい って も差し 支え ないであ ろ う。 もちろ ん業 種に よってあ るい は 個別 の会社に ょ って, まfこ個別の会批 に あ って も成長 時であ るか低成長 時 であ る かに よって, そ の 目標 とすべ き資 本構成は 違い がで るで あろ う。 筆者 とし ては, 資本構 成 の変革に れは期間として最低5 年間を考える) は経営 者の財 務戦略 の重 要な 側面 であ り, 資 本 コスト論 とも関連 させ な がら 積極的に取 り組 み, 経 営意思 決定 過程に 組 み込む 必要 があ ると考え る。 資 本 構成の決定 は フ ァイナソシ ソ ダ・ ミッ クスの間題 で もあ り, と くに 今 日的 に は, 対環境主 体 と もか かお る間題 であ る とい って よい 。 最適 資本構 成の理 論
がフ ァ イナン ス理論 の方法 論の中 では否定 されな がら も, 経 営 者の実践レ ベ ルでは, 財 務基 準 とし て有 効な武 器 とな ってい ることを 指摘し てお きたい。 つ まり, 最適資 本構成 は経 営者 の財 務戦略に か かお る問 題 であ るからであ る。 3 日本企業における資本コスト論 資 本 コス ト(thecostofcapital)の概 念は, 経営 財務研 究 の歴 史 の中で, も っと 七重 要な エ ポ ッ ク(epoch)を 期し たとい え る。 資本 コ スト論に 関する過 去20 数年 間 の研 究の歴史 は, 今 後 の10 数年間 の経営 行動 基 準(くゎし くは財務 的意思決定基準)に も重要 な役割を 果 すこと が期 待さ れ る。 資 本 コス トは 資本調達 と投 資決定を 結びつけ る概 念で あ る (図3-4 参照)。 資 本 コス トの 概 念を 明 確にし ない と投資決定 と資 本調達 とを 統合 できない。 し た がって, 資 本 コス トの概 念 が重 要な財 務的 基 準に も な り うるのである。 さて, 筆 者は経 営財 務に おけ る資 本 コスト概 念を1978 年 の書物17)では 加重 平均 資本 コス ト説を手 掛 りにし た うえで, 実践 学的 経 営 財務 論 の枠組 みの中 で整 理を 試 みて きた。 そし てそ こでは, 次 の ように 述べ て きた18)。 「資本 コス トは 次の よ うに考え ることがで きる。 もし あ る企業 体 か お る 資 本量を 調達し , それを 投 資プ ロジ ェ クトに あ てだとし て み る。 この場合, こ の投 資 プロジ ェ クトが最 低, 稼 得し なけ れば ならない 利 益 率 が存在す る。つ まり, この投 資 プロジ ェ クトの利益率は, そ の資金 調達 の コス トを上 まわ る も のでなけ れば なら ない(企業体の正味現在価値の極大化を 目的とする)。し た が って, この投 資 プロジ ェ クトが稼得し なけ れ ばなら ない 『必要 最低 利益率j を 『資 本 コス ト(thecostofcapital )』 と呼ぶ のであ る。」 この よ うに 考えて きた 資本 コス トはけ 概 念的には 投 資 プl==・ジ ェ クトの採否 を意 思決定 す る基 準であ り, 目標 とすべ き利益率 であ る とい い かえ るこ とも で きる。\資 本 コス トは, 単に 事後的(ex-post) に把 握さ れ る もので はな く, 事前的(ex-ante)に 把握 され なけ れば ならない ことを 意 味し てい る。 こ のこ 図3-4 資本コストと資本調達,投資決定と の関 係
経 営 体 経営体は作業・管理・4 経営の包摂的階層と0 て 考える ( 階 層) 経 営 管 理 作 業 日 本的 経 営財 務論 の課題 と本質 ( 領 域) 投 資 決 定 論{ 資本コスト論 資 本 調 達 論 1 ( 具体的 な財務管理) 経 営財 務研 究( マネジメント・アプローチ) 図3-5 経営体と経営財務研究 表3-4PPC 社の財務データ 117 貸借対照表(1981 年12 月31 日現在) 流動資産S500,000 債 務S ダ ニ0 正味固定資産500,000 普通株資本-(発行済株式総数100 万 株)1,000,000 資産合計$1,000,000 負債および資 本合計n. 損益計算書(1981 年1 月1 日∼1981 年12 月31 日) 売上高 業 務固定費S4,000,000 業 務変動費12,Q00>OOP 利子・税引 控除前 利益 利 子 課 税利益 税 金(40% ) 税引後純利益 Ⅲ.そ の他のデ ータ S1,000,000 -S20,000,000 16,OOP,OOP S4,000,000 0 S4,000,000 1,600,000-S2,400,000 七 1。1 株当 り利益 =EPS =$2,400,000/1,000,000 株=12.402.1 株当り配当=DPS =12,400,000/1,000,000 株=I2.403.1 株当 り簿価=$1,000,000/1,000,000 株=S14.1 株当 り市場価 格=Po=%20 したが って株式は簿 価 の20倍 で売られる。5. 株価収益率=鳶 £=$20/S2.40 ヰ8.33倍6. 配当利 回り=DPS/Po =$2.40/S20 こ12%
と は , 実 践 経 営 学 的 に み て , す ぐ れ て 経 営 体 に お け る 経 営 機 能 に 関 連 し た も の で あ る と 考 え ら れ よ う 。 資 本 コ 不 ト 論 は , 経 営 者 の 意 思 決 定 用 具 と し て , ま さ に 重 要 な 内 容 を 含 ん で い る と い わ な け れ ば な ら な い 。 つ ま り , 資 本 コ ス ト 論 が 経 営 機 能 の 中 で 十 分 に 説 明 さ れ , 規 定 さ れ な け れ ば な ら な い と \い う 意 味 で , 経 営 体 ( 経 営 者 ) の 行 動 主 体 が 常 に そ の 役 割 を も っ て い る こ と に 注 意 し な け れ ば な ら な い の で あ る 。 こ れ ら の 関 係 は 図3-5 に 示 さ れ る 。 基 本 的 に は , 資 本j コ ス ト 論 は , 投 資 決 定 論 , 資 本 調 達 論 と 並 び 経 営 者 レ ペ ル で の 課 題 に 中 心 が あ る こ と を 忘 れ て は な ら な い 。 ▽ し …… さ て , 資 本 コ ス ト は> 資 本 構 成 の 決 定 と 実 践 面 で 重 要 な 係 わ り を も,つ 。 こ こ で は ブ リ ガ ム(E.F ンBrigha 涙) の 展 開 を 援 用 し な が ら 検 討 を 加 え 七 森 よ う19 )。 ブ リ ガ ム はFPC 社 (ForsythProductsCorporation ) の 例 を と る 。 フ ォ ー シ ス 会 長 は , こ の 株 式 の ほ と ん ど を 所 有 し て い る し , 会 社 は 債 務 を も っ て い な い 。 会 社 の 資 産 は,100 万 ド ル の 帳 簿 価 値 と な っ て お り , 普 通 株 持 分 は,100 万 ド ル の 帳 簿 価 値 で あ る 。 表3-4 を み て み よ う 。 こ れ ら や・貸 借 対 照 表0 数 字 ■I % ■ ● は , 次 の 理 由 で ほ と ん ど 意 味 を も っ て い な い 。 第1 に , 資 産 の 数 字 は 特 許 権 の 価 値 を 含 ん で い な い し , 第2 に , 固 定 資 産 は イ ン フ レ ー シ ョ ン 以 前 の 価 格 表3 一群FPC 社 の 異 な っ た 債 務 水 準 に お け る 債 務 コ ス ト と 自 己 資 本 コ ス ト 借 二入 二総 額‘(1)t 十 〇2,000, ・0004,000,000 一犬6,000,0008,000,00010,000,00012,000,00014,000,000 債務総額に対す る利子 率 ね ・(2) −8.08.39.010.012.015.018.0 株式 の予想ベ ーダ係数 &(3)1.501.55 レ1.651.80 ・2.002.302.703.25 (4) 12.0% 12.2 12.6 13.2 14.0 15.2 16.8 19.0 ( 注)a こ の 会 社 は 会 社 の 基 本 方 針 に あ る イ ン タ レ ス ト ・ カ バ レ ジ の 限 界 の た め ,1,400 万 ド ル 以 上 借 りし入 れ る こ と は で き な い 。
十 & わ れ わ れ はi? 。=6 % で あ り,ii:M =io % で あ る と 仮 定 す る 。 そ れ ゆ え , 債 務0 に お い て は 恥 は , 次 の よ う に な る 。 丿
瓦 =6 % +l.5(10% −6%) =6% +6% =12 %
鉛 こ12% 句 =6% 0 As―12% =債務ゼロでの 十必要自己資本利益率 一 一 一 一 瓦s 日本的 経営 財 務論 の課題 と本質119
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財 務 リ ス ク に対 す るプ レ ミ ア ム ; 債 務 利 用 の 増 大 に つ れ て 増 大 す る ビ ジ ネ ス リ ス ク 犬 に対 す る プ レ ミア ム; ニ 会 社 に よっ て 変 動 す る;FPC 社 で は^ % 無危険利子率; 実質利子率にインフレー ション・プレ ミアムを加 えたものに等しい 債務総額 図3-6FPC 社の必要自己資本利益率 で数年 前 購入 され た ものであ るから。 チ ャール ズ・ フ ォークス会長は √ 近い うちに 引 退す るであろ う。 彼は一 般 大衆に こ の会 社 の株式 を売 る計 画を もっ てい る。 計画 遂 行過程 の一 段階にお い て, 資本 構成 の問 題 が生じ て きた。 づ ま り, こ の企 業 体は, 債務 なし の方 針を 続け るべき かけ それ とも財 務レ バレ ジを 利用し 始 め るべ ぎであ 右うか。 もし , こ の企業体 が 自己 資本 の代わ りに 債 務を 加え る のを 決定 す るとし たら, どの くらい まで 加え るべきであろ うか20)。 こう い った す べて の決定にし たが って√正し い 解答は, 企業 体 がそ の会社 の価 値を 最大 化す る資本構 成を 選択 し なけ れ ばなら ない ことであ る。 もし, そ の会社 の総 市場 価値 が最 大化され 右ならば, 株式 の価 格は最大 化さ れ, 資 本 コス トは同 時的に 最小 化されるで あろ う。 こ め分析を簡 単に す るために,FPC 社 の製品に 対 す る長 期的需 要 が成 長 し ないご と が予 想され ると仮 定し て み よ う。し た がっ て,EBIT( 利子・税金 控除前利益) は400 万 ドルが続 ぐと予想 され る。 また, この会社は 新し い 資本 を必要とし ない めで, 純利益はす べ て配当 とし て支払 わ れ, 利益 と配当は と もに成 長し ない こ と が予 想され る。 丿 さて,FPC 社 の財 務管理 者が投 資銀 行に 相談に 来 て, 社 債を売 って もいい が, 比較的多 く社 債を 利用 すれ ば, 社 債の リス ク度 が 高ま り,し た がって 利 子 率(ね)が 高 くな るだ ろ うこ とを 学 んだ と仮定し て み よ う。 また, この 会 社は, 会社 が使 う社 債が多け れば多い ぽ ど株式 の リス ク度 が増大し ,し た がって, 必要 自己 資本 利益 率(ゐ,) がより高 くな るだろ うこ と を 学 んだ。異 なった 債務水 準におけ る 恥,ベ ータ,&S の評価は, 表3-5 に 示 され, 図3-6 は, グラフの 形態 で これら のデ ータを表 わし てい る。 ト 表3-4 と表3-5 に おけ るデ ー タが与えら れ ると, われ わ れはFPC 社 の異 な った 資本構 成 の中 で総 市場価 値を 決定 する ことがで き る。 そし て, 株価を 確立す る情報を 利 用す るこ と ができ る。 これら の方 程式 は, 次 のよ うな 分析 に よって使 われ る。V =D 十ぶ … …… ……… ……… ……… ………… ……… …… …(1) 税引 後 純利益_ (EBIT 一臨D )(1 −0s = ゐ。  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄戈 …… …… …… ……(2) 八 = ヤ = ヤ( た だ し,DPS = £PS 十g =(i の と き) … … … … …(3)k =(l:)/v)( 恥)( −t) 十(S/V) 汎) ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ … … … ……(4) こ こ で は,V は 企 業 体 の 総 市 場 価 値 で あ り , £) は 社 債 の 市 場 価 値 で あ り 。S は 株 式 の 市 場 価 値 で あ り,DPS は1 株 当 り の 配 当 で あ る 。EPS は1 株 当 り の 利 益 で あ る 。 ま た , 恥 は 企 業 体 の 新 規 の 社 債 に か か る 利 子 率 で あ り , 税 引 前 の 社 債 の 費 用 で あ る 。 恥(1 −) は 税 引 後 の 社 債 の 費 用 で あ る 。 恥(1 −^) は 加 重 平 均 資 本 コ ス ト を 計 算 す る の に 使 わ れ る 社 債 の 費 用 で あ る 。 礼 は 留 保 利 益 の 費 用 で あ る 。 礼 は 新 株 発 行 に よ っ て 得 ら れ る 外 部 資 本 の コ ス ト で あ る 。 瓦 は 平 均 資 本 コ ス ト で あ る 。 方 程 式(1) は , 企 業 体 の 総 市 場 価 値 が 社 債 の 価 値 に 自 己 資 本 の 価 値 を 加 え た も の に 等 し い , こ と を 認 め る 定 義 式 で あ る 。 方 程 式(2) は , 損 益 計 算 書 に 対 す る ど れ だ け の 額 が 分 子 に あ る か を 示 し て お り , 企 業 体 が 成 長 し な い の で , 純 利 益 は 一 定 で あ る 。 し た が っ て , 純 利 益 は 無 限 に 生 み 出 さ れ , 株 式 の 価 値 で あ る 純 利 益 の 現 在 価 値 は 礼 で 割 る こ と に よ っ て 求 め ら れ る 。 方 程 式(3) は ,1 株 当 り の 基 礎 に 問 題 を 設 定 す る た め に , 両 辺 を 発 行 済 株 式 総 数 で 割 る こ と に よ っ て , 方 程 式(2) か ら 求 め ら れ る 。 最 初 に , 方 程 式(4) は , い わ ゆ る 加 重 平 均 資 本 コ ス ト(weightedaveragecostofcapital)^^) の 公 式 を 意 味 し て い る に す
日本的経営 財 務論の 課題 と本質121 表3-6 異 な っ た 債 務 水 準 で のFPC 社 の 価 値 と 資 本 コ ス ト 債務の価 値(£)) ぬ 礼100 万 ドル(1)(2 )(3 )S08.0%12.0%2.08.012.24.08.312.66.09.013,28.010.014.010.012.015.212.015.016.814.018.019.0 株式価値 企業体 の(5) 価値(V) 100 万 ド ル(4)S20,00018,88517,46715,72713,71411,0537,8573,160100 万 ド ル(5) S20,000 20,885 21,467 21,727 21,714 21,053 19,857 17,160 株価(:F)(6) S20.00 20.89 21.47 21.73( 最大)21.7121.0519.8617.16 DIVk (7) (8 )0.0%12.0% 9.6 18.6 27.6 36.8 47.5 60.4 81.6 11.5 11.2 li.o( 最小)11.111.412.112.3 ( 注) 1 第1 欄 か ら 第3 欄 に 示 さ れ る 価 値 は 表3-5 か ら 得 ら れ た も の で あ る 。2 第4 禰 に お け るS の 能 植 は 方 程 式(2)の 利 用 に よ っ て 求 め ら れ た も の で あ る 。s −JE設L 恕 怒 錨 し−( £刄 汀 一 孔p)(1 −z)  ̄ 私 .  ̄ 恥 た と え ば , £)=so の 場 合 ,s ニ(s4 ‘oJ?U(o'6) ニ ペドhL ニ2o'o(t09 万 ド ヶ) 一 方 , £)=s6.0 の 場 合 ,s = 〔 料0  ̄0ク 泣0J) 〕(0 尹 =Jj 劈 ド =sI5,727(IO0 万 ド ル)3 第5 欄 に お け るy の 価 値 はz) 十s の 合 計 と し て 得 ら れ る 。 た と え ぱ £)==s6.0 の 場 合 ,F =s6
‘O 十sI5,727 =s2l,727(IO
ぎない。 われわれは最初に,D の各水準にある普通株持分,S の価値を 得るために, 方程式(2)に ね,£)お よび 恥 の価値を代入し,それから企業体の総価値を求 めるために ぶ とD を合計す る。表3-6 はこ の過程に よって展開されてい る。 第1 欄,第2 欄お よび第3 欄で示される価値は表3-5 から得たものであり, 他方, 第4 欄の価値は異なった債務水準で方程式(2)を解くことに よって得ら
れ た も のであ る。 第5 欄に 示された 企業 体の価値は, 第T 欄と第4 欄を合 計 し た も の, す なあ ち か十s =v に よって得られ た も ので あ る。 し第6 欄 で示 され る株価 が どのよ うに 展 開する かを みる ために, 以 下に示す 一連 の事 象を 明ら かにし てみ よ う。 ① 最 初にFPC 社 は 債務を もた ない。FPC 社 の価値 は2,000 万 ドル であ り,1 株20 ドルで100 万 株発行し てい る(表3-6 の第1 列をみよ)。 づ ② 経 営者は 資 本構成 の変革を 決定 す る。 こ の決定 は 株主に 通 告され る。 ③ 表3-6 の第1 欄 から第5 欄に示さ れ る価 値は前 述し た よ うに 評価 され る。 ④FPC 社 の株主は 最初は 完全に 会社を所 有し てい る(つまりい まだに社債 権者をもっていない)。 株主は アナ リス トを 通じ て, 次 のこ と を 知 っ て い る。 すなわ ち企業 体 め価値は,2,000 万 ドルからい くぶん比 較的高い 額, つ ま り達成 で きる最 大限 の額 であ る2,172 万7,000 ド ルに上 昇す るであ ろ うとい うこ とであ る。 ト ⑤ こ の追 加され る172 万7・,000ドルは企業 体 の株主 に 付け 加わ る。100 万 株 の株式 が発 行され てい るの で,1 株当 り1.73 下 ル の上 昇 とな り, 株価 は20 ドル から21.73 ドルに上昇 す る。 ⑥ こ の株 価 の上 昇は, 裁定取 引 が完全に な さ れ る以 前 に 生 ず る。 こ の21.73 ドル の株価は, 一 度, 再資 本化 され る決定 がな され ると,FPC 社 の均 衡株価 とし て定 義され るので あ る。 十 ⑦ 企業 体は,9% の費用 で600 万 ドルの社 債を 売却 す る。 こ の金額は, 市 場 価 格で 株式 の購入に 使 われ, 現 在21.73 ドル め 株価 であ る ので, そ の 結果27 万6,116 ドル の株式 が再 購入さ れ ることに な る。 再購入 の株式 総 数 = S6,000,000S21.73 こS276,116 ⑧27 万6,116 株が再購入し 消却された後の株式価値は,表3-6 の第4 欄 に示される ように1,572万7,000ドルである。100万株 から27万6,116ドル を差し 引いた27万3,884 ドルがい まだに発行済の株式総数であり,その 結果,残った 株式の1 株当 りの価値は,次のようにな る。
1 株当りの仙値=ユ 温 浴 汐 見=がl.73
日 本 的 経 営 財 務 論 の 課 題 と 本 質123 こ れ は 初 期 の 均 衡 株 価 の 計 算 と 一 致 す る 。 … … 尚・ , ⑨ 同 様 の 過 程 が , そ の 他 の 資 本 構 成 で 株 価 を 求 め る た め に 使 わ れ る 。 す な わ ち , こ れ ら の 価 格 は , 表3-6 の 第6 欄 に 示 さ れ る 。FPC 社 が600 万 ド ル の 債 務 を 利 用 す る と き , 株 価 極 大 化 が 生 す る り で , 企 業 体 の 最 適 資 本 構 成 は600 万 ド ル の 債 務 を 要 求 し て い る 。 づ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ⑩ こ の 事 例 で は , 企 業 体 の 債 務 が1,400 万 下 ル に 上 昇 す る:・な ら ば,EBIT ( 利 子 ・ 税 金 睦 除 前 和 番 り が400 万 ドz レ か ら352 万 ぬ レ に 低 下 す る こ と が 仮I ・ | ゛ 定 さ れ て い る 。EBIT は 一 般 に 財 務 レ バ レ ジ と は 無 関 係 で あ る が , 極 端 な 割 合 の 場 合 の 財 務 レ バ レ ジ で は,EBIT は 逆 に 影 響 す る こ と に な る 。 ⑩ 全 く 明 ら か な こ と で あ る が , 現 実 世 界 ○ 状 況 は , こ の 事 例 が 示 す よ り も 非 常 に 複 雑 で あ り , 厳 密 性 が 少 な い 。 も っ と も 重 要 な ど と は , 異 な っ た 投 資 家 がEBIT と も に 対 し 異 な っ た 評 価 を 奄 っ て お り , し た が っ て 均 衡 株 価 に つ い て 異 な っ た 期 待 を 形 成 し て い る 。 こ の こ と は , 企 業 体 が27 万6,116 ド ル の 株 式 を 再 購 入 す る た め に21.73 ド ル 以 上 を 支 払 わ な け れ ば な ら な い か , あ る い は , お そ ら く 株 式 が 比 較 的 低 い 価 格 で 購 入 さ れ う る だ ろ う こ と を 意 味 し て い る 。 ・ 十 二 十 こ れ ら の 変 化 は 最 適 な 債 務 総 額 を600 万 白 レ よ り も い ぐ ぶ ん 比 較 的 高 い か 低 い 額 に な る で あ ろ う 。 し か し な が ら,600 万 ド ル, と い う の は , 最 適 水 準 と し て , わ れ わ れ の 最 善 の 推 測 と し て 表 わ し て お り , し た が っ て 。 そ れ は , わ れ わ れ が 目 標 資 本 構 成(targetcapitalstructure ) と し て 利 用 す べ き 水 準 で あ る と い う こ と が で き る 。j. こ ⑩ 異 な っ た 債 務 水 準 で の 平 均 資 本 コ ス ト は 表3-6 の 第8 欄 に 示 さ れ る 。 最 小 化 り 資 本 コ ス ト (H.0 % ) は, ‥ 企 業 体 の 価 値 つ ま り 株 価 が 最 大 化 さ れ る 債 務 水 準600 万 ド ル に 符 合 し て い 芯 こ と が 明 ら か に さ れ る 。 表3-6 で 展 開 さ れ る 株 価 と 資 本 コ ス ト の 関 係 は 図3-7 で グ ラ フ 化 さ れ る 。 こ こ 七 はFPC 社 の 株 価 が 最 大 化 さ れ , そ の 加 重 平 均 資 本 コ ス ト (weightedaveragecostofcapital ) はD/V 比 率 が27.6% の と き に 最 小 化 さ れ る 。 ニ さ て , 日 本 企 業 に お け る 財 務 管 理 者 の 資 本 コ ス ト 論 に 対 す る 意 識 構 造 は ど の よ う な も の に な っ て い る の で あ ろ う か 。 筆 者 の 財 務 管 理 者 へ の ア ン ケ ー ト 調 査 結 果 か ら は , ア メ リ カ で 展 開 し て ぎ た 資 本 コ ス ト 概 念 は , い ま だ に 十 分 。 理 解 さ れ て い な い め で は な い か と 考 え ら れ る 。 た と え ば , 資 本 コ ス ト に 関 す
税引資本コスト(%) 13.2 12.0 11.0 ■ * o o I ・ L f i -< * 0 株 価($) 21.73 20.00 2027.6140 自 己 資 本 コ ス ト, ん 60 債務/総市場価 値(%) 027.61 債務/総市場価値(%) 図3-7FPC 社の資本構成,資本コストおよび株価との間の関係 る設間項 目2-(5)から設問項目2-(9)までのうち, 資本 コストに関する方に○ を回答し た結果( 全体構造) は,次のようになっている。 項目2-(5)は78.8%, 項 目2-(6)は42%, 項目2-(7)は65.2%, 項目2-(8)は42.1%, 項 目2-(9)は16.3 %となっている。 これらの数値は,一定しておらず, まだきわめて少ない比 率 もある。回答項 目が必ずし もそれぞれ相対立した概念を もっているとはい いがたい ので問題はあるが,こわが国企業体の財務管理 の意識構造としてはい