児童が達成感を味わうことのできる授業づくり
高度学校教育実践専攻 教 員 養 成 特 別 コ ー ス 中 黒 憲 史 1 課題設定の理由 筆者は,児童が達成感を味わうことのできる 授業を目標として実践を進めた。 学校は子どもたちが意欲的に学習に臨み,自 己を成長させていく場である。そのためには, 「そうなんだJr
わかったJr
できた」という達 成感を持たせることが大切であると考える。 それは,大学院 1年時でのメンターの授業と 自身の授業を比較して,メンターの授業こそ児 童が達成感を味わって学習をしていると感じら れたからである。 (1)メン告ーの実践より 「食べ物のひみつを教えますJ(
3
年国語) この授業は,児童がいろいろな本から材料を 見つけ,文章構成を理解し,段務ごとにわけで 文章を書くことをねらいとしていた。 メンターは,取材活動を取り入れ,調べたこ とをもとにして。児童は,わかりやすい説明文 を書き発表をした。児童自ら課題を持ち調べた ことをまとめることで,児童は意欲的に取り組 めるようにしていた。 第三に,グループて、読み比べをする場面では, 教師が子どもたちに自分の書き方と友だちの書 き方について,上手に出来ていたところに着目 させるようにしていた。子どもたちの聞で「ょ くできているね」や「ことがよかったね」など, 互い良さを認め合う言葉が交わされ,協力して 実 習 責 任 教 員 葛 上 秀 文 実 習 指 導 教 員 端 村 達 也 専 任 教 員 木 下 光 文章を書き直しをしている姿が見られた。また, メンターは,机間指導をする時にも,称賛の言 葉かけをしていた。肯定的に評価が満ちるとと で,児童の達成感につなげていた。 第三に,メンターは終末に振り返りカードを 用意し,振り返りのポイントを表にして児童に しっかりと学習の振り返りをさせていた。授業 の中で達成感を味わった児童だからこそ栄養 について考えたいJr
これからも食物のひみつを 見つけたい」という感想を多くの児童が持つよ うになった。 (2)授業実践r
三角形J(3年算数) 一方,筆者が 1年次を行った実践を振り返る と大きな違いがあった。 この授業は,ストローを使って,いろいろな 三角形をつくり,辺の長さに着目して分類し, 二等辺三角形と正三角形の意味を知ることをね らいとした。 4種類のストローを使って,いろいろな三角 形をつくる作業的な算数的活動を取り入れるこ とで,児童は意欲的に協力して三角形づくりを した。しかし,教師が児童にどのような力をつ けたいのか,ねらいを明確にもっていなかった ため,児童は活動するだけになった。 第二に,班活動で三角形を分類させていたが, 教師が分類・整理の観点について,児童にしっ かりと把握させておく必要があった。ねらいに迫るような,児童によくわかる発聞ができなか ったために,児童は辺の長さに着目して考える 児童が少なかった。また,教師から児童への称 賛する言葉かけもなかった。 第三に,教師が班活動仁おいて,児童に協力 するように言ったが,子どもたち相互での助け 合う姿が見られず,称賛することもなかった。 授業や学校において達成感を味わうことは, 学習に意欲的に臨み,自己を成長していくため に必要不可欠である。小学生の時に達成感を多 く味わっておくことは,今後の人生のとらえ方 にも大きく影響するのではないかと考え,本主 題を設定した。 2 研究にするにあたって 児童に達成感を味わうことが必要な理由とし て岩淵JI(2010) は「レディネス,教師のかかわ り・仲間との関係が達成感を味わうために大切 である」と述べている。また,松崎 (2009) は 「子ども自身が試行錯誤するその主体が自分に あり,その積み重ねの結果として,最終的に成 功体験などによる達成感を味わったとき,自分 に対して肯定的な評価を与えることができる」 と述べている。 このことから,授業の導入では児童に課題意 識を持つようにし,そこから児童が「あれでも ないJ
r
これでもないJなどと試しながら考え・ 結果をみつけていくことが大切と考える。また, 児童が見つけた考え・結果を児童,児童同士で 共有することや教師とのかかわりが大切と考え る。 3 研究の目的と方法 (1)目的 児童が「できたJr
わかった」と達成感を味わ えるような授業づくりを考えることを目標とす る。そこで,本研究では学習のねらいを明確に し,ねらいに迫る教師の手立てを考える。 ( 2)方法 児童が達成感を味わえるような授業づくりと して方法として筆者は導入,展開,まとめでは 以下のようにしていく。 ① 導入場面での工夫 1)児童たちで解決するという見通しをもたせ る。 ② 展開場面での工夫 1)個人として解決する時間の確保とその手立 て。 2) グループにして,解決する時間とその手立 て。 ③ まとめ場面での工夫 1)学んだことのプロセスを分かるようにする。 (3)分析 授業実践を振り返り,児童が達成感を感じる ことのできる授業について成果と課題を整理す る。授業実践のプロトコル分析やビデオによる 映像の分析を行う。教室内に 2台のビデオを設 置し 1台は教室全体の様子,もう 1台は机間 指導やグループ活動時の教師のかかわりや仲間 同士の交流を中心に撮影する。これらの映像か ら子どもたちの様子を読み取り,達成感を支え るものを意識した授業が児童にどのような成果 と課題をもたらしているのかを考察することで, 今後の課題について検証する。 4 授業実践による分析と考察 本研究では,以下の 2つの授業実践について, 分析と考察を行った。実践 1:第 2学年算数科「ひっさんのひきざん」 時間の確保する必要があった。 実践日 :6月 13日(木) 実践 2 第 2学年体育科「シュートゲーム」 実践日 :11月 26日(火) ① 導入場面での工夫 1)児童たちで解決するとしづ見通しをもた せる。 実践正では,児童が前時の違いを知ることで 授業の見通しを持って児童は活動できていた。 しかし,めあてで知らない言葉が出てきたため, 児童は混乱し,見通しが持てない状況になった。 実践 2では,児童はめあてについて理解し, どのようにするのか見通しをもっていた。また, 導入時から授業について見通しをもった行動も できていたことが分かつていた。授業において 全体でめあてを共有後に作戦を取っていたが, 児童はすぐ作戦を立てていた。このことから, 児童は見通しをもって活動をしていた。 学習の見通しをもって解決できるように,前 時の授業との違いについて考えるようにするこ とが大切である。授業の見通しを持たせてもめ あて 1つで‘不透明であった。めあて 1つにして も十分に考えて立てることが必要で、ある。 ② 展開場面での工夫 2) グループにして,解決する時間とその 手立て。 実践 2でば 1回目の作戦について,児童は 各班で意欲的に作戦を立てることができてい た。各班でどのように攻撃したら点を取ること ができるのか一生懸命考える班が多くあった。 しかしながら,作戦を上手く立てられない斑 があった。あらかじめ作戦を用意すると児童は 真似るしかなく,児童の考えがなくなった作戦 になると感じたため,導入しなかった。しかし, それでは計画出来ない班には何の手立てにな っていなかった。立てられない班用の作戦例を 準備しておく必要があった。 l試合目について,児童に攻撃の参考となる ように設けたが効果はなかった。筆者は良いプ レーについて褒めるようにしていたが,全体で 共有する時間や対戦相手以外でどのように攻 撃をするのか見せる必要があった。ここでは, 児童は各班の作戦が参考になるのと同時に,見 るポイントが明確に分かると感じる。 2回目の作戦も今 1つであった。一生懸命考 えた作戦について,前試合からの課題を作戦変 更する中で,全く変化しない斑もあった。これ は,作戦の変更点が白斑の課題を感じなかった からである。各チームの課題を筆者が,児童全 1) 個人として解決する時間の確保とその 体で話し合う場を設ける必要があった。 手立て。 実践1では,児童 l人l人考之る時間を設け ようとしていたが,教師の的確な指示ができて いないことで個人活動が十分に行えなかった。 また,児童の考えを発表する場面において教師 の必要のない発言によって児童が課題解決す る時間を奪ってしまった。児童同士で話し合う 活動時間を設けることはできたが,児童にど のような活動をさせたいのか,筆者の的確な指 示ができていない。また,教師の適切なかかわ りをもっと追究する必要があった。 ③ まとめ場面での工夫
1) 学んだことのプロセスを分かるように する。 実践 lでは,まとめをくり下がりのある筆算 のひきざんのやり方をまとめれば良いと考えて いたが不十分であった。ここでは,やり方より 練習問題を解くことで定着ができる。また,他 の問題を児童自身の力で出来ることで「自分で もできる」と達成感を味わえると考える。 実践 2では,各チームで振り返りを行ったが, 今 1つで、あった。ここでは,教師が各班につい て出来ていたところを話したり,児童全体に作 戦を伝えたりしていれば,意義のある振り返り になったと考える。 児童に 1時間を通して,一体何を学習したの かを振り返りさせることが必要であった。'児童 に十分な振り返りを行えないために児童ができ たという達成感を与えることができなかった。 振り返りについてもっと焦点化する必要がある。 5 研究のまとめ 本研究を通して,児童が授業をする上で「達 成感を味わうj ことが大切であることを実感し た。達成感を味わうためにも授業の導入時にど のようなことを学びたいのかの課題意識をもち, それに対しての教師のかかわりだったり,児童 同士のかかわりだったりすることが大切である ことが分かつた。また,授業のまとめではこの 時間を通して r~ を学んだ、」などを児童が授業 での振り返りが大切なこともわかった。 以前まで筆者は,児童にこの時間での見通し ゃ課題意識を持たせることができなかった。し かしながら,実践を重ね改善をしていくごとに 少しずつできるようになってきた。 達成感を味わえている児童は,授業の中で試 行錯誤しながら目標を達成しようとすることか ら学習の意欲が高まっていた。このことを通し て,児童が「達成感を味わう授業づくり」を通 して「できたJ