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生化学の立場から

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Academic year: 2021

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東 京 女 子 医 科 大 学 学 会 第

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回総会演説抄録

〔特別講演〕 腎移植における最近の進歩とその展望 (腎臓病総合医療センター外科〕太田 和夫 ここ十数年間壁につき当ってしまったように成績向 上がえられなかった腎移植も, ここ数年間,輸血効果 の利用,サイクロスポリンの登場によって新しい転機 を迎えている.このような時期に腎移植について概説 し,新しい進歩について触れるのは意義あることと考 えられる. 1.輸血の効果 従来は輸血により感作がおきる可能性があるため, 移植予定患者に輸血をしないというのが原則であった が, 1973年に輸血をした例の方が生着率が高いことが 判明したため1970年代の後半よりは積極的な輸血が行 なわれるようになった.さらに1980年代に入ると提供 者よりの輸血 (donor specific blood transfusion:

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が著効を奏することが明らかにされたため,生 体腎では

DST

が,また死体腎では不特定の人からの 輸血(ランダム輸血〉が行なわれるようになってきて いる.これらの輸血をめぐる問題について紹介する.

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,サイクロスポリンの登場 サイクロスポリンは抗生剤であり, 1978年に公開さ れた.本剤の免疫抑制効果発現の主要な機序はヘル パーT細胞に働き,インターロイキン2の産生を抑制 することによりサイトトキシック

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細胞の分化を抑 えることにあるとされている. 本剤の免疫抑制力は従来用いられているアザチオプ リンと比べて著しく強力であり,ステロイドの使用量 を減少できるという利点はあるが,一方腎毒性などそ の他の副作用も問題となっている.われわれは本剤を 使用して約180例の腎移植を行なったが,その経験を紹 介する.

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,感染症の治療 われわれの施設では最近感染症による死士が大幅に 減少してきたが, これはインタフエロンをはじめとす る各種の抗ウイルス剤が開発されてきたためと考えら れる.これらの実状についても紹介する. 4,脳死のコンセンサスと将来の展望 最後に現在基準作りが進行している脳死とその他の 臓器移植を含めて将来を展望してみたい. Agingと疾病 (序言) 〔シンポジウム〕 (循環器内科〕広沢弘七郎 今 か ら

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年 ば か り 前 , 私 が 医 局 に 入 り た て の 頃 Myodegeneratio cordisという病名があった.その前 後にかけてchronischeMyokarditisというのもあっ た.例えば弁膜症のように分り切った原因疾患がない のに,心臓が大きくて,脈も乱れている事が多く,さ りとて心不全は必ずしも伴っていない病気だった様に 思う.多くはお年寄であったように思う,当時の本を 見ればその定義など出ているのであろうが,見直した 事もなく,次第に内容を忘れてしまった. 比較的最近の用語の中にischemic heart disease without painというのがある.冠動脈硬化に原因した 冠不全により心筋に異常を来たし,狭心症状はないが, 心不全,不整脈,心電図異常等を起こして来るものと 定義されている.文献をよく調べたわけではないが, 冠不全の効果すなわち虚血が心筋のどの部分に{動いて このような異常を起こすかについて,正面切っての証 拠はないのではなかろうか. 私が専門とする心臓病学の領域でも,疾患の成立ち に中心的役割を演ずる心筋異常が,血行力学的負荷, 明らかな冠不全などはっきりした原因がないのに起 こって来るものがあり,その中には老化の機序が要因 となっているものもかなりあるのではないかと疑われ る.他の臨床医学の領域でも似た様なことはそれぞれ の特徴を持ちながらも,共通した問題としてあるに違 いない.更に,基礎医学的に,あるいは生物学的に agingの問題を論ずるならば,それぞれの分野でかな り広く,深く論じられる.そして,基礎的なアプロー チが個々の臨床の領域の問題の解明の基盤となってい くはずである. 今回のシンポジウムも小規模ながらこのような限で 考丸組み上げてみたいと思っている. 1.生化学の立場から (生化学〉降矢 焚 Aging,老化,の定義としては『加齢に伴う生理的機 能の減退

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が科学的であろうと思われる.時聞は過去 から現在,未来へと向いたベクトルであり逆行するこ とはない.この時間の経過を測定するための時計とし

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614-ては,時間とともに変化して逆行することのない不可 逆変化を利用できる.不可逆変化で作動する時計は生 物の身体の中に内臓されているという考えがあり,こ の生体内時計の実体は生化学反応であるという.すべ ての化学反応は放置すれば平衡に到達するから,生体 内時計の変化も平衡の方向へ進行していることにな る.生体内のホルモン制御をも含むホメオスタシスに より生体反応は定常状態に保たれ,定常状態から外れ た場合は復元される.老化に伴い,定常状態の復元に 重要なホメオスタシスの容量が減少するという報告も ある.老化の機構は非常に複雑であるが,根本的な原 因として細胞の機能の損失が挙げられる.老化の研究 は,老化の部分現象の記載にはじまり DNA障害の修 復の遅延,細胞分裂周期の異常,膜流動性の変化,異 常代謝産物の出現,そして最終的には細胞分裂の有限 化というように数多くある.しかし,老化のパラメー ターというべきものが現段階では判然していない.あ る人は細胞の動態面から,あるいは代謝産物や機能面 から問題を提起するが,それらをまとめて一つの言葉 で現すことはほとんど不可能とされている. 生化学の立場からの老化も,その例外ではないが幾 らかの特徴もあることから, ここでは細胞の老化を中 心にして話を進め,合わせて予備段階ではあるが演者 らの実験結果を報告したい. 2.小児科からみたAging (小児科〉横田和子 Agingとは,広い意味で年齢の増加に伴う成育,成 熟,老化という一連の生命現象である.この事からみ れば,発達段階にある小児を対象とする小児科学は, 成育,成熟という点において,正にAgingそのもので あるといえる.最近青少年において発育加速の現象が あるといわれ,これは,日本人の生活環境の変化によっ て,栄養的,心理的,社会的要因等が関与していると 考えられている.小児科ではまず第ーに小児の正常の 発育を知ることが大切である6 小児の疾病には好発生 齢のあるものが多く,しばしば発育障害を伴うことが ある.これら発育障害の原因は,必ずしもひとつでは なく,多様の複雑な機構が関与していることが多い. 発育障害の病因論として,まず内分泌障害によるも のがあげられるが,他に先天性の要素を持った疾患が 重要な問題となってくる.染色体異常や奇形症候群で は発育障害を示すことが多い.これらは遺伝性疾患で あるものと同時に妊娠中の異常によるものも考えられ る.TORCH症候群は胎内感染症として代表的なもの 57 があるが, これらの小児は,出生時既に子宮内発育不 全が認められ,生後の発育も遅延することがある.重 症複合免疫不全症では生後数カ月に突然発育停止する ということが重要な症状のひとつとなっている. 重大な発育障害を来す疾患として,分子生物学の発 達の基礎のもとに,種々の先天性代謝異常症が発見さ れている.これらの疾息の中には特殊調整ミルク等に よる治療が可能なものもある.小児では発達段階のあ る年齢まで治療を行なうことによって発育障害や知能 障害を防ぐことが出来る.最近,酵素置換療法等も試 みられている.発育障害を示す小児で先天性代謝異常 症と免疫不全症を伴う複雑な症例を経験した.両者の 異常遺伝子座位が同一染色体上に近接して存在するこ とも考えられる.これらの疾患の早期発見のためのス クリーニングは大切である すべての小児において正 常なAgingをもたらすためには,分子生物学ならびに 分子遺伝学の発達が今後一層望まれる. 3. Agingと免疫 ( 微 生 物 〉 内 山 竹 彦 免疫システムは感染抵抗性の獲得,悪性腫蕩発生の 抑制や槌締に働いているが,同時に,生体内に生理的 に存在する自己抗原に対しても応答性を保持してい る.また,少くない数の疾病の発生は免疫応答性を制 御している主要な遺伝子のひとつであるmajor his幽 tocompatibility (gene) complex (MHC)により制御 されているらしい.これらの事実より,免疫システム は生体の恒常性の維持に重要な役割を担っていると思 われる.免疫応答に関与する組織,そして免疫機能は 加齢により変化していく.老化は受動的過程ではなく, むしろ積極的な自己崩壊の過程であるという考え方が あるが,加齢に伴う免疫システムの変化はこの過程に 何らかの役割を担っていることが考えられる. 免疫応答の調節,感染や悪性腫蕩抵抗性等を担う

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細胞の成熟の場となる胸腺は加齢とともに変化し, 60 歳をすぎると著しく縮少する.免疫応答増強性

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細胞 に対する抑制性

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細胞の比率は加齢に伴って高くな る.外来抗原に対する応答性は,抗体産生と細胞性免 疫のいずれも加齢に伴って減弱する.反面,生体内の 自己抗原に対する自己抗体の産生は加齢に伴って増加 してくる.マウスでは,前述したMHCが老化と密接 に関連していることが観察された.マウスの生存期聞 はMHCの差異のみで有意に違ってくる. 加齢にともなって見られる免疫応答の変化は,加齢 により生じる生体構成組織や生理的機能全般の崩壊の

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