226 (80) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
ハギ ワラ ノブ ピサ萩原誠久(昭和3
医学博士 乙第1006号平成元年3月17日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者)Contribution of two types of calcium currents to the pacemaker poten- tials of rabbit si貰to剛atrial node cells
(洞結節細胞のペースメーカー電位における2種類のCa電流の役割)
(主査)教授 細田 瑳一
(副査)教授 橋本 葉子,教授 新田 野郎
論 文 内 容 の 要 旨
目的
Ca電流にはlong lasting type:IcaLとtransient type:IcaTとの2種類がある.作業心筋細胞には両者 があり,そのうちIcaTの閾値は負電位側にあることが 報告されている.これまで洞結節細胞のCa電流につ いては二者を分離した研究はなく,その生理的意義も 明らかでない. 本研究では,ウサギ単一洞結節細胞にpatch電極を 用いて,2種類のCa電流を分離し,ペースメーカー電 位に対するIcaTの寄与を解明することを目的とする. 方法 コラゲナーゼ処理により,ウサギ単一洞結節細胞を
分離し,patch電極を用いてwhole-cell voltage clamp およびcell attached patch clamp法を行った,
結果
①Whole・cell voltage clamp法では,保持電位一80
mVと一40mVにおいて,閾値が約一50mVにある一
過性のCa電流(lcaT)と,約一40mVにある持続型の Ca電流(LcaL)に分離された.両者の電流は外液Ca
濃度の増加に伴って増大し,Ca channel blockerであ
るcobaltで抑制され,又Na channel blockerである TTXによる影響を受けないことから,作業心筋細胞 で報告されている2種類のCa電流と同一の電流と考 えられた.
②電極内液に100mM bariumを用いたce11-
attached patch clamp法では,単一channel con一
ductanceが8.5pSおよび16pSの異なる2種類の単一 Ca電流が分離され,前回の平均電流はwhole・cell voltage clamp法で得られたIcaTと同様のkinetics を示した.
③2種類のCa電流のCa channel blockerに対す る感受性は異なっており,低濃度のnickel(Ni)は他 の電流系には影響を与えずに,IcaTのみを選択的に抑 制した.又nifedipine, D600はIcaTに影響を与えずに
IcaLのみを抑制した.
④β・agonistは, lcaLのみを増大し, IcaTには影響 を与えなかった. ⑤低濃度のNiは,一50mVより脱分極相でのペー スメーカー電位を抑制することにより,心拍数を低下 させた.この所見はIcaTの活性化領域と一致した. 結論 ①洞結節細胞には2種類のCa電流が存在し,特に IcaTは,その活性化領域がペースメーカー電位の領域 (一65mV~一40mV)と一致した.
②β一agonistによるpositive chronotropic e仔ect
には,IcaTは関与せず, IcaLの増大が主体と考えられ た. ③低濃度のNiはIcaTを抑制することにより,心 拍数を低下させた. 以上のことより,洞結節細胞のペースメーカー電位 にIcaTが重要な役割を果たしていることが解明され た. 一1116一
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論 文 審 査 の 要 旨
本論文は,これまで知られていなかった洞結節細胞膜のCa電流の生理的意義を解明しようとした論文であ る.patch電極を利用し,ウサギの単一洞結節細胞について研究し,2種類のCa電流を分離し,これらが,作 業心筋のCa電流と同様の特性を有することを証明した.その中, transient typeのCa電流(Ica T)は活性 化領域がペースメーカー電位の領域と一致し,これが低濃度Niによって抑制されると心拍数が減少するこ
と,一方long-lasting typeのCa電流(lca L)は,β一agonistの影響下に増大し,それにつれて心拍数が増加
することを明らかにした.洞結節細胞における2種類のCa電流の生理的意義の一部を初めて解明した研究で あり,心臓電気生理学の領域で学問的価値のある論文と認める.
主論文公表誌
Contribution of two types of calcium currents to the pacemaker potentials of rabbit sino-atrial node cells
(洞結節細胞のペースメーカー電位における2種類 のCa電流の役割)
Joumal of Physiology Vol,395233~253頁
(1988年1月発行) 副論文公表誌 1)原発性肺高血圧症における薬剤効果 臨床成人病 12(9)1619~1625(!982) 2)難治性心室性頻拍症を示したUhl氏病の電気 生理学的検討 心臓ペーシング 1(1)106~107(1984)
3)Acase of T・cell chronic lymphocytic leuke- mia with an unusual phenotype and central nervous system invo童vement(中枢神経浸潤
を伴う非定型的慢性リンパ性白血病の1例)
Cancer 55 (9) 1937~1942 (1985)
4)Endless loop tachycardiaを示した3症例の分
析
心臓ペーシング 1(2)205~208(1985)
5)短PR正常QRS症候群にみられる頻拍
日本臨床 43(11)2319~2324(1985)
6)Activity detecting responsive rate pulse gen- erator使用5症例の検討
心臓ペーシング 2(1)106~107(1986)