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乗客サービスの向上と指令・駅業務の革新を目指した東京圏輸送管理システム

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Academic year: 2021

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東京圏輸送管理システム

Newly DevelopedTrainTraflicControISystem -AimsatPassengersServiceand RationalizationofRailwayTransportationWorks一 北原文夫* ♪1〝椚オ0幻ゎんα和 大島啓二** 〟βむ=〕5J∼才桝α 佐藤友良**** 乃椚叩0∫良∼滋′♂ 岩本孝雄* 乃ゑα(ノ血〟′乃納 戸次圭介*** ∬どた〟丘どβg舶∫ 藤原道雄***** 〟オcゐオo f'わざ乙〃α和 llt

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l 輸送指令室 駅の扱い所 ⊥一脚攣璽撃 ▲亡し】 桔三 ≦llHnlH書Ⅵ†1 表芸 ll===事Ill ==lllI‖ 川川牡l= 事糊川nTfJ 臼II 旅客案内 翔 保守作葉風景

東京圏輸送管理システム 東京圏輸送管理システムは,各駅にコンピュータを設置して列車の運行管王里を行う分散型運行管理システムの代 表例である。首都圏19線区,300駅の輸送管理業務の革新を目指して開発を進めている。 各駅にコンピュータを設置して列車の運行管理を 行う「分散型運行管理システム+は, (1)駅の運行業務の高効率化が図れる。 (Z)高密度運行への対応が容易になる。 (3)お客様に対してきめ細かな情報サービスが行 える。 (4)段階的建設が容易で保守性・拡張性に優れる。 といった多くの特長を持っている。 東京圏輸送管理システムは,この分散システムア ーキテクチャの上に構築される本格的な広域分散型 運行管理システムであり,首都圏の主要線区での輸 送管理業務の革新を目指すものである。対象駅数は 300にものぼり,従来の遅行管理システムの規模を はるかに超えた大規模システムである。 このシステムでは,指令業務,駅運転取扱業務の 革新を図るだけでなく,新たに駅構内の入換作業管 理,保守作業管理などの業務をシステム化している。 また,電子連動装置として汎(はん)用コントローラ を用いてフェールセーフを実現しており,連動変更 などの設備の改修作業にも柔軟に対応できるように している。 *東日本旅客鉄道株式会社 **口立製作所大みか工場 ***口立製作所日巾二研究所 ****日、t製作所システム事業部 ***** H立製作所水fj二1二場

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n はじめに 列車輸送管理の第一の目的は,安全で快適な列車運行, すなわち列車を時刻表どおりに正確に運転させ,列車運 行の乱れが発作したときにもできるだけ早く元の状態に 復帰させることである。このため,大都市圏を中心に, 通勤ラッシュ時の混雑緩和のさまざまな対策が試みられ ているが,運行管理システムの導入もその一つである。 さらに日本国有鉄道の民営化後,お客様サービスのいっ そうのl呂1_Lと企業経営の革新の必要性から,「本線列車の 運行管理+以外の業務の改善に対しても積極的な取組み が図られつつある。 一方,コンピュータ技術,ネットワーク技術もオープ ン化,ダウンサイジング化の進展により,信頼性や拡張 性に優れた自律分散システムの構築が容易となってきて いる。 このような背景のもと,駅を進路制御機能を持ったイ ンテリジェントな情報拠点として,柔軟性に富んだ情報 制御が行えるようにした分散型運行管理システムの導入 が陛lられるようになってきた。ここでは,分散型の運行 管理システムの特質と,代表例である東京圏輸送管理シ ステムについて述べる。 8

新しい運行管理システム

2.1運行管理システムの課題 運行管理システムでの課題を図1に示す。

〔中央集中システム〕

[互奉遷蚕室]

国一田

CTC 中央装置 中央コンピュータ ●情報処理系 ●進路制御系 運行表示盤 情報用回線 (2,400ピット/s程度) 駅 制御用回線 (2,400ビット/s程度) CTC駅装置

情報端末 旅客案内 継電連動 装置 信号楼 連動盤

中央指令室 輸送管理業務での課題 システム構成上の課題 駅 業 務 の 革 新 ●大規模な駅の運行管理業務の革新 ●構内入換作業,保守作業の効率化 ●案内サービス情報の充実 広域で大規模な運行管王里 ●情報量の制約からの解放 ●保守性・拡張性の向上 図l新しい運行管理システムにおける課題 新しい運行管理システムには,従来型の運行管理システムにはな いさまざまな課題の解決が必要である。 (1)輸送管理業務における課題 従米は信号機制御の自動化がrトL、であったが,輸送管 理業務全体の革新を飛躍的に進めるためには, (a)「進路数の多い大規模な駅の運行管理業務+,「駅構 内の人操作業+や「保守作業管理業務+の効率化 (b)駅,遷幸云区所への運転に関する情報やお客様に対 する案内サービス情報の充実 といった課題を解決する必要がある。 (2)システム構成上の課題 複数線区にまたがる大規模な運行管理に対しては, (a)運行管理に必要な列車制御情報の充実と,駅や線 区をまたがる運転・案内情報の流通の促進 (b)駅システムの機能変更など,部分的な改修作業が

〔分散システム〕

固‥・…国手抗

国……国

中央コンピュータ ●情報処王里系 (100Mビット/s)

高度な マンマシン 高速・広域ネットワーク(制御用,情報用)

駅国

情報端末 多機能 サービス性 旅客案内 作業用端末 汎(はん)用 コントローラ 信号機 新型 電子連動

拡張性 保守性 汎用性 安全性 システム 端末 高速性 注:略語説明 CTC(C印tralizedTrafficControl) 図2 運行管理システムの アーキテクチャ 「線区全体を統括管理できる コンパクトな集中型システム+ や,「大規模な運行管理に適した 分散型システム+など,対象に 応じたアーキテクチャの選択が 必要である。

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(C)システム化対象の駅の逐次追加,線区の拡張など のシステム段階的構築の容易化 など,単一路線が対象では院(あい)路にならず,また従 来型のCTC(CentralizedTrafficControl)中心の集中型 構成のままでは解決しにくいさまざまな課題がある。 これらの課題の解決には,システム化の範囲の拡充に 加えてアーキテクチャを含めた技術革新が必要となる. 2.2 広域分散型運行管理システムのコンセプト 上記課題を解決する新しい運行管理システムは,次の ような基本的考えガに基づいている。 (1)駅を制御の拠点とすることにより,「高密度運行に必 要な制御の高速化+,「構内入模作業・保守作業管理のシ ステム化+を実現する。 (2)運転情報を高速な通信ルートでシステム全体に伝達 することにより,的確な情報(遅延状況・運行状況)のタ イムリーな提供を可能とする。 (3)システム全体を自律分散システムとすることによ り,「中央システム故障時の駅単独運転+および「駅ご と,線Ⅰ貢ごとの段階的な使用開始+を可能とする。 (4)汎用コントローラでフェールセーフを実現し,連動 変更などの改修作業にも柔軟に対応できるようにする。 集中・分散のアーキテクチャを図2にホす。 中央装置 中 央 甲府 中央線 熱海 高麗川 武蔵野線 立川 南武線 大船 東海道線 神保原 川越線 新宿 川崎 根岸線 高崎線 埼京線 池袋 東北本線 大宮 山手線 東京 品川 横須賀線 上野 黒磯 常磐線 羽鳥 浜 東北線 西船橋 総武線 千葉 対象線区 19線区 対象駅数 300駅 路線総延長 1,200km 対象列車数 約6,200本 図3 東京圏輸送管理システムの対象範囲 東京圏輸送管理システムは,対象範囲が路線総延長l′200km,300 駅に及ぷ大規模な運行管理システムである。

東京圏輸送管理システムの概要

前章で述べた新しいコンセプトに基づいて構築中のシ ステムが,東京圏輸送管理システムである。 束r二l本旅客鉄道株式会社では,輸送管理業務の飛躍的 改善とお客様へのタイムリーな情報サービスの提供をH 指して,首都圏の主要線区に新しい輸送管理システムを 導入する。導入範囲は図3に示すように,19線区,300駅, 総延長1,200km,取l)扱う列車の数6,200本と従来の連 システム 旅客 設備 保守作業 監視卓 指令卓 指令卓 管王里装置

題 題題

RCS 中央 中央情報 中央情報 指令卓 CS 端末

盛題

盛題

ファクシミリ システム 指令伝達 装置 ダイヤ 管王里装置

中央ネットワーク(100Mビット/s) (GD) 緑区別中央装置 運転整理 運行表示系 (プロコン) 輸送指令卓(CRT) 中央線

題題題題盛

山手・京浜東北線 常磐線 運行管理ネットワーク(100Mビット/s) 駅装置 駅情報 旅客案内 CS 装置 進路 高尾駅 制御系 システム端末

題′

情報端末 (PC) 発車標

虚田

諸設 ンタフ

竺一泡

作業用端末 RCS

漂鞘

信号機

立川駅 三鷹駅 保守区 東京駅 作業用端末 情報端末

虚盛注:略語説明

WS(Workstation) RCS(Realtime ControI Server) CS(Commun旧a仙n Server) ダイヤ(ダイヤグラム) PC(PersonalComputer) プロコン(プロセスコン ピュータ) GD(GraphicDjsplay) 図4 東京圏輸送管理システムの構成 中央の装置,駅の装置は高速なLANで結合きれており,大量な情報の交換が可能である。

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行管理システムの規模を大きく上l叫っている。 このシステムはワークステーションベースのRCS (RealtimeControIServer),汎用のコントローラ,ワー クステーション,パーソナルコンピュータ計2,000台を 高速のLAN(100Mビット/s)で結んだ広域分散システ ムである。このシステムの全体構成を図4に示す。

東京圏輸送管理システムの主要機能と特徴

4.1進路制御機能 列車ダイヤと列専任置をもとに,信一;J一機を自動制御す 作業用端末

園保守作業

構内作業 進路制御系

D

連動系での安全制御 連動基本棟能 ●インタロッキング 連動拡張機能 ●言針箱異常時運転 ●保守作業 ほか

ロ仁]

RCS ●二重系構成 RCS 自動進路制御 図5 連動画面 システム端末として高精細なX端末を 使用し,列車在線状況や列車制御の状況 をリアルタイムに表示している。 回申の軌道回路の細い黄色表示は鎖鎌 (進路予約)状態を,赤色表示は列車の在 線状態を示す。またシアン(薄青色)の太 線は保守作業の線路閉鎖状態を,黄色の 太線は構内入換作業中を示す。 この連動画面は中央の輸送指令卓でも 見ることができる。 る進路制御機能は運行管理の中枢機能である。このシス テムでは,高密度運行に必要な制御の応答性を確保する ため,進路制御機能を中央の装置ではなく,現場に近い 「駅+に分散させる構成とした。ここでは中央から毎日送 られてくる列車ダイヤ情報と,線区全体の運行状況を考 慮した運転整理に基づいて列車の自動制御を行う。万一 小央システムが故障した場合でも,駅がみずから保有す る列車ダイヤに従って自律的に制御ができる方式とし た。進路制御の状況を表示するシステム端末の画面(連動 両面)を図5に示す。 システム端末 データ交換バス 連 動 論 理 連動デー タ

くコ

連動系 現場枚器制御 「珍

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針言号機

匡!

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連動画面 ●自動・手動進路制御と 運行状況モニタ 連動表および各種条件表 J 名 称 番 号 (種別) (発点) (惹点) (番号) (表示) 場内信号機 東京方一下り本式環(1RCT) 1R 同上(警戒信号現示) 設備データ の保守 土日内信号機:玩 ロ 東京方一中. 1R 連動データ作成 支援システム

ロロ工Ⅶ[::⊂□Ⅶ

転てつ器

図6 新型電子連動装置 新型電子連動装置は進路制御系と連動系から成る。連動系は,汎用コントローラの三重系構成とし20ut Of3の 多数決論理と専用の安全性機構によってフェールセーフを実現している。また,論理とデータを分離することにより,システムの保守性を大き く向上させている。

(5)

電子連動は,列車の進路を安全に確保する信号保安装 置である。これまでは,専用の電子回路でフェールセー フ性を持たせていた。また,継電連動装置のリレー論理 をそのまま電子化して連動論理を実現していたため,新 しい機能を付加することが困難であった。開発した新型 電子連動装置は,連動系を汎用コントローラの三重系で 構成し,データ交換バスを介した多数決照合(20utOf3) を基本とした方式によってフェールセーフ性を実現し た。汎用的なソフト開発手法が利用できるので,設備異 常時運転,保守作業などの拡張機能の実現が容易になっ た。連動改修に対しては,連動データ作成支援システ ムのサポートによって,可能な限り変更手順の標準化を 図り,保守性と信頼性を向上させている(図6参照)。 4.3 中央指令機能 従来の大型表示盤に代わり,線区全体の運行情報(列 車の在繰位置,遅延状況)を輸送指令卓のCRTにリアル タイム表示することにより,列車の運行状況の把握を行 えるようにした。 列車ダイヤは輸送指令卓のGD(GraphicDisplay)に列 車繰(ダイヤすじ)で表示しているが,列車の種類で線種, 線色を変えるなどのくふうによって視認性の向上を図っ ている(図7参照)。列車運行が乱れたときは,ダイヤす じを直接マウスで選択して順序変更,着発番線変更など ている。 また,ファクシミリシステムとの接続により,運卒去整 理内容を駅や運転区所に対しての指令伝達情報として送 信することが可能で,輸送指令員の負担も軽減できる。 4.4 保守作業管理機能 保守作業は,安全・快適な列車運行を支えるために必 要不可欠なものであるが,システム化が遅れている業務 である。通常保守作業は,列車運行に影響を及ぼさない 「列車間合い+(列車運行の合間)で実施される。列車ダイ ヤが乱れたときにも,「作業中は列車を絶対に進入させな い+,また「列車が進入してくるときは作業を着手させな い+ことにより,作業者および列車運行の安全を守ると ともに列車ダイヤへの影響を最小限にすることが重要で ある。 従来は列車の通過を作業者が駅に電話などで確認して いた。開発した保守作業管理システムでは,作業者が直 接,携帯可能な作業用端末から無線(あるいは有線)で作 業開始および終了要求を行う。開始・終了と信号機制御 との間のインタロックは,新型電子連動装置の「連動系+ がとっている(図8参照)。 4.5 構内作業管理機能 構内作業管理機能は,本線の運転に直接関係しない構 内遷幸云,入操作業を管理するものである。従来は人換作 11日 土 aO 五ぎ′⊥⊥左tn ,-, =川 川 、r一 口 川 。。1。。ハ

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(6)

中 央 実施状況の モニタ 設備指令卓

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保守作業 管理装置 保守作業計画, 実施状況の管理 運行管王里ネットワーク 作業実績の 登録 駅システム端末

L==_:= + :..1

∈≡≡∃も

実施状況の モニタ 進路制御系

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無線基地局

現場機器制御

「珍

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作業計画の登希 作業用端末 信号機

作業現場 ′一--一作業個所--…-ア 保守区 情報端末

∈≡≡≡∃ ̄も

0

一風

作業計画の 作成 実施状況の モニタ 保守区 作業用端末への 保守作業計画の ダウンロード

銅覇

▲_____________J■ 図8 保守作業管理システム 誤るとフエールアウトに至る可能性のあるすべての制御を,フェールセーフな「連動系+で処‡里させること により,保守作業の安全性確保を図っている。 業担当者が連動装置の信号扱い所に構内電話などで進路 要求して作業を行っていた。このシステムでは,作業者 自身が作業用端末の操作で直接進路構成を要求し,人換 信号機,人換標識を自軌制御するので,駅運行業務の効 率が大幅に向上する。 4.6 旅客案内・情報サービス機能 旅客案内機能は,各駅のコンコース,プラットホーム に設置される発車標(出発案内)に対する表示や案内放送 を,列車の運行状況に応じて自垂加勺に行うものである。 列車の種類(特急列車,普通電車)別に案内内容を変えた り,また各駅の特性を生かした案内を行うなど,きめ細 かな旅客案内を可能としている。事故発生時には,指令 の入力したメッセージを必要な駅に一斉に伝達して速や かに案内表示するなど,異常時の旅客案内の改善も図っ ている。 また,各駅に設置される情報端末のモニタ機能によF), 関連線区の列車運行状況(列車の位置,遅延状況)を駅員 に提供することを可能としている。

おわりに ここでは,鉄道での新しい運行管理システムの形であ る分散型運行管理システムの考え方と特長,およびその 代表例の一つである東京圏輸送管理システムの主要機能 について述べた。 現在,基本となる駅システムと中央システムが完成し, 中央線に導入を開始したところであり,各駅,各線区へ 順次導入を図っていく予定である。 このシステムの導入により,東京圏全域の輸送管理業 務の飛躍的な改善が図られることが期待できる。 今後とも「ユーザーの使い勝手の向上+,「システム化 範囲の拡大+について検討を加え,より安全で効率の良 い運行管理システムの実現を目指して研究・開発を進め ていく考えである。 参考文献 1)岩本:東京圏輸送管埋システム,鉄道と電気技術,Vol. 3,No.6,19∼23(平4-6) 2)解良,外:新型PRC装置による分散型運行管理システ ム,鉄道サイバネ論文集,173∼176(平4-12) 3)北原,外:広域分散型運行管理システム,計測と制御,32 巻7号,590∼594(平5-7)

参照

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