Title
若年女性の四肢の皮膚温・冷え感と日常生活に関する研究
第1編 冬期の暖房に対する四肢皮膚温の反応とソックスの
影響 第2編 若年女性における四肢の冷え感と日常生活の関
係( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
宮本, 教雄
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第979号
Issue Date
1995-05-24
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/15291
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氏名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 宮 本 敏
雄(福井県)
博 士(医学) 乙第 979 号 平成 7 年 5月
24 日 学位規則第4条第1項該当 若年女性の四肢の皮膚温・冷え感と日常生活に関する研究 第1編 冬期の暖房に対する四肢皮■温の反応とソックスの影響 第2編 著年女性における四肢の冷え感と日常生活の関係 審 査 委 員 (主査)教授 岩 田 弘 敏 (副査)教授清
水 弘 之 教授 玉 舎 輝 彦 論 文内
容 の 要 旨 女性に多いといわれてきた冷え性は,冷え感が非常に強い場合には大変苦痛を伴うものでありながら,季節が 暖かくなるとその症状の大部分が緩和されるため,女性特有の不定愁訴の一症状にすぎないと軽視されてきた。 したがって,医学面での研究や治療の対象にはなりにくく,その実態を明らかにした報告はきわめて少ない。ま たその原因として自律神経の機能低下,着衣の薄着傾向,生活リズムの乱れなどがあげられているが,明確に解 明されていないのが現状である。 さらに,四肢の冷えを冬季に強く自覚し,手指のレイノー現象を伴うものはt 中高年層のみならず若年女性層 にも見られているが,その有症率は今のところ不明である。 そこで申請者は冷え性といわれる症状の実態を把握するため,冬季の若年女性の四肢の皮膚温が,寒冷環境か ら暖房環境に移った後,どのように変化するかを測定して,四肢の冷えの回復状態,ソックスによる四肢の冷え の予防効果等について検討した。さらに若年女性層を対象に,冷えの原因と考えられる日常生活状態についての アンケート調査を実施し,冬季の四肢の冷え感と日常生活状態の関係,およびレイノー現象の有症率を検討した。 対象と方法 (1)冬期の暖房に対する四肢皮膚温の反応とソックスの影響 岐阜市内の短期大学に通学する女子学生20名を対象にした。1985年1∼2月の冬季に,気温12±20c,湿度40 ±10%REの寒冷環境で安静をはかった後,気温25±1.50c,湿度55±5%RHの暖房環境へ入室,その直後か ら5分毎に90分間にわたって,四肢各部位の皮膚温を測定した。足部の皮膚温は素足の状態とソックス着用状態 で測定した。 測定部位はt手部では左母指及び左小指掌側先端部,左手背中央部,左前腕及び上腕外側中央部の5か前 足 部では左母址及び左小址底側先端部,左足背中央部,左踵部,左下腿外側中央部の5か所の計10か所とした。ま た,測定中に冷え感について聴取した。 (2)若年女性における四肢の冷え感と日常生活の関係 岐阜市内の短期大学に通学する女子学生642名(平均年齢18.9歳)を対象にした。1990年から1992年の12月に, 冷えの原因やその背景と考えられる項目についてアンケート調査を行ない,四肢の冷え感と日常生活状態との関 連を検討した。調査項目は,身体履歴,日常の生活状態,冬季の生活状態,および夏季の生活状態についての計 44項目とした。 調査項目の内,「冬季に布団内であっても素足では就寝しにくいかどうか」の回答に基づきt 対象者を冷えの 傾向の強いものとそうでないものの2群に分け,その他の項目との関連性を検討した。 39結果と考察 (1)暖房環境入室後90分間の素足時の四肢各部位の皮膚温上昇の程度によって,20名の対象者を低温群,中温 群,高温群の3群に分類した。低温群の全員と中温群の約73%は,四肢の冷えで就寝しにくいという,寒冷によ る苦痛を訴えていた。 ソックス着用による皮膚温の上昇は,直接被覆されている足部末梢よりも,被覆されていない手部末梢に強く あらわれ,低温群では手部のみに,また中温群では手部及び足部にその保温効果が認められた。 (2)冷えの傾向の強いものはアンケート対象者の半数に達していた。この群では,生活リズム(就寝時刻,睡 眠時間等)が不規則なものが有意(p<0.05またはp<0.01)に多く,四肢にレイノー現象 しびれ,こわばり等 を訴えるものが有意(p<0.001)に多く存在した。また,冬季の冷感を四肢に強く感じており(p<0.001),さ らに夏季においても四肢の冷えを感じるものが多く(p<0.01),冷房に注意しているものも有意(p<0.001)に 多く存在した。さらに,母親や祖母など女性の家族に冷えの傾向のあるものが有意(p<0.01またはp<0.001) に多かった。 以上若年女性に,冬季に四肢皮膚温が低く,寒冷を苦痛に感じながら生活しているものが,全体の半数にも達 していたことはt 女性では中高年のみならず若年女性にも四肢の冷えの傾向が強いことを示し,この冷えは生活 リズム・体調・四肢に関する訴えとの関連が大きいことが明らかとなった。また,冷えのある群のレイノー現象 の有症率は約8%であった。 空調設備が完備してきて,夏季でも冷えを訴える場合が多く,「冷え」を単に冬季のみの症状であるとか,体 質によるものであるなどを理由にして,軽視するわけにはいかない。冷えは年間を通して潜在しており,しかも いくつかの症状が重なり,症状の統合された表徴ではないかと考えられる。 したがって,この冷えの対処法として,生活リズムが乱れる要因を除去し,規則性のある生活を送るようにし, 環境に応じてソックスやストッキングなどの利用も含めた着衣状態に留意する必要がある。 論文審査の結果の要旨 申請者宮本敏雄は,冷え性の多い若年女性を対象に冷環境から暖環境への移動での四肢皮膚温の変化,それに 対するソックスの影響および冷え感と日常生活との関係を検討し,低皮膚温者は冷え感を伴うが,冷え感有訴者 は必ずしも低皮膚温を示すとは限らず,しかもレイノー現象をはじめ多くの症状を伴いがちであり,夏季には冷 房による不適応症候を示すことを明らかにした。またこれに対してソックス着用による効果など日常生活上での 冷え軽減対策を提案した。これらは予防医学上,被服衛生学上,価値あるものと認める。 [主論文公表誌] 若年女性の四肢の皮膚温・冷え感と日常生活に関する研究 第1編 冬期の暖房に対する四肢皮膚温の反応とソックスの影響 昭和63年2月発行 日本衛生学雑誌 42(6):1045-1055 第2編 著年女性における四肢の冷え感と日常生活の関係 平成7年2月発行 日本衛生学雑誌 49(6):1004∼1012 40