平成21 年 9 月 14 日 神戸市長 矢田 立郎 様 新神戸ロープウェー再整備等事業者審査委員会 委員長 中瀬 勲 新神戸ロープウェー再整備等事業の応募者提案に関する審査結果について(報告) 新神戸ロープウェー再整備等事業者審査委員会による PFI 事業優先交渉権者・指定管理者候補者の 選定及び審査結果について下記のとおり報告します。 記 【選定された応募者】 提案受付番号 D-02 応募グループ名 日本ケーブルグループ 代表企業 日本ケーブル(株) 構成企業 NCリゾートマネージメント(株) (株)びわ湖バレイ 阪神園芸(株) 協力企業 (株)竹中土木 (株)オオバ ※審査結果の詳細は、別紙「新神戸ロープウェー再整備等事業審査講評」に示します。 以上
別 紙
新神戸ロープウェー再整備等事業
審査講評
平成21 年 9 月 14 日
1 審査講評に当たって 新神戸ロープウェー再整備等事業(以下「本事業」という。)は、新神戸ロープウェー(以下「ロ ープウェー」という。)の改修・運営事業及び布引ハーブ園(以下「ハーブ園」という。)の運営事業 を一体的に行うものである。 ロープウェーについては、近年、利用者数の減少傾向が続いており、老朽化しつつある施設の大規 模更新や効率的な運行システムの構築が求められている状況にある。また、ハーブ園についても、魅 力向上による集客力強化が求められている状況にある。 このような課題を解決していくために、本事業は、民間事業者の高度かつ優れたノウハウを活用し てロープウェー施設の更新とロープウェーおよびハーブ園事業の運営を一体的に行うことにより、財 政負担の縮減や市民・観光客へのサービス向上を図ることを目的とする。 このため神戸市は、価格及び提案内容等に基づいて、ロープウェーの改修・運営事業(PFI事業) における優先交渉権者及びハーブ園の運営事業(指定管理事業)における指定管理者候補者(以下、 単に「優先交渉権者」という。)を決定する公募型プロポーザル方式による審査を行うこととし、幅 広い専門的見地からの意見を参考とするために、学識経験者等により構成される「新神戸ロープウェ ー再整備等事業者審査委員会(平成20 年 12 月 10 日設置)」(以下「審査委員会」という。)を設置し た。 審査委員会は、平成20 年 12 月 10 日の第1回審査委員会の開催以降、合計 5 回の審査委員会を開 催し、事業者の審査・選定作業を行ってきた。 この度、本事業の優先交渉権者を選定したので、次のとおり審査の経過及び事業者の提案内容につ いて講評するものとする。
2 審査委員会の開催概要 審査委員会は、本事業の優先交渉権者を選定するに当たり、民間事業者からの提案書について客観 的な審査を行うため、「神戸市新神戸ロープウェー再整備等事業者審査委員会設置要綱」に基づき、 審査委員会を開催した。 審査委員会の開催経過は、次のとおりである。 【審査委員会開催経過】 回 開催日 議事事項 第1回 平成20 年 12 月 10 日 ○ 委員長の選任について ○ 審査委員会の議事等の取扱いについて ○ 実施方針(案)について ○ 要求水準書(骨子案)(案)について 第2回 平成21 年 3 月 18 日 ○ 第1回審査委員会開催後の経過について ○ 公募書類(案)について ○ 今後の予定について 第3回 平成21 年 6 月 19 日 ○ 第2回審査委員会開催後の経過報告について ○ 第一次審査(参加資格審査)について ○ 第二次審査(提案審査)の実務について 第4回 平成21 年 8 月 10 日 ○ 提案書の評価案の審議について ○ 評価集約及び全体評価案とりまとめについて ○ 事業者に対する質問・確認事項の整理について 第5回 平成21 年 8 月 27 日 ―第1部:プレゼンテーション及び質疑― ○ 事前質問に対する事業者の回答内容 ○ 事業者によるプレゼンテーション ○ 質疑応答 ―第2部:審査総括― ○ プレゼンテーション及び質疑を踏まえた評価の審議について ○ 総合評価のとりまとめ(総合評価点確認)について ○ 審査講評(案)の検討について
3 審査の経緯 (1)資格審査 平成21 年 6 月 10 日に参加表明書及び資格審査申請書類の受付を行ったところ、以下に示す1グル ープより書類の提出を受け、審査委員会において募集要項に記載の「応募者の備えるべき参加資格要 件」を満たしていることを確認し、平成21 年 6 月 26 日付で応募者にプロポーザル参加資格確認通知 書を通知した。 提案受付番号 D-02 応募グループ名 日本ケーブルグループ 代表企業 日本ケーブル(株) 構成企業 NCリゾートマネージメント(株) (株)びわ湖バレイ 阪神園芸(株) 協力企業 (株)トーマス (株)竹中土木 (株)オオバ ※ なお、協力企業のうち(株)トーマスは、提案書提出時において協力企業ではなくなった。 (2)提案審査 平成21 年 7 月 28 日に D-02:日本ケーブルグループより提案書の提出を受け、審査委員会におい て事業者選定基準に基づき、以下のとおり審査を行った。 ア 見積価格の確認 提案書提出を受け付けた時点において、応募者が提示するロープウェーの改修に係る市負担分の見 積価格が予定価格を超過していないことを確認した。 イ 基礎審査 提案内容が要求水準を満たしているかの基本的な確認を行った結果、要求水準の明らかな未達が認 められなかったため、要求水準を達成しているものと評価した。 ウ 提案審査(加点評価) 事業者選定基準に示す審査項目に基づいて、提案内容の審査を行った。提案内容の審査に当たって は、要求水準を超える提案内容に対して加点評価を行い、「内容点」として点数化した。 エ 定量的評価(価格の評価) 応募者が提示する、ロープウェーの改修に係る費用総額(初期投資額)のうちの市負担価格、及び、 ハーブ園に関する各年度(16 年間分)の市負担予定価格(指定管理料-利用料金目標収入額)の平均 値に基づいて、「価格点」として点数化した。 オ 総合評価 提案書に基づく提案審査の得点(内容点)と定量的評価に基づく得点(価格点)を合わせて総合評 価を行った。 (3)市への報告 総合評価の結果に基づき、本審査講評を付し、市に対して審査結果の報告を行う。
4 審査の内容 (1)提案審査 ア 提案審査の審査項目 D-02:日本ケーブルグループより提出された提案書に記載された提案内容について、事業者選定基 準において予め公表している審査項目及び審査のポイント(例)等を踏まえて評価を行った。 イ 提案審査の方法 審査委員会においては、各審査項目について原則として以下の4 つの評価ランクを設定し、当該提 案内容の評価ランクに応じて「内容点」として点数化した。 【評価ランクに基づく得点計算方法】 評価ランク 得点 A 具体的に極めて優れた提案がある 当該項目の配点×100% B 具体的に優れた提案がある 当該項目の配点× 60% C 具体的に提案がある 当該項目の配点× 20% D 特に要求水準を超える提案がない 当該項目の配点× 0% ウ 提案審査の結果 審査項目 配点 D-02 の 評価 D-02 の 得点 ■事業全体の実施に関する項目 65 ― 21 1 事業計画の妥当性 25 C 5 2 リスクへの適切な対応及び事業継続性の確保 20 B 12 3 集客力向上のあり方 20 C 4 ■ロープウェーの改修・運営事業に関する項目 75 ― 31 4 資金計画・収支計画の妥当性 20 C 4 5 改修計画の妥当性 25 B 15 6 運行計画の妥当性 15 B 9 7 維持管理計画・維持管理体制の妥当性、モニタリングの仕組み 15 C 3 ■ハーブ園の運営事業に関する項目 60 ― 12 8 収支計画の妥当性 20 C 4 9 運営計画の妥当性 20 C 4 10 維持管理計画・維持管理体制の妥当性、モニタリングの仕組み 20 C 4 合計点 200 ― 64 (2)定量的評価 ア 定量的評価の対象 定量的評価は、応募者が提示する、ロープウェーの改修に係る費用総額(初期投資額)のうちの市 負担価格(価格点①の評価対象)、及び、ハーブ園に関する各年度(16 年間分)の市負担予定価格(指
定管理料-利用料金目標収入額)の平均値(価格点②の評価対象)を対象に行った。 それぞれの提示価格について、事業者選定基準において予め公表している定量的評価の算式を踏ま えて点数化を行った。 イ 定量的評価の方法 価格点①:ロープウェーに関するもの(100 点満点) 応募者が提示する、ロープウェーの改修に係る費用のうちの市負担価格について、次の算式 により「価格点①」として算出した。 提案のうち最も低い見積価格(ロープウェーの市負担額) 価格点①= ――――――――――――――――――――――――――――――――――――×100 点 当該応募者の提示する見積価格(ロープウェーの市負担額) 価格点②:ハーブ園に関するもの(100 点満点) 応募者が提示する、ハーブ園に関する各年度(16 年間分)の市負担予定価格(指定管理料 -利用料金目標収入額)の平均値(以下、「市負担予定価格平均値」という。)について、次の 算式により「価格点②」として算出した。 まず、市負担予定価格平均値について最も低い価格を提示した応募者の点数を100 点とし、 その他の応募者の点数は、提案のうち最も低い価格からの割合に基づき算出した。(以下、こ の点数を「順位点」という。) 次に、市負担予定価格平均値が、市が定める基準額を上回った場合は、基準額からの超過額 100 万円当たり 1 点を順位点から減点し、これを価格点②とした。 価格点②= ×100 「順位点」 - 基準額超過 の減点 なお、上記の市が定める基準額は200,000 千円とした。 (この金額は、現行のハーブ園の指定管理事業における指定管理料等を勘案して便宜上設定し た審査上の基準額であり、市として想定する価格(予定価格等)として提示したものではない。) 価格点(合計:200 点満点) 価格点①と価格点②の合算により、応募者の価格点を算出した。 価格点(合計)=価格点① + 価格点② 「当該応募者の提案する市負担予定価格平均値(ハーブ園)」-「基準額」 1,000,000 円 「提案のうち最も低い市負担予定価格平均値(ハーブ園)」 「当該応募者の提案する市負担予定価格平均値(ハーブ園)」
ウ 定量的評価の結果(価格点の点数化) (税込み金額) 区分 応募者の提示価格 予定価格または基準額 点数 価格点① 472,500,000 円(一括払) 472,500,000 円 100 点 価格点② 220,312,000 円 200,000,000 円 79.7 点 価格点(合計) 179.7 点 (3)総合評価 総合評価は、内容点と価格点の合計である総合評価点を算出して評価を行った。 応募者 内容点 (満点200 点) 価格点 (満点200 点) 総合評価点 (満点400 点) D-02 日本ケーブルグループ 64.00 点 179.7 点 243.7 点
5 提案内容の審査結果 第4 回審査委員会及び第 5 回審査委員会において、D-02:日本ケーブルグループの提案について、 審査項目ごとに提案内容を審査した結果を以下に示す。 ■事業全体の実施に関する項目 ① 事業計画の妥当性 ・ 事業計画を立案する前提となる本事業の課題については、施設の老朽化などの点において的 確な課題認識がされている。特に、ロープウェー及びハーブ園の施設・設備に関する課題の 指摘は多くなされているものの、運営上の課題やソフト面での魅力に関する課題についての 言及がやや少ない。 ・ 事業の基本方針として、「施設全体の魅力向上」、「安定した収益体制の確立」、「運営体制の強 化とモニタリング体制の確立」の3点が提示されており、方向性としては一定の妥当性があ ると判断できる。 ・ 市とのパートナーシップの構築を重視する姿勢も示されており、事業遂行にあたっての協働 体制の構築が期待されるところである。しかし、施設魅力の向上については、ロープウェー 山麓駅周辺のアクセス改善やハーブ園のバリアフリー改善など市が検討すべきハード面の改 良提案が多くなっている。バリアフリー対策として、傾斜が少ない展望広場周辺のハーブ植 栽を充実させることや研修を受けたガイドが高齢者等の園内散策に同行することなどソフト 面での提案が一定なされているものの、さらなる取り組みが望まれるところである。 ・ また、運営コストの最適化を目指すとの提案があるが、ハーブ園の事業費については、現行 の事業費から増加するとの収支計画となっている。今後、コストの最適化に向けた対策など を検討するとともに、コスト増加に見合うだけの具体的な魅力向上の方策を明確に打ち出し ていくことが望まれる。 ・ 事業実施体制としては、ロープウェー分野で豊富な実績のある代表企業が主導的に責任を担 うとの提案がされている。 ・ 地域貢献策としては、市内雇用への言及もあり、一定の評価ができる。 ・ 人材育成については、多様な会議体や研修の機会が提案されており、実施内容や実施頻度の 点でも具体的な事項が示されている。 ・ 以上の点を総合的に判断して、本項目については、具体的に提案があると判断し、「C」と評 価した。 ② リスクへの適切な対応及び事業継続性の確保 ・ 事業を行う上で想定されるリスクへの対応について、事業スキーム全体に係る基本的な経営 上のリスクに関してはそれぞれのリスクを事業者グループ内で分担する提案がされている。 その一方で、ロープウェー及びハーブ園という施設の性格を踏まえた、本事業に特有のリス ク(業務遂行上の詳細なリスクなど)の想定と対応策については、今後、運営を開始するま でに策定する業務計画の中でさらに細かくリスク分析を行うことが望まれる。 ・ 緊急対応マニュアルの整備や、業務責任者が現場に常駐することでの迅速対応などの提案は 具体的であると評価できるほか、緊急時の対応に関しての体制構築や情報のフロー、市をは じめとする関係者との連携体制等についても基本的な枠組みは示されている。今後、提案で 示された考え方をもとに、業務計画として明確化していくことが望まれる。 ・ モニタリングについては、その仕組み・手続きについての計画表が提案されており、セルフ モニタリングの実施が期待できる内容となっている。また、構成企業のうちの1社が株主と
してモニタリングを行うとしているほか、公認会計士や借入先金融機関によるチェックを受 けるとしている。モニタリングの客観性をさらに高める方策を実施することを期待したい。 ・ リスク対策としての保険については、要求水準において求めている水準以上の保険について の具体的な提案は見られないが、業務実施状況に応じて、必要となる保険への加入を行うと の言及がある。 ・ 運転資金の不足の回避策・対応策として、事業期間当初より予備費を70 百万円確保すること、 代表企業が資金拠出枠(50 百万円)を設定すること、外部借入返済後の利益処分は内部留保 の積立てに充当し財務基盤の確保を図ることなどが提案されており、実効性が期待できる優 れた提案が示されていると評価できる。 ・ 事業継続性を高める方策として、料金体系の見直し(ロープウェー料金の値上げ(大人往復 1,000 円を 1,200 円にする)、割引制度の見直し、ロープウェー料金とハーブ園料金の一括徴 収等)が提案されている。値上げの根拠について、他のロープウェーと比較して安価である ことや利用者の満足度が高まることをあげているが、本事業における施設の立地特性や市場 分析は示されていない。割引制度については、根拠と効果の説明が乏しいため、的確な料金 体系となるのか判断しにくい面があり、さらなる検討が望まれるところである。 ・ 神戸市民が多いとしているリピーター確保への対策については、市民に対して友の会への入 会に割引等の特典を設けることが示されており、事業計画の中で詳細な検討を行う必要があ ると思われる。 ・ 広報戦略として、構成企業のうちの1社が属する阪急阪神グループとの連携がうたわれてい るが、新たな魅力づくりと集客力の向上に向けて、この連携策についてさらなる具体化が望 まれるところである。 ・ 以上の点を総合的に判断して、本項目については、具体的に優れた提案があると判断し、「B」 と評価した。 ③ 集客力向上のあり方 ・ 集客の方針として、ロープウェーとハーブ園が一体となった施設としての魅力向上を図ると の方針が示されているが、具体的なコンセプトや戦略が明確には示されていないように見受 けられる。全般的に、ロープウェー施設の更新による利便性の向上を中心とした集客力向上 を意図する提案となっている。 ・ 集客力向上対策としては、現在も実施しているハーブガイド、クラフト・クッキング教室、 摘み取り体験を充実させて開催頻度を増やすほか、山桜、バラ、紅葉、夜景等のハーブ以外 の魅力も積極的にアピールするとしている。特に夜景について、ロープウェーに昼間より安 いナイター料金を設定して利用客の増加を図ることが示されており、ロープウェーとハーブ 園の管理の一体化のメリットが活かされた提案であると評価できる。 ・ 集客事業における基礎的検討事項である損益分岐点分析については、経営的な観点からのさ らなる検討が望まれる。 ・ 集客戦略上最重要と位置付けて積極的に推進するとしている北野地区との連携については、 周辺施設との共同企画や共同での団体客誘致を想定しているとしているが、魅力を創出する 具体的取り組み内容について、業務計画で詳細化していくことが望まれる。 ・ 市に実施を期待するハード面での事業(バリアフリー化、アクセス改善、園内展望台整備等) を多数提案しているものの、事業者自らが行う新たなソフト面での対策(事業自体の魅力付 け、ホスピタリティ向上の具体策等)についての言及が乏しいように見受けられる。 ・ 利用者の需要予測に関しては、予測そのものの根拠に乏しい面がある。また、需要が変動し た際の感度分析や経営上の対応策に関する提案については、経費削減による対応策がいくつ か具体的に示されているが、変動度合いに応じて、事業遂行上の機動性・柔軟性を確保する
ための戦略を打ち出していく必要があると判断される。 ・ 以上の点を総合的に判断して、本項目については、具体的に提案があると判断し、「C」と評 価した。 ■ロープウェーの改修・運営事業に関する項目 ④ 資金計画・収支計画の妥当性 ・ ロープウェーの改修に係る費用に関しては、現行の施設と比べて大幅な機能向上を見込むた めに、一定の金額を必要とすることは理解できる。ただし、費目によっては、その根拠が曖 昧な面もあるため、コストの適正化を図るうえでは、詳細化が必要と考えられる。 ・ ロープウェーの利用客の見込みについては、同種の施設更新事例における実績を勘案した予 測が示されているが、提案されているロープウェー料金の値上げの影響などがどのように考 慮されているかなどの点で不明確な面も見られるため、業務計画上の事業収支の精査及び実 際の事業遂行段階において、需要の変動を厳格に見極めつつ、変動に応じた対策を検討する ことが必要であると考えられる。 ・ 以上の点を総合的に判断して、本項目については、具体的に提案があると判断し、「C」と評 価した。 ⑤ 改修計画の妥当性 ・ ロープウェーの改修に関しては、現状の老朽化した施設・設備を的確にリニューアルし、大 幅な機能向上を図る提案となっている。特に、全搬器を車椅子対応とすること、搬器床面と ホームがほぼフラットとなるレベル・ウォークイン・システムの採用による乗降性の改善、 搬器の大きさや室内高さの改善による室内環境の向上、換気性能の向上、揺れの低減などの 改善提案がされている。換気性能の向上については、同種機器の導入事例において効果が確 認されているとの説明がなされている。 ・ このうち、レベル・ウォークイン・システムの採用や搬器の大きさ・高さの改善は、要求水 準を超える性能向上であり、利用者が季節を問わず快適性を実感できる優れた提案であると 評価できる。 ・ ただし、提案全般にわたってロープウェー設備機器の説明は詳細に示されているものの、駅 舎の改修の内容や、設計・工事等の業務実施手順、運行業務におけるソフト面での利便性向 上策などの提案が少なく、今後の詳細化が必要と判断される。 ・ エネルギー・環境への配慮については、これらに配慮した機器の導入が提案されている他、 建設リサイクル、廃棄物処理に関する提案も記載されている。 ・ 改修業務の具体的な手順や品質管理体制については、改修を担当する企業の各種品質管理規 定に基づいて行うと記載されており、事業化を図る上では、市がその内容を適切に確認して いくことが必要であると考えられる。 ・ 改修のスケジュールに関しては、工期を約5ヶ月間と比較的余裕のある期間に設定している ことは評価できる他、改修後の再開に向けた手続き等も的確に計画されている。 ・ 以上の点を総合的に判断して、本項目については、具体的に優れた提案があると判断し、「B」 と評価した。 ⑥ 運行計画の妥当性 ・ ロープウェー設備の更新により、運行に必要となる人員が効率化でき、ランニングコストを 縮減できるほか、設備の維持管理費用も圧縮できるとの提案がなされており、独立採算での
運行が可能になると期待できる優れた提案であると評価できる。 ・ 運行業務に必要となる技術を持った人員の確保についても、人材教育に関する一定の提案が あり、評価できる内容となっている。その他、運転・監視業務を適切に行うための手続きや 業務体制についても明確に示されている。 ・ また、天候による運休発生について、現行に比べて、強風時の運休が削減できるほか、落雷 発生時の運転復旧にかかる時間が大幅に短縮されるなどの改善の提案がある点も評価できる。 ・ 利用者からのニーズ・クレーム対応について、定期的な顧客満足度調査の実施が提案されて いるが、具体的なクレームの想定とクレームに応じた対応策、利用者の満足度を高めるため のソフト面での方策については明確な記述がない。 ・ 以上の点を総合的に判断して、本項目については、具体的に優れた提案があると判断し、「B」 と評価した。 ⑦ 維持管理計画・維持管理体制の妥当性、モニタリングの仕組み ・ 維持管理体制については、類似施設での経験者を配置するとしているほか、安全管理に関し ても、鉄道事業法や運輸安全一括法の趣旨を踏まえた提案(安全管理規程の作成・届出、内 部監査手続きの明確化等)がされていると判断できる。 ・ モニタリングに関しては、セルフモニタリングを主体とした各種の手続きが明確化されてい るが、さらにモニタリングの第三者性を高めつつ、事業遂行上のチェック体制の強化を図る ことが求められる。 ・ クレーム対応として、ハーブ園友の会をモニターとして位置づけ、業務運営に活かすことを 提案しているが、一般利用者からのニーズやクレームの扱いや対策についての言及がないた め、今後、ニーズやクレームを広く把握し、対応策を講じる仕組みを検討する必要があると 判断される。 ・ ロープウェー運行期間中の整備(点検、補修等)については、事業者としてのノウハウを活 かした整備計画が記載されており、継続的な維持管理品質の確保が期待される内容であるほ か、事業期間終了後も長期に亘る部品確保が可能と考えられる提案となっている点も評価で きる。 ・ 以上の点を総合的に判断して、本項目については、具体的に提案があると判断し、「C」と評 価した。 ■ハーブ園の運営事業に関する項目 ⑧ 収支計画の妥当性 ・ 収支計画のうち、構成企業への各種委託経費の内容や価格設定根拠など、必ずしも明確に示 されているとは言えない項目があるため、今後、これらの内容や設定根拠などを検証し、コ ストの適正化を図る努力が必要と判断される。 ・ なお、事業者が独立採算事業として行う収益事業(レストラン、売店等)について、事業者 が得た収益の市への還元がない提案となっているが、独立採算事業によって得られた収益の 一部をSPC 運営に必要となる間接経費に充当することで本事業に貢献する、と説明している。 自主事業の収益から間接経費への充当度合いについては、今後の協議の中で明確化すること が必要であると考えられる。 ・ 集客見込みに関しては、一体運営となるロープウェーと同様の需要予測が示されている。ハ ーブ園における魅力向上やイベント強化などの取り組みが利用者数の増加にどの程度貢献す るのかを明示しつつ、事業計画の具体化を進めていく必要があると判断される。
・ ハーブ園における施設の魅力向上策については、新たに「ハーブの足湯」と「軽食コーナー」 を設置するとの提案が示されている。今後、市の行う施設改修事業等にあわせて、運営者の 考えるコンセプトに合致したさらなる魅力向上策を検討・実施していくことが求められる。 ・ 以上の点を総合的に判断して、本項目については、具体的に提案があると判断し、「C」と評 価した。 ⑨ 運営計画の妥当性 ・ ハーブ園の運営事業に関しては、季節に応じたハーブをはじめとする植物の展示計画と、そ の計画に応じたイベント開催などの計画が明確に関連付けて示されており、着実な事業運営 が期待できる提案となっていると評価できる。 ・ ただし、個々の内容をみると、新たなイベントの提案が一部示されてはいるが、基本的に現 行の事業内容を踏襲したものとなっており、今後の業務実施に向けては、取り組み内容をさ らに詳細に検討していくことが望まれる。 ・ 運営体制については、現行に比べて人員体制が強化される提案が示されており、これによる 経営力の強化と魅力の向上が期待されるため、今後、運営計画を詳細化するにあたって、運 営改善策及び集客力向上策の具体化が図られることが望まれる。 ・ 運営方針として「新たな魅力、新鮮味を加えるような再整備」が記載されている点について、 足湯及び軽食コーナーの提案以外はすべて市が行うべき内容とされており、自らの取り組み の提案が少ない。また「新たな集客戦略」との記載についても、理念の表現はあるものの、 どのような魅力が付加され、利用者がどのような体験をできるのかが示されていない。 ・ 森のホールとグラスハウスにおける新たな展示の工夫については、ハーブの専門家や市の意 見も聞きながら展示内容を検討していくとしており、現時点で具体的な提案は示されていな い。ロープウェーの改修に合わせて一定の展示のリニューアルが実現するよう、早急な検討 が望まれる。 ・ 現行の有料ゾーンと無料ゾーンの区分を無くし、入園料をロープウェー料金と一体徴収する との料金収受方法が提案されているが、ハイキング利用者に対する対策など、今後、市等と の協議を綿密に行い、適切な対応を行う必要があると判断される。 ・ ハーブ園における収穫物を活用した商品の開発・収益事業の実施が提案されており、魅力向 上に貢献することが期待できる。ただ、ハーブ園が神戸市街地に隣接しているという強みを どのように活かすかという点については提案が見られないため、今後、ホテルやレストラン、 店舗といった近隣の園外諸施設やイベント等との具体的な連携策を講じる必要があると考え られる。 ・ 以上の点を総合的に判断して、本項目については、具体的に提案があると判断し、「C」と評 価した。 ⑩ 維持管理計画・維持管理体制の妥当性、モニタリングの仕組み ・ 維持管理業務のうち、植物管理については、植物の特性や四季の変化に応じた管理計画が明 確に示されている。特に、四季に応じたイベント(摘み取り体験)、月ごとの植栽花壇のテー マなどは明解に示されている。 ・ 植物管理以外の維持管理面については、施設・設備の保守や園内の清掃、警備など重要な業 務があるにもかかわらず、提案は現行業務における仕様書の記述にとどまっている。特に、 ハーブ園の施設・設備に関する予防保全の考え方や補修の水準の詳細化、方法・頻度の明確 化が今後必要と考えられる。 ・ 以上の点を総合的に判断して、本項目については、具体的に提案があると判断し、「C」と評 価した。
6 総評 本事業は、ロープウェー施設の改修・運営とハーブ園の運営を一体的にすることで、事業の効率性 と機動性を高めながら、長期契約による事業遂行の柔軟性を確保しようとするものであり、本事業へ の提案にあたっては、応募者による高度なノウハウの提案を求めることとなった。 また、施設の老朽化による利用者の減少などの問題を抱えていることから、応募者にとっては、長 期に及ぶ事業戦略の立案、的確な収支計画の検討など、非常に難しい課題への対応を求めることとな った。ここに、審査委員会として、改めて応募者の努力に対して敬意を表したい。 こういった難しい課題に対して、応募者の提案には民間事業者としての工夫がある程度見られる内 容であった。特に、ロープウェーの改修計画においては、大幅な機能向上を目指す提案がされたこと は評価でき、一定の加点評価を行うに足る提案であったと考える。しかしながら、今回の提案におい ては、上記の難しい課題に対して、限られた期間の中で解決策を見出し、提案書としてとりまとめる 必要があった事情もあったためか、提案全体としては具体性に欠ける内容であったことは否めない。 特にハーブ園については、審査委員全員が、さらなる魅力向上のための戦略と具体的な事業計画の詳 細化の必要性を強く感じたところである。 本事業の実施に向けては、本審査講評の記載内容、特に審査委員会で出された以下の意見を踏まえ ながら、市と事業者の間で十分な協議や調整を行い、業務の実施に向けた具体化・詳細化を行ってい くことを要請する。 【審査委員会意見】 ① 集客力向上に向けたコンセプト・戦略について ロープウェーとハーブ園が一体となった事業全体のコンセプト・戦略について、新たな魅力 を創出する観点から明確な方針を打ち出すとともに、提案書に記載された各種の事業について、 全体のコンセプト・戦略に基づきながら体系的に整理し、業務計画として示すこと。 ② 施設全体をプロデュースする人材の確保について 施設の一体性を活かしながら、俯瞰的な視点から施設全体をコーディネイトしつつ、各種の 事業相互の相乗効果を発揮できる工夫やマネジメントをすることのできる有能な人材を早期 に確保し、事業実施前から充分な準備を行うこと。 ③ 利用者変動時の対策について 利用者の予測(需要予測)について、市場や利用者動向の変化など外部要因とともに、事業 者としての戦略や魅力向上の取り組みなど内部要因をも踏まえた予測を臨機応変に行い、それ に対する事業者としての対策を予め想定しておくとともに、需要変動時には適切な対応を行う こと。 ④ モニタリングについて 各業務の遂行状況を検証し、必要である場合には迅速に対応するためのモニタリングの仕組 みについて、構成企業によるモニタリングの透明性・第三者性を高めるよう常に留意しながら、 実際のモニタリング手順や各種報告・協議のための手続き、改善策の立案・実施方法などを詳 細化すること。なお、詳細化にあたっては、市の行うモニタリングとの整合を図り、より効果 的かつ有効な検証ができるよう、工夫を行うこと。
⑤ 集客魅力・サービスの向上を図るための関係者協議会等の活用について 本事業の集客魅力・サービス向上を図るためには、事業者によるセルフモニタリング及び市 によるモニタリングによる継続的な業務改善だけでなく、幅広く第三者・外部の知見を吸収し、 経営改善を行う仕組みが必要であると考えられる。 事業契約締結後、設置される関係者協議会(事業契約書(案)第3 条及び長期協定書(案) 第3 条に記載)においては、市と事業者間の情報・意見交換のみに止まらず、外部の専門家(集 客・展示施設関係の事業アドバイザー等)からの助言・アドバイスを取り入れ、新たな集客戦 略や経営改善を積極的に推進する仕組みを導入すること。 ⑥ ロープウェーの料金設定等について ロープウェーの料金値上げや割引制度等の見直し、ロープウェーとハーブ園の料金の一体化、 料金収受方法等については、提案書に記載された内容をもとに、市との綿密な協議を行い、適 切な解決策を講じること。 ⑦ ロープウェーの設計・改修業務等における品質確保について ロープウェーの設計・改修業務等の実施においては、市をはじめとする関係者との協議・連 絡体制を明確に構築し、必要な時点に応じて報告・協議を行うほか、各業務の品質確保に向け て、各種のモニタリングの手続きとの整合をとった品質管理体制を構築すること。 特に、安全を第一に考えた設計・施工及び運営を遂行し、緊急時には市をはじめとする関係 各機関への迅速な連絡・報告を行うこと。 ⑧ ロープウェーの運行業務におけるソフト面での品質向上について ロープウェー施設・設備における機器性能の向上をさらに確実なものとするために、運行業 務におけるソフト面の対策(利用者へのホスピタリティの向上策や、繁忙期における利用者対 応策など)について、業務品質を高い水準に保つような取り組みを講じること。 ⑨ ユニバーサルデザインについて 提案書に示されたバリアフリーに関する事項のみならず、施設全体が誰にとっても優しく使 いやすい施設となるよう、ユニバーザルデザインに関する方針と対策を定め、ソフト・ハード の両面からの取り組みを進めること。 ⑩ 事業全体に係わる環境配慮の考え方・対策について 社会的な要請として重要なテーマである環境配慮・環境共生については、本事業のあらゆる 業務が地球温暖化に深く影響しているとの認識を持ち、事業全体としての環境配慮の方針を定 めるとともに、環境配慮対策については業務全般を網羅したものとなるよう努力すること。特 に、上記を踏まえたKEMS の認証取得及び実施を行うこと。 ⑪ 市への提案事項に関する協議について 事業者が市に提案している事項(ロープウェー山麓駅周辺のアクセス改善、ハーブ園におけ るバリアフリーへの取り組みなど)は、事業者提案の前提となるものではないが、ロープ ウェー及びハーブ園の利便性と魅力をより高めていく上での課題であると考えられる。 市への提案事項については、市と事業者が協議を行い、本事業がより良いものとなるよう両 者が努力すること。 ⑫ ハーブ園施設において市が行う改修事業等に関する協議について
ハーブ園については園内の建物・設備等の老朽化が進行しているため、市としても今後改修 等を実施していく予定であるが、その改修にあたっては、運営を担う事業者として、できるだ けの支援・協力を行い、施設がより魅力あるものとなるよう両者が努力すること。 ⑬ 各種経費の明確化と適正化について 本事業が公的性格を持つことを念頭に置き、各種事業経費の明確化及び適正化を常に意識し た事業経営を行うこと。