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経営管理論の授業で実施したキャリア教育

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Academic year: 2021

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Ⅰ.要約

 この論文は,2013 年度,東京都立産業技術高等専 門学校荒川キャンパスの 5 年選択科目「経営管理論」 で実施した教科に関係した進路指導の内容を紹介した ものである。今まで科目内で実施していた進路指導は, 就職対策などの経営学の内容とは言えない単発的なも のであった。この内容を修正し,経営学や心理学から いくつかの理論を取り入れて,就職等の進路を考えて いこうとする教育内容に改めた。学生に「仕事と人 間」のマッチングや,就職活動をどのようにとらえて, 克服していくかを考えさせ,企業側の要望や労働問題 を取り上げるなど,経営学に関係した現代社会・「よ のなか」を学習する内容となった。  キーワード:キャリア教育,経営学,進路指導,就 職活動,マッチング,NIE(教育に新聞を)。

Ⅱ.はじめに

 筆者が,1996 年度(平成 8 年度)に東京都立航空工 業高等専門学校に着任した当時は,この科目は政治学 系の国際関係論であった。その後,2003 年度(平成 15 年度)に,一般科目のカリキュラム改革に取り組 んだ時に,経営学がない状態を残念に思い,学生の ニーズに応えて国際関係論を経営学に変更した。その 結果,工学の学校でありながら,国立大の経済学部へ 3 年次編入していた少数の学生に加えて,経営学部へ の編入も可能となった。同時に,機械製造業や専門 サービス業などの大企業の就職に対して,組織論的な 経営学の授業を展開したことで,社会との接続性を高 める教育になった。  2006 年度(平成 18 年度)には,航空高専が廃校と なり,東京都立産業技術高等専門学校(以降,産技高 専,あるいは本校)が開校したのにともない,2 キャ ンパス間の調整により経営学は経営管理論となったが, 内容は経営学と同じである。同時にインターンシップ やキャリアデザインなどの新規科目が設置され,その 説明は過去の学会で発表した。高専の廃校と新設とい う難題に取り組み,本校における必要な社会科教育と は何かを考えてきたが,政治経済を基礎とし,経済学, 経営学,インターンシップ,キャリアデザインがシス テム的に展開できるようになったので,筆者の考えて いる教育(高専生が円滑に社会人になっていくための マッチングの支援)は,ある程度実現できた。そこで, 今回の論文では,経営管理論の前半で展開している進 路指導に関係する教育単元を紹介する。

Ⅲ.科目の概要

 経営管理論の科目概要は,表 1 のとおりである。学 年配当は,高専5年生で20歳相当である。通年科目で 2 単位,30 週の授業がある。授業は 1 週 50 分× 2 コマ を連続で実施する。4 月〜 7 月頃は就職活動があり, 学生は進路決定に気持ちを集中させている。そのため, 第 2 〜 9 回まで,就職活動を支援する教育内容とした。 この結果,学生の出席率は大変よく,就職試験日以外 の欠席はほとんど発生していない。受講生の人数は表 2 にあるとおり,増減して安定していない。5 年生は 4 クラス,160 名が定員となっており,同時限に開講す る授業は,この科目を含めて 6 科目である。学生は 6 つの授業の中から 1 つを選ぶ。  授業の 10 回目以降は,経営学の入門的な内容であ る。学生にとって,退屈な座学であるが,大企業への 就職と,経営学部への大学 3 年次編入の実績があるた め,経営学の基礎知識を学ぶ座学を重視している。  評価は,前期・後期試験のほか,中間試験にかわる ものとして年間 10 枚ぐらいの問題を解く形式の課題 がある。評価方法については後述する。教員は,昔か ら常勤 1 名を配置している。この科目に対する固有の

経営管理論の授業で実施した

キャリア教育

The Journal of Economic Education No.33, September, 2014 Career Education That Was Carried out in the Class of

Business Administration

Tanaka, Jun

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教材費はほとんどない。  主に筆者の担当する関連科目の流れは以下のとおり である。いずれも 2 単位,人数はおおよその数である。 政治経済(3 年必修,約 160 名) → 経済学(4 年選 択,約 35 名),キャリアデザイン(4 年選択,約 30 名),インターンシップ(4 年選択,約 80 名) → 経 営管理論(5 年選択,約 20 名)で,学生は全科目を受 講可能である。キャリアデザインやインターンシップ (研究所や大学への体験も含む),経営管理論の前期部 分が,学生の進路決定に役立っており,就職活動の教 科教育的な支援となっている。経済学や経営管理論で は,毎年,若干名の経済学部・経営学部への編入学が 発生する(過去 14 年間で 24 名)。

Ⅳ.各回の授業の内容

1.授業一覧  今回説明する第 2 〜 9 回の授業の内容は,表 3 のと おりである。第 1 回目のガイダンスの説明は省略した。 また,Ⅳ− 2 からⅣ− 9 で説明する参考文献は表 3 に まとめて掲載した。 2.第 2 回 企業組織と技術業務  第 2 回は,なぜ大卒が 3 年以内に 3 割離職するかを, 個人ワークで考えさせた。学生からは,「考えていた 仕事とちがう」「給与や残業代などの待遇が悪かった」 「労働時間が長い」「人間関係が悪い」などの意見が出 た。次に,企業組織(部や課など)と製品開発の流れ を回答させ,高専卒として,どの組織と,どの仕事に 配属されるかを考えさせた。次に,インターンシップ 先や就職先資料を配付し,「技術業務」についてのイ メージを持ってもらい,就職活動における高専卒らし いマッチングの方法を皆で考えた。  第 2 回の個人ワークでは,離職する理由を考えた部 分が労働経済的な学習で,製品開発の流れや組織図か ら部・課を考えたりする部分が経営学的内容となった。 技術業務について考えさせたり,マッチング方法を想 表 1 科目概要 2013 年度 科目・単位 経営管理論  5 年生,通年,2 単位,一般選択科目,担当:田中淳(常勤) 受講生 5 年生 19 名,ものづくり工学科 4 コースから共通選択 時 間 月曜 5・6 時限(50 分× 2) 前期 15 週,30 時限 後期 15 週,30 時限 授業概要 米国の伝統的な経営管理論の諸理論と,経営戦略論,経営組織論,経営思想史,仕事とキャリアとの関係などの基礎的な知識を学ぶ。各授業において,企業経営に関連した産業動向の説明も行う。 進め方 教科書と,教科書をもとに作成したプリントを使って講義を進める。必要に応じて新聞記事等のプリントも使用する。テキストは参考文献[1]である。 評価方法 定期試験の累積点と小課題の累積点を出し,出席状況の平常点も考慮し,総合的に判断する。 回数(週) 前期の内容(予定) 第 1 回 ガイダンス 授業内容,評価について,経営学とは何か 第 2 〜 9 回 企業と就職活動,仕事と人間 新卒採用などの企業の採用活動や,労働市場,仕事の内容を理解し,自己分析や人材開発を学ぶ 第 10 〜 11 回 資本主義経済の発展と経営 専門経営者の登場と経営者支配の歴史的流れを理解する 第 12 回 日本の企業集団の形成 太平洋戦争後の日本企業の動向から,企業集団の形成を理解する 第 13 〜 14 回 経営思想史 科学的管理法と人間関係論,行動科学の流れについて,理解する 第 15 回 前期試験 後期の内容(予定) 第 16 〜 18 回 人間関係論と行動科学 人間関係論と行動科学の様々な理論を概説的に理解する 第 19 〜 21 回 事業部制組織 企業の組織的変化を学び,事業部制などを理解する 第 22 〜 23 回 経営戦略 プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントや,ポーターの競争戦略を理解する 第 24 〜 25 回 資源管理 組織能力や,生産要素などを理解し,資源管理について考える 第 26 〜 27 回 経営組織と組織間関係 株式持ち合いや系列化などを学習し,経営の組織間関係を理解する 第 28 〜 29 回 経営とリーダーシップ 経営者のリーダーシップや,ミドルのリーダーシップを理解する 第 30 回 後期試験 (注)表中の網掛けの部分が今回の発表内容である。 表 2 近年の受講生の推移 数字:人 年度 受講生 各工学コースの内訳 (参考) 情報 通信 ロボット 航空宇宙 医療福祉 不可となった人数 2010年度 16 7 3 1 5 (0) 2011年度 8 3 3 1 1 (1) 2012年度 11 1 3 6 1 (2) 2013年度 19 8 4 1 6 (0)

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像させたりする部分は,仕事の理解,職能などの学習 になっている。 3.第 3 回 自己分析   第 3 回 は,4 種 類 の 異 な る 自 己 分 析 を, セ ル フ チェックシートへの記入と,カードの分類作業で実施 した。1 番目の自己分析は,自分の性格が内向的か外 向的かの分析であった。2 番目の自己分析は,自分が 確実性か不確実性を好むかという「好む職場環境を知 る」分析であった。3 番目の自己分析は,キャリア・ ディレクションと呼ばれる仕事に対する志向性(方向 性)を判定するチェックシートを用いた。4 番目の自 己分析は,カードを用いて自分の性格の強みを知る 「マイストレングス」テストを実施した。  第 3 回の個人ワークでは,特に 3 番目のチェック シートを用いてキャリアの志向性を測る部分が,エド ガー・シャインのキャリア・アンカーにつながる経営 学的な学習内容であった。 4.第 4 回 面接対策,履歴書,志望動機  第 4 回の面接対策では,面接のケーススタディと, 過去の面接練習で発生した失敗例を学習した(面接練 習は別途やっているため省略した)。履歴書の書き方 では,実際に学生が間違える点を注意した。志望動機 では,書けない学生が多いので,作成するきっかけと なるヒントを講義した。第 4 回は,採用選考における 全般的な流れと,就職活動対策を学習したことになる。 5.第 5 回 志望動機の間違い探し,企業探索  第 5 回は,過去に発生した志望動機の失敗例につい て説明し,「志望動機の間違い探しシート」で間違い 探しを演習した。企業探索では,学生に会社四季報を 閲覧させ,企業の立ち位置,事業内容,規模,従業員, 資本関係,簡単な財務を把握させ,個人ワークシート に記入させた。  第 5 回の企業探索では,会社四季報を教材にして, 企業概要を書かせ,財務内容や従業員数,場所などを 調べていく作業で,企業論のような学習ができた。海 外比率や,従業員数に対する売上高(一人あたりの売 り上げ)の比較などは経済の学習でもあった。 6.第 6 回 欲しい人材とは,社会人基礎力  第 6 回は,人事部長による欲しい人材の新聞記事を 配付し,社会人として,求められている能力を把握さ せた。合わせて,エンプロイアビリティや社会人基礎 力,コンピテンシー面接などを紹介して,就職活動に おける高度なマッチング方法について学習させた。  第 6 回の個人ワークでは,エンプロイアビリティ (雇用されうる能力)の構成要素や,社会人基礎力の 定義で労働経済的な内容と,ハメルとプラハラッドの コア・コンピタンス(中核競争力)の部分が,経営学 的な内容である。人事担当者の欲しい人材の新聞記事 を読ませた部分は,コンピテンシー(高い業績をあげ ている人の行動特性)に基づく,コンピテンシー面接 (上記のことを確認する面接方法で,今まで苦労した 表 3 授業一覧  2013 年度実施後 週 実施日 授業内容 使用した教材 教材の参考文献 第 1 回 4 月 15 日(月) ガイダンス 授業プリント 2 枚 参考文献[1] 第 2 回 4 月 22 日(月) 企業組織と技術業務 授業プリント 2 枚,就職先・イ ンターンシップ先 6 枚,課題 1 参考文献[2][3][4] 第 3 回 5 月 13 日(月) 自己分析 授業プリント 4 枚,マイストレ ングスカード 参考文献[5][6] 第 4 回 5 月 20 日(月) 面接対策,履歴書,志望動機 授業プリント 3 枚,白紙の履歴 書 参考文献[7][8][9][10] 第 5 回 5 月 27 日(月) 志望動機の間違い探し,企業 探索 授業プリント 2 枚,会社四季報 参考文献[10][11] 第 6 回 6 月 10 日(月) 欲しい人材とは,社会人基礎 力 授業プリント 2 枚,新聞記事 4枚,社会人基礎力 1 枚,課題 2 参考文献[12][13] 第 7 回 6 月 17 日(月) ミスマッチ,不合格の原因, 意思決定の類型 授業プリント 2 枚 参考文献[14][15][16] 第 8 回 6 月 24 日(月) 気持ちのコントロール,人事 部長の本音 授業プリント 2 枚,人事部長の本音 2 枚,学校基本調査 1 枚, 雑誌記事 2 枚,課題 3 参考文献[17][18][19] [20][21] 第 9 回 7 月 1 日(月) 新聞記事からみる労働問題, 内定後,授業の振り返り 授業プリント 2 枚,新聞記事 4枚,課題(感想,採点対象外)[25][26][27][28][29]参考文献[22][23][24] 第 10 回目からは経営学の諸理論の学習に入る

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経験は何ですかとか聞いてきて,深く掘り下げていく やり方である)の存在を学習させている。 7.第 7 回 ミスマッチ,不合格の原因, 意思決定の類型  第 7 回は,過去に不合格となった事例をあげ,どう して不合格になったのかを説明し,実際のマッチング の厳しさを講義した。不合格の原因は,筆者が就職支 援室を担当した時に発生した実例がほとんどである。 次に意思決定スタイルを学習し,就職活動において, 心理的にどのような類型が見られるかを分析した。  第 7 回では,心理学からカーニーとディンクリッジ の意思決定論を,就職活動に援用したものを学習し, 経営学では,サイモンの満足化原理における意思決定 論を学んだ。この授業では,なかなか態度を示さない 学生が,なぜ進路決定で不利になっていくかが理解で き,感心した学生が多かった。 8.第 8 回 気持ちのコントロール, 人事部長の本音  第 8 回は,人事部長の本音が書かれている雑誌記事 (参考文献[19][20])を配付し,個人ワークで学生 に意見を書かせた。就活では落ちてくる学生もいたの で,気持ちのコントロールについて講義した。また, 進学する学生に対して自由応募の状況や大学院生の就 職について講義した。  第 8 回では,落ちる理由はミスマッチにあるが,人 事担当者と学生との一致を見ないと内定はでないとい うことで,特に,面接現場では,企業側と学生側の 「情報の非対称性」が生じることを,過去の講義のプ リント(不合格の原因)もまじえて,学習させた。  受講生には進学する学生もいるので,「応募者ラン キング(参考文献[21])」で大卒新卒採用の受験倍率 の状況を把握する労働市場を学ぶ部分と,「学校基本 調査」で,高専卒と大卒,修士卒,博士卒の就職状況 を比較して,特に大学院卒の労働市場のミスマッチを 学ばせた。  また,「人事部長の本音」のプリントを配付して, 作文の課題をすることにより,約 10 年前に人事部長 が学生をどう見ていたかを知り,その後,さらにこの 認識が定着して,就職活動がより困難になっていくこ とを学習させた。この部分は企業の採用政策,人材開 発と関係する部分である。 9.第 9 回 新聞記事からみる労働問題, 内定後,授業の振り返り  第 9 回は,労働問題について,まとめのプリントと 多数の新聞記事を配付し,内定取り消し・新卒切り・ 試用期間・サービス残業・派遣業などの諸問題を学習 させた。この回は,新聞記事から労働問題を学ぶと いった内容で,知識として学んだ内容は,「新卒切り」 「職場でのパワハラ」「内定取り消しとその理由」「試 用期間」「就業規則」「時間外労働時間」「サービス残 業」「残業代と家計との関係」「人材派遣業の種類」 「請負」であった(参考文献[22]〜[29])。これらの 記事を読むと,就職の動機付けには逆効果と思われる が,「よのなか」の勉強ということで問題は生じてい ない。  こうして 7 月頃には,学生の進路が決定してきたの で,この教育単元を終了し,10 回目からは,経営学 の諸理論の学習に移行した(表 1 の科目概要を参照)。

Ⅴ.評価方法

 経営管理論の評価方法は表 4 のとおりである。第 2 〜 9 回の授業では,授業中による個人ワークが多いこ とと,経営学の知識的内容が少ないため,試験ではな く,表中の網掛けで示した課題 1 〜 3 で評価した。 2013 年度の学生は,評価 9 が 11 人,評価 8 は 6 人,評 価 7 は 2 人で,評価 10 や不可はいなかった。

Ⅵ.受講生の動向

1.進路状況  受講生の進路結果は表 5 のとおりである。本校全体 では,進学約 4 割,就職約 6 割であるから,受講生は 進学が特に多くなっている。しかしながら,例年,進 学が多いというわけではない。今年度は成績上位者で 友人同士という受講生が多かったためと思われる。大 学編入学のうち 1 名は経済学部に進学した。 2.受講生の感想  受講生の授業の感想としては,「もっと早い時期か ら受講したかった(今頃やるのでは遅すぎるという意 見もあった)」「会社四季報の見方など,もっと企業探 索について早く聞いておけばよかった」「自己分析の 大切さがわかった。カードを使っての自己分析がよ かった」「就職活動の進行と合わせて授業の有効活用 ができた」「キャリアデザインの時のようにグループ

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学習を入れた方がよかった」「文章をもっとかかせた 方がよい」「社会人としてのマナー講座が欲しい」「ダ メな例だけでなく良かった例を挙げると良い」「人事 部長の本音は有益な情報だった」「学生たちの中小企 業への興味を高めることが必要」「民間企業以外の公 務員や自営業への情報も欲しかった」「自分のコア・ コンピタンスを固めていきたい」「進学希望の学生に も役に立つと思われる」などであった(いずれも要 約)。

Ⅶ.終わりに

 理論的な結論はないが,まとめとしては,①就活の 指導は,経営学,経済学,心理学など,様々な要素を 持っているから,1 つの教科教育ではぼやけてしまう (経営学を学んでいる感じは薄れる)こと。②個々の 理論を事例に応用するのは,検証されていない部分や 例外が多く,難しいこと。③利点は,経営学や経済学, 心理学が,自分たちの意思決定(この場合は進路)に 役立つと興味を持ってもらえること,などがある。  経営管理論における教科的な進路指導の試みは,ま だまだ発展段階といった感じである。学生が,企業組 織や技術業務を考え,キャリア・ディレクション,エ ンプロイアビリティ,コア・コンピタンス,意思決定 論などを学習し,会社四季報や労働関連記事を読む 様々な内容を含んでいるが,この時期の学生たちの興 味・関心は進路決定に集中しているため,教科教育的 な内容は,あまり意識されないで終わっているのが残 念である。  しかしながら,理系学生が「よりよく生きる」ため には,経済学や経営学,心理学,倫理・哲学を含む複 合的な学びも必要で,そこから得られる価値観や意思 決定は重要である。  最近では,本校において,就職活動の推薦(斡旋) で不合格が増加してきており,学生の就活は厳しい状 況になってきている。元々,基礎的な工学教育を中心 としているから,就職に苦労しなかったわけだが,将 来的な見通しを持たない,無気力的な,履歴書を書こ うとしない学生が出てきていて,教科教育以前の問題 に筆者は戸惑っている。この授業で,初めて学生が, 仕事(技術職の意味など)や経営組織(子会社や事業 所採用など),企業の欲しい人材はなにか,企業の業 界での位置付けを学ぶことも多い。そういった自分た ちでは実感のわかなかった内容を教えることで,就職 活動するきっかけ(あるいはやらなければならない気 持ち)を与えている。「よのなか」を学習してマッチ ングを図ろうとしているのである。経営学や経済学は, 生きていくための有用な方法が得られる学問で,キャ リア教育との相性も良いが,現実の事例で上手に使う のは難しい面があり,今後も進路決定に役立つ教科教 育の手法的研究が必要と思っている。 参考文献 [1] 塩次喜代明・高橋伸夫・小林敏男(共著)『経営管理 新 版』有斐閣,2009 年 4 月 15 日発行. [2] 東洋経済新報社(編)『就職四季報』東洋経済新報社,各 年版. [3] 東京都立産業技術高等専門学校(編)『学校要覧』各年度 版.※進路結果のデータがある. [4] インターンシップ室(編)『インターンシップ報告書』東 京都立産業技術高等専門学校,各年度版. [5] 田中淳・松村直樹(共著)「インターンシップの事前指導 表 4.評価方法 2013 年度 試験 33% 課題 50% 平常点 17% 合計 100% 前期試験 後期試験 課題 1 〜 3 課題 4 〜 8 平常点 合計 100 点 100 点 100 点 200 点 100 点 600 点満点 定期試験は 200 点,課題 1 〜 3 は今回発表部分,課題 4 〜 8 は教科書を読み各問に答える課題,平常点は 100 点から欠席・遅刻 等を減点,合計 600 点。試験:課題:平常点= 2:3:1。合計点÷ 600 × 100 の計算式から,95 〜 100 は評価 10(10 段階),85 〜 94 は評価 9,75 〜 84 は評価 8,65 〜 74 は評価 7,60 〜 64 は評価 6,60 未満は評価 5 以下で不可となる。 表 5.経営管理論受講生の進路 2014 年 3 月 17 日現在 受講年度 進学を希望 就職を希望 合 計 2013 13 人 68% 6 人  32% 19 人 100% (内 訳) 大学編入学 専攻科進学 留年 就職内定 就職(未決定) 合 計 10 人 53% 2 人 11% 1 人 5% 6 人 32% 0 人  19 人 100% 首都大学東京 3,長岡技術科学大 2,群馬大 1,信州 大 1,千葉大 1,東京農工大 1,山形大 1 就職は,情報産業や運輸業,専門サービス業など (注)専攻科は本校卒業後,2 年制で設置されている課程である。留年 1 名は大学に合格していたが卒業できなかった。

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と連動したキャリアデザインの教材開発」,『経済教育第 30 号』,経済教育学会,2011 年 10 月,pp.161-168. [6] 田中淳・松村直樹(共著)「産業技術高専におけるキャリ アデザインの授業」,『経済教育第 31 号』,経済教育学会, 2012 年 9 月,pp.84-91. [7] 就職総合研究所(編)『履歴書 志望動機 自己 PR の書き 方』ごま書房,1994 年 4 月 30 日発行. [8] 就職総合研究所(編)『96 年度版 履歴書 志望動機 自己 PR の書き方』ごま書房 ,1995 年 1 月 30 日発行. [9] 就職総合研究所(編)『2001 年度版 就職の準備・受験方 法・筆記・面接・内定 法則』ゴマブックス,1999 年 11 月 30 日発行. [10]就職総合研究所(編)『2001 年度版履歴書志望動機自己 PR エントリーシートの書き方』ゴマブックス,1999 年 12 月 20 日発行. [11]『会社四季報』東洋経済新報社,※教材では過去 5 年分を 使用した. [12]「キーパーソンメッセージ(人事担当者のメッセージ)」 『日本経済新聞』,日本経済新聞社,2009 年 10 月 15 日第 二 部 日 経 就 職 NAVI2011,pp.24-25, 同 10 月 16 日 pp.30-31. [13]経済産業省『社会人基礎力』プリント※授業で使用した も の は す で に ホ ー ム ペ ー ジ に は な い が, 別 の 説 明 が http://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/ にあった. [14]リクルート『GCDF-Japan キャリアカウンセラートレー ニングプログラムテキストブック』株式会社リクルート. [15]『カーニーの意思決定スタイル』上記,参考文献[14] p.215 に有り. [16]『ディンクリッジの意思決定スタイル』http://career. michikusa.jp/theory/dinklage/,および,参考文献[14] p.217. [17]文部科学省『学校基本調査(平成 23 年度)』,http://www. mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/1267995.htm よりエクセルの統計表を抽出. [18]「大学教員もワーキングプア」『週刊東洋経済』,東洋経済 新報社,2008 年 10 月 18 日号,pp.66-67. [19]「人事部長の本音」『週刊ダイヤモンド』,ダイヤモンド社, 2000 年 4 月 15 日号 ,pp.65-65. [20]「人事部長の本音」『週刊ダイヤモンド』,ダイヤモンド社, 2001 年 4 月 21 日号 ,pp.156-157. [21]「応募者数ランキング 100 社」『週刊東洋経済』,東洋経済 新報社,2010 年 11 月 13 日,p.59. [22]「新卒切りに気をつけて」『朝日新聞』朝日新聞社,2010 年 5 月 24 日朝刊 p.12. [23]「内定 496 人が返上」『朝日新聞』朝日新聞社,2009 年 3 月 27 日朝刊 p.38. [24]「内定取り消し 427 社 2083 人」『日本経済新聞』日本経済 新聞社,2009 年 5 月 1 日朝刊 p.34. [25]「お試し期間油断大敵」『朝日新聞』朝日新聞社,2007 年 4 月 26 日朝刊 p.29. [26]「定職に就かない若者たち」『日本経済新聞』日本経済新 聞社,2007 年 5 月 8 日朝刊 p.28. [27]「時間外ゼロ,手取り激減」『朝日新聞』朝日新聞社, 2009 年 6 月 2 日朝刊 p.24. [28]「現場が壊れる①倒れた工員箱に隠す」『朝日新聞』朝日 新聞社,2008 年 3 月 7 日朝刊 p.34. [29]「過労自殺訴訟ニコンなどの賠償増額」『日本経済新聞』 日本経済新聞社,2009 年 7 月 29 日朝刊 p.38.

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