要旨 2015 年に信州大学で教職課程科目を履修している大学 1 ~ 4 年生 188 名に貨幣錯覚に関するアンケート調 査を行った結果,理科系学部の学生の中にはインフレーション・デフレーションなど高等学校までの基本的 な経済事項の習得が不十分な学生が存在することが明らかになった。さらに,貨幣価値を変化の絶対額で捉 える学生も存在している。本稿は, 学生が変化の激しい現代をたくましく生き抜く力を育成する必要がある との問題意識に基づき,大学生が基本的な金融リテラシーを身に付け,主体的に消費生活を営むことができ る賢い消費者を育成するための学習単元の開発を試みたものである。 キーワード:教職課程,インフレーション,デフレーション,貨幣錯覚,金利
Ⅰ.はじめに
筆者は,これまで中学生と高校生に対し貨幣錯覚に 関するアンケート調査を実施し,その傾向を分析して きた1・2)。その結果,中学生も高校生も同じように貨 幣錯覚を起こすことを明らかにした。本研究では,教 職課程を履修している大学生にも同様の傾向があるの かどうか調査・分析することを通して,中学校・高等 学校・大学を通した金融に関する消費者教育を系統性 あるものとするために行ったものである。 2 ~ 3 年後には多くの学生が社会人となり企業等か ら給与を支給されながら生活することとなる。企業等 の正規職員(非正規も含む)となれば恒常的に所得税 をはじめ,住民税・各種保険料等を納めることとなる。 社会人(消費者)としてよりよい生活を送るためには 好況・不況,インフレーション・デフレーションに影 響を受けることを想定し,貨幣価値に関して適切に判 断する力が必要となる。また,世の中に氾濫している 各種金融商品の利回りを計算する能力も重要となる。 これらの能力を向上させることによってさまざまな経 済状況に応じて自分の保有資産の現在価値を正確に把 握することができるようになり,将来の生活設計を正 確に描くことができるようになる。 そこで本研究では,インフレーション・デフレー ション時を想定した大学生の貨幣錯覚に関する実態を 把握し,主体的に消費生活を営むための基本的な金融 リテラシーを身に付けて行動できる賢い消費者2)を育 成するための学習単元の開発を試みた。具体的方策と して,近い将来,教師として中学生・高校生に教える 立場に立つ教職課程を履修している大学生に貨幣錯覚 に関するアンケートを実施・結果を分析することを通 して大学生の課題を明らかにし,主体的で賢い消費者 を育成するための学習プログラムを開発した。Ⅱ.研究の方法
1.先行研究との関連 我が国の貨幣錯覚に関する研究として林由子3),髙 野昌也4)の研究がある。林は,日本のマクロデータを 用いて貨幣錯覚がどの程度消費行動に影響しているか の分析を行った。推定ではあるが,消費の変動に占め る変動要因は約 2%とあまり影響を与えないことを示 した。髙野は,貨幣錯覚に陥る個人が貨幣の持つ名目, 及び実質的価値の変動にいかなる影響を受けるかを日教職課程履修学生に対する
金融に関する学習プログラム開発
─貨幣錯覚に関するアンケート分析を
手がかりとして─
The Journal of Economic Education No.36, September, 2017A Learning Program Development on Financial Literacy for the Students of the Teacher-Training Course: An Analysis of a Questionnaire Survey on Money Illusion
TAMURA, Yoshimichi
本在住の 20 代の男女に対しインターネットを通じて アンケート調査を行い,その結果を分析したものであ る。この結果,個人が貨幣の名目価値と実質的価値の 一定以上の乖離に強く反応すること,及び,名目価値 の下落を極端に回避する傾向があることを明らかにし た。 林,髙野両者ともにアンケート調査を実施し,個人 (消費者),家計の貨幣錯覚による判断(選択)の傾向 を明らかにしているが,貨幣錯覚そのものに関する分 析であり,個人が貨幣錯覚(実質価値よりも名目価値 を重視する)という傾向を把握しつつ,いかにしたら 実質的な価値を重視するようになるかの学習プログラ ムの開発は行っていない。中等教育における社会科教 育の領域で貨幣錯覚に関連した内容の試みとして田村 の研究がある。それは,中学 3 年生を対象に社会科公 民的分野における金融を中心とした消費者教育学習プ ログラム開発においてインフレーション・デフレー ション時における給料の増減に関する内容を開発教材 の中に組み入れたもの5)と人間の心理的判断の特性に 着目して研究実践を行ったもの6)がある。さらに,高 等学校公民科における教材開発の中にフレーミング効 果に関するものを組み入れたものがある7)。 しかし,田村がこれまでに構想・開発したものは貨 幣錯覚を中心とした学習プログラムではない。そこで 本研究では,林,髙野が実施したように貨幣錯覚に関 するアンケート調査を信州大学の教職課程を履修して いる大学生に限定して実施した。近い将来,教壇に立 つ可能性がある大学生がどのような判断を下すのか, そして,その理由を分析することを通して,適切な金 融リテラシーを身に付け、主体的に消費生活を営むこ とができる賢い消費者を育成するための大学生向け学 習プログラムの開発を試みた。 2.事前調査における学生の判断傾向に関する 実態 (1)アンケート調査に関して 大学生の貨幣錯覚に関する判断傾向を把握するため に2015年6月下旬にアンケート調査を実施した。調査 対象学生は信州大学の教職課程履修学生 188 名(1 年 生:理学部 67 名,農学部 31 名,繊維学部 32 名,工学 部 19 名,人文学部 32 名,2 年生:理学部 2 名,3 年 生:理学部 1 名,人文学部 1 名,4 年生:医学部保健 学科 3 名)である。保健学科の学生は将来,看護専門 学校等での教員資格取得のために履修している学生で ある。 調査内容は,インフレーションとデフレーションに 関する以下 3 つである。 問 1 ① あなたは信濃大学を卒業して,X 電力という会 社に入社しました。 あなたの 1 年目の給料は年収 300 万円でした。 入社 1 年目はインフレ(物の値段が継続して上 がること)がありませんでした。しかし,入社 2 年目はインフレがありました。 給料は 10%(30 万円)上がりました。インフレ 率は 5%でした。 あなたが,「給料が上がったぞ!」と思えるの はいくらですか? 問 2(問 1 とは別の設定とする) ② 学生時代のサークルの後輩である B さんは,あ なたの 2 年後に Y 商事に就職しました。入社 1 年目はあなたと同じ年収 300 万円でした。しか し,2 年目は給料が 5%(15 万円)減りました。 デフレ率は 5%でした。あなたは B さんが「給 料が減った!」と思うのはいくらだと考えます か? 問 3 信子さんと州子さんという 2 人姉妹がいました。 最初に姉の信子さんが 4,000 万円で家を買い,3 年後にその家を 3,000 万円で売りました。次に, 妹の州子さんは 4,000 万円で家を買い,3 年後に 5,000 万円で売りました。 このとき,信子さんは州子さんに言いました。 『よく考えてみると,私が家に住んでいた 3 年間 は 30%でデフレーションだったから,3,000 万円 で家が売れたのは得をしたことになるわ。』 すると州子さんは言いました。『お姉さん,私が 家に住んでいた 3 年間は 30%のインフレーション だったけど,5,000 万円で家が売れたのだから, 絶対私の方が得をしているわ!』 あなたは信子さんと州子さんのどちらが得をした と考えますか。その理由も書いて下さい。 (2)アンケート結果と分析(紙幅の都合上全体の数 値のみ) アンケート回答学生 188 名の結果 ①問 1 に関して 問いは「自分の実感値」はいくらかであるが,実際 の損益分岐点となる金額は 315 万円超(315 万 1 円以 上)である。一番近い数値として 316 万円(16 万円)
と回答した学生は 3 名(1.6%)であった。このことか ら,インフレに関して名目値と実質値の把握があまり できていないことが明らかとなった。 ②問 2 に関して 問 1 同様に「自分の実感値」はいくらか,というも のであるが,実際の損益分岐点となる金額は 300 万円 未満(299 万 9999 円)である。一番近い数値として 299 万円(-1 万円)と回答した学生は 3 名(1.6%)で あった。このことから,デフレに関しても名目値と実 質値の把握があまりできていないことが明らかとなっ た。 ③問 3 に関して 1 × 2 直接確率計算法による検定 信子が得をした 州子が得をした 71 名(37.8%) 117 名(62.2%) n=188 両側検定 P=0.0010 **(P<.01) 回答した全学生の数値を 1 × 2 直接確率計算法によ る検定をしたところ 1%水準で有意となった。全体的 に「州子が得をした」という誤った回答が全体の約 1/3 を占める結果となった。その理由としてあげられ た主なものとして「何%のインフレ・デフレであろう が州子の方が 4,000 万円で買ったものが 5,000 万円で売 れたのだから,1,000 万円の利益があったことには違 いがない」というものであった。誤回答をした学生は インフレ・デフレの現象よりも 1,000 万円という金額 に関する絶対額を重視している傾向があることが明ら かとなった。 反面,「信子が得をした」と回答した学生の多くは, イ ン フ レ・ デ フ レ の パ ー セ ン テ ー ジ と 4,000 万 円 → 3,000 万円の減少割合を計算によって確実に把握し ていた。問 1 ~ 3 に関する学生の回答後のコメントに は,「今までの生活で貨幣錯覚という言葉自体聞いた ことがなかった。インフレ・デフレという言葉は社会 科や政治・経済の授業で習ったがセンター試験対策と して用語の意味を覚えるくらいでした。日常生活と関 連させていかないと役に立たないことがわかった。」 「大学に入って開いた銀行口座にある定期預金の金利 や利息なの計算方法がよくわからないとインフレ・デ フレとの比較ができないような気がします。」「私は奨 学金を借りていて,このままのペースでいくと卒業時 に約 300 万円の借金を抱えます。奨学金は利息がかか るので,返済できるのか今から心配です。金利とイン フレ・デフレとの関係に興味があります。」「インフ レ・デフレという言葉が何を意味しているのか分から なかった。インフレ・デフレを勉強しなければなりま せんね」と記述するなど,特に理科系学部の学生の中 には高等学校までの学習が不十分な学生も存在するこ とが明らかとなった。 学生の中には,卒業時までに借りる予定の奨学金総 額が 500 ~ 600 万円になるという学生も存在する。2 ~ 3 年後には,多くの学生が教師をはじめとして社会 の第一線で活躍する社会人となる。初年時生のうちに 日常の消費生活にも役に立つ貨幣錯覚に関する認識や 金利・利息の計算方法などを習得させる重要性を認識 した。
Ⅲ.単元開発にあたっての観点
1.貨幣錯覚 貨幣錯覚は,人々が金銭について実質的な変化額で はなく名目の変化額に基づいて損得を判断することで ある。保有資産に関する判断は本研究のアンケート結 果にもあるように貨幣錯覚を起こしやすいといえる。 そこで,インフレーションとデフレーションとは何か について理解し,貨幣錯覚に関する具体的な問題8) (同じ金額で同じ商品をどちらがより多く購入するこ とができるか)を考えさせ,損得を明らかにする。 2.金利・利息計算 学生の日常の消費活動に役立つように自分名義の銀 行口座の預金金利計算を行う。近い将来,資産形成す る方法の一つとして利付債券(国債など)を購入する 可能性を踏まえ,10 年物個人向け国債への投資や割 引債券の利率計算・単価計算及びインフレ・デフレを 加味した損得の状況を把握するための単元を構成した。Ⅳ.大学生に対する学習プログラム開発
1.アンケート結果を手がかりとした,貨幣錯 覚に関する消費者教育学習プログラム開発 アンケートにより,同じ確率(100%と 2%)でも 購入金額によって意思決定が異なる傾向(自分自身の 購買行動の特質)が明らかになった。自分の購買行動 の特質を理解するようになれば,当然他者の行動につ いても理解が深まることとなる。次項では,アンケー トの分析結果を基にして大学生を対象にした金融に関 する消費者教育の指導構想(試案)を 3 時間分作成した。その中には,金融リテラシーの向上を目的として, 基本的な金融商品(銀行の定期預金等)の金利計算と 利付け債券・割引債の金利計算と田村が 2013 年に開 発した中学生向けの貨幣錯覚に関する問題なども取り 入れて,卒業後,社会人となり資産を確実に運用する ための金融リテラシーを身につける内容を盛り込んだ ものとした。本稿は紙幅の都合上,各時間の一部分の みの掲載とした。 2.指導構想(試案):全 3 時間 (1)単元の目標 貨幣錯覚により自分自身が陥りやすい判断傾向を把 握するとともに,基本的な金利計算から応用的な計算 方法などを習得することにより学生が将来自ら手にす る資産を有効に運用することができるようになる。 (2)プログラム構成と主な学習活動(全 3 時間) 第 1 時 貨幣錯覚に関する検討【フレーミング効果】 第 2 時 預貯金金利の計算【銀行等の定期預金金利】 第 3 時 債券に関する計算【個人向け国債(利付債)】 (3)単元指導案(第 1 時)T:教師の発問など,S: 学生の発言など 本時のねらい: 貨幣錯覚に関する自分の判断傾向を把 握するとともに,インフレ時・デフレ 時における貨幣価値の認識を正しく判 断できるようになる。(表 1) (第 2 時) 本時のねらい: 単利と複利の計算方法を習得し、イン フレ時・デフレ時を加味しながら銀行 の預金金利に関して正確に判断できる ようになる。(表 2) (第 3 時) 本時のねらい: 債券(利付債)の金利計算方法を習得 し、インフレ時・デフレ時を加味しな がら貨幣価値の増減に関して正確に判 断できるようになる。(表 3)
Ⅴ.研究の成果と今後の課題
大学生に対するアンケート調査により,大学生にお いてもインフレーション・デフレーションに関する貨 幣錯覚が見られることが明らかになった。さらに,イ ンフレーション・デフレーションによる貨幣価値の増 減に関する感覚も,実際の貨幣価値と実感する金額と の乖離がみられた。 学生の感想記述からは,「今までこのようなことを 考えたことがないので,大変興味深かった」と回答し たものが多数あったことからも,中学校社会科,高等 学校の「現代社会」「政治・経済」の授業においてイ ンフレーション・デフレーションの用語の意味を学習 しているが,その概念が具体的に実生活や自分自身の 貨幣価値認識を正確に把握するには至っていないこと がうかがえた。貨幣錯覚だけが個人の意思決定に影響 を与えるものではないが,学生が自分の意思決定の特 質を理解できるようになることは,消費者としてより すぐれた判断を下すことの一つのツールを得たことと なる。 そこで,本稿は大学生の貨幣錯覚に関するアンケー ト結果を基に貨幣錯覚を含む金融に関する事例を中心 とした 3 時間分の学習プログラム(試案)を作成した。 しかし,本研究で開発した 3 時間分の試案だけでは貨 幣錯覚をはじめとした金融リテラシーの向上に関する 指導としては時間的に不十分である。今後,本研究成 果を基にして,前期(後期)2 単位(15 コマ)分の学 習プログラム開発を行い,さらに開発した試案を実際 に活用してその効果を検証する必要がある。 註 1) 田村徳至「行動経済学の知見を活用した金融消費者教育 の学習プログラム構想~中学校社会科公民的分野経済単 元を例として~」上越教育大学社会科教育学会『上越社 会研究』第 29 号,2014 年,PP. 21-30 2) 田村徳至「高等学校公民科における金融消費者教育の学 習プログラム開発─フレーミングに関するアンケート分 析を手がかりとして─」上越教育大学社会科教育学会 『上越社会研究』第 30 号,2015 年,PP. 25-34 3) 林由子「日本における貨幣錯覚」大阪経済大学経済学部 『経済学雑誌』第 100 巻第 3 号,PP. 314-324 4) 高野昌也「貨幣錯覚における貨幣の名目,実質的価値の 影響」『行動経済学』第 4 巻,第 5 回大会プロシーディン グス,2011 年,PP. 121-124 5) 前掲 1) 6) 山本友和・田村徳至「行動経済学の知見を取り入れた金 融・消費者教育の実証的研究─中学校社会科における開 発単元の実践分析を中心に─」上越教育大学教育実践研 究センター『教育実践研究』第 24 集,2014 年,PP. 7-12 7) 前掲 2) 8) 田村徳至「“ 得する ” のはどっち?クイズ 貨幣錯覚─お 金の幻影─」『社会科教育』No, 659, 2015 年 3 月号,P. 86表 1 学習内容 教師の発問と学生の学習活動 指導上の留意点 導 入(10 分) T:前時に実施したアンケートの結果を発表する。 ・ 給料の上下に関する実感値については個人によりばらつきがあり, 正解者は全体の 1%程度であった。・インフレ,デフレに関する問題 については,正答率が約 6 割であった。 ・ アンケートの問いは個人の 実感値を問うものであり, 正誤を問うものではないが, 上下の直近の金額と信子を 正解とした。 展 開(70 分) T:以下の問題を考えてみよう 問 1 A さんと B さんは信濃大学を 1 年違いで卒業し,A さんは日本で, B さんは外国(給与支払いは円貨)で,似たような業種の会社に 入社した。 A さんは 1 年目の給与が 300 万円であり,この間インフレはなかっ た。2 年目の給与は 2%(6 万円)上がった。B さんは 1 年目の給与 は 300 万円であったが,B さんが勤務している国のインフレ率は 4 %であった。2 年目の給与は 5%(15 万円)上がった。 ① 経済的条件 2 年目の段階では,金額面で実質的な経済的条件はどち らがいいだろうか。 ② 仕事の魅力 2 年目の段階ではどちらも他社からの引き抜きがあった。 どちらが今の職を離れて新しい会社に移るだろうか。 S:(予想される回答) ① の経済的条件に関する回答では貨幣錯覚がみられない。名目値では なくインフレ率を考慮した実質値に基づいて回答する。 ② の幸福度に関しては貨幣錯覚がみられる。給与が実質値では小さい にもかかわらず,B さんの方がより幸せであると判断すると考える。 そこから考えられることとして,転職する可能性である③に関して は,A さんの方が高いという判断が生じ,最初の質問とは矛盾した 回答になると考えられる。 問 2 ワイン問題 2000 年の甲州勝沼産ワインを 2000 円で買って持っていたとする。 今,オークションに出品すれば,7500 円で売れる。しかし,ワイ ンは売らずに,自分で飲むことに決めたとする。この行動のコス ト(費用)として感じられるのは,次のどれが最も近いであろう か。 [0 円 2,000 円 2,000 円+利子 7,500 円 -5,500 円 ] S:おそらく経済学的に正しい値(7,500 円)は少数派であると考える。 ○貨幣錯覚に関する改問題 ① 今年の給与が 5,000,000 円であり,最新型のパソコンが 1 台 200,000 円 であるとする。インフレ,デフレはないものとする。 ② 2 年目の給与は 5%上がった(25 万円 UP)が,10%のインフレとな った。①と②どちらの貨幣価値が高いだろうか。 ①の場合 5,000,000 円÷ 200,000 円= 25 台購入することができる。 ②の場合 5,250,000 円÷ 220,000 円= 23.86 台購入できる。 25 台購入できたものが実際には 23 台しか購入できなくなったことに なるので,①の方が得(貨幣価値が高い)である。 ・ 感覚だけではなく,なぜそ のように判断したのか理由 も考えさせる。 ・ 経済的条件についてここで は「金額」のみで考える。 ・ -5,500 は 7,500 円のワインを 2,000 円で買ったから, 5,500 円の儲け(-5,500 円の コスト)という意味である。 ・ これも一種の貨幣錯覚であ る。 ・ 同じものがいくつ購入する ことができるかで貨幣錯覚 を和らげることができるこ とを説明する。 まとめ(10 分)・本時の感想などをリアクションペーパーに記入する。 ・ 次時に電卓と新聞の金利欄の切り抜きを持ってくるよ うに連絡する。
表 2 学習内容 教師の発問と学生の学習活動 指導上の留意点 展開の一部 ・本時は預金金利の計算方法の習得を目指す。 S: 金利には単利と複利があります。 単利は当初の元本のみが利息を生み出すもので、複利は利息を元本に含 めて、新しい元本として利息を計算するものです。 単利の代表的なものには、「大口定期預金、預入期間 3 年未満の定期預金、 利付国債」などがあります。 複利の代表的なものには「ゆうちょ(郵貯)銀行の定額貯金、預入期間 3 年以上の定期預金、期日指定定期預金」などがあります。 問題練習 100 万円を年利率 0.025%のスーパー定期預金に 4 年間預け入れた場合、 次の元利合計はいくらか。3.15%の復興特別所得税を考慮しない。 ○複利の計算(1 年複利と半年複利)を習得する。 ・計算式を教える ○単利の計算方法の習得 (税引前・後) ・単利の税引前の計算式 元本×(1 +年利率×預 入年数) ・単利の税引後の元利合 計 元本×(1 +年利率 × 0.8 ×預入年数) ・ 計算問題をさせること で定着を図る 表 3 学習内容 教師の発問と学生の学習活動 指導上の留意点 展開の一部 ・本時は債券(国債等)の利回り計算方法の習得を目指す。 ①応募者利回りの計算方法 ・ 新規発行された債券(新発債)を購入し、償還期限まで所有した場合の利回 りのこと。 額面(100 円)―発行価格 応募者利回り(%)=クーポン+ 償還期間(年) × 100 発行価格 問題演習 ① 表面利率 2%、償還期間 6 年の第 48 回 A 社債を新発債として発行価格 99 円 で購入した場合の応募者利回りはいくらか。 ・ ファイナンシャルプラ ンナーの 2 級,AFP レ ベルの説明と問題を行 う。 ・ クーポンとは債券の表 面利率のことである。