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サマリンダ(東カリマンタン,インドネシア)の環境とノコギリガザミ

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C A N C ER 7 (1998), p. 25-31 25

サマリンダ( 東カリマンタン,インドネシア) の

環境とノコギリガザミ

安原健允 .

S.

A.

S A M S O N .

A.

S. SIDIK

インドネシア共和国は,刊からスマトラ島, ジ ャワ烏,ボルネオ島( インドネシア領はカ リマン タン) ,スラウェシ島,イリアン ・ジャヤ( ニュ ーギニア島の西半分) の4つの大きな島とバ リ島 やロンボック島など中 小13000余の島々によって 構成される群島国家で,東丙5000km,南北1600km にもわた っている . 最も大きなボルネオ島は面積 737)7000krrrで,マレーシア , ブルネイ,インドネ シアの 3固 か ら な り , ボ ル ネ オ 島 の 3分 の 2 (73%) を占めている イ ンドネシア領はカリマン タンと呼ばれる . ボルネオ烏のイン ドネシ ア事真 ・カ リマンタンに は,東 ・西 ・南 ・中央の4 つの州があり,東カリ マンタン州の北 にはマ レーシアのサパ州が,東カ リマンタンナト!と西カリマンタンリ十│ にはそれぞれ国 境を接するマレーシアのサワラクナ│、│がある. 東カ リマンタンナト│ には,北からブルンガン県, ブラウ 県, クタイ県,パシール県の4 つの県( 区) と 4 つの指定都市 ・サマリンダ市,パリクパパン市, タラカン市,ボンタン市がある. この4つの指定 都市はいずれも東カリマンタン州の要衝であり, 行政,経済,商業,文化, などの重要な拠点都市 である . サマリンダ市は,東カリマンタン 州の州 都 ・東カリマンタン最大のマハッカム 川 の河口か ら約60kmほど内陸に入った河岸に開けた古都であ る. パリクパパン市は ,東カリマンタン州を代表 する工業都市で石油の積み 出 し港として重要な役 割を果たしているパ リク パパン港を擁し,サマ リ ンダ市はこのパ リクパパン港か ら約120 kmほ ど北 に位置して い る. パ リクパパン港の対岸は,マカ T a k en ob u Y A S U H A R A . S. A. S A M S O N, an d A. SYAFEI SIDIK : T he m u d crab (kepting b ak au. Scylla slrrata)

an d natu re env ironment of S a m a rind a an d its out skirts in east K a r im anta n , lnd onesia

ッサル海峡をはさんでスラウェシ島である. 著者の 一人安原は1993年1月から3月まで,サ マリン夕、市にある国立ムラワルマン大学で共著者 の二人と共同研究を行い,また,東カリマンタン 州 の各地を巡ることができた( 安原1994,1995) . 巡った諸地 の自然を観察し,特に , ノコギリガザ ミScylla serrata に つ い て , 多 少 の 知 見 が 得 ら れ たので,サマリンダとその周辺の自然環境と併せ て報告したい. サマリンダ市と周辺の環境 サマ リンダ市は,赤道直下,人口30万 ,4世紀 にこの地域を統ー したムラ ワルマ ン王朝,そして, その後1945年インドネシアがオランダから独立す る迄クタイ王朝の支配地 であった . サ マ リンダに 隣接するテンガロン市には国立ムラワルマン博物 館がある . サマリンダ市は東カリマンタンナト│ の行 政官庁,銀行,公立病院,回教のモスク,ムラワ ルマン王朝の名を冠むした国立ムラワルマン大学 や私立大学,高校,特産品や生活物資の集荷地 ・ 販売市場,油槽会社,回船問屋 ,大小の商J苫,貿 易業者の事務所等があり ,行政,金融,経済,文 化等,全ての中心地として,また,内陸部にある 多くのl町村 や集落を結ぶ流通の要でもある . 国 立 ム ラ ワ ル マ ン 大 学 は1962年9月に創立さ れ,農学部,教育学部,政治学部,経営学部,森 林学部の5つの学部と大学院があり, 5000人余り の学生が通学している. 農学部には水産学科があ り,熱帯水族の生理生態の研究やエピ類を中 心 と した水族の増殖研究も行われている. 森林学部に あって熱帝雨林の研究で優れた研究業績が評価さ れている林学科には, ドイツの大学が教員を派遣 しているいわゆる冠講座を 開設している. 日本政 府 か ら 熱 帯 雨 林 研 究 施 設 (T H E T R O P I C A L

(2)

26

サマリンダ (東カリマンタン ,インドネシ ア) の環境と ノコギリガザミ R A IN F O R E S T R E S E A C H C E N T E R M U R A W A R U M A N U N I V E R S I T Y G R AN T A ID B Y T H E G O V E R N M E N T O F J A PA N M A R C H 1 5. 1988) が寄贈され,この施設で研 究する学生や 研 究者のための立派な宿泊施設も併設されてい る. サマリンダ市付近一帯には ,大小の製材工場, 合板工場,各種の農産物や水産物が豊富 なので, サマリンダ港はそれらの集積地としても,積み出 しj巷としても重要な役割を持 っている . そして, 各地への貨物の積み替え中継基地 としての役割も 見逃せない. さらに河川のみならず,国道が整備 されているのでパリクパパンからの定期

l

路線パス は,遂行使数の増加や車体の大型化,高速化が進 んでおりパスは約

2

時間

30

分でサマ リンダに到着 する . 近年,奥地の開発が進み石炭や木材の運搬 路の建設によ って,大型の工事車両やトラ ック輸 送の培加,集落の拡大,そして位二民の移動などが 生じてくると,その現場や集主与を結ぶ道路網の拡 大,パス 路線の整備と移動時間 の短縮が求められ ている . サ マ リンダ市の北側河岸には内陸奥地へ 向かう路線のパスターミナルがあり,ここから発 着するパス路線も増強さ れつ つある. さらにサマ リンダ空港には,パ リクパパ ンから小型航空機 が 定期便として

1

2 - 3

便運行され,奥地への中 継基地としての役割も 担 っている . マハ ッカム川の環境 サマリンダ市の中央を流れ街を東西に分断して いるマハッカム)11は,マレーシアのサラワク州と の国境を水源としている. 上流は森林地帯を網の 目のように無数の支流が張り巡る全長

900km

のボ ルネ オ島最大級の河川である. そして,サマ リン ダでは川巾約 1 km. 河口までLは約60kmで、マカ ッサ ル海に注いでいる. マハ ッカム川の上流部の河岸 には,上流から筏 を組んで流してきた木材や ,奥地からトラ ックで 運んできた木材や石炭の集積 ・搬出場の基地があ るので,運搬船はサマリンダから 40 km ほど川上の テンガロン港 (市) からさらに上流にまで入り, 木材や石炭を

i

一両載した大型の台船が曳き船に曳か れて下 っている . マハッカム 川に 面するサマリン ‘ ノ b ノ ン 央 マ 中 リ カ ボルネオ島 図1 インドネシア・カリマンタン島およびサマリンタ市周辺略図

(3)

安原健允. S. A. S A M S O N . A. S. SlDIK 27 ダ港の岸壁に は千トン級の大型貨物船, 木材や石 炭の運搬船,タンカーなどが横付け して生活物資 や多くの産物 を積み降ろ ししている . 川上には,古都 テン ガロ ンを経てムアラカマン からコタパグン , さらに上流には多くの集落やロ ングハウスで有名 なマンチョンなど観光地 として の拠点がある. サマ リンダから,

FRP

製の 小型 モーターボー トが頻繁に河口の村や上流の街まで 客を乗せて航行し ,観光シーズンには時間に 制約 のある観光客にとっても貴重な足となっている . しかし,上流,下流 を問わずおびただしい量の雑 木が川 を流れ,大きなものではひと 抱 え もあ る大 木すらある . 流木は航行する船舶の船べりに当た ったり,スク リューに巻き込んだりして停船する ことはしばしばで,時に沈没する小型船もある . 流木を縫っての高速運行は命がけの仕事である . マハッカム 川は,流域部や 内陸部の各所に点在 する集落を結ぶ大動脈 となっている . マハッカム 川では10トン程度で50-60人乗りの小形船舶が運 送の中心的役割 を果たし ,数 日から 1週間以上も かけて上流の集落 まで人や物資を運ぶ定期船が頻 繁に航行している. 数軒が集 まる

)11

岸の集落には 必ず船着き場が設けられているので,定期船は, この船着き場に着岸しながら荷物や人々を乗り降 りさせている. 定期船はまさに水上タクシーの観 がありそれだけに重要な交通機関である . サ マ リ ンダ港を起点に,主要な集落や街を結んでいる急 行の貨客定期船や貨物船も多い. 急行貨客船は二 階建てで 一階は貨物 中心, 二階に客を乗せてい る. 貨物は生活物資が多いが,奥地 や上流の農 村で集荷された果物や農産物,川 や湖沼で漁獲さ れる魚類も多く運ばれている . 中流部 ・コタパンゴンの近くに大きな湖が点在 している . 大きなセマヤン (カマキン) 湖,メリ ンタン( マ リンタン) 湖やジ、ユンパン湖などが連 なり,対岸は 水平線で見えない.

i

胡からの主な漁 獲物は , コイ科 とナマズ科の魚類,テナガエピ類 等である . 魚類 は漁を終 えて午前中に帰るとすぐ 腹を割いて 内臓 を取 り除き ,底に岩塩が沈澱して いるほどの塩水 を張った樽の 中に数時 間

i

賞け置い た後,樽から取りだし天 日で夕方まで乾燥し大き な龍か袋に詰めて ,翌日の早朝には サマ リンダや テンガロンの市場に送る . また, 漁獲されるテナ ガエピ類は生かしておく か,冷蔵 にして週に 1 -2回集めにくるコ レクター と呼ばれ る集荷業者に 買い取られてゆく . セマ ヤ ン湖の湖 口ではゴピと 呼ばれる大型のハゼの一種が養殖( 蓄養) されて いる . このゴピはスラウェシから集荷業者が買い にきて , 日本にも輸 出 しているとのことであ っ た. カマキン湖とマリンタン湖が接する 小 さな島に は, 水牛繁殖組合に よって運営されている水牛の 繁殖場が設 け られ,現在300頭余りを 飼育してい る. (図

2

) 成牛は主にジャ カル タの 市場に 出荷 される. サマ リンダの上流にあるテンガロン付近では淡 水魚養殖が盛んで,水田養魚と河川 (岸) 養魚、が 行われている . 主な種類は, ドジョウ ,ナマズ, コイ ,テナガエピ類等で ある. これらは ,主にサ マリンダ,パリクパパンや近隣の市街の市場や中 華料理庖, レス トラン,食堂に も配送されている が,一部はジャカ ル タ等の大消費地に もまとめて 出荷されている. 河川 養殖場は, テンガロン 付近 のマハ ッカム 川の河岸に約800台の生 け費が配置 され (図3 ), 普 通 の 養 魚 業 者 で コ イ を 一 日 100kg ( 2 - 3匹で 1 kg) 出荷している . マハッカム 川の上流部にはカワイルカが群棲し ている所もあり , このカワイルカは 州のシンボル マークにな っている. また ,淡水に棲むカワフグ や固有の魚類も多く ,熱帯魚として貴重な種類も 生息している . また,オニテナガエピをはじめ , 小形のエピ類も生息し,エピ箆ではオニテナガエ ビを漁獲している . サマ リンダから河口へはおよそ60km,河口部に は川上から流出した泥土が堆積した広大な扇状地 (デルタ ) が発達し ,洲 やラグーンとな っている . 河岸には榔子やマングロープ等が生育し,サルの 群れや,マングース等 も見かけ られる. 河口には 漁村の集落が形成さ れ, この地域 を代表する建築 様式である高床式住居が中を 走る 水路の両岸に並 び密集している . 河口部で は, 2 - 3 トン程度の 小型の トロール( 底曳き網) 漁船が底物のエピ類 を中心 として操業している. サマ リンダや河口の 漁村では,キピテン (kepiting bakau) と呼 んで

(4)

28

サマリンダ( 東カリマンタン,インドネシア ) の環境とノコギリガザミ いるノコギリガザミを大量に漁獲し,サマリンダ の市場や近隣の諸外国へも輸出している. ノコギリガザミとその漁業 ノコギリガザミの分布は広く,ハワイ,オース トラリア, 日本,東南アジア,アフリカ,など広 範囲に棲息しているが,化石では,数千万年前の 鮮新世の地層( 沖縄県) ,千数百万年前の更新世 の地層から( 愛知県 ・静岡県) ,数万年前の完新 世の地層から (愛知県・北九州 ),愛知県西尾市 の後期更新世の最終氷期の亜問氷期の地層からも 発見され( 柄沢・田中 1995) ,ノコギリガザミは 数千万年前にすでに我国にも棲息していたことが 認められる. また,沖縄県西表島の浦内川河口の マングローブ林の水際で漁獲された甲幅

20cm

もの 大型のノコギリガザミも観察した . 本穫は,食用として重要な水産資源で,東南ア 図2 水牛の養殖 図3 マハ ッカム川の川岸養殖 ジアでは各地域の市場では生きたまま大量に販売 されている. サマリンダ市内には,大きな市場が数カ所あり, その内の生鮮市場は,市民の台所である. 日常の 食料品は,近隣の農村や漁村から朝早くそれぞれ の食材や日曜雑貨の商品を人々が持ち込んで販売 している . 沿岸部の河川や水路で大量に漁獲され ているノコギリガザミも庖先で販売され,主にチ リソース煮にして家庭の食卓に並びレストランの メニ ューとなる . 著者らは,先に記したマハッカム川の河口の漁 村,モアラパントワン (図

4

) お よび東カリマン タン州の南端にある造船と漁業の街,パシールマ ヤング (図

5

) で専 門の漁師によ って漁獲さ れて いるノコギリガザミを観察した. ノコギリガザミを漁獲する漁法は,同漁村とも ラy カンと呼ばれる漁具によって行われている. 図4 モアラパン卜ワン村 ー バ 哨 図5 パシールマヤング村

(5)

安原健允 ・S. A. S AM SO N • A. S. SIDIK

29

インドネシアではノコギリガザミの漁獲には,ジ ャワ烏 中部インド

i

羊側のスガラアナカンではワ ド ンというかごで漁獲している( 波溢ら,

1993)

が, 東カ リマンタンの 両漁村では,全てラッカン( 図

6

7 )

で漁獲している . ラッカンは,

2 m

ほど の木の棒の下

1/3

の所に直径

30cm

ほどの丸い輪を つけそれに網を張る. そして輪の上

20cm

位の所に サメなどの魚の肉を縛りつけて餌にしている . 図 7 に見るように,カニがこの餌を 捕 りにきて丸い 輪に張った網に脚が絡むと逃げ出せなくなって漁 獲さ れる. ほかにインドネシアでは,幼がには網 ですくうが,ワドン,ラ ッカン ,投げ込み式のラ ッカンなどの漁具を 用 いることを

Kasry (1991)

は記している. モアラノTントワンは,マハ ッカム 川のj可口に開 けたラグーン 一体が集落にな っており,縦横に水 路が走 っている . この水路が,主 な漁場である . 図6 ラッカンを積んだ漁船

『圃

1I

l

•••••••••••

hH hp h p νト 1 3 図7 ラッカンにかか ったカニの状態 午前中に手漕 ぎの小舟にラ ッカンを

30

本位乗せて ゆき( 図6) ,水深 1 -1.

5 m

ほどの水路のマング ロー ブなどの生えている岸側の水路 に

10-20m

間 隔に 底にラッカンの棒を突き 刺 して立てる . 5

-6

時聞置いた後に夕方引き揚げる . 餌にはサメな どの魚の肉を餌にしている. 多いときには

l

回に

20kg

位漁獲できる.

2

月中旬の出荷サイズは, 甲幅8

-13cm

,体重

100-450g

程度で雄が大きい . パシールマヤングは ,造船と漁業の村である .

20

人は乗れ る大きさの木造船を作っているが,船 体価格は

1

80

Rp. (Rp

= ル ピア: 日本円

l

万円が

20

万 ル ピア :

1994年 2

月) であった . この 村 には

20

隻のかに漁船がある . こ の漁師が行 って いるノコギリガザミの漁法は,ラ ッカンによるも のであるが,モアラパントワンの漁業より規模が 大きい. 特別な規制がないので

1

隻の漁船が

100

本のラ ッカンを積んで漁に出る . ラ ッカンの中心 図8 袋 虫 の 寄 生 図9 寄生虫の一種の寄生

(6)

30 サマリンダ( 東カリマンタン,インドネシア) の環境とノコギリガザミ の棒の長さは3 m,下から 1 m位の所に直径30cm 位の丸い輪に網を張り,その網から30cm上 に餌を つける . 餌にはサメかエイの切り身を使う. 他の 魚、は,長時間水の中で肉が保てないので使わな い. 1本のラ ッカンの価格は750Rp,餌のサメは 1 kgが150Rp,エイは 1 kgが750Rp,漁はl航海 が3 日間である. 漁場は,ラグーンなどの大きな 水路や沿岸のマングローブなどの生えている所 で,マングローブなどの樹木の根の近くの水深2 -2.5mの所である. 操業は朝7時頃から 5 -1 0 m 間隔にラ ッカンを水中に 立てる 作業で始まる. 場 所によっては3 0 m間隔にするところもあるが,セ ッ ト終了後15分位経ったら最初にセットしたラッ カンから揚げ始める. 少しずつ場所を移動しなが ら1日10回位セットできる. 夜は操業しない. 1 回に100kg位 漁 獲 出 来 る 時 も あ る が3 日で 1 -2 ton 漁獲して村に帰る. 漁は1カ月に5回操業 し,周年行っている. 新月の時にはカニの甲らが 柔らかいのですぐ死んでしまうが,ソフ トシェル として売れる

i

魚、獲したカニは,コレクターが買 いに来るが,直接パリクパパンやタナグロゴッ ト の 市 場 に 出 荷 す る こ と も あ る . 大 体 の 売 値 は 1 kgが1000Rp.である. 充分成長したノコ ギリガ ザミは,雄が大きく雌は雄より 一回り小さい. 甲 らの色に雄では赤褐色と赤緑色の2 タイプの個体 が,雌では赤褐色と緑色の強い2タイプの個体が 多い. ノコギリガザミの棲息分布域,および,分類の 問題について,最近伏屋 ・渡遊 (1995),Fuseya and Watanabe (1996) は,世界中広く分布してい るこのノコギリガザミは Scylla serrata 1 干重では なく, Estampadorが1949年に3種1変( 亜) 種(4 型) に分類した報告やその後の報告を検討し , さ らに,アイソザイムによる分析を行った結果,少 な く と も 3 種, S. se作。ta,S. tranquebarica, S. oceamcaになることを報告している. 筆者ら( 安 原ら1995) も外見上,特に甲らの色彩について差 異のあることを記し,岡地の漁業者も明言してい るので,形態上の形質や甲羅の色の差異ーから,今 回観察した個体に 中にはいくつかの稜,または, 変( 亜) 種が含まれることも考えられるが,分類 上の問題を検討することはできなかった. 従って, 本報では区別せずにキピテン,ノコギリガザミ

S.

serrataとした. 東カリマンタンの各地で, 1996年2月に漁獲さ れたかなりの数の個体にフクロムシ (H eterosaccus sp.)が寄生( 図

8

) していた. 観察した個体数は, モアラパン卜ワン村では12個体中2個体が,パシ ールマヤング村では7個体中l個体が,さらに, サマリンダの生鮮食料品市場で購入した26個体中

3

個体にフクロムシが寄生し,フクロムシが寄生 していた 6 個体ともに腹部は雌の形状をあらわし ていた. 従 って観察個体数の45個体中6個体にフ クロムシが寄生しており,寄生率は13.3%であっ たので,この地域では一般的に見られる現象なの かも知れない. サマリンダの市場で購入した26個 体のノコギリガザミは雄が16個体,腹部が雌の形 状を示している個体は10個体であったが,この10 個体には フクロムシの寄生個体 3 個体が含まれて いる . また,モアラパントワンで観察した雌の

1

個体にはフクロムシではなく 全く 別の寄生虫が腹 部に寄生していた( 図 9). ノコギリガザ ミに寄 生していたフクロムシについての観察結果の詳細 については,残念ながら諸事情からこれらの個体 を詳細に検討する機会が得られなかったが,今後 この点について資料の収集に努めたいと考 えてい る. 近年, 日本との交流が密になっているインドネ シアは,森林資源,石炭,石油,天然ガスや多く の鉱物資源,生物資源も豊富な国である . また, 広大な面積を有するこの固には,日本から自動車 産業,電気産業など多種の工業が進出している. そしてエピの養殖業も益々盛んになり養殖池の蘭 積を拡大している. 日本のみならず,欧米諸国か らの工業の進出もめざましく, 21世紀は東南アジ アの世紀と 言 われるほどである. しかし,多くの 人々の生活は必ずしも豊かではなく近代化してい るとも 言い切れない. 朝市には市民の胃袋を満たす魚類,エピ類,野 菜類や肉類等の日常の食品が豊富に並んでいる. その中にノコギリガザミも大量に出荷されてお り,高級料理の食材として珍重され,主として唐 辛子入りチ リソース煮として調理し 食している. 東南アジアでは,天然産の資源が多く食材として

(7)

安原健允 ・S. A. S AM SO N ' A. S. S IDIK 3 1 も ノ コ ギ リガザ ミ は 重 要 な 種 類 で あ る こ と か ら , 研 究 さ れ て は い る もの の , そ の研 究 結 果 が現 地 で は 水 産 養 殖 と し て 充 分 発 展応 用 され て はいない. また , 寄 生 虫 の 問 題 や , 衛 生 管 理 の 問 題 な ど もま だ ま だ 解 決 し て い な い . 将 来 は 日 本 や 近 隣 の 諸 国 へ の 大 量 輸 出 な ど も 考 え ら れ, 新 鮮 さ を 保 ち な が ら, 出 来 れ ば 生 か し た まま 安 価 に輸 送 す る 技 術 を 開 発 す る こ と が 期 待 さ れ る . い ず れ に し て も ,イ ン ドネ シ ア と の 交 流 が, 益 々 盛 ん に な り 近 く な る ことを 期 待 し た い . 参考文献

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i

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i

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i

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