C銀協担軍22:η-74(2013) Carcinological Society of ,Jα'Pan
コメント: レッドリストと寄生者・共生者
C o m m e n t a r y : Parasitic a n d symbiotic relationships in R e d List逸見泰久
l Yasuhisa H e n m i 圃 宿 主 特 異 性 甲殻類には,宿主特異性が強い種が多い. また, は断言できなが,甲殻類を巡る寄生 ・共生に,宿主 特異性が強い場合が多いのは間違いない. 逆に,特定の甲殻類( 宿主) に,寄生 ・共生する種 . 希 少 申 殻 類 の 保 全 と 寄 生 ・ 共 生 関 係 の 解 明 も少なくない( ちなみに,宿主が甲殻類の場合,寄 生者 ・共生者が甲殻類の場合もあるし,そうでない 場合もある) . いずれにしても,寄生 ・共生関係に, 特定の甲殻類がパートナーとして関わっている場合 が多々見られる. 干潟の動物ベン トスを例にとると,カクレ ガニ科 のシ ロ ナ マ コ ガ ニPinnixa tumida は, シ ロ ナ マ コ Paracaudina chilensis のj削ヒ管に共生する. これは, 甲殻類( 寄生者) が,甲殻類でない生物を宿主とす る例である. 逆に, 二 枚 貝 の ガ ン ヅ キArt由ritica japonica (ウロコガイ科) ( 寄生者) は,甲殻類のメ ナシピンノXenophthalmus pinnotheroides (宿主) を 利用 する. また,フタツトゲテッポウエビAl)フheus 加'Plocheles とヒメモ クズガニ Neoeriocheirleptogna-thus は, 共に生息情報がほとんどない甲殻類であっ たが,最近になってヒメモクズガニが福岡県の筑後 川河口域で見つ かり ,そ の巣穴内から多数のフタツ ト ゲ テ ッ ポ ウ エ ビ が 見 つ か っ た ( 図1) . これは, 希少甲殻類どうしが,寄生 ・共生関係にある例であ る. 以上述べた種が,他の宿主を利用していないと l 熊本大学沿岸域環境科学教育研究センター 合津マリンステ ーション 〒861--6 102 熊本県上天草市松島町合津 6061 合津マリンステ ーション
Aitsu Marine Station, Center for Marine Environment Studies, Kumamoto University, 6061 A itsu, Matsushima, Amakusa, Kumamoto 861--6 102, Japan
E-mail: henmi@ sci.kumamoto-u.ac.jp
宿主特異性が厳密な場合( すなわち寄生者 ・共 生 者が特定の穫のみを宿主 とする場合) ,宿主となる 種 の 絶 滅 は , 寄 生 ・共 生 種 の 減 少 ・絶 滅 を 意 味 す る. 上記の例では,シロナマコ,メナシピンノ, ヒ メモクズガニが絶滅すると,それらを宿主としてい る種( それぞれ, シロナマコカ♂ニ,ガンヅキ,フタ ツトゲテッポウ エビ) も絶滅するであろう ( 仮に, 宿主への依存度が低い場合でも ,住み場所を失うた め,大きな影響を受けるだろう) . 2012 年 7 月に出版 された「干潟の絶滅危倶動物図鑑
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( 日本ベントス 学 会2012) には, 合計 651 種 の干潟棲動物ベントス が絶滅危倶種としてリストアップされている( 図2). そして,このうち80 - 9 0 種 (12 - 1 3 %) が他の動 物に寄生 ・共生する種であると考えられている. 推 定種数に幅があるのは,寄生 ・共生関係が明確でな い種が多いためであるが,干潟の動物ベントスに限 れば,少なくとも12% 以上の種が何らかの形で他種 に依存していることになる. 中でも甲殻類は他種に 寄 生 ・共生する種が多く ,その割合は,少なく見積 もっても18.1% (137 種中 25 種) にもなる. その中に は,前出のシロナマコカボニやフタツトゲテッポウエ ビや以下の列挙する種のように,特定の宿主( 括弧 内) に依存していると考えられている種も多い. メナガオサガニハサミエボシOctolasmis unguisi-formis (メナガオサガ ニ Macrophthalmus milloti),ア ナジャコノハラヤドリ Phyllodurus sp. ( ミナミアナ図1 . ヒメモクス。ガ ニ (a) とフタツトゲテッポウエビ (b).
図 2. 干潟の絶滅危倶動物図鑑( 日本ベントス学 会編) .
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C a n伺 r22 (2013)ジャ コ 均ogebia carinicauda), ヤ ド リ カ ニ ダ マ シ
Polyonyx sinensis (ム ギ ワ ラ ム シM esochaetopterus japonicus), ウ チ ノ ミ カ ニ ダ マ シP olyonyx utinomii
( ツパサゴカ イC haetopterus cautus),アリアケヤワ ラガニElamenopsis ariakensis ( 卜ゲ、 イ カ リ ナ マ コ
Protan紗ra bidentata), オ オヒ メ ア カ イ ソ ガ ニ Ses-trostom a balssi (ユ ムシ
u
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官chis unicinctus), オオ ヨコ ナガピンノTritodynamia rathbunae (ツ パ サ ゴ カ イ) , カワラビンノN epinnotheres cardii ( カワラカ、 イFragum unedo), ギボシマメガニPinnixa balano-glossana (ミサキギボシムシBalanoglossus misakien-sis) ,アカホシマメカ‘ ニPinnixa haematosticta (スジ ホシムシ モ ドキSiphonoso ma cumanense),イリオ モ テ ヨコ ナガピンノ Tetriassp. ( ツパサゴカイ) ただし ,( これは甲殻類に限ったことではないが) 前述したように , これらの中には寄生 ・共生関係の 暖昧な種も少なくない. したがって,寄生 ・共生関 係を明らかにすることが,希少甲殻類保全の第一歩 となるであろう.