89
2000鳥
取県西部地震 による下水道施設 の被害
藤村
尚・岩 田
武
*1・吉野明寿
*1・高木
温
*1田中孝治
・
2.森
脇敏夫
*2.山
本公憲
*2.椎
木孝明
キ
3.松
本一夫
*4鳥取大学工学部土木工学科、
*1シンフ技研 コンサル タン ト
(株)、キ
2鳥
取県土木部、
キ
3米
子市下水道部、
キ
4境
港市下水道部
Damages to the severage system by the Tottorェ ーken Se■bu Earthquake, 2000
Hisashi FU」
IMURA,Takeshi IVATA辛 1,AKIHISA YOSHINO*1,SUNAO TAKAGI*1,
KouJi TANAKAキ 2,Toshio MORIVAKIキ
2,Kiminori YAMAMOTO*2,
Takaaki SHIINOKI*3,Kazuo MATSUMOTOキ
4Department of Civil Engineering,Faculty of Engineering Tottori
University .Tottorl,680-8552 Japan
E―
mailifujimuraOcvi tottori―
u.ac.jp
・
lShinwa―giken Co.,Ltd,Tottori,683-0064 Japan
*2Tottori Prefacture,680-8570
」
apan
辛
3Yonago City,683-0846 Japan
*4 sakaiminato City,684-0004
」
apan
Abstract:The earthquake occurred on the 6th of October 2000 in the westeFn part of Tottori prefecture, nicknamed Tottori―ken Seibu Earthquake 2000, caused a lot of damage tO the sewerage system, including sever pipelines and treatment plants, in the coastal region called Yumigahahla. This region cover,Vonago and Sakaiminato cities. In this study, the overall damage to the sewerage system in the study area is assessed, and a statist■ cal analysls ■s carr■ed out. Besldes, the damage characterlstics are summarlzed
based on field surveys and engineer■ ng design aspects of damaged structures, Some areas,particularly Takenouchi Danchi in Sakaiminato city and Uchihama sewerage treatment plant in Yonago city, suffered from severe liquefaction. The damages in these areas are studied in more detail, including the geological characteristics of the area.
Key wordi Tottori― kenn Earthquake,Sewerage system,Liquefaction,Damege structure
1.は
じめ に 2000年 10月 6日 午後1時 30分
,鳥取 県西部(北 緯35.5° 東 経 133.4° 深 さ10km)を震 源 とす るマ グニチ ュー ド7.3の地震 が発 生 し,
日野町 と境 港 市で震度6強
を,中
国・ 四国地方 の広 い範 囲で震 度5∼4が
記 録 され た 。この地震 に よる死者 はなか つた もの の,負
傷者147人
,全
半壊 家屋 約 3500 戸,崖
崩れ670箇所 等 の被 害 が生 じ,ラ
イ フ ライ ン構 造 物 に も大 きな被 害 を もた ら した。 地震 に よる下水道施 設 へ のお もな被 害 は、米 子 市・境 港 市 ,淀江 町・ 西伯 町 に集 中 し,震
源 に近 い 日野町な どの山間部では,下
水道施設 に関す る 被害は報告 されてい ない。お もな被 害内容 は,マ
ンホールの浮 き上が り,マ
ンホールブ ロックのず れ,管
渠 のずれ,た
わみな どで あ り被害金額は約5億
円 と報告 され てい る. 今 回の地震 で,2市
2町
の うち特に被害が集 中 した米子市 と境港市 において,下
水道 の管渠施設 及び処理施設 の被害状況 を報 告す る。また,管
渠 施設で被害が顕著 にあ らわれ た竹 内工業団地 と, 処理施設 で被 害が顕著 にあ らわれた内浜処理場 に ついてそれぞれの被害状況 をま とめる。2000鳥取県西部地震 における下水道施設の被害 表
1
管 渠施設 の被 害状況 (米子 市) 表2
管 渠施設 の被 害状 況 (境港 市) 図1
下水 道 管 の被 害分布 図 表3
処理施設の被害状況 管 種 布設延長 (m) 被害 延長(m) 被害率(%) 用性管栗 82,803 747 可とう性管渠 154,386 矩 形 渠 9,082 開 渠 14,730 306 計 261.001 1,665 ― 埋 立・ 干 拓 区 域 ― 押 処 “ 下 水道 施 設 被 害 鶴 所 管 種 布設延長 (m) 被害 延長(m) 被害準(96) 円性管渠 11,883 可とう性管渠 73,017 206 開 渠 6,985 計 91,885 0.4 処 理 区 処 理 施 設 名 供用 年次 地盤状況 最 大 沈下 量 (cm)粧
効
⑭
液状化 (噴砂) 有無 側方流動 の有無 被害箇所 総数 処理機能 への影響 の有無 内 浜 内浜処理場 1974 埋立・干拓 C 0 有 無 外 浜 皆生処理場 砂 州 0 C X 無 無 境 港 下水道センター 砂 州 C △ 無 無 1.液状化(噴砂)有無は、O:噴
砂 の痕跡が頭著2_推
定外 力(gal)は
、A:600gal以
上B
3
被害箇所総数は、処理場毎 に被害項 目 (クラ ック、2.米
子市・ 境 港市 下水 道整備 状況 と被 害概 要 米子 市・ 境 港 市 は,各
々で終末処理場 を もつ単 独公 共 下水道 に よつて整備 が進 め られ てい る。平 成 13年 3月 現在 で の整備 面積 と処理 人 口は,米子 市 で1,077ha。 54,730人,境
港 市 で465ha・ ■,894 人 で あ り,下
水道 普 及 率 は,米
子 市で39.5%,境
港 市 で31.7%で
あ る。この こ とは全 国平均 の60%
を大 き く下回 つてお り,今
後 下水道整備 が急務 の 地域 で あ る。処理 区は,米
子 市 の外 浜処 理 区 と内 浜処理 区,境
港 市 の境 港処理 区が あ り,内
浜処 理 区で一部合 流 式 で あ るが,そ
の他 はすべ て分流式 の下水排 除方式 となつてい る. 図 1は,下
水道 被 害 分布 図 で あ る。それ に よ る と,内
浜処理 区及 び境 港処 理 区は,外
浜 処理 区 に くらべ埋 立・ 干 拓 区域 が多 く,地
震 に よる下水 道 被 害 も,そ
の埋 立・ 干拓 区域 の多い内浜処理 区及 び境 港処理 区 に集 中 してい る。外 浜処理 区の場合, 終末処理場 で あ る皆 生処理場 のみ の被 害で あ った。 表 1及び表2に
示す よ うに施設別 に被 害状 況 を △ :局 所的に噴砂の痕跡があるX:認
め られ な い :600∼400gal c:400∼ 200gal D:200gal以 下継手部ズ レ等)を計上 ま とめた場合
,米
子 市 。境 港 市 とも剛性 管 渠 が可 と う性 管渠 に比べ被 災率 が高 い結 果 とな つた 。 この こ とは剛性 管渠 が耐震 的 に弱 い こ とを示 して Vヽる. 幹線 管 渠 は,両
市 の全29路
線 の うち22路
線 で 被 害 を受 けて い た 。管径 は,
φ300411n∼ □2700 ×2700alllでお もに剛性 管渠 で あ る.被
害 は,内
浜 処理 区で埋 立・ 千拓 地 か ら旧市街 地付 近 にか けて の 中海側 に集 中 し,境
港処理 区で竹 内工業 団地 内 の幹線 と県道 米子空港線 でみ られ た.剛
性 管 渠 の 被 害状 況 で多 か った の は,継
手 部 お よび本 管 部 で の侵 入水 と本 管部 での クラ ックで あ り,全
般 に大 口径 にな るにつれ ひ び割 れ に よる侵 入 水 が多 くみ られ た。 枝線 管渠 の場合,管
径 は φ200mlm∼ φ300■llnの可 と う性 管渠 がお もで あ る。被 害 は,内
浜 処理 区の 富益 団地 。崎 津南 団地・ 旗 ヶ崎 ・ 富 士 見 町等 と島 根 県 との県境 に近 い錦海 団地 でみ られ,境
港 処理 区で竹 内工業 国地 内の枝線 と境 港新 都 市 地 区の一 部 でみ られ た 。被 害状況 で多 か った の は,継
手部鳥 取 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第32巻 で のた るみ蛇 行や 本 管部 で の侵 入水
,本
管部 で の ク ラ ック等 で あつた。公 共桝 。取付 管へ の被 害 は 少 なか った 。 下水 処理施 設 は,表
3で
示 す よ うに被 害 が最 も 大 きい もの と して は,中
海 の埋 立地 に建設 され た 内浜 処理場 で あ つた。 また,境
港市 下水道 セ ンタ ー におい て も,処
理施 設 の周 辺 地盤 の沈 下 が生 じ た。 これ は,建
物周 辺部 の施 工時 の掘 削土 の埋 め 戻 し部 にあ た り,こ
の部分 が液 状化 の影 響 で沈 下 し,被
害 をお こ した もの と考 え られ る。3.竹
内工 業 団地 にお ける管渠 の被 害 竹 内工業 国地 は,昭
和54年
か ら昭和59年
に埋 め立 て られ た埋 立地 で,航
路や 泊地 の浚渫 土砂 お よび埋 立地 前 面 の海 底 か ら採 取 した 土砂 をポ ンプ 船 で輸 送 して埋 め立 て られ た もので あ る。 埋 立地 内 の下水 道 管渠 は,東
西方 向の竹 内団地1号
汚水 幹線 と南 北方 向の枝 線 として整備 され て い る。管種 。管径・ 延長 は,幹
線 で鉄筋 コン ク リ ー ト管 φ450mm∼ φ500Hlm及び硬 質 塩 化 ビニル 管 φ25041mが約 lkm,枝線 で硬 質塩 化 ビニル 管 φ200 nlmが約 0。 8kmと ,いずれ も小 日径 管 渠 で 占めて い る。 ここで は竹 内団地1号
汚 水幹線 (東西 方 向) の管渠 。マ ンホール の被害 の程度 について検証す る.ギ
ぜ
͡ を181ド
嘲 ti 却 ―iti 図2
竹 内工業 団地 内 の被 害分布 図A―
A断
面▼
図3
マ ンホール 部分 の変位 量 組 ―をti 2︲ 道 国引
411 611 801 1111
郊
鉢い
│ギ
・
図4
竹 内 工 業 団 地 の 地 質 断 面 図 (境港 市 、1996、 抜 粋) ● 被災箇所 ― 幹 線(__枝
線 A断 面2000鳥取県西部地震 における下水道施設の被害 図
4は ,A―
A測
線 の地質 断面 図 で あ り,地
層 分布 は久 の とお りで あ る [1]. ① 表 土層 は,砂
質 上 に よる盛 上 で,場
所 に よっ て は岩 ズ リで埋 め立 て を行 つて い る. ② 浚渫 埋 土層 は,層
厚 10m程度 で,シ
ル ト∼砂 質 シル ト∼ シル ト質砂 が混在 した地層 となつ てい る。含 有 され る砂 分 は,微
砂 ∼細砂 を主 体 と して い る。N値
は10以下 で緩 い密 度 とな つてい る。 この浚渫埋 土層 内に下水 管が埋設 され てい る. ③ 沖積 砂 質 土層 は,層厚5m程
度 の微 砂 ∼細砂 を 主体 と した砂 質 土層 で,下
方 ほ どシル ト分 が 多 くな る。N値
は5∼20程
度 とば らつ きがみ られ る. ④③ 以深 は,沖
積 シル ト・ 粘 土層 ∼洪積 層 が厚 く分布 してい る。 また地 下水位 は,海
面 とほぼ 同 じ高 さ (+0.2∼ 0.5m程度)で
あ る。 被 害 は,マ
ンホールや本 管 で発 生 してお り,浮
き上 が り 。沈 下・ ク ラ ック・ ズ レ 。た るみ 。破 損・ 逆 勾配 等 の変 状 が確 認 され た 。 特 に,マンホール 直壁 都 とマ ンホール か ら1本
目の管 渠 で被 災 が多 か った 。 また,図
3は
震 災前 と震 災後 のマ ンホー ル天 端 高及び地盤 高 の変位 量 を示 した ものであ る. その結 果,地
盤 高 は全体 的 に沈 下 し,マ
ンホール は浮 き上 が る傾 向が確認 され た(写真 1∼写真 3). 団地 内の いた る所 で液 状化 に伴 う噴水・ 噴砂 が 見 られ,被
害 の主原 因 は地盤 の液 状 化 に よるもの と考 え られ る.ま
た,周
辺 地盤 の液 状化 の判 定 を 行 った ところ,PL値
(液状化 指教)が
14と な り 「液 状化 の危 険性 が高い」 とい う判 定結果 が得 ら れ た。 液 状 化 に伴 う沈 下傾 向は,高
松川 付 近 を境 に し て違 い が見 られ,美
保 湾側 は全 体 的 に沈 下 してい るが,国
道側 は沈 下が少 ない。 これ は,高
松川 が 埋 め立 て前 の海岸線 に当た り,浚
渫 上 の分布 状 況 の違 い に よるもの と考 え られ る。 浚渫 土 は人 工 的 に盛 られ た緩 い地層 のた め,液
状化 発 生後 の上粒 子 の再配 列 に伴 い沈 下 を生 じた と考 え られ る。一方,高
松川 よ り国道側 (沖積 砂 質 土層 が分布)は ,締
ま りの程 度 が浚渫 土 よ り密 で あ り,液
状化 を生 じた後 の土粒 子 の再配列 に よ る沈 下 は少 なか つた と考 え られ る。 また,竹
内団地 の 中で も沈 下量 に差 が生 じてい る。そ の原 因一つ と して,岩
ズ ジに よる盛 土や 中 仕切 堤 の構 築 に よ り,重
量 の大 きい材 料 を使用 し た場 所 で は,そ
の重 み に よ り液 状化発生時の沈下 量 が大 き くな った と考 え られ る. 写 真1
マ ンホール の破 損 写 真2
本 管 の抜 け出 し 写 真3
本 管 の破 損・ 浸入水鳥 取 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 32巻 内浜 処 理 場 汚 泥 濃 縮 タ ン
生 B
汚 泥 消 化 タ ン ク → 至 米 子 至 境 港 ← 管 渠 被 害 箇 所 ● 内浜 処 理 場 の被 害 分 布 図B一
B断
面
管理 棟
最 初 沈 殿 池
応 タ ン
最終沈殿
図4
内浜処理 場 の地質 断面4.内
浜処 理場 にお け る施設 の被 害 内浜 処理 場 は,中
海 と美保 湾 とを 区切 る弓 ヶ浜 砂州 の 内浜 臨海低 地 (埋立地)に
位 置 し,埋
立地 を盛 土造成 して構 築 され てい る.1974年
に供用 開 始 され,内
浜処理 区1,062haの排 水 処理 を行 つて い る.敷
地 面積 は89,800m2ぁ り,排
除方式 は分流 式 (一部 合 流 式)で
中海 に放 流 して い る。 ここで は処理 場 内 の地質及 び施設 の基礎 形 状 の確認 を行濃縮 タンク
(米子市、1998、 抜粋) い,被
害 の程度 について検証す る。 図6は ,B―
B測
線 の地質断面図である。地層分 布 は,以
下の とお りである 動. ①盛土層(B)は
,木
片・ 玉石・ガ ラ等 を多 く 混入す る砂層 で,N値
10以 下 と緩い密度 を示 す 。 ②沖積砂質 土層(Asl)は
,N値
10以
下の緩 く均― な砂層 で細粒分が少 な く,粒
径 0.1∼ 0,4mmが90%以
上 占めてい る。 図 52000鳥取県西部地震 における下水道施設の被害 ③ 沖積 粘性 土層